JP2004319815A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体装置を、n型基板1と、n型基板1上に形成されたn型ドリフト層2、n型第1および第2半導体層3,4と、所定の間隔で離間した複数のp型ベース領域5と、各ベース領域5内に形成されたn型ソース領域6と、各ソース領域6の一部の表面上に設けられたソース電極10と、各ソース領域6の一部の表面およびソース領域6間の第2半導体層4表面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極8と、で構成し、第1および第2半導体層3,4がエピタキシャル成長によって形成された結晶層であり、ドリフト層2の不純物濃度N1,第1半導体層3の不純物濃度N2および第2半導体層4の不純物濃度N3が、N3<N1<N2の関係を有することとした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置に関し、特に高耐圧でかつオン抵抗が低くかつ素子特性の劣化が生じにくい半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体装置の一種である縦型MOSFETでは、例えば、特許文献1でで開示されるように、デプレッション領域をドリフト層と同様にエピタキシャル成長で形成し、ベース領域およびソース領域をイオン注入で形成していた(特許文献1中の図1)。あるいは、ベース領域をドリフト層と同様にエピタキシャル成長で形成し、デプレッション領域およびソース領域をイオン注入で形成していた(特許文献1中の図6)。
【0003】
【特許文献1】
特許公報第3206727号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の縦型MOSFETにおけるデプレッション領域の長さとドーピング濃度に関しては、デプレッション領域の長さに応じてオン抵抗を増加させないためのドーピング濃度の下限および素子耐圧を確保するための上限が存在する。特に、素子寸法の微細化を図った素子構造では、デプレッション領域のドーピング高不純物濃度化による低オン抵抗化、素子耐圧が低下しないためのチャネル領域下の低不純物濃度化が必須であった。しかしながら、特許文献1中の図1における素子構造では、ドリフト層とデプレッション領域が単一のエピタキシャル結晶層で形成されており、同一のドーピング濃度では必要な素子特性に対する最適設計が困難であるという問題があった。
【0005】
一方、特許文献1中の図6における素子構成によれば、ドリフト層とデプレッション領域とはドーピングによって不純物濃度をそれぞれ独立に設定できるものの、ゲート電極下の高電界が印加されるデプレッション領域はエピタキシャル結晶成長したp型ベース領域に対して高不純物濃度のn型不純物をイオン注入する手段によって形成されるため、イオン注入の際、デプレッション領域に導入される結晶欠陥によって素子特性の劣化が生じる問題があった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、高素子耐圧・低オン抵抗でかつ素子特性の劣化が生じにくい半導体装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1導電型のドリフト層と、上記ドリフト層上に形成された第1導電型の半導体層と、上記半導体層中に設けられ所定の間隔で離間した複数の第2導電型のベース領域と、上記各ベース領域内にそれぞれ選択的に形成された第1導電型のソース領域と、上記各ソース領域の一部の表面上にそれぞれ設けられたソース電極と、上記各ソース領域の一部の表面および上記ソース領域間の上記半導体層の表面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、を備え、上記半導体層がエピタキシャル成長によって形成された結晶層であり、かつ上記ドリフト層の不純物濃度N1と上記半導体層の不純物濃度NSが、NS<N1の関係を有することとした。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1による半導体装置の断面図を図1に示す。n型半導体基板(第1導電型の半導体基板)1上に、層厚3〜30μmのn型ドリフト層(第1導電型のドリフト層)2、層厚0.3〜1.0μmでn型ドリフト層2よりもn型不純物が高濃度にドーピングされたn型第1半導体層(第1導電型の第1半導体層)3、層厚0.3〜1.0μmでn型ドリフト層2およびn型第1半導体層3よりもn型不純物が低濃度にドーピングされたn型第2半導体層(第1導電型の第2半導体層)4、が順次エピタキシャル成長によって形成されている。なお、以下、n型第1半導体層3とn型第2半導体層4を併せてn型半導体層(第1導電型の半導体層)と称する。
【0009】
所定の間隔に離間された層厚0.5〜1.5μmの2つのp型ベース領域(第2導電型のベース領域)5がn型半導体層中に選択的に形成され、さらに、層厚0.2〜0.4μmのn型ソース領域(第1導電型のソース領域)6が各p型ベース領域5中にそれぞれ選択的に形成されている。p型ベース領域5におけるn型半導体基板1側のpn接合界面は、n型ドリフト層2あるいはn型第2半導体層4と接する界面もしくはn型第1半導体層3中に形成されている。n型ソース領域6とp型ベース領域5とn型第2半導体層4とからなるウエハ表面にゲート絶縁膜7、ゲート電極8、絶縁膜9で構成されたゲート構造が設けられている。
【0010】
また、各n型ソース領域6の表面上の一部に各ソース電極10、n型半導体基板1の裏面側にドレーン電極11がそれぞれ設けられている。半導体装置におけるMOSFET部の周囲領域、すなわち、2つのp型ベース領域5を取り囲む領域のn型半導体層中には、一端が各p型ベース領域5に接するようにしてp型ガードリング領域12が設けられている。かかるp型ガードリング領域12はウエハ表面に対して水平方向のpn接合がn型第1半導体層3とn型第2半導体層4との界面近傍になるように設けられている。
【0011】
以下、本実施の形態の半導体装置の動作について説明する。ゲート電極8にゲート電圧を印加するとゲート電極8直下のp型ベース領域5の表面近傍にチャネルが誘起され、n型ソース領域6とn型第2半導体層4間が電気的に導通する。これによって、ソース電極10からp型ソース領域6、n型ベース領域5の表面近傍のチャネル領域、n型第2半導体層4、n型第1半導体層3、n型ドリフト層2、n型半導体基板1、を経てドレーン電極11へと流れる電流経路ができる。かかる電流は、ゲート電極8に印加されるゲート電圧によって制御され、例えばスイッチング動作等が可能となる。なお、ゲート電極8直下のn型第2半導体層4やn型第1半導体層3にはデプレッション領域が形成される。
【0012】
次に、上述の各層の不純物濃度について説明する。本実施の形態の半導体装置では、n型ドリフト層2の不純物濃度をN1,n型第1半導体層3の不純物濃度をN2、n型第2半導体層4の不純物濃度をN3とすると、
N3<N1<N2 (1)
の関係を有する。このような構成では、ゲート電極8直下のデプレッション領域に相当するn型第2半導体層4の不純物濃度はn型ドリフト層2より低濃度であるため、ゲート電圧印加の際に空乏領域が層厚方向に深く伸長する結果、素子耐圧は従来の素子構造に比べて格段に向上する。一方、n型ドリフト層2とn型第2半導体層4との間に設けられたn型第1半導体層3の不純物濃度はn型ドリフト層2より高濃度であるため、かかる領域の抵抗が従来に比べて減少する結果、オン抵抗の実効的な低減が実現できる。
【0013】
以下に、各層毎の好適な不純物濃度を具体的に説明する。n型ドリフト層2の不純物濃度N1は2.0×1015cm−3以上5.0×1016cm−3以下の範囲、n型第1半導体層3はn型ドリフト層2の不純物濃度N1に対して1.2〜3.0倍、つまり1.2N1以上3.0N1以下の範囲の不純物濃度、n型第2半導体層4はn型ドリフト層2の不純物濃度N1に対して0.3〜0.7倍、つまり0.3N1以上0.7N1以下の範囲が好適である。なお、かかる各不純物濃度の範囲内では、上述した(1)式を満足している。また、p型ベース領域5は5.0×1017cm−3以上2.0×1018cm−3以下の範囲の不純物濃度、n型ソース領域6は1.0×1019cm−3以上の不純物濃度がそれぞれ好適である。
【0014】
本実施の形態の素子構造では、チャネル領域長、つまり、p型ベース領域5を介して対向するゲート電極8直下のn型第2半導体層4とn型ソース領域6との間の距離Lchは、1〜3μmが好適である。また、デプレッション領域の幅、つまり、ゲート電極8直下のn型第2半導体層4のゲート長方向における幅2Ldは2〜7μmが好適である。もっともLch,LdはMOSFET部全体の寸法に依存するので、より普遍的には、Ld/Lchが0.5〜3.0の場合に前述の優れた素子特性が得られる。
【0015】
以上、本実施の形態の素子構造では、MOSFET部におけるデプレッション領域の形成において、n型ドリフト層2より高不純物濃度のn型第1半導体層3を導入することにより層厚方向の実効的な抵抗成分が減少するため動作時のオン抵抗の低減が可能となる一方、ゲート電極8直下に低不純物濃度のn型第2半導体層4を導入したため、従来の素子構造に比べて空乏領域は層厚方向に一層伸長するようになるので、素子耐圧の低下を効果的に防止できる。さらに、ゲート電極8直下でデプレッション領域に相当する部分はエピタキシャル成長によって形成されたn型第2半導体層4で構成されているため、かかる領域をイオン注入によって形成した従来の素子構造に比べて結晶欠陥密度が顕著に低減されるので、素子特性の劣化も格段に改善される。
【0016】
また、素子周囲部分においてはガードリング領域12の層厚方向のpn接合が高不純物濃度のn型第1半導体層3中に、ウエハ表面に対して水平方向のpn接合がn型第1半導体層3とn型第2半導体層4との界面近傍にそれぞれ形成され、それぞれの方向において不純物の濃度勾配が緩やかになるため、p型ベース領域5の端部で生じる電界集中がガードリング領域12に伸びる形で緩和され、終端構造として有効に機能するので、リーク電流の小さい優れた半導体装置が得られる。
【0017】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2による半導体装置の断面図を図2に示す。実施の形態1の半導体装置との構造上の相違は、実施の形態1の素子構造ではn型第1半導体層3とn型第2半導体層4の2つで構成されていた半導体層が、単一のn型半導体層4aとなっている点である。n型半導体層4aの不純物濃度Nsはn型ドリフト層2の不純物濃度N1よりも低不純物濃度のドーピングに設定されている。すなわち、
Ns<N1 (2)
の関係が成立する。
【0018】
実施の形態1の半導体装置ではオン抵抗を低減するためにn型ドリフト層2よりも高不純物濃度にドーピングされたn型第1半導体層3を導入したが、本実施の形態の半導体装置ではn型ドリフト層2の不純物濃度N1でもオン抵抗への影響が少ない場合に対応したものである。このような素子構成によれば、ゲート電極8直下のデプレッション領域の形成において、低不純物濃度であるn型半導体層4aを導入したことで、実用上充分な素子耐圧を確保することができる。
【0019】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3による半導体装置の断面図を図3に示す。実施の形態2の半導体装置との構造上の相違は、実施の形態2のn型半導体層4aに代えてn型ドリフト層2より不純物濃度の高いn型半導体層3aを設け、MOSFET部の周辺部分のn型半導体層3a上にさらにn型第3半導体層(第1導電型の第3半導体層)13を形成し、また、ガードリング領域12aがn型第3半導体層13を貫通してn型半導体層3a中にその一端をベース領域5に接するように形成されている点にある。なお、n型第3半導体層13の不純物濃度はn型ドリフト層2およびn型半導体層3aよりも低濃度に設定されている。
【0020】
実施の形態2の素子構造では素子耐圧を確保するためにn型ドリフト層2よりも低不純物濃度にドーピングされたn型半導体層4aをMOSFET部に導入したが、本実施の形態の素子構造ではn型ドリフト層2よりも高不純物濃度でドーピングされたn型半導体層3aの不純物濃度設定でも、素子耐圧への影響が少ない場合に対応する。このような素子構成によれば、n型ドリフト層2より高不純物濃度であるn型半導体層3aを導入することにより、n型半導体層3a中へのデプレッション領域形成時におけるオン抵抗が低減できる。
【0021】
本実施の形態の素子構造では、MOSFET部の周囲部分のガードリング領域12aにおけるウエハ表面に対して水平方向のpn接合は高不純物濃度のn型半導体層3a内に形成される一方、層厚方向のpn接合は低不純物濃度であるn型第3半導体層13内でベース領域5に接している面と対向する端部に主に形成されるため、p型ベース領域5の端部での電界集中がガードリング領域12aに伸びる形で緩和され、終端構造として有効に機能するので、リーク電流が小さい優れた半導体装置が得られる。
【0022】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4による半導体装置の断面図を図4に示す。実施の形態4の半導体装置では実施の形態1で示したMOSFET部に隣接して、n型第2半導体層4上にベース領域5とも接続された形でアノード電極14が形成され、ドレーン電極11をカソード電極としたショットキダイオード領域がオンチップ化されている。かかる素子構造では、ショットキダイオード領域でもアノード電極14は低不純物濃度化されたn型第2半導体層4と接している結果、ショットキダイオードの逆方向リーク電流を低減することができる。
【0023】
本実施の形態の半導体装置では、実施の形態1で示した優れた特性を具備するMOSFET部に併せて、逆方向リーク電流の小さいショットキダイオードも同一半導体基板上でオンチップ化されているので、より高機能の半導体装置を得ることができる。
【0024】
なお、上述の各実施の形態では、n型の導電型を第1導電型、p型の導電型を第2導電型としたが、逆の導電型の場合でも同様の効果を発揮する。
【0025】
また、上述の各実施の形態では、半導体装置を構成する結晶材料については特に言及しなかったが、具体的な結晶材料としては、例えばシリコン(Si)や炭化珪素(SiC)が挙げられる。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る半導体装置では、第1導電型の半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1導電型のドリフト層と、上記ドリフト層上に形成された第1導電型の半導体層と、上記半導体層中に設けられ所定の間隔で離間した複数の第2導電型のベース領域と、上記各ベース領域内にそれぞれ選択的に形成された第1導電型のソース領域と、上記各ソース領域の一部の表面上にそれぞれ設けられたソース電極と、上記各ソース領域の一部の表面および上記ソース領域間の上記半導体層の表面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、を備え、上記半導体層がエピタキシャル成長によって形成された結晶層であり、かつ上記ドリフト層の不純物濃度N1と上記半導体層の不純物濃度NSが、NS<N1の関係を有することとしたので、実用上充分な素子耐圧を有し、かつ素子特性の劣化が生じにくい半導体装置を容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による半導体装置の断面図である。
【図2】実施の形態2による半導体装置の断面図である。
【図3】実施の形態3による半導体装置の断面図である。
【図4】実施の形態4による半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1 n型半導体基板(第1導電型の半導体基板)、 2 n型ドリフト層(第1導電型のドリフト層)、 3 n型第1半導体層(第1導電型の第1半導体層)、 3a n型半導体層(第1導電型の半導体層)、 4 n型第2半導体層(第1導電型の第2半導体層)、 4a n型半導体層(第1導電型の半導体層)、 5 p型ベース領域(第2導電型のベース領域)、 6 n型ソース領域(第1導電型のソース領域)、 7 ゲート絶縁膜、 8 ゲート電極、 9 絶縁膜、 10 ソース電極、 11 ドレーン電極、 12、12a p型ガードリング領域、 13 n型第3半導体層(第1導電型の第3半導体層)、 14 アノード電極。
Claims (7)
- 第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層上に形成された第1導電型の半導体層と、
前記半導体層中に設けられ所定の間隔で離間した複数の第2導電型のベース領域と、
前記各ベース領域内にそれぞれ選択的に形成された第1導電型のソース領域と、前記各ソース領域の一部の表面上にそれぞれ設けられたソース電極と、
前記各ソース領域の一部の表面および前記ソース領域間の前記半導体層の表面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、を備え、
前記半導体層がエピタキシャル成長によって形成された結晶層であり、かつ前記ドリフト層の不純物濃度N1と前記半導体層の不純物濃度NSが、NS<N1の関係を有することを特徴とする半導体装置。 - 前記第1導電型の半導体層が、前記半導体基板側の第1導電型の第1半導体層および表面側の第1導電型の第2半導体層の2層で構成され、前記ドリフト層の不純物濃度N1,前記第1半導体層の不純物濃度N2および前記第2半導体層の不純物濃度N3が、N3<N1<N2の関係を有することを特徴とする半導体装置。
- 前記半導体層中で一端を前記ベース領域に接しながら前記複数のベース領域を取り囲む部位に第2導電型のガードリング領域が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
- 前記半導体層上で前記複数のベース領域を取り囲む部位に第1導電型の第3半導体層が設けられ、前記第3半導体層中および前記半導体層の一部に一端を前記ベース領域に接するように第2導電型のガードリング領域が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
- 前記ドリフト層の不純物濃度N1が2.0×1015cm−3以上5.0×1016cm−3以下の範囲、前記第1半導体層の不純物濃度N2が1.2N1以上3.0N1以下の範囲、前記第2半導体層の不純物濃度N3が0.3N1以上0.7N1以下の範囲であることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
- 前記ベース領域を介して対向する前記ゲート電極直下の第2半導体層と前記ソース領域との間の距離をLch、前記ゲート電極直下の前記第2半導体層のゲート長方向における幅を2Ldとした場合に、Ld/Lchが0.5以上3.0以下であることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
- 前記ドリフト層を耐圧層とするショットキーダイオード領域を前記同一半導体基板上に具備することを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
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