JP2004315492A - 抗老化化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたコラゲナーゼ阻害作用、エラスターゼ阻害作用、活性酸素消去能及びヒアルロニダーゼ阻害作用を有し、皮膚の老化を防止・予防・改善に有効な抗老化化粧料を提供する。
【解決手段】ユキノシタ科ベルゲニア・リグラータBergenia ligulata(Wall.)Engl.の根茎の溶媒抽出物を配合する。
【選択図】 なし
【解決手段】ユキノシタ科ベルゲニア・リグラータBergenia ligulata(Wall.)Engl.の根茎の溶媒抽出物を配合する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の植物の抽出物を配合することにより、優れたコラゲナーゼ阻害活性、エラスセーゼ阻害活性、活性酸素消去能及びヒアルロニダーゼ阻害活性を有して、皮膚の老化防止に有効な抗老化化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
老化皮膚では、線維芽細胞の活性低下に伴い、真皮マトリックス成分であるコラーゲン線維、エラスチン線維、酸性ムコ多糖の質的、量的な変化が起こる。コラーゲン線維は異常な老化架橋が形成されるため硬直化し、本来の弾力性に富む張りが失われる。エラスチン線維は変性崩壊し、変わってアミノ酸組成の異なるエラスチンが代償性に生産されて機能障害が進行する。その結果皮膚は柔軟性を失って、シワやたるみが発生する。これら生理的老化皮膚では、増殖能の低下、生理的機能低下が観察されるのに対して、光老化皮膚では、線維芽細胞が増大増殖し、コラーゲン産生能も亢進しているという。この著しい対照を最もよく表す特徴の一つは皮膚の厚さで、光老化した顔面皮膚は強く肥厚するが、前腕内側の生理的老化皮膚は、徐々に薄くなるのが常である。ヒト皮膚の老化を考えるときこれら相反した現象に対応した防御法を用いなければならない。近年研究が進み組織の構築や恒常性の維持に重要な役割を果たすと考えられるさまざまなマトリキシンファミリーのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が精製されてきた。これらマトリックスメタロプロテアーゼのなかのコラゲナーゼ、即ちMMP−1、MMP−8、MMP−13、MMP−18がこれまで確認されているが、特にMMP−1は、皮膚真皮マトリックスの主な構成成分であるコラーゲンI、IIIを分解し、皮膚の老化に深く関与している。コラーゲンの変性、減少は、コラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼの過剰発現によって起こり、従ってコラゲナーゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、これら皮膚老化を予防する目的でいくつかのコラゲナーゼ阻害剤やMMP阻害剤が開発されてきた(特開平9−40552、特開平10−194982、特開平11−71294、特開11−79970、特開平11−147833、特開平11−315008、特開平2000−154131、特開平2000−159631、特開平2000−191512、特開平2000−212058、特開平2000−256176、特開平11−79971、特開平2000−191487、特開平2000−256122、特開平2000−319155、特開平2001−139466、特開平2001−192316、特開平2001−192317)。
【0003】
同様に、老化の一因であるエラスチンの変性、破壊は、エラスチン分解酵素であるエラスターゼの過剰発現によって起こり、従ってエラスターゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、これら皮膚老化を予防する目的でいくつかのエラスターゼ阻害剤が開発されてきた(特開平9−87136、特開平9−87137、特開平9−95420、特開平95436、特開平10−17460、特開平10−29925、特開平10−29926、特開平10−36281、特開平10−45555、特開平10−182414、特開平11−92354、特開平11−147832、特開平11−147834、特開平11−171758、特開平11−199504、特開平11−246337、特開平11−246338、特開平11−246385、特開平11−246386、特開平11−246387、特開平11−246388、特開平11−263720、特開平11−315008、特開平11−335229、特開平11−335230、特開2000−53578、特開2000−72649、特開2000−119189、特開2000−212058、特開2000−247830、特開2000−256176、特開2000−319189、特開2001−39822、特開2001−58920)。
【0004】
また、活性酸素も皮膚の老化の重要な因子である。皮膚は、体内から起因する酸素ストレスだけでなく、空気と接していることや紫外線の照射を受けることから、最も活性酸素にさらされている器官である。皮膚表面では、活性酸素が皮脂を酸化し、皮膚表面状態の悪化の原点となっている。また、真皮中では、活性酸素により構成成分であるコラーゲンやエラスチンの架橋がおこり弾力低下の原因となり、ヒアルロン酸は低分子化することにより保湿能の低下を引き起こすといわれている。このような真皮成分の変化がシワの原因として提唱されている。また、活性酸素は、シミの生成にも深く関与していると考えられており、よって様々な皮膚の老化の主原因と推定されている。このようなことから、活性酸素から皮膚を守る化粧料が開発されてきた。特に天然物から活性酸素消去剤の開発が行なわれ、例えば、ゴマ油中のセサミノール、セサモール、米胚芽中のトコフェノール、オリザノール、コーヒー豆中のカフェー酸、ローズマリー中のカルノソール、ローズマリー酸、ターメリック中のクルクミンなどがある。また、数多くの植物抽出物に活性酸素消去能が見出され使用されてきた。
【0005】
一方、アレルギー疾患に伴う種々の皮膚のトラブルは、加齢と共に皮膚の老化を助長する。従って、皮膚アレルギーを予防することは、皮膚老化を抑えることにつながる。抗アレルギー活性の指標の一つとしてヒアルロニダーゼの阻害活性については、広く知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでのコラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、活性酸素消去剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤の効果は必ずしも十分でなく、製品への配合では、有効な結果を得るに至っていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ユキノシタ科ベルゲニア・リグラータBergenia ligulata(Wall.)Engl.の根茎の溶媒抽出物を有効成分とするコラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、活性酸素消去剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤及び配合した抗老化化粧料を提供するものである
【0008】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明で使用されるベルゲニア・リグラータとは、ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属の植物で、ヒマラヤからインド北部に自生する。インドの伝統医学であるアーユルベーダにて、咳、発熱、下痢などの治療に用いられてきた。これまで、コラゲナーゼ阻害作用、エラスターゼ阻害作用、活性酸素消去作用及び抗老化作用のあることは知られていない。一方、ヒマラヤユキノシタ属の植物のうち、中国で使用されているベルゲニア・クラッシフォリア、ベルゲニア・パープラセンスに関しては、検討例(特開平11−209299、特開平11−209295、特開平11−199504、特開平11−199503)があるが、インドで使用されているベルゲニア・リグラータに関しては、検討されていない。
【0009】
本発明で用いられる抽出物の調製方法は特に限定されないが、生又は乾燥した根茎を種々の溶媒を用い、低温から加温下において抽出する方法があげられる。
【0010】
具体的に抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール等の低級一価アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール、酢酸エチル等の低級アルキルエステルが例示され、これらの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。
【0011】
本発明で使用する抽出物は、そのまま用いてもよいが、必要に応じてろ過、濃縮してもよい。また、抽出物をカラムクロマト法、向流分配法等により、分画、精製して用いることもできる。
【0012】
更に、上記のものを減圧乾燥又は凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製し、適宜製剤化して用いることもできる。
【0013】
(抽出物製造例1)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物20gに50vol%エタノール溶液300gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過して抽出物を製した。製品の蒸発残留物は、1.35%であった。
【0014】
(抽出物製造例2)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物20gに70vol%エタノール300gを加え、室温で5日間抽出した。これをろ過し、濃縮乾固する。50%1,3−ブチレングリコール溶液300gに加温溶解し、抽出物を製した。製品の蒸発残留物は、1.18%であった。
【0015】
(抽出物製造例3)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物200gに50vol%エタノール溶液3000gを加え、50℃にて8時間抽出した。冷後ろ過した後、濃縮し、合成吸着体ダイヤイオンHP−20を充填したカラムに通液した。水洗後、50vol%エタノール溶液にて溶出し、溶出液を減圧乾固後、50%エタノール溶液500gに溶解し、抽出物を製した。製品の蒸発残留物は、3.17%であった。
【0016】
(抽出製造例4)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物200gにエタノール3000gを加え、室温にて5日間攪拌抽出を行い、冷後ろ過した後、濃縮乾固した。乾固物を30vol%エタノール溶液500gに溶解し、不溶物を除去した。さらに濃縮乾固し、70vol%エタノール溶液500gに溶解し抽出物を製した。製品の蒸発残留物は、2.40%であった。
【0017】
(抽出物製造例5)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物200gに50vol%エタノール溶液3000gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過した後、濃縮、凍結乾燥しエキス末36.4gを製した。
【0018】
本発明の抽出物の配合量は、配合する製品の種類、性状、品質、期待する効果の程度により異なるが、乾燥固形物に換算して好ましくは、0.0001〜10.0%、特に0.001〜5.0%が効果の面から好ましい。
【0019】
本発明の抗老化化粧料は、上記抽出物の他に通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、油分、湿潤剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、保湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤の他、細胞賦活剤、皮脂分泌調整剤、消炎剤、収斂剤、抗酸化剤、美白剤、活性酸素抑制剤、抗アレルギー剤等、さらに生理活性作用を有する動植物抽出物及びこれらの抽出分画、精製物を必要に応じて適宜配合し、剤型に応じて常法により製造することができる。
【0020】
本発明の抗老化化粧料の剤型は、任意であり、化粧水などの可溶化系、乳液、クリームなどの乳化系、または、軟膏、分散液、粉末系などの従来皮膚外用剤に用いられる何れの剤型でもかまわない。また、一般皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬品、医薬部外品、薬用化粧料等を包含するものである。用途も、化粧水、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧料、ファンデーション等のメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、石けん、ボディーシャンプーなどのトイレタリー製品、浴用剤等を問わない。
【0021】
次に実施例をあげて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
(試験例1)コラゲナーゼ阻害活性の評価
Wunsch−Heidrich法を一部変更した方法(薬学雑誌118,423−429,1998)により測定した。コラゲナーゼは、Sigma社製TypeIVを5mg/mLとし100μLずつ分注し凍結保存する。使用時に50倍希釈し0.1mg/mLとして使用した。コラゲナーゼ合成基質は、PZ−ペプチド(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH,Bachem社製)0.5mgに調製した。希釈液は、ともに0.1Mトリス緩衝液(pH7.1,20mMCaCl2を含有)を使用した。試験溶液は、製造例1、3及び4を凍結乾燥したものを精製水にて溶解し、抽出物固形分濃度を1mg/mLとたものを使用した。
【0023】
(試験方法)
合成基質400μL、コラゲナーゼ50μL、試験試料50μLを加え、37℃にて30分間反応させた後、25mMクエン酸溶液1mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル5mLを加えて激しく振とうさせた後、2500rpmにて遠心分離した。酢酸エチル層をとり、320nmで吸光度を測定した。
【0024】
測定結果より次式によりコラゲナーゼ阻害率を算出した。
コラゲナーゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれの水を代わりに用いた。各阻害率を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
(試験例2)エラスターゼ阻害活性の評価
本発明者らは、膵臓由来エラスターゼ(Sigma社製TypeI)及び合成基質としてSuccinyl−L−alanyl−L−alanyl−L−alanine−p−nitroanilide(Sigma社製)を用いて評価した。試験試料は、製造例1、3及び4を凍結乾燥したものを精製水にて溶解し、抽出物固形分濃度を0.5mg/mLとして用いた。
【0027】
(試験方法)
合成基質をDMSOにて溶解し15mMとし、1mLずつマイクロチューブに分注し凍結保存した。使用前に0.1M HEPES緩衝液(pH7.5,0.5M NaCl)を用いて20倍に希釈し0.75mMとした。エラスターゼは、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5,1M NaCl)にて0.07unit/mLとした。96穴プレートに、それぞれ合成基質100μL、エラスターゼ50μL、試験試料50μLを加え、37℃にて2時間インキュベーションした。その後、プレートリーダーで405nmにて吸光度を測定した。
【0028】
測定結果より次式によりエラスターゼ阻害率を算出した。
エラスターゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、エラスターゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、エラスターゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれ精製水、緩衝液を代わりに用いた。各阻害率を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
(試験例3)活性酸素消去作用SOD様活性作用の測定
抽出物製造例1〜4についてSOD様活性を測定した。SOD様活性は、NBT法(XOD系と組み合わせたBeauchampsらの方法Anal.Bioche.,44、279〜287、1971)に従った。その結果を表3に記す。
【0031】
【表3】
【0032】
試験結果から明らかなようにSOD様活性作用が確認された。特に製造例3及び4に高い活性が認められた。
【0033】
(試験例4)活性酸素消去作用DPPHラジカル消去能の測定
抽出物製造例1〜4についてDPPHラジカル(ジフェニルピクリルヒドラジルラジカル)消去能を測定した。DPPHラジカル(Sigma社)をエタノールに溶解し0.1mM溶液とした。0.1mMDPPHラジカル溶液3mLを試験管にとり、各濃度に精製水にて希釈した試験溶液0.5mLを加え、室温で10分間放置後、波長517nmで吸光度を測定した。コントロールには、試験試料の代わりに精製水を用いた。消去能は、吸光度の減少値0.30の試験試料の固形量で比較した。比較物質としてBHAを用いた。その結果を表4に記す。
【0034】
【表4】
【0035】
試験結果から明らかなように、各製造例とも優れたDPPHラジカル消去能が認められた。
【0036】
(試験例5)ヒアルロニダーゼ活性阻害作用の測定
ヒアルロニダーゼは、結合組織に分布するヒアルロン酸の加水分解酵素であり、炎症時において活性化され、結合組織のマトリックスを破壊し、炎症系の細胞及び血管の透過性を高める役割を演じると考えられている。また起炎酵素として知られており、抗炎症剤や抗アレルギー剤により阻害されることも知られている。従って、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用は、抗アレルギー活性の一つとされている。
【0037】
(試験方法)
製造例1、3及び4を凍結乾燥した各エキス末を精製水にて0.5%濃度となるように溶解し、試料とした。陽性対照として、阻害活性が既に知られているクロモグリク酸ナトリウム(藤沢薬品工業製)を試験に用いた。試験方法は、Morgan−Elson法を応用する方法にて行なった。
【0038】
試料の適当量を0.1M酢酸緩衝液(pH3.5に調製)にて希釈した溶液0.2mLにヒアルロニダーゼ(Sigma社製,TypeIV−S,最終酵素活性を400NFunit/mL)0.1mLを加え、37℃にて20分間で放置後、活性化剤としてcompound48/80(Sigma社製)の酢酸緩衝液溶液(0.1mg/mL)0.2mLを加え、更に37℃にて20分間放置する。これにヒアルロン酸カリウム(和光純薬工業製)溶液(最終濃度0.4mg/mL)0.5mLを加え、37℃にて40分間放置する。次に、氷上にて0.4N水酸化ナトリウム溶液0.2mLを加えて反応を停止させた後、ホウ酸溶液(ホウ酸4.95gに水50mLを加え、1N水酸化ナトリウム溶液にてpH9.1に調製した後、水を加えて100mLとする)0.2mLを加え、混和後沸騰水浴中にて3分間加熱し酵素を失活させる。次に氷上にて室温まで冷却し、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬(和光純薬工業製、10gに10N塩酸溶液12.5mL、酢酸87.5mLを混合溶解し、使用直前に酢酸にて10倍に希釈する)6mLを加え、37℃にて20分間放置した後、585nmにて吸光度を測定する。なお、試料溶液の代わりに酢酸緩衝液を入れたものを対照とし、各資料溶液、対照について酵素を入れないものブランクとし、次式により阻害活性率を求め、試料濃度を調整することにより50%阻害活性濃度(IC50)を求めた。
阻害率(%)=〔1−(試料溶液の吸光度−試料溶液ブランクの吸光度)/(対照溶液の吸光度−対照溶液ブランクの吸光度)〕×100
【0039】
【表5】
【0040】
(試験結果)
表5のごとく、ベルゲニア・リグラータ抽出物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害作用があることが確認された。
【0041】
(試験例6)皮膚の抗老化試験
皮膚の抗老化効果を調べるために、下記実施例1、比較例1に示す組成の化粧料を用いて、以下の方法により、しわに対する改善効果と、肌のはり、たるみに対する改善効果について評価試験を行った。
【0042】
無作為に抽出した年齢40〜50歳の健常な女性30名を被験者とし、実施例及び比較例化粧料を顔面皮膚に連日2ケ月使用した後、しわに対する改善効果と肌のはり、たるみに対する改善効果について調べた。
【0043】
(実施例1)クリーム
下記成分(1)〜(10)、別に下記成分(11)〜(16)を75℃に加温溶解しそれぞれA液及びB液とする。A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(17)を加え、クリームを調製した。
(成分) (重量%)
(1)ホホバ油 3.0%
(2)スクワラン 2・0%
(3)メチルポリシロキサン 0.5%
(4)ステアリルアルコール 0.5%
(5)セチルアルコール 0.5%
(6)トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル12.5%
(7)モノステアリン酸グリセリル 5.0%
(8)モノステアリン酸ジグリセリル 1.5%
(9)モノステアリン酸デカグリセリル 3.0%
(10)パラオキシ安息香酸プロピル 0.1%
(11)キサンタンガム 0.1%
(12)ベルゲニア・リグラータ抽出物(製造例2)3.0%
(13)グリセリン 1.0%
(14)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(15)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(16)精製水 62.0%
(17)香料 0.1%
【0044】
(比較例1)
クリーム実施例1において、ベルゲニア・リグラータ抽出物3.0%を精製水3.0%に代えた以外は、実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0045】
「しわに対する改善効果」
目尻のしわの状態を視覚評価した。
(判定基準)
有効 :しわがかなり目立たなくなった
やや有効:しわが以前より目立たなくなった
効果なし:変化なし
「肌のはり、たるみに対する改善効果」
肌のはり、たるみを視覚評価した。
(判定基準)
有効 :使用前に比べ肌にはりがあり、たるみがない
やや有効:使用前に比べ肌にややはりがあり、たるみが減少した
効果なし:変化なし
【0046】
【表6】
【0047】
表6から明らかなように、実施例1のクリームを用いた場合には、比較例1のクリームを用いた場合よりも、目尻のしわ及び肌のはり、たるみの点で改善されていることが認められた。これにより、ベルゲニア・リグラータ抽出物を配合した化粧料には、抗老化作用のあることが確認された。
【0048】
以下にさらに、本発明の処方例を示す。
【0049】
(実施例2)化粧水
下記成分(5)〜(8)を混合溶解させA液とし、これとは別に下記成分(1)〜(4)及び(9)を混合溶解させてB液とし、A液とB液を均等に混合し、化粧水を調製した。
【0050】
(実施例3)乳液
下記成分(1)〜(10)、別に(11)〜(14)及び(16)を75℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(15)を加え、乳液を調製した。
【0051】
(実施例4)石けん
石けん製造の定法により下記成分を混合し製した。
【0052】
(実施例5)クレンジングジェル
下記成分(1)〜(3)、別に(4)〜(6)及び(8)を70℃に加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(7)を加えてクレンジングジェルを製した。
【0053】
(実施例6)パック剤
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化し、次いでC相を加えて均一に溶解し、製する。
【0054】
(実施例7)乳化型ファンデーション
下記成分(1)〜(6)を充分に混合粉砕した粉末部をAとし、(7)(8)をB液、(9)〜(12)及び(14)をC液とする。C液を加熱攪拌後、Aを添加しホモミキサー処理し、さらに過熱混合したB液を加えてホモミキサー処理する。攪拌しながら50℃まで冷却し、(13)を加え、さらに室温まで冷却して製する。
【0055】
(実施例8)固形ファンデーション
下記成分(1)〜(7)をブレンダーで均一に混合し、これに(8)〜(14)を加え、よく混練して製する。
【0056】
(実施例9)ヘアートニック
下記成分(5)に(1)〜(4)及び(7)を加え、攪拌溶解した後、(6)及び(8)を加えてさらに攪拌して製する。
【0057】
(実施例10)シャンプー
下記成分を加温均一に混合し製する。
【0058】
【0059】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のベルゲニア・リグラータ抽出物は、老化防止に有効な優れたコラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、活性酸素消去能、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有し、配合した化粧料には、抗老化作用がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の植物の抽出物を配合することにより、優れたコラゲナーゼ阻害活性、エラスセーゼ阻害活性、活性酸素消去能及びヒアルロニダーゼ阻害活性を有して、皮膚の老化防止に有効な抗老化化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
老化皮膚では、線維芽細胞の活性低下に伴い、真皮マトリックス成分であるコラーゲン線維、エラスチン線維、酸性ムコ多糖の質的、量的な変化が起こる。コラーゲン線維は異常な老化架橋が形成されるため硬直化し、本来の弾力性に富む張りが失われる。エラスチン線維は変性崩壊し、変わってアミノ酸組成の異なるエラスチンが代償性に生産されて機能障害が進行する。その結果皮膚は柔軟性を失って、シワやたるみが発生する。これら生理的老化皮膚では、増殖能の低下、生理的機能低下が観察されるのに対して、光老化皮膚では、線維芽細胞が増大増殖し、コラーゲン産生能も亢進しているという。この著しい対照を最もよく表す特徴の一つは皮膚の厚さで、光老化した顔面皮膚は強く肥厚するが、前腕内側の生理的老化皮膚は、徐々に薄くなるのが常である。ヒト皮膚の老化を考えるときこれら相反した現象に対応した防御法を用いなければならない。近年研究が進み組織の構築や恒常性の維持に重要な役割を果たすと考えられるさまざまなマトリキシンファミリーのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が精製されてきた。これらマトリックスメタロプロテアーゼのなかのコラゲナーゼ、即ちMMP−1、MMP−8、MMP−13、MMP−18がこれまで確認されているが、特にMMP−1は、皮膚真皮マトリックスの主な構成成分であるコラーゲンI、IIIを分解し、皮膚の老化に深く関与している。コラーゲンの変性、減少は、コラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼの過剰発現によって起こり、従ってコラゲナーゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、これら皮膚老化を予防する目的でいくつかのコラゲナーゼ阻害剤やMMP阻害剤が開発されてきた(特開平9−40552、特開平10−194982、特開平11−71294、特開11−79970、特開平11−147833、特開平11−315008、特開平2000−154131、特開平2000−159631、特開平2000−191512、特開平2000−212058、特開平2000−256176、特開平11−79971、特開平2000−191487、特開平2000−256122、特開平2000−319155、特開平2001−139466、特開平2001−192316、特開平2001−192317)。
【0003】
同様に、老化の一因であるエラスチンの変性、破壊は、エラスチン分解酵素であるエラスターゼの過剰発現によって起こり、従ってエラスターゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、これら皮膚老化を予防する目的でいくつかのエラスターゼ阻害剤が開発されてきた(特開平9−87136、特開平9−87137、特開平9−95420、特開平95436、特開平10−17460、特開平10−29925、特開平10−29926、特開平10−36281、特開平10−45555、特開平10−182414、特開平11−92354、特開平11−147832、特開平11−147834、特開平11−171758、特開平11−199504、特開平11−246337、特開平11−246338、特開平11−246385、特開平11−246386、特開平11−246387、特開平11−246388、特開平11−263720、特開平11−315008、特開平11−335229、特開平11−335230、特開2000−53578、特開2000−72649、特開2000−119189、特開2000−212058、特開2000−247830、特開2000−256176、特開2000−319189、特開2001−39822、特開2001−58920)。
【0004】
また、活性酸素も皮膚の老化の重要な因子である。皮膚は、体内から起因する酸素ストレスだけでなく、空気と接していることや紫外線の照射を受けることから、最も活性酸素にさらされている器官である。皮膚表面では、活性酸素が皮脂を酸化し、皮膚表面状態の悪化の原点となっている。また、真皮中では、活性酸素により構成成分であるコラーゲンやエラスチンの架橋がおこり弾力低下の原因となり、ヒアルロン酸は低分子化することにより保湿能の低下を引き起こすといわれている。このような真皮成分の変化がシワの原因として提唱されている。また、活性酸素は、シミの生成にも深く関与していると考えられており、よって様々な皮膚の老化の主原因と推定されている。このようなことから、活性酸素から皮膚を守る化粧料が開発されてきた。特に天然物から活性酸素消去剤の開発が行なわれ、例えば、ゴマ油中のセサミノール、セサモール、米胚芽中のトコフェノール、オリザノール、コーヒー豆中のカフェー酸、ローズマリー中のカルノソール、ローズマリー酸、ターメリック中のクルクミンなどがある。また、数多くの植物抽出物に活性酸素消去能が見出され使用されてきた。
【0005】
一方、アレルギー疾患に伴う種々の皮膚のトラブルは、加齢と共に皮膚の老化を助長する。従って、皮膚アレルギーを予防することは、皮膚老化を抑えることにつながる。抗アレルギー活性の指標の一つとしてヒアルロニダーゼの阻害活性については、広く知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでのコラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、活性酸素消去剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤の効果は必ずしも十分でなく、製品への配合では、有効な結果を得るに至っていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ユキノシタ科ベルゲニア・リグラータBergenia ligulata(Wall.)Engl.の根茎の溶媒抽出物を有効成分とするコラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、活性酸素消去剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤及び配合した抗老化化粧料を提供するものである
【0008】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明で使用されるベルゲニア・リグラータとは、ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属の植物で、ヒマラヤからインド北部に自生する。インドの伝統医学であるアーユルベーダにて、咳、発熱、下痢などの治療に用いられてきた。これまで、コラゲナーゼ阻害作用、エラスターゼ阻害作用、活性酸素消去作用及び抗老化作用のあることは知られていない。一方、ヒマラヤユキノシタ属の植物のうち、中国で使用されているベルゲニア・クラッシフォリア、ベルゲニア・パープラセンスに関しては、検討例(特開平11−209299、特開平11−209295、特開平11−199504、特開平11−199503)があるが、インドで使用されているベルゲニア・リグラータに関しては、検討されていない。
【0009】
本発明で用いられる抽出物の調製方法は特に限定されないが、生又は乾燥した根茎を種々の溶媒を用い、低温から加温下において抽出する方法があげられる。
【0010】
具体的に抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール等の低級一価アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール、酢酸エチル等の低級アルキルエステルが例示され、これらの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。
【0011】
本発明で使用する抽出物は、そのまま用いてもよいが、必要に応じてろ過、濃縮してもよい。また、抽出物をカラムクロマト法、向流分配法等により、分画、精製して用いることもできる。
【0012】
更に、上記のものを減圧乾燥又は凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製し、適宜製剤化して用いることもできる。
【0013】
(抽出物製造例1)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物20gに50vol%エタノール溶液300gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過して抽出物を製した。製品の蒸発残留物は、1.35%であった。
【0014】
(抽出物製造例2)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物20gに70vol%エタノール300gを加え、室温で5日間抽出した。これをろ過し、濃縮乾固する。50%1,3−ブチレングリコール溶液300gに加温溶解し、抽出物を製した。製品の蒸発残留物は、1.18%であった。
【0015】
(抽出物製造例3)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物200gに50vol%エタノール溶液3000gを加え、50℃にて8時間抽出した。冷後ろ過した後、濃縮し、合成吸着体ダイヤイオンHP−20を充填したカラムに通液した。水洗後、50vol%エタノール溶液にて溶出し、溶出液を減圧乾固後、50%エタノール溶液500gに溶解し、抽出物を製した。製品の蒸発残留物は、3.17%であった。
【0016】
(抽出製造例4)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物200gにエタノール3000gを加え、室温にて5日間攪拌抽出を行い、冷後ろ過した後、濃縮乾固した。乾固物を30vol%エタノール溶液500gに溶解し、不溶物を除去した。さらに濃縮乾固し、70vol%エタノール溶液500gに溶解し抽出物を製した。製品の蒸発残留物は、2.40%であった。
【0017】
(抽出物製造例5)
ベルゲニア・リグラータの根茎の乾燥物200gに50vol%エタノール溶液3000gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過した後、濃縮、凍結乾燥しエキス末36.4gを製した。
【0018】
本発明の抽出物の配合量は、配合する製品の種類、性状、品質、期待する効果の程度により異なるが、乾燥固形物に換算して好ましくは、0.0001〜10.0%、特に0.001〜5.0%が効果の面から好ましい。
【0019】
本発明の抗老化化粧料は、上記抽出物の他に通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、油分、湿潤剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、保湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤の他、細胞賦活剤、皮脂分泌調整剤、消炎剤、収斂剤、抗酸化剤、美白剤、活性酸素抑制剤、抗アレルギー剤等、さらに生理活性作用を有する動植物抽出物及びこれらの抽出分画、精製物を必要に応じて適宜配合し、剤型に応じて常法により製造することができる。
【0020】
本発明の抗老化化粧料の剤型は、任意であり、化粧水などの可溶化系、乳液、クリームなどの乳化系、または、軟膏、分散液、粉末系などの従来皮膚外用剤に用いられる何れの剤型でもかまわない。また、一般皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬品、医薬部外品、薬用化粧料等を包含するものである。用途も、化粧水、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧料、ファンデーション等のメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、石けん、ボディーシャンプーなどのトイレタリー製品、浴用剤等を問わない。
【0021】
次に実施例をあげて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
(試験例1)コラゲナーゼ阻害活性の評価
Wunsch−Heidrich法を一部変更した方法(薬学雑誌118,423−429,1998)により測定した。コラゲナーゼは、Sigma社製TypeIVを5mg/mLとし100μLずつ分注し凍結保存する。使用時に50倍希釈し0.1mg/mLとして使用した。コラゲナーゼ合成基質は、PZ−ペプチド(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH,Bachem社製)0.5mgに調製した。希釈液は、ともに0.1Mトリス緩衝液(pH7.1,20mMCaCl2を含有)を使用した。試験溶液は、製造例1、3及び4を凍結乾燥したものを精製水にて溶解し、抽出物固形分濃度を1mg/mLとたものを使用した。
【0023】
(試験方法)
合成基質400μL、コラゲナーゼ50μL、試験試料50μLを加え、37℃にて30分間反応させた後、25mMクエン酸溶液1mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル5mLを加えて激しく振とうさせた後、2500rpmにて遠心分離した。酢酸エチル層をとり、320nmで吸光度を測定した。
【0024】
測定結果より次式によりコラゲナーゼ阻害率を算出した。
コラゲナーゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれの水を代わりに用いた。各阻害率を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
(試験例2)エラスターゼ阻害活性の評価
本発明者らは、膵臓由来エラスターゼ(Sigma社製TypeI)及び合成基質としてSuccinyl−L−alanyl−L−alanyl−L−alanine−p−nitroanilide(Sigma社製)を用いて評価した。試験試料は、製造例1、3及び4を凍結乾燥したものを精製水にて溶解し、抽出物固形分濃度を0.5mg/mLとして用いた。
【0027】
(試験方法)
合成基質をDMSOにて溶解し15mMとし、1mLずつマイクロチューブに分注し凍結保存した。使用前に0.1M HEPES緩衝液(pH7.5,0.5M NaCl)を用いて20倍に希釈し0.75mMとした。エラスターゼは、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5,1M NaCl)にて0.07unit/mLとした。96穴プレートに、それぞれ合成基質100μL、エラスターゼ50μL、試験試料50μLを加え、37℃にて2時間インキュベーションした。その後、プレートリーダーで405nmにて吸光度を測定した。
【0028】
測定結果より次式によりエラスターゼ阻害率を算出した。
エラスターゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、エラスターゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、エラスターゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれ精製水、緩衝液を代わりに用いた。各阻害率を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
(試験例3)活性酸素消去作用SOD様活性作用の測定
抽出物製造例1〜4についてSOD様活性を測定した。SOD様活性は、NBT法(XOD系と組み合わせたBeauchampsらの方法Anal.Bioche.,44、279〜287、1971)に従った。その結果を表3に記す。
【0031】
【表3】
【0032】
試験結果から明らかなようにSOD様活性作用が確認された。特に製造例3及び4に高い活性が認められた。
【0033】
(試験例4)活性酸素消去作用DPPHラジカル消去能の測定
抽出物製造例1〜4についてDPPHラジカル(ジフェニルピクリルヒドラジルラジカル)消去能を測定した。DPPHラジカル(Sigma社)をエタノールに溶解し0.1mM溶液とした。0.1mMDPPHラジカル溶液3mLを試験管にとり、各濃度に精製水にて希釈した試験溶液0.5mLを加え、室温で10分間放置後、波長517nmで吸光度を測定した。コントロールには、試験試料の代わりに精製水を用いた。消去能は、吸光度の減少値0.30の試験試料の固形量で比較した。比較物質としてBHAを用いた。その結果を表4に記す。
【0034】
【表4】
【0035】
試験結果から明らかなように、各製造例とも優れたDPPHラジカル消去能が認められた。
【0036】
(試験例5)ヒアルロニダーゼ活性阻害作用の測定
ヒアルロニダーゼは、結合組織に分布するヒアルロン酸の加水分解酵素であり、炎症時において活性化され、結合組織のマトリックスを破壊し、炎症系の細胞及び血管の透過性を高める役割を演じると考えられている。また起炎酵素として知られており、抗炎症剤や抗アレルギー剤により阻害されることも知られている。従って、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用は、抗アレルギー活性の一つとされている。
【0037】
(試験方法)
製造例1、3及び4を凍結乾燥した各エキス末を精製水にて0.5%濃度となるように溶解し、試料とした。陽性対照として、阻害活性が既に知られているクロモグリク酸ナトリウム(藤沢薬品工業製)を試験に用いた。試験方法は、Morgan−Elson法を応用する方法にて行なった。
【0038】
試料の適当量を0.1M酢酸緩衝液(pH3.5に調製)にて希釈した溶液0.2mLにヒアルロニダーゼ(Sigma社製,TypeIV−S,最終酵素活性を400NFunit/mL)0.1mLを加え、37℃にて20分間で放置後、活性化剤としてcompound48/80(Sigma社製)の酢酸緩衝液溶液(0.1mg/mL)0.2mLを加え、更に37℃にて20分間放置する。これにヒアルロン酸カリウム(和光純薬工業製)溶液(最終濃度0.4mg/mL)0.5mLを加え、37℃にて40分間放置する。次に、氷上にて0.4N水酸化ナトリウム溶液0.2mLを加えて反応を停止させた後、ホウ酸溶液(ホウ酸4.95gに水50mLを加え、1N水酸化ナトリウム溶液にてpH9.1に調製した後、水を加えて100mLとする)0.2mLを加え、混和後沸騰水浴中にて3分間加熱し酵素を失活させる。次に氷上にて室温まで冷却し、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬(和光純薬工業製、10gに10N塩酸溶液12.5mL、酢酸87.5mLを混合溶解し、使用直前に酢酸にて10倍に希釈する)6mLを加え、37℃にて20分間放置した後、585nmにて吸光度を測定する。なお、試料溶液の代わりに酢酸緩衝液を入れたものを対照とし、各資料溶液、対照について酵素を入れないものブランクとし、次式により阻害活性率を求め、試料濃度を調整することにより50%阻害活性濃度(IC50)を求めた。
阻害率(%)=〔1−(試料溶液の吸光度−試料溶液ブランクの吸光度)/(対照溶液の吸光度−対照溶液ブランクの吸光度)〕×100
【0039】
【表5】
【0040】
(試験結果)
表5のごとく、ベルゲニア・リグラータ抽出物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害作用があることが確認された。
【0041】
(試験例6)皮膚の抗老化試験
皮膚の抗老化効果を調べるために、下記実施例1、比較例1に示す組成の化粧料を用いて、以下の方法により、しわに対する改善効果と、肌のはり、たるみに対する改善効果について評価試験を行った。
【0042】
無作為に抽出した年齢40〜50歳の健常な女性30名を被験者とし、実施例及び比較例化粧料を顔面皮膚に連日2ケ月使用した後、しわに対する改善効果と肌のはり、たるみに対する改善効果について調べた。
【0043】
(実施例1)クリーム
下記成分(1)〜(10)、別に下記成分(11)〜(16)を75℃に加温溶解しそれぞれA液及びB液とする。A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(17)を加え、クリームを調製した。
(成分) (重量%)
(1)ホホバ油 3.0%
(2)スクワラン 2・0%
(3)メチルポリシロキサン 0.5%
(4)ステアリルアルコール 0.5%
(5)セチルアルコール 0.5%
(6)トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル12.5%
(7)モノステアリン酸グリセリル 5.0%
(8)モノステアリン酸ジグリセリル 1.5%
(9)モノステアリン酸デカグリセリル 3.0%
(10)パラオキシ安息香酸プロピル 0.1%
(11)キサンタンガム 0.1%
(12)ベルゲニア・リグラータ抽出物(製造例2)3.0%
(13)グリセリン 1.0%
(14)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(15)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(16)精製水 62.0%
(17)香料 0.1%
【0044】
(比較例1)
クリーム実施例1において、ベルゲニア・リグラータ抽出物3.0%を精製水3.0%に代えた以外は、実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0045】
「しわに対する改善効果」
目尻のしわの状態を視覚評価した。
(判定基準)
有効 :しわがかなり目立たなくなった
やや有効:しわが以前より目立たなくなった
効果なし:変化なし
「肌のはり、たるみに対する改善効果」
肌のはり、たるみを視覚評価した。
(判定基準)
有効 :使用前に比べ肌にはりがあり、たるみがない
やや有効:使用前に比べ肌にややはりがあり、たるみが減少した
効果なし:変化なし
【0046】
【表6】
【0047】
表6から明らかなように、実施例1のクリームを用いた場合には、比較例1のクリームを用いた場合よりも、目尻のしわ及び肌のはり、たるみの点で改善されていることが認められた。これにより、ベルゲニア・リグラータ抽出物を配合した化粧料には、抗老化作用のあることが確認された。
【0048】
以下にさらに、本発明の処方例を示す。
【0049】
(実施例2)化粧水
下記成分(5)〜(8)を混合溶解させA液とし、これとは別に下記成分(1)〜(4)及び(9)を混合溶解させてB液とし、A液とB液を均等に混合し、化粧水を調製した。
【0050】
(実施例3)乳液
下記成分(1)〜(10)、別に(11)〜(14)及び(16)を75℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(15)を加え、乳液を調製した。
【0051】
(実施例4)石けん
石けん製造の定法により下記成分を混合し製した。
【0052】
(実施例5)クレンジングジェル
下記成分(1)〜(3)、別に(4)〜(6)及び(8)を70℃に加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(7)を加えてクレンジングジェルを製した。
【0053】
(実施例6)パック剤
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化し、次いでC相を加えて均一に溶解し、製する。
【0054】
(実施例7)乳化型ファンデーション
下記成分(1)〜(6)を充分に混合粉砕した粉末部をAとし、(7)(8)をB液、(9)〜(12)及び(14)をC液とする。C液を加熱攪拌後、Aを添加しホモミキサー処理し、さらに過熱混合したB液を加えてホモミキサー処理する。攪拌しながら50℃まで冷却し、(13)を加え、さらに室温まで冷却して製する。
【0055】
(実施例8)固形ファンデーション
下記成分(1)〜(7)をブレンダーで均一に混合し、これに(8)〜(14)を加え、よく混練して製する。
【0056】
(実施例9)ヘアートニック
下記成分(5)に(1)〜(4)及び(7)を加え、攪拌溶解した後、(6)及び(8)を加えてさらに攪拌して製する。
【0057】
(実施例10)シャンプー
下記成分を加温均一に混合し製する。
【0058】
【0059】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のベルゲニア・リグラータ抽出物は、老化防止に有効な優れたコラゲナーゼ阻害活性、エラスターゼ阻害活性、活性酸素消去能、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有し、配合した化粧料には、抗老化作用がある。
Claims (5)
- ユキノシタ科ベルゲニア・リグラータBergenia ligulata(Wall.)Engl.の根茎の溶媒抽出物を配合することを特徴とする抗老化化粧料。
- コラゲナーゼ阻害剤である請求項1記載の抗老化化粧料。
- エラスターゼ阻害剤である請求項1記載の抗老化化粧料。
- 活性酸素消去剤である請求項1記載の抗老化化粧料。
- ヒアルロニダーゼ阻害剤である請求項1記載の抗老化化粧料。
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