JP2004322578A - 導体被覆ポリイミド基板の製造方法及び導体被覆ポリイミド基板 - Google Patents

導体被覆ポリイミド基板の製造方法及び導体被覆ポリイミド基板 Download PDF

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均 木村
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Abstract

【課題】導体層の厚みを9μm未満に容易に形成でき、導体層とシートとの常温時及び加熱保持後の接着強度が高く、かつ、導体層とシートとの接合界面が平坦である導体被覆ポリイミド基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂層3が、芳香族ポリイミドからなる基体層2の少なくとも片側に積層されているシート1の熱可塑性樹脂層3上に、厚さ1μm以下の銅、ニッケル、コバルト又はそれらの合金の無電解めっき薄膜4を形成して、無電解めっき薄膜4とシート1とを一体化した後、加熱して熱可塑性樹脂層3と無電解めっき薄膜4とを接着し、その後、無電解めっき薄膜4上に無電解めっき又は電解めっきの銅層5を形成して導体被覆ポリイミド基板6を製造することを特徴とする導体被覆ポリイミド基板の製造方法。この製造方法によって製造した導体被覆ポリイミド基板。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品製造においてプリント配線板等の材料として使用される導体被覆ポリイミド基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は、優れた耐熱性を有し、機械的、電気的そして化学的特性も良好であり、硬質のプリント配線板(PWB)、フレキシブルプリント回路基板(FPC)、テープ自動ボンディング(TAB)用基板等の絶縁材料として用いられている。例えば、熱硬化性ポリイミド樹脂を用いて作製したプリプレグを銅箔と共に成形してPWB用基板としたり、芳香族ポリイミドフィルムと銅箔とをエポキシ樹脂などの熱硬化性接着剤で貼り合わせてラミネート法によるFPC用やTBA用のフレキシブル基板とすることが行われている。ラミネート法によるフレキシブル基板では、加熱保持した後の銅箔の接着力が低いという加熱保持後の接着強度の問題や、エッチング工程で熱硬化性接着剤層に塩素や硫酸イオン等が吸着されて絶縁が劣化する恐れがあるという問題があった。そこで、無接着剤タイプのフレキシブル基板が開発されてきている。無接着剤タイプのフレキシブル基板の製造法としては、ポリイミドフィルム表面にスパッタリング、イオンプレーティング、蒸着等により直接金属層を被着する方法が検討されている。また、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を銅箔上に塗布した後、イミド化してフレキシブル基板とする方法や、芳香族ポリイミドからなる基体層の片面または両面に、熱圧着性を有するポリイミドを積層したシートを作製し、このシートと銅箔とを重ね合せ加熱圧着して、絶縁層が全てポリイミドからなるフレキシブル基板が検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−075053号公報(第2頁、第3頁)
【0004】
【特許文献2】
特公平7−102649号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したポリイミドフィルム表面にスパッタリング、イオンプレーティング、蒸着等により直接金属層を被着する方法では、金属層を被着した後で銅層を電気めっきで形成できるため、屈曲性を有しファインパターンの形成に適した厚さ9μm未満の導体層を容易に形成でき、かつ導体層とポリイミドフィルムとの接合界面が平坦であるため、ファインパターンの形成に適した方法であるが、導体層の接着強度が不十分であるという問題と、加熱保持後の導体層の接着強度の低下が著しいという問題があった。さらに、金属層を被着する際に微小なピンホールが発生し、それを起因とする、金属層上に形成した銅層の欠落の問題が銅層厚みを5μm前後とした場合に発生している。
【0006】
一方、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を銅箔上に塗布した後、イミド化してフレキシブル基板とする方法や、芳香族ポリイミドからなる基体層の片面または両面に、熱圧着性を有するポリイミドを積層したシートを作製し、このシートと銅箔とを重ね合せ加熱圧着して、絶縁層が全てポリイミドからなるフレキシブル基板とする方法の場合には、銅箔を使用するため、屈曲性を有しファインパターンの形成に適した厚さ9μm未満の導体層を形成することが困難であり、また、銅箔のアンカー効果を利用して銅箔とポリイミドとの接着を行っているため、接着強度は高いが、エッチングによってファインパターンを形成したときに、アンカー効果を生じさせる銅箔表面の凹凸を起因とするパターン幅のバラツキが発生するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、芳香族ポリイミドを基体層とするシート上に導体層を形成している導体被覆ポリイミド基板であって、導体層の厚みを9μm未満に容易に形成でき、導体層とシートとの常温時及び加熱保持後の接着強度が高く、かつ、導体層とシートとの接合界面が平坦であって、導体層にファインパターンを形成したときに、導体層とシートとの接合界面の凹凸に起因するパターン幅のバラツキが生じないようにできる導体被覆ポリイミド基板及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、熱可塑性樹脂層が、芳香族ポリイミドからなる基体層に積層されているシートの熱可塑性樹脂層上に、所定厚み以下の無電解めっき薄膜を形成した後、加熱して熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とを接着すると、無電解めっき薄膜がその下地である熱可塑性樹脂と加熱により強固に接着するため、導体層とシートとの接合界面が平滑でも十分に高い常温時接着強度及び加熱保持後の接着強度が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0009】
請求項1に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法は、熱可塑性樹脂層が、芳香族ポリイミドからなる基体層の少なくとも片側に積層されているシートの熱可塑性樹脂層上に、厚さ1μm以下の銅、ニッケル、コバルト又はそれらの合金の無電解めっき薄膜を形成して、無電解めっき薄膜とシートとを一体化した後、加熱して熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とを接着し、その後、無電解めっき薄膜上に無電解めっき又は電解めっきの銅層を形成して導体被覆ポリイミド基板を製造することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法は、請求項1記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法において、熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂が、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド又はポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法は、請求項1又は請求項2記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法において、熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が150℃以上であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法において、前記芳香族ポリイミドが、ピロメリット酸二無水物と芳香族ジアミンとから得られる芳香族ポリイミド又はビフェニルテトラカルボン酸類と芳香族ジアミンとから得られる芳香族ポリイミドであることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法において、加熱して熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とを接着する温度が、260〜550℃であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法において、熱可塑性樹脂層の厚みが0.1〜10μmであり、かつ、基体層の厚みが5μm以上であって、シートの全体の厚みの50%以上であることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明の導体被覆ポリイミド基板は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法によって製造した導体被覆ポリイミド基板である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の導体被覆ポリイミド基板及びその製造方法の概略を説明するための断面図である。
【0017】
本発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法では、図1(a)に示すように、芳香族ポリイミドからなる基体層2に熱可塑性樹脂層3が積層されているシート1を使用する。そして、図1(b)に示すように、シート1の熱可塑性樹脂層3上に、無電解めっき薄膜4を形成して、無電解めっき薄膜4とシート1とを一体化した後、加熱して熱可塑性樹脂層3と無電解めっき薄膜4とを接着する。その後、無電解めっき薄膜4上に無電解めっき又は電解めっきの銅層5を形成して導体被覆ポリイミド基板6を製造する(図1(c))。なお、図1では、基体層2の両側に熱可塑性樹脂層3、無電解めっき薄膜4、銅層5をそれぞれ形成しているが、本発明では、基体層2の片側のみに、熱可塑性樹脂層3、無電解めっき薄膜4及び銅層5を形成するようにしてもよい。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明において使用される芳香族ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸又はその誘導体である芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミンとから得られるポリイミドである。芳香族テトラカルボン酸類としては、ピロメリット酸二無水物やビフェニルテトラカルボン酸類が挙げられ、芳香族ジアミンとしてはジアミノジフェニルエーテルやフェニレンジアミンが挙げられる。特に、芳香族テトラカルボン酸類としてピロメリット酸二無水物を用い、芳香族ジアミンとしてジアミノジフェニルエーテルを用いた芳香族ポリイミドと、芳香族テトラカルボン酸類として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等のビフェニルテトラカルボン酸類を用い、芳香族ジアミンとしてフェニレンジアミンを用いた芳香族ポリイミドとが、耐熱性、機械強度、寸法安定性の点から好ましい。そして、上述した芳香族ポリイミドでシートの基体層は形成される。
【0020】
この基体層と積層させる熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂は、加熱を行うことで軟化し、接する無電解めっき薄膜(後述)と接着し、冷却後に強固な接着性を示す樹脂である。すなわち、本発明で使用する熱可塑性樹脂は加熱によって接着性が生じるという加熱接着性を有する熱可塑性樹脂である。
【0021】
このような熱可塑性樹脂の具体例としては、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。そして、加熱保持後の接着強度が高い導体被覆ポリイミド基板を得るためには、熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリイミドである場合には、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を基体層上に塗工し、加熱によってイミド化した熱可塑性ポリイミドや、特公平7−102649号に示されるように、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液と、芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液とを共押出しした後、加熱によってイミド化して得られる、基体層と一体に形成した熱可塑性ポリイミドを用いることができる。
【0022】
熱可塑性樹脂層が芳香族ポリイミドからなる基体層に積層されているシートを作製する方法としては、芳香族ポリイミドからなる基体層に熱可塑性樹脂を塗工、加熱して一体化する方法や、特公平7−102649号に示されるような2層以上の押し出し成型用ダイスを有する押出成形機を用いて共押出しして一体化する方法が挙げられる。
【0023】
熱可塑性樹脂層が芳香族ポリイミドからなる基体層に積層されているシートについて、熱可塑性樹脂層の厚みが0.1〜10μmであり、かつ、基体層の厚みが5μm以上であって、シートの全体の厚みの50%以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂が加熱によって軟化して接する無電解めっき薄膜(後述)と接着し、冷却後に強固な接着性を示すには、熱可塑性樹脂層の厚みは0.1μm以上であることが好ましく、また、10μmを越えると導体被覆ポリイミド基板の屈曲性が低下する傾向があるため、10μm以下とすることが好ましい。基体層の厚みが5μm未満であったり、シートの全体の厚みの50%未満であったりすると、導体被覆ポリイミド基板の機械強度、耐熱性、屈曲性等が低下する傾向があるため、基体層の厚みは5μm以上であって、シートの全体の厚みの50%以上であることが好ましい。
【0024】
本発明では、上述したシートの熱可塑性樹脂層上に、厚さ1μm以下の銅、ニッケル、コバルト又はそれらの合金の無電解めっき薄膜を形成する。無電解めっき薄膜を銅、ニッケル、コバルト又はそれらの合金で形成する理由は、その後に銅層を形成して得られる導体被覆ポリイミド基板の導体層に回路形成を行う場合に、銅層を含む導体層のエッチング工程で、他の金属では銅と共にエッチングすることが困難であり、かつ、銅、ニッケル、コバルト又はそれらの合金で無電解めっき薄膜を形成していると、電気的特性の良好な導体層を形成することが可能だからである。
【0025】
そして、無電解めっき薄膜の厚さを1μm以下と制限するのは、1μmを越えると、シートの変位状態に追随できる屈曲性が乏しくなり、部分的に空隙が生じて、無電解めっき薄膜の未着部分ができる傾向があるからである。
【0026】
無電解めっき薄膜の形成に当っては、パラジウム触媒の付着のための準備として、シートに対してプラズマ処理や、コロナ放電処理や、酸、アルカリ又は還元の溶液浸漬処理を行って、純水との接触角を10°以下におさえた樹脂表面改質を施すことが好ましい。その後に、塩化第IIすずのセンシタイザー・塩化パラジウムのアクチベーター法や、パラジウム−すずコロイドのキャタリスト−アクセレーター法等によるパラジウム触媒の付着を行う。次に銅、ニッケル、コバルト又はそれらの合金のめっき液浴に、パラジウム触媒を付着させたシートを浸漬しし、めっき皮膜を全面に析出させて、無電解めっき薄膜をシート表面に形成する。なお、めっき液浴にシートを浸漬する前に、シートにあらかじめ耐めっき液性のフォトレジストを使用してシート表面の一部をマスクし、めっき皮膜を部分的に析出させることも可能である。このように、めっき皮膜を部分的に析出させた場合には、後述の無電解めっき又は電解めっきの銅層は、この部分的に析出させた無電解めっき薄膜上に形成するので、全面被覆ではなく、必要部分だけを部分的に導体で被覆した導体被覆ポリイミド基板とすることができる。
【0027】
シートの熱可塑性樹脂層を形成している熱可塑性樹脂が、熱可塑性ポリイミドである場合には、銅で無電解めっき薄膜を形成すると、熱可塑性ポリイミドの種類によっては銅の熱可塑性樹脂層への拡散と、シートを通過した酸素による拡散銅の酸化が起こることがある。導体被覆ポリイミド基板を高温環境に長時間放置して、このような拡散銅の酸化が起こると、導体層と熱可塑性樹脂層の界面の密着不良が発生することがあるので、熱可塑性ポリイミドの種類によっては銅以外の金属で無電解めっき薄膜を形成することを考慮する必要がある。
【0028】
本発明では、シートの熱可塑性樹脂層上に無電解めっき薄膜を形成して、無電解めっき薄膜とシートとを一体化した後、加熱して熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とを接着する。この加熱温度については、熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とが接着し、導体被覆ポリイミド基板としたときの導体層の常温時及び加熱保持後の接着強度が優れたものとなる温度とすればよいが、半田耐熱性の確保に必要な260℃以上とすることが好ましく、より好ましくは300℃以上である。なお、この加熱温度の上限については、シートを構成する樹脂(芳香族ポリイミド及び熱可塑性樹脂)の熱分解開始温度以下であればよいが、熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜との良好な接着状態を達成するには、好ましくは550℃以下、より好ましくは450℃以下である。また、無電解めっき薄膜の熱劣化を防止するためには、酸素濃度が100ppm以下である窒素ガス、ネオンガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気で加熱することが好ましい。加熱時間については特に制限はないが、例えば0.5秒〜30分間の範囲内で行うことができる。
【0029】
このようにして熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とを接着した後、無電解めっき薄膜上に無電解めっき又は電解めっきの銅層を形成して、本発明の導体被覆ポリイミド基板を製造する。本発明では、銅層をめっき(無電解めっき又は電解めっき)によって形成するので、無電解めっき薄膜と銅層で形成される導体層の厚みを、容易に薄く(9μm未満)形成できる。
【0030】
以上のようにして得られる導体被覆ポリイミド基板は、導体層とシートとの常温時及び加熱保持後の接着強度が高く、かつ、導体層とシートとの接合界面が平坦であって、導体層にファインパターンを形成したときに、導体層とシートとの接合界面の凹凸に起因するパターン幅のバラツキが生じないものである。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例により、さらに説明する。
【0032】
(実施例1)
ピロメリット酸二無水物とジアミノジフェニルエーテルを用いて得られた芳香族ポリイミドからなるポリイミドフィルム(250mm幅、25μm厚み、東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100V型」)の片面に、熱可塑性ポリアミドイミド(日立化成社製、品番HLP−200N)の溶液をマルチコータにて成膜後厚みが8μmとなるように塗工した。次いで、250℃で加熱して、芳香族ポリイミドからなる基体層に熱可塑性樹脂層が積層されているシートを得た。熱可塑性樹脂層部分のガラス転移温度は、230℃であった(示差走査熱量計を用いる方法で測定)。
【0033】
このシートを200mm角にして、プラズマ処理装置にて酸素プラズマ処理を2分間行い熱可塑性樹脂層の水との接触角が74°であったものが9°となる親水化処理を行った。その後、芳香族ポリイミドからなる基体層側をマスキングしたシートを、25℃のパラジウム−すずコロイドタイプのアクチベーティング液(上村工業社製、品番AT−105)に、5分間浸漬して触媒を付与した。次いで、水洗した後、アクセレーター(上村工業社製、商品名「スルカップAL−106」)を使用して25℃で3分間の促進処理を施した。次いで、水洗した後、無電解銅めっき液(上村工業社製、商品名「スルカップPEA」)に36℃、浴負荷0.4dm/リットル、析出速度2.0μm/hrで3分間揺動浸漬し、厚さ0.1μmの無電解銅めっき薄膜を得た。
【0034】
次に、無電解銅めっき薄膜を形成したシ−トを、熱風循環式加熱炉(光洋サーモシステム社製)を用いて、酸素濃度が100ppm以下の窒素ガス雰囲気中で20℃/分の昇温スピードにて350℃まで加熱し、350℃で10分間保持した後、15℃/分の降温スピードで冷却する熱処理を行った。
【0035】
次に、熱処理を終えたシートの無電解銅めっき薄膜上に、電気めっきにより厚さ10μmの銅層を形成して導体被覆ポリイミド基板を得た。電気めっき条件は、CuSO・5HOを100g/リットル、HSOを150g/リットル含むメッキ浴、めっき温度25℃、めっき時間30分とした。
【0036】
得られた導体被覆ポリイミド基板(導体被覆フレキシブル基板)に幅3mm、長さ100mmの帯状の導体層パターンを形成し、この導体層の端部を導体被覆ポリイミド基板に対して垂直方向に引き剥がして、導体層の引き剥がし強度(接着強度)を測定した。常温(25℃)の引き剥がし強度(接着強度)は1.0kgf/cm(9.8N/cm)であり、150℃雰囲気に168時間保持した後の引き剥がし強度(接着強度)は0.9kgf/cm(8.8N/cm)であった。また、得られた導体被覆ポリイミド基板(導体被覆フレキシブル基板)について、JISのC6471のはんだ耐熱性試験用試料を作製し、260℃のはんだ中に1分間浸漬するはんだ耐熱性試験を行ったところ、5枚の試料中の5枚全てについて、導体層にふくれ・はくりの外観異常はなかった。
【0037】
(実施例2)
芳香族ポリイミドからなる基体層に熱可塑性樹脂層が積層されているシートとして、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを用いて得られた芳香族ポリイミドからなる基体層の両面に、250℃のガラス転移温度をもち(示差走査熱量計を用いる方法で測定)、厚みが約3μmである熱可塑性ポリイミドの熱可塑性樹脂層が積層されて一体化されている厚み25μmのシート(宇部興産社製、商品名「ユーピレックスVTフィルム」)を使用し、実施例1と同様の酸素プラズマ処理を行い、熱可塑性樹脂層の水との接触角が80°であったものが7.5°となる親水化処理を行った。次いで、実施例1と同様の条件で、無電解銅めっき薄膜の形成、無電解銅めっき薄膜を形成したシ−トの熱処理及び無電解銅めっき薄膜上への電気めっきによる銅層の形成を行って、両面に導体層を形成している導体被覆ポリイミド基板を得た。得られた導体被覆ポリイミド基板について、実施例1と同様の測定法で評価したところ、常温(25℃)の引き剥がし強度(接着強度)は1.3kgf/cm(12.7N/cm)であり、150℃雰囲気に168時間保持した後の引き剥がし強度(接着強度)は1.2kgf/cm(11.7N/cm)であり、はんだ耐熱性試験の結果は、5枚の試料中の5枚全てについて、導体層にふくれ・はくりの外観異常はなかった。
【0038】
(比較例1)
芳香族ポリイミドからなる基体層のみであって、熱可塑性樹脂層が積層されていないフィルムである、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを用いて得られた芳香族ポリイミドフィルム(宇部興産社製、商品名「ユーピレックスSフィルム」、厚さ25μm)をシートとして使用した以外は実施例2と同様にして両面に導体層を形成している導体被覆ポリイミド基板を作製しようとした。しかし、無電解銅めっき薄膜を形成したシ−トの熱処理を終えた後の無電解銅めっき薄膜上への電気銅めっき工程で、無電解銅めっき薄膜とシートとの密着性が不足していて銅層が剥がれ落ちて、導体被覆ポリイミド基板を作製することができなかった。
【0039】
(比較例2)
ピロメリット酸二無水物とジアミノジフェニルエーテルを用いて得られた芳香族ポリイミドからなるポリイミドフィルム(250mm幅、25μm厚み、東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100V型」)の片面に、非熱可塑性樹脂である芳香族ポリイミドを作製できるポリイミドワニス(宇部興産社製、商品名UワニスA)を塗工した。次いで、350℃で加熱して、イミド化して、厚さ3μmの芳香族ポリイミドからなる非熱可塑性樹脂の層を形成した。この芳香族ポリイミドからなる基体層に非熱可塑性樹脂の層が積層されているシートを使用した以外は、実施例1と同様にして片面に導体層を形成している導体被覆ポリイミド基板を作製しようとした。しかし、無電解銅めっき薄膜を形成したシ−トの熱処理を終えた後の無電解銅めっき薄膜上への電気銅めっき工程で、無電解銅めっき薄膜とシートとの密着性が不足していて銅層が剥がれ落ちて、導体被覆ポリイミド基板を作製することができなかった。
【0040】
(比較例3)
実施例2における、無電解銅めっき薄膜を形成するための無電解銅めっき液への浸漬時間を延ばして、無電解銅めっき薄膜の厚みを1.2μmに形成した以外は、実施例2と同条件で導体被覆ポリイミド基板を作製したところ、無電解銅めっき薄膜が部分的に剥離している現象が発生した。また、常温(25℃)の引き剥がし強度(接着強度)は1.3kgf/cm(12.7N/cm)であり、150℃雰囲気に168時間保持した後の引き剥がし強度(接着強度)は1.2kgf/cm(11.7N/cm)であって実施例2と差はなかったが、はんだ耐熱性試験の結果は、5枚の試料中の2枚の試料にふくれが発生した。
【0041】
【発明の効果】
請求項1、請求項2、請求項4及び請求項6に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法では、熱可塑性樹脂層が、芳香族ポリイミドからなる基体層の少なくとも片側に積層されているシートの熱可塑性樹脂層上に、厚さ1μm以下の銅、ニッケル、コバルト又はそれらの合金の無電解めっき薄膜を形成して、無電解めっき薄膜とシートとを一体化した後、加熱して熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とを接着し、その後、無電解めっき薄膜上に無電解めっき又は電解めっきの銅層を形成して導体被覆ポリイミド基板を製造しているので、請求項1、請求項2、請求項4及び請求項6に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法によれば、導体層の厚みを9μm未満の薄さに容易に形成でき、導体層とシートとの常温時及び加熱保持後の接着強度が高く、かつ、導体層とシートとの接合界面が平坦であって、導体層にファインパターンを形成したときに、導体層とシートとの接合界面の凹凸に起因するパターン幅のバラツキが生じないようにできる導体被覆ポリイミド基板を製造することができる。
【0042】
請求項3に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法は、熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が150℃以上であるので、請求項1の発明の効果に加えて、導体層とシートとの加熱保持後の接着強度をより確実に高くすることが可能となる。
【0043】
請求項5に係る発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法は、加熱して熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とを接着する温度が、260〜550℃であるので、請求項1の発明の効果に加えて、はんだ耐熱性に優れた導体被覆ポリイミド基板を得ることが可能となる。
【0044】
請求項7に係る発明の導体被覆ポリイミド基板は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法によって製造した導体被覆ポリイミド基板であるので、導体層の厚みを9μm未満の薄さに容易に形成でき、導体層とシートとの常温時及び加熱保持後の接着強度が高く、かつ、導体層とシートとの接合界面が平坦であって、導体層にファインパターンを形成したときに、導体層とシートとの接合界面の凹凸に起因するパターン幅のバラツキが生じないようにできる導体被覆ポリイミド基板となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導体被覆ポリイミド基板の製造方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1 シート
2 基体層
3 熱可塑性樹脂層
4 無電解めっき薄膜
5 銅層
6 導体被覆ポリイミド基板

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂層が、芳香族ポリイミドからなる基体層の少なくとも片側に積層されているシートの熱可塑性樹脂層上に、厚さ1μm以下の銅、ニッケル、コバルト又はそれらの合金の無電解めっき薄膜を形成して、無電解めっき薄膜とシートとを一体化した後、加熱して熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とを接着し、その後、無電解めっき薄膜上に無電解めっき又は電解めっきの銅層を形成して導体被覆ポリイミド基板を製造することを特徴とする導体被覆ポリイミド基板の製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂が、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド又はポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする請求項1記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法。
  3. 熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が150℃以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法。
  4. 前記芳香族ポリイミドが、ピロメリット酸二無水物と芳香族ジアミンとから得られる芳香族ポリイミド又はビフェニルテトラカルボン酸類と芳香族ジアミンとから得られる芳香族ポリイミドであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法。
  5. 加熱して熱可塑性樹脂層と無電解めっき薄膜とを接着する温度が、260〜550℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂層の厚みが0.1〜10μmであり、かつ、基体層の厚みが5μm以上であって、シートの全体の厚みの50%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の導体被覆ポリイミド基板の製造方法によって製造した導体被覆ポリイミド基板。
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