JP2004318004A - 画像形成媒体 - Google Patents
画像形成媒体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004318004A JP2004318004A JP2003115327A JP2003115327A JP2004318004A JP 2004318004 A JP2004318004 A JP 2004318004A JP 2003115327 A JP2003115327 A JP 2003115327A JP 2003115327 A JP2003115327 A JP 2003115327A JP 2004318004 A JP2004318004 A JP 2004318004A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- image forming
- forming medium
- image
- layer
- layers
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Cleaning In Electrography (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Ink Jet (AREA)
- Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
Abstract
【課題】従来のトナーやインクを用いた通常の画像形成装置によって良好な画像形成を行い、形成した画像を容易に消去でき、さらには、画像形成と消去を繰り返し行うことが可能な画像形成媒体、画像形成媒体の製造方法および画像形成媒体の再生方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2種以上の異種材料を順次積層した単位を1ユニットとし、少なくとも2ユニット以上が積層された画像形成媒体において、画像を形成した最上層ユニットを剥離して該画像を消去し、剥離後の最上層に新たに画像を形成することにより、繰り返し利用することを特徴とする画像形成媒体。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも2種以上の異種材料を順次積層した単位を1ユニットとし、少なくとも2ユニット以上が積層された画像形成媒体において、画像を形成した最上層ユニットを剥離して該画像を消去し、剥離後の最上層に新たに画像を形成することにより、繰り返し利用することを特徴とする画像形成媒体。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式、印刷方式等を用いることにより画像を形成し、かつ形成された画像を消去して繰り返し利用することが可能な画像形成媒体、画像形成媒体の製造方法および画像形成媒体の再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、記録紙上のインクまたはトナーを消色または剥離することにより再利用可能な画像形成媒体の開発が盛んに行われている。未使用の紙の表面にシリコーンシール剤などの離型剤を塗布し、複写再生用用紙を作製した後に該離型剤塗布面上に画像形成複写を行い、該画像形成体を熱溶融性樹脂と接着させ画像を除去し、複写再生用用紙を作製する方法が開示されている。しかし、この方法は離型剤上に画像を形成するため、定着性が悪くなり、また加熱状態で機械的に画像を剥ぎ取ることから、紙繊維中に浸透した画像成分のトナー樹脂を完全に除去することができないという欠点を有している。(例えば、特許2584112号公報:特許文献1、特開平4−67043号公報:2参照)
【0003】
また、消色性トナーを使用する方法が記載されており(例えば、特開平5−333589号公報:特許文献3、特開平6−51669号公報:特許文献4参照)、さらには、トナーを構成する結合樹脂を熱分解することにより記録紙表面からトナーを除く方法が開示されている(例えば、特許3061313号公報:特許文献5参照)。他にも、光分解性トナーを使用する方法が開示されている(例えば、特許3237375号公報:特許文献6、特開平7−295304号公報:特許文献7参照)。しかし、これら特殊なトナーを用いる場合は、トナーの摩擦帯電特性や記録紙への転写特性といった従来の作像プロセスに対して悪影響を与え、画像品位の低下が生じたり、皺や折曲げにより再生後の紙の品質が保てない等の欠点を有している。
【0004】
【特許文献1】
特許2584112号公報
【特許文献2】
特開平4−67043号公報
【特許文献3】
特開平5−333589号公報
【特許文献4】
特開平6−51669号公報
【特許文献5】
特許3061313号公報
【特許文献6】
特許3237375号公報
【特許文献7】
特開平7−295304号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記技術の欠点を解決し、従来のトナーやインクを用い、電子写真方式、溶融熱転写記録や昇華型熱転写記録等の熱転写方式、インクジェット記録方式、レーザー記録方式、グラビア印刷法もしくはオフセット印刷法といった通常の画像形成装置によって良好な画像形成を行い、画像形成媒体上に形成された画像を消去したい場合には、画像を容易に消去でき、さらには、前記画像の形成と消去を繰り返し行うことが可能な画像形成媒体、画像形成媒体の製造方法および画像形成媒体の再生方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、画像形成媒体、画像形成媒体の製造方法および画像形成媒体の再生方法に関して鋭意研究の結果、画像形成媒体の画像形成層を剥離することにより、所望の画像形成媒体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。その方法をさらに具体的に述べると、上記課題を解決するための本発明は、以下の各発明を包含する。
異種材料とは組成が同じでも分子量や密度が異なる場合も含む。また顔料等の添加剤が含まれる場合も異種材料となる。同種材料の多層体では層を剥離することができない。
【0007】
本発明は下記態様を有する。
(1)少なくとも2種以上の異種材料を順次積層した単位を1ユニットとし、少なくとも2ユニット以上が積層された画像形成媒体において、層間で剥離可能であり、かつ繰り返し利用可能であることを特徴とする画像形成媒体。
(2)前記画像形成媒体において、ユニット間の界面で剥離可能であり、かつ繰り返し利用可能であることを特徴とする(1)記載の画像形成媒体。
(3)前記異種材料が有機高分子材料であることを特徴とする(1)または(2)記載の画像形成媒体。
(4)前記積層した少なくとも1種の層が無機顔料を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成媒体。
(5)前記異種材料が、超多層溶融押出形成法により積層されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成媒体の製造方法。
(6)画像を形成した最上層ユニットを剥離して該画像を消去し、剥離後の最上層に新たに画像を形成することにより、繰り返し利用することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成媒体の再生方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明に係わる画像形成媒体は、少なくとも2種以上の異種材料が、少なくとも2層以上積層された多層積層体からなり、その層を形成する材料は特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂などの有機高分子材料が好ましく使用でき、ポリシロキサン等の無機化合物を用いることもできる。熱可塑性樹脂の具体的なものとしては、例えば線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・シクロオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等のポリオレフィン、ナイロン6等のポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アイオノマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、さらに他の公知の導電性ポリマー、分解性ポリマー、圧電性ポリマー、およびこれらを2種以上含む組成物などがあげられる。これらの樹脂はヒドロキシル基、無水カルボン酸等の官能基により修飾されていてもよい。上記材料の組合せも特に限定されず、2種以上の異種の材料が任意に組み合せて使用できる。
【0009】
本発明に係わる画像形成媒体には、隠蔽性(非透過性あるいは白色性)または印字適性を付与することを目的として、無機顔料を含有することが望ましい。
無機顔料としては、シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機質微粉末があげられる。上記無機顔料以外にも架橋高分子や有機質白色顔料などの有機質微粉末を用いることができる。
【0010】
本発明に係わる画像形成媒体は、上記のような2種以上の材料からなる層が積層された積層体であって、少なくとも1種の層の厚みが0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μmである。
【0011】
本発明に係わる画像形成媒体の1ユニットを形成する層数は2〜5000、好ましくは5〜2000、より好ましくは30〜500である。
【0012】
本発明に係わる画像形成媒体のユニット数の合計は2〜10000、好ましくは10〜2000、より好ましくは30〜500である。ユニット数が10000を越えると層の乱れが生じて剥離が悪化したりする場合がある。
【0013】
本発明に係わる画像形成媒体の1ユニットが2種の層からなる場合、材料の組合せとしては、例えばポリエチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ナイロン6、エチレン・プロピレン共重合体/ナイロン6、プロピレン・エチレンブロック共重合体/エチレン・プロピレン共重合体、ポリプロピレン/エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリスチレン/ポリプロピレン、ポリスチレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレンなどがあげられる。
【0014】
本発明に係わる画像形成媒体の1ユニットが2種の層からなる場合、一方の層と他方の層との合計の厚みの比は、1:99〜99:1、好ましくは5:95〜95:5であるのが望ましい。
【0015】
本発明に係わる画像形成媒体は、例えば多層インフレーション法、多層Tダイ法、押出ラミネーション法等の共押出成形法、ドライまたはウェットラミネーション法、サンドイッチ成形法、2色成形法、多層ブロー法、スタンピング成形法などから得られた多層積層体を複数枚重ねて接着又は疑似接着するにより製造することができるが、本発明に係わる超多層溶融押出形成法を用いることにより超多層薄膜化することが好ましい。図1に例を示す。
【0016】
本発明に係わる超多層溶融押出形成法としては、次のような方法が挙げられるが、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる(例えば特開平7−205252号公報、特開平7−251435号公報)。
【0017】
特開平7−205252号公報は
「一種類以上の溶融樹脂からなる樹脂層を多層ダイより吐出供給し、該樹脂層を折り畳むようにして重層化する第1操作と、前記重層化された樹脂層の巾を拡大する第2操作とを、それぞれの樹脂流路を通して順次連続的になすことを特徴とする多重層シート状物の製造方法。」を開示している。
特開平7−251435号公報は
「 一種類以上の溶融樹脂を重層ダイより重層状態で吐出し、この吐出される重層溶融樹脂を吐出方向に沿って分割しつつ各分割溶融樹脂を捻転流路を通して反転する工程を、所定の回数繰り返すことにより樹脂の重合層数を連続的に増加させ、所定の層数に達した後に同重合溶融樹脂を拡幅しながらシート状に押し出すことを備えてなることを特徴とする多重層シート状物の製造方法。」を開示している。
【0018】
まず少なくとも2種以上の材料が積層された層流を形成する。次にこの層流を積層界面と交差する長手方向の分割面で、複数の分割層流を形成する。層流の分割は一度で行って目的の数の分割層流を形成することもできるし、多段階で行うこともでき、分割層流の数は通常2〜8程度とするのが好ましい。多段階の場合は、例えば逐次2分割を行い、目的の数の分割層流を形成することができる。
【0019】
次に分割層流を長手方向を回転軸として捻転する。捻転方向は回転軸の周りのいずれの方向でもよい。捻転角度は10〜90°が好ましい。また分割層流はそれぞれ同じ方向に捻転してもよく、隣り同士を互いに逆方向に捻転してもよい。
捻転した分割層流は、各々間隔を保って配置し、互いに平行に維持するのが好ましい。次に捻転した分割層流を重ね合せて積層一体化し、積層層流を形成する。
【0020】
前記の工程において最初の層流または積層層流を任意の時点で薄層化して幅を拡大すると、最初の層流とほぼ同じ形状で、各層が薄層化して積層数が増加した積層層流が得られる。このような積層層流は前回と同様の分割−捻転−積層−薄層化の各工程を繰返すことにより、さらに薄層化および多層化することができる。
そしてこの操作を繰返すことにより各層は薄膜化し、薄膜層が多層積層されて均一に分布する多層積層体が製造される。
【0021】
上記の層流は2層でも3層以上でもよく、また表面側の層と裏面側の層とは同種の層でも異種の層でもよい。
【0022】
上記工程において、最初の層流の積層数は2〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜6である。各工程の繰返し回数は1〜15回が好ましく、さらに好ましくは1〜11回である。
【0023】
上記の製造方法では、共押出成形により形成された層流を、加熱軟化状態において成形型を通過させることにより、各工程の操作を行うことができる。この場合、前記各工程の1サイクルを1個の成形型で行うことにより、同じ形状の成形型を多数直列に接続し、各工程を繰返すことができる。
【0024】
本発明の多層積層体の製造方法を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係わる画像形成媒体の積層形成を示す斜視図である。図1において、層流1は平板状の層流で、異種の樹脂層2、3が溶融状態で積層されており、矢印X方向に移動する。層流1は共押出成形または共射出成形などにより得られる。
【0025】
層流1は樹脂層2、と樹脂層3の積層界面4と直交する分割面5a、5b、5cにより4個の分割層流1a、1b、1c、1dに分割される。この分割層流1a、1b、1c、1dはそれぞれ同一方向に90°捻転される。この場合、捻転された分割層流1a、1b、1c、1dは互いに平行に維持するのが好ましい。捻転された分割層流1a、1b、1c、1dは積層一体化され、2/3/2/3/2/3/2/3の8層から構成される積層層流6が形成される。この場合、各分割層流1a、1b、1c、1dを一度で積層一体化してもよいし、多段階例えば2段階で積層一体化してもよい。
【0026】このようにして形成された積層層流6は、各工程を繰返すために、次の分割工程に送られる。このとき、積層層流6は薄層化して幅を拡大するのが好ましい。この薄層化および拡幅化は、例えば積層層流6を、進行方向に従って厚みが小さく、かつ幅が広くなるようなテーパーを有する流路内を移動させることにより行うことができる。また積層層流6をロールで圧延することにより行うことができる。積層層流6を分割工程に送る場合、図2に示すように、積層層流6は捻転を元の角度まで戻すのが好ましい。こうすることにより、連続して得られる積層層流6をロール上で次の分割工程に移動させることができる。
【0027】このようにして各工程を繰返すことにより、樹脂層2、3はさらに薄層化および多層化し、薄膜層が積層された多層積層体が得られる。例えば、図1では積層層流6に対して各工程を2回繰返すことにより32層、3回繰返すことにより128層、4回繰返すことにより512層、n回繰返すことにより2×4n層の多層積層体が得られる。繰返し回数は任意に選択できる。各層の厚さは最初の層流1の樹脂層2、3の厚さまたは繰返し回数を選択することにより調整することができる。
【0028】なお図1では、層流の樹脂層が2層の例を示したが3層以上でもよい。また分割層流の数も任意に選択でき、例えば2個にすることもできる。この場合積層層流6に対して各工程をn回繰返すことにより2×2n層の多層積層体が得られる。さらに捻転の方向および角度も任意に選択できる。例えば、分割層流1a、1cを+90°捻転させ、分割層流1b、1dを−90°捻転させてもよい。この場合2/(3・3)/(2・2)/(3・3)/2の5層から構成される積層層流が形成される。
【0029】
上記により得られる多層積層体はフィルム状、シート状、ブロック状など、任意の形状の成形体として得られる。このような多層積層体はそのまま、または必要に応じてさらに延伸、圧延などの二次加工を施して使用することができる。
【0030】
本発明に係わる画像形成媒体の延伸方法としては、特に限定されないが、ロール延伸法(周速の異なる2本あるいは多本数のロール間でフィルムの走行方向に延伸する方法)、長間隙延伸法、テンター延伸法(クリップに保持して拡げていく延伸方法)、チューブラー延伸法、インフレーション延伸法(空気圧によって拡げる延伸方法)等のいずれの方法を用いることが可能であり、これら公知の延伸方法によって所定の一方向(主延伸方向)へ延伸される。いずれの方法においても、逐次2軸延伸、同時2軸延伸、1軸延伸およびこれらの組み合わせにより延伸を行う。
【0031】
本発明に係わる画像形成媒体の剥離方法は、特に限定されるものではなく、ナイフ等の工具を用いてフィルムを剥離する方法、薬液により剥離する方法、フィルム表面を温風ドライヤー等で加熱して剥離する方法、紫外線もしくは電子線等を照射することにより層を破壊して剥離する方法、粘着性を有する物品を最表層に貼着させた後、最表層を引き剥がす方法等があげられる。
【0032】
本発明に係わる画像形成媒体の画像形成方法は、特に限定されるものではなく、従来のトナーやインクを用いた電子写真方式、溶融熱転写記録や昇華型熱転写記録等の熱転写方式、インクジェット記録方式、レーザー記録方式、印刷方式といった画像形成装置のいずれであっても良い。
【0033】
本発明に係わる画像形成媒体において、離形性向上の目的で、滑り剤を配合することもできる。滑剤としてはフッ素樹脂、シリコン樹脂、及び有機スルホン酸塩化合物、有機燐酸塩化合物、有機カルボン酸塩化合物などの界面活性剤をあげることができる。画像の耐光性向上剤として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、などを配合することもできる。さらに、必要により帯電防止剤、可塑剤、着色剤等を適量含有させることも可能である。
【0034】
本発明の画像形成媒体は、ラミネート層として支持体上に形成してもよい。使われる支持体としては、紙、板紙、これらの紙にポリエチレンやポリエステルフィルムをラミネートしたラミネート紙、ポリエステルフィルムなどのフィルムやプラスチックシートなどから選択できるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0035】
本発明において、剥離された画像形成媒体の最上層は、画像が記録された状態で保持されているためアルバムへの保存や裏面に粘着加工を施すことによりシールとして利用することができる。
【0036】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0037】
【実施例】
下記の実施例で採用した測定・評価方法は次の通りである。なお、以下の記載において、「部」とは「質量部」を、「%」とは「質量%」をそれぞれ表す。
【0038】
実施例1 下記操作により画像形成媒体を作成した。
(1)画像形成媒体の作成
押出機Aから220℃にてポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]を押し出し、押出機Bから220℃でポリスチレン[旭化成(株)製HH102、MI2.6、密度1.05]を押し出した。
このとき押出機Aの吐出量(Qa)と押出機Bの吐出量(Qb)との重量比がQa/Qb=30/70になるように調整し、ポリエチレン層とポリスチレン層との2層の加熱状態の層流を形成し、これを長手方向に平行であってかつ積層界面に垂直な分割面で2分割した。
【0039】
得られた2分割層流を、その長手方向を回転軸として90°捻転させた後、この分割層流の平手方向を互いに平行に維持し、各分割層流の平手面同士を重ね合わせて積層一体化し、加熱状態の4層の積層層流を製造し、さらに上記工程を繰り返すことにより(合計6回実施)、最上層がポリエチレン層であり、層数が256層、厚みが125μmである未延伸シートの画像形成媒体を得た。
【0040】
(2)画像形成、消去試験
このようにして得られた画像形成媒体に、熱転写カラープリンター(アルプス電機(株)商標:MV−5000)により、その表面にインク画像を転写記録した。得られたインク転写画像について下記のように目視評価した。なお下記評価基準において○レベルは良好で実用に適し、△レベルは実用上問題なく、×レベルでは不十分で実用に適さない。
(2−1)インクリボンから受容層に転写されたインクのドットを観察し、ドット再現性の良好なものから順に○、△、×の3段階で評価した。
(2−2)カラー画像の鮮明性を観察し、良好なものから順に○、△、×の3段階で評価した。
【0041】
さらに、この試料の端面をナイフで削り、転写記録した層の剥離を行い記録した画像を消去し、剥離後に現れる最上層について下記のように評価した。
(2−3)剥離した転写記録層のインクの染み込みを観察し、染み込みのない良好なものから順に、○、△、×の3段階で目視評価した。
(2−4)剥離後の最上層に塗膜の剥がれや亀裂を観察し、剥がれや亀裂のない良好なものから順に、○、△、×の3段階で評価した。
【0042】
(3)繰り返し耐久性試験
上記(2)項の画像形成、消去試験を80回繰り返した後、目視評価を行った。テスト結果を表1に示す。
【0043】
実施例2
実施例1と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、押出機Aから押し出すポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]のかわりに、ポリプロピレン樹脂[日本ポリオレフィン(株)製JF330N、MI1.0、密度0.924]を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0044】
実施例3
実施例1と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、押出機Aから押し出すポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]のかわりに、ポリプロピレン[日本ポリケム(株)製 FL6CK、MI2.4、密度0.90〜0.91]70%、シリカ(トクヤマ X−60)30%の組成からなる原料を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
実施例3と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し未延伸シートを155℃に加熱した後、縦方向と横方向に4倍に延伸し2軸延伸フィルムとした。
【0046】
実施例5
実施例4と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、画像形成、消去試験にあたり、熱転写カラープリンター(アルプス電機(株)商標:MV−5000)のかわりにインクジェットプリンター(EPSON製、PM800C)を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0047】
比較例1
実施例1と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、押出機Aから押し出すポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]のかわりに、ポリスチレン[旭化成(株)製HH102、MI2.6、密度1.05]80%、無定形シリカ(ミズカシルP−603、水沢化学社製)20%を用いた。テスト結果を表1に示す。
比較例2
実施例1と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、押出機Bから押し出すポリスチレン(PS)[旭化成(株)製HH102、MI2.6、密度1.05]のかわりにポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]70%、水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、ハイジライトH−42)30%の組成からなる原料を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1から明らかなように、比較例1、2の同種の樹脂材料からなる画像形成媒体は、繰り返し試験後、塗膜に剥がれや亀裂が生じ、繰り返し利用できない。
これらに対し、実施例1〜5の本発明の画像形成媒体は、インクのドット再現性、画像の鮮明性に優れ、転写記録層の剥離後に現れる画像形成媒体の最上層にインクの染み込みがなく、塗膜の剥がれや亀裂も生じなかった。また繰り返し試験後も良好な性能を示した。
【0050】
【発明の効果】
本発明の画像形成媒体は、画像形成層の剥離により、画像の消去が可能であり、繰り返し耐久性に優れている。従って、本発明の画像形成媒体は、実用上の価値の極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成媒体の製造例を示す。
【図2】本発明の捻転を例示する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式、印刷方式等を用いることにより画像を形成し、かつ形成された画像を消去して繰り返し利用することが可能な画像形成媒体、画像形成媒体の製造方法および画像形成媒体の再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、記録紙上のインクまたはトナーを消色または剥離することにより再利用可能な画像形成媒体の開発が盛んに行われている。未使用の紙の表面にシリコーンシール剤などの離型剤を塗布し、複写再生用用紙を作製した後に該離型剤塗布面上に画像形成複写を行い、該画像形成体を熱溶融性樹脂と接着させ画像を除去し、複写再生用用紙を作製する方法が開示されている。しかし、この方法は離型剤上に画像を形成するため、定着性が悪くなり、また加熱状態で機械的に画像を剥ぎ取ることから、紙繊維中に浸透した画像成分のトナー樹脂を完全に除去することができないという欠点を有している。(例えば、特許2584112号公報:特許文献1、特開平4−67043号公報:2参照)
【0003】
また、消色性トナーを使用する方法が記載されており(例えば、特開平5−333589号公報:特許文献3、特開平6−51669号公報:特許文献4参照)、さらには、トナーを構成する結合樹脂を熱分解することにより記録紙表面からトナーを除く方法が開示されている(例えば、特許3061313号公報:特許文献5参照)。他にも、光分解性トナーを使用する方法が開示されている(例えば、特許3237375号公報:特許文献6、特開平7−295304号公報:特許文献7参照)。しかし、これら特殊なトナーを用いる場合は、トナーの摩擦帯電特性や記録紙への転写特性といった従来の作像プロセスに対して悪影響を与え、画像品位の低下が生じたり、皺や折曲げにより再生後の紙の品質が保てない等の欠点を有している。
【0004】
【特許文献1】
特許2584112号公報
【特許文献2】
特開平4−67043号公報
【特許文献3】
特開平5−333589号公報
【特許文献4】
特開平6−51669号公報
【特許文献5】
特許3061313号公報
【特許文献6】
特許3237375号公報
【特許文献7】
特開平7−295304号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記技術の欠点を解決し、従来のトナーやインクを用い、電子写真方式、溶融熱転写記録や昇華型熱転写記録等の熱転写方式、インクジェット記録方式、レーザー記録方式、グラビア印刷法もしくはオフセット印刷法といった通常の画像形成装置によって良好な画像形成を行い、画像形成媒体上に形成された画像を消去したい場合には、画像を容易に消去でき、さらには、前記画像の形成と消去を繰り返し行うことが可能な画像形成媒体、画像形成媒体の製造方法および画像形成媒体の再生方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、画像形成媒体、画像形成媒体の製造方法および画像形成媒体の再生方法に関して鋭意研究の結果、画像形成媒体の画像形成層を剥離することにより、所望の画像形成媒体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。その方法をさらに具体的に述べると、上記課題を解決するための本発明は、以下の各発明を包含する。
異種材料とは組成が同じでも分子量や密度が異なる場合も含む。また顔料等の添加剤が含まれる場合も異種材料となる。同種材料の多層体では層を剥離することができない。
【0007】
本発明は下記態様を有する。
(1)少なくとも2種以上の異種材料を順次積層した単位を1ユニットとし、少なくとも2ユニット以上が積層された画像形成媒体において、層間で剥離可能であり、かつ繰り返し利用可能であることを特徴とする画像形成媒体。
(2)前記画像形成媒体において、ユニット間の界面で剥離可能であり、かつ繰り返し利用可能であることを特徴とする(1)記載の画像形成媒体。
(3)前記異種材料が有機高分子材料であることを特徴とする(1)または(2)記載の画像形成媒体。
(4)前記積層した少なくとも1種の層が無機顔料を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成媒体。
(5)前記異種材料が、超多層溶融押出形成法により積層されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成媒体の製造方法。
(6)画像を形成した最上層ユニットを剥離して該画像を消去し、剥離後の最上層に新たに画像を形成することにより、繰り返し利用することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成媒体の再生方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明に係わる画像形成媒体は、少なくとも2種以上の異種材料が、少なくとも2層以上積層された多層積層体からなり、その層を形成する材料は特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂などの有機高分子材料が好ましく使用でき、ポリシロキサン等の無機化合物を用いることもできる。熱可塑性樹脂の具体的なものとしては、例えば線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・シクロオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等のポリオレフィン、ナイロン6等のポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アイオノマー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、さらに他の公知の導電性ポリマー、分解性ポリマー、圧電性ポリマー、およびこれらを2種以上含む組成物などがあげられる。これらの樹脂はヒドロキシル基、無水カルボン酸等の官能基により修飾されていてもよい。上記材料の組合せも特に限定されず、2種以上の異種の材料が任意に組み合せて使用できる。
【0009】
本発明に係わる画像形成媒体には、隠蔽性(非透過性あるいは白色性)または印字適性を付与することを目的として、無機顔料を含有することが望ましい。
無機顔料としては、シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機質微粉末があげられる。上記無機顔料以外にも架橋高分子や有機質白色顔料などの有機質微粉末を用いることができる。
【0010】
本発明に係わる画像形成媒体は、上記のような2種以上の材料からなる層が積層された積層体であって、少なくとも1種の層の厚みが0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μmである。
【0011】
本発明に係わる画像形成媒体の1ユニットを形成する層数は2〜5000、好ましくは5〜2000、より好ましくは30〜500である。
【0012】
本発明に係わる画像形成媒体のユニット数の合計は2〜10000、好ましくは10〜2000、より好ましくは30〜500である。ユニット数が10000を越えると層の乱れが生じて剥離が悪化したりする場合がある。
【0013】
本発明に係わる画像形成媒体の1ユニットが2種の層からなる場合、材料の組合せとしては、例えばポリエチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ナイロン6、エチレン・プロピレン共重合体/ナイロン6、プロピレン・エチレンブロック共重合体/エチレン・プロピレン共重合体、ポリプロピレン/エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリスチレン/ポリプロピレン、ポリスチレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレンなどがあげられる。
【0014】
本発明に係わる画像形成媒体の1ユニットが2種の層からなる場合、一方の層と他方の層との合計の厚みの比は、1:99〜99:1、好ましくは5:95〜95:5であるのが望ましい。
【0015】
本発明に係わる画像形成媒体は、例えば多層インフレーション法、多層Tダイ法、押出ラミネーション法等の共押出成形法、ドライまたはウェットラミネーション法、サンドイッチ成形法、2色成形法、多層ブロー法、スタンピング成形法などから得られた多層積層体を複数枚重ねて接着又は疑似接着するにより製造することができるが、本発明に係わる超多層溶融押出形成法を用いることにより超多層薄膜化することが好ましい。図1に例を示す。
【0016】
本発明に係わる超多層溶融押出形成法としては、次のような方法が挙げられるが、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる(例えば特開平7−205252号公報、特開平7−251435号公報)。
【0017】
特開平7−205252号公報は
「一種類以上の溶融樹脂からなる樹脂層を多層ダイより吐出供給し、該樹脂層を折り畳むようにして重層化する第1操作と、前記重層化された樹脂層の巾を拡大する第2操作とを、それぞれの樹脂流路を通して順次連続的になすことを特徴とする多重層シート状物の製造方法。」を開示している。
特開平7−251435号公報は
「 一種類以上の溶融樹脂を重層ダイより重層状態で吐出し、この吐出される重層溶融樹脂を吐出方向に沿って分割しつつ各分割溶融樹脂を捻転流路を通して反転する工程を、所定の回数繰り返すことにより樹脂の重合層数を連続的に増加させ、所定の層数に達した後に同重合溶融樹脂を拡幅しながらシート状に押し出すことを備えてなることを特徴とする多重層シート状物の製造方法。」を開示している。
【0018】
まず少なくとも2種以上の材料が積層された層流を形成する。次にこの層流を積層界面と交差する長手方向の分割面で、複数の分割層流を形成する。層流の分割は一度で行って目的の数の分割層流を形成することもできるし、多段階で行うこともでき、分割層流の数は通常2〜8程度とするのが好ましい。多段階の場合は、例えば逐次2分割を行い、目的の数の分割層流を形成することができる。
【0019】
次に分割層流を長手方向を回転軸として捻転する。捻転方向は回転軸の周りのいずれの方向でもよい。捻転角度は10〜90°が好ましい。また分割層流はそれぞれ同じ方向に捻転してもよく、隣り同士を互いに逆方向に捻転してもよい。
捻転した分割層流は、各々間隔を保って配置し、互いに平行に維持するのが好ましい。次に捻転した分割層流を重ね合せて積層一体化し、積層層流を形成する。
【0020】
前記の工程において最初の層流または積層層流を任意の時点で薄層化して幅を拡大すると、最初の層流とほぼ同じ形状で、各層が薄層化して積層数が増加した積層層流が得られる。このような積層層流は前回と同様の分割−捻転−積層−薄層化の各工程を繰返すことにより、さらに薄層化および多層化することができる。
そしてこの操作を繰返すことにより各層は薄膜化し、薄膜層が多層積層されて均一に分布する多層積層体が製造される。
【0021】
上記の層流は2層でも3層以上でもよく、また表面側の層と裏面側の層とは同種の層でも異種の層でもよい。
【0022】
上記工程において、最初の層流の積層数は2〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜6である。各工程の繰返し回数は1〜15回が好ましく、さらに好ましくは1〜11回である。
【0023】
上記の製造方法では、共押出成形により形成された層流を、加熱軟化状態において成形型を通過させることにより、各工程の操作を行うことができる。この場合、前記各工程の1サイクルを1個の成形型で行うことにより、同じ形状の成形型を多数直列に接続し、各工程を繰返すことができる。
【0024】
本発明の多層積層体の製造方法を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係わる画像形成媒体の積層形成を示す斜視図である。図1において、層流1は平板状の層流で、異種の樹脂層2、3が溶融状態で積層されており、矢印X方向に移動する。層流1は共押出成形または共射出成形などにより得られる。
【0025】
層流1は樹脂層2、と樹脂層3の積層界面4と直交する分割面5a、5b、5cにより4個の分割層流1a、1b、1c、1dに分割される。この分割層流1a、1b、1c、1dはそれぞれ同一方向に90°捻転される。この場合、捻転された分割層流1a、1b、1c、1dは互いに平行に維持するのが好ましい。捻転された分割層流1a、1b、1c、1dは積層一体化され、2/3/2/3/2/3/2/3の8層から構成される積層層流6が形成される。この場合、各分割層流1a、1b、1c、1dを一度で積層一体化してもよいし、多段階例えば2段階で積層一体化してもよい。
【0026】このようにして形成された積層層流6は、各工程を繰返すために、次の分割工程に送られる。このとき、積層層流6は薄層化して幅を拡大するのが好ましい。この薄層化および拡幅化は、例えば積層層流6を、進行方向に従って厚みが小さく、かつ幅が広くなるようなテーパーを有する流路内を移動させることにより行うことができる。また積層層流6をロールで圧延することにより行うことができる。積層層流6を分割工程に送る場合、図2に示すように、積層層流6は捻転を元の角度まで戻すのが好ましい。こうすることにより、連続して得られる積層層流6をロール上で次の分割工程に移動させることができる。
【0027】このようにして各工程を繰返すことにより、樹脂層2、3はさらに薄層化および多層化し、薄膜層が積層された多層積層体が得られる。例えば、図1では積層層流6に対して各工程を2回繰返すことにより32層、3回繰返すことにより128層、4回繰返すことにより512層、n回繰返すことにより2×4n層の多層積層体が得られる。繰返し回数は任意に選択できる。各層の厚さは最初の層流1の樹脂層2、3の厚さまたは繰返し回数を選択することにより調整することができる。
【0028】なお図1では、層流の樹脂層が2層の例を示したが3層以上でもよい。また分割層流の数も任意に選択でき、例えば2個にすることもできる。この場合積層層流6に対して各工程をn回繰返すことにより2×2n層の多層積層体が得られる。さらに捻転の方向および角度も任意に選択できる。例えば、分割層流1a、1cを+90°捻転させ、分割層流1b、1dを−90°捻転させてもよい。この場合2/(3・3)/(2・2)/(3・3)/2の5層から構成される積層層流が形成される。
【0029】
上記により得られる多層積層体はフィルム状、シート状、ブロック状など、任意の形状の成形体として得られる。このような多層積層体はそのまま、または必要に応じてさらに延伸、圧延などの二次加工を施して使用することができる。
【0030】
本発明に係わる画像形成媒体の延伸方法としては、特に限定されないが、ロール延伸法(周速の異なる2本あるいは多本数のロール間でフィルムの走行方向に延伸する方法)、長間隙延伸法、テンター延伸法(クリップに保持して拡げていく延伸方法)、チューブラー延伸法、インフレーション延伸法(空気圧によって拡げる延伸方法)等のいずれの方法を用いることが可能であり、これら公知の延伸方法によって所定の一方向(主延伸方向)へ延伸される。いずれの方法においても、逐次2軸延伸、同時2軸延伸、1軸延伸およびこれらの組み合わせにより延伸を行う。
【0031】
本発明に係わる画像形成媒体の剥離方法は、特に限定されるものではなく、ナイフ等の工具を用いてフィルムを剥離する方法、薬液により剥離する方法、フィルム表面を温風ドライヤー等で加熱して剥離する方法、紫外線もしくは電子線等を照射することにより層を破壊して剥離する方法、粘着性を有する物品を最表層に貼着させた後、最表層を引き剥がす方法等があげられる。
【0032】
本発明に係わる画像形成媒体の画像形成方法は、特に限定されるものではなく、従来のトナーやインクを用いた電子写真方式、溶融熱転写記録や昇華型熱転写記録等の熱転写方式、インクジェット記録方式、レーザー記録方式、印刷方式といった画像形成装置のいずれであっても良い。
【0033】
本発明に係わる画像形成媒体において、離形性向上の目的で、滑り剤を配合することもできる。滑剤としてはフッ素樹脂、シリコン樹脂、及び有機スルホン酸塩化合物、有機燐酸塩化合物、有機カルボン酸塩化合物などの界面活性剤をあげることができる。画像の耐光性向上剤として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、などを配合することもできる。さらに、必要により帯電防止剤、可塑剤、着色剤等を適量含有させることも可能である。
【0034】
本発明の画像形成媒体は、ラミネート層として支持体上に形成してもよい。使われる支持体としては、紙、板紙、これらの紙にポリエチレンやポリエステルフィルムをラミネートしたラミネート紙、ポリエステルフィルムなどのフィルムやプラスチックシートなどから選択できるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0035】
本発明において、剥離された画像形成媒体の最上層は、画像が記録された状態で保持されているためアルバムへの保存や裏面に粘着加工を施すことによりシールとして利用することができる。
【0036】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0037】
【実施例】
下記の実施例で採用した測定・評価方法は次の通りである。なお、以下の記載において、「部」とは「質量部」を、「%」とは「質量%」をそれぞれ表す。
【0038】
実施例1 下記操作により画像形成媒体を作成した。
(1)画像形成媒体の作成
押出機Aから220℃にてポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]を押し出し、押出機Bから220℃でポリスチレン[旭化成(株)製HH102、MI2.6、密度1.05]を押し出した。
このとき押出機Aの吐出量(Qa)と押出機Bの吐出量(Qb)との重量比がQa/Qb=30/70になるように調整し、ポリエチレン層とポリスチレン層との2層の加熱状態の層流を形成し、これを長手方向に平行であってかつ積層界面に垂直な分割面で2分割した。
【0039】
得られた2分割層流を、その長手方向を回転軸として90°捻転させた後、この分割層流の平手方向を互いに平行に維持し、各分割層流の平手面同士を重ね合わせて積層一体化し、加熱状態の4層の積層層流を製造し、さらに上記工程を繰り返すことにより(合計6回実施)、最上層がポリエチレン層であり、層数が256層、厚みが125μmである未延伸シートの画像形成媒体を得た。
【0040】
(2)画像形成、消去試験
このようにして得られた画像形成媒体に、熱転写カラープリンター(アルプス電機(株)商標:MV−5000)により、その表面にインク画像を転写記録した。得られたインク転写画像について下記のように目視評価した。なお下記評価基準において○レベルは良好で実用に適し、△レベルは実用上問題なく、×レベルでは不十分で実用に適さない。
(2−1)インクリボンから受容層に転写されたインクのドットを観察し、ドット再現性の良好なものから順に○、△、×の3段階で評価した。
(2−2)カラー画像の鮮明性を観察し、良好なものから順に○、△、×の3段階で評価した。
【0041】
さらに、この試料の端面をナイフで削り、転写記録した層の剥離を行い記録した画像を消去し、剥離後に現れる最上層について下記のように評価した。
(2−3)剥離した転写記録層のインクの染み込みを観察し、染み込みのない良好なものから順に、○、△、×の3段階で目視評価した。
(2−4)剥離後の最上層に塗膜の剥がれや亀裂を観察し、剥がれや亀裂のない良好なものから順に、○、△、×の3段階で評価した。
【0042】
(3)繰り返し耐久性試験
上記(2)項の画像形成、消去試験を80回繰り返した後、目視評価を行った。テスト結果を表1に示す。
【0043】
実施例2
実施例1と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、押出機Aから押し出すポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]のかわりに、ポリプロピレン樹脂[日本ポリオレフィン(株)製JF330N、MI1.0、密度0.924]を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0044】
実施例3
実施例1と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、押出機Aから押し出すポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]のかわりに、ポリプロピレン[日本ポリケム(株)製 FL6CK、MI2.4、密度0.90〜0.91]70%、シリカ(トクヤマ X−60)30%の組成からなる原料を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
実施例3と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し未延伸シートを155℃に加熱した後、縦方向と横方向に4倍に延伸し2軸延伸フィルムとした。
【0046】
実施例5
実施例4と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、画像形成、消去試験にあたり、熱転写カラープリンター(アルプス電機(株)商標:MV−5000)のかわりにインクジェットプリンター(EPSON製、PM800C)を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0047】
比較例1
実施例1と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、押出機Aから押し出すポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]のかわりに、ポリスチレン[旭化成(株)製HH102、MI2.6、密度1.05]80%、無定形シリカ(ミズカシルP−603、水沢化学社製)20%を用いた。テスト結果を表1に示す。
比較例2
実施例1と同様にして画像形成媒体を作成し、テストした。但し、押出機Bから押し出すポリスチレン(PS)[旭化成(株)製HH102、MI2.6、密度1.05]のかわりにポリエチレン[日本ポリケム(株)製 LC522、MI3.8、密度0.923]70%、水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、ハイジライトH−42)30%の組成からなる原料を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1から明らかなように、比較例1、2の同種の樹脂材料からなる画像形成媒体は、繰り返し試験後、塗膜に剥がれや亀裂が生じ、繰り返し利用できない。
これらに対し、実施例1〜5の本発明の画像形成媒体は、インクのドット再現性、画像の鮮明性に優れ、転写記録層の剥離後に現れる画像形成媒体の最上層にインクの染み込みがなく、塗膜の剥がれや亀裂も生じなかった。また繰り返し試験後も良好な性能を示した。
【0050】
【発明の効果】
本発明の画像形成媒体は、画像形成層の剥離により、画像の消去が可能であり、繰り返し耐久性に優れている。従って、本発明の画像形成媒体は、実用上の価値の極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成媒体の製造例を示す。
【図2】本発明の捻転を例示する。
Claims (6)
- 少なくとも2種以上の異種材料を順次積層した単位を1ユニットとし、少なくとも2ユニット以上が積層された画像形成媒体において、層間で剥離可能であり、かつ繰り返し利用可能であることを特徴とする画像形成媒体。
- 前記画像形成媒体において、ユニット間の界面で剥離可能であり、かつ繰り返し利用可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成媒体。
- 前記異種材料が有機高分子材料であることを特徴とする請求項1、2に記載の画像形成媒体。
- 前記積層した少なくとも1種の層が無機顔料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成媒体。
- 前記異種材料が、超多層溶融押出形成法により積層されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成媒体の製造方法。
- 画像を形成した最上層ユニットを剥離して該画像を消去し、剥離後の最上層に新たに画像を形成することにより、繰り返し利用することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成媒体の再生方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003115327A JP2004318004A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | 画像形成媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003115327A JP2004318004A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | 画像形成媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004318004A true JP2004318004A (ja) | 2004-11-11 |
Family
ID=33474559
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003115327A Pending JP2004318004A (ja) | 2003-04-21 | 2003-04-21 | 画像形成媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004318004A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014054783A (ja) * | 2012-09-13 | 2014-03-27 | Ricoh Co Ltd | 再生可能な被記録媒体 |
-
2003
- 2003-04-21 JP JP2003115327A patent/JP2004318004A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014054783A (ja) * | 2012-09-13 | 2014-03-27 | Ricoh Co Ltd | 再生可能な被記録媒体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3773273B2 (ja) | 印刷性に優れた積層構造の合成紙 | |
US20010003626A1 (en) | Coated film | |
JP5701461B1 (ja) | ラベル付きプラスチック容器 | |
JP2001505145A (ja) | 高い二軸延伸の高密度ポリエチレンフィルム | |
EP2161138A2 (en) | Thermal transfer image receiving sheet, and a method for manufacturing the same | |
JP2004318004A (ja) | 画像形成媒体 | |
JP2001225422A (ja) | コーテッドフィルム | |
JP4344570B2 (ja) | 溶融熱転写記録用紙 | |
US6465087B1 (en) | Thermal transfer recording sheet | |
JP4760220B2 (ja) | 熱転写受像シート及びその製造方法 | |
JP3476055B2 (ja) | 空洞含有ポリエステル系フィルム | |
JP5753937B1 (ja) | インモールドラベル及びラベル付きプラスチック容器 | |
JP4219265B2 (ja) | 電子写真フィルム及びそれを用いた記録物 | |
JP2000202972A (ja) | 空洞含有ポリエステル系フィルム | |
JP3761008B2 (ja) | 熱転写受像シート用ポリエステル系フィルムおよび熱転写受像シート | |
JP3351507B2 (ja) | 空洞含有ポリエステル系フィルムおよび熱転写受像シート | |
JP3941404B2 (ja) | 電子写真用転写シート | |
JP4255298B2 (ja) | 熱転写フィルム | |
JP2003136834A (ja) | 油性インクジェット記録用紙 | |
JP4686797B2 (ja) | 空洞含有ポリエステル系フィルム | |
JPH11240972A (ja) | 空洞含有ポリエステル系フィルム | |
JP4450560B2 (ja) | 電子写真フィルム | |
JPH11286182A (ja) | 熱転写受像シート用ポリエステルフィルムおよび熱転写受像シート | |
JP2004216890A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JP2020045439A (ja) | 受容紙用ポリエステルフィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050801 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060802 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060808 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061205 |