JP2003176411A - 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物 - Google Patents

室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物

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JP2003176411A JP2001376289A JP2001376289A JP2003176411A JP 2003176411 A JP2003176411 A JP 2003176411A JP 2001376289 A JP2001376289 A JP 2001376289A JP 2001376289 A JP2001376289 A JP 2001376289A JP 2003176411 A JP2003176411 A JP 2003176411A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チキソ性が良好で貯蔵安定性に優れた室温硬
化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供する。 【解決手段】 本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキ
サンは、(A)(A1)分子中にケイ素官能基として平
均2個を超える数の加水分解性基を有し、粘度が100
〜500,000mPa・s(23℃)であるケイ素官
能性ポリジオルガノシロキサン、および/または(A
2)分子中に2個以上の加水分解性基を有し、粘度が1
00〜500,000mPa・s(23℃)であるケイ
素官能性ポリジオルガノシロキサンと架橋剤を含む組成
物であって、前記(A)ポリジオルガノシロキサン10
0重量部に対して、(B)硬化触媒0.01〜10重量
部と、(C)脂肪酸エステルで表面処理されたBET比
表面積が3m/g以上の炭酸カルシウム炭酸カルシウ
ム10〜200重量部とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室温硬化性ポリオ
ルガノシロキサン組成物に係り、さらに詳しくは、湿気
の存在しない密封条件下では安定であって、空気中の水
分と接触することにより室温で硬化してゴム状弾性体を
生じ、シ−リング材やコ−ティング材として有用な室温
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に関する。特に、
硬化性が良好で貯蔵安定性に優れ、チキソ性も良好であ
る1成分型の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】室温で硬化しゴム状弾性体を生成するポ
リオルガノシロキサン組成物の中で、空気中の水分と接
触することにより硬化反応が生起する、いわゆる室温硬
化性ポリオルガノシロキサン組成物は、使用直前に本体
(ベースポリマー)や架橋剤、触媒等を秤量したり、混
合したりする煩雑さが無く、配合上のミスを生じること
がないうえに、接着性に優れているので、電気・電子工
業などにおける弾性接着剤やコ−ティング材として、ま
た建築用シ−リング材等として広く用いられている。
【0003】一般に、このような組成物は、分子末端が
水酸基で閉塞されたシラノ−ル基末端ポリジオルガノシ
ロキサンに、分子中に2個を超える数の加水分解性基を
有する架橋剤と、シリカ、炭酸カルシウムなどの充填剤
を配合したものからなっている。
【0004】そして、硬化の際に、架橋剤の種類に応じ
て、酢酸などのカルボン酸、有機アミン、アミド、有機
ヒドロキシルアミン、オキシム化合物、アルコール、ア
セトンなどを放出する。特に接着剤、コ−ティング材な
どの用途で、ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させ
てゴム状弾性体とする場合には、脱オキシム型、脱アセ
トン型、脱アルコール型のものが用いられることが多
い。
【0005】近年、末端のケイ素原子にアルコキシ基の
結合したポリオルガノシロキサンとアルコキシシラン、
および硬化触媒などから成る1包装型(1成分型)の室
温硬化性組成物が、用いられるようになってきている。
末端のケイ素原子にアルコキシ基の結合したポリオルガ
ノシロキサンは、末端が水酸基のものと比べて、保存安
定性が良好で硬化も速いという特長を備えている。
【0006】また、建築、自動車、床材等の分野でシ−
リング材や接着剤として広く使用される室温硬化性ポリ
オルガノシロキサン組成物には、1成分型のものと2成
分型のものとがあり、2成分型のものは、基剤または主
剤と呼ばれるベース成分と硬化剤との2つの成分(2
液)を、使用直前に混合して使用する。これに対して、
1成分型のものは、前記したように架橋剤や触媒等を秤
量したり混合したりする煩雑さが無く、配合上のミスを
生じることがないなどの利点を有するが、(1)配合に
よって保存中に容器内部で硬化が生じたり、あるいは
(2)保存中に時間の経過とともに硬化不良が生じる
(硬化しにくくなる)など、貯蔵安定性に問題があっ
た。
【0007】そして、脱アセトキシ型や脱ケトオキシム
型の組成物においては、前記した(1)の問題が生じ易
く、脱アルコール型のものでは、副生物のアルコールに
起因するシリコ−ン樹脂の切断により、あるいはこの切
断で派生するモノアルコキサイドにより、(2)の問題
が生じ易かった。
【0008】さらに、いずれの硬化タイプの室温硬化性
ポリオルガノシロキサン組成物においても、押出し性は
施工時間に大きく影響する重要な物性であり、押出し性
が悪いと、押出しの際に大きな力を必要とするばかりで
なく、施工に時間がかかった。またさらに、垂直部分に
施工される場合も多いため、垂れないことが必要であ
り、チキソ性、耐スランプ性といった物性も重要であっ
た。
【0009】一般に、炭酸カルシウムを充填剤として使
用することが広く行われており、室温硬化性ポリオルガ
ノシロキサン組成物のチキソ性の改善などを目的とし、
脂肪酸石鹸(アルカリ金属塩)で表面処理された沈降製
造の炭酸カルシウム(以下、沈降製炭酸カルシウムと示
す。)を配合することが、従来から行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面処
理された沈降製炭酸カルシウムの配合だけでは、得られ
る組成物のチキソ性が不十分であるため、高価な有機系
のチキソ性付与剤を補助的に配合しなければならなかっ
た。
【0011】また、炭酸カルシウムの配合量の増量によ
りチキソ性を上げることも考えられるが、その場合は、
硬化物のモジュラスが高くなるなど物性に悪影響を与え
るばかりでなく、押出し性が不良となった。さらに、脂
肪酸石鹸以外の表面処理剤として、樹脂酸石鹸、アルキ
ルベンゼンスルフォン酸またはその塩を使用することも
考えられるが、これらの処理剤で表面処理された炭酸カ
ルシウムは、組成物にチキソ性を付与する効果が不十分
であり、より多量の有機系チキソ性付与剤を必要とす
る。特に樹脂酸石鹸を使用した場合、硬化性もさること
ながら、硬化物のモジュラスが高くなり、かつ押し出し
性が悪いなどの問題を有している。
【0012】さらに従来から、脱アセトキシ型あるいは
脱オキシム型の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成
物が、その硬化性の速さから好まれて使用されている
が、脱アセトキシ型のものは、硬化の際に副成するカル
ボン酸の強い臭いが施工現場で嫌われる傾向にあり、か
つ被接着部材を腐蝕するため、用途が限られている。脱
オキシム型のものは、脱アセトキシ型のものに比べて臭
いや腐食性が低いため、広く使用されているが、人体に
対する影響がより少ないと考えられるアルコール類を副
成する脱アルコール型のものが、市場では好まれてきて
いる。
【0013】また近年、被接着部材が難接着性のエンジ
ニアリングプラスチックおよびそのコ−ティング鋼板な
どへと年々移行しつつあり、従来の脱オキシム型のもの
では接着が難しくなっている。そして、脱アルコール型
のポリオルガノシロキサン組成物においても、難接着性
のエンジニアリングプラスチック等に対する接着性の観
点から、硬化触媒として周期表第IVB族の金属原子を含
むアルコキシ化合物を用いた組成物が、有機スズ化合物
を用いた組成物に比べて優位であることが見出されてい
る。
【0014】しかし、室温硬化性ポリオルガノシロキサ
ン組成物において、脂肪酸または脂肪酸石鹸で処理され
た炭酸カルシウムを使用した場合には、炭酸カルシウム
の表面に残留する脂肪酸のカルボン酸基(−COOH)
が、硬化触媒に配位して触媒作用を阻害(被毒)するた
め、組成物の硬化性を低下させるなど、保存中に組成物
の硬化性に大きな悪影響を与えるという問題があった。
【0015】このような硬化触媒に対する被毒作用は、
有機スズ化合物系の触媒においても見られるが、特に前
記したチタンやジルコニウムのような第IVB族の金属原
子を含む硬化触媒について顕著であり、貯蔵安定性が低
下し、硬化性が著しく悪くなるという問題があった。さ
らに、このような硬化性の低下は、脱アルコール型のシ
リコ−ンゴム組成物において顕著に見られた。
【0016】本発明は、このような従来からの問題を解
消するためになされたもので、表面処理された炭酸カル
シウムを含み、チキソ性が良好であるうえに硬化性が良
好で貯蔵安定性に優れた室温硬化性ポリオルガノシロキ
サン組成物を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、1成分型の室
温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に、脂肪酸エス
テルで表面処理された炭酸カルシウムを配合することに
より、チキソ性が良好で優れた押出し性を有し、かつ貯
蔵安定性に優れた組成物が得られることを見出し、本発
明を完成した。
【0018】なお、脂肪酸エステルで表面処理された炭
酸カルシウムは、従来から、圧延フィルム等のプラスチ
ック製品の分野で充填材として多く使用されており、表
面処理剤としての脂肪酸エステルの使用において、乳化
剤(界面活性剤)を使用しないか、あるいは乳化剤の使
用を極力控えることにより貯蔵性を改善した組成物が開
発されている(特開平2−3809号公報参照)。
【0019】しかし、この発明は、炭酸カルシウムを脂
肪酸塩等の界面活性剤で表面処理した場合に、1成分型
ウレタンシ−リング組成物が保存中に界面活性剤の親水
基により容器内で増粘あるいは内部硬化(ゲル化)し、
貯蔵安定性の低下が生じるという問題に対処してなされ
たものである。すなわち、表面処理剤として脂肪酸エス
テルを使用することにより、1成分型ポリウレタン組成
物の貯蔵安定性を改良したものである。したがって、こ
の技術を室温硬化型ポリオルガノシリコ−ン組成物の貯
蔵安定性の改善にそのまま適用することができないこと
は明らかである。
【0020】また、特開平3−56581号公報には、
脂肪酸エステルで表面処理された炭酸カルシウムを配合
したシリコーン系の2成分型シーリング材が開示されて
おり、2成分混合後の粘度上昇および作業性の改善がな
されている。しかし、この発明は、本発明における1成
分型ポリオルガノシロキサン組成物の貯蔵安定性の改善
とは課題が全く異なり、そのまま適用することは容易で
ない。
【0021】同様に、特開平11−246780号公報
には、脂肪酸エステルで表面処理された炭酸カルシウム
を配合したシリコ−ン等の硬化性樹脂組成物が開示され
ている。しかし、この発明は、ベース成分が脱アルコー
ル型ではあるものの変成シリコ−ンであり、かつ2成分
型の硬化性組成物において、2液混合性、押出し性およ
びチキソ性を改善する方法に関するものである。2成分
型の硬化性組成物では、主剤と硬化剤といった2つの成
分が別々に保存されるため、保存中での硬化の進行や硬
化性の低下(硬化不良)などの問題が生じることがな
い。したがって、この技術を1成分型のポリオルガノシ
リコ−ン組成物にそのまま適用し、貯蔵安定性を改善す
ることはできない。
【0022】本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサ
ンは、(A)(A1)分子中にケイ素官能基として平均
2個を超える数の加水分解性基を有し、23℃における
粘度が100〜500,000mPa・sであるケイ素
官能性ポリジオルガノシロキサン、および/または(A
2)分子中に2個以上の加水分解性基を有し、23℃に
おける粘度が100〜500,000mPa・sである
ケイ素官能性ポリジオルガノシロキサンと架橋剤を含む
室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、前
記(A)ポリジオルガノシロキサン100重量部に対し
て、(B)硬化触媒0.01〜10重量部と、(C)脂
肪酸エステルで表面処理されたBET比表面積が3m
/g以上の炭酸カルシウム10〜200重量部とを含有
することを特徴とする。
【0023】本発明において、ベースポリマーとして用
いられる(A)ケイ素官能性ポリジオルガノシロキサン
は、ケイ素官能基として加水分解性基を有する(A1)
成分および/または(A2)成分からなり、(A1)成分
は、それ自体が(B)成分の触媒作用によって架橋反応
を起こして硬化する。また、(A2)成分と架橋剤とを
組み合わせたものは、(B)成分の触媒作用によって、
(A2)成分と架橋剤とが架橋反応を起こして硬化す
る。いずれの場合も、反応は加水分解反応とそれに続く
縮合反応であり、空気中の水分の存在で反応が進行す
る。
【0024】本発明に用いられる(A)成分は、代表的
には、下記の一般式:
【化1】 (式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換
または非置換の1価の炭化水素基を表し、Rは―ZS
iR 3−pを表す。ここで、Zは酸素および/ま
たは2価の炭化水素基を表し、Rは互いに同一でも異
なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基
を表し、Xは加水分解性基を表し、pは1〜3の数であ
る。また、nは該(A)成分の23℃における粘度を1
00〜500,000mPa・sにする数である。)で
示される実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンであ
る。そして、末端基Rは、ケイ素官能基である加水分
解性基Xを少なくとも1個有するケイ素官能性シロキシ
単位である。すなわち、該(A)成分は、分子の両末端
に、それぞれ上記の加水分解性基Xを少なくとも1個有
する。
【0025】Rは、互いに同一でも異なっていてもよ
い置換または非置換の1価の炭化水素基である。R
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデ
シル基のようなアルキル基;ビニル基、アリル基のよう
なアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基の
ようなアリ−ル基;2−フェニルエチル基、2−フェニ
ルプロピル基のようなアラルキル基が例示され、さらに
これらの炭化水素基の水素原子の一部が他の原子または
基で置換されたもの、すなわちクロロメチル基、3−ク
ロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基
のようなハロゲン化アルキル基;3−シアノプロピル基
のようなシアノアルキル基などの置換炭化水素基が例示
される。これらのうち、合成が容易で、(A)成分が分
子量の割に低い粘度を有し、硬化前の組成物に良好な押
出し性を与えることと、硬化後の組成物に良好な物理的
性質を与えることから、全有機基の85%以上がメチル
基であることが好ましく、実質的にすべての有機基がメ
チル基であることがより好ましい。
【0026】一方、特に耐熱性、耐放射線性、耐寒性ま
たは透明性を付与する場合は、Rの一部として必要量
のフェニル基を、耐油性、耐溶剤性を付与する場合は、
の一部として3,3,3−トリフルオロプロピル基
や3−シアノプロピル基を、また塗装適性を有する表面
を付与する場合は、Rの一部として長鎖アルキル基や
アラルキル基を、それぞれメチル基と併用するなど、目
的に応じて任意に選択することができる。
【0027】末端基Rにおいてケイ素原子に結合する
は、互いに同一でも異なっていてもよく、またR
と同一でも異なっていてもよい置換または非置換の1価
の炭化水素基であり、Rと同様なものが例示される。
合成が容易で、加水分解性基Xの反応性が優れているこ
とから、メチル基またはビニル基が好ましい。また、Z
は、互いに同一でも異なっていてもよく、酸素原子なら
びにメチレン基、エチレン基、トリメチレン基のような
アルキレン基;フェニレン基等の2価の炭化水素基が例
示される。合成の容易なことから、酸素原子およびエチ
レン基が好ましく、酸素原子が特に好ましい。
【0028】Xは、末端基Rに少なくとも1個存在す
るケイ素官能基、すなわち加水分解性基であるアルコキ
シ基である。このようなXとしては、メトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のようなアルコキシ
基;2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基
のような置換アルコキシ基;イソプロペノキシ基のよう
なエノキシ基などの加水分解性基が例示され、互いに同
一でも異なっていても良い。合成の容易さ、硬化前の組
成物の物性、保存中の安定性、硬化性、経済性および広
範囲の用途に用いられることなどから、アルコキシ基が
好ましい。また、Xがアルコキシ基である場合には、特
に本発明の効果が顕著である。
【0029】末端基Rにおけるケイ素官能基Xの数p
は、1〜3である。そのうち、架橋剤を配合する室温硬
化性ポリオルガノシロキサン組成物に用いる(A2)と
しては、合成が容易で、各種の架橋剤と組み合わせて用
いられることから、Xが水酸基で、pが1のものが好ま
しい。このようなケイ素官能性ポリジオルガノシロキサ
ンは、例えば、オクタメチルシクロシロキサンのような
環状ジオルガノシロキサン低量体を、水の存在下に酸性
触媒またはアルカリ性触媒によって開環重合または開環
共重合させることにより、得られた直鎖状ポリジオルガ
ノシロキサンの末端に、ケイ素原子に結合する水酸基を
導入することができる。
【0030】Xが加水分解性基のものは、例えば末端に
水酸基を有するポリオルガノシロキサンに、2個以上の
任意の加水分解性基を有するシランを縮合させることに
よって合成することができる。この場合、前記シランの
加水分解性基はこの縮合反応によって1個が消費される
ので、反応によって得られたポリオルガノシロサンの末
端基RにおけるXの数pは、用いられた加水分解性基
含有シランが有していたXの数よりも1個少ない。
【0031】また、硬化前の組成物に適度の押出し性を
付与するとともに、硬化後のゴム状弾性体に優れた機械
的特性を与えるために、(A)成分のnは、該(A)の
23℃における粘度が100〜500,000mPa・
sになるように選択される。(A)成分の粘度が100
mPa・s未満では、硬化後のゴム状弾性体の伸びが十
分でなく、一方、500,000mPa・sを超えると
均一な組成物が得にくく、押出し作業性も低下する。特
に好ましい粘度は、硬化前および硬化後の組成物に要求
される性質を調和させることから、500〜200,0
00mPa・sの範囲である。
【0032】架橋剤を用いなくとも硬化するタイプの室
温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物においては、上
記の(A)成分のうち、(A1)成分、すなわちXが加
水分解性基であり、pが平均1を超える数(すなわち、
分子中に平均2個を超える数のXを有する)のものがベ
ースポリマーとして用いられ、(A)成分中のXが架橋
手段となり、架橋剤がなくても架橋反応が進行し、硬化
してゴム状弾性体を生じる。この場合、好ましいXとし
ては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキ
シ基のようなアルコキシ基;2−メトキシエトキシ基、
2−エトキシエトキシ基のような置換アルコキシ基;イ
ソプロペノキシ基のようなエノキシ基などが挙げられ
る。特に、Xがメトキシ基のようなアルコキシ基である
場合に、本発明の効果が顕著である。また、硬化前の組
成物を安定化させるとともに、優れた硬化性を与えるた
めに、前記したベースポリマーでXがアルコキシ基であ
るものを用いることがより好ましい。
【0033】架橋剤を用いて硬化させるタイプの室温硬
化性ポリオルガノシロキサン組成物においては、(A)
成分として(A2)成分を架橋剤と組み合わせて用いる
ことにより、架橋構造を形成させる。(A2)成分とし
ては、Xが水酸基であるか、pが1(すなわち、分子中
に水酸基および/または上記と同様の加水分解性基であ
る2個のXを有する)のものを用いることができる。
【0034】架橋剤としては、水および硬化触媒の存在
下に(A)成分中のケイ素官能性基Xと反応し、組成物
を硬化させるためのケイ素官能性基を有するケイ素化合
物および/またはその部分加水分解縮合物が用いられ
る。
【0035】この架橋剤は、下記の一般式: R 4−qSiY (式中、Rは互いに同一でも異なっていてもよい置換
または非置換の1価の炭化水素基を表し、Yは加水分解
性基を表す。またqは、平均2を超え、4以下の数であ
る。)で示される。
【0036】Rとしては、(A)成分のケイ素原子に
直接結合した有機基Rと同様な基を例示することがで
きる。入手のしやすさと、優れた架橋反応速度が得られ
ることから、メチル基またはビニル基が好ましい。ま
た、加水分解反応性基Yとしては、(A)成分の末端基
に存在するXとして挙げられたものと同様のものが例示
される。
【0037】このような架橋剤の例としては、テトラメ
トキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テト
ラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシランおよ
びそれらの部分加水分解縮合物のようなアルコキシ基含
有化合物;テトラキス(2−エトキシエトキシ)シラ
ン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニル(2−エトキシエトキシ)シラン、フェニルトリス
(2−メトキシエトキシ)シランおよびそれらの部分加
水分解縮合物のような置換アルコキシ基含有化合物;メ
チルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロ
ペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラ
ン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルビニル
ジイソプロペノキシシランおよびそれらの部分加水分解
縮合物のようなエノキシ基含有化合物などが例示され
る。qが2であるシランは、qが3または4であるシラ
ンと併用される。
【0038】合成が容易で、組成物の保存安定性を損な
うことがなく、しかも大きな架橋反応速度したがって大
きな硬化速度を与えることを考慮すると、これらのシラ
ン化合物の中で、テトラメトキシシラン、テトラエトキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメト
キシシラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラ
ン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シランおよびそ
れらの部分加水分解縮合物を用いることが好ましい。本
発明の効果が顕著に現れるものとして、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン
が挙げられる。
【0039】架橋剤の配合量は、(A2)成分100重
量部に対して、通常0.5〜25重量部であり、好まし
くは2〜10重量部である。0.5重量部未満では架橋
が十分に行われず、硬度の低い硬化物しか得られないば
かりでなく、架橋剤を配合した組成物の保存安定性が悪
くなる。一方、25重量部を超えて配合すると、保存中
にその一部が系より分離し、硬化の際に著しい収縮を生
じ、得られたゴム状弾性体の物性が低下する。
【0040】なお、(A)成分として、前述の(A1)
であるXが加水分解性基でpが平均1を超えるものを用
いる場合は、前述のように、基本的には架橋剤がなくて
も硬化が可能であるが、このような場合においても、組
成物の硬化性と、硬化して得られるゴム状弾性体の機械
的性質とをバランスよく具現するために、上記の架橋剤
を併用することが好ましく、加水分解性基YがXと同じ
である架橋剤を用いることがより好ましい。この場合の
架橋剤の配合量は、(A1)成分100重量部に対し
て、通常0.1〜25重量部であり、好ましくは0.3
〜10重量部である。25重量部を超えて配合すると、
先に述べたような現象が生じ好ましくない。
【0041】本発明においては、先に具体例を列挙した
ような、Rとして1価の炭化水素基を有するケイ素官
能性化合物の他、置換された1価の炭化水素基を有する
炭素官能性の同様な化合物を、架橋剤の一部または全部
として用いてもよい。このようなRとしては、置換の
アミノ基、エポキシ基、イソシアナト基、(メタ)アク
リロキシ基、メルカプト基、またはハロゲン原子で置換
されたアルキル基やフェニル基が例示される。置換アル
キル基としては、置換メチル基、3−置換プロピル基、
4−置換ブチル基が例示されるが、合成が容易なことか
ら、3−置換プロピル基が好ましい。
【0042】このようなRを有する化合物としては、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリイ
ソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリアセトア
ミドシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)
−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル
−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニ
ル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−
ジメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランのよ
うな置換のアミノ基含有シラン;3−グリシドキシトリ
メトキシシラン、3−グリシドキシメチルジメトキシシ
ラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメト
キシシランのようなエポキシ基含有シラン;3−イソシ
アナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナト
プロピルメチルジメトキシシランのようなイソシアナト
基含有シラン;3−アクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ンのような(メタ)アクリロキシ基含有シラン;3−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシランのようなメルカプ
ト基含有シラン;および3−クロロプロピルトリメトキ
シシランのようなハロゲン原子含有シランが例示され
る。
【0043】このような置換炭化水素基含有シランや前
記のビニル基含有シランは、炭素官能性シランであっ
て、これらを配合することにより、組成物が硬化する際
の各種基材への接着性を向上させることができる。
【0044】炭素官能性シランの配合量は、(A)成分
100重量部に対して0.05〜25重量部が好まし
く、0.5〜10重量部がさらに好ましい。0.05重
量部未満では接着性の向上効果が少なく、またその発現
性が遅い。また、25重量部を超えて配合すると、前記
のような問題点のほか、保存安定性と作業性が悪くな
り、また黄変現象を生じる。
【0045】本発明において(B)成分の硬化触媒は、
(A)成分自体の架橋手段として含有されるX同士、お
よび/または(A)成分のXと架橋剤Yとを、水分の存
在下に反応させて架橋構造を形成させ、ゴム状弾性体を
得るための硬化触媒である。このような(B)成分とし
ては、鉄オクトエート、マンガンオクトエート、亜鉛オ
クトエート、スズナフテート、スズカプリレート、スズ
オレートのようなカルボン酸金属塩;ジブチルスズジア
セテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズ
ジラウレート、ジブチルスズジオレート、ジフェニルス
ズジアセテート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメ
トキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)ス
ズ、ジオクチルスズジラウレ−トのような有機スズ化合
物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、
テトラブトキシチタン、1、3−プロポキシチタンビス
(エチルアセチルアセテート)のようなアルコキシチタ
ン類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アル
ミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポ
キシアルミニウムエチルアセトアセテート、トリエトキ
シアルミニウムなどの有機アルミニウム;ジルコニウム
テトラアセチルアセトナート、テトライソプロポキシジ
ルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキ
シジルコニウムアセチルアセトネート、トリブトキシジ
ルコニウムステアレートなどの有機ジルコニウム化合物
が例示される。
【0046】微量の存在で大きな触媒能を持つことよ
り、有機スズ化合物、有機ジルコニウム化合物およびア
ルコキシチタン類が好ましい。さらに、本発明において
は、昨今の環境への配慮および難接着部材への接着性の
観点から、(B)成分の硬化触媒として、アルコキシチ
タン類、有機ジルコニウム化合物などの周期表第IVB族
の金属原子を含むアルコキシ金属化合物の使用が好まし
い。
【0047】(B)成分の配合量は、(A)成分100
重量部あたり0.01〜10重量部、より好ましくは
0.05〜5重量部である。0.01重量部未満では、
硬化触媒として十分に作用せず、硬化に長い時間がかか
るばかりでなく、特に空気との接触面から遠いゴム層の
深部における硬化が不十分となり、逆に10重量部を越
える場合には、その配合量に見合う効果がなく、無意味
であるばかりか経済的に不利益である。
【0048】本発明の(C)成分の表面処理炭酸カルシ
ウムは、硬化前の組成物に適度の流動性を与え、硬化後
には、得られるゴム状弾性体に、例えばシ−リング材、
接着剤、現場成形ガスケットなどとして用いる場合に要
求される高い機械的強度を付与する働きをする。
【0049】使用される炭酸カルシウムは、例えば、石
灰石を原料とし粉砕、分級により所望の粒度として得ら
れるいわゆる重質炭酸カルシウム、石灰石を一旦焼成し
て生石灰とし、それを水和して調製した消石灰の水懸濁
液中に炭酸ガスを導通して得られる沈降製炭酸カルシウ
ム、炭酸塩溶液とカルシウム塩溶液とを反応させて製造
される溶液法炭酸カルシウムなど、目的に応じて適宜選
択可能であるが、良好な押出し性と高いチキソ性および
耐スランプ性を得るために、BET比表面積が3m
g以上、好ましくは10m/g以上の炭酸カルシウム
を用いる。より高いBET比表面積のものが得られるこ
とから、沈降製炭酸カルシウムの使用が望ましい。BE
T比表面積が3m/g未満の炭酸カルシウムでは、高
い粘性を付与することが困難である。また、炭酸カルシ
ウムのBET比表面積は、脂肪酸エステルで処理した後
に測定においてさらに小さい値となるため、脂肪酸エス
テルで処理する前の値で10m/g以上であることが
さらに好ましい。
【0050】本発明において、このような炭酸カルシウ
ムの表面処理に用いられる脂肪酸エステルとしては、特
に限定されないが、良好な押出し性に加え、高いチキソ
性、耐スランプ性を付与することができることから、炭
素数ができるだけ多い高級脂肪酸のエステルが好まし
い。具体的には、脂肪酸の炭素数が8以上であるものが
好ましい。また、もう一方の構成成分であるエステル基
についても、特に制限はないが、脂肪酸と同様にできる
だけ炭素数が多い方が、良好な押出し性、高チキソ性お
よび耐スランプ性の付与と優れた貯蔵安定性の付与の点
で好ましい。
【0051】このような脂肪酸エステルとしては、例え
ば、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ラウリル、
パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸ラウリル、ベヘ
ニン酸ベヘニル等が例示される。また、1価のアルコー
ルから生成されるエステルのみならず、グリセリン等の
多価アルコールから生成される脂肪酸エステルも使用す
ることができる。具体的に例示すると、1価アルコール
の高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸エ
ステル、モンタワックスタイプの長鎖エステルの部分加
水分解物等の脂肪酸エステル系滑剤;ポリオキシエチレ
ングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマ
シ油および硬化ひまし油、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂
肪酸エステル、ポリエチレングリコ−ル脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの非イオン界
面活性剤等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上
組み合わせて用いることができる。
【0052】なお、上記1価アルコールとしては、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール等の炭素数が1〜18のアルコー
ルが挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリ
コール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。ま
た、高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸等の炭素数が8〜18の脂
肪酸が挙げられる。特に、オレイン酸、ステアリン酸等
の脂肪酸のエステルおよびこれらの混合物は、入手が容
易かつ安価であるので好ましい。また、炭素数が8未満
の脂肪酸のエステルは、揮発性が高いため、樹脂への溶
融混練時に揮発して用をなさない場合があるので、炭素
数が8以上の脂肪酸のエステルが好ましい。
【0053】また、貯蔵安定性への影響の点から、1価
アルコールのエステルにおいては、炭素数が大きい1価
アルコールから生成されるエステルの方が、加水分解性
が低いため好ましい。さらに、1価アルコールのエステ
ルより多価アルコールのエステルの方がより好ましい。
またさらに、硬化物表面から表面処理剤が析出するなど
の問題を生じるため、処理剤の融点は室温以上であるこ
とが好ましい。
【0054】このような脂肪酸エステルによる表面処理
の方法としては、沈降製炭酸カルシウムの場合は気液反
応により得られるため、水スラリ−中または含水ケ−キ
中で表面処理することが好ましい。脂肪酸エステルは一
般に疎水性であるが、スラリ−中に加えて撹拌するか、
含水ケ−キ中に混練すると、水スラリ−中または含水ケ
−キ中の炭酸カルシウムと十分に吸着結合する。重質炭
酸カルシウムの場合は、乾式で粉砕することが多いの
で、ヘンシェルミキサ−等の加熱、撹拌装置を使用し乾
式で表面処理することが好ましい。
【0055】表面処理量については特に制限はないが、
炭酸カルシウムの粒度に応じて変量した方がよい。一般
には、炭酸カルシウムに対して1.0〜10.0重量%
程度の割合とすることが好ましい。1.0重量%未満で
は、本発明の目的とする効果を十分に発揮することがで
きず、また10.0重量%を越えると、処理剤のコスト
が高くなり経済的に不利である。さらに、得られる組成
物の硬化物性、接着特性および硬化物表面からの析出の
有無を鑑みて、1.0〜6.0重量%程度とすることが
より好ましい。
【0056】なお、表面処理の際には、処理剤により炭
酸カルシウム表面を被覆しきれる程度の十分な処理量が
所望されるが、前記したような問題が生じるため、処理
剤量をできるだけ下げることが望まれる。この場合、表
面処理の均一化のために、加熱および熟成工程のよう
に、表面処理剤を炭酸カルシウム表面で薄く延ばす工程
を加えることがさらに好ましい。
【0057】本発明において、(C)成分の脂肪酸エス
テルにより表面処理された炭酸カルシウムの配合量は、
(A)成分100重量部に対して10〜200重量部、
より好ましくは20〜150重量部とする。10重量部
未満では、十分な押出し性、高チキソ性および耐スラン
プ性を付与することができない。また、200重量部を
越えると、粘度が高くなり過ぎ、作業性が著しく低下す
るため好ましくない。
【0058】さらに、本発明の組成物には、目的に応じ
て、顔料、チクソトロピ−性付与剤、押出し作業性を改
良するための粘度調整剤、紫外線吸収剤、防かび剤、耐
熱性向上剤、難燃化剤など、各種の添加剤を加えてもよ
い。
【0059】本発明の組成物は、以上の全ての成分およ
び必要に応じて各種添加剤を、湿気を遮断した状態で混
合することにより得られる。得られた組成物は、密閉容
器中でそのまま保存し、使用時に空気中の水分に曝すこ
とによってはじめて硬化する、いわゆる1包装型室温硬
化性組成物として使用することができる。
【0060】本発明により得られる室温硬化性ポリオル
ガノシロキサン組成物は、湿気の存在しない密封条件下
では安定であり、空気中の水分と接触することにより、
室温で硬化してゴム状弾性体を生じる。特に本発明は、
従来品より、優れた貯蔵安定性を有し、硬化性に優れた
室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供する。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定される
ものではない。なお、実施例中、部とあるのはいずれも
重量部を表し、粘度などの物性値は全て23℃、相対湿
度50%での値を示す。
【0062】実施例1 粘度40,000mPa・sのα,ω−ジヒドロキシポ
リジメチルシロキサン100部に、充填剤である4.3
%のエチレングリコ−ルジステアレ−トで表面処理され
た一次粒子径0.07μmの沈降製炭酸カルシウム12
0部と、粘度100mPa・sのメチルシリコ−ンオイ
ル(ポリジメチルシロキサン)30部を添加し、均一に
混合した。次いで、メチルトリメトキシシラン4.5
部、トリ(N−トリメトキシシリルプロピル)シクロト
リイソシアヌレ−ト0.8部およびジイソプロポキシビ
ス(エチルアセチルアセテ−ト)チタン2.5部をさら
に加え、湿気遮断下で均一に混合し、ポリオルガノシロ
キサン組成物を得た。
【0063】実施例2 粘度20,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジ
メトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン100部
に、充填剤である4.5%のステアリン酸グリセロ−ル
で表面処理された一次粒子径0.05μmの炭酸カルシ
ウム120部と、粘度100mPa・sのメチルシリコ
−ンオイル45部をそれぞれ添加し、均一に混合した。
次いで、メチルトリメトキシシラン2.5部、トリ(N
−トリメトキシシリルプロピル)シクロトリイソシアヌ
レ−ト0.8部およびジイソプロポキシビス(エチルア
セチルアセテ−ト)チタン2.5部をさらに加え、湿気
遮断下で均一に混合し、ポリオルガノシロキサン組成物
を得た。
【0064】実施例3 粘度30,000mPa・sのα,ω−ビス(メチルジ
メトキシシロキシ)ポリジメチルシロキサン100部
に、充填剤である5.0%のベヘニン酸グリセロールで
表面処理された一次粒子径0.05μmの沈降製炭酸カ
ルシウム100部と、粘度100mPa・sのメチルシ
リコ−ンオイル25部をそれぞれ添加し、均一に混合し
た。次いで、メチルトリメトキシシラン3.0部、トリ
(N−トリメトキシシリルプロピル)シクロトリイソシ
アヌレ−ト0.4部およびジイソプロポキシビス(エチ
ルアセチルアセテ−ト)チタン3.0部をさらに加え、
湿気遮断下で均一に混合し、ポリオルガノシロキサン組
成物を得た。
【0065】実施例4 充填剤として、11.0%のステアリルステアレ−ト
(ステアリン酸ステアリル)で表面処理された沈降製炭
酸カルシウムを用いた以外は、実施例2と同様にして、
ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
【0066】実施例5 表面処理された炭酸カルシウムにおける処理剤量を1.
0%とした以外は、実施例2と同様にして、ポリオルガ
ノシロキサン組成物を得た。
【0067】実施例6 充填剤として、4.0%のステアリン酸ステアリルで表
面処理された一次粒子径0.05μmの沈降製炭酸カル
シウムを配合した以外は、実施例1と同様にして、ポリ
オルガノシロキサン組成物を得た。
【0068】実施例7 充填剤として、4.0%のベヘニン酸ベヘニルで表面処
理された一次粒子径0.05μmの沈降製炭酸カルシウ
ムを配合した以外は、実施例1と同様にして、ポリオル
ガノシロキサン組成物を得た。
【0069】比較例1 充填剤として、4.0%のステアリン酸で表面処理され
た一次粒子径0.05μmの沈降製炭酸カルシウムを配
合した以外は、実施例1と同様にして、ポリオルガノシ
ロキサン組成物を得た。
【0070】比較例2 充填剤として、4.0%のステアリン酸で表面処理され
た一次粒子径0.05μmの沈降製炭酸カルシウムを配
合し、ジブチルスズジラウレート0.05部、N−トリ
メチルシリル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
3.0部、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル
トリメトキシシラン0.5部を配合し、実施例1と同様
にしてポリオルガノシロキサン組成物を得た。
【0071】比較例3 充填剤として、4.0%のステアリン酸ナトリウムで表
面処理された一次粒子径0.05μmの沈降製炭酸カル
シウムを配合した以外は、実施例1と同様にして、ポリ
オルガノシロキサン組成物を得た。
【0072】比較例4 充填剤として、4.0%のオレイン酸カリウムで表面処
理された一次粒子径0.05μmの沈降製炭酸カルシウ
ムを配合した以外は、実施例1と同様にして、ポリオル
ガノシロキサン組成物を得た。
【0073】次に、実施例1〜7および比較例1〜4で
調製し密封して保存したポリオルガノシロキサン組成物
について、以下に示すようにして、指触乾燥時間、物理
的性質、保存安定性、接着性をそれぞれ測定し評価し
た。
【0074】(a)指触乾燥時間:組成物を23℃、5
0%RHの雰囲気中に押し出した後、指で表面に接触し
て、乾燥状態にあることを確認するに至る時間を測定し
た。
【0075】(b)物理的特性:組成物を厚さ2mmの
シ−ト状に押し出し、得られたシ−トを23℃、50%
RHで168時間放置して空気中の湿気により硬化さ
せ、硬化物の物理的特性をJIS K6301により測
定した。
【0076】(c)保存安定性:湿気を遮断した容器に
組成物を入れ、50℃で14日間加熱した後、指触乾燥
時間を23℃、50%RHの雰囲気で測定した。また、
厚さ2mmのシ−ト状に押し出し、これを23℃、50
%RHで168時間放置して空気中の湿気により硬化さ
せ、硬化物の物理的特性を前記(b)と同様にJISK
6301により測定した。
【0077】(d)接着性:幅25mm、長さ80mm
の平板状の各種の接着部材の上に組成物を塗布し、重ね
幅10mmで剪断接着試験体を作製した。そして、これ
を23℃、50%RHで168時間放置し、空気中の湿
気により硬化させた後、180度剥離させるように硬化
物を引っ張り、接着強度および凝集破壊率を測定した。
【0078】これらの測定結果を表1に示す。
【表1】
【0079】表1からわかるように、実施例1〜7で調
製されたポリオルガノシロキサン組成物は、保存安定性
に優れ、湿気の存在しない密封条件下で安定であるうえ
に、空気中の水分と接触することによりはじめて室温で
硬化する。また、貯蔵により硬化性が低下することがな
く、接着性が良好で物理的特性に優れたゴム状弾性体が
得られる。
【0080】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、本発明
の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、湿気の
存在しない密封条件下では安定であり、空気中の水分と
接触することにより室温で硬化して、機械的特性が良好
で優れた接着耐久性を有するゴム状弾性体を生じる。ま
た、優れた貯蔵安定性を有し、長期間の貯蔵によっても
硬化性が低下することがない。したがって、1成分型の
シ−リング材、接着剤、現場成形ガスケットなどとして
好適する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CP06W CP06X DE237 EX036 FB247 FD146 GJ00 GJ01 GJ02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(A1)分子中にケイ素官能基と
    して平均2個を超える数の加水分解性基を有し、23℃
    における粘度が100〜500,000mPa・sであ
    るケイ素官能性ポリジオルガノシロキサン、および/ま
    たは(A2)分子中に2個以上の加水分解性基を有し、
    23℃における粘度が100〜500,000mPa・
    sであるケイ素官能性ポリジオルガノシロキサンと架橋
    剤を含む室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であ
    って、前記(A)ポリジオルガノシロキサン100重量
    部に対して、(B)硬化触媒0.01〜10重量部と、
    (C)脂肪酸エステルで表面処理されたBET比表面積
    が3m/g以上の炭酸カルシウム10〜200重量部
    とを含有することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノ
    シロキサン組成物。
  2. 【請求項2】 前記架橋剤の少なくとも一部として、炭
    素官能性シランを0.05〜25重量部の割合で含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の室温硬化性ポリオルガノ
    シロキサン組成物。
  3. 【請求項3】 前記(B)硬化触媒が、周期表第IVB族
    原子を含むアルコキシ金属化合物であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の室温硬化性ポリオルガノシロ
    キサン組成物。
  4. 【請求項4】 前記炭酸カルシウムが、BET比表面積
    が10m/g以上の沈降製造の炭酸カルシウムである
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の
    室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  5. 【請求項5】 前記炭酸カルシウムが、脂肪酸エステル
    で表面処理する前のBET比表面積が10m/g以上
    の沈降製造の炭酸カルシウムであることを特徴とする請
    求項1乃至4のいずれか1項記載の室温硬化性ポリオル
    ガノシロキサン組成物。
  6. 【請求項6】 前記脂肪酸エステルが、炭素数が8以上
    の脂肪酸のエステルであることを特徴とする請求項1乃
    至5のいずれか1項記載の室温硬化性ポリオルガノシロ
    キサン組成物。
  7. 【請求項7】 前記脂肪酸エステルの表面処理量が、前
    記炭酸カルシウムに対して1.0〜10.0重量%の割
    合であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1
    項記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
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