JP2004319786A - 磁気記憶素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】素子への記録の選択性を向上して、目的の素子に確実に記録を行うことができる構成の磁気記憶素子を提供する。
【解決手段】情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層2を備え、この記憶層2が磁化量の異なる複数の領域2H,2Lに分割されている磁気記憶素子1を構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不揮発性メモリに用いて好適な磁気記憶素子に係わる。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ等での情報機器ではランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度なDRAMが広く使われている。
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
【0003】
そして、不揮発メモリの候補として、磁性体の磁化状態により情報を記録する磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)が注目され、開発が進められている(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
このMRAMでは、長方形や楕円等の形状の記憶層を形成し、その形状における反磁界を利用した形状異方性によって磁化を安定化し、記録を保持している。
【0005】
【非特許文献1】
日経エレクトロニクス 2001.2.12号(第164頁−171頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のMRAMは、直交する2種類の配線(例えばワード線とビット線)がそれぞれ複数本形成され、これら2種類の配線の各交点に磁気記憶素子が設けられることにより、多数の磁気記憶素子がマトリクス状に配置された磁気記憶装置を構成している。そして、2種類の配線について、それぞれ特定の配線に電流を流すことにより、電流を流した配線の交点に位置する磁気記憶素子のみを選択して、その磁気記憶素子の記憶層の磁化を電流磁界によって反転させて、情報の記録を行っている。
【0007】
しかしながら、MRAMを構成する各磁気記憶素子の磁気特性にばらつきがあると、目的の(記録を行うべき)磁気記憶素子以外の磁気記憶素子で磁化の反転が起きてしまうことがあり、正しい記録を行うことができなくなるため好ましくない。また、目的の磁気記憶素子以外の磁気記憶素子で磁化が全く反転しないようにするために、電流磁界を充分小さくしてしまうと、目的の磁気記憶素子のうち一部に対して記録を失敗する可能性もある。
【0008】
今後、MRAMにおいても、記憶容量を増加するために、高密度化を図る必要があり、メモリセルを構成する磁気記憶素子の縮小化が求められることから、磁気記憶素子の記憶層に用いられる磁性体の寸法も小さくする必要がある。
そして、磁性体は寸法の縮小化に従って保磁力が増加する傾向を有するため、MRAMの磁気記憶素子においても、縮小化に伴い記録層の保磁力が増加していく。このように保磁力が増加すると、各磁気記憶素子の保磁力のばらつきを小さくすることが難しくなってくる。
【0009】
また、各記憶素子を密集して配置すると、隣接する記憶素子からの漏れ磁界や、隣接する記憶素子に記録を行う記録用配線からの磁界の干渉によって、選択された素子にのみ記録を行うことが難しくなり、記憶容量を増加する上で問題となる。
【0010】
誤書き込みを防止する方法としては、例えば、特開2002−203388号公報に記載されているように、隣接する記憶素子に記録を行う記録用配線に、書き込みをする記憶素子に記録を行う記録用配線に流す電流とは逆方向に適当な電流を流す方法が提案されている。
【0011】
しかしながら、前述したように、磁気記憶素子が縮小化されるに従って、保磁力のばらつきが大きくなるため、上述の逆方向の電流を流す方法だけでは、記録誤りを防止できなくなる。
【0012】
また、磁性体に形状異方性を付与するためには、磁性体の平面形状を、アスペクト比(長手方向の長さと長手方向と直交する方向の長さとの比、長方形では縦横比になり、楕円形では長軸と短軸との比になる)をある程度以上大きくする必要がある。
ところが、磁性体の寸法は、その最小加工寸法以上に小さくすることができないため、アスペクト比が大きくなるほど、磁性体が専有する面積の最小値が大きくなっていく。
そのため、形状異方性をもち、かつ専有面積の小さい磁気記憶素子を構成することが困難になっている。
【0013】
上述した問題の解決のために、本発明においては、素子への記録の選択性を向上して、目的の素子に確実に記録を行うことができる構成の磁気記憶素子を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層を備え、この記憶層が磁化量の異なる複数の領域に分割されているものである。
【0015】
上述の本発明の磁気記憶素子の構成によれば、記憶層が磁化量の異なる複数の領域に分割されていることにより、磁化量の異なる領域に分割する境界線の方向に磁化容易軸が形成される傾向があり、また各領域の磁化が磁化容易軸方向に対して弓状に湾曲した形状となる。このように磁化が弓状に湾曲した形状となることにより、磁化容易軸方向に磁場を印加したときに、素子の一方の側と他方の側で磁化の回転方向が逆になることから、磁化の湾曲がさらに大きくなって、磁化の反転が困難になる。即ち、磁化容易軸方向の保磁力を大きくすることができる。また、磁化が弓状に湾曲した形状となっているため、さらに磁化容易軸方向の磁場と磁化容易軸に略直交する方向又は磁化困難軸方向の磁場とを印加することにより、磁化が弓状から略直線的な形状となり、磁化反転しやすくなり保磁力が減少する。即ち、磁化容易軸方向の記録磁場と、磁化容易軸に略直交する方向又は磁化困難軸方向の磁場(アシスト磁場)とを印加することにより、保磁力が低下して、記録を容易に行うことが可能になる。
【0016】
本発明の磁気記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層を備え、この記憶層は磁化量が変化する領域を有しているものである。
【0017】
上述の本発明の磁気記憶素子の構成によれば、記憶層が、磁化量の変化する領域を有していることにより、磁化量の変化する方向(磁化量の分布の傾斜に直交する方向になる)に磁化容易軸が形成される傾向があり、また磁化量の変化する領域において、磁化が磁化容易軸方向に対して弓状に湾曲した形状となる。このように磁化が弓状に湾曲した形状となることにより、上述した磁化量の異なる領域に分割された構成と同様に、磁化容易軸方向の保磁力を大きい保磁力とすることができると共に、磁化容易軸に直交する方向又は磁化困難軸方向に磁場(アシスト磁場)を加えたときの保磁力を小さくして、記録を容易に行うことが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層を備え、この記憶層が磁化量の異なる複数の領域に分割されている磁気記憶素子である。
【0019】
また本発明は、上記磁気記憶素子において、磁化量が異なる各領域に分割する境界線が、記憶層の磁化容易軸方向と略平行な方向である構成とする。
【0020】
また本発明は、上記磁気記憶素子において、磁化量が異なる各領域は、膜厚、組成、結晶構造のうち、少なくとも1つ以上の構成が異なることにより磁化量が異なる構成とする。
【0021】
また本発明は、上記磁気記憶素子において、記憶層に対して、記憶の基準となる参照層を構成する磁性体層が設けられ、記憶層と参照層の相対的な磁化方向を検出することにより、記憶層に記録された前記情報が読み出される構成とする。
【0022】
本発明は、情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層を備え、この記憶層は磁化量が変化する領域を有している磁気記憶素子である。
【0023】
また本発明は、上記磁気記憶素子において、磁化量が変化する領域において、磁化量が変化する方向が記憶層の磁化容易軸方向と略直交する方向である構成とする。
【0024】
また本発明は、上記磁気記憶素子において、磁化量が変化する領域は、膜厚、組成、結晶構造のうち、少なくとも1つ以上の構成が変化することにより磁化量が変化する構成とする。
【0025】
また本発明は、上記磁気記憶素子において、記憶層に対して、記憶の基準となる参照層を構成する磁性体層が設けられ、記憶層と参照層の相対的な磁化方向を検出することにより、記憶層に記録された前記情報が読み出される構成とする。
【0026】
図1は、本発明の磁気記憶素子の一実施の形態として、記憶素子を構成する記憶層の概略平面図を示す。
この磁気記憶素子1は、情報を磁性体の磁化状態によって記憶する記憶層2を有して構成されている。
この記憶層2は、矩形の角部を丸くした形状となっている。また、縦と横の寸法はほぼ等しく略正方形状となっている。角部を丸くしたことにより、角張った矩形とした場合と比較して、記憶層2を形成する加工を容易にすることができる利点を有する。
そして、記憶層2は、中央の分割線3を境界として、磁化量の多い高磁化領域2Hと、磁化量の少ない低磁化領域2Lとに分割されている。2つの領域2H及び2Lの分割線3は、磁性体から成る記憶層2の磁化容易軸に対して平行になっている。なお、磁化量は、磁性体の自発磁化と膜厚との積により定義される。
【0027】
次に、この磁気記憶素子1の記憶層2に対して、外部磁場を印加したときの磁化状態の変化を、図2及び図3を参照して説明する。各図とも、高磁化領域2Hの方が、低磁化領域2Lよりも磁化量が多いため、磁化を示す矢印を太く表現している。
【0028】
まず、外部磁場を印加していないときの磁化状態を、図2Aに示す。
高磁化領域2Hの方が低磁化領域2Lよりも磁化量が多いことにより、磁化の方向が、図2Aに示すように、磁化容易軸方向に対して高磁化領域2H側が凸になるように湾曲した方向になる。なお、分割していない一様の磁化量とした場合は、磁化の方向が磁化容易軸方向に平行になる。
【0029】
次に、磁化容易軸方向に平行な外部磁場を印加したときの磁化状態を図2Bに示す。この場合、外部磁場Hの向きは、磁化容易軸方向と平行であるが、記憶層2(2H,2L)の磁化の向きと逆になっており、磁化を反転して記憶層2に情報を記録する場合を想定している。
磁化容易軸方向に外部磁場Hを印加した場合には、図2Bに示すように、記憶層2の図中右側と図中左側とでは、磁化の向きの回転方向が逆になる。図中右側は右回り(時計回り)、図中左側は左回り(反時計回り)に回転する。これにより、磁化の湾曲が大きくなるため、磁化の反転がしにくくなることから、保磁力が大きくなることがわかる。
このような状態から磁化を反転させようとすると、外部磁場をずっと大きくする必要がある。
【0030】
そこで、磁化の反転を容易にするために、磁化容易軸方向と直交する方向にも磁場を印加する。
まず、磁化容易軸方向と直交する方向の磁場のみを印加したときの磁化状態を図3Aに示す。
図3Aに示すように、磁化容易軸方向に直交する方向の磁場、この場合は上向きのアシスト磁場Haを印加すると、回転角度は場所によって異なるものの、全体として磁化が左回り(反時計回り)に回転し、磁化の方向において弓状の湾曲が崩れて、やや直線的になる。これにより、湾曲している状態よりも、磁化を反転し易くすることができる。
【0031】
そして、図2Bに示した外部磁場Hと、図3Aに示したアシスト磁場Haとを共に印加したときの磁化状態を図3Bに示す。
外部磁場Hとアシスト磁場Haとの作用により、記憶層2の磁化の向きが全体として左回り(反時計回り)に回転し、アシスト磁場Haの向きに近い向きになっている。このような状態にすることができるため、磁化の反転が容易になる。
従って、外部磁場をさらに大きくすれば、磁化の向きを反転することができる。図3Bに示す外部磁場Hよりも少し大きい外部磁場H2と図3Bと同じアシスト磁場Haを印加したときの磁化状態を図3Cに示す。外部磁場H2が大きくなったことにより、記憶層2の磁化が反転して、図中左に向くようになっている。この状態からアシスト磁場Haを除去すると、図示しないが記憶層2の磁化が左向きになった湾曲形状となり、保磁力が大きくなる。そして、保磁力が大きくなることにより、外部磁場H2を除去した後も、磁化が左向きで弓状に湾曲した状態(磁化の向きが図2Aとは逆向きになった状態)が保持され、記憶層2に対して情報の記録が行われる。
【0032】
本実施の形態の磁気記憶素子1において、記憶層2を構成する、高磁化領域2H及び低磁化領域2Lは、それぞれ磁化量が異なる構成とするが、磁化量を異ならせるための構成は、様々な構成が考えられる。
例えば、磁性体の膜厚を異ならせた構成、磁性体の組成を異ならせた構成、磁性体の結晶状態を異ならせた構成が可能である。
また、磁化を強める層を追加して高磁化領域2Hを形成したり、磁化を弱める(又は打ち消す)層を追加して低磁化領域2Lを形成したりすることも可能である。
【0033】
続いて、図1に示したように磁化量が異なる高磁化領域2H及び低磁化領域2Lに分割された記憶層2について、その具体的な形態を次に示す。
【0034】
まず、磁性体から成る記憶層2の膜厚を異ならせることにより、磁化量を異ならせた形態を示す。
この形態では、図4に記憶層の断面図を示すように、記憶層2の膜厚を、高磁化領域2Hでは厚い膜厚d1とし、低磁化領域2Lでは高磁化領域2Hよりも薄い膜厚d2(即ちd1>d2)としている。分割線3付近は段差になっている。
このように記憶層2を構成することにより、上述したように磁化容易軸方向の外部磁場及び磁化容易軸方向と直交する方向のアシスト磁場により磁化状態を変化させて、記憶層2の磁化を反転させることができる。
【0035】
この形態の記憶層2は、例えば図5A〜図5Dに示すようにして、形成することができる。図5A〜図5Dにおいては、上段に断面図を示し、下段に平面図を示している。
まず、図5Aに示すように、一様な膜厚で記憶層2となる磁性層を成膜する。
次に、記憶層2上にフォトレジストを形成し、このフォトレジストを露光・現像してパターニングすることにより、図5Bに示すように、記憶層2のうち、後に高磁化領域2Hとなる部分(図中左側)がフォトレジスト51で覆われる一方で、低磁化領域2Lとなる部分(図中右側)が露出するようにする。
続いて、フォトレジスト51をマスクとして、イオンミリングを行うことにより、図5Cに示すように、低磁化領域2Lとなる部分の記憶層2を削って薄くする。
最後に、フォトレジスト51を除去することにより、図5Dに示すように、図4に断面図を示した記憶層2を形成することができる。
【0036】
次に、記憶層2の組成を異ならせることにより、磁化量を異ならせた形態を示す。
この形態では、図6に記憶層の断面図を示すように、記憶層2を、高磁化領域2Hでは一様の組成の磁性層2Aとし、低磁化領域2Lでは下層を高磁化領域2Hと同じ磁性層2A、上層を組成の異なる磁性層2Bとしている。磁性層2Bは、分割線3まで形成されている。磁性層2Bは、磁性層2Aよりも磁性が弱くなる組成となっている。上層が磁性の弱い磁性層2Bとなっていることにより、低磁化領域2Lの磁化量が高磁化領域2Hよりも小さくなる。
このように記憶層2を構成することにより、上述したように磁化容易軸方向の外部磁場及び磁化容易軸方向と直交する方向のアシスト磁場により磁化状態を変化させて、記憶層2の磁化を反転させることができる。
【0037】
この形態の記憶層2は、例えば図7A〜図7Dに示すようにして、形成することができる。図7A〜図7Dにおいては、上段に断面図を示し、下段に平面図を示している。
まず、図7Aに示すように、一様な膜厚で磁性層2Aを成膜する。
次に、磁性層2A上にフォトレジストを形成し、このフォトレジストを露光・現像してパターニングすることにより、図7Bに示すように、磁性層2Aのうち、後に高磁化領域2Hとなる部分(図中左側)がフォトレジスト51で覆われる一方で、低磁化領域2Lとなる部分(図中右側)が露出するようにする。
続いて、フォトレジスト51をマスクとして、イオン注入52を行うことにより、図7Cに示すように、低磁化領域2Lとなる部分の上層(表面付近)に磁性層2Bを形成する。このとき、イオン注入52するイオンとしては、例えば非磁性元素のイオン等として、磁性層2Bが磁性層2Aよりも磁性が弱くなるようにする。
最後に、フォトレジスト51を除去することにより、図7Dに示すように、図6に断面図を示した記憶層2を形成することができる。
【0038】
なお、図6に示した断面構造及び図7A〜図7Dに示した形成方法とする代わりに、一様な膜厚で磁性の弱い磁性層を成膜した後、高磁化領域2Hとなる部分に例えば磁性元素(Fe,Co,Ni等)のイオンをイオン注入して磁性の強い磁性層を形成する方法を用いてもよい。この形成方法によっても、高磁化領域2Hと低磁化領域2Lとを形成することができる。
【0039】
次に、記憶層2の結晶構造を異ならせることにより、磁化量を異ならせた形態を示す。
この形態では、図8に記憶層の断面図を示すように、記憶層2を、高磁化領域2Hでは飽和磁束密度(Ms)の大きい磁性層2Cとし、低磁化領域2Lでは飽和磁束密度(Ms)の小さい磁性層2Dとしている。磁性層2Dは、磁性層2Cとは異なる結晶構造となっている。
このように記憶層2を構成することにより、上述したように磁化容易軸方向の外部磁場及び磁化容易軸方向と直交する方向のアシスト磁場により磁化状態を変化させて、記憶層2の磁化を反転させることができる。
【0040】
この形態の記憶層2は、例えば図9A〜図9Eに示すようにして、形成することができる。図9A〜図9Eにおいては、上段に断面図を示し、下段に平面図を示している。
まず、図9Aに示すように、一様な膜厚で磁性層2Cを成膜する。
次に、磁性層2C上にフォトレジストを形成し、このフォトレジストを露光・現像してパターニングすることにより、図9Bに示すように、磁性層2Cのうち、後に高磁化領域2Hとなる部分(図中左側)がフォトレジスト51で覆われる一方で、低磁化領域2Lとなる部分(図中右側)が露出するようにする。
続いて、図9Cに示すように、表面に薄膜53を成膜する。この薄膜53としては、例えば磁化を減少させるもの、即ち非磁性金属元素(例えばCr,Mn)或いは磁性層2Cの磁性元素との間でフェリ磁性合金を形成する元素(例えばGd等)を含む膜を形成すればよい。これにより、高磁化領域2Hとなる部分ではフォトレジスト51の上に薄膜53が形成され、低磁化領域2Lとなる部分では磁性層2Cの上に薄膜53が形成される。
次に、図9Dに示すように、フォトレジスト51を除去する。これにより、高磁化領域2Hとなる部分ではフォトレジスト51と共に薄膜53も除去され、低磁化領域2Lとなる部分では薄膜53が磁性層2Cの表面に残る。
続いて、熱処理を行うことにより、薄膜53と磁性層2Cとが反応して、図9Eに示すように、低磁化領域2Lでは、結晶構造が変化した磁性層2Dが形成される。
【0041】
一方、高磁化領域2H側に薄膜を成膜して、磁性層と薄膜とを反応させ結晶構造を変化させることにより、記憶層を形成することも可能である。この場合には、薄膜として、磁化を強める磁性元素(Fe,Co,Ni等)を含む膜を形成する。
【0042】
なお、図6に示した組成が異なる形態の記憶層を図9A〜図9Eに示した熱拡散により形成することも可能であり、図8に示した結晶構造が異なる形態の記憶層を図7A〜図7Dに示したイオン注入により形成することも可能である。
それぞれ、表面に形成する薄膜の材料や注入するイオンを選定することにより、組成或いは結晶構造が異なる磁性体層が形成されるようにすれば良い。
【0043】
また、上述の本実施の形態の磁気記憶素子1において、記憶層2に記録された情報を読み出すための構成は特に限定されないが、例えば記憶層2に対してトンネル絶縁膜を介して磁化の向きが固定された磁化固定層を配置してトンネル絶縁膜を通るトンネル電流の抵抗値から記憶層2に記録された情報、即ち記憶層2の磁化の向きを検知することが可能である。
【0044】
上述の本実施の形態の磁気記憶素子1によれば、記憶層2を磁化量の異なる高磁化領域2Hと低磁化領域2Lに分割していることにより、磁化容易軸に直交する方向(又は略直交する方向)のアシスト磁場Haを加えたときと加えていないときの保磁力の差を大きくすることができる。
これにより、情報を記録する際に、選択された磁気記憶素子1のみを高い確度で記録することができる。
【0045】
また、上述の本実施の形態の磁気記憶素子1によれば、記憶層2を磁化量の異なる高磁化領域2Hと低磁化領域2Lに分割していることにより、磁気記憶素子1の平面形状、特に記憶層2の平面形状を、略正方形や円形等のアスペクト比が小さく対称性の高い形状としても、記憶層に一軸異方性を形成することができるため、磁化容易軸方向の保磁力を大きくすることができる。これにより、記憶層2の平面形状や磁気記憶素子1全体の平面形状をこのようなアスペクト比が小さい形状にして、磁気記憶素子1の専有面積を小さくすることが可能になる。
【0046】
従って、単位面積当たりの素子密度を向上することができるため、上述の実施の形態の磁気記憶素子1を高密度に集積して、多数の磁気記憶素子1により構成された記憶装置(磁気記憶装置)において、記憶容量の増大又は装置の小型化を図ることができる。
【0047】
そして、上述の実施の形態の磁気記憶素子1を用いて、例えばマトリクス状に交差するそれぞれ複数本の第1の配線及び第2の配線の交点に、磁気記憶素子1を配置することにより、MRAM等の磁気記憶装置を構成することができる。
【0048】
なお、上述の実施の形態では、記憶層2の平面形状を矩形の角部を丸くした形状とし、ほぼ正方形状としているが、その他の形状も可能である。例えば正方形状又は長方形状、長方形の角部を丸くした形状、円形状、楕円形状等が考えられる。
いずれの形状とした場合も、記憶層の磁化容易軸方向と、高磁化領域及び低磁化領域を分割する境界線の方向とが、平行又はほぼ平行となるように分割することが望ましい。
分割する位置は、記憶層の中央線(直径や長軸等)に限定されるものではなく、高磁化領域と低磁化領域の面積が同一でなくてもよい。
【0049】
また、上述の実施の形態では、記憶層2を高磁化領域2H及び低磁化領域2Lの2つの領域に分割しているが、磁化量の異なる3つ以上の領域に分割してもよい。その場合も、それぞれの境界線の方向が記憶層の磁化容易軸方向と平行又はほぼ平行となるように分割することが望ましい。その場合の記憶層の形成方法は、上述した形成方法のフォトレジストの形状を変更したり、複数種類の形成方法を組み合わせたりすることが考えられる。
【0050】
さらに、記憶層2において磁化量を異ならせるための構成(膜厚、組成、結晶構造等)を、複数種類組み合わせてもよい。
【0051】
さらに、磁化量の異なる領域の境界線を曲線で形成することも可能であるが、特に境界線を直線或いは曲率半径の大きな曲線で形成すれば、磁化容易軸方向を決めやすくなる。
そして、形状による磁気異方性を、磁化量の異なる領域の境界線の方向と記憶層の長軸方向とに対して、共に略平行になるように付与すれば、二つの効果が相乗して、保磁力向上に効果的である。
【0052】
次に、本発明の他の実施の形態として、磁気記憶素子を構成する記憶層の概略構成図を図10A及び図10Bに示す。図10Aは記憶層2の断面図を示し、図10Bは記憶層2の平面図を示している。
この磁気記憶素子10は、記憶層2の平面形状は図1の記憶素子1と同様であるが、磁化量が異なる領域に分割する代わりに、磁化量が変化する領域を有している点で異なっている。
即ち、図中左側に厚い膜厚d3を有し磁化量の多い領域2Eが形成され、図中右側に薄い膜厚d4(<d3)を有し磁化量の少ない領域2Gが形成され、これらの領域2E,2Gの間には膜厚がd3からd4まで変化することにより磁化量が変化する領域2Fが形成されている。
【0053】
また、磁化量が変化する領域2Fでは、磁化量が変化する方向を、記憶層2の磁化容易軸方向と直交する方向又は略直交する方向とすることが望ましい。そのためには、この磁化量が変化する領域2Fの表面の斜面を、斜面の法線方向の水平成分が磁化容易軸方向と直交する方向又は略直交する方向となるようにすればよい。
さらに、磁性体の形状による磁気異方性の方向と磁化量の勾配方向とが直交するように形成すれば、保磁力向上に効果的である。そして、この磁気異方性は、磁性体の磁場中成膜や磁場中熱処理等の手段で調整することも可能である。
【0054】
このように、本実施の形態の磁気記憶素子10では、記憶層2に磁化量が変化する領域2Fを設けたことにより、図1に示した磁気記憶素子1のように境界線3で分割して磁化量が異なるように構成した場合と同様の作用効果を実現することができる。即ち、外部磁場を印加していないときの磁化の向きを湾曲させて、磁化容易軸方向の外部磁場と磁化容易軸と直交する方向のアシスト磁場により容易に磁化の向きを反転することが可能になる。また、記憶層2の平面形状や磁気記憶素子10全体の平面形状をアスペクト比の小さい平面形状として、磁気記憶素子10の専有する面積を低減することが可能になる。
【0055】
図10に示した構成の記憶層2は、例えば図11A〜図11Dに示すようにして、形成することができる。図11A〜図11Dにおいては、上段に断面図を示し、下段に平面図を示している。
まず、図11Aに示すように、一様な膜厚で記憶層2となる磁性層を成膜する。
次に、記憶層2上にフォトレジストを形成し、このフォトレジストを露光・現像してパターニングすることにより、図11Bに示すように、記憶層2のうち、後に磁化量の多い領域2Eとなる部分(図中左側)がフォトレジスト54で覆われる一方で、その他の領域2F,2Gとなる部分が露出するようにする。
続いて、図11Cに示すように、フォトレジスト54をマスクとして用いて、イオンミリングを行う。このときイオンミリングのイオン55の向きを記憶層2の主面に対して斜めにすることにより、記憶層2の表面に滑らかな斜面を形成することができる。これにより、表面が斜面となった部分が、磁化量が変化する領域2Fとなる。
次に、図11Dに示すように、フォトレジスト54を除去することにより、図10Aに示した断面形状の記憶層2を形成することができる。
【0056】
なお、記憶層2の断面形状は、図10Aに示した断面形状の他に、例えば図12A〜図12Cに示す断面形状とすることも可能である。図12Aは、表面を斜面として、記憶層2全体を磁化量が変化する領域とした場合を示している。また、図12B及び図12Cは、それぞれ、記憶層2を一定の膜厚の領域と、磁化量が変化する領域との2つの領域にした場合を示している。
この他の構成も可能である。例えば、斜面の勾配が異なる複数の領域を設けてもよい。
また例えば、表面の斜面が平面ではなく曲面状であってもよい。例えば等方性エッチング等で記憶層を薄く加工した場合には、表面が曲面状になることもある。
【0057】
上述の実施の形態の記憶素子10によれば、先の実施の形態の記憶素子1と同様に、磁化容易軸方向の外部磁場と磁化容易軸と直交する方向のアシスト磁場により容易に磁化の向きを反転することが可能になり、情報を記録する際に、選択された記憶素子10のみを高い確度で記録することができる。
また、記憶素子10の専有する面積を低減して、記憶素子10を多数有して成る記憶装置の記憶容量の増大又は装置の小型化を図ることができる。
【0058】
そして、上述の実施の形態の磁気記憶素子10を用いて、例えばマトリクス状に交差するそれぞれ複数本の第1の配線及び第2の配線の交点に、磁気記憶素子10を配置することにより、MRAM等の磁気記憶装置を構成することができる。
【0059】
上述の実施の形態では、記憶層2の平面形状を矩形の角部を丸くした形状とし、ほぼ正方形状としているが、その他の形状も可能である。例えば正方形状又は長方形状、長方形の角部を丸くした形状、円形状、楕円形状等が考えられる。
いずれの形状とした場合も、記憶層の磁化容易軸方向と、磁化量が変化する方向とが、直交又はほぼ直交するように構成することが望ましい。
【0060】
ここで、本発明の磁気記憶素子において、具体的に素子の寸法や磁化量を設定して、特性がどのようになるか検討を行った。
【0061】
まず初めに、図13Aに平面図を示し、図13Bに断面図を示すように、平面形状が楕円形状の磁性体を、膜厚の異なる2つの領域即ち磁化量の異なる高磁化領域H及び低磁化領域Lに中央(楕円の長軸)で分割した構成の記憶層をモデルとして、マイクロマグネティック計算を行ってみた。計算に用いたモデルは、高磁化領域Hの膜厚を6nm、低磁化領域の膜厚を(6−t)nmとした。即ちtは磁性体の除去量を示し、t=1nm,2nm,3nm,4nmの各場合と、比較対照として領域を分割しないt=0の場合とについて、それぞれ計算を行った。また、記憶層を構成する磁性体の飽和磁化量を800emu/cm、楕円の長軸の長さを200nm、短軸の長さを150nmとした。また、材料の異方性磁場は10Oeとした。
計算して得られたアステロイド曲線を図14に示す。図14の横軸は磁性体の磁化困難軸方向に印加する磁場Hhard(Oe)を示しており、縦軸は磁化容易軸方向に印加する磁場Heasy(Oe)を示している。即ち、横軸の磁場Hhardは、アシスト磁場Haを想定しており、縦軸の磁場Heasyは、記録用の外部磁場Hを想定している。各磁場の大きさが曲線よりも外側にあれば磁性体の磁化を反転させることが可能であるが、曲線よりも内側にあれば磁性体の磁化が反転されず保持される。
【0062】
図14より、t=0のときは膜を除去していない均一な膜厚の楕円体であり、通常のアステロイド曲線が得られる。磁性体の一部を除去し、t=1nmとすると、困難軸方向の磁場Hhardが小さいときに、アステロイド曲線のHeasyの間隔が広くなるが、Hhardが大きくなるとt=0のときの曲線とほぼ同様になり、尖ったアステロイド曲線となる。
即ち、本発明の磁化量の異なる領域に分割した構成の磁気記憶素子では、分割していない場合と比較して、アシスト磁場が小さいときの保磁力が大きくなり、アシスト磁場が一定の大きさを越えるとほぼ同じ保磁力となるので、記録の選択性が改善されることがわかる。
さらに、磁性体の除去量を大きくすると、全体的にアステロイド曲線が縦横に広がっていき、t=4nmでは保磁力が全体的に大きくなるが、アステロイド曲線の尖りがなくなってくるため本発明による記録の選択性を向上する効果が小さくなる。従って、このモデルの場合、磁性体の除去量tは1nmから3nmの範囲が適当である。
【0063】
次に、記憶素子の記憶層の平面形状を正方形状として、同様の計算を行った。
図15A及び図15Bに計算に用いたモデルの寸法形状を示す。正方形の中央(辺に平行な中央線)で膜厚を異ならせることにより高磁化領域H及び低磁化領域Lに分割し、正方形の一辺の長さを150nmとし、記憶層を構成する磁性体の飽和磁化量及び磁性体の膜厚は図13と同じとした。
ただし、この場合は、記憶層が正方形状であるため、分割しないと形状異方性が現れず、磁化容易軸方向の保磁力がなくなってしまう。そのため、t=0のときの計算は行っていない。
計算して得られたアステロイド曲線を図16に示す。
図16を図14と比較すると、アステロイド曲線のくぼみが大きくなっており、記録の際の選択比がさらに改善されることがわかる。
【0064】
同様に、記憶素子の記憶層の平面形状を円形状として、同様の計算を行った。
図17A及び図17Bに計算に用いたモデルの寸法形状を示す。円の中央(直径)で膜厚を異ならせることにより高磁化領域H及び低磁化領域Lに分割し、円の直径の長さを150nmとし、記憶層を構成する磁性体の飽和磁化量及び磁性体の膜厚は図13と同じとした。
ただし、記憶層が円形状であるため、この場合も分割しないと形状異方性が現れず、磁化容易軸方向の保磁力がなくなってしまう。そのため、t=0のときの計算は行っていない。
計算して得られたアステロイド曲線を図18に示す。
図18を図14と比較すると、アステロイド曲線のくぼみが大きくなっており、正方形状の場合と同様に、記録の際の選択比がさらに改善されることがわかる。
【0065】
次に、記憶素子の記憶層の平面形状を、図1と同様の正方形状の角部を丸めた形状として、同様の計算を行った。
図19A及び図19Bに計算に用いたモデルの寸法形状を示す。正方形の一辺の長さ及び分割の位置は図15と同じであり、角部の縦横30nmの部分を半径75nmの円弧としている。記憶層を構成する磁性体の飽和磁化量及び磁性体の膜厚は図13と同じとした。
この場合も、t=0のときの計算は行っていない。
計算して得られたアステロイド曲線を図20に示す。
図20から、角部を丸めることにより、図16に示した正方形状の場合と図18に示した円形状の場合の中間的なアステロイド曲線を示すことがわかる。
従って、正方形と円の中間的な形状においても本発明の効果が得られることが分かる。
【0066】
次に、記憶素子の記憶層の平面形状を正方形状とするが、分割線の位置を対角線の位置として、同様の計算を行った。
図21A及び図21Bに計算に用いたモデルの寸法形状を示す。正方形の対角線において膜厚を異ならせて高磁化領域H及び低磁化領域Lを構成しており、図21Aの縦横の寸法を200nmとすることにより、正方形の一辺の長さは141nmとなるため、図17Aの150nmと大きな差は無い。記憶層を構成する磁性体の飽和磁化量及び磁性体の膜厚は図13と同じとした。
この場合も、t=0のときの計算は行っていない。
計算して得られたアステロイド曲線を図22に示す。
図22より、この場合は、アステロイド曲線の窪みが見られず、選択比の改善は期待できないことがわかる。即ち正方形の対角線で分割した場合においては本発明の効果は得られないことがわかる。
これは、長方形や楕円形、辺に平行な中央線で分割した正方形や円形等と比較して、分割線から各辺までの距離が短くなるため、磁化の向きが回転しにくくなることが推測される。この場合はアスペクト比が1であるが、アスペクト比を1より大きくして形状異方性をつけても、磁化の向きが回転しにくくなるため充分な効果が得られないと考えられる。
【0067】
従って、選択比を改善するには、記憶層の平面形状を、辺に平行な中央線で分割した正方形状、円形状、並びにその中間的な形状とすることが望ましいことがわかる。
【0068】
続いて、記憶層の平面形状のアスペクト比と記録特性との関係を調べた。
図23に示すように、記憶層の平面形状が長方形状のモデルを採用し、長方形の短辺の長さを150nmに固定して、長辺の長さをR・150nmとアスペクト比Rを変化させるようにした。また、このモデルでは膜厚を異ならせる代わりに、飽和磁束密度を異ならせて磁化量が異なる2つの領域H,Lを構成しており、高磁化領域Hの飽和磁束密度(Ms)を800emu/cmとし、低磁化領域Lの飽和磁束密度(Ms)を600emu/cmとしている。記憶層を構成する磁性体の膜厚は6nmとしている。
そして、アスペクト比Rを、R=1.0,1.2,1.4,1.6とした場合について、それぞれ計算を行った。
計算により得られたアステロイド曲線を図24に示す。
図24より、アスペクト比Rが大きくなると、アステロイド曲線の窪みが小さくなり、記録の選択性が悪くなることがわかる。
従って、本発明の効果を充分に得るために、なるべくアスペクト比Rを小さくする(1に近くする)ことが望ましいことがわかる。
【0069】
次に、記憶層の平面形状を楕円形状とした場合について、同様の検討を行った。
図25に示すように、記憶層の平面形状が楕円形状であり楕円形の長軸で磁化量が異なるように分割されたモデルを採用し、楕円形の短軸の長さを150nmに固定して、長軸の長さをR・150nmとアスペクト比Rを変化させるようにした。また、このモデルでも、高磁化領域Hの飽和磁束密度(Ms)を800emu/cmとし、低磁化領域Lの飽和磁束密度(Ms)を600emu/cmとしている。記憶層を構成する磁性体の膜厚は6nmとしている。
そして、アスペクト比Rを、R=1.0,1.2,1.4,1.6とした場合について、それぞれ計算を行った。
計算により得られたアステロイド曲線を図26に示す。
図26より、楕円形とした場合においても、長方形と同様の結果が得られることがわかる。
【0070】
さらに、長方形状及び楕円形状の記憶層を構成し、それぞれ短辺又は短軸の長さを100nm、長辺又は長軸の長さをR・100nmとし、磁性体の膜厚を5nmとして、飽和磁束密度(Ms)が1200emu/cmの高磁化領域Hと800emu/cmの低磁化領域Lとの2つの領域に分割したモデルについて、同様に計算を行った。図23及び図25に示した各モデルと、これらのモデルの計算結果を合わせて、アスペクト比に対する保磁力(Hc)の変化を図27に示す。図27では、短辺又は短軸の長さlが、l=100nmの場合を黒く塗りつぶした印で、l=150nmの場合を白抜きの印でそれぞれ示している。
また、各モデルにおいて、アステロイド曲線を描いたときに原点から最も近い点までの距離、即ち磁化反転可能な最小磁場Hminとアスペクト比Rとの関係を図28に示し、Hmin/Hcとアスペクト比Rとの関係を図29に示す。
【0071】
図27より、楕円形ではアスペクト比Rが大きくなると保磁力Hcが増加するが、長方形ではアスペクト比Rの増加に伴い保磁力Hcが減少することがわかる。
図28より、Hminは、アスペクト比Rが増加すると、長方形でも楕円形でも単調に増加することがわかる。
図29より、Hmin/Hcは、同じアスペクト比Rでは長方形の方が楕円形よりも小さいことがわかる。
【0072】
ここで、単磁区モデルで理想的な磁化回転がなされるアステロイド曲線の場合、Hmin/Hcは0.5となるので、Hmin/Hcが0.5以下であれば本発明の効果が有効に機能していると言える。
従って、本発明の効果を有効に得るにはアスペクト比Rが1.5以下であることが好ましい。
【0073】
次に、高磁化領域及び低磁化領域を分割する境界線の位置を、中心線以外にしたときに特性がどのように変化するか調べた。
図30A及び図30Bに示すように、記憶層の平面形状を楕円形状として、磁性体の膜厚に段差を付けて高磁化領域H及び低磁化領域Lに分割する境界線の位置を変えた各モデルについて、同様に計算を行った。楕円形の短軸の長さを150nmとし、長軸の長さを200nmとし、磁性体の膜厚をそれぞれ高磁化領域Hでは6nmに、低磁化領域Lでは4nmにして、低磁化領域Lの幅Wを変化させた。そして、低磁化領域Lの幅Wを、W=45nm,60nm,75nm(長軸に一致),90nm,105nmとした場合について、それぞれ計算を行った。
計算により得られたアステロイド曲線を図31に示す。
【0074】
図31より、低磁化領域Lの幅Wを変える、即ち磁化量が変化する境界線の位置を変えることにより、保磁力等に変化が現れるが、アステロイド曲線の窪みが著しく減少することはなく、磁化量が変化する境界線を、記憶層の中心線に一致させて面積を等分にしなくても、本発明の効果が充分に得られることがわかる。
【0075】
次に、磁化量を境界線で不連続的に変化させるのではなく、連続的に変化させる領域を有する場合について、特性を調べた。
まず、記憶素子の記憶層の平面形状を正方形状として、記憶層全面を磁化量が変化する領域とした場合のモデルを図32A及び図32Bに示す。
また、記憶素子の記憶層の平面形状を正方形状として、記憶層の一部を磁化量が一定の領域として、他の一部を磁化量が変化する領域とした場合のモデルを図33A及び図33Bに示す。
いずれのモデルでも正方形の一辺の長さを150nmとして、磁化量が変化する方向が磁化容易軸の方向と直交する方向としている。また、図32A及び図33Aの各図に示すように、磁性体の膜厚を変化させる代わりに飽和磁束密度(Ms)を変化させることにより磁化量を変化させており、飽和磁束密度を図32Aでは350〜800emu/cmの範囲、図33Aでは300〜800emu/cmの範囲で、それぞれ変化させている。
そして、図32A及び図32Bに示すモデルでは飽和磁束密度が直線的に一様に変化するようにしており、図33A及び図33Bに示すモデルでは左半分が一定の飽和磁束密度(800emu/cm)で右半分が直線的に一様に変化するようにしている。
これらのモデルについて、同様に計算を行い、得られたアステロイド曲線を図34A(図32のモデル)及び図34B(図33のモデル)にそれぞれ示す。
図34A及び図34Bより、これらのモデルにおいて、いずれの場合もアステロイド曲線の窪みが観測され、本発明の効果が得られることがわかる。
【0076】
同様に、記憶素子の記憶層の平面形状を円形状として、記憶層全面を磁化量が変化する領域とした場合のモデルを図35A及び図35Bに示し、また記憶層の一部を磁化量が一定の領域として、他の一部を磁化量が変化する領域とした場合のモデルを図36A及び図36Bに示す。いずれのモデルでも円形の直径の長さを150nmとして、磁化量が変化する方向が磁化容易軸の方向と直交する方向としている。その他は、先に図32及び図33に示した正方形状の場合と同様である。
これらのモデルについて、同様に計算を行い、得られたアステロイド曲線を図37A(図35のモデル)及び図37B(図36のモデル)にそれぞれ示す。
図37A及び図37Bより、円形状とした場合でも正方形状とした場合と同様に、アステロイド曲線の窪みが観測され、本発明の効果が得られることがわかる。
【0077】
次に、磁気的に相互作用した2層の磁性体層を用いて記憶層を形成する方法を説明する。
2層の磁性体層を直接或いは非磁性層を介して積層すると、磁気的に相互作用した2層の磁性体層を形成することができる。
これら2層の磁性体層のうちの一方の面積を小さくすると、1層の磁性体層のみで構成される領域と2層の磁性体層で構成される領域の2つの領域が形成され、これによっても、膜厚の差異や飽和磁化の差異と同様に、磁化量の異なる複数の領域を形成することができる。
【0078】
2層の磁性体層を直接積層した場合には、例えば2層の磁性体層の化学反応性が異なる構成として、この反応性の違いを利用して、上層の磁性体層を選択的に除去する或いは(イオン注入や熱拡散等により)変質することにより、磁化量の異なる複数の領域を形成することができる。
2層の磁性体層を非磁性層を介して積層した場合には、例えば磁性体層と非磁性層との反応性の違いを利用して、上層の磁性体層を選択的に除去する或いは(イオン注入や熱拡散等により)変質することにより、磁化量の異なる複数の領域を形成することができる。
【0079】
上述のように磁気的に相互作用した2層の磁性体を用いて、記憶素子の記憶層を構成した場合の特性を調べた。
まず、図38Aに示すように、一辺の長さがlの正方形の角部を丸くした平面形状の記憶層を、一辺に平行な中心線で低磁化領域L及び高磁化領域Hに分割する構成にして、さらに、図38Bに断面形状を示すように膜厚を異ならせた場合と、図38Cに断面形状を示すように、第1の磁性体層11の一部(図中上半分)において反平行に磁化結合する、即ち磁化の向きが反対の第2の磁性体層12を設けて低磁化領域Lとした場合の2つのモデルを考えた。図38Bでは、高磁化領域Hの膜厚を6nmとし、低磁化領域Lの膜厚を4nmとしている。図38Cでは、第1の磁性体層11の膜厚を6nmとし、第2の磁性体層12の膜厚を2nmとして、低磁化領域Lにおいて、第1の磁性体層11の膜厚を4nmとした場合と実質的に同等の磁化量となるようにしている。これにより、図38Bの断面形状でも図38Cの断面形状でも平面内の磁化量分布が等しくなる。
【0080】
これらのモデルについて、正方形の一辺の長さlをl=100nm,200nm,300nm,400nmと変化させて、それぞれ計算を行った。
計算により得られたアステロイド曲線を、図39A(図38Bの断面形状の場合)及び図39A(図38Cの断面形状の場合)に、それぞれ示す。
【0081】
図39Aより、正方形の一辺の長さlが大きくなると、アシスト磁場が小さいところでの保磁力が急激に小さくなるが、反平行に磁気結合した膜を用いると、図39Bに示すように長さlの増大による保磁力の低下を小さくすることができる。
【0082】
次に、磁化量が異なる領域に分割する境界線を、印加する外部磁場の方向とは違う方向に向けた場合に、特性がどのように変化するか調べた。
図40に示すように、記憶層の平面形状が円形状であり、飽和磁束密度(Ms)が800emu/cmの高磁化領域Hと600emu/cmの低磁化領域Lとが設けられたモデルを考え、高磁化領域H及び低磁化領域Lを分割する境界線13と印加する外部磁場Hの方向とがなす角度θを変化させた。この角度θをθ=15°と30°にした場合、並びに対照例としてθ=0の場合について、それぞれ計算を行った。
計算により得られたアステロイド曲線を図41に示す。
図41より、境界線13が印加する磁場Hの方向と離れる(θが増大する)に従い、アステロイド曲線の上下方向及び左右方向での非対称性が大きくなる。
従って、境界線13の方向を、印加する磁場Hの方向と一致させるのが最適であることがわかる。
【0083】
次に、磁化量が異なる領域に分割する境界線を、直線ではなく湾曲した曲線とした場合に、特性がどのように変化するか調べた。
計算に用いた5つのモデルを図42に示す。いずれのモデルも、素子寸法が短軸130nm・長軸150nmの楕円形(アスペクト比1.15)で、膜厚4nmの低磁化領域Lと膜厚6nmの高磁化領域Hの二つの領域で形成され、飽和磁束密度Msが800emu/cmとなっている。
二つの領域の境界線14は、図42A〜図42Eにそれぞれ示すような曲率半径を持つ円弧(図42Cは直線)として、いずれも二つの領域の面積が等しくなるように楕円を分割した。
図42Aに示すモデル(No.1)は、境界線14を高磁化領域H側に凸になるように、曲率半径R=60nmの円弧とした。図42Bに示すモデル(No.2)は、境界線14を高磁化領域H側に凸になるように、曲率半径R=120nmの円弧とした。図42Cに示すモデル(No.3)は、境界線14を中心線(長軸)と一致させた。図42Dに示すモデル(No.4)は、境界線14を低磁化領域L側に凸になるように、曲率半径R=120nmの円弧とした。図42Eに示すモデル(No.5)は、境界線14を低磁化領域L側に凸になるように、曲率半径R=120nmの円弧とした。
それぞれのモデルで計算したアステロイド曲線を図43に示す。
図43より、境界線14の曲率によって、保磁力やアステロイド曲線の形が変わるものの、本発明の効果である、先端に対してなだらかな中腹を有する形状のアステロイド曲線が得られることから、境界線に曲率があっても記録の選択性の改善効果が期待できることがわかる。
【0084】
次に、本発明の磁気記憶素子を実際に作製して、磁気特性を測定した。
作製した磁気記憶素子20の平面構造を図44Aに示し、断面構造を図44Bに示す。
図44Aに示すように、磁気記憶素子20の平面形状を円形として、その中心線(直径)で、高磁化領域20H及び低磁化領域20Lに分割している。
【0085】
この記憶素子20は、シリコン基板21上に、例えばTa膜22を介して、例えば膜厚20nmのPtMn膜から成る反強磁性層23が形成され、その上に例えば膜厚0.5nmのCoFe膜24と、膜厚2nmのGdFeCo膜25と、膜厚0.5nmのCoFe膜26との3層を積層させた構造の磁化固定層(参照層)27が形成され、その上に例えば膜厚1nmのAl膜から成るトンネル絶縁膜28が形成され、その上に例えば膜厚3nmのCoFe膜から成る第1の磁性層29と、例えば膜厚10nmでありフェリ磁性体で室温において磁化量がほとんどなくなるように調整された組成を有するGdFeCo層30と、例えば膜厚1nmのCoFe膜から成る第2の磁性層31との3層を積層させた構造の記憶層32が形成され、さらにその上にTa膜33が形成されて、構成されている。
記憶層32を構成する、第1の磁性層29及び第2の磁性層31は、GdFeCo層30を挟んでいることにより、磁化の向きが同じになることから、第2の磁性層31により記憶層32のトータルの磁化量が増える。
そして、第2の磁性層31は図中右側のみに形成され、この右側が高磁化領域20Hとなる。一方図中左側では、第2の磁性層31とGdFeCo層30の表面付近が除去されており、低磁化領域20Lとなる。
【0086】
磁化固定層(参照層)27は、反強磁性層23により磁化の向きが固定され、記憶層32に対して、記憶の内容の基準となるものである。
そして、磁化固定層(参照層)27の磁化の向きと、記憶層32の磁化の向きの相対的な方向により、トンネル絶縁膜28を流れるトンネル電流の抵抗値が異なる。
従って、この磁気記憶素子20では、素子の膜厚方向に電流を流し、トンネル絶縁膜28にトンネル電流を流すことにより、記憶層32の磁化の向きを検知することができる。
【0087】
この記憶素子20の作製方法は、図5に示した方法(フォトレジストで高磁化領域をマスクしてイオンミリングを行う方法)とほぼ同様の方法とすることができる。特に2層の磁性層29,31の間にGdFeCo層30を設けたことにより、磁性層を除去する工程(例えばイオンミリング工程)の条件が変化して、除去量が多少変化したとしても、厚さが変化するのはGdFeCo層30内のみになり第1の磁性層29及び第2の磁性層31の膜厚が変化しないため、記憶素子20の記憶層32の磁化量分布に大きな変化が現れなくなる。
【0088】
この記憶素子20の磁気特性を測定し、得られたアステロイド曲線を図45に示す。
図45より、アシスト磁場が小さいときに保磁力が大きく、選択比の優れた記憶素子が実現できることがわかる。
【0089】
なお、本発明の磁気記憶素子の保磁力をさらに増加させたい場合は、記憶層の平面形状を、形状による磁気異方性を付加できる楕円形状や長方形状とすることが望ましい。
しかしながら、記憶層の平面形状のアスペクト比Rが大きくなると、磁気記憶素子の専有面積が大きくなるのに加えて、アスペクト比Rが1に近いものと比較して記録の選択性が劣化するので、アスペクト比Rを1.5以下にするのが好ましい。
【0090】
また、記憶層の平面形状を、正方形状や長方形状のように角張った形状とすると加工が難しくなる。図1に示したように、角部を適当な曲率を持った曲線とすることにより、加工を容易にすることができる。
【0091】
また、本発明において、磁気記憶素子を構成する各層のうち、記憶層以外の層の形状は特に限定されるものではない。
通常の磁気記憶素子では、記憶層を含む複数の層を同時にパターニングするため、これら複数の層が同じ平面形状になっている。本発明の磁気記憶素子においても、このような構成とすることが可能であるが、記憶層以外の層が記憶層と異なる平面形状となっている構成とすることも可能である。
【0092】
さらに、磁気記憶素子を多数有して成る磁気記憶装置を製造する場合のように、本発明の磁気記憶素子を多数形成する場合には、磁化量が異なる複数の領域や磁化量が変化する領域を形成しておき、その領域が形成された部分にそれぞれの磁気記憶素子を形成するようにして、その後パターニング等により各磁気記憶素子を形成することも可能である。
【0093】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0094】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、磁化容易軸方向の保磁力を大きい保磁力とすると共に、磁化容易軸方向の記録用磁場と、磁化容易軸に直交する方向又は磁化困難軸方向の磁場(アシスト磁場)が加わったときの保磁力を小さくすることができる。これにより、記録の選択性を向上することができ、目的の磁気記憶素子に対して確実に記録を行うことができる。
従って、磁気記憶素子を多数有する磁気記憶装置を構成したときに、各磁気記憶素子の磁気特性に多少のばらつきがあっても、記録の選択性が向上していることにより、記録時の誤書き込みを低減することができる。
【0095】
また、本発明によれば、記憶層の平面形状を円形状や正方形状或いはその中間的な形状のように対称性の高い形状としても、記憶層に一軸異方性を形成することが可能になる。
このため、例えば記憶層を含む磁気記憶素子全体をこのような対称性の高い平面形状として、専有面積を低減し、これにより、磁気記憶素子を多数有する磁気記憶装置において、素子を高密度に集積して記憶容量の増大又は装置の小型化を図ることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の磁気記憶素子を構成する記憶層の概略平面図である。
【図2】A 図1の記憶層に外部磁場を印加していないときの磁化状態を示す図である。
B 図1の記憶層に磁化容易軸方向に平行な外部磁場を印加したときの磁化状態を示す図である。
【図3】A 図1の記憶層に磁化容易軸方向に直交する方向の磁場を印加したときの磁化状態を示す図である。
B 図1の記憶層に図2Bの外部磁場と図3Aのアシスト磁場とを共に印加したときの磁化状態を示す図である。
【図4】膜厚を異ならせて磁化量を異ならせた形態の記憶層の断面図である。
【図5】A〜D 図4の記憶層の形成方法を示す工程図である。
【図6】組成を異ならせて磁化量を異ならせた形態の記憶層の断面図である。
【図7】A〜D 図6の記憶層の形成方法を示す工程図である。
【図8】結晶構造を異ならせて磁化量を異ならせた形態の記憶層の断面図である。
【図9】A〜E 図8の記憶層の形成方法を示す工程図である。
【図10】本発明の他の実施の形態の磁気記憶素子を構成する記憶層の概略構成図である。
A 記憶層の断面図である。
B 記憶層の平面図である。
【図11】A〜D 図10A及び図10Bの記憶層の形成方法を示す工程図である。
【図12】A〜C 他の記憶層の断面形状を示す図である。
【図13】楕円形状の磁性体を膜厚の異なる2つの領域に分割したモデルを示す図である。
A 平面図である。
B 断面図である。
【図14】図13のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図15】正方形状の磁性体を膜厚の異なる2つの領域に分割したモデルを示す図である。
A 平面図である。
B 断面図である。
【図16】図15のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図17】円形状の磁性体を膜厚の異なる2つの領域に分割したモデルを示す図である。
A 平面図である。
B 断面図である。
【図18】図17のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図19】正方形状の角部を丸めた形状の磁性体を膜厚の異なる2つの領域に分割したモデルを示す図である。
A 平面図である。
B 断面図である。
【図20】図19のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図21】正方形状の磁性体を対角線で膜厚の異なる2つの領域に分割したモデルを示す図である。
A 平面図である。
B 断面図である。
【図22】図21のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図23】長方形状の磁性体を飽和磁束密度の異なる2つの領域に分割したモデルを示す図である。
【図24】図23のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図25】楕円形状の磁性体を飽和磁束密度の異なる2つの領域に分割したモデルを示す図である。
【図26】図25のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図27】図23及び図25のモデル等におけるアスペクト比に対する保磁力の変化を示す図である。
【図28】図23及び図25のモデル等におけるアスペクト比に対する磁化反転可能な最小磁場の変化を示す図である。
【図29】図23及び図25のモデル等におけるアスペクト比に対する最小磁場と保磁力との比の変化を示す図である。
【図30】楕円形状の磁性体を膜厚の異なる領域に分割したモデルを示す図である。
A 平面図である。
B 断面図である。
【図31】図30のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図32】正方形状の記憶層全面を磁化量が変化する領域としたモデルを示す図である。
A 断面の飽和磁束密度の変化を示す図である。
B 平面図である。
【図33】正方形状の記憶層の一部を磁化量が変化する領域としたモデルを示す図である。
A 断面の飽和磁束密度の変化を示す図である。
B 平面図である。
【図34】A 図32のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
B 図33のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図35】円形状の記憶層全面を磁化量が変化する領域としたモデルを示す図である。
A 断面の飽和磁束密度の変化を示す図である。
B 平面図である。
【図36】円形状の記憶層の一部を磁化量が変化する領域としたモデルを示す図である。
A 断面の飽和磁束密度の変化を示す図である。
B 平面図である。
【図37】A 図35のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
B 図36のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図38】A 正方形の平面形状の記憶層を低磁化領域及び高磁化領域に分割した構成を示す平面図である。
B 膜厚を異ならせた場合を示す断面図である。
C 磁化の向きが反対の磁性体層を設けた場合を示す断面図である。
【図39】A 図38Bの断面形状のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
B 図38Cの断面形状のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図40】磁化量が異なる領域に分割する境界線を、印加する外部磁場の方向とは違う方向に向けたモデルを示す図である。
【図41】図40のモデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図42】A〜E 磁化量が異なる領域に分割する境界線の形状を、それぞれ異なる曲線にした各モデルを示す図である。
【図43】図42A〜図42Eの各モデルにおいて計算により求めたアステロイド曲線である。
【図44】A 磁気特性を測定した磁気記憶素子の平面構造を示す図である。
B 磁気特性を測定した磁気記憶素子の断面構造を示す図である。
【図45】図44の磁気記憶素子の磁気特性を測定して得られたアステロイド曲線である。
【符号の説明】
1,10,20 磁気記憶素子、2 記憶層、2H,20H,H 高磁化領域、2L,20L,L 低磁化領域、3,13,14 境界線

Claims (8)

  1. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層を備え、
    前記記憶層が磁化量の異なる複数の領域に分割されている
    ことを特徴とする磁気記憶素子。
  2. 前記磁化量が異なる各領域に分割する境界線が、前記記憶層の磁化容易軸方向と略平行な方向であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶素子。
  3. 前記磁化量が異なる各領域は、膜厚、組成、結晶構造のうち、少なくとも1つ以上の構成が異なることにより磁化量が異なることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶素子。
  4. 前記記憶層に対して、記憶の基準となる参照層を構成する磁性体層が設けられ、前記記憶層と前記参照層の相対的な磁化方向を検出することにより、前記記憶層に記録された前記情報が読み出されることを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶素子。
  5. 情報を磁性体の磁化状態によって保持する記憶層を備え、
    前記記憶層は、磁化量が変化する領域を有している
    ことを特徴とする磁気記憶素子。
  6. 前記磁化量が変化する領域において、磁化量が変化する方向が、前記記憶層の磁化容易軸方向と略直交する方向であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶素子。
  7. 前記磁化量が変化する領域は、膜厚、組成、結晶構造のうち、少なくとも1つ以上の構成が変化することにより磁化量が変化することを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶素子。
  8. 前記記憶層に対して、記憶の基準となる参照層を構成する磁性体層が設けられ、前記記憶層と前記参照層の相対的な磁化方向を検出することにより、前記記憶層に記録された前記情報が読み出されることを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶素子。
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