JP2004182711A - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたコラゲナーゼ活性阻害作用、エラスターゼ活性阻害作用を有し、皮膚の老化を防止・予防・改善することができ、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の予防及び改善に有効なチロシナーゼ活性阻害作用を有して皮膚の美白に優れた効果を有する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】ミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.nonThunb.)、ムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物物を配合する。
【選択図】 なし
【解決手段】ミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.nonThunb.)、ムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物物を配合する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚老化防止用外用剤、美白用外用剤または肌荒れ防止用として用い得る、特定の植物抽出物を有効成分とする皮膚外用剤に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
老化皮膚では、線維芽細胞の活性低下に伴い、真皮マトリックス成分であるコラーゲン線維、エラスチン線維、酸性ムコ多糖の質的、量的な変化が起こる。コラーゲン線維は異常な老化架橋が形成されるため硬直化し、本来の弾力性に富む張りが失われる。エラスチン線維は変性崩壊し、変わってアミノ酸組成の異なるエラスチンが代償性に生産されて機能障害が進行する。その結果皮膚は柔軟性を失って、シワやたるみが発生する。これら生理的老化皮膚では、増殖能の低下、生理的機能低下が観察されるのに対して、光老化皮膚では、線維芽細胞が増大増殖し、コラーゲン産生能も亢進しているという。この著しい対照を最もよく表す特徴の一つは皮膚の厚さで、光老化した顔面皮膚は強く肥厚するが、前腕内側の生理的老化皮膚は、徐々に薄くなるのが常である。ヒト皮膚の老化を考えるときこれら相反した現象に対応した防御法を用いなければならない。これら老化の一因であるエラスチンの変性、破壊は、エラスチン分解酵素であるエラスターゼの過剰発現によって起こり、従ってエラスターゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、これら皮膚老化を予防する目的でいくつかのエラスターゼ阻害剤が開発されてきた(特開平9−87136、特開平9−87137、特開平9−95420、特開平95436、特開平10−17460、特開平10−29925、特開平10−29926、特開平10−36281、特開平10−45555、特開平10−182414、特開平11−92354、特開平11−147832、特開平11−147834、特開平11−171758、特開平11−199504、特開平11−246337、特開平11−246338、特開平11−246385、特開平11−246386、特開平11−246387、特開平11−246388、特開平11−263720、特開平11−315008、特開平11−335229、特開平11−335230、特開2000−53578、特開2000−72649、特開2000−119189、特開2000−212058、特開2000−247830、特開2000−256176、特開2000−319189、特開2001−39822、特開2001−58920)。
【0003】
同様に、コラーゲンの変性、減少は、コラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼの過剰発現によって起こり、従ってコラゲナーゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、これら皮膚老化を予防する目的でいくつかのコラゲナーゼ阻害剤が開発されてきた(特開平9−40552、特開平10−194982、特開平11−71294、特開11−79970、特開平11−147833、特開平11−315008、特開平2000−154131、特開平2000−159631、特開平2000−191512、特開平2000−212058、特開平2000−256176、特開平11−79971、特開平2000−191487、特開平2000−256122、特開平2000−319155、特開平2001−139466、特開平2001−192316、特開平2001−192317)。
【0004】
一方、皮膚のしみの発生機序については、日光からの紫外線の刺激やホルモンの異常が原因となってメラニン色素が形成され皮膚内に異常沈着するものと考えられている。メラニン色素は、メラノサイト内のメラノソームにおいて産生される。メラノサイト内では、必須アミノ酸であるチロシンがチロシナーゼの作用によりドーパキノンとなり、これが酵素的又は非酵素的酸化作用により赤色色素及び無色色素を経て黒色のメラニンへ変化する。従って、第1段階であるチロシナーゼの活性を抑制することがメラニン生成抑制に重要なことである。チロシナーゼ活性を抑制する化合物としてはハイドロキノンがあるが、感作性があるため一般に使用できない。高級脂肪酸のモノエステルやアルキルエーテルなどの誘導体も検討されてきたが安全性上十分とはいえない。天然物由来のものとして、コウジ酸、エラグ酸、アルブチンなどが検討されてきたが、安全性、有効性、コスト性から充分に満足されるものは得られていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、以上のような現状に鑑み、広く種々の物質についてエラスターゼ阻害能、コラゲナーゼ阻害能、チロシナーゼ活性阻害能、メラニン生成抑制能を調べた結果、ミリカ・ナギ(Myricanagi Hook.f.non Thunb.)、ムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)に優れたエラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、ミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物を有効成分とすることを特徴とする皮膚外用剤である。本発明の皮膚外用剤は、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、抗老化剤、チロシナーゼ阻害剤、メラニン産生抑制剤であることを好適とする。
【0007】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明で使用されるミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)とは、ヤマモモ科ヤマモモ属の植物で、ヒマラヤ低地域から中国南部に分布する。民間薬として消炎、収斂、下痢止め、止血、鎮痛などに用いられてきた。本発明において使用する部位は、ミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)の樹皮である。エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用については、これまで知られていない。
【0008】
本発明で用いられるムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)とは、マメ科ムユウジュ属の植物で、インド、スリランカに野生する。アショーカノキの別名があり、ヒンドゥー教の聖木とされる。民間療法では、消化不良、血液の病気、胆汁異常、潰瘍などに用いられてきた。本発明において使用する部位は、ムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)の樹皮である。エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用については、これまで知られていない。
【0009】
本発明で用いられるヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)とは、ガガイモ科ヘミデスムス属の植物で、インド、スリランカに分布する。民間療法では、腸の病気、象皮病、発熱、麻痺、吐き気、梅毒、嘔吐などに用いられてきた。本発明において使用する部位は、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)の根である。エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用については、これまで知られていない。
【0010】
本発明で用いられるオノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)とは、ムラサキ科オノスマ属の植物で、西アジアからインドに分布する。民間療法では、強壮、利尿、緩和剤として用いられる。本発明における使用部位は、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)の葉及び花である。エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用については、これまで知られていない。
【0011】
本発明で用いられる抽出物の調製方法は特に限定されないが、生又は乾燥した生薬を種々の溶媒を用い、低温から加温下において抽出する方法があげられる。
【0012】
具体的に抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール等の低級一価アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール、酢酸エチル等の低級アルキルエステルが例示され、これらの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。
【0013】
本発明で使用する抽出物は、そのまま用いてもよいが、必要に応じてろ過、濃縮してもよい。また、抽出物をカラムクロマト法、向流分配法等により、分画、精製して用いることもできる。
【0014】
更に、上記のものを減圧乾燥又は凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製し、適宜製剤化して用いることもできる。
【0015】
(抽出物製造例1)
ミリカ・ナギの樹皮20gに50vol%エタノール溶液300gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過して抽出物を製する。製品の蒸発残留物は、2.24%であった。
【0016】
(抽出物製造例2)
ムユウジュの樹皮20gに70vol%エタノール300gを加え、室温で5日間抽出する。これをろ過し、濃縮乾固する。50重量%(以下、単に「%」とする)1,3−ブチレングリコール溶液300gに加温溶解し、抽出物を製する。製品の蒸発残留物は、1.56%であった。
【0017】
(抽出物製造例3)
ヘミデスムス・インディカスの根に50vol%エタノール溶液300gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過して抽出物を製する。製品の蒸発残留物は、2.05%であった。
【0018】
(抽出製造例4)
オノスマ・ブラクテアツム葉及び花200gにエタノール3000gを加え、室温にて5日間攪拌抽出を行い、冷後ろ過した後、濃縮乾固した。乾固物を30vol%エタノール溶液500gに溶解し、不溶物を除去する。さらに濃縮乾固し、70vol%エタノール溶液500gに溶解し抽出物を製する。製品の蒸発残留物は、2.38%であった。
【0019】
(抽出物製造例5)
ミリカ・ナギの樹皮、ムユウジュの樹皮、ヘミデスムス・インディカス及びオノスマ・ブラクテアツム各200gに、それぞれ50vol%エタノール溶液3000gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過した後、それぞれ濃縮、凍結乾燥しエキス末25.3g、22.5g、31.2g、34.1gを製する。
【0020】
本発明の抽出物の配合量は、配合する製品の種類、性状、品質、期待する効果の程度により異なるが、乾燥固形物に換算して好ましくは、0.0001〜10.0%、特に0.001〜5.0%が効果の面から好ましい。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、上記成分に加えて、さらに必要により、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば界面活性剤、油分、保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防御剤、アルコール類、粉末成分、色剤、香料、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0022】
さらに、金属イオン封鎖剤、防腐抗菌剤、細胞賦活剤、皮脂分泌調整剤、消炎剤、収斂剤、美白剤、活性酸素抑制剤、抗アレルギー剤、老化防止剤等、さらに生理活性作用を有する植物抽出物及びこれらの抽出分画、精製物等も適宜配合することができる。
【0023】
本発明の活性酸素消去剤及びこれを配合してなる皮膚外用剤は、一般皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬品、医薬部外品、薬用化粧料等を包含するものである。本発明の皮膚外用剤の剤型は、可溶化系、乳化系、粉末分散系等何れでもよく、用途も、化粧水、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧料、ファンデーション等のメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、石けん、ボディーシャンプーなどのトイレタリー製品、浴用剤等を問わない。
【0024】
次に実施例をあげて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
(試験例1)エラスターゼ阻害活性の評価
本発明者らは、ヒト白血球由来エラスターゼ(Eleastin Product社製)及びエラスターゼ合成基質としてMethoxy−succinyl−alanyl−alanyl−prolyl−valine−p−nitroanilide(Bachem社製)を用いて評価した。試験試料は、抽出物製造例5を精製水にて溶解し、抽出物固形分濃度を10μg/mLとして用いた。また、反応緩衝液として、0.1M HEPES、0.5M NaCl(pH7.4)を用いた。
【0026】
(試験方法)
合成基質をDMSOにて溶解し80mMとし、20μLずつマイクロチューブに分注し凍結保存した。使用時に反応緩衝液を用いて希釈し8mMとした。エラスターゼは、200μg/mLになるよう反応緩衝液に溶解し、20μLずつ分注して冷凍保存した。測定時には、反応緩衝液にて12μg/mL(192U/mL)に希釈し使用した。96穴プレートに、それぞれ8mMの合成基質25μL、試験試料50μLを加えた。次に氷上で、エラスターゼ25μLを加え、直ちに37℃にて20分間インキュベーションした。その後、プレートリーダーで405nmにて吸光度を測定した。
【0027】
測定結果より次式によりエラスターゼ阻害率を算出した。
エラスターゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、エラスターゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、エラスターゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれ精製水、緩衝液を代わりに用いた。各阻害率を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
(試験例2)コラゲナーゼ阻害活性の評価
Wunsch−Heidrich法を一部変更した方法(薬学雑誌118,423−429,1998)により測定した。コラゲナーゼは、Sigma社製TypeIVを5mg/mLとし100μLずつ分注し凍結保存する。使用時に50倍希釈し0.1mg/mLとして使用した。コラゲナーゼ合成基質は、PZ−ペプチド(PZ−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH,Bachem社製)0.5mgに調製した。希釈液は、ともに0.1Mトリス緩衝液(pH7.1,20mM CaCl2を含有)を使用した。試験溶液は、抽出物製造例5を精製水にて溶解し、抽出物固形分濃度を1mg/mLとたものを使用した。
【0030】
(試験方法)
合成基質400μL、コラゲナーゼ50μL、試験試料50μLを加え、37℃にて30分間反応させた後、25mMクエン酸溶液1mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル5mLを加えて激しく振とうさせた後、2500rpmにて遠心分離した。酢酸エチル層をとり、320nmで吸光度を測定した。
【0031】
測定結果より次式によりコラゲナーゼ阻害率を算出した。
コラゲナーゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれの水を代わりに用いた。各阻害率を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
(試験例3)チロシナーゼ活性阻害
試験試料は、抽出物製造例5を用い、精製水にて希釈し、0.05mg/mLの濃度とした。5%FBS含有DMEM培地を用い、マウス由来B16メラノーマ培養細胞を96穴プレートに3×103cells/wellの密度で播種し、37℃、5%CO2にて24時間培養した後、試験試料の各濃度を添加し、37℃、5%CO2にてさらに24時間培養した。チロシナーゼ活性の測定前にwell中の培地は除去し、PBS(−)100μLで2回洗浄した。各well中に45μL1%TritonX−100を含むPBSを加え、1分間プレートを振動させ、細胞膜を破壊し、その後、基質として10mMのL−DOPA溶液100μLを加えて、37℃にて3時間反応させ、マイクロプレートリーダーにて波長475nmにおける吸光度を測定し、生成したメラニン量を定量した。また同時にLowry法にて細胞の蛋白量を測定し、単位蛋白量あたりのメラニン量を算出した。対照として試料溶液を添加しない細胞を用い、式1にてチロシナーゼ活性抑制率とした。その結果を表2に記す。
【式1】
チロシナーゼ活性抑制率(%)=(A−B)/A ×100
その結果を表3に記す。
【0034】
【表3】
【0035】
(試験例4)メラニン生成抑制効果試験
マウス由来B16メラノーマ細胞を5%FBS及びテオフィリン(0.5mM)を含むDMEM培地を用いて、35mmのシャーレに5×104cellsずつ播種し、5%CO2にて37℃24時間培養した。その後、0.5mMテオフィリン含有5%FBS−DMEM2mLと各濃度に溶解した試験試料(製造例5のエキス末をDMSOに10%溶解し、さらにPBS(−)にて希釈して0.05mg/mLとした)20μL加え、さらに37℃にて3日間培養した。培地を除去し、PBS(−)で2回洗浄後、トリプシン−EDTAを用いて細胞を剥離し、1.5mLチューブに入れ、25℃、12000回転、10分間遠心操作し、細胞ペレットを作成した。コントロールには、20μLのPBS(−)を用いた。又、比較例としてチロシナーゼ活性阻害が高いことが知られているソウハクヒ抽出物(製造例5と同様に製造)ついても上記と同様の試験を行った。評価は、下記の評価基準にて行なった。
【0036】
<評価基準>
細胞ペレットの色調
0−コントロールと同様な黒色
1−コントロールに比べわずかに薄い黒色
2−コントロールに比べて明瞭に薄い黒色
3−灰色に近い黒色
4−灰色
5−白色
細胞ペレットの量
1−コントロールに比べ明瞭に少ない
2−コントロールに比べわずかに少ない
3−コントロールと同量
試験結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
表4に示したように、抽出物にはメラニン生成抑制効果が見られ、細胞毒性も少なかったのに対して、ソウハクヒ抽出物には、メラニン生成抑制効果は認められず、細胞毒性も大きい結果であった。
【0039】
(試験例5)皮膚の抗老化試験
皮膚の抗老化効果を調べるために、下記実施例1、比較例1に示す組成の化粧料を用いて、以下の方法により、しわに対する改善効果と、肌のはり、たるみに対する改善効果について評価試験を行った。
【0040】
無作為に抽出した年齢40〜50歳の健常な女性30名を被験者とし、実施例及び比較例化粧料を顔面皮膚に連日2ケ月使用した後、しわに対する改善効果と肌のはり、たるみに対する改善効果について調べた。
【0041】
(実施例1)クリーム
下記成分(1)〜(10)、別に下記成分(11)〜(16)を75℃に加温溶解しそれぞれA液及びB液とする。A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(17)を加え、クリームを調製した。
【0042】
(比較例1)
クリーム実施例1において、製造例5の抽出物0.3%を精製水に代えた以外は、実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0043】
「しわに対する改善効果」
目尻のしわの状態を視覚評価した。
(判定基準)
有効 :しわがかなり目立たなくなった
やや有効:しわが以前より目立たなくなった
効果なし:変化なし
「肌のはり、たるみに対する改善効果」
肌のはり、たるみを視覚評価した。
(判定基準)
有効 :使用前に比べ肌にはりがあり、たるみがない
やや有効:使用前に比べ肌にややはりがあり、たるみが減少した
効果なし:変化なし
【0044】
【表5】
【0045】
表5から明らかなように、実施例1のクリームを用いた場合には、比較例1のクリームを用いた場合よりも、目尻のしわ及び肌のはり、たるみの点で改善されていることが認められた。これにより、本発明抽出物を配合した化粧料には、抗老化作用のあることが確認された。
【0046】
以下にさらに、本発明の処方例を示す。
【0047】
(実施例2)化粧水
下記成分(5)〜(8)を混合溶解させA液とし、これとは別に下記成分(1)〜(4)及び(9)を混合溶解させてB液とし、A液とB液を均等に混合し、化粧水を調製した。
【0048】
(実施例3)乳液
下記成分(1)〜(10)、別に(11)〜(14)及び(16)を75℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(15)を加え、乳液を調製した。
【0049】
(実施例4)石けん
石けん製造の定法により下記成分を混合し製した。
【0050】
(実施例5)クレンジングジェル
下記成分(1)〜(3)、別に(4)〜(6)及び(8)を70℃に加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(7)を加えてクレンジングジェルを製した。
【0051】
(実施例6)パック剤
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化し、次いでC相を加えて均一に溶解し、製する。
【0052】
(実施例7)乳化型ファンデーション
下記成分(1)〜(6)を充分に混合粉砕した粉末部をAとし、(7)(8)をB液、(9)〜(12)及び(14)をC液とする。C液を加熱攪拌後、Aを添加しホモミキサー処理し、さらに過熱混合したB液を加えてホモミキサー処理する。攪拌しながら50℃まで冷却し、(13)を加え、さらに室温まで冷却して製する。
【0053】
(実施例8)固形ファンデーション
下記成分(1)〜(7)をブレンダーで均一に混合し、これに(8)〜(14)を加え、よく混練して製する。
【0054】
(実施例9)ヘアートニック
下記成分(5)に(1)〜(4)及び(7)を加え、攪拌溶解した後、(6)及び(8)を加えてさらに攪拌して製する。
【0053】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ムユウジュ(Saraca asocaDe Wilde)、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物を有効成分とする皮膚外用剤は、皮膚の老化防止に有効な優れたエラスターゼ活性阻害作用、コラゲナーゼ阻害活性作用を有し、皮膚老化防止外用剤として有効である。また、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の予防および改善に有効なチロシナーゼ活性阻害作用、メラニン産生抑制作用を有し、美白用外用剤として有効である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚老化防止用外用剤、美白用外用剤または肌荒れ防止用として用い得る、特定の植物抽出物を有効成分とする皮膚外用剤に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
老化皮膚では、線維芽細胞の活性低下に伴い、真皮マトリックス成分であるコラーゲン線維、エラスチン線維、酸性ムコ多糖の質的、量的な変化が起こる。コラーゲン線維は異常な老化架橋が形成されるため硬直化し、本来の弾力性に富む張りが失われる。エラスチン線維は変性崩壊し、変わってアミノ酸組成の異なるエラスチンが代償性に生産されて機能障害が進行する。その結果皮膚は柔軟性を失って、シワやたるみが発生する。これら生理的老化皮膚では、増殖能の低下、生理的機能低下が観察されるのに対して、光老化皮膚では、線維芽細胞が増大増殖し、コラーゲン産生能も亢進しているという。この著しい対照を最もよく表す特徴の一つは皮膚の厚さで、光老化した顔面皮膚は強く肥厚するが、前腕内側の生理的老化皮膚は、徐々に薄くなるのが常である。ヒト皮膚の老化を考えるときこれら相反した現象に対応した防御法を用いなければならない。これら老化の一因であるエラスチンの変性、破壊は、エラスチン分解酵素であるエラスターゼの過剰発現によって起こり、従ってエラスターゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、これら皮膚老化を予防する目的でいくつかのエラスターゼ阻害剤が開発されてきた(特開平9−87136、特開平9−87137、特開平9−95420、特開平95436、特開平10−17460、特開平10−29925、特開平10−29926、特開平10−36281、特開平10−45555、特開平10−182414、特開平11−92354、特開平11−147832、特開平11−147834、特開平11−171758、特開平11−199504、特開平11−246337、特開平11−246338、特開平11−246385、特開平11−246386、特開平11−246387、特開平11−246388、特開平11−263720、特開平11−315008、特開平11−335229、特開平11−335230、特開2000−53578、特開2000−72649、特開2000−119189、特開2000−212058、特開2000−247830、特開2000−256176、特開2000−319189、特開2001−39822、特開2001−58920)。
【0003】
同様に、コラーゲンの変性、減少は、コラーゲン分解酵素であるコラゲナーゼの過剰発現によって起こり、従ってコラゲナーゼの活性を抑制することは、皮膚に弾力性やハリを与え、皮膚の老化防止に重要である。現在まで、これら皮膚老化を予防する目的でいくつかのコラゲナーゼ阻害剤が開発されてきた(特開平9−40552、特開平10−194982、特開平11−71294、特開11−79970、特開平11−147833、特開平11−315008、特開平2000−154131、特開平2000−159631、特開平2000−191512、特開平2000−212058、特開平2000−256176、特開平11−79971、特開平2000−191487、特開平2000−256122、特開平2000−319155、特開平2001−139466、特開平2001−192316、特開平2001−192317)。
【0004】
一方、皮膚のしみの発生機序については、日光からの紫外線の刺激やホルモンの異常が原因となってメラニン色素が形成され皮膚内に異常沈着するものと考えられている。メラニン色素は、メラノサイト内のメラノソームにおいて産生される。メラノサイト内では、必須アミノ酸であるチロシンがチロシナーゼの作用によりドーパキノンとなり、これが酵素的又は非酵素的酸化作用により赤色色素及び無色色素を経て黒色のメラニンへ変化する。従って、第1段階であるチロシナーゼの活性を抑制することがメラニン生成抑制に重要なことである。チロシナーゼ活性を抑制する化合物としてはハイドロキノンがあるが、感作性があるため一般に使用できない。高級脂肪酸のモノエステルやアルキルエーテルなどの誘導体も検討されてきたが安全性上十分とはいえない。天然物由来のものとして、コウジ酸、エラグ酸、アルブチンなどが検討されてきたが、安全性、有効性、コスト性から充分に満足されるものは得られていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、以上のような現状に鑑み、広く種々の物質についてエラスターゼ阻害能、コラゲナーゼ阻害能、チロシナーゼ活性阻害能、メラニン生成抑制能を調べた結果、ミリカ・ナギ(Myricanagi Hook.f.non Thunb.)、ムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)に優れたエラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、ミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物を有効成分とすることを特徴とする皮膚外用剤である。本発明の皮膚外用剤は、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、抗老化剤、チロシナーゼ阻害剤、メラニン産生抑制剤であることを好適とする。
【0007】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明で使用されるミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)とは、ヤマモモ科ヤマモモ属の植物で、ヒマラヤ低地域から中国南部に分布する。民間薬として消炎、収斂、下痢止め、止血、鎮痛などに用いられてきた。本発明において使用する部位は、ミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)の樹皮である。エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用については、これまで知られていない。
【0008】
本発明で用いられるムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)とは、マメ科ムユウジュ属の植物で、インド、スリランカに野生する。アショーカノキの別名があり、ヒンドゥー教の聖木とされる。民間療法では、消化不良、血液の病気、胆汁異常、潰瘍などに用いられてきた。本発明において使用する部位は、ムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)の樹皮である。エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用については、これまで知られていない。
【0009】
本発明で用いられるヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)とは、ガガイモ科ヘミデスムス属の植物で、インド、スリランカに分布する。民間療法では、腸の病気、象皮病、発熱、麻痺、吐き気、梅毒、嘔吐などに用いられてきた。本発明において使用する部位は、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)の根である。エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用については、これまで知られていない。
【0010】
本発明で用いられるオノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)とは、ムラサキ科オノスマ属の植物で、西アジアからインドに分布する。民間療法では、強壮、利尿、緩和剤として用いられる。本発明における使用部位は、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)の葉及び花である。エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、メラニン産生抑制作用については、これまで知られていない。
【0011】
本発明で用いられる抽出物の調製方法は特に限定されないが、生又は乾燥した生薬を種々の溶媒を用い、低温から加温下において抽出する方法があげられる。
【0012】
具体的に抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール等の低級一価アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール、酢酸エチル等の低級アルキルエステルが例示され、これらの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。
【0013】
本発明で使用する抽出物は、そのまま用いてもよいが、必要に応じてろ過、濃縮してもよい。また、抽出物をカラムクロマト法、向流分配法等により、分画、精製して用いることもできる。
【0014】
更に、上記のものを減圧乾燥又は凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製し、適宜製剤化して用いることもできる。
【0015】
(抽出物製造例1)
ミリカ・ナギの樹皮20gに50vol%エタノール溶液300gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過して抽出物を製する。製品の蒸発残留物は、2.24%であった。
【0016】
(抽出物製造例2)
ムユウジュの樹皮20gに70vol%エタノール300gを加え、室温で5日間抽出する。これをろ過し、濃縮乾固する。50重量%(以下、単に「%」とする)1,3−ブチレングリコール溶液300gに加温溶解し、抽出物を製する。製品の蒸発残留物は、1.56%であった。
【0017】
(抽出物製造例3)
ヘミデスムス・インディカスの根に50vol%エタノール溶液300gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過して抽出物を製する。製品の蒸発残留物は、2.05%であった。
【0018】
(抽出製造例4)
オノスマ・ブラクテアツム葉及び花200gにエタノール3000gを加え、室温にて5日間攪拌抽出を行い、冷後ろ過した後、濃縮乾固した。乾固物を30vol%エタノール溶液500gに溶解し、不溶物を除去する。さらに濃縮乾固し、70vol%エタノール溶液500gに溶解し抽出物を製する。製品の蒸発残留物は、2.38%であった。
【0019】
(抽出物製造例5)
ミリカ・ナギの樹皮、ムユウジュの樹皮、ヘミデスムス・インディカス及びオノスマ・ブラクテアツム各200gに、それぞれ50vol%エタノール溶液3000gを加え、50℃にて8時間抽出し、冷後、ろ過した後、それぞれ濃縮、凍結乾燥しエキス末25.3g、22.5g、31.2g、34.1gを製する。
【0020】
本発明の抽出物の配合量は、配合する製品の種類、性状、品質、期待する効果の程度により異なるが、乾燥固形物に換算して好ましくは、0.0001〜10.0%、特に0.001〜5.0%が効果の面から好ましい。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、上記成分に加えて、さらに必要により、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば界面活性剤、油分、保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防御剤、アルコール類、粉末成分、色剤、香料、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0022】
さらに、金属イオン封鎖剤、防腐抗菌剤、細胞賦活剤、皮脂分泌調整剤、消炎剤、収斂剤、美白剤、活性酸素抑制剤、抗アレルギー剤、老化防止剤等、さらに生理活性作用を有する植物抽出物及びこれらの抽出分画、精製物等も適宜配合することができる。
【0023】
本発明の活性酸素消去剤及びこれを配合してなる皮膚外用剤は、一般皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬品、医薬部外品、薬用化粧料等を包含するものである。本発明の皮膚外用剤の剤型は、可溶化系、乳化系、粉末分散系等何れでもよく、用途も、化粧水、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧料、ファンデーション等のメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、石けん、ボディーシャンプーなどのトイレタリー製品、浴用剤等を問わない。
【0024】
次に実施例をあげて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
(試験例1)エラスターゼ阻害活性の評価
本発明者らは、ヒト白血球由来エラスターゼ(Eleastin Product社製)及びエラスターゼ合成基質としてMethoxy−succinyl−alanyl−alanyl−prolyl−valine−p−nitroanilide(Bachem社製)を用いて評価した。試験試料は、抽出物製造例5を精製水にて溶解し、抽出物固形分濃度を10μg/mLとして用いた。また、反応緩衝液として、0.1M HEPES、0.5M NaCl(pH7.4)を用いた。
【0026】
(試験方法)
合成基質をDMSOにて溶解し80mMとし、20μLずつマイクロチューブに分注し凍結保存した。使用時に反応緩衝液を用いて希釈し8mMとした。エラスターゼは、200μg/mLになるよう反応緩衝液に溶解し、20μLずつ分注して冷凍保存した。測定時には、反応緩衝液にて12μg/mL(192U/mL)に希釈し使用した。96穴プレートに、それぞれ8mMの合成基質25μL、試験試料50μLを加えた。次に氷上で、エラスターゼ25μLを加え、直ちに37℃にて20分間インキュベーションした。その後、プレートリーダーで405nmにて吸光度を測定した。
【0027】
測定結果より次式によりエラスターゼ阻害率を算出した。
エラスターゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、エラスターゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、エラスターゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、エラスターゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれ精製水、緩衝液を代わりに用いた。各阻害率を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
(試験例2)コラゲナーゼ阻害活性の評価
Wunsch−Heidrich法を一部変更した方法(薬学雑誌118,423−429,1998)により測定した。コラゲナーゼは、Sigma社製TypeIVを5mg/mLとし100μLずつ分注し凍結保存する。使用時に50倍希釈し0.1mg/mLとして使用した。コラゲナーゼ合成基質は、PZ−ペプチド(PZ−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH,Bachem社製)0.5mgに調製した。希釈液は、ともに0.1Mトリス緩衝液(pH7.1,20mM CaCl2を含有)を使用した。試験溶液は、抽出物製造例5を精製水にて溶解し、抽出物固形分濃度を1mg/mLとたものを使用した。
【0030】
(試験方法)
合成基質400μL、コラゲナーゼ50μL、試験試料50μLを加え、37℃にて30分間反応させた後、25mMクエン酸溶液1mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル5mLを加えて激しく振とうさせた後、2500rpmにて遠心分離した。酢酸エチル層をとり、320nmで吸光度を測定した。
【0031】
測定結果より次式によりコラゲナーゼ阻害率を算出した。
コラゲナーゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
A:試料溶液添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
B:試料溶液添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
C:試料無添加、コラゲナーゼ添加時の吸光度
D:試料無添加、コラゲナーゼ無添加時の吸光度
ただし、各無添加のときには、それぞれの水を代わりに用いた。各阻害率を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
(試験例3)チロシナーゼ活性阻害
試験試料は、抽出物製造例5を用い、精製水にて希釈し、0.05mg/mLの濃度とした。5%FBS含有DMEM培地を用い、マウス由来B16メラノーマ培養細胞を96穴プレートに3×103cells/wellの密度で播種し、37℃、5%CO2にて24時間培養した後、試験試料の各濃度を添加し、37℃、5%CO2にてさらに24時間培養した。チロシナーゼ活性の測定前にwell中の培地は除去し、PBS(−)100μLで2回洗浄した。各well中に45μL1%TritonX−100を含むPBSを加え、1分間プレートを振動させ、細胞膜を破壊し、その後、基質として10mMのL−DOPA溶液100μLを加えて、37℃にて3時間反応させ、マイクロプレートリーダーにて波長475nmにおける吸光度を測定し、生成したメラニン量を定量した。また同時にLowry法にて細胞の蛋白量を測定し、単位蛋白量あたりのメラニン量を算出した。対照として試料溶液を添加しない細胞を用い、式1にてチロシナーゼ活性抑制率とした。その結果を表2に記す。
【式1】
チロシナーゼ活性抑制率(%)=(A−B)/A ×100
その結果を表3に記す。
【0034】
【表3】
【0035】
(試験例4)メラニン生成抑制効果試験
マウス由来B16メラノーマ細胞を5%FBS及びテオフィリン(0.5mM)を含むDMEM培地を用いて、35mmのシャーレに5×104cellsずつ播種し、5%CO2にて37℃24時間培養した。その後、0.5mMテオフィリン含有5%FBS−DMEM2mLと各濃度に溶解した試験試料(製造例5のエキス末をDMSOに10%溶解し、さらにPBS(−)にて希釈して0.05mg/mLとした)20μL加え、さらに37℃にて3日間培養した。培地を除去し、PBS(−)で2回洗浄後、トリプシン−EDTAを用いて細胞を剥離し、1.5mLチューブに入れ、25℃、12000回転、10分間遠心操作し、細胞ペレットを作成した。コントロールには、20μLのPBS(−)を用いた。又、比較例としてチロシナーゼ活性阻害が高いことが知られているソウハクヒ抽出物(製造例5と同様に製造)ついても上記と同様の試験を行った。評価は、下記の評価基準にて行なった。
【0036】
<評価基準>
細胞ペレットの色調
0−コントロールと同様な黒色
1−コントロールに比べわずかに薄い黒色
2−コントロールに比べて明瞭に薄い黒色
3−灰色に近い黒色
4−灰色
5−白色
細胞ペレットの量
1−コントロールに比べ明瞭に少ない
2−コントロールに比べわずかに少ない
3−コントロールと同量
試験結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
表4に示したように、抽出物にはメラニン生成抑制効果が見られ、細胞毒性も少なかったのに対して、ソウハクヒ抽出物には、メラニン生成抑制効果は認められず、細胞毒性も大きい結果であった。
【0039】
(試験例5)皮膚の抗老化試験
皮膚の抗老化効果を調べるために、下記実施例1、比較例1に示す組成の化粧料を用いて、以下の方法により、しわに対する改善効果と、肌のはり、たるみに対する改善効果について評価試験を行った。
【0040】
無作為に抽出した年齢40〜50歳の健常な女性30名を被験者とし、実施例及び比較例化粧料を顔面皮膚に連日2ケ月使用した後、しわに対する改善効果と肌のはり、たるみに対する改善効果について調べた。
【0041】
(実施例1)クリーム
下記成分(1)〜(10)、別に下記成分(11)〜(16)を75℃に加温溶解しそれぞれA液及びB液とする。A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(17)を加え、クリームを調製した。
【0042】
(比較例1)
クリーム実施例1において、製造例5の抽出物0.3%を精製水に代えた以外は、実施例1と同様にしてクリームを調製した。
【0043】
「しわに対する改善効果」
目尻のしわの状態を視覚評価した。
(判定基準)
有効 :しわがかなり目立たなくなった
やや有効:しわが以前より目立たなくなった
効果なし:変化なし
「肌のはり、たるみに対する改善効果」
肌のはり、たるみを視覚評価した。
(判定基準)
有効 :使用前に比べ肌にはりがあり、たるみがない
やや有効:使用前に比べ肌にややはりがあり、たるみが減少した
効果なし:変化なし
【0044】
【表5】
【0045】
表5から明らかなように、実施例1のクリームを用いた場合には、比較例1のクリームを用いた場合よりも、目尻のしわ及び肌のはり、たるみの点で改善されていることが認められた。これにより、本発明抽出物を配合した化粧料には、抗老化作用のあることが確認された。
【0046】
以下にさらに、本発明の処方例を示す。
【0047】
(実施例2)化粧水
下記成分(5)〜(8)を混合溶解させA液とし、これとは別に下記成分(1)〜(4)及び(9)を混合溶解させてB液とし、A液とB液を均等に混合し、化粧水を調製した。
【0048】
(実施例3)乳液
下記成分(1)〜(10)、別に(11)〜(14)及び(16)を75℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(15)を加え、乳液を調製した。
【0049】
(実施例4)石けん
石けん製造の定法により下記成分を混合し製した。
【0050】
(実施例5)クレンジングジェル
下記成分(1)〜(3)、別に(4)〜(6)及び(8)を70℃に加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(7)を加えてクレンジングジェルを製した。
【0051】
(実施例6)パック剤
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化し、次いでC相を加えて均一に溶解し、製する。
【0052】
(実施例7)乳化型ファンデーション
下記成分(1)〜(6)を充分に混合粉砕した粉末部をAとし、(7)(8)をB液、(9)〜(12)及び(14)をC液とする。C液を加熱攪拌後、Aを添加しホモミキサー処理し、さらに過熱混合したB液を加えてホモミキサー処理する。攪拌しながら50℃まで冷却し、(13)を加え、さらに室温まで冷却して製する。
【0053】
(実施例8)固形ファンデーション
下記成分(1)〜(7)をブレンダーで均一に混合し、これに(8)〜(14)を加え、よく混練して製する。
【0054】
(実施例9)ヘアートニック
下記成分(5)に(1)〜(4)及び(7)を加え、攪拌溶解した後、(6)及び(8)を加えてさらに攪拌して製する。
【0053】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ムユウジュ(Saraca asocaDe Wilde)、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物を有効成分とする皮膚外用剤は、皮膚の老化防止に有効な優れたエラスターゼ活性阻害作用、コラゲナーゼ阻害活性作用を有し、皮膚老化防止外用剤として有効である。また、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の予防および改善に有効なチロシナーゼ活性阻害作用、メラニン産生抑制作用を有し、美白用外用剤として有効である。
Claims (4)
- ミリカ・ナギ(Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ムユウジュ(Saraca asoca De Wilde)、ヘミデスムス・インディカス(Hemidesmus indicus(L.)R.Br.)、オノスマ・ブラクテアツム(Onosma bracteatum Wall.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物を有効成分とする皮膚外用剤。
- 皮膚老化防止外用剤である請求項1記載の皮膚外用剤。
- 美白外用剤である請求項1記載の皮膚外用剤。
- 1種又は2種以上の抽出物の配合量が乾燥重量として剤の0.0001〜10.0重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
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