JP2004323018A - アクセルペダル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アクセルペダルに異なったパターンの反力を付加する。
【解決手段】 アクセルペダル80に引張ばね85とサーボモータ70を連結する。サーボモータ70は作動切換リレー73を介して電流制御回路72に接続する。システム作動、非作動によりリレー73を切り換え、システム作動時に電流制御回路72からの制御信号をサーボモータ70に出力し、アクセルペダル80にリスク度に応じた反力を付加する。システム非作動時にはサーボモータ70の両側端子を短絡し、モータ70の自己誘導によりヒステリシスの反力特性を得る。
【選択図】図5


Description

本発明は、アクセルペダルに反力を付加するアクセルペダル装置に関する。
従来、ねじりばねによりアクセルペダルの戻し力を付与しているものにあっては、アクセルペダルを踏み込むときと解放するときにヒステリシスが生じ、その結果、所望のペダル操作性が得られている。
一方、特開平11−78595号公報には、車間距離や曲線路の曲率半径などの走行環境に応じた反力をモータを介してアクセルペダルに付加し、走行環境に適した車速の設定を行うようにした反力付加装置が開示されている。
しかしながら、上記公報記載の反力付加装置では、走行環境に応じた反力しか発生させることができず、これとは別にヒステリシスを積極的に生じさせることができなかった。
本発明によるアクセルペダル装置は、回動可能なアクセルペダルと、アクセルペダルに反力を付加する反力付加手段と、車両状態および車両周囲の走行環境に応じた反力制御を行うときの第1の特性と反力制御を行わないときの第2の特性のいずれか一方の特性で反力付加手段がペダル反力を付加するように反力付加パターンを選択する選択手段とを備える。
本発明によれば、反力制御を行うときの第1の特性と反力制御を行わないときの第2の特性のいずれか一方の特性でアクセルペダルに反力が付加されるように、反力付加パターンを選択するようにしたので、異なったパターンのペダル反力を付加することができ、扱いやすい。
以下、図1〜図13を参照して本発明によるアクセルペダル装置の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係わるアクセルペダル装置を有する反力制御装置1の構成を示すシステム図であり、図2は、この反力制御装置1を搭載する車両の構成図である。
まず、反力制御装置1の構成を説明する。レーザレーダ10は、車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられ、水平方向に赤外光パルスを走査する。レーザレーダ10は、前方にある複数の反射物(通常、先行車の後端)で反射された赤外光パルスの反射波を計測し、反射波の到達時間より、先行車までの車間距離と相対速度を検出する。検出した車間距離及び相対速度はコントローラ50へ出力される。レーザレーダ10によりスキャンされる前方の領域は、自車正面に対して±6deg 程度であり、この範囲内に存在する前方物体が検出される。車速センサ20は、自車両の走行車速を車輪の回転数などから検出し、コントローラ50へと出力する。
コントローラ50は、車速センサ20からの自車速と、レーザレーダ10からの車間距離、相対速度入力から、自車前方に走行する先行車両までの接近度合を算出し、現在の自車の走行状況を推定する。さらにその走行状況が将来どのように変化するかを推定して、アクセルペダル反力制御装置60へ反力指令値を出力する。
アクセルペダル反力制御装置60は、ストロークセンサ71で検出されたアクセルペダル80の操作量に応じて、アクセルペダル反力を制御するサーボモータ70で発生させるトルクを制御する。サーボモータ70ではアクセルペダル反力制御装置60の指令値に応じて、発生させるトルクを制御してドライバがアクセルペダル80を操作する際に発生する反力を任意に制御することができる。
図3,4は本実施の形態に係わるアクセルペダル装置の構成を示す正面図および側面図である。アクセルペダル80は、ドライバが踏力を加えるペダル81とペダル81を支持するレバー82を有する。レバー82は、車体に固定されたベースプレート83にベアリング84を介して回動可能に支持されている。レバー82にはブラケット86を介して引張ばね85の一端が連結され、引張ばね85の他端はブラケット87を介して車体に連結されている。アクセルペダル80には、アクセルペダル80の操作量に応じた引張ばね85のばね力が反力として作用する。ストロークセンサ71は例えば回動軸82aの回動量を検出する角度センサであり、この検出値に基づいてペダルストロークSを検出する。
レバー82の回動軸82aは遊星減速機構87を介してサーボモータ70の出力軸70aに連結されている。すなわち回動軸82aの先端にはキャリア87dが一体に設けられ、このキャリア87には回転可能に3つの遊星ギヤ87aが支持されている。この遊星ギヤ87aには、回転不能に設けられたリングギヤ87bが歯合されるとともに、モータ70の出力軸70aと一体に設けられた太陽キヤ87cが歯合されている(図3の断面b−b参照)。したがって、アクセルペダル80には、引張ばね85によるばね反力に加え、サーボモータ70のトルクが反力として作用することができる。ここで、引張ばね85とサーボモータ70が反力付加手段を構成する。
サーボモータ70の駆動回路を図5,6に示す。電流制御回路72は作動切換リレー73を介してサーボモータ70に接続されている。電流制御回路72はアクセルペダル反力制御装置60の指令値に応じた電流iを出力する。作動切換リレー73のコイルには、システム作動時にアクセルペダル反力制御装置60からオン信号が出力され、システム非作動時にオフ信号が出力される。このオンオフ信号によりリレー接点73a,73bが開閉され、アクセルペダル80のストロークSに対する反力Fの特性が後述する第1の特性または第2の特性のいずれかに変更される。なお、作動切換リレー73が選択手段を構成する。
次に、本実施の形態による反力制御装置1の作用を説明する。概略の作用としては、以下の通りである。
コントローラ50は、先行車両までの車間距離や相対速度、および自車両の走行車速といった走行状況を認識し、走行状況に基づいて先行車までの現在の接近度合(第1のリスク度)と、今後予測される先行車両の動向による自車両への影響度合(第2のリスク度)とをそれぞれ算出する。さらに、コントローラ50は、算出された接近度合と予測影響度合とから将来の走行状況(リスクポテンシャルRP)を予測し、リスクポテンシャルRPに基づいてアクセルペダル反力指令値ΔFを算出し、アクセルペダル反力制御装置60へ指令値ΔFを出力する。アクセルペダル反力制御装置60は、指令値ΔFに応じてサーボモータ70を制御することにより、アクセルペダル80のストローク−反力特性を変更する。
例えば、図11に示すようなストロークS−ペダル反力F特性において、通常状態、つまり反力制御装置1によるアクセルペダル反力制御を行わない場合(システム非作動時)の反力特性は、図の網掛け部分に示すようにアクセルペダル80を踏み込むときと解放するときにヒステリシスを有する。これによりペダル踏み込み力が多少変化してもペダルストロークSを一定に保つことができ、ペダルストロークSの保持性が向上する。
一方、反力制御時(システム作動時)には、通常状態の反力特性に対しペダル反力Fをアクセルペダル反力指令値ΔF分だけ大きく発生させる。これにより、アクセルペダル80の反力Fは、ストローク位置によらずリスクポテンシャルRPに応じたものとなり、現在および今後予測される走行状況をアクセルペダル反力Fを介してドライバに認識させることができる。この場合には、ドライバにリスクを正確に体感させるため、図示のようにヒステリシスのない直線的な特性とすることが好ましい。
以下に、アクセルペダル反力制御を行う場合にどのようにアクセルペダル反力指令値を決定するかについて、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、図7は、コントローラ50におけるアクセルペダル反力制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。本処理内容は、一定間隔(例えば50msec)ごとに連続的に行われる。
−コントローラ50の処理フロー(図7)−
まず、ステップS110でレーザレーダ10および車速センサ20によって検出された自車速Vf、先行車までの車間距離D、相対速度Vrおよび先行車速Vaといった走行状態を読み込む。
ステップS120で、読み込まれた走行状態に基づいて、現在の先行車までの接近度合と、今後の周囲環境変化による自車両への予測影響度合とを算出する。ここでは、先行車までの接近度合として余裕時間TTCを、予測影響度合として車間時間THWを算出する。以下、余裕時間TTCおよび車間時間THWの算出について説明する。
余裕時間TTCは、先行車に対する現在の自車両の接近度合を示す物理量である。余裕時間TTCは、現在の走行状況が継続した場合、つまり自車速Vf、先行車速Vaおよび相対車速Vrが一定の場合に、何秒後に、車間距離Dがゼロとなり自車両と先行車両とが接触するかを示す値であり、以下の(式1)により求められる。
余裕時間TTC=D/Vr (式1)
余裕時間TTCの値が小さいほど、先行車への接触が緊迫し、先行車への接近度合が大きいことを意味している。例えば先行車への接近時には、余裕時間TTCが4秒以下となる前に、ほとんどのドライバが減速行動を開始することが知られている。このように、余裕時間TTCはドライバの運転行動に大きな影響を与えるものであるが、ドライバが感じる先行車との接触へのリスクを余裕時間TTCのみで表すことは困難である。
例えば、自車両が先行車に追従して走行している場合、先行車との相対車速Vrは0であり、余裕時間TTCは無限大となる。しかし、車間距離Dが長い場合と短い場合では、ドライバの感じるリスクは異なり、ドライバは車間距離Dが短い場合により大きなリスクを感じる。これはドライバが、想定される将来の先行車の車速変化による余裕時間TTCへの影響量を予測し、その影響が大きいと認識している場合には、より大きなリスクを感じているためであると考えられる。
また、(式1)より算出した余裕時間TTCは、相対速度Vrを一定と仮定したが、実際にはΔt秒後の相対速度Vrは変化している可能性がある。例えば、Δt秒後の先行車速Vaを正確には予測することはできず、図8に示すようにばらつきを持って予測される。ここで、Δt秒後の先行車速V2が現在の先行車速V1よりも遅くなったとすると、これに伴って相対車速Vrが変化し、Δt秒後の余裕時間TTCは相対車速Vrが一定の場合に比べて小さい値となり、ドライバが感じるリスクも高くなる。しかし、これを現在の相対車速Vrに基づいて算出した余裕時間TTCから判断することは難しい。
そこで、余裕時間TTCとは別に、自車両が先行車に追従走行している場合に、想定される将来の先行車の車速変化による余裕時間TTCへの影響度合、つまり相対車速Vrが変化すると仮定したときの影響度合を算出する。余裕時間TTCへの予測影響度合を示す物理量として、以下の(式2)、(式3)のいずれかで表される車間時間THWを用いる。
車間時間THW=D/Va (式2)
車間時間THW=D/Vf (式3)
車間時間THWは、車間距離Dを先行車速Vaあるいは自車速Vfで除したものであり、先行車の現在位置に自車両が到達するまでの時間を示す。この車間時間THWが大きいほど、周囲環境変化に対する予測影響度合が小さくなる。つまり、車間時間THWが大きい場合には、もしも将来に先行車の車速が変化しても、先行車までの接近度合には大きな影響を与えず、余裕時間TTCはあまり大きく変化しないことを示す。
なお、車間時間THWは将来の先行車の車速変化による影響度合を表す値であるので、先行車速Vaを用いた(式2)の方が、自車速Vfを用いた(式3)に比べて、よりドライバの感じるリスクに合致している。ただし、先行車速Vaは、自車速Vfと相対車速Vrとから算出されるため、車速センサ20によって精度よく検出される自車速Vfを用いた(式2)の方が車間時間THWを正確に算出できる。なお、自車両が先行車に追従している場合は、自車速Vf=先行車速Vaであるため、(式2)=(式3)となる。
以上、ステップS120において、余裕時間TTCおよび車間時間THWを算出した。つづくステップS130では、ステップS120で算出した余裕時間TTCと車間時間THWとに基づいて、予測される将来状況(リスクポテンシャルRP)を算出する。リスクポテンシャルRPは、以下の(式4)によって表され、先行車に対する接近度合(1/TTC)と将来状況の予測影響度合(1/THW)とを足し合わせて、連続的に表現される物理量である。
RP=a/THW+b/TTC (式4)
なお、a、bは、接近度合および予測影響度合にそれぞれ適切な重み付けをするためのパラメータであり、a<bとなるように、適切に設定する。パラメータa、bの値は、例えば、車間時間THW、余裕時間TTCの統計から推定されるa=1,b=8程度に設定することが望ましい。
なお、上述した(式1)〜(式3)からわかるように、余裕時間TTCは先行車と自車両の相対速度Vrが一定と仮定したときに、何秒後に先行車に接触するかというリスク度であり、車間時間THWは先行車と自車両の相対速度Vrが将来変化すると仮定したときに、自車両が何秒後に先行車が存在した位置に到達するかというリスク度である。余裕時間TTCおよび車間時間THWはそれぞれ現在の自車速Vf、先行車速Vaおよび相対車速Vrから算出されるが、これらを(式4)を用いて足し合わせることにより、将来予測されるリスクポテンシャルRPを推定することができる。
リスクポテンシャルRPにより、先行車への追従走行中から先行車への接近中まで、連続的な状況変化に対応して、その状況における接近度合を表現することができる。つまり、リスクポテンシャルRPが大きいほど、ドライバは将来先行車に接近しすぎてしまうかもしれないというリスクを大きく感じていると判断できる。
図9に、(式4)で算出されるリスクポテンシャルRPを、車間時間THW−余裕時間の逆数(1/TTC)平面内における、リスクポテンシャルRP値毎の等高線として示す。図9において、横軸は車間時間THW、縦軸は余裕時間TTCの逆数(1/TTC)であり、横軸を右へいくほど、自車両が先行車から離れて走行していることを示し、縦軸を上へ行くほど自車両が先行車に接近し、下へ行くほど先行車から離脱していることを示す。図9において、リスクポテンシャルRPの等高線はそれぞれ右上から左下へなめらかな曲線を描いており、それぞれの等高線の間で、リスクポテンシャルRPの値は連続的に変化している。なお、車間時間THWが小さく、余裕時間の逆数1/TTCが大きい図9の左上ほど、リスクポテンシャルRPの値が高くなっている。つまり、先行車に接近し、その接近度合が高いほど、リスクポテンシャルRPが高い値を示している。また、接近度合1/TTCが同じ値でも、車間時間THWが短くなるほどリスクポテンシャルRPの値は高くなる。
ステップS140では、ステップS130で算出されたリスクポテンシャルRPの値に基づいて、以下の(式5)によりアクセルペダル反力指令値ΔFを算出する。
ΔF=K・RP (式5)
ここで、Kは適切に定められた定数である。
図9に示すように、あらゆる車間時間THWおよび接近度合1/TTCの走行状況において、リスクポテンシャルRPは連続的に示される。(式5)を用いてアクセルペダル反力指令値ΔFを算出し、リスクポテンシャルRPに応じてアクセルペダル反力を制御することにより、先行車への接近度合を連続的にドライバに認識させることが可能となる。
つづくステップS150で、ステップS140で算出されたアクセルペダル反力指令値ΔFを、アクセルペダル反力制御装置60へと出力し、今回の処理を終了する。
上述したステップS130においては、(式4)を用いて現在の接近度合(1/TTC)と予測影響度合(1/THW)にそれぞれ重み付けをして加算し、リスクポテンシャルRPの値を算出した。これにより、現在の接近度合あるいは予測影響度合が変化した場合でも、リスクポテンシャルRPは連続的に表され、リスクポテンシャルRPの値に応じて設定されるアクセルペダル反力を連続的に変化させることができる。運転者は連続的になめらかに変化するアクセルペダル反力によって走行状況の変化を正確に認識することができる。
なお、リスクポテンシャルRPは、以下に示す(式6)によって算出してもよい。
RP=max{a/THW、b/TTC} (式6)
ここでは、(式6)に示すように、先行車に対する接近度合(TTCの逆数)と将来状況の予測影響度合(THWの逆数)のうち、大きい方の値を選択してリスクポテンシャルRP値とする。なお、a、bは接近度合および予測影響度合にそれぞれ重み付けをするためのパラメータであり、例えばa=1,b=8程度として、a<bとなるように適切に設定する。これにより、先行車への追従走行中から接近中まで連続的な状況変化に対応して、その状況における先行車への接近度合を表現することができる。
図10に、(式6)で算出されるリスクポテンシャルRPを、車間時間THW−余裕時間の逆数(1/TTC)平面内における、リスクポテンシャルRP値毎の等高線として示す。図10において、図9と同様に横軸は車間時間THW、縦軸は余裕時間TTCの逆数(1/TTC)である。図9に示すように、上述した(式4)を用いてリスクポテンシャルRPを算出する場合、相対速度Vrがマイナスで、先行車が自車両よりも速く、離脱していくようなときには、車間時間THWが同じ値でもリスクポテンシャルRPが非常に小さくなってしまう。これに伴って、アクセルペダル反力指令値ΔFも非常に小さくなる。
一方、(式6)で算出されるリスクポテンシャルRP値は、先行車への現在の接近度合(1/TTC)と、将来状況の予測影響度合(1/THW)のうちの大きい方を選択する。そのため、接近度合(1/TTC)がマイナス、すなわち相対車速Vrがマイナスとなったとしても、リスクポテンシャルRP値は、図10に示すように車間時間THWで決まる所定値以下になることはない。なお、車間時間THWは先行車の現在位置に自車両が到達するまでの時間であり、マイナスの値は示さない。これにより、(式6)を用いてリスクポテンシャルRPを算出した場合には、リスクポテンシャルRP値が変動してアクセルペダル反力が急変してしまうことを防止できる。
以上のように本実施の形態に係わる反力制御装置1では、先行車への現在の接近度合(余裕時間TTC)と将来予測される周囲環境変化による影響度合(車間時間THW)とを算出し、これらにそれぞれ所定の重みをつけてリスクポテンシャルRPを算出した。そして、リスクポテンシャルRPに比例した力をアクセルペダル反力に付加することにより、実際にドライバが感じるリスク度により近い値に基づいてアクセルペダルの反力を制御することが可能となる。先行車への現在の接近度合が大きい場合(余裕時間TTCが小さい場合)、あるいは将来予測される影響度合が大きい場合(車間時間THWが小さい場合)には、リスクポテンシャルRPは大きくなり、リスクポテンシャルRPに比例した大きなアクセルペダル反力が発生する。これにより、先行車までの接近度合が大きくリスクポテンシャルRPが大きいときには、アクセルペダル80を踏んでいるドライバは、アクセルペダル80を解放する方向へ導かれる。
具体的には、アクセルペダル反力が増加することにより、ドライバはその増加分からリスクポテンシャルRPが増加していることを認識し、自らの判断でアクセルペダルを良好な状態へと操作(解放)することができる。また、アクセルペダル反力が増加することにより、アクセルペダルを踏んでいるドライバの足が自然に解放側へと戻され、ドライバがあまり気にしなくてもより良好な状態へと導かれる。さらに、アクセルペダル反力が増加することにより、現在アクセルペダルを踏んでいる状態からさらに踏み込む際に必要な踏力が大きくなるため、ドライバがアクセルペダルをさらに踏み込むことによって自車速が増加し、先行車との車間距離が減少することを抑制することができる。
さらに、(式4)を用いて算出したリスクポテンシャルRPに基づいてアクセルペダル反力指令値ΔFを決定する場合、リスクポテンシャルRPは図9に示すように連続的に変化する。これにより、先行車への接近度合1/TTCおよび車間時間THWに応じた走行状況を、アクセルペダル反力を介してドライバに連続的に伝達して認識させることができる。また、(式6)を用いてリスクポテンシャルRPを算出する場合、リスクポテンシャルRPは図10に示すように変化する。これにより、先行車が離脱し、接近度合1/TTCが非常に小さくなった場合でも、リスクポテンシャルRPは急変しないので、安定したアクセルペダル反力制御を行うことができる。
また、余裕時間TTCおよび車間時間THWは、それぞれ比較的容易に計測可能な自車速Vf、先行車速Va、車間距離D等の物理量を用いて算出することができるので、車両に搭載する部品点数の増加を抑制することができる。さらに、リスクポテンシャルRPを算出するためのパラメータa、bを設定する際に、余裕時間TTCのパラメータbを車間時間THWのパラメータaよりも大きく設定することにより、将来の周囲環境の変化による影響度合よりも現在の先行車への接近度合を重視してリスクポテンシャルを算出することができる。
次に、本実施の形態に係わるアクセルペダル装置の特徴的な動作を説明する。
(1)システム作動時
自車両のレーザレーダ10が先行車を検出し、リスクポテンシャルが所定値を越えると反力制御システムが作動する。このシステム作動により図6に示すように作動切換リレー73のコイルが通電され、リレー接点73aが閉じられ、リレー接点73bが開放する。コントローラ50は前述したように先行車に対するリスクポテンシャルRPを算出し、このリスクポテンシャルRPに応じて、アクセルペダル反力制御装置60は電流制御回路72の出力を制御する。これによりサーボモータ70のトルクが制御され、アクセルペダル80には、引張りばね85による反力に、リスクポテンシャルに応じたモータトルク反力ΔFが加算して付加される。
アクセルペダル80に付加される反力Fの一例を図12の特性f1に示す。なお、特性f1は第1の特性であり、図中の特性f0は第1の特性f1のベースとなる引張りばね85の反力特性である。引張ばね85にはねじりばねのような摺動部が存在しないため、ねじりばねを用いた場合よりも摩擦力は小さい。その結果、ヒステリシスの発生が抑制され、ベースとなるばね反力は特性f0に示すように直線状に変化する。
また、上述したようにサーボモータ70の出力軸70aとアクセルペダル80の回動軸82aは遊星減速機構87を介してほぼ同軸上に配置したので、かさ歯車やウォームギヤなどを用いた場合に比べてメカ損失は小さく、トルクの伝達効率が高い。その結果、アクセルペダル80にリスクポテンシャルに応じた反力ΔFを精度よく付加することができ、ヒステリシスの発生が抑制され、アクセルペダル80に付加される反力Fは、特性f1に示すように直線状に変化する。なお、遊星減速機構87以外を用いてサーボモータ70の出力軸70aとアクセルペダル80の回動軸82aをほぼ同軸上に配置することもできる。
このようにばねの摩擦力やギヤのメカ損失を小さくしてヒステリシスのない反力特性とすることで、ドライバは先行車の接近のリスクを良好に体感することができる。すなわち反力特性が図12の点線に示すようなヒステリシスを有すると、リスクポテンシャルに応じた反力ΔFを付加してもドライバはヒステリシスの影響による反力の増加と勘違いするおそれがあり、リスクを正確に覚知することは難しい。これに対して反力特性が直線状なら、ドライバは反力の増加を即リスクの増加と認識し、将来先行車に接近しすぎてしまうかもしれないというリスクを正確に体感することができる。
(2)システム非作動時
例えばレーザレーダ10が先行車を検出しないとき、リスクポテンシャルは所定値以下となり、反力制御システムは非作動となる。このシステム非作動時には図5に示すように作動切換リレー73のコイルへの通電が断たれ、リレー接点73aが開放され、リレー接点73bが閉じられる。これによりサーボモータ70の両端は接地する。このときアクセルペダル80を踏み込みまたは解放すると、そのペダル操作に応じてサーボモータ70の出力軸70aが回転し、サーボモータ70には誘導起電力が発生する。
この誘導起電力はペダル操作を妨げるような粘性力として作用する。その結果、アクセルペダル80を踏み込みまたは解放すると、図13に示すように、ペダル反力Fはヒステリシスを有する第2の特性となる。すなわち、図13のa点でアクセルペダル60を踏み込むとばね反力(特性f2)に粘性力が加算され、矢印で示すようにペダル反力Fが増加する。一方、a点でアクセルペダルを解放すると粘性力によりペダルの戻りが阻害され、ペダル反力Fは矢印で示すように減少する。このようにペダル反力Fにヒステリシスを発生させることで、アクセルペダル80の踏力が多少変化しても、ペダルストローク量Sを一定に保つことができ、ドライバは車速の調整を容易に行うことができる。
反力制御システムが故障した場合(例えば信号ラインが断線した場合)、作動切換リレー73のコイルへの通電が遮断される。これにより反力特性はヒステリシスを有するものとなるので、ペダルストロークの調整が容易となり、操作性がよい。例えば作動切換リレー73に図示しない故障診断装置からの信号を入力し、故障診断装置が故障判定した場合にリレー73のコイルへの通電を遮断することもできる。
本発明の実施の形態に係わるアクセルペダル装置によれば、以下のような効果を奏する。
(1) 反力制御システムの作動、非作動に応じてサーボモータ70の作動切換リレー73を切り換え、システム作動時(例えば先行車がいるとき)にはサーボモータ70のトルクを制御し、システム非作動時(例えば先行車がいないとき)にはトルク制御を行わず、サーボモータ70を自己誘導させるようにした。これによりアクセルペダル80に異なったパターンの反力を付加することができ、扱いやすい。すなわちヒステリシスのない、もしくは少ない特性を有する反力とヒステリシスを有する反力を選択的に付加することができ、これらの反力を用途に応じて使い分けて付加することで、使い勝手が向上する。
(2) アクセルペダル80に引張ばね85とサーボモータ70を連結し、ばね反力とモータトルク反力をアクセルペダル80に付加するようにしたので、モータトルク制御によりリスクポテンシャルに応じたペダル反力ΔFを付加することができるとともに、ばね反力を基準としてヒステリシスが生じるようにペダル反力を付加することもできる。
(3) サーボモータ70を用いてアクセルペダル80に反力を付加するので、反力制御を精度よく行うことができる。
(4) サーボモータ70の出力軸70aとアクセルペダル80の回動軸82aを遊星減速機構87を介して同軸上に配置したので、ギヤのメカ損失が低減され、反力制御時にヒステリシスの発生を抑制することができる。
(5) システム作動時にサーボモータ70の電流制御を行い、システム非作動時にサーボモータ70の両側端子を短絡するようにしたので、システム非作動時にサーボモータ70の電流制御を行わなくてもヒステリシスの特性を容易に得ることができる。
(6) アクセルペダル80の戻しばねとして引張ばね85を用いたので、ねじりばねを用いた場合に比べてばねの摩擦力が低減され、反力制御時に戻しばね自身のヒステリシスの発生を抑制することができる。
本発明によるアクセルペダル装置は、上述した実施の形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば上記ではサーボモータ70の自己誘導によりシステム非作動時のヒステリシスの反力特性を与えるようにしたが、電流制御回路72からの信号によりヒステリシスの特性を与えることもできる。この場合、ストロークセンサ71で検出したアクセルペダル80の操作を時間微分して操作速度を算出し、操作速度に比例した反力が付加されるようにサーボモータ70のトルクを制御することが好ましい。
サーボモータ70を用いてアクセルペダル80に反力を付加するようにしたが、付加する反力を任意に調整できるのであれば、他のアクチュエータを用いて反力を付加することもできる。システム作動時にリスクポテンシャルに応じて反力制御するようにしたが、車両状態や車両周囲の走行環境に応じて反力制御するのであれば、リスクポテンシャルに応じた制御以外に本発明のアクセルペダル装置を適用することもできる。反力制御時にはヒステリシスのない状態で反力を付加することが好ましいが、反力制御時にヒステリシスを全てなくすことは必ずしも必要ではない。引張ばね85以外によりばね部材を構成することもできる。
本発明の実施の形態に係わるアクセルペダル装置を有する反力制御装置のシステム図。 図1の反力制御装置を搭載する車両の構成図。 本発明の実施の形態に係わるアクセルペダル装置の構成を示す正面図。 本発明の実施の形態に係わるアクセルペダル装置の構成を示す側面図。 本発明の実施の形態に係わるアクセルペダル装置を構成するサーボモータのシステム非作動時における駆動電気回路を示す図。 本発明の実施の形態に係わるアクセルペダル装置を構成するサーボモータのシステム作動時における駆動電気回路を示す図。 本発明の実施の形態に係わるアクセルペダル反力制御プログラムの処理手順を示すフローチャート。 将来の先行車速のばらつきを示す図。 本発明の実施の形態に係わる反力制御装置による作用を示す図。 本発明の実施の形態に係わる反力制御装置による別の作用を示す図。 本発明の実施の形態に係わるアクセルペダルストローク−ペダル反力の関係を示す図。 本発明の実施の形態に係わるアクセルペダル装置によるシステム作動時におけるアクセルペダル反力特性の一例を示す図。 本発明の実施の形態に係わるアクセルペダル装置によるシステム非作動時におけるアクセルペダル反力特性の一例を示す図。
符号の説明
70 サーボモータ
70a 出力軸
71 ストロークセンサ
72 電流制御回路
73 作動切換リレー
80 アクセルペダル
82a 回動軸
65 引張ばね
87 遊星減速機構

Claims (7)

  1. 回動可能なアクセルペダルと、
    前記アクセルペダルに反力を付加する反力付加手段と、
    車両状態および車両周囲の走行環境に応じた反力制御を行うときの第1の特性と反力制御を行わないときの第2の特性のいずれか一方の特性で前記反力付加手段がペダル反力を付加するように、反力付加パターンを選択する選択手段とを備えることを特徴とするアクセルペダル装置。
  2. 請求項1に記載のアクセルペダル装置において、
    前記第1の特性は、前記アクセルペダルの踏み込み量に対してヒステリシスのない、もしくは少ない状態でペダル反力を付加する特性であり、前記第2の特性は、前記アクセルペダルの踏み込み量に対してヒステリシスを有する状態で反力を付加する特性であることを特徴とするアクセルペダル装置。
  3. 請求項2に記載のアクセルペダル装置において、
    前記反力付加手段は、
    前記アクセルペダルの踏み込み量に応じた反力を付加するばね部材と、
    前記第1の特性に応じた反力付加パターンが選択されると前記ばね部材による反力に車両状態および車両周囲の走行環境に応じた反力を付加し、前記第2の特性に応じた反力付加パターンが選択されると前記ばね部材による反力にヒステリシス状に反力を付加するアクチュエータとを有することを特徴とするアクセルペダル装置。
  4. 請求項3に記載のアクセルペダル装置において、
    前記アクチュエータは、前記アクセルペダルの回動軸にトルク反力を付加するサーボモータであることを特徴とするアクセルペダル装置。
  5. 請求項4に記載のアクセルペダル装置において、
    前記サーボモータの出力軸と前記アクセルペダルの回動軸は、ギヤ機構を介してほぼ同軸上に配置されることを特徴とするアクセルペダル装置。
  6. 請求項4または5に記載のアクセルペダル装置において、
    前記選択手段は、前記第1の特性に応じた反力付加パターンが選択されると車両状態および車両周囲の走行環境に応じた制御電流を前記サーボモータに出力し、前記第2の特性に応じた反力付加パターンが選択されると前記サーボモータの両側端子を短絡することを特徴とするアクセルペダル装置。
  7. 請求項3〜6のいずれか1項記載のアクセルペダル装置において、
    前記ばね部材は、一端を前記アクセルペダルに連結され、他端を車体に連結された引張ばねであることを特徴とするアクセルペダル装置。
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