JP2004322443A - 裏打材の製造方法と縫製一体発泡成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表皮材1の裏面に無数の気泡を含有するムース状の液状体を一面に塗布し乾燥・硬化させて裏打材2を形成する。
ムース状であるので表皮材1への液状体の含浸が抑制され、縫製時の縫い目は裏打材2の弾性によって塞がれ、発泡樹脂の裏打材2への含浸も抑制されるので、触感及び意匠性に優れた縫製品一体発泡成形品が得られる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のヘッドレスト、シート、アームレストなど、縫製品を表皮とする縫製一体発泡成形品の製造方法と、その製造方法に用いられる裏打材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車のヘッドレストは、ファブリック、皮革などの表皮材を縫製することで形成された袋状の表皮を発泡成形型内に配置し、ステー及び芯材を挿入した後に、袋状の表皮内に発泡樹脂を注入して発泡成形することで製造されている。
【0003】
しかしながら、表皮には縫製によって針穴が形成されているため、そのまま発泡成形した場合には針穴から発泡樹脂が漏れて不良品となってしまう。そこで例えば特開2001−246186号公報には、柔軟弾性材からなる縫製糸を用いることで針穴からの発泡樹脂の漏れを防止する方法が記載されている。また、表皮材の裏面側にスラブウレタンなどからなる発泡体層を裏打材として積層することも行われている。スラブウレタンなどは弾性が高いため、表皮材と発泡体層を共縫いすることで発泡体層の針穴はほとんど開口せず、これにより発泡樹脂の漏れを防止することが可能となる。さらにスラブウレタンを積層した場合には、保形性が向上し発泡成形型へのセットが容易となる。
【0004】
ところで、袋状の表皮内に発泡樹脂を注入して一体成形品を形成する場合には、発泡樹脂が含浸して固化することで、表皮が硬くなって触感が損なわれるという問題がある。この問題は、表皮単体で用いた場合のみならず、スラブウレタンを積層した表皮を用いても同様に生じる。スラブウレタンは、一般的には、通気性の高い材料で成形された発泡体を所定の厚みになるようにスライスすることで製造されている。そのためスラブウレタンの表面には破れた気泡が多数存在し、発泡樹脂が含浸しやすいという不具合がある。
【0005】
そこで発泡成形体と当接する表面にフィルム層が積層されたスラブウレタンを裏打材として用い、フィルム層によって発泡樹脂の含浸を防止することが行われている。このフィルム層は、スラブウレタンの成形時に形成することもできるが、一般には図4に示すように表皮材との積層時にフィルム層を形成することが行われている。
【0006】
この方法は、先ずスラブウレタンの一方の表面をフレーム処理して加熱溶融させ、ローラーを用いてスラブウレタンの一方の表面にフィルムを圧着した後、スラブウレタンの他方の表面をフレーム処理して加熱溶融させ、ローラーを用いてスラブウレタンの他方の表面を表皮材へ圧着する方法である。この方法によれば、フィルムの積層と表皮材への接着とを連続的に行うことができ、接着剤を不要として発泡樹脂の含浸が防止された表皮を大量生産することができる。
【0007】
なお特開2002−240058号公報、特開2002−347043号公報には、表皮材と裏打材とを接合しない表皮が記載されているが、表面に凹部をもつ縫製一体発泡成形品の場合には凹部で表皮材が裏打材と分離して意匠性が損なわれるという不具合がある。また縫製時に表皮材と裏打材とがずれたりして、縫製が不安定となるという問題もある。したがって表皮材と裏打材とはある程度接合されていることが望ましい。
【0008】
また特開2002−210271号公報には、フィルム層に代えて独立気泡タイプの発泡体シートを用いることが記載されている。独立気泡タイプの発泡体シートであれば、発泡樹脂が含浸しても表面の僅かな部分だけであるので、表皮の触感が損なわれるのを防止することができる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−246186号
【特許文献2】特開2002−240058号
【特許文献3】特開2002−347043号
【特許文献4】特開2002−210271号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、高級車のヘッドレストなどには表皮材として皮革が用いられることが多い。皮革の場合には、ファブリックのように連続体として供給できないため、スラブウレタンを上記したようにフレーム処理して連続的に接合することは困難である。またフレーム処理ではスラブウレタンと皮革との接合が不十分であるという問題もある。
【0011】
したがってスラブウレタンと皮革との接合を接着剤を用いて行うこととなるが、フィルム層の形成工程と皮革への接着工程とが必要となり、工数が多大となるという問題があった。
【0012】
またスラブウレタンは、上記したように表面に破れた気泡が多く、発泡樹脂の含浸固化によって得られる縫製一体発泡成形品の触感に劣る。そこで含浸防止フィルムを積層しているが、その工数が多大となりコストが高いという問題がある。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、発泡樹脂の含浸を防止でき弾性を有する軟質の裏打材を容易に製造できる方法を提供し、しかもその裏打材を用いて皮革などの表皮材に小さな工数で一体的に接合できるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の裏打材の製造方法の特徴は、液状体に気体を混入させて起泡させムース状とする起泡工程と、得られたムース状の液状体を離型体に塗布し乾燥・硬化させることで弾性を有する軟質含泡体を形成する乾燥工程と、軟質含泡体を離型体から離型してシート状の裏打ち材とする整形工程と、からなることにある。
【0015】
液状体は、気泡により体積が 1.1〜10倍に膨張してムース状となっていることが望ましい。また液状体は、機械発泡によりムース状となっていることが好ましく、ウレタン系樹脂を主成分とすることが望ましい。
【0016】
そして本発明の縫製一体発泡成形品の製造方法の特徴は、本発明の製造方法で製造された裏打材を表皮材の裏面に積層し、裏打材が積層された表皮材を袋状に縫製して裏打材を内表面に有する袋状表皮とする縫製工程と、袋状表皮内に液状の発泡樹脂を注入して発泡成形する発泡成形工程と、からなることにある。
【0017】
また本発明のもう一つの縫製一体発泡成形品の製造方法の特徴は、表皮材の裏面に無数の気泡を含有するムース状の液状体を一面に塗布し乾燥・硬化させることで、弾性を有する軟質含泡体からなる裏打材を積層する裏打工程と、裏打材が積層された表皮材を袋状に縫製して裏打材を内表面に有する袋状表皮とする縫製工程と、袋状表皮内に液状の発泡樹脂を注入して発泡成形する発泡成形工程と、からなることにある。
【0018】
本発明の縫製一体発泡成形品の製造方法において、表皮材が皮革である場合により大きな効果が発現される。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の裏打材の製造方法では、先ず液状体に気体を混入させて起泡させムース状とし、得られたムース状の液状体を離型体に塗布し乾燥・硬化させることで弾性を有する軟質含泡体を形成する。得られた軟質含泡体は、無数の独立起泡を含み、スラブウレタンに匹敵する柔軟性と弾性を備えている。
【0020】
液状体は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などのエマルジョンあるいは溶液を用いることができる。中でもウレタン系樹脂を主成分とすることが望ましい。ウレタン系樹脂を主成分とすれば、他の樹脂と比較して裏打材としての柔軟性を制御しやすく、発泡樹脂として一般に用いられる発泡ウレタン樹脂との相性がよく接着性に優れている。
【0021】
液状体をムース状とするには、液状体に気泡を混入させることでムース状とすることができる。水を溶媒とする場合には、界面活性剤などの乳化剤を併用することも好ましい。また気泡を含有させるには物理的起泡法あるいは化学的起泡法など種々の方法を用いることができるが、エアローディングなど加圧状態で撹拌する機械起泡法により気泡を混入させることが望ましい。機械起泡によれば、化学的起泡法に比べて気泡を安定して混入させることができ、ムース状の液状体の品質が安定する。また独立気泡を形成しやすく、フィルムの積層が不要となるので、工数を低減でき低コストで縫製一体発泡成形品を製造することができる。
【0022】
ムース状の液状体は、気泡により体積が 1.1〜10倍に膨張してムース状となっていることが好ましく、2〜8倍に膨張してムース状となっていることがより望ましい。この膨張率が 1.1倍未満であると、気泡の含有量が少なく形成される裏打材の剛性が高くなるため、縫製一体発泡成形品の触感が悪化するとともに重量が重くなり、縫製部分の意匠性が低下する。また膨張率が10倍を超えると、形成される裏打材にクラックなどが生じ、その部分から発泡樹脂が含浸することがあるため、得られる縫製一体発泡成形品の触感が悪化する。
【0023】
離型体としては、金型、フッ素樹脂製あるいはポリプロピレン製の離型シートなどが例示される。また離型体にムース状の液状体を塗布するには、バーコーター、刷毛、ローラーなど種々の塗布手段を用いることができる。例えばパーツ表皮の形状の型面をもつ金型にムース状の液状体を所定厚さで塗布して乾燥・硬化させ離型することで、パーツ表皮と同一形状の裏打材を形成することができる。また離型シート表面に所定厚さで塗布して乾燥・硬化させ、それを離型すればシート状の軟質含泡体とすることができ、整形工程においてそれを所定形状に裁断すれば、パーツ表皮と同一形状の裏打材を形成することができる。後者の場合には、シート状の軟質含泡体を連続生産することも可能である。
【0024】
本発明の製造方法で得られた裏打材を用いる本発明の縫製一体発泡成形品の製造方法では、得られた裏打材を表皮材の裏面に積層し、裏打材が積層された表皮材を袋状に縫製して裏打材を内表面に有する袋状表皮とした後、袋状表皮内に液状の発泡樹脂を注入して発泡成形する。
【0025】
この製造方法においては、袋状表皮では一般に表皮材と裏打材との周縁部が共縫いされており、中央部などは縫製されていない構成とすることができる。表皮材と裏打材とが一体に接合されている場合には、発泡樹脂の膨張によって形成された発泡成形品が収縮した場合に縫製品の表面に皺が発生するという問題があるが、周縁部のみを縫製すればこのような不具合を回避することができる。
【0026】
そして本発明の製造方法で得られた裏打材を用いることで、発泡樹脂の含浸が防止できるため、触感、使用フィーリング、意匠性に優れた縫製一体発泡成形品を製造することができる。またスラブウレタンを用いる場合のような含浸防止用のフィルムを接合する工程が不要となるので、生産性が大幅に向上する。
【0027】
しかし上記した製造方法では、縫製工程において表皮材と裏打材を積層して縫製する必要があり、表皮材と裏打材とがずれて縫製しにくいという不具合がある。そこで本発明のもう一つの縫製一体発泡成形品の製造方法では、表皮材の裏面にムース状の液状体を一面に塗布し乾燥・硬化させることで裏打材を積層する裏打工程を行っている。このようにすれば、表皮材と裏打材とが一体的に接合されているので、上記不具合を回避することができる。
【0028】
またスライス工程などを含まないため裏打材の表面には独立気泡が多く存在し、含浸防止用のフィルムを接合する工程が不要となる。そしてウレタン系樹脂などから形成されたムース状の液状体を用いれば、皮革などにも高い強度で接合した裏打材を形成することができ、接着剤も不要となる。そしてウレタン系樹脂を主成分とする液状体から形成された裏打材は、発泡成形体及び表皮材との接合性に優れているので、表皮材として皮革を用いた場合にも、高級品としての触感、使用フィーリング、意匠性に優れた縫製一体発泡成形品を製造することができる。
【0029】
この製造方法では、先ず表皮材の裏面に無数の気泡を含有するムース状の液状体を一面に塗布し、乾燥・硬化させる。液状体は無数の気泡を有し見掛け粘度の高いムース状であるので、表皮材への含浸が抑制され表皮材が硬くなって触感が損なわれるのが防止されている。
【0030】
この製造方法の場合には、ムース状の液状体は、回転式粘度計においてNo.4ロータを用い6 rpmで測定された粘度(25℃)が1000 cps以上であることが好ましい。この粘度が1000 cps未満であると表皮材へ含浸しやすくなり、触感が悪化する場合がある。
【0031】
そして塗布された液状体が乾燥・硬化することで、表皮材と一体的に接合された状態で、弾性を有する軟質含泡体からなる裏打材が形成される。その後、裏打材が積層された表皮材を袋状に縫製して裏打材を内表面に有する袋状表皮とし、袋状表皮内に液状の発泡樹脂を注入して発泡成形する。裏打材は弾性を有しているので、縫製時の針穴が閉じられ針穴からの発泡樹脂の漏れも防止されている。
【0032】
本発明の縫製一体発泡成形品の製造方法において、独立気泡が気泡の大部分を占めている裏打材とすれば、発泡樹脂が内部まで含浸することがなく、袋状の表皮が硬くなって触感が損なわれるのが防止される。また連通気泡が気泡の大部分を占めている裏打材の場合には、裏打材の表面にさらにフィルム層を形成することで発泡樹脂の含浸を防止してもよい。
【0033】
裏打工程では、表皮材の裏面に無数の気泡を含有するムース状の液状体を一面に塗布し乾燥・硬化させることで、弾性を有する軟質発泡体からなる裏打材を積層する。表皮材としては、ファブリック、不織布、軟質の高分子シート、皮革など、従来用いられている表皮材を用いることができる。なお裏打材の厚さには特に制限がないが、一般の発泡成形においては1〜3mmの厚さで十分である。また塗布方法は、バーコーター、刷毛、ローラーなど種々の塗布手段を用いることができる。
【0034】
ムース状の液状体としては、乾燥・硬化後に無数の気泡を有して弾性を有する軟質の被膜を形成可能なものを用いることができる。また表皮材との接合性に優れているものが望ましいが、場合によっては接着剤を併用して接合強度を高めることも可能である。
【0035】
ムース状の液状体は、本発明の裏打材の製造方法で用いたものと同様のものを用いることができる。ムース状の液状体は、ウレタン系樹脂を主成分とすることが望ましい。ウレタン系樹脂を主成分とすれば、他の樹脂と比較して裏打材の柔軟性を制御しやすく、発泡樹脂として一般に用いられる発泡ウレタン樹脂との相性がよく接着性に優れている。
【0036】
縫製工程では、裏打材が積層された表皮材を袋状に縫製して裏打材を内表面に有する袋状表皮とする。一般には裁断によって複数のパーツ表皮が形成され、これらの裏面に裏打材を積層し表皮材どうしが対向するように中表に合わせて共縫いした後、反転させて表皮材が外側、裏打材が内側となった袋状表皮が形成される。この縫製工程では、針穴は裏打材の弾性によってその開口が閉じられる。
【0037】
次の発泡成形工程では、袋状表皮内に液状の発泡樹脂を注入して発泡成形する。一般には袋状表皮が発泡成形型内にインサートされ、袋状表皮内に液状の発泡樹脂を注入して発泡成形することで、発泡樹脂の膨張力で袋状表皮が型面に押圧され、型面の形状が精密に転写された縫製一体発泡成形品が形成される。
【0038】
発泡樹脂としては発泡ウレタン樹脂が代表的に用いられるが、軟質で弾性を有する発泡成形体を形成できるものであれば、シリコーン樹脂、ポリオレフィンなど他の樹脂を用いてもよい。この発泡樹脂は、反応初期には低粘度の液状であり、袋状表皮の裏打材及び縫い目に含浸しやすい。しかし本発明の製造方法では、独立気泡を主成分とする裏打材を容易に形成できるので、その裏打材を用いることで裏打材への発泡樹脂の含浸が防止され、針穴は裏打材の弾性によって開口が閉じられているため縫い目への含浸も防止される。
【0039】
したがって得られた縫製一体発泡成形品は触感に優れ、発泡樹脂の漏れもないため意匠性にも優れている。また本発明の一つの縫製一体発泡成形品の製造方法によれば、表皮材が裏打材を介して発泡成形体と一体的に接合されているので、使用時の皺が防止され使用フィーリングが良い。さらに表面に凹部形状を有していても、その形状意匠性に優れている。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0041】
(実施例1)
非反応型で強制乳化されたウレタン樹脂(「スーパーフレックスE−4800」第一工業製薬(株)製、不揮発分45重量%)を用意し、ポリカップ中にて950rpmで3分間撹拌してムース状の液状体を調製した。このムース状の液状体は、回転式粘度計を用いてNo. 4ロータで6 rpmで測定された粘度(25℃)が35000cpsであり、元のウレタン樹脂に対して3倍の体積を有している。
【0042】
このムース状の液状体を、ヘッドレストの裁断表皮形状の型面をもつ箱状の金型内に3mmの厚さとなるように充填し、80℃で20分間乾燥後、 100℃で10分間加熱して硬化させた。得られた厚さ2mmの裏打材2を金型から離型し、牛の皮革よりなり同一形状に裁断された表皮材1と重ねて図1に示すパーツ表皮を形成した。このパーツ表皮では、表皮材1と裏打材2とは接合されていない。なお計算によれば、裏打材2の体積の30%は気泡が占めていることになる。
【0043】
同様にして形成された複数種のパーツ表皮を、表皮材1どうしが対向するように中表に合わせ、周縁部を共縫いした後に反転して図2に示す袋状表皮3を形成した。なお袋状表皮3の底部には、2枚のパーツ表皮が重なり合い、縫製されていない重なり部30が形成されている。
【0044】
次に図3に示すように、この袋状表皮3を2分割の発泡成形型4内に配置し、重なり部30から芯材5及びステー6を挿入した後、袋状表皮3内に所定量の発泡ウレタン樹脂を注入し、型閉じして発泡成形を行った。発泡ウレタン樹脂の膨張の圧力によって袋状表皮3は型面に押圧され、底部の重なり部30では両側のパーツ表皮が互いに重なり合ってシールする。
【0045】
得られた縫製一体発泡成形品では、縫い目からの発泡ウレタン樹脂の漏れはなく、また裏打材2への発泡ウレタン樹脂の含浸量は僅かであって、全体が均一で軟質の触感を有していた。また縫製品の表面には発泡成形型4の型面形状が正確に転写され、意匠性にも優れていた。さらに、裏打材2は発泡成形体7と一体的に接合されているものの、表皮材1は裏打材2と周縁部以外で分離されているので、発泡成形体7が収縮しても表皮材1の表面に皺ができるような不具合不具合がなく、使用フィーリングにも優れていた。
【0046】
(実施例2)
牛の皮革を用意し、その裏面にバーコーターにて実施例1と同様の液状体を厚さ3mmとなるように塗布し、80℃で20分間乾燥後、 100℃で10分間加熱して硬化させた。これにより、皮革の裏面に厚さ2mmの裏打材が形成された。裏打材は皮革に強く接合され、弾性を有する軟質層であった。また皮革への裏打材の含浸量はわずかであり、皮革の触感を損なうものではなかった。なお、計算によれば、裏打材の体積の30%は気泡が占めていることになる。
【0047】
続いて裏打材が積層された皮革を所定形状に裁断し、図1に示すようなパーツ表皮とした。このパーツ表皮は、表皮材1と裏打材2とが接合されていること以外は実施例1と同様の構成となっている。同様にして形成された複数種のパーツ表皮を表皮材1どうしが対向するように中表に合わせ、周縁部を縫製した後に反転して図2に示す袋状表皮3を形成した。縫製時には、裏打材2と表皮材1とが分離してずれるような不具合がなく、容易に縫製することができた。なお袋状表皮3の底部には、2枚のパーツ表皮が重なり合い、縫製されていない重なり部30が形成されている。
【0048】
次に図3に示すように、この袋状表皮3を2分割の発泡成形型4内に配置し、重なり部30から芯材5及びステー6を挿入した後、袋状表皮3内に所定量の発泡ウレタン樹脂を注入し、型閉じして発泡成形を行った。発泡ウレタン樹脂の膨張の圧力によって袋状表皮3は型面に押圧され、底部の重なり部30では両側のパーツ表皮が互いに重なり合ってシールする。
【0049】
得られた縫製一体発泡成形品では、縫い目からの発泡ウレタン樹脂の漏れはなく、また裏打材2への発泡ウレタン樹脂の含浸量は僅かであって、全体が均一で軟質の触感を有していた。また縫製品の表面には発泡成形型4の型面形状が正確に転写され、意匠性にも優れていた。さらに、袋状表皮3が裏打材2を介して発泡成形体7と一体的に接合されているので、凹部の形状精度に優れ、使用時に袋状表皮3に皺が発生するような不具合がなく、使用フィーリングにも優れていた。
【0050】
【発明の効果】
すなわち本発明の裏打材の製造方法によれば、独立気泡を主として発泡樹脂の含浸を防止でき、弾性を有する軟質の裏打材を容易に製造することができる。
【0051】
そして本発明の縫製一体発泡成形品の製造方法によれば、発泡樹脂が含浸しにくい裏打材を用いているので、触感に優れ、発泡樹脂の漏れがなく意匠性に優れた縫製一体発泡成形品を、小さな工数で安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例において裏打材が積層された表皮の断面図である。
【図2】本発明の一実施例において縫製された袋状表皮の断面図である。
【図3】本発明の一実施例において発泡成形完了時の発泡成形型の断面図である。
【図4】従来の裏打工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1:表皮材 2:裏打材 3:袋状表皮 4:発泡成形型
5:芯材 6:ステー 7:発泡成形体
Claims (7)
- 液状体に気体を混入させて起泡させムース状とする起泡工程と、
得られたムース状の液状体を離型体に塗布し乾燥・硬化させることで弾性を有する軟質含泡体を形成する乾燥工程と、
該軟質含泡体を該離型体から離型してシート状の裏打ち材とする整形工程と、からなることを特徴とする裏打材の製造方法。 - 前記起泡工程では、液状体は気泡により体積が 1.1〜10倍に膨張してムース状となる請求項1に記載の裏打材の製造方法。
- 前記起泡工程は機械発泡により行う請求項1又は請求項2に記載の裏打材の製造方法。
- 前記液状体はウレタン系樹脂を主成分とする請求項1〜3のいずれかに記載の裏打材の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で製造された裏打材を表皮材の裏面に積層し、該裏打材が積層された該表皮材を袋状に縫製して該裏打材を内表面に有する袋状表皮とする縫製工程と、
該袋状表皮内に液状の発泡樹脂を注入して発泡成形する発泡成形工程と、からなることを特徴とする縫製一体発泡成形品の製造方法。 - 表皮材の裏面に無数の気泡を含有するムース状の液状体を一面に塗布し乾燥・硬化させることで、弾性を有する軟質含泡体からなる裏打材を積層する裏打工程と、
該裏打材が積層された該表皮材を袋状に縫製して該裏打材を内表面に有する袋状表皮とする縫製工程と、
該袋状表皮内に液状の発泡樹脂を注入して発泡成形する発泡成形工程と、からなることを特徴とする縫製一体発泡成形品の製造方法。 - 前記表皮材は皮革である請求項5又は請求項6のいずれかに記載の縫製一体発泡成形品の製造方法。
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