JP2004316884A - 高負荷伝動ベルト - Google Patents

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Takehiko Ito
武彦 伊東
Kuniharu Uto
邦治 宇都
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Mitsuboshi Belting Ltd
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Mitsuboshi Belting Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G5/00V-belts, i.e. belts of tapered cross-section
    • F16G5/16V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts
    • F16G5/166V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts with non-metallic rings

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Abstract

【課題】ベルトをプーリに巻きかけて走行させたときに上ビームを確実にプーリに接触させて走行初期におけるすべりや伝達性能の低下を防止し、しかも最初の上ビームのみがプーリに接触する上あたり状態から、早期に上下両方が接触する状態へ移行することができ、走行初期における騒音の発生も極めて短期的なものとすることができる高負荷伝動ベルトを提供する。
【解決手段】上ビーム11と下ビーム12とピラー13によって囲まれたセンターベルト3bを挿入する溝を有するブロック2とからなる高負荷伝動ベルトであり、上ビーム11の側面2bには下ビーム12の側面を含む平面Lよりも外方突出したプーリと接触する突出部22が設けられている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、張力帯の長手方向に沿って所定ピッチでブロックを固定した高負荷伝動ベルトに関し、詳しくは軽量でありなおかつ曲げ弾性率、耐衝撃性、耐摩耗性、寸法制度に優れた高負荷伝動ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動の用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
【0003】
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた引張伝動式の高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心線をゴムなどのエラストマー中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着固定したものがある。
【0004】
このような引張伝動式の高負荷伝動ベルトのブロックの要求品質としては、上記のように摩擦伝動において高負荷の伝動を目的としているために、曲げ疲労性、耐摩耗性、耐熱性、剛性、耐衝撃性等の性質をバランス良く保有する必要がある。さらにプーリを摩耗させないようにすることも大切な要素である。
【0005】
これらの要求を満たす高負荷伝動ベルトとして、例えば、特許文献1に開示されているようなものがある。このベルトは、ブロックとプーリの接触する部分が、フェノール系樹脂成分にゴム成分が添加された樹脂成形材料によって、金属等によって形成されているインサート材を被覆した2重構造のブロックを用いたものである。
【0006】
また、特許文献2には、フェノール系樹脂にアクリロニトリル−ブタジエン系ゴムをマトリックスとして炭素繊維及びアラミド繊維の2繊維を含む繊維質充填率25〜60重量部を配合させて、炭素繊維はオニオン構造を有し、結晶層厚が25〜200μmであるフェノール系樹脂を用いたブロックが用いられた高負荷伝動ベルトが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−34342号公報
【特許文献2】
特公平7−110900号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなベルトにおいてはゴムを主体としたベルトに比べるとより大きな負荷を伝達する目的で使用されるために、特許文献1や特許文献2に記載されているようにブロック内に金属製のインサートを埋設していたり、繊維で樹脂を補強したりするといった手段が講じられているが、ベルトの走行中にプーリから受ける側圧やVプーリに食い込もうとする力に負けてブロックが変形するといったことがある。
【0009】
また、プーリの有効径を変化させて変速させるようなシステムに巻きかけられて用いることが多いが、プーリの有効径を変化させるためにプーリのV溝の間隔を拡縮できるようなプーリを用いており、左右のプーリ片同士の間にはどうしてもわずかながらにがたつきが発生してしまう。
【0010】
以上のことから実際にプーリにベルトを巻きかけるベルトの側面のV角度は走行中にはより小さくなる傾向、そしてプーリのV角度はベルトの巻きかかっている側がより大きくなる傾向がある。
【0011】
一方でプーリにベルトを巻きかけて走行させる際に、ベルトのV角度がプーリのV角度よりも小さくなると、ベルトの厚み方向の上側はプーリに接触することなく下側のみがプーリと接触する下あたり状態となる。下あたり状態ではすべりが多く発生するなど伝達性能が低下する。もちろん最も好ましいのは上側と下側の両方でプーリと接触した状態であるが、ベルトやプーリの製造時の誤差などはどうしてもゼロにすることができないので、少なくとも下あたりにならないよう、通常は上あたり気味の寸法で製造し、走行開始後にブロックの摩耗で徐々に上下両方で接触する走行状態に移行してゆく。
【0012】
しかし、上あたり状態になっている走行初期において滑りが多く、騒音の発生にもつながるといった問題がある。
【0013】
そこで本発明では、ベルトの厚み方向の上側がプーリと確実に接触することができ、仮に上あたり状態となったとしても、早期に上下両方で接触した走行に移行することができるような高負荷伝動ベルトの提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の高負荷伝動ベルトは、エラストマー中に芯線を埋設したセンターベルトと、上ビームと下ビームをピラーによって連結しており上下ビームとピラーによって囲まれたセンターベルトを挿入する溝を有するブロックとからなり、上ビームと下ビームの側面にはプーリと係合する傾斜面を有する高負荷伝動ベルトにおいて、上ビームの側面には下ビームの側面を含む平面よりも突出した突出部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
上ビームの側面において突出部を設けることによって、ベルトをプーリに巻きかけて走行させたときに上ビームを確実にプーリに接触させることができ、しかも突出部はプーリとの摩擦によって容易に摩耗してしまうので、最初に上ビームのみがプーリに接触する上あたり状態であったとしても、早期に上下両方が接触する状態へ移行することができ、走行初期における騒音の発生も極めて短期的なものとすることができる。
【0016】
請求項2では突出部と下ビームとに接する直線の傾きがプーリの角度よりも+1.0°〜+1.5°の範囲である高負荷伝動ベルトとしている。
【0017】
このような範囲で突出部の高さを設定することによって、確実に上あたりのベルトとすることができるとともに、上あたりになっている走行初期状態を十分に短いものにすることができる。
【0018】
請求項3では突出部を上ビーム側面の一部が隆起した突起とした高負荷伝動ベルトである。側面を部分的に隆起させた突起とすることによって、ベルトの走行初期において比較的簡単に摩耗してしまい、すぐに上下両方が接触する走行状態に移行することができる。
【0019】
請求項4では、突出部は上ビームの側面の角度を下ビームの角度に対して1.0°〜3.5°の範囲で大きくしたことにより設けたものである高負荷伝動ベルトとしている。
【0020】
上ビーム側面全体の角度を下ビームよりも大きく設定することで突出部を形成しており、ブロックを製造する上では特に異形な部分もなくより簡単に製造することができる。
【0021】
このような範囲で突出部の高さを設定することによって、確実に上あたりのベルトとすることができるとともに、上あたりになっている走行初期状態を十分に短いものにすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図である。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4内に心線5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3a、3bと、このセンターベルト3a、3bに係止固定されている複数のブロック2とから構成されている。このブロック2の両側面2a、2bは、プーリのV溝と係合する傾斜のついた面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンターベルト3a、3bを引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝動している。
【0024】
ブロック2は、図1に示すように、上ビーム11および下ビーム12と、上下ビーム11、12の中央部同士を連結したピラー13からなっており、ブロック2の両側面2a、2bには一対のセンターベルト3a、3bを嵌めこむ溝14、15が形成されている。また、溝15内の溝上面16および溝下面17にはセンターベルト3a、3bの上面に設けた凹条部18と下面に設けた凹条部19に係合する凸条部20、21に係合するようになっている。
【0025】
また、本発明においては上ビーム11の側面は、下ビーム12の側面を含む平面Lよりもベルト幅方向の外方に突出する突出部22を設けている。図2に示す例では突出部22として上ビーム11の側面の一部が隆起したベルト長手方向に細長く延びる突起が設けられている。この突起のような突出部22を設けることによって次のような効果を得ることができるものである。
【0026】
ブロック2の両側面2a、2bは傾斜面となっているが、プーリのV溝に巻きかかって走行しているときに、ブロックやプーリの変形やがたつきなどの変化も含めてベルトが厚み方向の上下両方でプーリと接触して効率よく負荷を伝達できるような角度に設定するものである。
【0027】
しかし、製造時の誤差などによって巻きかけたときからぴったりと接触する状態にすることは困難であり、また、下あたりになることは滑りを発生して伝達性能を著しく損なうことから避けなければならない。よって、通常は多少上あたり気味になるような設定とせざるを得ない。そして、巻きかけたときに上あたりになっているベルトであっても、しばらく走行するうちにブロックの摩耗によって徐々に上下両方がプーリと接触する状態に移行していく。
【0028】
そこで、本発明では、最初から突出部22を含めた状態で上あたりになるように設定しており、巻きかけたときに確実に上あたりすることができ、しかも突出部22は容易に摩耗するので早期に上下両方がプーリと接触する走行状態に移行することができるものである。
【0029】
突起は例えば図3、4に示すように幅wが0.3mm、ブロックの長手方向に延びる長さLが2.4mm、ブロック側面2aからの高さhが0.06mm程度の突起であって、突起の先と下ビームとに接する直線の角度θをプーリPの角度θ(図5)に対して+1.0〜+1.5mmである範囲とすることによって、ベルトを巻きかけた際には確実に上あたりとなるとともに、上下両方がプーリと接触する状態に移行するのに極めて短時間で移行することができる。
【0030】
また、金属製のプーリの表面にブロックを形成する樹脂の摩耗屑が移着して樹脂の膜を形成することによって、ブロックの摩耗を少なくする効果があるが、突出部が早期に摩耗することによりプーリの表面に樹脂の膜を形成することができて、ブロックの摩耗を少なくするという効果もある。
【0031】
また、突出部の他の例として図6に示すように上ブロック11の側面の角度θを下ブロック12の側面の角度θよりも大きく設定し、上ブロック11の側面の中でも上方へ行くにしたがって、下ブロック12側面を含む平面Lからの突出量が増えるような形状になっているものも挙げられる。このような形状であれば、ブロック自体に特段異形な部分を作ることなく突出部22を設けることができるのでブロックの製造に関しても比較的簡単なものとすることができる。
【0032】
ブロック2は図7に示すように樹脂材31中にインサート材32が埋設されたものであるが、インサート材32は、ブロック2の耐側圧性や曲げ剛性を持たせる部分となるインサート材であり、素材としてはアルミ合金、セラミックス、セラミックスとアルミニウムとの複合材料、炭素繊維強化樹脂や鉄などの素材が挙げられる。
【0033】
耐側圧性や曲げ剛性を持たせるという面では金属材料が好ましく、金属材料の中ではアルミ合金の弾性率が7000kgf/mmで比重が2.8であるのに対し、鉄は弾性率が22000kgf/mmで比重が7.8であり、強度的には鉄を用いるほうが高いといえるが、高速で回転するベルトにとって、ベルト重量は寿命に大きく影響を与えるため軽量化の面で有利なアルミ合金を用いることが好ましい。ただし、耐側圧性や曲げ剛性を持たせるという面では金属材料が優れており、インサート材32の所定箇所に樹脂材31を被覆したブロック2を用いることが好ましい。
【0034】
樹脂材31を所定の箇所に配置する場合、ブロック2の大きさよりもひと回り小さい金属材料からなるインサート材32を用いてそのほぼ全面を樹脂材31で被覆したものを用いると、部分的に樹脂材31を被覆配置したものに比べて、樹脂材の剥離などの問題が発生しにくいので好ましい形態ということができる。ただし、全面といっても製造工程の上で樹脂材31を被覆する際にインサート材32を固定する部材が接触しているところは、インサート材32が露出する箇所が発生することになるが、その程度のインサート材32の露出は、実質的に全面を樹脂材で被覆している形態に含まれるといってよいものである。
【0035】
またブロック2としては樹脂材31のみからなっているものも使用できる。このようなインサート材32を埋設していないブロック2を用いた場合、インサート材32を埋設したブロックを用いたベルトよりも、軽量化が可能なので高回転で使用してもベルトに発生する遠心力が小さいという優位点があるが、自動二輪などの比較的軽負荷で高回転の用途に向いている。
【0036】
樹脂材31としては、比較的摩擦係数の大きく耐摩耗性に優れ、センターベルト3a、3bを構成するエラストマー4と比べると剛性の高い、具体的には硬度90°JIS A以上の硬質ゴム、硬質ポリウレタン樹脂、液晶樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等のゴムや合成樹脂が用いられる。
【0037】
これらの中でもブロックを効率よく製造するために射出成形法にて製造するには、ポリアミド樹脂のような熱可塑性樹脂を用いることになる。また低摩擦係数で耐摩耗性に優れ、剛性があるとともに曲げに対しても弾力性を有しており、簡単に破損してしまうことのない樹脂がよいということからすると、ポリアミド樹脂なかでもナイロン46が好ましいといえる。
【0038】
また、これらの樹脂中に、綿糸、ポリアミド繊維やアラミド繊維等の化学繊維、ガラス繊維、金属繊維、カーボン繊維等からなる織布、フィラー、ウィスカ、シリカ、炭酸カルシウムなどの無機材料等を混入した強化樹脂からなる。
【0039】
本発明では前述のようにブロックを形成する樹脂材中に繊維状の補強材やウィスカ状の補強材を配合することは可能であり、繊維状の補強材は15〜40重量%の範囲で配合する。15重量%未満であると補強効果が少なくブロックの耐摩耗性が十分でないなどの問題があり、40重量%を超えると樹脂への配合が困難になったり射出成形が困難になったりするなどの問題があるので好ましくない。
【0040】
合成樹脂に配合する繊維状補強材としては、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。その中でも前記のブロックを構成する樹脂で好ましい例であるナイロン46と炭素繊維を組み合わせて用いることによって炭素繊維がナイロン46の吸水性の欠点を改善し、剛性を大幅に向上させることができて、且つナイロン46の有する耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性を生かすことができるものである。前記繊維状補強材として上記の有機繊維のほかにも酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。
【0041】
また、他にも二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂から選ばれてなる少なくとも一つを混入することによってもブロック2の潤滑性を向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アルコキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
【0042】
センターベルト3a、3bのエラストマー4として使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴムなどの単一材またはこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはポリウレタンゴム等が挙げられる。そして、心線5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。また、心線5はロープをスパイラル状に埋設したもの以外にも、上記の繊維の織布、編み布や金属薄板等を使用することもできる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1の高負荷伝動ベルトは、エラストマー中に芯線を埋設したセンターベルトと、上ビームと下ビームをピラーによって連結しており上下ビームとピラーによって囲まれたセンターベルトを挿入する溝を有するブロックとからなり、上ビームと下ビームの側面にはプーリと係合する傾斜面を有する高負荷伝動ベルトにおいて、上ビームの側面には下ビームの側面を含む平面よりも突出した突出部が設けられていることを特徴とする。
【0044】
上ビームの側面において突出部を設けることによって、ベルトをプーリに巻きかけて走行させたときに上ビームを確実にプーリに接触させることができ、しかも突出部はプーリとの摩擦によって容易に摩耗してしまうので、最初に上ビームのみがプーリに接触する上あたり状態であったとしても、早期に上下両方が接触する状態へ移行することができ、走行初期における騒音の発生も極めて短期的なものとすることができる。
【0045】
請求項2では突出部と下ビームとに接する直線の傾きがプーリの角度よりも+1.0°〜+1.5°の範囲である高負荷伝動ベルトとしている。
【0046】
このような範囲で突出部の高さを設定することによって、確実に上あたりのベルトとすることができるとともに、上あたりになっている走行初期状態を十分に短いものにすることができる。
【0047】
請求項3では突出部を上ビーム側面の一部が隆起した突起とした高負荷伝動ベルトである。側面を部分的に隆起させた突起とすることによって、ベルトの走行初期において比較的簡単に摩耗してしまい、すぐに上下両方が接触する走行状態に移行することができる。
【0048】
請求項4では、突出部は上ビームの側面の角度を下ビームの角度に対して1.0°〜3.5°の範囲で大きくしたことにより設けたものである高負荷伝動ベルトとしている。
【0049】
上ビーム側面全体の角度を下ビームよりも大きく設定することで突出部を形成しており、ブロックを製造する上では特に異形な部分もなくより簡単に製造することができる。
【0050】
このような範囲で突出部の高さを設定することによって、確実に上あたりのベルトとすることができるとともに、上あたりになっている走行初期状態を十分に短いものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高負荷伝動ベルトの一例を示す斜視概略図である。
【図2】本発明に係る高負荷伝動ベルトの要部断面図である。
【図3】突出部付近の拡大断面図である
【図4】突出部付近の拡大側面図である。
【図5】プーリの断面図である。
【図6】本発明に係る別の高負荷伝動ベルトの要部断面図である。
【図7】ブロックの正面図である。
【符号の説明】
1 高負荷伝動ベルト
2 ブロック
3a センターベルト
3b センターベルト
4 エラストマー
5 心線
11 上ビーム
12 下ビーム
13 ピラー
14 嵌合溝
15 嵌合溝
22 突起
L 平面

Claims (4)

  1. エラストマー中に芯線を埋設したセンターベルトと、上ビームと下ビームをピラーによって連結しており上下ビームとピラーによって囲まれたセンターベルトを挿入する溝を有するブロックとからなり、上ビームと下ビームの側面にはプーリと係合する傾斜面を有する高負荷伝動ベルトにおいて、上ビームの側面には下ビームの側面を含む平面よりも突出した突出部が設けられていることを特徴とする高負荷伝道ベルト。
  2. 突出部と下ビームとに接する直線の傾きがプーリの角度に対して+1.0°〜+1.5°の範囲である請求項1記載の高負荷伝動ベルト。
  3. 突出部を上ビーム側面の一部が隆起した突起とした請求項1〜2記載の高負荷伝動ベルト。
  4. 突出部は上ビームの側面の角度を下ビームの角度に対して1.0°〜3.5°の範囲で大きくしたことにより設けたものである請求項1〜2記載の高負荷伝動ベルト。
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