JP2004322614A - 平滑積層体および平滑積層体を用いた部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平滑導電板24の少なくとも一方の面に抵抗合金層23を積層してなる平滑積層体20において、平滑導電板24に活性化処理を施した直後に抵抗合金層23を積層することによって、所要の抵抗値を有する抵抗器をエッチング形成された配線パターン内部に形成可能とする平滑積層体20を製造する。またこの平滑積層体20を用いてプリント配線板、ICパッケージなどに適用される高周波用途用の部品を製造する。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、平滑導電板の少なくとも一方の面に抵抗合金層を積層してなる高周波特性に優れた平滑積層体、および高周波用途向けのプリント配線板、ICパッケージ、インターポーザなどに適用できる平滑積層体を用いてなる部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化・軽量化に伴い実装基板の高密度化が進み、実装部品点数の削減が進んでいる。このような背景の中で基板自体に実装部品を埋め込む方法が各種提案されてきている。特に最近では処理する信号が高速化し、高周波化してきている。このために電流が表層部に集中する表皮効果が無視できなくなってきており、信号伝送路を形成する導電部の表面粗度が問題となってきている。従来技術として、銅箔に所定のパターンで抵抗層となるNi−Cr合金層をメッキして、接着剤などを用いて基材に接着し、銅箔部分をエッチングすることにより抵抗内蔵型のプリント配線板を製造する方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。また、金属ストリップに表面清浄化処理を施した後に連続して金属薄膜を形成する方法が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
本出願に関する先行技術文献情報として次のものがある。
【特許文献1】
特開平5−41573号公報
【特許文献2】
特開2002−121666号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような点に鑑みて、平滑導電板の少なくとも一方の面に抵抗合金層を積層してなる高周波特性に優れた平滑積層体、および高周波用途向けのプリント配線板、ICパッケージ、インターポーザなどに適用できる平滑積層体を用いてなる部品を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題に対する第1の解決手段として本発明の平滑積層体は、平滑導電板の少なくとも一方の面に抵抗合金層を積層してなる平滑積層体において、平滑導電板に活性化処理を施した直後に抵抗合金層を積層してなる構成とした。好ましくは、前記平滑導電板が、銅または銅合金からなる構成とした。あるいは、前記抵抗合金層が、Ni−Cu系合金、Ni−Cr系合金、またはNi−Cr−Fe系合金からなる構成とした。
【0006】
前記課題に対する第2の解決手段として本発明の部品は、平滑導電板の少なくとも一方の面に抵抗合金層を積層してなる平滑積層体を用いてなる構成とした。好ましくは、前記部品の少なくとも一個所に、抵抗部を形成してなる構成とした。さらに好ましくは、プリント配線板、またはICパッケージに適用される構成とした。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の平滑積層体の一実施形態を示す概略断面図であり、平滑導電板24に抵抗合金層23を積層した例を示している。図2は、本発明の部品の一実施形態を示す概略断面図であり、平滑積層体20を接着層25を介して基材27に積層した例を示している。図3は、本発明の部品の他の一実施形態を示す概略断面図であり、前記部品30にエッチング加工を施した例を示している。
【0008】
平滑導電板24の材質としては、平滑積層体を製造可能な素材で導電性の優れたものであれば特にその種類は限定されず、平滑積層体の用途により適宜選択して用いることができる。平滑導電板24の比抵抗として、1〜20μΩ・cmが望ましく、より望ましくは1〜10μΩ・cmが良い。例えば、常温で固体である導電性の優れた金属(例えば、Al、Cu、Ag、Pt、Auなど)や、これらの金属のうち少なくとも1種類を含む導電性の優れた合金(例えば、JISに規定の合金など)などが適用できる。平滑積層体の用途がプリント配線板などであれば、平滑導電板24としては、導電性に優れた金属であるCu、Alなどや、これらの金属のうち少なくとも1種類を含む導電性の優れた合金などを適用することができる。すなわち銅板、アルミニウム板などを平滑導電板24として適用することが可能である。銅板としては、Cuの他、JISに規定の無酸素銅、タフピッチ銅、リン青銅、黄銅や、銅ベリリウム系合金(例えば、ベリリウム2%、残部が銅の合金など)、銅銀系合金(例えば、銀3〜5%、残部が銅の合金など)など、アルミニウム板としては、Alの他、JISに規定の1000系、3000系などのアルミニウム合金を適用することができる。
【0009】
平滑導電板24の厚みは、平滑積層体を製造可能であれば特に限定はされず、平滑積層体の用途により適宜選定して用いることができる。平滑導電板24の厚みは、例えば1〜1000μmであることが好ましい。1μm未満では平滑導電板としての製造が難しくなり、1000μmを超えると平滑積層体としての製造が難しくなる。より好ましくは、5〜100μmである。なお平滑導電板24は、圧延箔などの板材であってもよいし、板材にめっきや蒸着などによる膜材を予め積層したものであってもよいし、クラッド材などの積層体でもよい。例えば、銅−アルミニウム構造のクラッド材などである。平滑導電板としては、表面粗度を抑えることが可能で、導電性の優れた圧延銅箔を用いることが好ましい。
【0010】
平滑導電板24の表面粗度(Ra)は、0.001〜0.3μmであることが好ましい。0.001μm未満では平滑導電板としての製造が難しい。0.3μmを超えると高周波帯での表皮効果による伝送路損失が大きくなるため好ましくない。これは高周波化に伴う表皮効果により、電流が伝送路の表層部に集中するために伝送路表面の凹凸部分を流れることとなり、実効的に伝送距離が長くなって伝送時間が長くなるとともに、伝送路での損失が増加する物と考えられる。このため高周波帯域では伝送路の表面粗度を抑えることが必要となってきている。また特性インピーダンスや配線パターンの高精度微細加工の観点からも導電層粗さの低減が要望されている。しかしながら表面粗度を闇雲に低くすると接着材を用いた場合などに接合強度が下がることが知られている。これは多くの接着材が表面に存在する凹凸によるアンカー効果などを利用しているためと考えることができる。このため平滑導電板自体のアンカー効果に代わる接合強度の強化策が必要となる。
【0011】
抵抗合金層23の材質としては、平滑積層体を製造可能な素材で所要の体積抵抗率を有するものあれば特にその種類は限定されず、平滑積層体の用途により適宜選択して用いることができる。例えば、常温で固体であり所要の体積抵抗率を有する合金(例えば、JISに規定の合金など)などが適用できる。平滑積層体の用途がプリント配線板などであれば、配線パターンに抵抗部を形成可能な所要の体積抵抗率を有する抵抗合金を適用することができる。抵抗合金としては、銅マンガン系合金(例えば、マンガン12〜15%、ニッケル2〜4%、残部が銅の合金など)、銅ニッケル系合金(例えば、銅55%、ニッケル45%からなる合金など)、ニッケルクロム系合金(例えば、ニッケル80%、クロム20%からなるNi−Cr合金などや、Ni−Cr−Fe合金、Ni−Cr−Al合金、Ni−Cr−Si合金など)、ニッケルリン系合金(例えば、リン1〜20%、残部がニッケルの合金など)、ニッケルホウ素リン系合金(例えば、ホウ素2%、リン8〜16%、残部がニッケルの合金など)、鉄クロム系合金(例えば、クロム20%、アルミニウム3%、残部が鉄のFe−Cr−Al合金など)、鉄ニッケル系合金(Fe−Ni合金や、Fe−Ni−Cr合金など)、鉄炭素系合金などを適用することができる。好ましくは、Ni−Cr系合金などである。また体積抵抗率は10〜500μΩ・cmが好ましい。10μΩ・cm未満では高周波帯における充分な表皮深さを得ることは難しいく、500μΩ・cmを超えると極細配線パターンでの抵抗調整が難しくなる。
【0012】
また抵抗合金層23の厚みは、平滑積層体を製造可能であれば特に限定はされず、平滑積層体の用途により適宜選定して用いることができる。抵抗合金層23は、例えば0.01〜10μmであることが好ましい。0.01μm未満では抵抗層としての形成が難しくなり、安定した抵抗値を実現することが難しくなる。また10μmを超えると製造時間が長くなりすぎる。より好ましくは、0.05〜3μmである。なお抵抗合金層は、平滑積層体の用途により、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなどの乾式製膜手段から適宜選択して用いることができる。好ましくは、平滑導電板の表面活性化に用いるスパッタエッチング法と相性のよいスパッタリングである。
【0013】
基材27の材質としては、平滑積層体と直接もしくは接着層25を介して接合可能な素材であれば特にその種類は限定されず、平滑積層体を用いた部品の用途により適宜選択して用いることができる。例えば、セラミック材料、高分子材料、金属または合金材料である。平滑積層体を用いた部品をプリント配線板などに適用する場合には、絶縁性の基材を用いることができるが、接着層25が絶縁性である場合には導電性の基材を用いることもできる。高分子材料としては、プラスチックなどの有機高分子物質やプラスチックに粉末や繊維などを混ぜた混合体を適用することができる。平滑積層体をフレキシブルプリント配線板などに適用する場合には、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどの芳香族ポリアミドなどや液晶ポリマーなどを用いることができる。
【0014】
プラスチックとしては、例えば、アクリル樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、ユリア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など)、アリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー、EEA樹脂(Ethylene Ethylacrylate樹脂)、AAS樹脂(Acrylonitrile Acrylate Styrene樹脂)、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene樹脂)、ACS樹脂(Acrylnitrile Chlorinated polyethylene樹脂)、AS樹脂(Acrylonitrile Styrene樹脂)、アイオノマー樹脂、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、エポキシ樹脂、珪素樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、弗化エチレンプロピレン、弗素樹脂、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアミド(6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロンなど)、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキンジメルテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリサルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどを用いてもよい。
【0015】
基材27の厚みは、平滑積層体を用いた部品の用途により適宜選定される。例えば基材が高分子材料からなる場合には、1〜1000μmが好ましい。1μm未満の場合には高分子基材としての製造が難しくなり、1000μmを超えると平滑積層体を用いた部品としての製造が難しくなる。例えば平滑積層体を用いた部品の用途がフレキシブルプリント配線板などであれば、3〜300μmの範囲のものが好ましい。3μm未満の場合には機械的強度が乏しく、300μmを超えると可撓性が乏しくなる。好ましくは、10〜150μmである。より好ましくは、20〜75μmである。
【0016】
接着層25の材質としては、平滑積層体を用いた部品を製造可能な素材であれば特にその種類は限定されず、平滑積層体を用いた部品の用途により適宜選択して用いることができる。例えば、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体などのポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ゴム系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン・アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂系などの公知の接着剤が適用できる。特にエポキシ系樹脂が好ましい。
【0017】
また接着層25の厚みは、平滑積層体を用いた部品を製造可能であれば特に限定はされず、平滑積層体を用いた部品の用途により適宜選定して用いることができる。接着層25の厚みは、例えば1〜100μmであることが好ましい。1μm未満では接着効果が乏しくなり、100μmを超えると重くなりすぎる。より好ましくは、10〜50μmである。
【0018】
図1に示す平滑積層体20の製造方法について説明する。図4に示すように、真空槽52内において、巻き戻しリール62に設置された平滑導電板24の積層処理予定面側を、活性化処理装置70で活性化処理する。この活性化により、平滑導電板24の表面に存在するゴミなどの不要物や表面酸化物などの化合物を充分に除去して平滑導電板の素地を露出させることにより、次段階でのスパッタリング膜の密着性を高めることができる。
【0019】
活性化処理は、以下のようにして実施する。すなわち、真空槽52内に装填された平滑導電板24をアース接地された一方の電極Aと接触させ、絶縁支持された他の電極Bとの間に、10〜1×10−3Paの極低圧不活性ガス雰囲気中で、1〜50MHzの交流を印加してグロー放電を行わせ、グロー放電によって生じたプラズマ中に露出される電極Aと接触した平滑導電板24の面積が、実効的に電極Bの面積の1/3以下となるようにスパッタエッチング処理する。不活性ガスとしては、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトンなどやこれらを含む混合体を適用することができる。好ましくはアルゴンである。なお不活性ガス圧力が1×10−3Pa未満では安定したグロー放電が行いにくく高速エッチングが困難であり、10Paを超えると活性化処理効率が低下する。印加する交流は、1MHz未満では安定したグロー放電を維持するのが難しく連続エッチングが困難であり、50MHzを超えると発振し易く電力の供給系が複雑となり好ましくない。また、効率よくエッチングするためには電極Aと接触した平滑導電板24の面積を実効的に電極Bの面積より小さくする必要があり、実効的1/3以下とすることにより充分な効率でエッチング可能となる。
【0020】
次に平滑導電板24の活性化された表面に、膜形成ユニット90により抵抗合金層23を形成する。膜形成方法として、スパッタリングを用いた場合について説明する。膜形成ユニット90では、前記活性化処理装置とは逆に平滑導電板24側の面積を実効的に大きくすることによりスパッタリング処理を行うことができる。すなわち、真空槽52内に装填された平滑導電板24をアース接地された一方の電極Aと接触させ、絶縁支持された他の電極Cとの間に、10〜1×10−3Paの極低圧不活性ガス雰囲気中で、1〜50MHzの交流を印加してグロー放電を行わせ、グロー放電によって生じたプラズマ中に露出される電極Aと接触した平滑導電板24の面積が、実効的に電極Cの面積の3倍以上となるようにしてスパッタリング処理する。不活性ガスとしては、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトンなどやこれらを含む混合体を適用することができる。好ましくはアルゴンである。なお不活性ガス圧力が1×10−3Pa未満では安定したグロー放電が行いにくく、10Paを超えるとスパッタリング効率が低下する。印加する交流は、1MHz未満では安定したグロー放電を維持するのが難しく連続スパッタリングが困難であり、50MHzを超えると発振し易く電力の供給系が複雑となり好ましくない。また、効率よくスパッタリングするためには電極Aと接触した平滑導電板24の面積を実効的に電極Cの面積より大きくする必要があり、3倍以上とすることにより充分な効率で膜形成が可能となる。
【0021】
例えば図5に示すように、スパッタリング法を用いる膜形成ユニット90は、電気的にフローティング状態にされたターゲット電極94と、アース接地された水冷の電極ロール72との組み合わせで構成される。ターゲット電極94には抵抗合金層23を形成するターゲット92が設置され、またマグネット98を設置して磁場によりスパッタリングの効率を向上させている。さらにターゲット92の異常加熱を防止するために、ターゲット電極94を水冷できるようにしてある。ターゲット電極94−電極ロール72間に高周波電源96を印加することで、プラズマを発生させてターゲット92にイオン衝撃を与え、これにより放出されたターゲット物質を平滑導電板24の活性化表面上に積層させて抵抗合金層23を形成させ、平滑積層体20を得ることができる。
【0022】
このようにして積層することにより、所要の層厚みを有する平滑積層体20を形成することができ、巻き取りロール64に巻き取られる。さらに必要により所定の大きさに切り出して、図1に示すような平滑積層体20を製造することができる。
【0023】
膜形成ユニットは活性化処理装置の直後あるいは近傍であることが好ましく、膜形成ユニットを活性化処理装置の直後あるいは近傍に配置することで、製造装置のコンパクト化などを図ることが可能である。例えば、図4に図示しているように活性化処理装置の電極ロールと膜形成ユニットの電極ロールを共用化する形態などや、さらに活性化処理装置と膜形成ユニットをそれぞれ共用の電極ロールの外周上に配置する形態などである。このような形態を採ることで一体化した処理が可能となる。なお直後あるいは近傍とは、活性化処理された導電板面が吸着や反応などにより再び不活性化されて膜形成に悪影響を与えない範囲あるいは状態のことである。
【0024】
本発明の部品は、平滑導電板の少なくとも一方の面に抵抗合金層を積層してなる平滑積層体を用いたものであり、図2に示すような平滑積層体を接着層などを介して高分子材料などの基材に積層したものや、さらに平滑積層体にエッチング加工などの加工を施したもの、さらにこれに樹脂などで被覆あるいは固定したものや、これらの部品を複数層積層したものや、ビア加工やスルーホール加工などにより層間導通処理などを施したものなどである。例えば、図3に示すようなプリント配線板などの部品32などである。
【0025】
図2に示すような部品30は、例えば図1に示すような平滑導電板24−抵抗合金層23の2層構造の平滑積層体20に、適切な接着層25を介して高分子板などの基材27に固定したものである。平滑積層体20と基材27の接着強度を増すために、例えば、平滑積層体20の抵抗合金層23の基材27との対向面にアンカー効果を得るための凹凸を設けてもよい。この凹凸は、抵抗合金層23面に各種の粗化処理、例えば、化学処理などを施すことによっても設けることができるし、膜形成時のスパッタリング条件などを変化させながら膜形成を行うことによっても可能である。また抵抗合金層23にクロム系素材を使用した場合、抵抗合金層23露出表面にクロム化合物を形成させることができ、これと接着層25との化学的あるいは物理的に接合強度を増すことが可能である。なお抵抗合金層23に凹凸を設けることは、高周波帯域での表皮効果のため抵抗分の増大にもつながる可能性はあるが、抵抗合金層23は抵抗配線路を設けるためのものであるため、利用する帯域での抵抗値を配線路長あるいは配線幅などをレーザートリミングなどの手段により適切に制御することが可能であり、抵抗層における表皮深さは導電体に比して充分な深さを得ることは可能であるのであまり問題とはならない。さらに平滑導電板24との積層部分すなわち導電配線部においても、抵抗合金層厚み以上の表皮深さを得ることは可能であり、平滑導電板表層に電流を流しうるためこちらもあまり問題とはならない。
【0026】
図3に示すようなプリント配線板などの部品32は、図2に示す部品30の平滑積層体20の部分に対してエッチング加工を施したものであり、導電配線部32や抵抗配線部34などを形成することにより製造することができる。このとき配線部は、平滑導電板24部が残存する2層の良導体部(導電配線部32)と、平滑導電板24部が除去され抵抗合金層23のみの1層の抵抗部(抵抗配線部34)を適宜選択的に形成することができる。さらにエッチング液や抵抗合金層23の材質を適切に選定することにより、この抵抗合金層23をエッチングストップ層として機能させることができ、精度よくエッチング処理することが可能であるため、抵抗合金層23部のみの抵抗配線部34を形成することが容易となり、所要の抵抗値を有する抵抗部を配線内部に設けることができる。
【0027】
なお本発明の平滑積層体に抵抗合金層部分のみの配線部を形成させることにより、終端抵抗やブリーダ抵抗などの抵抗器として機能させることができるため、プリント配線板の埋め込み抵抗や、抵抗アレイ、抵抗ネットワーク、抵抗ラダーなどの集合抵抗などにも適用してもよい。この抵抗値は抵抗合金層の材質によって決まる体積抵抗率と膜厚みおよび配線パターンの幅や長さを適宜選択して製造することができる。このため今までプリント配線板に取り付けられていた抵抗器を削減もしくは不要とすることが可能となり、高周波帯域においてもプリント配線板の高密度化などに効果がある。
【0028】
また本発明の平滑積層体の抵抗合金層は、抵抗器として機能させるばかりでなく、発熱体やヒューズとして機能させることも可能である。本発明の平滑積層体では、高周波帯域での伝送損失を阻害する要因となる粗度を抑えることができるため、従来より高速、高周波での用途が可能である。このため、プリント配線板(リジットプリント配線板やフレキシブルプリント配線板など)などに好適であり、ICカード、CSP(チップサイズパッケージまたはチップスケールパッケージ)やBGA(ボールグリッドアレイ)などのICパッケージなどにも応用が可能である。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例を図面に基づいて説明する。平滑導電板24として厚み35μmの圧延銅箔を用い、抵抗合金層23としてNi−Cr合金層を用いた。圧延銅箔24を平滑積層体製造装置50にセットし、真空槽52内の活性化処理ユニット70でスパッタエッチング法により表面を活性化処理した。活性化処理された圧延銅箔にスパッタリングを用いた膜形成ユニット90でNi−Cr抵抗層を形成させて平滑積層体20を製造した。さらにエポキシ樹脂系からなる接着層25を介してガラスエポキシからなる基材27に積層固定して部品30を製造した。またエッチング加工を施して部品32を製造した。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の平滑積層体は平滑導電板の少なくとも一方の面に抵抗合金層を積層してなるものであり、本発明の部品は平滑積層体を用いたものである。このため平滑積層体の抵抗合金層に抵抗部を形成させることにより回路を形成する部品点数を削減することが可能であり、高周波用プリント配線板などへの適用も好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平滑積層体の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の部品の一実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の部品の他の一実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の平滑積層体の製造に用いる装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の平滑積層体の製造に用いる膜形成ユニットの一実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
20 平滑積層体
23 抵抗合金層
24 平滑導電板
25 接着層
26 導電板
27 基材
30 部品
32 部品
34 抵抗配線部
35 導電配線部
50 平滑積層体製造装置
52 真空槽
54 真空ポンプ
60 圧接ユニット
62 巻き戻しリール
64 巻き取りロール
70 活性化処理装置
72 電極ロール
74 電極
76 電極
90 膜形成ユニット
92 ターゲット
94 ターゲット電極
96 高周波電源
98 マグネット
A 電極A
B 電極B
C 電極C
Claims (6)
- 平滑導電板の少なくとも一方の面に抵抗合金層を積層してなる平滑積層体において、平滑導電板に活性化処理を施した直後に抵抗合金層を積層してなることを特徴とする平滑積層体。
- 前記平滑導電板が、銅または銅合金からなることを特徴とする請求項1に記載の平滑積層体。
- 前記抵抗合金層が、Ni−Cu系合金、Ni−Cr系合金、またはNi−Cr−Fe系合金からなることを特徴とする請求項1に記載の平滑積層体。
- 平滑導電板の少なくとも一方の面に抵抗合金層を積層してなる平滑積層体を用いてなることを特徴とする部品。
- 前記部品の少なくとも一個所に、抵抗部を形成してなることを特徴とする請求項4に記載の部品。
- 前記部品が、プリント配線板、またはICパッケージに適用されることを特徴とする請求項4または5に記載の部品。
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