JP2004315967A - 耐へたり性及び疲労特性に優れたばね用鋼 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のばね用鋼は、C:0.5〜0.8%(質量%の意、以下同じ)、Si:1.2〜2.5%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:1.0〜4.0%、V:0.5%以下(0%を含む)、P:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、Al:0.05%以下(0%を含まない)を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなり、
前記Si含有量及びCr含有量はさらに下記式(1)を満足するところに特徴を有する。
0.8×[Si]+[Cr]≧2.6 …(1)
(式中、[Si]、[Cr]はそれぞれSi含有量(質量%)及びCr含有量(質量%)を示す)
Description
(式中、[Si]、[Cr]はそれぞれSi含有量(質量%)及びCr含有量(質量%)を示す)
なお前記「ばね用鋼」とは、正確には、熱間圧延などによって得られるwire rodを意味する。本発明のばね用鋼は、特にMn:0.5%以上、Cr:1.3%以上とすることが推奨される。上記ばね用鋼は、さらにNi:0.5%以下(0%を含まない)及び/又はMo:0.4%以下(0%を含まない)を含有していてもよい。
Cは高応力が負荷されるばねに十分な強度を確保するために添加される元素であり、通常は0.5%程度以上、好ましくは0.52%以上、さらに好ましくは0.54%程度以上、特に0.6%程度以上添加する。しかし多すぎると靭延性が悪くなり、ばね用鋼をばねに加工する時や得られたばねの使用中に、表面疵や内部欠陥を起点として割れが発生し易くなるため、通常は0.8%程度以下、好ましくは0.75%程度以下、さらに好ましくは0.7%程度以下とする。
Siは製鋼時の脱酸剤として必要な元素であり、軟化抵抗を高めて耐へたり性を向上させるのにも有用である。こうした効果を有効に発揮させるため、通常は1.2%程度以上、好ましくは1.4%程度以上、さらに好ましくは1.6%程度以上添加する。しかし多すぎると、靭延性が悪くなるばかりでなく疵が増加したり、熱処理の際に表面の脱炭が進行し易くなったり、また粒界酸化層が深くなり易く疲労寿命を短くし易くなる。Siは、通常は2.5%程度以下、好ましくは2.3%程度以下、さらに好ましくは2.2%程度以下とする。
Mnも製鋼時の脱酸に有効な元素であり、また焼入性を高めて強度向上に寄与する元素である。この効果を有効に発揮させるため、通常は0.2%程度以上、好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.4%以上、特に0.5%程度以上(例えば、0.6%程度以上、好ましくは0.65%程度以上)添加する。しかし、本発明の鋼は、熱間圧延した後、必要に応じてパテンティング処理し、次いで伸線、オイルテンパー、コイリングなどしてばねにするため、Mnが多すぎると、前記熱間圧延時やパテンティング処理時にベイナイト等の過冷組織が生成し易くなり、伸線性が低下し易くなるため、上限は通常は1.5%程度、好ましくは1.2%程度、さらに好ましくは1%程度とする。
Crは耐へたり性の向上作用及び欠陥感受性低下作用を有しており、本発明にとって極めて重要な元素である。なおCrは粒界酸化層を厚くして疲労寿命を低下させる作用も有しているものの、この点はオイルテンパー時の雰囲気を制御して粒界酸化層を薄くすることが可能であるため、本発明ではかかる不具合は解消できる。従ってCrは多い程望ましく、例えば、1.0%以上、好ましくは1.03%以上、さらに好ましくは1.2%以上、特に1.3%以上である。またCrを多くすると、表面硬化処理(例えば、窒化処理)した後の耐へたり性をも向上できる。表面硬化処理後の耐へたり性をも向上させる場合には、Cr量を1.3%以上、好ましくは1.4%以上、さらに好ましくは1.5%以上とすることが推奨される。なおCrが過剰になると、伸線の際のパテンティング時間が長くなりすぎ、また靭性や延性も低下するため、4.0%以下、好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に2.6%以下とする。
Vは添加しない場合(0%)もあるが、本発明の鋼を伸線した後でオイルテンパー処理する時に結晶粒を微細化する作用があり、靭・延性を向上させるのに有用であり、また前記オイルテンパー処理の時や、コイリング(ばね成形)後の歪取り焼鈍時などに、2次析出硬化を起こして高強度化にも寄与するため、例えば、0.01%程度以上、好ましくは0.05%程度以上、さらに好ましくは0.1%程度以上添加する場合もある。しかし、過剰に添加するとオイルテンパー処理するまでの段階でマルテンサイト組織やベイナイト組織が生成してしまい、伸線加工性が低下し易くなるため、添加する場合(0%超)であっても、0.5%程度以下、好ましくは0.4%程度以下、さらに好ましくは0.3%程度以下とする。
S :0.02%以下(0%を含まない)
P及びSは、共に鋼の靭性及び延性を低下させる不純物元素であり、伸線工程での断線を防止するために極力抑制するのが望ましい。P量及びS量は、好ましくは0.015%以下、さらに好ましくは0.013%以下程度である。P量及びS量の上限は、異なって設定してもよい。
Alは、例えば他の元素(例えばSi)で脱酸する場合や真空溶製する場合には必要ではないが、Al脱酸する場合には有用である。しかしAlは、Al2O3などの酸化物を生成し、伸線時の断線の原因となり、また破壊の起点となってばねの疲労特性を低下させる原因となるため、極力低減するのが望ましい。Al量は、好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.01%以下、特に0.005%以下程度である。
Niは焼入性を高め、低温脆化を防止するのに有用な元素である。Ni量は、好ましくは0.05%程度以上、好ましくは0.1%程度以上、さらに好ましくは0.15%程度以上である。しかし多すぎると、熱間圧延によって鋼材を製造する際に、ベイナイト組織又はマルテンサイト組織が生成し、靭性・延性が低下し易くなるため、0.5%程度以下、好ましくは0.4%程度以下、さらに好ましくは0.3%程度以下とする。
Moは、軟化抵抗を向上させると共に、析出硬化を発揮するために低温焼鈍した後で耐力を上昇させる点でも有用である。Mo量は、好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.1%以上である。しかし過剰に添加すると、本発明の鋼材をオイルテンパー処理するまでの段階でマルテンサイト組織やベイナイト組織が生成し、伸線加工性が悪くなるため、0.4%以下、好ましくは0.35%以下、さらに好ましくは0.30%以下とする。
0.8×[Si]+[Cr]≧3.0 …(2)
(式中、[Si]、[Cr]はそれぞれSi含有量(質量%)及びCr含有量(質量%)を示す)
Si・Crバランスを適正に制御することによって、ばねとしたときの欠陥感受性を確実に改善し、疲労寿命をさらに向上させることができる。
下記表1に示す化学成分の鋼を溶製し、熱間圧延することにより直径8.0mmの鋼線材を作製した。
上記鋼線材を軟化焼鈍、皮削り、鉛パテンティング処理(加熱温度:950℃、鉛炉温度:620℃)、伸線処理を行った後、オイルテンパー処理(加熱温度:960℃、焼入油温度:70℃、焼戻温度:450℃、焼戻し後の冷却条件:空冷、炉雰囲気:10体積%H2O+90体積%N2)を行い、直径4.0mmのオイルテンパー線を製造した。
上記疲労特性の際に製造したオイルテンパー線をばね成形(コイルの平均径:28.0mm、巻数:6.5、有効巻数:4.5)、歪取焼鈍(400℃×20分)、座研磨、ダブルショットピーニング、低温焼鈍(230℃×20分)、冷間セッチングを行い、ばね(ばね定数:2.6kgf/mm)とした。またダブルショットピーニング前に窒化処理(温度450℃×3時間)する以外は前記と同様にしたばねも作成した。
Claims (4)
- C :0.5〜0.8%(質量%の意、以下同じ)、
Si:1.2〜2.5%、
Mn:0.2〜1.5%、
Cr:1.0〜4.0%、
V :0.5%以下(0%を含む)、
P :0.02%以下(0%を含まない)、
S :0.02%以下(0%を含まない)、
Al:0.05%以下(0%を含まない)
を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなり、
前記Si含有量及びCr含有量はさらに下記式(1)を満足するものである耐へたり性及び疲労特性に優れたばね用鋼。
0.8×[Si]+[Cr]≧2.6 …(1)
(式中、[Si]、[Cr]はそれぞれSi含有量(質量%)及びCr含有量(質量%)を示す) - Mnが0.5%以上である請求項1に記載のばね用鋼。
- Crが1.3%以上である請求項1又は2に記載のばね用鋼。
- さらにNi:0.5%以下(0%を含まない)及びMo:0.4%以下(0%を含まない)から選択された少なくとも一種を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のばね用鋼。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007018048A1 (ja) * | 2005-08-05 | 2007-02-15 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | オイルテンパー線およびその製造方法 |
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WO2012018144A1 (ja) | 2010-08-04 | 2012-02-09 | 日本発條株式会社 | ばねおよびその製造方法 |
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- 2004-03-23 JP JP2004084331A patent/JP2004315967A/ja active Pending
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