JP2004315571A - シリコーンゴム組成物およびシリコーンゴム成型体 - Google Patents
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Abstract
【課題】非汚染性に優れた付加硬化型シリコーンゴム組成物、その未架橋成型体、その成型硬化体を提供する。
【解決手段】A)少なくとも2個のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンと、B)少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、C)ヒドロシリル化触媒と、D)充填剤とを含有する付加硬化型シリコーンゴム組成物であって、硬化した後のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する全置換基の2モル%以上が、フルオロアルキル基以外の炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であることを特徴とするシリコーンゴム組成物、該シリコーンゴム組成物を成型してなる未硬化シリコーンゴム成型体、および該シリコーンゴム組成物を成型硬化してなるシリコーンゴム成型体。
【選択図】 なし
【解決手段】A)少なくとも2個のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンと、B)少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、C)ヒドロシリル化触媒と、D)充填剤とを含有する付加硬化型シリコーンゴム組成物であって、硬化した後のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する全置換基の2モル%以上が、フルオロアルキル基以外の炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であることを特徴とするシリコーンゴム組成物、該シリコーンゴム組成物を成型してなる未硬化シリコーンゴム成型体、および該シリコーンゴム組成物を成型硬化してなるシリコーンゴム成型体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用シーリング材、パネル接着、ガスケット等の建築用ゴム部材に好適に使用されるシリコーンゴム組成物、該組成物を成型してなる未硬化成型体及び該組成物を成型硬化してなる成型体に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種建造物におけるコンクリート、サッシなどのジョイント部、ガラス回りなどは、現在、合成ゴムなどのシーリング材で充填施工する方法が一般的であり、このシーリング材としては、シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系、アクリル系、SBR系、ブチル系など、各種のものが知られているが、接着性、耐熱耐候性、耐久性という面からは縮合硬化型のシリコーン系シーリング材が広く使用されている。
また、固形ガスケットにおいては過酸化物加硫型シリコーン系のガスケットが使用されることが多い。
更に近年では、過酸化物加硫型シリコーン系のガスケット上に紫外線硬化型のシリコーン系コーティング材をオーバーコートする手法や、ガラス上に型枠を設置して白金付加加硫型シリコーンゴム組成物を注型、硬化、接着させ、ガラス一体型ガスケットを作製する手法も提案されている。
【0003】
しかし、従来より外壁目地に使用されているシリコーン系のシーリング材、ガスケットには目地周辺に汚れが広がるという問題が発生している。この現象は建物の立地条件(外部環境、方位)、目地設計(形状、接着体)等に大きく依存し、一般に建物周辺の大気汚染度、降雨の流れ具合、降雨後の乾燥度と著しく相関があることが判明している。
この対策として、落とし目地や孫目地等、降雨が直接目地に触れないような目地への設計変更、硬化後のシーラントもしくはガスケットの表面に塗布剤による障壁を作り、汚染を防止する方法等があるが、前者は設計仕様の変更を伴うため建物の意匠上、コスト高の問題が残り、後者は塗布という工程の増加が総合工賃のアップにつながるため一般的なものとはなっていない。
【0004】
上記の問題を解決するため、酸化チタン、酸化亜鉛等の光触媒活性を有する粒子が分散、含有された硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を用いるシーリング材、コーティング材、ガスケットなどの建築用ゴム部材の提案がある(例えば、特許文献1参照。)。
これは、この硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物に紫外線が照射されることで表面が改質されて親水化され、非汚染性が付与されるというものである。この方法によって従来のシリコーンシーラントに比して汚染性は大幅に改良されたものの、更なる非汚染性の向上が求められている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−227779号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いたシーリング材等は、従来のシリコーンシーラント等に比して汚染性は大幅に改良されるものの、長期間、例えば1年以上屋外暴露すると、降雨などにより汚れが発生し、非汚染性につき充分な効果は得られていない。
また、光触媒活性を有する粒子を配合することで、機械的な強度が低下し、シーリング材、ガスケットとして使用するには不充分なレベルであるのが実態である。
【0007】
本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、非汚染性に優れた付加硬化型シリコーンゴム組成物並びにそれを硬化させることによって得られる建築用部材、特にはシリコーンゴム製ガスケットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、付加硬化型シリコーンゴム組成物において、硬化した後のベースポリマーが含有するジオルガノポリシロキサンのケイ素原子に直結する全置換基のうち、2モル%以上が炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基(フルオロアルキル基を除く)である特定のジオルガノポリシロキサンを用いることにより、著しい非汚染性向上を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
即ち、本発明のシリコーンゴム組成物は、
A)少なくとも2個のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンと、
B)少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、
C)ヒドロシリル化触媒と、
D)充填剤とを含有する付加硬化型シリコーンゴム組成物であって、硬化した後のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する全置換基の2モル%以上が、フルオロアルキル基以外の炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であることを特徴とする。
また、本発明の未硬化シリコーンゴム成型体は、前記シリコーンゴム組成物を成型してなることを特徴とする。
また、本発明のシリコーンゴム成型体は、前記シリコーンゴム組成物を成型硬化してなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
(付加硬化型シリコーンゴム組成物)
本発明の付加硬化型シリコーンゴム組成物を詳細に説明する。
本発明において、付加硬化型シリコーンゴム組成物は、
A)少なくとも2個のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンと、
B)少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、
C)ヒドロシリル化触媒と、
D)充填剤とを含有する。
この加硬化型シリコーンゴム組成物は、更に、
E)接着付与成分を含有してもよい。
【0011】
(A成分)
A成分のポリオルガノシロキサンは本組成物の主剤であり、一分子中に平均2個以上のアルケニル基を有することを特徴とする。
このアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が例示され、これらの中ではビニル基が好ましい。
また、A成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、これらの中ではメチル基が好ましい。
A成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝鎖状などの構造が挙げられる。
A成分の25℃における粘度は1,000,000mPa・S以上が好ましく、より好ましくは10,000,000mPa・S以上である。
【0012】
このようなA成分のポリオルガノシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、式:(CH3)3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるポリオルガノシロキサン、これらのポリオルガノシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基等のアルキル基および/またはフェニル基、トリル基等のアリール基および/または3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基で置換したポリオルガノシロキサン、これらのポリオルガノシロキサンのビニル基の一部または全部をアリル基、プロペニル基等のアルケニル基で置換したポリオルガノシロキサン、およびこれらのポリオルガノシロキサンの二種以上の混合物が例示される。
【0013】
このA成分が後述のC成分であるヒドロシリル化触媒によって後述のB成分である架橋剤として作用するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと反応し、シリコーンゴム硬化物を生成するが、硬化したシリコーンゴムの大気中での暴露による汚れ、汚染を低減させるためには、この硬化したシリコーンゴムのケイ素原子に直結した全有機基の中の2モル%以上がフルオロアルキル基以外の炭素原子2以上の有機基である必要がある。
この有機基としてはエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等の置換及び非置換のアルケニル基、アセチレン基等のアルキン基等の脂肪族不飽和基が例示される。これらの中では、性能などの観点から脂肪族不飽和基が好ましい。
この脂肪族不飽和基の中では性能、製造の容易さ、コストなどの観点から特にビニル基が好ましい。
【0014】
この炭素数2以上の一価炭化水素基が末端に不飽和基を有するアルケニル基(ビニル基を含む)である場合には、アルケニル基が反応して一価の炭化水素基でなくなる場合があるので、架橋剤として作用する(B)成分の構造、量を特定し物理特性を保ちながら硬化後に全ケイ素原子結合の2モル%以上がフルオロアルキル基以外の炭素数2以上の一価炭化水素基であるように調整する必要がある。
【0015】
(B成分)
B成分のポリオルガノシロキサンは本組成物の架橋剤として作用するものであり、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有することを特徴とする。
B成分中のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基、3,3、3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0016】
B成分の分子構造としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝鎖状が例示される。
B成分の25℃における粘度は限定されないが、好ましくは、1〜1,000,000mPa・Sであり、特に好ましくは、10〜1,000mPa・Sである。
【0017】
このようなB成分のポリオルガノシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリメチルハイドロジェンシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、式:(CH3)2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるポリオルガノシロキサン、これらのポリオルガノシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基で置換したポリオルガノシロキサン、およびこれらのポリオルガノシロキサンの二種以上の混合物が例示され、得られる硬化物の機械的特性、特には、伸びが向上することから、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するポリオルガノシロキサンの混合物であることが好ましい。
【0018】
本組成物において、A成分における炭素数が2以上の炭化水素基がビニル基などの末端に不飽和基を有する脂肪族不飽和基でない場合には、B成分の含有量をA成分中のアルケニル基に対するB成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜20となる量であることが好ましく、0.1〜10となる量であることがより好ましく、0.1〜5となる量であることが特に好ましい。
これは、B成分の含有量が上記範囲の下限以上とすることで、得られる接着剤に良好な硬化性を付与することができる。一方、上記範囲の上限以下とすることで、得られる接着剤硬化物の機械的特性を良好なものとすることができる。
【0019】
また、B成分として、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するポリオルガノシロキサンの混合物を用いる場合には、前者の分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンの含有量は、A成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜10となる量であることが好ましく、0.1〜10となる量であることがより好ましく、0.1〜5となる量であることが特に好ましい。
後者の分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するポリオルガノシロキサンの含有量は、A成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.5〜20となる量であることが好ましい。
【0020】
A成分の炭素数が2以上の炭化水素基がビニル基などの末端に不飽和基を有する脂肪族不飽和基である場合には、A成分の(末端及び)側鎖に多くの付加反応性基が存在することになるので、脂肪族不飽和基含有量が5モル%程度である場合は、B成分の含有量を、B成分のケイ素原子結合水素原子のA成分中のアルケニル基に対するモル比が2以下となるような量とする必要がある。
この場合、本発明のシリコーンゴム組成物にガスケット等建築用部材として好適な特性を発現させるためには、B成分として分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンのみ或いはこれと分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンの混合物を用いるのが有効である。
【0021】
(C成分)
C成分のヒドロシリル化触媒としては白金系触媒が好ましく用いられる。
白金系触媒としては、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とジケトンの錯体、塩化白金酸とオレフィン類の錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンの錯体およびこれらをアルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に担持させたものが例示される。
これらの中でも塩化白金酸とアルケニルシロキサンの錯体がヒドロシリル化反応触媒としての触媒活性が高いので好ましく、特に特公昭42−22924号公報に開示されているような塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が好ましい。
C成分の添加量は、A成分100万質量部に対して、白金金属原子として1〜1000質量部であり、好ましくは1〜100質量部である。
【0022】
(D成分)
D成分は本組成物の機械的強度を向上させるために添加される充填剤であり通常シリコーンゴムの配合に用いられる化合物が用いられる。このD成分としては、例えば、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、焼成シリカ、粉砕石英、およびこれらのシリカ粉末をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物で表面処理した粉末、炭酸カルシウム等が挙げられる。炭酸カルシウムとしては重質、軽質あるいは、コロイダル炭酸カルシウムのいずれも用いることができる。
これらの中では、特に、得られる接着剤硬化物の機械的強度を十分に向上させるためには、D成分として、BET比表面積が50m2/g以上であるシリカ粉末を用いることが好ましい。
本組成物においてD成分の含有量は任意であるが、得られるシリコーンゴム硬化物の機械的強度を向上させるためには、A成分100質量部に対して1〜1000質量部であることが好ましく、5〜400質量部であることがより好ましい。
【0023】
また、本組成物には、その他任意の成分として、例えば、ヒュームド酸化チタン、カーボンブラック、ケイ藻土、酸化鉄、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、これらの充填剤の表面を前記の有機ケイ素化合物で処理した充填剤など、導電性、熱伝導性、何年生等の機能を付与するための充填剤などを含有してもよい。
【0024】
(E成分)
また、本組成物においてE成分は、接着剤として機能させるためにその接着性を賦与、向上させるためのものである。
このE成分としては、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のシランカップリング剤及びこれらの部分加水分解物;エポキシ基、酸無水物基、α−シアノアクリル基を有する有機化合物及びこれらの基を含有するシロキサン化合物、或いはこれらの基とアルコキシシリル基、或いはヒドロシリル基を併有する有機化合物若しくはシロキサン化合物;テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンエチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート等のチタン化合物;エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等のジルコニウム化合物を含有してもよい。これらの接着付与剤の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。
【0025】
本発明のシリコーンゴム組成物には、その硬化性を調整するために、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等の1分子中にビニル基を5質量%以上持つオルガノシロキサン化合物;ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類、ヒドラジン類等の硬化抑制剤を含有することが好ましい。
これらの硬化抑制剤の含有量は限定されないが、A成分100質量部に対して0.001〜5質量部であることが好ましい。
【0026】
本組成物を調製する方法は限定されず、必要に応じて任意の成分を混合することにより調製することができるが、予めA成分とD成分を加熱混合して調製したベースコンパウンドに、残余の成分を添加することが好ましい。なお、この残余の成分を添加する場合、ベースコンパウンドを調製する際に添加してもよく、また、この添加成分が加熱混合により変質するおそれがある場合には、B成分及びC成分を添加する際に添加することが好ましい。
また、このベースコンパウンドを調製する際、前記の有機ケイ素化合物を添加して、E成分の表面をin−situ処理してもよい。
本組成物を調製する際、2本ロール、ニーダーミキサー、ロスミキサー等の周知の混練装置を用いることができる。
【0027】
更に、本発明のシリコーンゴム組成物には、非汚染性を阻害しない範囲において種々の化合物を添加することは任意であり、例えばポリエチレングリコール又はその誘導体からなるチクソトロピー性付与剤、ベンガラ及び酸化セリウムなどの耐熱性向上剤、耐寒性向上剤、脱水剤、防錆剤、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどの接着性向上剤、トリオルガノシロキシ単位及びSiO2単位及び/又はモノオルガノシロキシ単位よりなる網状ポリシロキサンなどの液状補強剤、希釈材として汚染性に影響を及ぼさないパラフィン系溶剤、ビニル基等アルケニル基の他炭素数2以上の炭化水素基含有液状オルガノポリシロキサンなどを必要に応じてその所定量を添加することができる。
また、非汚染成功状の目的で、例えばアクリル基等の不飽和基を含有するオリゴマーやポリマーなど、従来から使用されている光硬化性物質や、例えば桐油、亜麻仁油などの光崩壊性物質等を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
【0028】
本発明のシリコーンゴム組成物は、上記成分の所定量をニーダーミキサー、二軸連続混練機等の混練機で混合することにより、得ることができる。
【0029】
本発明のシリコーンゴム組成物は、硬化した後のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する全置換基の2モル%以上が、フルオロアルキル基以外の炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であるので、優れた非汚染性を発揮するという特徴を有する。
【0030】
本発明の非汚染性シリコーンゴム組成物は、建築用ゴム部材として使用することが好適であり、特にシーリング材、パネル接着、ガスケット成型体など外気に曝される部位に好適に使用される。
上記シリコーンゴム組成物は、室温或いは室温以上の温度で、付加架橋反応が進行することで、硬化してゴム弾性体となる。この組成物をシーリング材として用いた場合は、同時に目地と接着してシール性能を発揮させることが出来る。
硬化は、通常、23℃で7日でほぼ完了する。
また、硬化中に接着成分として添加した化合物と、ガラス、タイル、金属、石などの無機材料との間に水素結合、あるいは、共有結合が形成するので、硬化後に良好な接着力が得られる。
【0031】
このような用い方をする場合には、予め本組成物を紐状、帯状、シート状、リボン状などの形に成型して、未硬化成型体とし、冷蔵、或いは冷凍保存しておけば、使用時に所定の箇所に取り付けて硬化させることが出来る。
このような用い方をした場合は、本組成物が定形の未硬化シリコーンゴムであるため、目地を汚すことなく、良好な仕上がりが簡便に得られる。
【0032】
上記のように本組成物を紐状、帯状、シート状、リボン状などの形に成型して未硬化状態で使用する場合には、ウイリアムス可塑度が150〜450であることが好ましく、150〜350の範囲がより好ましい。
可塑度を150以上にすることにより、形状保持性を確保でき、梱包保管状態で変形するようなことがない。可塑度を450以下にすることにより、接着面に変形密着させるために過大な力が必要となることがなく、施工性、加工性を良好なものとし、かつ、接着面との密着性に優れ、高い接着強さを維持できる。
【0033】
前記で得られた未硬化シリコーンゴム成型体は、キャリアフィルムとラミネートすると、施工時の取り扱いおよび保存時の形状維持性が向上する。
キャリアフィルムとしては、二軸延伸PPフィルム(OPP)、無延伸PPフィルム(CPP)、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられるが、中でも剥離性が良好で機械的な強度のある二軸延伸PPフィルムが好ましい。
また、ラミネートされた成形体は、リール等に巻き取って、さらに施工性、形状維持性を向上させることができる。
【0034】
また、本発明の未硬化成型体を、使用にあたって、常温で硬化接着させる場合には、未硬化成型体の貯蔵は冷蔵或いは冷凍下で行うことが好ましい。
具体的には0℃〜−40℃程度の温度で貯蔵するのが好ましく、また、成形体を低温雰囲気から常温雰囲気に移した時に、成形体表面に結露しないように、透湿性の低いプラスチックフィルムでヒートシール等の方法で密閉しておくのが好ましい。
結露防止用フィルムとしては、二軸延伸PPフィルム(OPP)、無延伸PPフィルム(CPP)、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられるが、透湿性が低く、ヒートシール性に優れ、かつ、安価であることより、ポリエチレンフィルムが好ましい。
即ち、本発明の未硬化成形体を、結露防止フィルムで密閉した状態で冷蔵或いは冷凍保存し、使用前に、低温雰囲気から常温雰囲気に移して、結露しない程度の温度になった時点で結露防止用フィルムを開封して、未硬化成型体を目地等に施工すればよい。
【0035】
未硬化成型体の硬化後の機械物性は、本発明の用途が建築用ゴム部材に使用された場合に好適な特性を保持できる物性とする。
伸張度が150%以上とすると、季節、時刻の移動に伴う目地等の膨張収縮に追随でき、接着性が損なわれることがない。
また、引張り強さを15kg/cm2以上とすることで、外力によってシール材が損傷される心配がなくなる。
【0036】
また、本発明のシリコーンゴム組成物は、予め成型加工及び硬化することによってガスケットなどの建築用部材等に成型することができる。
具体的には、ガラス押え用(グレイジング用)、PC板、ALC板、押出成形セメント板、窯業サイディング板、金属パネル等の壁パネルの目地に使用できる。
この場合上記組成物をプレス、押し出し等によって賦形し、加熱等の方法で硬化させることによって所望の形状の硬化成型体を得ることができる。
この硬化させた成型体を、目地部材等のガスケットとして使用する場合には、本発明の組成物中にE成分である接着性賦与材は添加する必要はない。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、粘度は25℃での測定値を示したものである。
また、シリコーンゴム組成物のウイリアムス可塑度は以下に示す方法にしたがって25℃において測定した値である。
【0038】
[ウィリアムス可塑度の測定]
JIS K6249:1997「未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法」に規定する測定方法に準じて測定した。即ち、シリコーンゴム組成物2gを球状の試験片とし、次いで、この試験片をセロハン紙に挟んで、ダイヤルゲージの付いた平行板可塑度計(上島製作所製;ウイリアムスプラストメータ)中にセットし、5kgの荷重を加えて3分間放置した後、ダイヤルゲージの目盛りをミリメートルまで読み取り、試験片の厚さを記録し、この数値を100倍してウイリアムス可塑度とした。
【0039】
(合成例)
温度計、撹拌機、冷却器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752g、1,3−ジビニル−1,1’,3,3’−テトラメチルジシロキサン2.5g、水酸化カリウム0.08gを仕込み、150℃で5時間反応させた。
反応後80℃まで冷却してエチレンクロロヒドリン4.0gを加え、更に80℃で3時間反応させた後、減圧加熱により低揮発分を留去して生ゴム状、無色透明流動性固体両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサン共重合体(ポリマーA)(粘度2000万mPa・s、ウィリアムス可塑度90、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:50モル%)を得た。
【0040】
同様にして珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基(ビニル基)の割合が25モル%、12.5モル%、5モル%、2.2モル%、0モル%(分子両末端のみビニル基を含有)、の生ゴム状、無色透明流動性固体の両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサン共重合体を得、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基(ビニル基)の割合が25モル%の共重合体をポリマーB、12.5モル%の共重合体をポリマーC、5モル%の共重合体をポリマーD、2.2モル%の共重合体をポリマーE、0モル%(分子両末端のみビニル基を含有)の共重合体をポリマーFとした。
【0041】
(実施例1)
混練り器(ニーダー)中でポリマーAを100質量部と表面がジメチルジクロロシランで処理された乾式シリカ(日本エアロジル製、エアロジルR972)30質量部、両末端ジメチルヒドロキシシリル基封鎖の重合度が約10のジメチルポリシロキサン2質量部を均一に混合し、窒素通気雰囲気下で150℃1時間加熱しながら混合を行い冷却した。
次いで、ミキシングロールを使用して、冷却状態にて、前記混練物100質量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサンの量:0.7モル/100g)1.72質量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5質量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.27質量部、ビニルトリエトキシシラン1質量部、3−メチル−1−ブチン−3−オール0.05質量部を、均一に混練し、シリコーンゴム組成物を調製した。
【0042】
(基本物性)
23℃ 10%RHの環境下で十分に冷却された2本ロールを用いて、上記で得られたシリコーンゴム組成物の2mm厚みのシートを得た。このシートを23℃ 50%の雰囲気で2週間養生し、得られた硬化物の基本物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
(90度方向剥離強さの測定)
また、シリコーンゴム組成物を23℃ 10%RHの環境下で十分に冷却された二本ロールを用いてOPP(二軸延伸ポリエチレン)フィルム(40μm)上に厚み3mmのシートを形成し、幅10mm長さ50mmに切断し、ガラスおよびアルマイトアルミに貼りあわせ、23℃ 50%RHの雰囲気下に1週間放置した後、90°剥離により、接着強さを測定した。
ガラスに対する90度方向剥離強さは10kgf/cm(9.8MPa・cm)以上、アルマイトアルミに対する90度方向剥離強さは4.6kgf/cm(4.5MPa・cm)で、破壊状態は、いずれも凝集破壊であった。
【0045】
(引張り接着性の測定)
シリコーンゴム組成物を23℃ 10%RHの環境下で二本ロールを用いてOPP(二軸延伸ポリエチレン)フィルム(40μm)上に厚み13mmのシートを形成した。次いで縦50mm、横50mm、厚み8mmのガラスを使用して、H型試験片を作製し、23℃ 50%RHの雰囲気下に1週間放置した後、JIS A 5758に準じた方法で、引張り接着性を評価した。
また、引張り接着性測定結果は、引張強さ:1.77MPa、伸び:324%、50%引張り弾性率:0.54MPa、凝集破壊率100%であった。
【0046】
(目地施工)
シリコーンゴム組成物を、押出成形にて厚み3.5mm、幅4mmの大きさに賦形し、未硬化ゴムの押出成形体を得た。次いで、押出成形とインラインで幅8mmの二軸延伸ポリエチレンフィルムと貼りあわせ、次いで幅8mmのキャリアリールに巻取り、ポリエチレンフィルムを使用して熱溶着により、前記キャリアリールに巻き取った押出成形体を密封し、冷凍状態(−20℃)にて保存した。
【0047】
2週間後、コンクリート下地材に外装材として砕石化粧板(厚み5mm)を、ブチルゴム系接着剤で貼り合わせ、幅5mm、深さ3.5mmの目地を形成した。この砕石化粧板としては、表面の凹凸の大きいもので、通常の液状シーリング材では、マスキングができないために外観の仕上げが困難なものを用いた。
この目地をエタノールで洗浄した後、ハケでプライマーを塗布、風乾させた。
前記キャリアリールに巻き取った押出し成形体を冷凍状態から常温雰囲気(23℃)に取り出し、30分後、袋状のポリエチレンフィルムを開封し、リールからキャリアフィルムごと押出成形体を取り出し、押出し成形体を目地底面に対向させて、目地内に充填した。次いで、キャリアフィルムの上からローラー治具で押圧し、未硬化の押出成形体を変形させて、目地の側面、底面に十分に密着したことを確認した後、キャリアフィルムを剥離除去した。さらに2週間後、目地に充填したゴムの状態を観察した。
目地に充填したゴムは、充分に硬化しており、目地の仕上がり状態は、ゴムのはみ出しもなく、汚染もなく、極めて良好であることを確認した。
また、目地内で硬化したゴムと目地側面、目地底面との間にカッターナイフで破壊のきっかけを作り、手で引張って破壊の状況を確認したところ、凝集破壊で、接着状態は良好であった。
【0048】
(実施例2)
ポリマーAの代わりにポリマーBを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0049】
(実施例3)
ポリマーAの代わりにポリマーCを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0050】
(実施例4)
ポリマーAの代わりにポリマーDを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0051】
(実施例5)
ポリマーAの代わりにポリマーEを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0052】
(実施例6)
混練り器(ニーダー)中でポリマーAを100質量部とコロイダル炭酸カルシウム50質量部を均一に混合加熱し、水分を溜去し、冷却した。
次いで、ミキシングロールを使用して、冷却状態にて、前記混練物100質量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサンの量:0.7モル/100g)1.72質量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5質量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.27質量部、ビニルトリエトキシシラン1質量部、3−メチル−1−ブチン−3−オール0.05質量部を、均一に混練し、シリコーンゴム組成物を調製した。得られたシリコーンゴム組成物を実施例1と同様にして評価した。
【0053】
(比較例1)
ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0054】
(比較例2)
ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は実施例6と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0055】
実施例1〜6、比較例1、2のシリコーンゴム組成物をそれぞれ白ガラス板上に縦横各30mm、厚さ2mmのシート状に成型し、23℃、50%RHの雰囲気下に7日間放置してゴム弾性体とし、これを2年間屋外暴露し、それぞれのシートの表面を目視観察して、屋外暴露初期、1年後、2年後の屋外暴露による汚染性をを下記の基準で評価した。その結果を表2に示す。
[汚染性評価基準]
○:汚染なし ×:汚染あり
【0056】
【表2】
【0057】
(実施例7)
混練り器(ニーダー)中でポリマーAを100質量部と表面がジメチルジクロロシランで処理された乾式シリカ(日本エアロジル製、エアロジルR972)30質量部、両末端ジメチルヒドロキシシリル基封鎖の重合度が約10のジメチルポリシロキサン2質量部を均一に混合し、窒素通気雰囲気下で150℃1時間加熱しながら混合を行い冷却した。
次いで、ミキシングロールを使用して、冷却状態にて、前記混練物100質量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサンの量:0.7モル/100g)1.72質量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5質量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.03質量部、3−メチル−1−ブチン−3−オール0.05質量部を、均一に混練し、シリコーンゴム組成物を調製した。次いで、前記組成物を押出機にて賦形し、熱風式の加硫層にて加熱硬化させて、図1及び図2に示す断面形状のガラス押え用のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0058】
(基本物性)
23℃ 10%RHの環境下で十分に冷却された2本ロールを用いて、上記で得られたシリコーンゴム組成物の2mm厚みのシートを得た。このシートを23℃ 50%の雰囲気で2週間養生し、得られた硬化物の基本物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
(実施例8)
ポリマーAの代わりにポリマーBを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0061】
(実施例9)
ポリマーAの代わりにポリマーCを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0062】
(実施例10)
ポリマーAの代わりにポリマーDを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0063】
(実施例11)
ポリマーAの代わりにポリマーEを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0064】
(実施例12)
混練り器(ニーダー)中でポリマーAを100質量部とコロイダル炭酸カルシウム50質量部を均一に混合加熱し、水分を溜去し、冷却した。
次いで、ミキシングロールを使用して、冷却状態にて、前記混練物100質量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサンの量:0.7モル/100g)1.08質量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5質量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.03質量部、3−メチル−1−ブチン−3−オール0.05質量部を均一に混練し、シリコーンゴム組成物を調製した。次いで、前記組成物を押出機にて賦形し、熱風式の加硫層にて加熱硬化させて、図1及び図2に示す断面形状のガラス押え用のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0065】
(比較例3)
ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0066】
(比較例4)
ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は実施例12と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0067】
実施例7〜12、比較例3および4において得られたグレイジングガスケットの成形体を使用して、図3及び図4に示すように、枠状のアルミサッシに300×300×5mm厚のガラスを固定し、これを試験体として、2年間屋外暴露して、それぞれのアルミサッシのガスケット部分を目視観察し、屋外暴露初期、1年後、2年後の屋外暴露による汚染性を下記の基準で評価した。その結果を表4に示す。
[汚染性評価基準]
○:汚染なし ×:汚染あり
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】
本発明の非汚染性シリコーンゴム組成物は、硬化した後の非汚染性に優れ、しかもシール性が良好であり、施工にあたって、液状物などの場合のように周りを汚染することがない。更にはふき取りなどの後工程も不要であり簡便に施工が可能である。且つゴム自身の汚れ性も従来の液状シリコーンシーラントから大幅に低減されている。
また、予め成型体として硬化させた物品については、ガスケットなどとしてやはり従来のシリコーンゴム成型体と比較して大幅な大気暴露による汚染が低減されたものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で作製したグレイジングガスケットの1例の断面形状図である。
【図2】実施例及び比較例で作製したグレイジングガスケットの他の例の断面形状図である。
【図3】実施例及び比較例で作製した試験体の正面図である。
【図4】実施例及び比較例で作製した試験体の横断面図の一部である。
【符号の説明】
1…グレイジングガスケットA
2…グレイジングガスケットB
3…アルミサッシ
4…ガラス
5…セッティングブロック
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用シーリング材、パネル接着、ガスケット等の建築用ゴム部材に好適に使用されるシリコーンゴム組成物、該組成物を成型してなる未硬化成型体及び該組成物を成型硬化してなる成型体に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種建造物におけるコンクリート、サッシなどのジョイント部、ガラス回りなどは、現在、合成ゴムなどのシーリング材で充填施工する方法が一般的であり、このシーリング材としては、シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系、アクリル系、SBR系、ブチル系など、各種のものが知られているが、接着性、耐熱耐候性、耐久性という面からは縮合硬化型のシリコーン系シーリング材が広く使用されている。
また、固形ガスケットにおいては過酸化物加硫型シリコーン系のガスケットが使用されることが多い。
更に近年では、過酸化物加硫型シリコーン系のガスケット上に紫外線硬化型のシリコーン系コーティング材をオーバーコートする手法や、ガラス上に型枠を設置して白金付加加硫型シリコーンゴム組成物を注型、硬化、接着させ、ガラス一体型ガスケットを作製する手法も提案されている。
【0003】
しかし、従来より外壁目地に使用されているシリコーン系のシーリング材、ガスケットには目地周辺に汚れが広がるという問題が発生している。この現象は建物の立地条件(外部環境、方位)、目地設計(形状、接着体)等に大きく依存し、一般に建物周辺の大気汚染度、降雨の流れ具合、降雨後の乾燥度と著しく相関があることが判明している。
この対策として、落とし目地や孫目地等、降雨が直接目地に触れないような目地への設計変更、硬化後のシーラントもしくはガスケットの表面に塗布剤による障壁を作り、汚染を防止する方法等があるが、前者は設計仕様の変更を伴うため建物の意匠上、コスト高の問題が残り、後者は塗布という工程の増加が総合工賃のアップにつながるため一般的なものとはなっていない。
【0004】
上記の問題を解決するため、酸化チタン、酸化亜鉛等の光触媒活性を有する粒子が分散、含有された硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を用いるシーリング材、コーティング材、ガスケットなどの建築用ゴム部材の提案がある(例えば、特許文献1参照。)。
これは、この硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物に紫外線が照射されることで表面が改質されて親水化され、非汚染性が付与されるというものである。この方法によって従来のシリコーンシーラントに比して汚染性は大幅に改良されたものの、更なる非汚染性の向上が求められている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−227779号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いたシーリング材等は、従来のシリコーンシーラント等に比して汚染性は大幅に改良されるものの、長期間、例えば1年以上屋外暴露すると、降雨などにより汚れが発生し、非汚染性につき充分な効果は得られていない。
また、光触媒活性を有する粒子を配合することで、機械的な強度が低下し、シーリング材、ガスケットとして使用するには不充分なレベルであるのが実態である。
【0007】
本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、非汚染性に優れた付加硬化型シリコーンゴム組成物並びにそれを硬化させることによって得られる建築用部材、特にはシリコーンゴム製ガスケットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、付加硬化型シリコーンゴム組成物において、硬化した後のベースポリマーが含有するジオルガノポリシロキサンのケイ素原子に直結する全置換基のうち、2モル%以上が炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基(フルオロアルキル基を除く)である特定のジオルガノポリシロキサンを用いることにより、著しい非汚染性向上を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
即ち、本発明のシリコーンゴム組成物は、
A)少なくとも2個のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンと、
B)少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、
C)ヒドロシリル化触媒と、
D)充填剤とを含有する付加硬化型シリコーンゴム組成物であって、硬化した後のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する全置換基の2モル%以上が、フルオロアルキル基以外の炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であることを特徴とする。
また、本発明の未硬化シリコーンゴム成型体は、前記シリコーンゴム組成物を成型してなることを特徴とする。
また、本発明のシリコーンゴム成型体は、前記シリコーンゴム組成物を成型硬化してなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
(付加硬化型シリコーンゴム組成物)
本発明の付加硬化型シリコーンゴム組成物を詳細に説明する。
本発明において、付加硬化型シリコーンゴム組成物は、
A)少なくとも2個のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンと、
B)少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、
C)ヒドロシリル化触媒と、
D)充填剤とを含有する。
この加硬化型シリコーンゴム組成物は、更に、
E)接着付与成分を含有してもよい。
【0011】
(A成分)
A成分のポリオルガノシロキサンは本組成物の主剤であり、一分子中に平均2個以上のアルケニル基を有することを特徴とする。
このアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が例示され、これらの中ではビニル基が好ましい。
また、A成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、これらの中ではメチル基が好ましい。
A成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝鎖状などの構造が挙げられる。
A成分の25℃における粘度は1,000,000mPa・S以上が好ましく、より好ましくは10,000,000mPa・S以上である。
【0012】
このようなA成分のポリオルガノシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、式:(CH3)3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるポリオルガノシロキサン、これらのポリオルガノシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基等のアルキル基および/またはフェニル基、トリル基等のアリール基および/または3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基で置換したポリオルガノシロキサン、これらのポリオルガノシロキサンのビニル基の一部または全部をアリル基、プロペニル基等のアルケニル基で置換したポリオルガノシロキサン、およびこれらのポリオルガノシロキサンの二種以上の混合物が例示される。
【0013】
このA成分が後述のC成分であるヒドロシリル化触媒によって後述のB成分である架橋剤として作用するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと反応し、シリコーンゴム硬化物を生成するが、硬化したシリコーンゴムの大気中での暴露による汚れ、汚染を低減させるためには、この硬化したシリコーンゴムのケイ素原子に直結した全有機基の中の2モル%以上がフルオロアルキル基以外の炭素原子2以上の有機基である必要がある。
この有機基としてはエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等の置換及び非置換のアルケニル基、アセチレン基等のアルキン基等の脂肪族不飽和基が例示される。これらの中では、性能などの観点から脂肪族不飽和基が好ましい。
この脂肪族不飽和基の中では性能、製造の容易さ、コストなどの観点から特にビニル基が好ましい。
【0014】
この炭素数2以上の一価炭化水素基が末端に不飽和基を有するアルケニル基(ビニル基を含む)である場合には、アルケニル基が反応して一価の炭化水素基でなくなる場合があるので、架橋剤として作用する(B)成分の構造、量を特定し物理特性を保ちながら硬化後に全ケイ素原子結合の2モル%以上がフルオロアルキル基以外の炭素数2以上の一価炭化水素基であるように調整する必要がある。
【0015】
(B成分)
B成分のポリオルガノシロキサンは本組成物の架橋剤として作用するものであり、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有することを特徴とする。
B成分中のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基、3,3、3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0016】
B成分の分子構造としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝鎖状が例示される。
B成分の25℃における粘度は限定されないが、好ましくは、1〜1,000,000mPa・Sであり、特に好ましくは、10〜1,000mPa・Sである。
【0017】
このようなB成分のポリオルガノシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリメチルハイドロジェンシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、式:(CH3)2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるポリオルガノシロキサン、これらのポリオルガノシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基で置換したポリオルガノシロキサン、およびこれらのポリオルガノシロキサンの二種以上の混合物が例示され、得られる硬化物の機械的特性、特には、伸びが向上することから、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するポリオルガノシロキサンの混合物であることが好ましい。
【0018】
本組成物において、A成分における炭素数が2以上の炭化水素基がビニル基などの末端に不飽和基を有する脂肪族不飽和基でない場合には、B成分の含有量をA成分中のアルケニル基に対するB成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜20となる量であることが好ましく、0.1〜10となる量であることがより好ましく、0.1〜5となる量であることが特に好ましい。
これは、B成分の含有量が上記範囲の下限以上とすることで、得られる接着剤に良好な硬化性を付与することができる。一方、上記範囲の上限以下とすることで、得られる接着剤硬化物の機械的特性を良好なものとすることができる。
【0019】
また、B成分として、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するポリオルガノシロキサンの混合物を用いる場合には、前者の分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンの含有量は、A成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜10となる量であることが好ましく、0.1〜10となる量であることがより好ましく、0.1〜5となる量であることが特に好ましい。
後者の分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するポリオルガノシロキサンの含有量は、A成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.5〜20となる量であることが好ましい。
【0020】
A成分の炭素数が2以上の炭化水素基がビニル基などの末端に不飽和基を有する脂肪族不飽和基である場合には、A成分の(末端及び)側鎖に多くの付加反応性基が存在することになるので、脂肪族不飽和基含有量が5モル%程度である場合は、B成分の含有量を、B成分のケイ素原子結合水素原子のA成分中のアルケニル基に対するモル比が2以下となるような量とする必要がある。
この場合、本発明のシリコーンゴム組成物にガスケット等建築用部材として好適な特性を発現させるためには、B成分として分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンのみ或いはこれと分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンの混合物を用いるのが有効である。
【0021】
(C成分)
C成分のヒドロシリル化触媒としては白金系触媒が好ましく用いられる。
白金系触媒としては、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とジケトンの錯体、塩化白金酸とオレフィン類の錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンの錯体およびこれらをアルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に担持させたものが例示される。
これらの中でも塩化白金酸とアルケニルシロキサンの錯体がヒドロシリル化反応触媒としての触媒活性が高いので好ましく、特に特公昭42−22924号公報に開示されているような塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が好ましい。
C成分の添加量は、A成分100万質量部に対して、白金金属原子として1〜1000質量部であり、好ましくは1〜100質量部である。
【0022】
(D成分)
D成分は本組成物の機械的強度を向上させるために添加される充填剤であり通常シリコーンゴムの配合に用いられる化合物が用いられる。このD成分としては、例えば、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、焼成シリカ、粉砕石英、およびこれらのシリカ粉末をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物で表面処理した粉末、炭酸カルシウム等が挙げられる。炭酸カルシウムとしては重質、軽質あるいは、コロイダル炭酸カルシウムのいずれも用いることができる。
これらの中では、特に、得られる接着剤硬化物の機械的強度を十分に向上させるためには、D成分として、BET比表面積が50m2/g以上であるシリカ粉末を用いることが好ましい。
本組成物においてD成分の含有量は任意であるが、得られるシリコーンゴム硬化物の機械的強度を向上させるためには、A成分100質量部に対して1〜1000質量部であることが好ましく、5〜400質量部であることがより好ましい。
【0023】
また、本組成物には、その他任意の成分として、例えば、ヒュームド酸化チタン、カーボンブラック、ケイ藻土、酸化鉄、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、これらの充填剤の表面を前記の有機ケイ素化合物で処理した充填剤など、導電性、熱伝導性、何年生等の機能を付与するための充填剤などを含有してもよい。
【0024】
(E成分)
また、本組成物においてE成分は、接着剤として機能させるためにその接着性を賦与、向上させるためのものである。
このE成分としては、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のシランカップリング剤及びこれらの部分加水分解物;エポキシ基、酸無水物基、α−シアノアクリル基を有する有機化合物及びこれらの基を含有するシロキサン化合物、或いはこれらの基とアルコキシシリル基、或いはヒドロシリル基を併有する有機化合物若しくはシロキサン化合物;テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンエチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート等のチタン化合物;エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等のジルコニウム化合物を含有してもよい。これらの接着付与剤の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。
【0025】
本発明のシリコーンゴム組成物には、その硬化性を調整するために、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等の1分子中にビニル基を5質量%以上持つオルガノシロキサン化合物;ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類、ヒドラジン類等の硬化抑制剤を含有することが好ましい。
これらの硬化抑制剤の含有量は限定されないが、A成分100質量部に対して0.001〜5質量部であることが好ましい。
【0026】
本組成物を調製する方法は限定されず、必要に応じて任意の成分を混合することにより調製することができるが、予めA成分とD成分を加熱混合して調製したベースコンパウンドに、残余の成分を添加することが好ましい。なお、この残余の成分を添加する場合、ベースコンパウンドを調製する際に添加してもよく、また、この添加成分が加熱混合により変質するおそれがある場合には、B成分及びC成分を添加する際に添加することが好ましい。
また、このベースコンパウンドを調製する際、前記の有機ケイ素化合物を添加して、E成分の表面をin−situ処理してもよい。
本組成物を調製する際、2本ロール、ニーダーミキサー、ロスミキサー等の周知の混練装置を用いることができる。
【0027】
更に、本発明のシリコーンゴム組成物には、非汚染性を阻害しない範囲において種々の化合物を添加することは任意であり、例えばポリエチレングリコール又はその誘導体からなるチクソトロピー性付与剤、ベンガラ及び酸化セリウムなどの耐熱性向上剤、耐寒性向上剤、脱水剤、防錆剤、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどの接着性向上剤、トリオルガノシロキシ単位及びSiO2単位及び/又はモノオルガノシロキシ単位よりなる網状ポリシロキサンなどの液状補強剤、希釈材として汚染性に影響を及ぼさないパラフィン系溶剤、ビニル基等アルケニル基の他炭素数2以上の炭化水素基含有液状オルガノポリシロキサンなどを必要に応じてその所定量を添加することができる。
また、非汚染成功状の目的で、例えばアクリル基等の不飽和基を含有するオリゴマーやポリマーなど、従来から使用されている光硬化性物質や、例えば桐油、亜麻仁油などの光崩壊性物質等を本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
【0028】
本発明のシリコーンゴム組成物は、上記成分の所定量をニーダーミキサー、二軸連続混練機等の混練機で混合することにより、得ることができる。
【0029】
本発明のシリコーンゴム組成物は、硬化した後のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する全置換基の2モル%以上が、フルオロアルキル基以外の炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であるので、優れた非汚染性を発揮するという特徴を有する。
【0030】
本発明の非汚染性シリコーンゴム組成物は、建築用ゴム部材として使用することが好適であり、特にシーリング材、パネル接着、ガスケット成型体など外気に曝される部位に好適に使用される。
上記シリコーンゴム組成物は、室温或いは室温以上の温度で、付加架橋反応が進行することで、硬化してゴム弾性体となる。この組成物をシーリング材として用いた場合は、同時に目地と接着してシール性能を発揮させることが出来る。
硬化は、通常、23℃で7日でほぼ完了する。
また、硬化中に接着成分として添加した化合物と、ガラス、タイル、金属、石などの無機材料との間に水素結合、あるいは、共有結合が形成するので、硬化後に良好な接着力が得られる。
【0031】
このような用い方をする場合には、予め本組成物を紐状、帯状、シート状、リボン状などの形に成型して、未硬化成型体とし、冷蔵、或いは冷凍保存しておけば、使用時に所定の箇所に取り付けて硬化させることが出来る。
このような用い方をした場合は、本組成物が定形の未硬化シリコーンゴムであるため、目地を汚すことなく、良好な仕上がりが簡便に得られる。
【0032】
上記のように本組成物を紐状、帯状、シート状、リボン状などの形に成型して未硬化状態で使用する場合には、ウイリアムス可塑度が150〜450であることが好ましく、150〜350の範囲がより好ましい。
可塑度を150以上にすることにより、形状保持性を確保でき、梱包保管状態で変形するようなことがない。可塑度を450以下にすることにより、接着面に変形密着させるために過大な力が必要となることがなく、施工性、加工性を良好なものとし、かつ、接着面との密着性に優れ、高い接着強さを維持できる。
【0033】
前記で得られた未硬化シリコーンゴム成型体は、キャリアフィルムとラミネートすると、施工時の取り扱いおよび保存時の形状維持性が向上する。
キャリアフィルムとしては、二軸延伸PPフィルム(OPP)、無延伸PPフィルム(CPP)、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられるが、中でも剥離性が良好で機械的な強度のある二軸延伸PPフィルムが好ましい。
また、ラミネートされた成形体は、リール等に巻き取って、さらに施工性、形状維持性を向上させることができる。
【0034】
また、本発明の未硬化成型体を、使用にあたって、常温で硬化接着させる場合には、未硬化成型体の貯蔵は冷蔵或いは冷凍下で行うことが好ましい。
具体的には0℃〜−40℃程度の温度で貯蔵するのが好ましく、また、成形体を低温雰囲気から常温雰囲気に移した時に、成形体表面に結露しないように、透湿性の低いプラスチックフィルムでヒートシール等の方法で密閉しておくのが好ましい。
結露防止用フィルムとしては、二軸延伸PPフィルム(OPP)、無延伸PPフィルム(CPP)、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられるが、透湿性が低く、ヒートシール性に優れ、かつ、安価であることより、ポリエチレンフィルムが好ましい。
即ち、本発明の未硬化成形体を、結露防止フィルムで密閉した状態で冷蔵或いは冷凍保存し、使用前に、低温雰囲気から常温雰囲気に移して、結露しない程度の温度になった時点で結露防止用フィルムを開封して、未硬化成型体を目地等に施工すればよい。
【0035】
未硬化成型体の硬化後の機械物性は、本発明の用途が建築用ゴム部材に使用された場合に好適な特性を保持できる物性とする。
伸張度が150%以上とすると、季節、時刻の移動に伴う目地等の膨張収縮に追随でき、接着性が損なわれることがない。
また、引張り強さを15kg/cm2以上とすることで、外力によってシール材が損傷される心配がなくなる。
【0036】
また、本発明のシリコーンゴム組成物は、予め成型加工及び硬化することによってガスケットなどの建築用部材等に成型することができる。
具体的には、ガラス押え用(グレイジング用)、PC板、ALC板、押出成形セメント板、窯業サイディング板、金属パネル等の壁パネルの目地に使用できる。
この場合上記組成物をプレス、押し出し等によって賦形し、加熱等の方法で硬化させることによって所望の形状の硬化成型体を得ることができる。
この硬化させた成型体を、目地部材等のガスケットとして使用する場合には、本発明の組成物中にE成分である接着性賦与材は添加する必要はない。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、粘度は25℃での測定値を示したものである。
また、シリコーンゴム組成物のウイリアムス可塑度は以下に示す方法にしたがって25℃において測定した値である。
【0038】
[ウィリアムス可塑度の測定]
JIS K6249:1997「未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法」に規定する測定方法に準じて測定した。即ち、シリコーンゴム組成物2gを球状の試験片とし、次いで、この試験片をセロハン紙に挟んで、ダイヤルゲージの付いた平行板可塑度計(上島製作所製;ウイリアムスプラストメータ)中にセットし、5kgの荷重を加えて3分間放置した後、ダイヤルゲージの目盛りをミリメートルまで読み取り、試験片の厚さを記録し、この数値を100倍してウイリアムス可塑度とした。
【0039】
(合成例)
温度計、撹拌機、冷却器を備えた内容積5リットルの三つ口フラスコに2,4,6,8−テトラビニル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン2,752g、1,3−ジビニル−1,1’,3,3’−テトラメチルジシロキサン2.5g、水酸化カリウム0.08gを仕込み、150℃で5時間反応させた。
反応後80℃まで冷却してエチレンクロロヒドリン4.0gを加え、更に80℃で3時間反応させた後、減圧加熱により低揮発分を留去して生ゴム状、無色透明流動性固体両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサン共重合体(ポリマーA)(粘度2000万mPa・s、ウィリアムス可塑度90、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基の割合:50モル%)を得た。
【0040】
同様にして珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基(ビニル基)の割合が25モル%、12.5モル%、5モル%、2.2モル%、0モル%(分子両末端のみビニル基を含有)、の生ゴム状、無色透明流動性固体の両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサン共重合体を得、珪素原子に結合した全置換基に対する炭素数2以上の置換基(ビニル基)の割合が25モル%の共重合体をポリマーB、12.5モル%の共重合体をポリマーC、5モル%の共重合体をポリマーD、2.2モル%の共重合体をポリマーE、0モル%(分子両末端のみビニル基を含有)の共重合体をポリマーFとした。
【0041】
(実施例1)
混練り器(ニーダー)中でポリマーAを100質量部と表面がジメチルジクロロシランで処理された乾式シリカ(日本エアロジル製、エアロジルR972)30質量部、両末端ジメチルヒドロキシシリル基封鎖の重合度が約10のジメチルポリシロキサン2質量部を均一に混合し、窒素通気雰囲気下で150℃1時間加熱しながら混合を行い冷却した。
次いで、ミキシングロールを使用して、冷却状態にて、前記混練物100質量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサンの量:0.7モル/100g)1.72質量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5質量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.27質量部、ビニルトリエトキシシラン1質量部、3−メチル−1−ブチン−3−オール0.05質量部を、均一に混練し、シリコーンゴム組成物を調製した。
【0042】
(基本物性)
23℃ 10%RHの環境下で十分に冷却された2本ロールを用いて、上記で得られたシリコーンゴム組成物の2mm厚みのシートを得た。このシートを23℃ 50%の雰囲気で2週間養生し、得られた硬化物の基本物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
(90度方向剥離強さの測定)
また、シリコーンゴム組成物を23℃ 10%RHの環境下で十分に冷却された二本ロールを用いてOPP(二軸延伸ポリエチレン)フィルム(40μm)上に厚み3mmのシートを形成し、幅10mm長さ50mmに切断し、ガラスおよびアルマイトアルミに貼りあわせ、23℃ 50%RHの雰囲気下に1週間放置した後、90°剥離により、接着強さを測定した。
ガラスに対する90度方向剥離強さは10kgf/cm(9.8MPa・cm)以上、アルマイトアルミに対する90度方向剥離強さは4.6kgf/cm(4.5MPa・cm)で、破壊状態は、いずれも凝集破壊であった。
【0045】
(引張り接着性の測定)
シリコーンゴム組成物を23℃ 10%RHの環境下で二本ロールを用いてOPP(二軸延伸ポリエチレン)フィルム(40μm)上に厚み13mmのシートを形成した。次いで縦50mm、横50mm、厚み8mmのガラスを使用して、H型試験片を作製し、23℃ 50%RHの雰囲気下に1週間放置した後、JIS A 5758に準じた方法で、引張り接着性を評価した。
また、引張り接着性測定結果は、引張強さ:1.77MPa、伸び:324%、50%引張り弾性率:0.54MPa、凝集破壊率100%であった。
【0046】
(目地施工)
シリコーンゴム組成物を、押出成形にて厚み3.5mm、幅4mmの大きさに賦形し、未硬化ゴムの押出成形体を得た。次いで、押出成形とインラインで幅8mmの二軸延伸ポリエチレンフィルムと貼りあわせ、次いで幅8mmのキャリアリールに巻取り、ポリエチレンフィルムを使用して熱溶着により、前記キャリアリールに巻き取った押出成形体を密封し、冷凍状態(−20℃)にて保存した。
【0047】
2週間後、コンクリート下地材に外装材として砕石化粧板(厚み5mm)を、ブチルゴム系接着剤で貼り合わせ、幅5mm、深さ3.5mmの目地を形成した。この砕石化粧板としては、表面の凹凸の大きいもので、通常の液状シーリング材では、マスキングができないために外観の仕上げが困難なものを用いた。
この目地をエタノールで洗浄した後、ハケでプライマーを塗布、風乾させた。
前記キャリアリールに巻き取った押出し成形体を冷凍状態から常温雰囲気(23℃)に取り出し、30分後、袋状のポリエチレンフィルムを開封し、リールからキャリアフィルムごと押出成形体を取り出し、押出し成形体を目地底面に対向させて、目地内に充填した。次いで、キャリアフィルムの上からローラー治具で押圧し、未硬化の押出成形体を変形させて、目地の側面、底面に十分に密着したことを確認した後、キャリアフィルムを剥離除去した。さらに2週間後、目地に充填したゴムの状態を観察した。
目地に充填したゴムは、充分に硬化しており、目地の仕上がり状態は、ゴムのはみ出しもなく、汚染もなく、極めて良好であることを確認した。
また、目地内で硬化したゴムと目地側面、目地底面との間にカッターナイフで破壊のきっかけを作り、手で引張って破壊の状況を確認したところ、凝集破壊で、接着状態は良好であった。
【0048】
(実施例2)
ポリマーAの代わりにポリマーBを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0049】
(実施例3)
ポリマーAの代わりにポリマーCを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0050】
(実施例4)
ポリマーAの代わりにポリマーDを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0051】
(実施例5)
ポリマーAの代わりにポリマーEを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0052】
(実施例6)
混練り器(ニーダー)中でポリマーAを100質量部とコロイダル炭酸カルシウム50質量部を均一に混合加熱し、水分を溜去し、冷却した。
次いで、ミキシングロールを使用して、冷却状態にて、前記混練物100質量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサンの量:0.7モル/100g)1.72質量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5質量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.27質量部、ビニルトリエトキシシラン1質量部、3−メチル−1−ブチン−3−オール0.05質量部を、均一に混練し、シリコーンゴム組成物を調製した。得られたシリコーンゴム組成物を実施例1と同様にして評価した。
【0053】
(比較例1)
ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0054】
(比較例2)
ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は実施例6と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0055】
実施例1〜6、比較例1、2のシリコーンゴム組成物をそれぞれ白ガラス板上に縦横各30mm、厚さ2mmのシート状に成型し、23℃、50%RHの雰囲気下に7日間放置してゴム弾性体とし、これを2年間屋外暴露し、それぞれのシートの表面を目視観察して、屋外暴露初期、1年後、2年後の屋外暴露による汚染性をを下記の基準で評価した。その結果を表2に示す。
[汚染性評価基準]
○:汚染なし ×:汚染あり
【0056】
【表2】
【0057】
(実施例7)
混練り器(ニーダー)中でポリマーAを100質量部と表面がジメチルジクロロシランで処理された乾式シリカ(日本エアロジル製、エアロジルR972)30質量部、両末端ジメチルヒドロキシシリル基封鎖の重合度が約10のジメチルポリシロキサン2質量部を均一に混合し、窒素通気雰囲気下で150℃1時間加熱しながら混合を行い冷却した。
次いで、ミキシングロールを使用して、冷却状態にて、前記混練物100質量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサンの量:0.7モル/100g)1.72質量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5質量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.03質量部、3−メチル−1−ブチン−3−オール0.05質量部を、均一に混練し、シリコーンゴム組成物を調製した。次いで、前記組成物を押出機にて賦形し、熱風式の加硫層にて加熱硬化させて、図1及び図2に示す断面形状のガラス押え用のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0058】
(基本物性)
23℃ 10%RHの環境下で十分に冷却された2本ロールを用いて、上記で得られたシリコーンゴム組成物の2mm厚みのシートを得た。このシートを23℃ 50%の雰囲気で2週間養生し、得られた硬化物の基本物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
(実施例8)
ポリマーAの代わりにポリマーBを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0061】
(実施例9)
ポリマーAの代わりにポリマーCを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0062】
(実施例10)
ポリマーAの代わりにポリマーDを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0063】
(実施例11)
ポリマーAの代わりにポリマーEを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0064】
(実施例12)
混練り器(ニーダー)中でポリマーAを100質量部とコロイダル炭酸カルシウム50質量部を均一に混合加熱し、水分を溜去し、冷却した。
次いで、ミキシングロールを使用して、冷却状態にて、前記混練物100質量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサンの量:0.7モル/100g)1.08質量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5質量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.03質量部、3−メチル−1−ブチン−3−オール0.05質量部を均一に混練し、シリコーンゴム組成物を調製した。次いで、前記組成物を押出機にて賦形し、熱風式の加硫層にて加熱硬化させて、図1及び図2に示す断面形状のガラス押え用のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0065】
(比較例3)
ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は実施例7と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0066】
(比較例4)
ポリマーAの代わりにポリマーFを用いた以外は実施例12と同様にして図1及び図2に示す断面形状のグレイジングガスケットの成型体を得た。
【0067】
実施例7〜12、比較例3および4において得られたグレイジングガスケットの成形体を使用して、図3及び図4に示すように、枠状のアルミサッシに300×300×5mm厚のガラスを固定し、これを試験体として、2年間屋外暴露して、それぞれのアルミサッシのガスケット部分を目視観察し、屋外暴露初期、1年後、2年後の屋外暴露による汚染性を下記の基準で評価した。その結果を表4に示す。
[汚染性評価基準]
○:汚染なし ×:汚染あり
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】
本発明の非汚染性シリコーンゴム組成物は、硬化した後の非汚染性に優れ、しかもシール性が良好であり、施工にあたって、液状物などの場合のように周りを汚染することがない。更にはふき取りなどの後工程も不要であり簡便に施工が可能である。且つゴム自身の汚れ性も従来の液状シリコーンシーラントから大幅に低減されている。
また、予め成型体として硬化させた物品については、ガスケットなどとしてやはり従来のシリコーンゴム成型体と比較して大幅な大気暴露による汚染が低減されたものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で作製したグレイジングガスケットの1例の断面形状図である。
【図2】実施例及び比較例で作製したグレイジングガスケットの他の例の断面形状図である。
【図3】実施例及び比較例で作製した試験体の正面図である。
【図4】実施例及び比較例で作製した試験体の横断面図の一部である。
【符号の説明】
1…グレイジングガスケットA
2…グレイジングガスケットB
3…アルミサッシ
4…ガラス
5…セッティングブロック
Claims (8)
- A)少なくとも2個のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンと、
B)少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、
C)ヒドロシリル化触媒と、
D)充填剤とを含有する付加硬化型シリコーンゴム組成物であって、硬化した後のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する全置換基の2モル%以上が、フルオロアルキル基以外の炭素数2以上の置換もしくは非置換の一価炭化水素基であることを特徴とするシリコーンゴム組成物。 - 硬化後の伸張度が150%以上、引っ張り強さが14.7Pa(15kg/cm2)以上である請求項1記載のシリコーンゴム組成物。
- シリコーンゴム組成物が
A成分の25℃での粘度が1,000,000mPa・S以上であり、
B成分の25℃での粘度が10〜1000mPa・Sであることを特徴とする請求項1または2記載のシリコーンゴム組成物。 - オルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する炭素数2以上の置換もしくは非置換の有機基が脂肪族不飽和基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
- 充填剤が、炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、又は疎水化処理したシリカのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
- 建築ゴム部材用である請求項1乃至5のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物を成型してなる未硬化シリコーンゴム成型体。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物を成型硬化してなるシリコーンゴム成型体。
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