JP2004322136A - 鍛造部品の縦バリ除去装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】鍛造部品の周縁部に形成された縦バリを除去する縦バリ除去装置を提供する。
【解決手段】鍛造部品5の周縁部6に形成された縦バリ7を除去する鍛造部品の縦バリ除去装置であって、鍛造部品5を装着しその鍛造部品端面5aと同一平面を形成するダイ8と、鍛造部品5に形成された縦バリ7をダイ8側に折り曲げるとともに折り曲げた縦バリをダイ8との間に挟持するパンチ9と、パンチ9とダイ83とで縦バリ7を挟持した状態において鍛造部品5をパンチ9およびダイ8に対して相対移動させるスリーブ20とを備える構成とした。
【選択図】 図7
【解決手段】鍛造部品5の周縁部6に形成された縦バリ7を除去する鍛造部品の縦バリ除去装置であって、鍛造部品5を装着しその鍛造部品端面5aと同一平面を形成するダイ8と、鍛造部品5に形成された縦バリ7をダイ8側に折り曲げるとともに折り曲げた縦バリをダイ8との間に挟持するパンチ9と、パンチ9とダイ83とで縦バリ7を挟持した状態において鍛造部品5をパンチ9およびダイ8に対して相対移動させるスリーブ20とを備える構成とした。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鍛造部品の周縁部に生じる縦バリを除去する縦バリ除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、平歯車やはすば歯車の鍛造方法として、例えば図1に示すように、ダイ1の歯形内径より僅かに小さい径を持つ素材2を、上パンチ3および下パンチ4とで加圧して素材2を横方向に流すことにより歯車の歯形部を形成する方法がある。この方法によれば、ダイ1に対して下パンチ4を摺動可能とするためにダイ1と下パンチ4との間にクリアランスが設けられるが、鍛造加工時にはこのクリアランス部に加圧された素材2が流れ込んでしまうため、図2に示すように鍛造部品5の歯形周縁部6に縦バリ7が形成されていた。この縦バリ7は鍛造工程後に切削加工を行うことにより除去されていたが、切削加工により新たにバリが発生し、この切削工程によるバリ取り作業も必要となり、工数を増加する原因となっていた。また、切削工程においては、断続切削によるバリ取りを行うため、切削工具の寿命が短くなりコストが上昇するという問題が発生していた。
【0003】
これに対し、密閉鍛造成形により成形端面の外周縁に縦バリができた鍛造部品を、仕上げ型内に入れ、仕上げ上型と仕上げ下型とを相対移動して鍛造し仕上げ加工を行うことにより鍛造部品を完成する鍛造部品の縦バリ除去装置が開発されている。(例えば、特許文献1の図9(a)、(b)、図10(a)、(b)参照)
上記特許文献1に示された従来の鍛造部品の縦バリ除去装置によれば、縦バリを成形端面の外周方向にフランジ状に拡げ、次いで外周方向に拡げたフランジ状の縦バリを固定した状態で鍛造部品を打ち抜くことにより、鍛造部品から縦バリを切断するものである。
【0004】
具体的には、縦バリを成形端面の外周方向にフランジ状に拡げる工程では、特許文献1の図9(a)及び(b)に示すように、縦バリを有する鍛造部品を移動型(上型87)と固定型(下型85)とを用いて押圧鍛造を行う。移動型は、押圧鍛造面(下面87a)から離れるにつれて半径が大きくなるように傾斜した傾斜面(傾斜面87b)を備えている。この移動型によって鍛造部品を加工することによって、成形端面の縦バリは移動型の傾斜面に当接するので、移動型の傾斜にしたがって縦バリを外周部方向に拡げることができる。
【0005】
次いで、鍛造部品から縦バリを切断する工程では、特許文献1の図10(a)及び(b)に示すように、鍛造部品を上型91と下型93とパンチ95とを用いて打ち抜き鍛造を行う。前記の工程で成形端面の外周方向にフランジ状に広げられた縦バリを上型と下型とで挟み込み固定し、鍛造部品をパンチで打ち抜き縦バリを切断することによって、鍛造部品から縦バリを取り除くことができる。
【0006】
以上のように、上記特許文献1に示された鍛造部品の縦バリ除去装置によれば、縦バリを外周方向に拡げる工程と、鍛造部品から縦バリを切断する工程とによって、鍛造部品に形成された縦バリを取り除くことができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−225140号公報(段落番号0002〜0005、図9(a)、図9(b)、図10(a)、図10(b))
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示された上記の縦バリ除去装置は、鍛造部品と縦バリとの分離に2工程を必要とするため必然的にコストの上昇を招いており、コスト低減のために対策が必要とされていた。
【0009】
また、鍛造部品の縦バリが、例えばはすば歯車の周縁部にねじれ角を持って形成された縦バリのように、複雑な形状の鍛造部品の縦バリに対しては適用できないという問題があった。即ち、はすば歯車の鍛造形成工程においては、パンチとダイとの間のクリアランスはねじれ角を持って形成されるため、縦バリもねじれ角を持って形成されることとなる。また、一部の縦バリは鍛造部品の内側方向に向かって形成されているため、従来の縦バリ除去装置を使用するとこの一部の縦バリは鍛造部品の内側方向にさらに折り曲げられることとなり、後工程であるバリ取り工程において上型と下型とによって挟み込まれることがないため、鍛造部品の打ち抜き後において縦バリが除去されず残ってしまう上に、折り曲げられた縦バリを再度取り除かなければならない。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、鍛造部品の製造時において、パンチとダイスとの間のクリアランス部に形成される縦バリを塑性加工手段により除去し、鍛造部品の製造コストの低減をはかることが本発明の課題である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段は、歯形周縁部に縦バリを有する鍛造部品を、その歯形寸法よりわずかに大きな歯形寸法を有するダイ内に挿入して、鍛造部品の縦バリのみがダイ表面より突出した状態となるように配置する。そして、ダイに対向するパンチにより縦バリを鍛造部品の外側方向に折り曲げ、パンチとダイとによって鍛造部品の縦バリを狭持した状態において、鍛造部品をパンチとダイの対向面に対して相対移動することによって鍛造部品から縦バリを除去する鍛造部品の縦バリ除去装置である。
【0012】
上記請求項1の発明によれば、鍛造部品を装着しその鍛造部品端面と同一平面を形成するダイと、鍛造部品に形成された縦バリをダイ側に折り曲げるとともに折り曲げた縦バリをダイとの間に挟持するパンチとを備え、パンチとダイとで縦バリを挟持した状態において鍛造部品をパンチおよびダイに対して相対移動することにより、鍛造部品に形成された縦バリを鍛造部品から除去することができるので、従来使用されてきた切削加工によるバリ取り加工が不要となり、これにより鍛造部品の製造コストの低減をはかることが可能となる。また、縦バリ除去工程が1工程で完了となるため工数の低減が可能となる。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の請求項2において講じた技術的手段は、パンチはパンチに対して相対的に摺動可能なスリーブを備え、パンチとダイとの間で鍛造部品の縦バリを挟持した状態において、スリーブにより鍛造部品をパンチに対して相対移動させることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の鍛造部品の縦バリ除去装置である。
【0014】
上記請求項2の発明によれば、ダイとともに縦バリを挟持するパンチにパンチに対して相対的に移動可能なスリーブを備えることにより、パンチとダイによって縦バリを挟持した状態において、パンチとダイに対して鍛造部品を相対的に移動することが可能となる。また、縦バリ除去工程が1工程で完了となるため工数の低減をはかることができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の請求項3において講じた技術的手段は、パンチの端面の形状はパンチと対面する鍛造部品の端面と略同形状を備え、一定のねじれ角をなして形成される鍛造部品の縦バリをパンチとダイで挟持する際にパンチは鍛造部品のねじれ角に沿って回動下降可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の鍛造部品の縦バリ除去装置である。
【0016】
上記請求項3の発明によれば、パンチの端面の形状が、パンチと対面する鍛造部品の端面と略同形状を備え、一定のねじれ角を成して形成される鍛造部品の縦バリに対してねじれ角に沿ってパンチを回動下降することにより、縦バリを折り曲げ成形しさらにダイとの間に挟持する際において、ねじれ角を備えて形成される縦バリを所定の方向に折り曲げることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0018】
外はすば歯車の鍛造部品5の歯形周縁部6に縦バリ7の形成された状態を図2に示す。そして、鍛造部品5をダイ8にセットした状態を図3に示し、図3におけるa−b−c−d断面図を図4に示す。なお、図4はa−b−c−d断面を上方向に延長し、対向するパンチ9の断面図を併せて記載している。以下、これらの図を参照して鍛造部品5の縦バリ7の除去方法について説明を行う。
【0019】
まず、図3に示すように、歯形周縁部6に縦バリ7を持つ外はすば歯車の鍛造部品5を、この鍛造部品5の歯形形状よりわずかに大きく鍛造部品5と螺合可能な形状を有するダイ8内に挿入し、鍛造部品5の端面5a(図4参照)とダイ8の上面8a(図4参照)とが同一平面となるように配置する。これによりダイ8の上面8aには縦バリ7のみが突出する状態となる。
【0020】
この場合において、歯底部および歯先部の縦バリは、ダイ8の上面8aに対して垂直に突出するが、鍛造部品5ははすば歯車であり、ねじれ角を有する歯車であるから、歯面部の縦バリ7a、7bは、図4(a)に示すようにダイ8の上面8aに対してねじれ角βだけ傾いて突出する。なお、図4(a)から明らかなように、一方の歯面部から形成された縦バリ7aは、鍛造部品5の上面5aとのなす角が鋭角となっており、鍛造部品5の歯部の内側方向に倒れこむように傾斜して突出されている。これに対し、他方の歯面部から形成された縦バリ7bは、鍛造部品5の上面5aとのなす角が鈍角となっており、鍛造部品5の歯部から外側方向に倒れこむように傾斜して突出されている。
【0021】
パンチ9はダイ上面8aと略平行に対面して配設され、パンチ9の先端部9cは、ダイ上面8aと略平行に配設され、鍛造部品5と同様のはすば歯車形状を備えている。また、パンチ9の下端面9aは、鍛造部品5の歯形形状と略同形状を備え、下端面9aの外周部の一部には面取り部9bを形成している。
【0022】
ここで、パンチ9の下端面9aに対して面取り部9bのなす角を面取り角αとすると、面取り角αは、β<α<90°の範囲とされる。これは、縦バリ7aを鍛造部品5の上面5aに対して反対方向に折り曲げるために必要な要件である。即ち、縦バリ取り工程において、パンチ9がねじれ角βに沿って回転しながら、つまり図4(a)における矢印B方向からダイ8に当接することにより、鍛造部品5の上面5aに対して鋭角を成して突出している縦バリ7aは面取り部9bに当接する(図4(b)参照)。このとき、面取り角αが上記範囲であれば、縦バリ7aが傾斜している方向とは逆方向に、即ち鍛造部品5の上面5aに対して反対の方向に押圧される。
【0023】
また、鍛造部品5の上面5aに対して鈍角を成して突出している縦バリ7bは、パンチ9の下面9aに押圧されるが、このとき縦バリ7bは、傾斜している方向、即ち水平に寝込む方向にパンチ9に押圧されて折り曲げ加工される。なお、鍛造部品5の歯底部および歯先部に形成された縦バリ7は、パンチ9の縦バリ7に当接する部分に面取り部が形成されており、縦バリ7a等と同様にダイ8の上面側8aに折り曲げ加工される。
【0024】
このようにして鍛造部品5にパンチ9が当接することにより、縦バリ7a、7bは、上面5aに対して外側方向に折り曲げ加工される。
【0025】
上述のようにパンチ9は縦バリ7を折り曲げ加工しながらダイ8に向かって下降し、図4(b)に示すように、パンチ下面9aとダイ上面8aとの距離が縦バリ7の厚さと略同じ厚さとなったところでパンチ9の下降が停止される。これにより縦バリ7a、7bはパンチ9とダイ8とによって挟み込まれた状態となり、この状態において鍛造部品5のみを下方向に移動させることによって、図4(c)に示すように、鍛造部品5と縦バリ7a、7bとを分離することができる。
【0026】
尚、パンチ9には先端部9cに形成された面取り部9bと同様に、歯底部、歯先部にも面取り部が形成されているので、鍛造部品5の歯底部、歯先部に形成された縦バリ7も歯面部の縦バリ7a,7bと同様にパンチ9によりダイ8の上面8aに折り曲げ加工されパンチ下面9aとダイ上面8aとの間に挟み込まれ、鍛造部品5と分離される。
【0027】
図5、図6、図7は、本発明を実現するための具体的な縦バリ除去装置の構成を示す概略断面図である。図5において、縦バリ除去装置100は上型52と下型53とからなり、上型52には、図示しない油圧装置により上下駆動する上部プレート15と、上部プレート15に取り付けられたパンチホルダー16と、パンチホルダー16に回動可能に取り付けられたパンチ9とを備えている。パンチ9の側面2か所には案内部材12が配設され、案内部材12は後述する案内溝11と係合および摺動することによって、パンチ9を鍛造部品5に形成されたねじれ角βに沿って回動させる役目をする。パンチ9内部には、パンチ内部を相対移動し鍛造部品5とパンチ9とを相対離間させるためのスリーブ20と、スリーブ20を摺動可能に支持するスリーブホルダー19と、スリーブ20とスリーブホルダー19との間に配設されスリーブ20を常に上方向に付勢するスプリング21と、スリーブ20をスプリング21の付勢力に抗して下方向に摺動させるプッシュロッド22とが配設される。
【0028】
また、下型53には、固定された下型プレート10と、該下型プレート10上に取り付けられたダイ8と、ノックアウトプレート14が配設されている。
【0029】
ダイ8は、その中央に凹部8cが形成されている。この凹部8cは、略円筒状に形成されてなり、その径が鍛造部品5であるはすば歯車の外径よりもわずかに大きく設計されてなるとともに、その内壁部上方に歯形部8bが形成されている。従って、凹部8cに鍛造部品5であるはすば歯車が装着された際に、はすば歯車の歯部と凹部8cの歯型部8bが噛合ってセットされる。なお、歯形部8bとパンチ9とは、上下方向に対面する状態で形成及び配置されている。
【0030】
また、ダイ8の上面8aには前述の案内溝11が形成されている。この案内溝11は、上述したように案内部材12が係合する溝であり、凹部8cの中心を中心として円弧状に開口されている。そして、案内部材12が案内溝11に係合した状態で上型52が下降した場合にパンチ9が鍛造部品5の歯部のねじれ角βと略同じ角度で回転しながら下降するように、その底形状が傾斜して形成されている。
【0031】
ダイ8の凹部8c内には、ノックアウトプレート14が配置されている。ノックアウトプレート14の下面には、ロッド13の一端が連結しており、該ロッド13の他端は図示しない油圧装置に接続されている。
【0032】
図8、図9は、案内部材12と案内溝11との係合関係を具体的に示した図である。案内部材12は縦バリ除去前において案内溝11の上方に位置し、縦バリ除去工程において上型52を下型53へ向かって下降する際には、図8に示すように、案内溝11の溝深さの浅い側の側面11aに沿って下降する。そして、案内部材12の下端部12bが案内溝11の底面11bに当接した後は、図9に示すように案内溝11の底面11bの傾斜に沿って摺動しながら下降する。したがって案内部材12を備えるパンチ9は、所定のねじれ角に沿って回動しながら下降することとなる。ここで、回転したパンチ9はバリ除去後、回動前の位置に復帰させる必要がある。そこで、パンチ9とパンチホルダー16とをコイルバネで連結し、パンチ9の回動前の位置決めを行うストッパー23をパンチホルダー16に設け、パンチ9をストッパー23方向に常に付勢する位置決め機構を設けている。
【0033】
このような縦バリ除去装置によれば、まず歯形周縁部6に縦バリ7を持つ鍛造部品5をダイ8の凹部8c内に装着し、鍛造部品5の歯形部を凹部8cの歯形部8bに噛合わせた状態でセットする。このとき鍛造部品5はノックアウトプレート14上に載置されるが、鍛造部品5の上面5aの高さがダイ8の上面8aに一致するようにノックアウトプレート14の位置が調整又は設定される。従って、ダイ8の上面8aには鍛造部品5の縦バリ7のみが突出する状態となる(図5参照)。この状態において、上型52を下降し、案内部材12を案内溝11に係合させて摺動させることにより、パンチ9がねじれ角βの回転を伴って下降する。そして、パンチ9は縦バリ7に当接し、縦バリ7をダイ8側に折り曲げ、さらに下降することにより縦バリ7をダイ8とパンチ9との間に挟み込み、パンチ9の下面9aとダイ8の上面8aとの間隔が縦バリ7の厚さと略同じになったところでパンチ9の下降を停止する(図6参照)。ここで、プッシュロッド22を介してパンチ9に内蔵されたスリーブ20を押出下降させ、鍛造部品5とノックアウトプレート14とをダイ8およびパンチ9に対して相対的に下方向に移動させることにより、鍛造部品5と縦バリ7とを分離する(図7)。
【0034】
鍛造部品5と縦バリ7とを分離した後は、上型52を上昇させてパンチ9とダイ8とを離間し両者の間に挟持されていた縦バリ7を除去し、ロッド13によりノックアウトプレート14を上昇させて鍛造部品5をダイ8から取り出すことにより、鍛造部品5の縦バリ除去工程は完了となる。
【0035】
したがって、本実施例の鍛造部品の縦バリ除去装置によれば、鍛造部品5を装着しその鍛造部品5の端面と同一平面を形成するダイ8と、鍛造部品5の端面周縁部6に形成された縦バリ7をダイ8側に折り曲げるとともに折り曲げた縦バリ7をダイ8との間に挟持するパンチ9とを備え、パンチ9とダイ8とで縦バリ7を挟持した状態において鍛造部品5をスリーブ20により押圧しパンチ9およびダイ8に対して相対移動することにより、鍛造部品5に形成された縦バリ7を鍛造部品5から除去することが可能となる。
【0036】
なお、本実施例においては、ヘリカルギヤの鍛造部品の歯形周縁部に形成された縦バリの除去装置について示したが、これに限らず、本発明は平歯車の歯形周縁部に形成された縦バリについても適用可能である。さらに、外歯車に限らず、内歯車に形成された縦バリについても適用可能であり、この場合には、内歯車に縲合可能な歯車形状を有するマンドレルを用意し、このマンドレルに内歯車を縲合し、マンドレルの端面と内歯車の縦バリの形成された端面とが略同一面となる状態とした上で、パンチにより縦バリをマンドレル側に折り曲げ挟み込むことにより、縦バリを除去することが可能となる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、鍛造部品の周縁部に形成された縦バリを除去する鍛造部品の縦バリ除去装置であって、鍛造部品を装着しその鍛造部品の端面と同一平面を形成するダイと、鍛造部品に形成された縦バリをダイ側に折り曲げるとともに折り曲げた縦バリをダイとの間に挟持するパンチとを備え、パンチとダイとで縦バリを挟持した状態において鍛造部品をパンチおよびダイに対して相対移動することにより、鍛造部品に形成された縦バリを鍛造部品から除去することができるので、従来使用されてきた切削加工によるバリ取り加工が不要となり、これにより鍛造部品の製造コストの低減をはかることが可能となる。また、縦バリ除去工程が1工程で完了となるため工数の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鍛造加工による平歯車やはすば歯車の製造例である。
【図2】図1に示す鍛造加工で製造され歯形周縁部に縦バリが形成された鍛造部品の一例である。
【図3】図2の鍛造部品を本発明の一実施例の縦バリ除去装置のダイに装着した状態を示す模式図である。
【図4】図3に示す縦バリ除去装置のダイおよびパンチのバリ除去工程における断面図であり、(a)はパンチが鍛造部品に接触する前の状態を、(b)はパンチが鍛造部品に接触して縦バリを挟持している状態を、(c)はパンチで縦バリを挟持した状態で鍛造部品を移動させることにより縦バリを除去する状態を、それぞれ示す。
【図5】本発明の一実施例の縦バリ除去装置の構造を示す断面図であり、上型が駆動する前の状態を示すものである。
【図6】本発明の一実施例の縦バリ除去装置の構造を示す断面図であり、上型が駆動してパンチが鍛造部品の縦バリを挟持している状態を示すものである。
【図7】本発明の一実施例の縦バリ除去装置の構造を示す断面図であり、パンチで縦バリを挟持した状態で鍛造部品を移動させて縦バリが除去された状態を示すものである。
【図8】本発明の一実施例における縦バリ除去装置において、案内部材と案内溝との係合前の状態を示す図である。
【図9】本発明の一実施例における縦バリ除去装置において、案内部材と案内溝との係合状態を示す図である。
【符号の説明】
5・・・鍛造部品
7、7a、7b・・・縦バリ
8・・・ダイ
9・・・パンチ
20・・・スリーブ
52・・・上型
53・・・下型
100・・・縦バリ除去装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、鍛造部品の周縁部に生じる縦バリを除去する縦バリ除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、平歯車やはすば歯車の鍛造方法として、例えば図1に示すように、ダイ1の歯形内径より僅かに小さい径を持つ素材2を、上パンチ3および下パンチ4とで加圧して素材2を横方向に流すことにより歯車の歯形部を形成する方法がある。この方法によれば、ダイ1に対して下パンチ4を摺動可能とするためにダイ1と下パンチ4との間にクリアランスが設けられるが、鍛造加工時にはこのクリアランス部に加圧された素材2が流れ込んでしまうため、図2に示すように鍛造部品5の歯形周縁部6に縦バリ7が形成されていた。この縦バリ7は鍛造工程後に切削加工を行うことにより除去されていたが、切削加工により新たにバリが発生し、この切削工程によるバリ取り作業も必要となり、工数を増加する原因となっていた。また、切削工程においては、断続切削によるバリ取りを行うため、切削工具の寿命が短くなりコストが上昇するという問題が発生していた。
【0003】
これに対し、密閉鍛造成形により成形端面の外周縁に縦バリができた鍛造部品を、仕上げ型内に入れ、仕上げ上型と仕上げ下型とを相対移動して鍛造し仕上げ加工を行うことにより鍛造部品を完成する鍛造部品の縦バリ除去装置が開発されている。(例えば、特許文献1の図9(a)、(b)、図10(a)、(b)参照)
上記特許文献1に示された従来の鍛造部品の縦バリ除去装置によれば、縦バリを成形端面の外周方向にフランジ状に拡げ、次いで外周方向に拡げたフランジ状の縦バリを固定した状態で鍛造部品を打ち抜くことにより、鍛造部品から縦バリを切断するものである。
【0004】
具体的には、縦バリを成形端面の外周方向にフランジ状に拡げる工程では、特許文献1の図9(a)及び(b)に示すように、縦バリを有する鍛造部品を移動型(上型87)と固定型(下型85)とを用いて押圧鍛造を行う。移動型は、押圧鍛造面(下面87a)から離れるにつれて半径が大きくなるように傾斜した傾斜面(傾斜面87b)を備えている。この移動型によって鍛造部品を加工することによって、成形端面の縦バリは移動型の傾斜面に当接するので、移動型の傾斜にしたがって縦バリを外周部方向に拡げることができる。
【0005】
次いで、鍛造部品から縦バリを切断する工程では、特許文献1の図10(a)及び(b)に示すように、鍛造部品を上型91と下型93とパンチ95とを用いて打ち抜き鍛造を行う。前記の工程で成形端面の外周方向にフランジ状に広げられた縦バリを上型と下型とで挟み込み固定し、鍛造部品をパンチで打ち抜き縦バリを切断することによって、鍛造部品から縦バリを取り除くことができる。
【0006】
以上のように、上記特許文献1に示された鍛造部品の縦バリ除去装置によれば、縦バリを外周方向に拡げる工程と、鍛造部品から縦バリを切断する工程とによって、鍛造部品に形成された縦バリを取り除くことができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−225140号公報(段落番号0002〜0005、図9(a)、図9(b)、図10(a)、図10(b))
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示された上記の縦バリ除去装置は、鍛造部品と縦バリとの分離に2工程を必要とするため必然的にコストの上昇を招いており、コスト低減のために対策が必要とされていた。
【0009】
また、鍛造部品の縦バリが、例えばはすば歯車の周縁部にねじれ角を持って形成された縦バリのように、複雑な形状の鍛造部品の縦バリに対しては適用できないという問題があった。即ち、はすば歯車の鍛造形成工程においては、パンチとダイとの間のクリアランスはねじれ角を持って形成されるため、縦バリもねじれ角を持って形成されることとなる。また、一部の縦バリは鍛造部品の内側方向に向かって形成されているため、従来の縦バリ除去装置を使用するとこの一部の縦バリは鍛造部品の内側方向にさらに折り曲げられることとなり、後工程であるバリ取り工程において上型と下型とによって挟み込まれることがないため、鍛造部品の打ち抜き後において縦バリが除去されず残ってしまう上に、折り曲げられた縦バリを再度取り除かなければならない。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、鍛造部品の製造時において、パンチとダイスとの間のクリアランス部に形成される縦バリを塑性加工手段により除去し、鍛造部品の製造コストの低減をはかることが本発明の課題である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段は、歯形周縁部に縦バリを有する鍛造部品を、その歯形寸法よりわずかに大きな歯形寸法を有するダイ内に挿入して、鍛造部品の縦バリのみがダイ表面より突出した状態となるように配置する。そして、ダイに対向するパンチにより縦バリを鍛造部品の外側方向に折り曲げ、パンチとダイとによって鍛造部品の縦バリを狭持した状態において、鍛造部品をパンチとダイの対向面に対して相対移動することによって鍛造部品から縦バリを除去する鍛造部品の縦バリ除去装置である。
【0012】
上記請求項1の発明によれば、鍛造部品を装着しその鍛造部品端面と同一平面を形成するダイと、鍛造部品に形成された縦バリをダイ側に折り曲げるとともに折り曲げた縦バリをダイとの間に挟持するパンチとを備え、パンチとダイとで縦バリを挟持した状態において鍛造部品をパンチおよびダイに対して相対移動することにより、鍛造部品に形成された縦バリを鍛造部品から除去することができるので、従来使用されてきた切削加工によるバリ取り加工が不要となり、これにより鍛造部品の製造コストの低減をはかることが可能となる。また、縦バリ除去工程が1工程で完了となるため工数の低減が可能となる。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の請求項2において講じた技術的手段は、パンチはパンチに対して相対的に摺動可能なスリーブを備え、パンチとダイとの間で鍛造部品の縦バリを挟持した状態において、スリーブにより鍛造部品をパンチに対して相対移動させることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の鍛造部品の縦バリ除去装置である。
【0014】
上記請求項2の発明によれば、ダイとともに縦バリを挟持するパンチにパンチに対して相対的に移動可能なスリーブを備えることにより、パンチとダイによって縦バリを挟持した状態において、パンチとダイに対して鍛造部品を相対的に移動することが可能となる。また、縦バリ除去工程が1工程で完了となるため工数の低減をはかることができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の請求項3において講じた技術的手段は、パンチの端面の形状はパンチと対面する鍛造部品の端面と略同形状を備え、一定のねじれ角をなして形成される鍛造部品の縦バリをパンチとダイで挟持する際にパンチは鍛造部品のねじれ角に沿って回動下降可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の鍛造部品の縦バリ除去装置である。
【0016】
上記請求項3の発明によれば、パンチの端面の形状が、パンチと対面する鍛造部品の端面と略同形状を備え、一定のねじれ角を成して形成される鍛造部品の縦バリに対してねじれ角に沿ってパンチを回動下降することにより、縦バリを折り曲げ成形しさらにダイとの間に挟持する際において、ねじれ角を備えて形成される縦バリを所定の方向に折り曲げることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0018】
外はすば歯車の鍛造部品5の歯形周縁部6に縦バリ7の形成された状態を図2に示す。そして、鍛造部品5をダイ8にセットした状態を図3に示し、図3におけるa−b−c−d断面図を図4に示す。なお、図4はa−b−c−d断面を上方向に延長し、対向するパンチ9の断面図を併せて記載している。以下、これらの図を参照して鍛造部品5の縦バリ7の除去方法について説明を行う。
【0019】
まず、図3に示すように、歯形周縁部6に縦バリ7を持つ外はすば歯車の鍛造部品5を、この鍛造部品5の歯形形状よりわずかに大きく鍛造部品5と螺合可能な形状を有するダイ8内に挿入し、鍛造部品5の端面5a(図4参照)とダイ8の上面8a(図4参照)とが同一平面となるように配置する。これによりダイ8の上面8aには縦バリ7のみが突出する状態となる。
【0020】
この場合において、歯底部および歯先部の縦バリは、ダイ8の上面8aに対して垂直に突出するが、鍛造部品5ははすば歯車であり、ねじれ角を有する歯車であるから、歯面部の縦バリ7a、7bは、図4(a)に示すようにダイ8の上面8aに対してねじれ角βだけ傾いて突出する。なお、図4(a)から明らかなように、一方の歯面部から形成された縦バリ7aは、鍛造部品5の上面5aとのなす角が鋭角となっており、鍛造部品5の歯部の内側方向に倒れこむように傾斜して突出されている。これに対し、他方の歯面部から形成された縦バリ7bは、鍛造部品5の上面5aとのなす角が鈍角となっており、鍛造部品5の歯部から外側方向に倒れこむように傾斜して突出されている。
【0021】
パンチ9はダイ上面8aと略平行に対面して配設され、パンチ9の先端部9cは、ダイ上面8aと略平行に配設され、鍛造部品5と同様のはすば歯車形状を備えている。また、パンチ9の下端面9aは、鍛造部品5の歯形形状と略同形状を備え、下端面9aの外周部の一部には面取り部9bを形成している。
【0022】
ここで、パンチ9の下端面9aに対して面取り部9bのなす角を面取り角αとすると、面取り角αは、β<α<90°の範囲とされる。これは、縦バリ7aを鍛造部品5の上面5aに対して反対方向に折り曲げるために必要な要件である。即ち、縦バリ取り工程において、パンチ9がねじれ角βに沿って回転しながら、つまり図4(a)における矢印B方向からダイ8に当接することにより、鍛造部品5の上面5aに対して鋭角を成して突出している縦バリ7aは面取り部9bに当接する(図4(b)参照)。このとき、面取り角αが上記範囲であれば、縦バリ7aが傾斜している方向とは逆方向に、即ち鍛造部品5の上面5aに対して反対の方向に押圧される。
【0023】
また、鍛造部品5の上面5aに対して鈍角を成して突出している縦バリ7bは、パンチ9の下面9aに押圧されるが、このとき縦バリ7bは、傾斜している方向、即ち水平に寝込む方向にパンチ9に押圧されて折り曲げ加工される。なお、鍛造部品5の歯底部および歯先部に形成された縦バリ7は、パンチ9の縦バリ7に当接する部分に面取り部が形成されており、縦バリ7a等と同様にダイ8の上面側8aに折り曲げ加工される。
【0024】
このようにして鍛造部品5にパンチ9が当接することにより、縦バリ7a、7bは、上面5aに対して外側方向に折り曲げ加工される。
【0025】
上述のようにパンチ9は縦バリ7を折り曲げ加工しながらダイ8に向かって下降し、図4(b)に示すように、パンチ下面9aとダイ上面8aとの距離が縦バリ7の厚さと略同じ厚さとなったところでパンチ9の下降が停止される。これにより縦バリ7a、7bはパンチ9とダイ8とによって挟み込まれた状態となり、この状態において鍛造部品5のみを下方向に移動させることによって、図4(c)に示すように、鍛造部品5と縦バリ7a、7bとを分離することができる。
【0026】
尚、パンチ9には先端部9cに形成された面取り部9bと同様に、歯底部、歯先部にも面取り部が形成されているので、鍛造部品5の歯底部、歯先部に形成された縦バリ7も歯面部の縦バリ7a,7bと同様にパンチ9によりダイ8の上面8aに折り曲げ加工されパンチ下面9aとダイ上面8aとの間に挟み込まれ、鍛造部品5と分離される。
【0027】
図5、図6、図7は、本発明を実現するための具体的な縦バリ除去装置の構成を示す概略断面図である。図5において、縦バリ除去装置100は上型52と下型53とからなり、上型52には、図示しない油圧装置により上下駆動する上部プレート15と、上部プレート15に取り付けられたパンチホルダー16と、パンチホルダー16に回動可能に取り付けられたパンチ9とを備えている。パンチ9の側面2か所には案内部材12が配設され、案内部材12は後述する案内溝11と係合および摺動することによって、パンチ9を鍛造部品5に形成されたねじれ角βに沿って回動させる役目をする。パンチ9内部には、パンチ内部を相対移動し鍛造部品5とパンチ9とを相対離間させるためのスリーブ20と、スリーブ20を摺動可能に支持するスリーブホルダー19と、スリーブ20とスリーブホルダー19との間に配設されスリーブ20を常に上方向に付勢するスプリング21と、スリーブ20をスプリング21の付勢力に抗して下方向に摺動させるプッシュロッド22とが配設される。
【0028】
また、下型53には、固定された下型プレート10と、該下型プレート10上に取り付けられたダイ8と、ノックアウトプレート14が配設されている。
【0029】
ダイ8は、その中央に凹部8cが形成されている。この凹部8cは、略円筒状に形成されてなり、その径が鍛造部品5であるはすば歯車の外径よりもわずかに大きく設計されてなるとともに、その内壁部上方に歯形部8bが形成されている。従って、凹部8cに鍛造部品5であるはすば歯車が装着された際に、はすば歯車の歯部と凹部8cの歯型部8bが噛合ってセットされる。なお、歯形部8bとパンチ9とは、上下方向に対面する状態で形成及び配置されている。
【0030】
また、ダイ8の上面8aには前述の案内溝11が形成されている。この案内溝11は、上述したように案内部材12が係合する溝であり、凹部8cの中心を中心として円弧状に開口されている。そして、案内部材12が案内溝11に係合した状態で上型52が下降した場合にパンチ9が鍛造部品5の歯部のねじれ角βと略同じ角度で回転しながら下降するように、その底形状が傾斜して形成されている。
【0031】
ダイ8の凹部8c内には、ノックアウトプレート14が配置されている。ノックアウトプレート14の下面には、ロッド13の一端が連結しており、該ロッド13の他端は図示しない油圧装置に接続されている。
【0032】
図8、図9は、案内部材12と案内溝11との係合関係を具体的に示した図である。案内部材12は縦バリ除去前において案内溝11の上方に位置し、縦バリ除去工程において上型52を下型53へ向かって下降する際には、図8に示すように、案内溝11の溝深さの浅い側の側面11aに沿って下降する。そして、案内部材12の下端部12bが案内溝11の底面11bに当接した後は、図9に示すように案内溝11の底面11bの傾斜に沿って摺動しながら下降する。したがって案内部材12を備えるパンチ9は、所定のねじれ角に沿って回動しながら下降することとなる。ここで、回転したパンチ9はバリ除去後、回動前の位置に復帰させる必要がある。そこで、パンチ9とパンチホルダー16とをコイルバネで連結し、パンチ9の回動前の位置決めを行うストッパー23をパンチホルダー16に設け、パンチ9をストッパー23方向に常に付勢する位置決め機構を設けている。
【0033】
このような縦バリ除去装置によれば、まず歯形周縁部6に縦バリ7を持つ鍛造部品5をダイ8の凹部8c内に装着し、鍛造部品5の歯形部を凹部8cの歯形部8bに噛合わせた状態でセットする。このとき鍛造部品5はノックアウトプレート14上に載置されるが、鍛造部品5の上面5aの高さがダイ8の上面8aに一致するようにノックアウトプレート14の位置が調整又は設定される。従って、ダイ8の上面8aには鍛造部品5の縦バリ7のみが突出する状態となる(図5参照)。この状態において、上型52を下降し、案内部材12を案内溝11に係合させて摺動させることにより、パンチ9がねじれ角βの回転を伴って下降する。そして、パンチ9は縦バリ7に当接し、縦バリ7をダイ8側に折り曲げ、さらに下降することにより縦バリ7をダイ8とパンチ9との間に挟み込み、パンチ9の下面9aとダイ8の上面8aとの間隔が縦バリ7の厚さと略同じになったところでパンチ9の下降を停止する(図6参照)。ここで、プッシュロッド22を介してパンチ9に内蔵されたスリーブ20を押出下降させ、鍛造部品5とノックアウトプレート14とをダイ8およびパンチ9に対して相対的に下方向に移動させることにより、鍛造部品5と縦バリ7とを分離する(図7)。
【0034】
鍛造部品5と縦バリ7とを分離した後は、上型52を上昇させてパンチ9とダイ8とを離間し両者の間に挟持されていた縦バリ7を除去し、ロッド13によりノックアウトプレート14を上昇させて鍛造部品5をダイ8から取り出すことにより、鍛造部品5の縦バリ除去工程は完了となる。
【0035】
したがって、本実施例の鍛造部品の縦バリ除去装置によれば、鍛造部品5を装着しその鍛造部品5の端面と同一平面を形成するダイ8と、鍛造部品5の端面周縁部6に形成された縦バリ7をダイ8側に折り曲げるとともに折り曲げた縦バリ7をダイ8との間に挟持するパンチ9とを備え、パンチ9とダイ8とで縦バリ7を挟持した状態において鍛造部品5をスリーブ20により押圧しパンチ9およびダイ8に対して相対移動することにより、鍛造部品5に形成された縦バリ7を鍛造部品5から除去することが可能となる。
【0036】
なお、本実施例においては、ヘリカルギヤの鍛造部品の歯形周縁部に形成された縦バリの除去装置について示したが、これに限らず、本発明は平歯車の歯形周縁部に形成された縦バリについても適用可能である。さらに、外歯車に限らず、内歯車に形成された縦バリについても適用可能であり、この場合には、内歯車に縲合可能な歯車形状を有するマンドレルを用意し、このマンドレルに内歯車を縲合し、マンドレルの端面と内歯車の縦バリの形成された端面とが略同一面となる状態とした上で、パンチにより縦バリをマンドレル側に折り曲げ挟み込むことにより、縦バリを除去することが可能となる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、鍛造部品の周縁部に形成された縦バリを除去する鍛造部品の縦バリ除去装置であって、鍛造部品を装着しその鍛造部品の端面と同一平面を形成するダイと、鍛造部品に形成された縦バリをダイ側に折り曲げるとともに折り曲げた縦バリをダイとの間に挟持するパンチとを備え、パンチとダイとで縦バリを挟持した状態において鍛造部品をパンチおよびダイに対して相対移動することにより、鍛造部品に形成された縦バリを鍛造部品から除去することができるので、従来使用されてきた切削加工によるバリ取り加工が不要となり、これにより鍛造部品の製造コストの低減をはかることが可能となる。また、縦バリ除去工程が1工程で完了となるため工数の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鍛造加工による平歯車やはすば歯車の製造例である。
【図2】図1に示す鍛造加工で製造され歯形周縁部に縦バリが形成された鍛造部品の一例である。
【図3】図2の鍛造部品を本発明の一実施例の縦バリ除去装置のダイに装着した状態を示す模式図である。
【図4】図3に示す縦バリ除去装置のダイおよびパンチのバリ除去工程における断面図であり、(a)はパンチが鍛造部品に接触する前の状態を、(b)はパンチが鍛造部品に接触して縦バリを挟持している状態を、(c)はパンチで縦バリを挟持した状態で鍛造部品を移動させることにより縦バリを除去する状態を、それぞれ示す。
【図5】本発明の一実施例の縦バリ除去装置の構造を示す断面図であり、上型が駆動する前の状態を示すものである。
【図6】本発明の一実施例の縦バリ除去装置の構造を示す断面図であり、上型が駆動してパンチが鍛造部品の縦バリを挟持している状態を示すものである。
【図7】本発明の一実施例の縦バリ除去装置の構造を示す断面図であり、パンチで縦バリを挟持した状態で鍛造部品を移動させて縦バリが除去された状態を示すものである。
【図8】本発明の一実施例における縦バリ除去装置において、案内部材と案内溝との係合前の状態を示す図である。
【図9】本発明の一実施例における縦バリ除去装置において、案内部材と案内溝との係合状態を示す図である。
【符号の説明】
5・・・鍛造部品
7、7a、7b・・・縦バリ
8・・・ダイ
9・・・パンチ
20・・・スリーブ
52・・・上型
53・・・下型
100・・・縦バリ除去装置
Claims (3)
- 周縁部に縦バリを有する鍛造部品を装着可能なダイと、前記ダイと対向し前記鍛造部品の端部と略同形状を形成し前記縦バリを折り曲げる曲折手段を備えるパンチとを備え、周縁部に縦バリを有する前記鍛造部品を前記ダイに装着し、前記パンチと前記ダイとの間に前記鍛造部品の縦バリを挟持し前記鍛造部品を相対移動することによって前記鍛造部品から縦バリを分離可能としたことを特徴とする鍛造部品の縦バリ除去装置。
- 前記パンチは該パンチに対して相対的に摺動可能なスリーブを備え、該スリーブは前記パンチと前記ダイとで前記鍛造部品の縦バリを挟持した状態において、前記鍛造部品を前記パンチに対して相対移動可能としたことを特徴とする請求項1に記載の鍛造部品の縦バリ除去装置。
- 前記パンチの端面の形状は前記パンチと対面する前記鍛造部品の端面と略同形状を備え、一定のねじれ角をなして形成される前記鍛造部品の縦バリを前記パンチと前記ダイで挟持する際に前記パンチが前記鍛造部品のねじれ角に沿って回動可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の鍛造部品の縦バリ除去装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003118746A JP2004322136A (ja) | 2003-04-23 | 2003-04-23 | 鍛造部品の縦バリ除去装置 |
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Cited By (2)
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CN102172708A (zh) * | 2010-12-28 | 2011-09-07 | 山西柴油机工业有限责任公司 | 一种易于卸除模锻件飞边的切边凸模 |
CN112692134A (zh) * | 2020-12-08 | 2021-04-23 | 芜湖同创模具机械有限公司 | 一种汽车排气管冲压装置 |
-
2003
- 2003-04-23 JP JP2003118746A patent/JP2004322136A/ja active Pending
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