JP2004315935A - 卑金属粉末の表面酸化方法、及び導電性ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】積層セラミック電子部品の構造欠陥を招くことなく、所望の耐酸化性を容易に確保することができる卑金属粉末の表面酸化方法を得る。
【解決手段】卑金属粉末の酸素含有量を監視しながら前記卑金属粉末を加熱することによって該卑金属粉末に酸化処理を施し、前記卑金属粉末の酸素含有量が所定量に到達した時点で前記酸化処理を終了する。また、酸化処理は、前記卑金属粉末の重量増加率が一定となるように昇温速度の温度勾配及びガス雰囲気のうちの少なくともいずれか一方を制御することにより行う。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は卑金属粉末の表面酸化方法、及び導電性ペーストに関し、より詳しくは積層セラミック電子部品の内部電極形成に使用されるNiやCu等の卑金属粉末の表面酸化方法、及び該卑金属粉末を主成分とする導電性ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品では、低コスト化等の要請から、内部電極用導電性材料として、AgやPd等の貴金属材料に代えてNiやCu等の卑金属材料が使用されてきている。
【0003】
この種の卑金属粉末を予め弱酸化させることは、脱バインダ処理時の耐酸化性を向上させ、構造欠陥の発生防止が可能であることから、従来より、粉末表面に付着する酸化膜による酸化度が酸素量で最大0.7wt%のNi粉末が既に提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1では、Ni粉末の表面に酸素量で0.7wt%以下の酸化膜を形成することにより、Ni粉末を弱酸化し、これによりバインダ樹脂の異常燃焼を防止し、積層チップコンデンサの内部歪みや誘電体層と内部電極との層間剥離などによる構造欠陥の発生を防止している。
【0005】
また、その他の従来技術としては、微細Ni粉末等の微細金属粉の表面を1〜10nm(10〜100Å)の緻密な酸化物層で被覆した技術も提案されている(特許文献2)。
【0006】
特許文献2では、H、CO、HO、COを含む雰囲気中で、酸素分圧を10−45〜10−10Pa(10−50〜10−15気圧)に制御し、このような極めて弱い酸化性雰囲気中で、微細金属粉を200〜500℃の低温で熱処理することによって、微細金属粉の表面に酸化皮膜を生成し、これにより耐酸化性を確保しようとしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−68374号公報
【特許文献2】
特開2001−49301号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、気相化学反応法によりNi粉末の表面に酸化量0.7wt%以下の酸化膜を形成し、これにより酸化度を制御しようとしているが、ロットの変動等によりNi粉末の平均粒径に変化が生じた場合は平均粒径に対応した酸化度を試行錯誤により選定しなければならず、工程管理が煩雑になるという問題点があった。
【0009】
また、特許文献2では、酸化物層の膜厚を1〜10nmに制御し、これにより微細粉末の耐酸化性を確保しようとしているが、微細金属粉の平均粒径に変化が生じた場合は酸化物層の厚みも変動し易くなり、したがって該酸化物層の膜厚を常に1〜10nmに制御するのは困難であるという問題点があった。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、積層セラミック電子部品の構造欠陥を招くことなく、所望の耐酸化性を容易に確保することができる卑金属粉末の表面酸化方法、及び導電性ペーストを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る卑金属粉末の表面酸化方法は、卑金属粉末の酸化状態を監視しながら前記卑金属粉末を加熱することによって該卑金属粉末に酸化処理を施し、前記卑金属粉末の酸化状態が所定状態に到達した時点で前記酸化処理を終了することを特徴としている。
【0012】
上記表面酸化方法によれば、卑金属粉末の酸化状態を監視しながら酸化処理を行なっているので、卑金属粉末の粉末表面には安定した所望の酸化層を形成することができる。
【0013】
また、前記酸化処理は、前記卑金属粉末の重量増加率が一定となるように温度雰囲気及びガス雰囲気のうちの少なくともいずれか一方を制御することを特徴としている。
【0014】
上記表面酸化方法によれば、一定の重量増加率となるように温度雰囲気やガス雰囲気を制御することにより、表面酸化層の形成状態を容易に制御することができる。
【0015】
さらに、本発明の表面酸化方法は、前記酸化処理を実行する前に前記卑金属粉末に還元処理を施すことを特徴としている。
【0016】
上記表面酸化方法によれば、酸化処理を実行する前に卑金属粉末に還元処理を施しているので、卑金属粉末を液相還元法で作製しても該卑金属粉末に付着・内在する異物を除去することができる。
【0017】
また、本発明に係る導電性ペーストは、上記表面酸化方法を使用して表面酸化された卑金属粉末を主成分としていることを特徴としている。
【0018】
上記導電性ペーストによれば、上記表面酸化方法により表面酸化された卑金属粉末を主成分としているので、脱バインダ処理時の耐酸化性を向上させることができる導電性ペーストを得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る卑金属粉末の表面酸化方法の一実施の形態について、Ni粉末を例に詳説する。
【0020】
まず、Ni粉末を、例えば、液相還元法で作製する。
【0021】
すなわち、塩化ニッケル水溶液等のニッケル塩水溶液に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液及び還元剤溶液を混合して還元反応を生じさせ、次いで、純水で洗浄し、その後、脱水・乾燥処理を施し、微細なNi粉末を作製する。
【0022】
次いで、Ni粉末を所定量ずつ匣(さや)に入れ、還元雰囲気中、所定温度下で還元処理を行なう。
【0023】
すなわち、本実施の形態では、上記Ni粉末は、液相還元法で作製されているため、該Ni粉末には吸着水、炭酸ガス、窒素等が付着・内在しているおそれがある。
【0024】
そこで、還元処理を施し、これら吸着水、炭酸ガス、窒素等を除去し、脱酸素を行う。
【0025】
次に、上記還元処理を施したNi粉末を放冷した後、再度昇温する。そして、Ni粉末が酸化を開始する所定温度に到達した後は、酸化によるNi粉末の重量増加率が一定となるように、前記Ni粉末の酸化状態、すなわち酸素含有量を監視しながら前記Ni粉末を加熱し、これによって酸化処理を施し、Ni粉末の酸素含有量が所定量に到達した時点で酸化処理を終了し、Ni粉末の表面に酸化物層を形成する。
【0026】
ここで、酸素含有量の制御は、温度勾配等の温度雰囲気やガス雰囲気を制御することにより行なう。
【0027】
すなわち、前記重量増加率が一定となるように、例えば、熱重量分析器(Thermo Gravimetric Analysis:TG)で監視しながら、昇温速度を制御し、また昇温速度で前記重量増加率を制御することが困難となった場合は炉内温度を低下させ、さらに炉内温度を低下させても重量増加率を制御するのが困難な場合は、炉内にNガス、又は/及びHガスを供給し、前記重量増加率が一定となるように制御する。そして、Ni粉末の酸素含有量が所定値(例えば、3.0〜3.5wt%)に到達した時点で酸化処理を終了し、これによりNi粉末の表面に酸化物層を形成する。
【0028】
このように本実施の形態では、Ni粉末の酸素含有量(酸化状態)を監視しながら酸化処理を行ない、前記酸素含有量が所定値に到達した時点で酸化処理を終了しているので、Ni粉末の平均粒径の変動等に影響されることなく酸素含有量を所定量に制御することができる。
【0029】
そして、このような方法で表面酸化されたNi粉末に対し、エチルセルロース等のワニス剤、テルピネオール等の溶剤を添加して3本ロールミルで混練することにより、導電性ペーストを得ることができる。
【0030】
さらに、この導電性ペーストを使用して内部電極が形成された積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品を得ることができる。
【0031】
図1は上記導電性ペーストを使用して内部電極が形成された積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示す断面図である。
【0032】
該積層セラミックコンデンサは、内部電極2(2a〜2f)がセラミック焼結体1に埋設されると共に、該セラミック焼結体1の両端部には外部電極3a、3bが形成され、さらに該外部電極3a、3bの表面には第1のめっき皮膜4a、4b及び第2のめっき皮膜5a、5bが形成されている。
【0033】
すなわち、各内部電極2a〜2fは積層方向に並設されると共に、内部電極2a、2c、2eは外部電極3aと電気的に接続され、内部電極2b、2d、2fは外部電極3bと電気的に接続されている。そして、内部電極2a、2c、2eと内部電極2b、2d、2fとの対向面間で静電容量を形成している。
【0034】
そして、本積層セラミックコンデンサでは、内部電極形成用導電性ペーストが上記Ni粉末を主成分としているので、Ni粉末の平均粒径に変動等が生じてもNi粉末の酸素含有量が所望の一定量に制御されており、したがって、所望の耐酸化性を常に確保することができ、構造欠陥を招くことのない積層セラミックコンデンサを煩雑な工程管理を要することもなく高効率で得ることができる。
【0035】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、卑金属粉末としてNi粉末を例示して説明したが、Ni粉末以外のCu粉末やNi合金粉末、Cu合金粉末、更にはNi粉末やCu粉末の表面を希土類元素の水酸化物、酸化物、有機化合物等で被覆した各種粉末等、卑金属粉末全般に広く適用することができる。
【0036】
また、上記実施の形態ではNi粉末を液相還元法で作製しているが、気相反応法等、その他の粉末合成法で作製しても同様の作用効果を得ることができるのはいうまでもない。
【0037】
また、上記実施の形態では、積層セラミック電子部品として積層セラミックコンデンサについて説明したが、その他の積層セラミック電子部品、例えば積層セラミックLC部品についても同様に適用することができる。
【0038】
【実施例】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0039】
〔第1の実施例〕
塩化ニッケル水溶液に水酸化ナトリウムとヒドラジンを投入して還元反応を生じさせ、その後、純水で洗浄し、脱水・乾燥処理を行ってNi粉末を得た。
【0040】
このNi粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率30000倍)で観察し、任意の50個についてデジタイザで粒径を測定した。そして、その平均値を算出したところ、平均粒径は、0.18μmであった。
【0041】
また、このNi粉末をTSD(Thermal Desorption Spectroscopy)で酸素含有量を定量したところ、酸素含有量は1.40wt%であった。
【0042】
次に、温度雰囲気やガス雰囲気の制御が可能な熱重量分析器付きの炉を用意し、アルミナージルコニア系の磁器質匣1個当たり200gのNi粉末を収容し、総計で1kg(5匣)のNi粉末を熱重量分析器の試料ホルダ上にセットした。
【0043】
次に、炉を(N+H)ガスの還元雰囲気中で300〜350℃に加熱し、3時間、還元処理を行ってNi粉末に付着・内在している吸着水、炭酸ガス、窒素等を除去すると共に、脱酸素を行った。
【0044】
尚、熱重量分析器で還元処理後の酸素含有量を重量減少率から測定したところところ、Ni粉末中の酸素含有量は0.02wt%であり、Ni粉末がほぼ還元されていることを確認した。
【0045】
次いで、Ni粉末を放冷した後、再度、炉内を昇温する。そして、酸化を開始する150℃迄は3℃/minの昇温速度で炉を昇温させ、炉内温度が温度150℃に到達してからは酸化による重量増加率が0.10wt%/hrとなるように温度雰囲気及びガス雰囲気を適宜制御し、熱重量分析器で酸素含有量を監視しながら該酸素含有量が約3.0wt%になった時点で酸化処理を終了し、これによりNi粉末の表面に酸化物層を形成した。
【0046】
同様に、液相還元法で平均粒径が0.22μm、0.29μm、0.35μm、0.51μm、0.70μm、及び1.03μmのNi粉末を作製し、上述と同様の方法・手順でNi粉末の表面に酸化物層を形成した。
【0047】
また、平均粒径が0.22μmの還元処理前Ni粉末に還元処理を施した後、酸素含有量が約3.0wt%となるように、N中で2時間、300℃に保持し、酸化処理を行ない、さらにその他の平均粒径のNi粉末、すなわち平均粒径0.18μm、0.29μm、0.35μm、0.51μm、0.70μm、及び1.03μmのNi粉末についても、平均粒径0.22μmのNi粉末と同様、2時間、300℃に保持して酸化処理を行い、比較例の試料を作製した。
【0048】
表1は、各Ni粉末の還元処理前、還元処理後、本発明方法による表面酸化処理、比較例での酸化処理におけるそれぞれの酸素含有量を示している。
【0049】
【表1】
Figure 2004315935
この表1から明らかなように比較例は、平均粒径に差異があるにも拘わらず同一条件で酸化処理を行っているので、酸素含有量は0.14〜4.49wt%の範囲でバラツキを生じている。したがって、平均粒径に応じ、試行錯誤により最適酸化層を形成するための熱処理時間を決定しなければならず、工程管理が煩雑化する。
【0050】
これに対し実施例では、酸素含有量を監視しながら酸化処理を行ない、酸素含有量が約3.0wt%に到達した時点で酸化処理を終了しているので、Ni粉末の平均粒径の変動等の影響を受けることもなく、したがって工程管理の煩雑化を招くこともなく、所望の酸化物層を容易に形成することができる。
【0051】
次に、上述した各実施例及び比較例のNi粉末を使用して積層セラミックコンデンサを作製し、クラックの発生有無を確認した。
【0052】
すなわち、まず、上記各実施例及び比較例のNi粉末にワニスとしてエチルセルロース、溶剤としてテルピネオールを所定量添加し、3本ロールミルで混練し、ペースト化して導電性ペーストを作製した。
【0053】
また、温度特性がB特性の誘電体材料100重量部に対し、バインダとしてのポリビニルブチラール5重量部、可塑剤としてのジオクチルフタレートを3重量部、溶剤としてのトルエン及びエタノールを150重量部、分散剤としての高級脂肪酸を0.3重量部秤量し、これら秤量物をボールミルで24時間混合し、ドクターブレード法で成形加工を施し焼上げ、厚み2.5μmとなるセラミックグリーンシートを作製した。
【0054】
次に、上記導電性ペーストを使用し、スクリーン印刷法によりセラミックグリーンシート上に所定形状の印刷パターンを形成し、これにより印刷シートを作製した。次いで、これら印刷シート300枚を積層すると共に、印刷されていない上下各30枚のセラミックグリーンシートで上記印刷シートを挟持し、圧着してセラミック積層体を形成した。
【0055】
次に、セラミック積層体を所定寸法に切断した後、大気中、温度270℃で36時間、脱バインダ処理を施し、その後、昇温速度3℃/minで1200℃まで昇温させた後、還元雰囲気下、この1200℃で2時間、焼成処理を行ない、縦2.0、横1.1mm、厚み1.1mmのセラミック焼結体を得た。
【0056】
そしてこの後、セラミック焼結体の両端部に外部電極用導電性ペーストを塗布し、800℃で焼付け処理を行ない、これにより積層セラミックコンデンサを作製した。
【0057】
尚、積層セラミックコンデンサは、各実施例及び比較例につき100個ずつ作製した。
【0058】
次に、各積層セラミックコンデンサの外観を実体顕微鏡(倍率20倍)で観察し、クラック発生の有無を求めた。
【0059】
表2はその測定結果を示している。
【0060】
【表2】
Figure 2004315935
この表2から明らかなように、比較例中、平均粒径が0.18μmの場合は、酸素含有量が4.49wt%と過剰であるため(表1参照)、過度にバインダの燃焼が助長され、クラックの発生率が18%となった。
【0061】
これに対して実施例は、平均粒径の如何に拘わらず、酸素含有量を略一定値に保持することができるため、所望の酸化物層が形成され、クラックが発生することもなかった。
【0062】
〔第2の実施例〕
希土類水酸化物としてのDy(OH)で被覆された被覆Ni粉末について、表面酸化処理を行なった。
【0063】
すなわち、第1の実施例と同様、液相還元法で得られた平均粒径0.18〜1.03μmのNi粉末を純水中に分散させ、DyCl:NaOHが1:3となるように添加し、洗浄、ろ過、脱水、乾燥し、Dy(OH)の含有モル量が0.25mol%となるように被覆Ni粉末を作製した、
そして、第1の実施例と同様、被覆Ni粉末の酸素含有量を定量したところ、1.60〜1.75wt%であった。
【0064】
次に、第1の実施例と同様、還元処理を行なったところ、酸素含有量は0.04〜0.06wt%であった。
【0065】
次いで、各被覆Ni粉末を放冷した後、第1の実施例と同様の方法・手順で酸素含有量を監視しながら酸化処理を行ない、酸素含有量が約3.0wt%になった時点で酸化処理を終了し、これにより各被覆Ni粉末の表面に酸化層を形成した。
【0066】
また、比較例として、第1の実施例と同様、平均粒径が0.22μmの還元処理前Ni粉末に還元処理を施した後、酸素含有量が約3.0wt%となるように、N中で2時間、350℃に保持し、酸化処理を行ない、さらにその他の平均粒径のNi粉末、すなわち平均粒径0.18μm、0.29μm、0.35μm、0.51μm、0.70μm、及び1.03μmのNi粉末についても、平均粒径0.22μmのNi粉末と同様、2時間、350℃に保持して酸化処理を行い、比較例の試験片を作製した。
【0067】
表3は、各被覆Ni粉末の還元処理前、還元処理後、本発明方法による表面酸化処理、比較例での酸化処理における酸素含有量を示している。
【0068】
【表3】
Figure 2004315935
この表3から明らかなように比較例は、平均粒径に差異があるにも拘わらず同一条件で酸化処理を行っているので、酸素含有量は0.14〜4.11wt%の範囲でバラツキを生じている。したがって、平均粒径に応じ、試行錯誤により最適酸化層を形成するための熱処理時間を決定しなければならず、工程管理が複雑化する。
【0069】
これに対し実施例では、酸素含有量を監視しながら酸化処理を行ない、酸素含有量が約3.0wt%に到達した時点で酸化処理を終了しているので、Ni粉末の平均粒径の変動等の影響を受けることもなく、したがって工程管理の煩雑化を招くこともなく、所望の酸化物層を容易に形成することができる。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る卑金属粉末の表面酸化方法は、卑金属粉末の酸化状態を監視しながら前記卑金属粉末を加熱することによって該卑金属粉末に酸化処理を施し、前記卑金属粉末の酸化状態が所定状態に到達した時点で前記酸化処理を終了するので、卑金属粉末の平均粒径の変動等の影響を受けることもなく、卑金属粉末の酸化状態を容易に所定量に制御することができる。
【0071】
また、前記酸化処理は、前記卑金属粉末の重量増加率が一定となるように温度雰囲気及びガス雰囲気のうちの少なくともいずれか一方を制御するので、酸化状態の制御を簡易かつ高精度に行うことができる。
【0072】
また、前記酸化処理を実行する前に前記卑金属粉末に還元処理を施すことにより、卑金属粉末を液相還元法で製造した場合であっても、吸着水、炭酸ガス、窒素等の異物が付着したり内在するのを回避することができる。
【0073】
また、本発明に係る導電性ペーストは、上記表面酸化方法を使用して表面酸化された卑金属粉末を主成分としているので、脱バインダ時の耐酸化性が向上した導電性ペーストを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面酸化方法により得られたNi粉末を内部電極材料に使用して製造された積層セラミック電子部品としての積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
2 内部電極

Claims (4)

  1. 卑金属粉末の酸化状態を監視しながら前記卑金属粉末を加熱することによって該卑金属粉末に酸化処理を施し、前記卑金属粉末の酸化状態が所定状態に到達した時点で前記酸化処理を終了することを特徴とする卑金属粉末の表面酸化方法。
  2. 前記酸化処理は、前記卑金属粉末の重量増加率が一定となるように温度雰囲気及びガス雰囲気のうちの少なくともいずれか一方を制御することを特徴とする請求項1記載の卑金属粉末の表面酸化方法。
  3. 前記酸化処理を実行する前に前記卑金属粉末に還元処理を施すことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の卑金属粉末の表面酸化方法。
  4. 請求項1乃至請求項3記載の表面酸化方法を使用して表面酸化された卑金属粉末を主成分とすることを特徴とする導電性ペースト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009032837A (ja) * 2007-07-26 2009-02-12 Taiyo Yuden Co Ltd 積層セラミックコンデンサ及びその製造方法
JP2015086465A (ja) * 2013-10-30 2015-05-07 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. ニッケルナノ粉末及びその製造方法

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