JP2004315356A - 針状酸化チタン微粒子、その製造方法及びその用途 - Google Patents

針状酸化チタン微粒子、その製造方法及びその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP2004315356A
JP2004315356A JP2004093619A JP2004093619A JP2004315356A JP 2004315356 A JP2004315356 A JP 2004315356A JP 2004093619 A JP2004093619 A JP 2004093619A JP 2004093619 A JP2004093619 A JP 2004093619A JP 2004315356 A JP2004315356 A JP 2004315356A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
fine particles
oxide fine
acicular
average
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004093619A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4631013B2 (ja
Inventor
Ayako Hioki
亜也子 日置
Satoshi Nakao
聡 中尾
Yoshiaki Sakurai
芳昭 櫻井
Hisayoshi Shiosaki
久芳 汐崎
Masaki Kimoto
正樹 木本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Prefecture
Original Assignee
Osaka Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Prefecture filed Critical Osaka Prefecture
Priority to JP2004093619A priority Critical patent/JP4631013B2/ja
Publication of JP2004315356A publication Critical patent/JP2004315356A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4631013B2 publication Critical patent/JP4631013B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、粒度分布が狭く、アスペクト比の選択幅が大きく、純度が高い針状酸化チタン微粒子を提供する。また、簡便かつ安価な操作で針状微粒子のサイズ(長径及び短径)やアスペクト比を制御しうる、針状酸化チタン微粒子の製造方法を提供する。さらに、本発明は、針状酸化チタン微粒子の用途を提供する。
【解決手段】 平均短径が25〜150nm、平均長径が75〜3000nm、アスペクト比が3〜30、及び純度が99重量%以上であることを特徴とする針状酸化チタン微粒子、及びその製造方法等に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、針状酸化チタン微粒子、その製造方法及びその用途に関する。
酸化チタン(TiO2)は、屈折率が高く化学的に安定であり安価であることから、白色顔料、フィラー、紫外線遮蔽剤、光触媒等の幅広い分野で応用されている。
最も一般的な微粒子酸化チタンの製造方法は、硫酸法及び塩素法である。市販されている酸化チタン微粒子の合成方法としては、高温(373K以上)高圧の水を溶媒に用いる水熱合成法、四塩化チタンの燃焼分解法、含水酸化チタンの化学処理、加熱法、ゾルゲル法等が挙げられる。しかしながら、これらの合成方法により製造される酸化チタン微粒子は、その形状が不定形であり、粒度分布も広く、純度も低い。しかも、これらの合成方法は、特殊な装置や条件を必要とするため生産量が制限され、しかも価格が高くなってしまうという問題点がある。
近年需要が高まっている複合材料、高機能材料、各種電子機器等の用途に酸化チタンを用いる場合は、一定の形状を有する、粒子径のそろった、純度の高い酸化チタン微粒子が必要とされる。
特に、形状が針状(竿状、柱状、棒状等の形状も含む)の酸化チタン微粒子は、比表面積が大きく、母剤に担持した際に空隙率が大きくなる点で優れており、その用途も多岐にわたると考えられる。
形状が針状の酸化チタン微粒子の製造法としては、例えば、特許文献1〜7等の報告例がある。しかしながら、いずれの報告例も、粒子径のそろった酸化チタン微粒子が得られがたい点、しかも製造過程で種々の試薬を用いているため純度の高い酸化チタン微粒子が得られがたいという点、特殊な装置や条件を必要とするため生産性が低下しコストが高くなってしまう点等において、依然として上記の要求を十分に満足させるものではない。
特公昭47−44974号公報 特開昭63−233016号公報 特開昭63−307119号公報 特開平5−139747号公報 特開平6−279618号公報 特開平6−340421号公報 特開平9−175821号
本発明は、粒度分布が狭く、アスペクト比の選択幅が大きく、純度が高い針状(ここで、「針状」には、竿状、柱状、棒状等の形状も含む)酸化チタン微粒子を提供することを目的とする。また、簡便かつ安価な操作で、粒子サイズ(長径及び短径)やアスペクト比(長径と短径の比を意味する、以下同じ)を制御しうる針状酸化チタン微粒子の製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、針状酸化チタン微粒子の用途をも提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、チタンアルコキシドを原料として、アルコールを用いた湿式法により得られる酸化チタン微粒子が、上記の課題を解決しうることを見出し、更に研究を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の技術を提供する。
項1.平均短径が25〜200nm、平均長径が75〜3000nm、平均アスペクト比が3〜40、及び純度が99重量%以上であることを特徴とする針状酸化チタン微粒子。
項2.平均短径が50〜150nm、平均長径が1000〜3000nm、平均アスペクト比が20〜35、純度が99.9重量%以上である項1に記載の針状酸化チタン微粒子。
項3.平均短径の標準偏差と平均短径との比が0.01〜0.1程度であり、平均長径の標準偏差と平均長径との比が0.01〜0.1程度であり、平均アスペクト比の標準偏差と平均アスペクト比との比が0.03〜0.2程度である項1又は2に記載の針状酸化チタン微粒子。
項4.チタンアルコキシドを、少なくともメタノールを含むアルコールと水とを含有する溶媒中に加えて撹拌又は超音波処理することを特徴とするアモルファス針状酸化チタン微粒子の製造方法。
項5.チタンアルコキシドが、一般式(I):
Ti(OR)4 (I)
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す)
で表される化合物である項4に記載の製造方法。
項6.チタンアルコキシドが、チタンエトキシド、チタンn−プロポキシド、チタンイソプロポキシド、又はチタンn−ブトキシドである項5に記載の製造方法。
項7.アルコールが、メタノールを90体積%以上含有するアルコールである項4に記載の製造方法。
項8.チタンアルコキシドと溶媒の体積比が1:5〜1:500であり、チタンアルコキシドと水の重量比が100:0.0025〜100:10である項4に記載の製造方法。
項9.製造されるアモルファスの針状酸化チタン微粒子のアスペクト比[A]と反応時間(分)[T]が、式(IV):
A=a+blnT a=−2〜−5 b=3〜6 (IV)
で表される関係を満たすことを特徴とする項3〜8のいずれかに記載の製造方法。
項10.項3〜9のいずれかに記載の製造方法により得られるアモルファス針状酸化チタン微粒子。
項11.項10に記載のアモルファス針状酸化チタン微粒子を加熱処理することを特徴とする結晶の針状酸化チタン微粒子の製造方法。
項12.結晶がアナターゼ型又はルチル型である項11に記載の製造方法。
項13.項11に記載の製造方法により得られる結晶の針状酸化チタン微粒子。
項14.項1〜3のいずれかに記載の針状酸化チタン微粒子を含有する補強材料。
項15.項1〜3のいずれかに記載の針状酸化チタン微粒子の表面に導電性材料が被覆されてなる導電性フィラー。
項16.アナターゼ型結晶構造を有する項1〜3のいずれかに記載の針状酸化チタン微粒子を含有するフィルター。
項17.アナターゼ型結晶構造を有する項1〜3のいずれかに記載の針状酸化チタン微粒子の光触媒としての使用。
本発明について以下詳細に説明する。
針状酸化チタン微粒子の製造方法
本発明の針状酸化チタン微粒子は、チタンアルコキシドを原料とする。チタンアルコキシドは、一般式(I):
Ti(OR)4 (I)
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す)
で表される化合物である。Rで示される炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が例示される。そのうち、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル等の炭素数1〜4のアルキルが好ましい。より好ましくは、Rがエチル、n−プロピル、イソプロピル、又はn−ブチルである。特に好ましくは、Rがエチル、イソプロピル、又はn−ブチルである。
原料のチタンアルコキシドは、市販のものを用いて製造することができ、或いは公知の方法で製造することができる。純度の高い針状酸化チタン微粒子を得ようとする場合は、純度が95%以上のチタンアルコキシドを用いるのが好ましく、より好ましく97%以上、さらに好ましくは99%以上である。
溶媒に含まれるアルコールは、少なくともメタノールを含有するアルコールである。具体的には、メタノールと炭素数2以上のアルコール群から選ばれる少なくとも1種のアルコールとの混合物である。炭素数2以上のアルコールとしては、直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜10のアルコールが挙げられる。
直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜10のアルコールとしては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デカノール等の1価アルコール、エチレングリコール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール等の多価アルコールが例示される。好ましくは、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、エチレングリコール等の炭素数2〜4のアルコールが挙げられる。
溶媒に含まれるアルコール中のメタノールの含有量は、アルコール全体積に対し90体積%以上、好ましくは95体積%以上、より好ましくは97体積%以上である。
換言すれば、メタノールと炭素数2以上のアルコール群から選ばれる少なくとも1種のアルコールとの体積比が、100:0〜90:10の組成を有するアルコールが好ましく、より好ましくは、100:0〜95:5、さらに好ましくは、100:0〜97:3である。これは、メタノールの含有量が少ないと、針状の微粒子の生成が減少し、球状の微粒子の生成が増加するため好ましくないからである。特に、針状の酸化チタン結晶を選択的に得ようとする場合は、溶媒としてメタノールのみを用いることが好ましい。
さらに、本発明に用いられる溶媒には、本反応に悪影響を及ぼさない範囲で、上記のアルコールに加えて他の溶媒が含まれていてもよい。他の溶媒としては、アルコール、特にメタノールとの相溶性があり、生成する針状酸化チタン微粒子の乾燥時に容易に除去できる沸点が30〜100℃程度の溶媒が好ましい。具体的には、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、ジエチルエーテル等が例示される。このうち、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン等が好ましい。アルコールと他の溶媒の体積比は、例えば、100:0〜80:20程度、好ましくは100:0〜90:10程度であればよい。
また、本発明に用いられる溶媒には、微量の水が含まれていることが必要である。本反応において必要とされる水の含有量は、例えば、チタンアルコキシド100重量部に対し、0.0025〜10重量部程度、好ましくは0.01〜8重量部程度、より好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは、0.1〜5重量部程度である。
この微量の水は、本発明における下記のチタンアルコキシド(I)を酸化チタン(III)に変換する反応において、チタンアルコキシド(I)を加水分解して中間体であるTi−OH体(II)を形成するために必要であると考えられる。
(式中、nは1以上の整数、Rは前記に同じ)
そのため、無水のアルコール溶媒を用いて密閉かつ無水条件下で反応した場合には、通常、反応はほとんど進行しないか非常に遅くなる。これに対し、水の量が多すぎると加水分解は進行するが、所望の針状酸化チタン微粒子が得られ難い。
本反応に用いる上記溶媒の使用量は、通常、チタンアルコキシド1mLに対し、5〜500mL程度であればよく、好ましくは10〜100程度、より好ましくは10〜50mL程度であればよい。
本発明の針状酸化チタン微粒子は、上記のチタンアルコキシドを、上記溶媒中に加えて反応させることにより製造される。具体的には、液体状のチタンアルコキシド(I)を、溶媒中に滴下して一定時間撹拌又は超音波処理することにより、白色の針状酸化チタン微粒子が析出する。溶媒を撹拌又は超音波処理しながら、これにチタンアルコキシド(I)を滴下するのが好適である。
反応条件として、圧力は、常圧下(0.09〜0.11MPa程度、以下同じ)でよく、溶媒の温度は、10〜60℃程度、好ましくは室温(20〜30℃程度、以下同じ)であればよい。反応系は、大気中密閉系である必要はなく開放系であってもよい。
撹拌条件を採用した場合、撹拌の速度は、反応のスケールにもよるが、滴下されたチタンアルコキシドがアルコール中で速やかに均一拡散しうる程度であればよく、特に限定はない。例えば、φ40×120mmの反応容器で、φ5×15mmの攪拌子を用いて500〜1000rpm程度の速度で撹拌すればよい。
超音波処理の条件を採用した場合、超音波の照射周波数は特に限定はないが、針状酸化チタン微粒子の1次粒子の凝集を抑制し分散性を向上させるためには、10〜60kHz程度、特に25〜50kHz程度を採用することが好ましい。チタンアルコキシドの滴下中はもちろん、滴下終了後も針状酸化チタンの成長がほぼ止まるまで超音波照射すればよい。
チタンアルコキシドの滴下の速度は特に限定はなく、溶媒の量、チタンアルコキシドの滴下量等に応じて適宜選択できる。溶媒の量が0.1〜0.2L程度、チタンアルコキシドの滴下量が1.0〜5.0mL程度の場合、通常、10秒〜1分程度かけて滴下すればよい。滴下時間が短すぎると、チタンアルコキシドが大きな液滴のまま溶媒に滴下されるため、粒子が凝集しやすくなるため好ましくなく、また、滴下時間が長すぎると粒子径にばらつきが生じるため、粒子長径を均一にしたい場合は好ましくない。
上記の反応条件で混合物を一定時間撹拌又は超音波処理することにより、単分散の固体の針状酸化チタン微粒子が析出する。驚くべきことに、上記の反応では、針状酸化チタン微粒子の平均短径(針状粒子を直方体と見立てた際の短辺の平均長さ)をほぼ一定に維持しながら、平均長径(針状粒子を直方体と見立てた際の長辺の平均長さ)のみが経時的に成長する。
具体的な針状酸化チタン微粒子の成長の様子は、例えば、実施例1〜10に対応する図1の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を見れば容易に理解できる。そして、針状酸化チタン微粒子の平均長径の成長速度は、各微粒子でほぼ同程度であることが観測される。例えば、実施例1〜10に対応する反応時間とアスペクト比のグラフ(図2)を参照すると、時間(分)(グラフの横軸)の経過と共に、小さい標準偏差を維持しながらアスペクト比(グラフの縦軸)が増大していることが分かる。
すなわち、上記反応によれば、反応時間に応じて、針状酸化チタン微粒子の平均短径を固定したままアスペクト比を制御しうると共に、平均短径及び平均長径ともほぼ均一な、つまり粒度分布が狭い針状酸化チタン微粒子を得ることが可能となる。
また、上記の反応では、針状酸化チタン微粒子の平均短径は、反応温度やアルコールを含む溶媒の組成によって変化する。例えば、反応温度が高くなるにつれて、平均短径が大きくなる。平均短径は、平均短径が25〜150nm程度で変動し得る。すなわち、反応温度や溶媒の組成を制御することにより、平均短径をほぼ一定にすることもできる。
また、本発明の製造方法によれば、例えば、上記の反応条件を採用した場合に、反応時間(分)[T]と針状酸化チタン微粒子のアスペクト比[A]とが、概ね下記式(IV):
A=a+blnT a=−2〜−5 b=3〜6 (IV)
で表される関係が満たされる。上記値a及びbは、反応条件により変化する値である。そして、この関係式が成り立つ条件下では、反応時間を制御することにより、針状酸化チタン微粒子のアスペクト比を精密に制御することが可能となる。特に、溶媒としてメタノール(水を約0.1体積%程度含有)、チタンアルコキシドとしてチタンイソプロポキシドを用い、溶媒とチタンイソプロポキシドの体積比が100:1〜100:10、温度が室温、常圧、撹拌速度600〜900rpm程度の反応条件を採用する場合に、上記式(IV)の関係がよく適合する。
上記の反応終了後は、反応混合物を遠心分離にかけた後、得られた針状酸化チタン微粒子を乾燥する。遠心分離の条件は、例えば、5000〜20000rpm程度、5分以上であればよい。また、乾燥条件は、上記の反応溶媒が除去できる程度であればよく、通常、常圧下又は減圧下(0.001MPa以下)60〜100℃で、1〜12時間程度乾燥すればよい。
得られる本発明の針状酸化チタン微粒子の純度は、99重量%以上、さらに99.9重量%以上、特に99.99重量%以上である。本発明の製造方法は、原料のチタンアルコキシドと溶媒のみを反応させ他の試薬を一切混入しない極めてシンプルな反応系である。そのため、針状酸化チタン微粒子は、金属やイオン、酸、アルカリ等の不純物の混入は一切なく、極めて高い純度を有している。従って、より高い純度のチタンアルコキシドと溶媒を用いれば、より高純度の針状酸化チタン微粒子を得ることができる。もちろん、従来の針状酸化チタン微粒子の製造方法では、このような高純度の微粒子を達成した例は見あたらない。
また、得られる本発明の針状酸化チタン微粒子はアモルファスである。例えば、図3の広角X線回折の測定より、熱処理前の針状酸化チタン微粒子は回折ピークが観測されないことから、結晶構造を有しないアモルファスであることが分かる。
このアモルファス針状酸化チタン微粒子は、熱処理することにより結晶性の針状酸化チタン微粒子に変換させることができる。熱処理条件として、例えば、アモルファス針状酸化チタン微粒子を、空気中、450〜550℃程度で、30分〜2時間時間程度熱処理することにより、準安定型のアナターゼ型構造の結晶を得ることができる。例えば、図3の広角X線回折の測定より、500℃で1時間熱処理した後の針状酸化チタン微粒子は、その回折パターンよりアナターゼ構造の結晶を有していることが分かる。上記の熱処理により得られる結晶は、多結晶であり、このことは、例えば、実施例18及び図6の結果より明らかである。
また、アモルファス針状酸化チタン微粒子を、空気中、600〜900℃程度で、1〜12時間程度熱処理することにより、安定型のルチル型構造の結晶を得ることができる。すなわち、上記反応で得られるアモルファス針状酸化チタン微粒子から、熱処理条件を選択することにより異なる結晶構造を有する微粒子に導くことができる。
さらに、準安定型のアナターゼ型結晶の針状酸化チタン微粒子を、600〜900℃程度で1〜12時間程度熱処理することにより、安定型のルチル構造の結晶を得ることもできる。
また、アモルファス針状酸化チタン微粒子から、上記のアナターゼ型結晶又はルチル型結晶へ変換した場合でも、そのサイズ(形状、大きさ)は実質的に変化しない。ここで、実質的に変化しないとは、結晶化前後において、長軸及び短軸の平均径の変化率が±5%以下、好ましくは±3%以下で、その形状が針状を保持していることをいう。これは、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認できる。つまり、熱処理によって、粒度分布の小さいアモルファス針状酸化チタン微粒子を、サイズ(短径、長径)及びアスペクト比をほぼ維持したまま結晶の針状酸化チタン微粒子へと変換することができる。
針状酸化チタン微粒子
本発明の針状酸化チタン微粒子は、独立した針状微粒子(1次粒子)として存在しているが、場合によっては、該独立した針状微粒子が凝集した形態(2次粒子)を含んでいてもよい。
本発明の酸化チタン微粒子は、上記の反応で得られアモルファス針状酸化チタン微粒子、及び熱処理後の結晶構造を有する針状酸化チタン微粒子のいずれをも包含する。前述のように、アモルファス及び結晶の針状酸化チタン微粒子では、実質的に形状、大きさに相違がないため、以下同じサイズ(短径、長径)及びアスペクト比として記載する。
本発明の針状酸化チタン微粒子の平均短径は、25〜200nm程度、さらに25〜45nm程度、特に30〜40nm程度で制御可能である。
本発明の針状酸化チタン微粒子の平均長径及びアスペクト比は、チタンアルコキシドの反応時間により制御されることは上述の通りである。平均長径は、75〜3000nm程度、さらに50〜700nm程度、特に100〜650nm程度で制御可能である。また、アスペクト比は、3〜40程度、さらに5〜25程度の範囲で制御可能である。
例えば、上記の式(IV)が成立する反応条件を採用した場合、平均短径は25〜45nm程度に制御でき、平均長径は、50〜700nm程度に制御でき、また、アスペクト比は5〜25程度に制御可能である。
また、例えば、上記の式(IV)が成立する反応条件を採用することにより、反応時間を25分程度以下にすればアスペクト比を10以下に制御でき、反応時間を30〜75分程度にすればアスペクト比を10〜15程度に制御でき、反応時間を80分以上にすればアスペクト比を15以上に制御することができる。
さらに、例えば、上記の式(IV)が成立する反応条件において、反応温度を45〜55℃程度に選択することにより、平均短径が50〜150nm程度、特に55〜145nm程度であり、平均長径が1000〜3000nm、特に1100〜2500nm程度であり、平均アスペクト比が20〜35、特に20〜30程度の針状酸化チタン微粒子を製造することもできる。この針状酸化チタン微粒子は、アスペクト比が大きく、母剤に担持した際に空隙率が極めて大きくなり広範な用途に使用されうると考えられる。
なお、上記の微粒子の平均短径及び平均長径の測定は、SEM観察写真より読みとった。例えば、JISK3850−1から−4に準じて測定される。
また、本発明の針状酸化チタン微粒子は、従来にはない狭い粒度分布を有しており、サイズやアスペクト比の均質な微粒子であるという特徴を有している。たとえば、平均短径の標準偏差と平均短径との比は0.01〜0.1程度、好ましくは0.02〜0.07程度、より好ましくは0.03〜0.06程度であり、平均長径の標準偏差と平均長径との比は0.01〜0.1程度、好ましくは0.01〜0.06程度、より好ましくは0.02〜0.05程度であり、平均アスペクト比の標準偏差と平均アスペクト比との比は0.03〜0.2程度、好ましくは0.05〜0.15程度、より好ましくは0.05〜0.13程度である。
また、本発明の針状酸化チタン微粒子の純度は、上述のように99%重量以上、さらに99.9%重量以上、特に99.99%重量以上であり、従来にはない極めて高い純度を有している点に特徴を有している。
さらに、本発明の針状酸化チタン微粒子は、高い光触媒活性を有しており、水中又は大気中における有機物質に対する光触媒活性は、公知の酸化チタン光触媒に比べて同等又はそれ以上の活性を有している。
針状酸化チタン微粒子の用途
本発明の針状酸化チタン微粒子は、光触媒機能を保持する各種フィルターの素材として用いることができる。この場合、もちろん、光触媒能の大きいアナターゼ型結晶を有する針状酸化チタン微粒子を用いることが好ましい。特に本発明のアスペクト比が大きい針状酸化チタン微粒子が好ましい。この場合、該微粒子の重なり合いにより大きな空隙を保持することができ、その空隙を保持したまま微粒子を基材に固着することができ、触媒表面の有効利用が可能となるからである。該針状酸化チタン微粒子を基材に固着する方法は、公知の方法を用いればよい。例えば、該針状酸化チタン微粒子を、ハニカムフィルター等の基材に、バインダー(例えば、シリカ系バインダーとしてシリコンのアルコキシド、コロイダルシリカ等、アルミナ系バインダー、セメント系バインダー等)を用いて固着する方法等が挙げられる。
この様にして得られるフィルターは、自然光、紫外線ランプ等の光源と共に用いて光触媒フィルター等として用いられる。具体的には、家電用品のフィルター(空気清浄機、換気扇等)、自動車関連部品のフィルター(排ガスフィルター、エアコンフィルター等)、土木建築材料のフィルター(室内壁紙、換気口フィルター等)、工業部品のフィルター(濾過フィルター等)等の広範な分野で利用可能である。
本発明の針状酸化チタン微粒子は、また、プラスチック、セラミックス、金属等の材料の補強材として用いることができる。針状酸化チタン微粒子は、不定形や球状微粒子に比べて母材強化効率が格段に大きいため、少量で効率よく材料強度の向上、疲労特性等の長期耐久性の向上が期待される。上記材料に、補強材として針状酸化チタン微粒子を混入させる方法はいずれも公知の方法を採用することができ、これにより針状酸化チタン微粒子を含む補強材料が製造される。
本発明の針状酸化チタン微粒子は、表面を酸化スズや酸化アンチモンで被覆して、導電性・帯電防止フィラー等の高機能フィラーの基材として用いることもできる。例えば、特開平6−279618号公報等の公知の方法により、針状酸化チタン微粒子表面に同電層を設けて導電性フィラーを製造することができる。
本発明の針状酸化チタン微粒子は、一般的な微粒子酸化チタンの用途である白色顔料はもとより、紫外線遮蔽剤(化粧品、包装フィルム等)、メタリック塗料の色調改良剤、研磨剤、光学材料、光触媒、機能性(防曇、抗菌、防錆等)コーティング剤などの高機能材料、PTCやPZT等の高品位電子セラミックスの製造原料等にも利用することができる。
本発明の針状酸化チタン微粒子は、粒度分布が狭く、選択しうるアスペクト比の幅が大きく、純度が高いという特徴を有している。また、高い光触媒活性をも有している。
本発明の製造方法によれば、安価なチタンアルコキシドを用いて、簡便かつ安価な条件で上記特性を有する針状酸化チタン微粒子を製造することができる。
さらに、該針状酸化チタン微粒子は、その特性を利用して、光触媒機能を有するフィルター:プラスチック・セラミックス・金属等の各種材料の補強材:導電性・帯電防止フィラー等の高機能フィラー:高品質セラミック焼結体の原料:機能性コーティング膜:研磨剤等の広範な用途に用いることができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜10
(1)常圧、室温、空気雰囲気下にて、撹拌速度700rpmで撹拌しているメタノール(JIS規格で純度99.8%以上、水分量0.1%以下)100mlに、チタンイソプロポキシド[Ti(O-iPr)4] 2.0mlを0.5分かけて滴下し、各所定時間(5分、30分、60分、90分、120分)経過後に反応混合物を採取し、遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥(70℃、1時間)を行った。この操作を10実施例繰り返した。SEM観察により、各反応時間後に得られた酸化チタン微粒子は、いずれも針状であることを確認した。
図1に、5分、30分、60分、90分、120分経過後における、針状酸化チタン微粒子のSEM観察(倍率100,000倍)の写真を示す。なお、SEMは日立製作所製S-4700(加速電圧 10kV)を用いた。なお、写真下の1目盛りは50nmである。
表1に、各実施例における各サンプルの平均短径及び平均長径を示す。針状微粒子の平均長径及び平均短径の測定は、SEM観察写真より長径(針状形状を直方体と見立てた際の長辺)及び短径(同短辺)を目視で読み取り、これらの平均を計算した。表2に、各実施例における、各サンプルの反応時間とアスペクト比の関係を示す。これをグラフ化したものを図2に示す。
上記の反応120分経過後に得られる微粒子は、X線回折(XRD)測定によりアモルファス状態であることを確認した(図3の(a))。なお、X線回折測定は、理学電機製 RINT-2500VHF (X線源:Cu-Kα)を用いた。
得られた針状微粒子の純度は、いずれも99.99重量%以上であった。純度の測定はJIS K 5116に準じて行った。具体的には次の様にして測定した。上記(1)で得られた酸化チタン微粒子を105±2℃の恒温乾燥器で2時間乾燥させ、デシケーター内で室温になるまで放冷した。その内0.1gを0.1mgの桁まで図り取り、三角フラスコに移し入れた。これに少量の水を加え、振り混ぜて乳状とし、硫酸15mlおよび硫酸アンモニウム6gを加え、加熱して酸化チタンを溶解させた。放冷後、メスフラスコに移し変え、水を加えて100ppm程度の水溶液とした。高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP装置)で、水溶液中のTi濃度を測定し、測定数値から酸化チタン量を算出し、純度を求めた。
(2)次いで、このアモルファス状微粒子を、空気中、500℃、1時間で熱処理を行うことにより、アモルファス状微粒子とほぼ同一形状、大きさの結晶を得た。結晶は、X線回折により公知のアナターゼ型酸化チタンのd(結晶格子面間隔)値と比較することにより、アナターゼ型であることを確認した(図3の(b))。
(3)さらに、上記(2)で得られたアナターゼ型結晶の微粒子を、600℃以上の高温で10時間熱処理することにより、ルチル型結晶を主成分とする微粒子を得た。X線回折により公知のルチル型酸化チタンと比較することによりルチル型であることを確認した。
実施例11
実施例1〜10と同様に、室温、空気雰囲気下にて、撹拌しているメタノール50mlに、チタンエトキシド[Ti(OEt)4] 1.0mlを数分かけて滴下し、所定時間(5分間、120分間)さらに撹拌し続けた。生じた微粒子を遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥を行った。SEM観察により、各反応時間後に得られた酸化チタン微粒子は、いずれも針状であることを確認した。
実施例12
実施例1〜10と同様に、室温、空気雰囲気下にて、撹拌しているメタノール 50mlに、チタンブトキシド[Ti(OBu)4] 1.0mlを数分かけて滴下し、所定時間(5分間、120分間)さらに撹拌し続けた。生じた微粒子を遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥を行った。SEM観察により、各反応時間後に得られた酸化チタン微粒子は、いずれも針状であることを確認した。
実施例13
実施例1〜10と同様に、室温、空気雰囲気下にて、撹拌しているメタノール・エタノール混合液(メタノール:エタノール=9:1、体積比) 100mlに、チタンイソプロポキシド[Ti(O-iPr)4] 2.0mlを数分かけて滴下し、所定時間(120分間)さらに撹拌し続けた。生じた微粒子を遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥を行った。SEM観察により、得られた酸化チタン微粒子は針状であることを確認した。
実施例14
実施例1〜10と同様に、室温、空気雰囲気下にて、撹拌しているメタノール 100mlに、チタンイソプロポキシド[Ti(O-iPr)4] 2.0mlを数分かけて滴下し、所定時間(120分間)さらに撹拌し続けた。生じた微粒子を遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥を行った。SEM観察により、得られた酸化チタン微粒子は針状であることを確認した。この粒子はアモルファス状態であり、これを400℃、2日間熱処理すると、結晶系はアナターゼ型になることをX線回折により確認した。
実施例15
室温、空気雰囲気下にて、撹拌している無水メタノール 100ml(H2O量 50ppm以下)に、チタンイソプロポキシド[Ti(O-iPr)4] 2.0mlを数分かけて滴下し、所定時間(120分間)さらに撹拌し続けた。生じた微粒子を遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥を行った。SEM観察により、得られた酸化チタン微粒子は針状であることを確認した。この粒子はアモルファス状態であり、これを500℃、1時間熱処理すると、結晶系はアナターゼ型になることをX線回折により確認した。
実施例16
室温、空気雰囲気下にて、撹拌しているメタノール 100mlとH2O 10μlの混合液に、チタンイソプロポキシド[Ti(O-iPr)4] 2.0mlを数分かけて滴下し、所定時間(120分間)さらに撹拌し続けた。生じた微粒子を遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥を行った。SEM観察により、得られた酸化チタン微粒子は針状であることを確認した。この粒子はアモルファス状態であり、これを500℃、1時間熱処理すると、結晶系はアナターゼ型になることをX線回折により確認した。
実施例17
常圧、空気雰囲気下にて、50℃に加熱したメタノール(JIS規格で純度99.8%以上、水分量0.1%以下)100mlを撹拌速度700rpmで撹拌しているところに、チタンイソプロポキシド[Ti(O-iPr)4] 2.0mlを数分かけて滴下し、所定時間(120分)さらに撹拌し続けた。生じた微粒子を遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥を行った。SEM観察により、得られた酸化チタン微粒子は針状であることを確認した。図4に、針状酸化チタン微粒子のSEM観察(倍率50,000倍)の写真を示す。なお、SEMは日立製作所製S-4700(加速電圧 10kV)を用いた。なお、写真下の1目盛りは100nmである。この粒子はアモルファス状態であり、これを500℃、1時間熱処理すると、結晶系はアナターゼ型になることをX線回折により確認した。
実施例18
(1)室温、空気雰囲気下にて、メタノール100mlが入ったガラス容器を、水を張った超音波洗浄器内に置き、28kHzの超音波を照射した。そこへ、チタンイソプロポキシド[Ti(O-iPr)4] 2.0mlを数十秒かけて滴下し、その後所定時間(30分間)さらに超音波を照射し続けた。生じた微粒子を遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥を行った。TEM観察により、反応時間後に得られた酸化チタン微粒子は針状であることを確認した。
(2)上記(1)で得られたアモルファスの酸化チタン微粒子を、500℃、1時間で熱処理することにより、アナターゼ型結晶の酸化チタン微粒子を得た。熱処理後のアナターゼ型酸化チタンのTEM観察を明視野法と暗視野法の両方で行った(図6)。試料を透過した電子のみで結像した明視野像からも、一つの針状微粒子がさらに小さな微粒子の凝集体であることが推測されるが、特定の回折条件を満たす結晶のみが明るく見える暗視野像で、針状微粒子全体が明るいわけではなく、部分的に明るい箇所が点在していることから、アナターゼ型酸化チタンは多結晶であることが分かった(図6)。
なお、実施例1〜17で得られるアナターゼ型酸化チタン微粒子も、図6と同様の結果が得られたことから、多結晶であることが分かった。
実施例19
超音波の周波数を45kHzとした以外は、実施例18と同様に処理することにより、針状酸化チタン微粒子を得た。
比較例1
室温、空気雰囲気下にて、撹拌しているメタノール 100mlとH2O 500μlの混合液に、チタンイソプロポキシド[Ti(O-iPr)4] 2.0mlを数分かけて滴下し、所定時間(120分間)さらに撹拌し続けた。生じた微粒子を遠心分離機にかけて分離・回収後、減圧乾燥を行った。SEM観察により、得られた酸化チタン微粒子は球状であることを確認した(図5を参照 SEM観察写真 倍率10,000倍)。なお、写真下の1目盛りは500nmである。
また、この粒子はアモルファス状態であるが、500℃、1時間の熱処理を行うと、結晶系はアナターゼ型になることをX線回折により確認した。
試験例1(光触媒の評価1)
本発明の酸化チタン微粒子(実施例1(2)、実施例18(2)及び実施例19(2))及び酸化チタンST−21(石原産業株式会社製)及び酸化チタンP−25(デグッサ社製)について、次のようにして光触媒能の評価試験を行った。その模式図を図7に示す。
20 mlビーカーに、メチレンブルー水溶液(濃度:2.7×10-5 mg/l)10 mlと酸化チタン微粒子0.01 gを入れ、スターラーで撹拌しながら、紫外光を30分間照射した。紫外光光源は、浜松ホトニクス社製UVスポット光源L8333-02を用いた。照射波長域は240 nm-400 nm、出力は20 W、光源から液面までの距離は4.5 cmであった。紫外光照射前後で可視紫外吸収スペクトル(装置:島津製作所製UV-3100PC)を測定し、メチレンブルーの吸収極大である665 nmでの吸光度の減少率を、光触媒能によるメチレンブルーの分解率とした。結果を表3に示す。
表3より、本発明の酸化チタン微粒子は、公知の光触媒である酸化チタンST−21及びP−25と比べて、同等の水中における光触媒活性を有していることが分かった。
試験例2(光触媒の評価2)
光触媒性能の評価試験を、20℃−65%RHの恒温恒湿室内にて行った。その模式図を図8に示す。
(1)アセトアルデヒドガスの調製
5Lのテドラーバッグに清浄空気4L及びアセトアルデヒドを500μL注入後密封し24時間静置した。
(2)分解試験(紫外線照射なし)
酸化チタン微粒子0.1gをシャーレに均一に広げた後に、これを5Lのテドラーバッグに入れた。このテドラーバッグ内に、清浄空気4L及び(1)で調製したアセトアルデヒドガスを、濃度が100ppmになるように注入後密封した。これを暗室にいれて光を遮断し、2時間後、テドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度をガス検知管(ガステック社製)を用いて測定した。
(3)分解試験(紫外線照射あり)
上記(2)の試験後のテドラーバッグに、ブラックライト(15W)を用いて紫外線を照射し、所定時間後のアセトアルデヒド濃度をガス検知管(ガステック社製)を用いて測定した。
測定結果を表4及び図9に示す。
これらの結果より、本発明の酸化チタン微粒子は、大気中のアセトアルデヒド分解に関して、P−25やST−21と比べほぼ同等或いはそれ以上の光触媒活性を有していることが分かる。なお、図9中、紫外光照射前の0〜120分間で、アセトアルデヒド濃度が減少していないことから、酸化チタン微粒子による初期のアセトアルデヒドの吸着は、本試験例では影響を与えない。
実施例1〜10における各経過時間後の針状酸化チタン微粒子のSEM観察写真である。 反応時間と針状酸化チタン微粒子のアスペクト比の関係を示すグラフである。 熱処理前と熱処理後の針状酸化チタン微粒子のX線回折を示す図である。 実施例17で得られた針状酸化チタン微粒子のSEM観察写真である。 比較例1で得られた酸化チタン微粒子のSEM観察写真である。 実施例18(2)で得られたアナターゼ型酸化チタンのTEM写真である。 水中における光触媒能の評価試験の模式図である。 大気中における光触媒能の評価試験の模式図である。 試験例2の測定結果を示すグラフである。

Claims (17)

  1. 平均短径が25〜200nm、平均長径が75〜3000nm、平均アスペクト比が3〜40、及び純度が99重量%以上であることを特徴とする針状酸化チタン微粒子。
  2. 平均短径が50〜150nm、平均長径が1000〜3000nm、平均アスペクト比が20〜35、純度が99.9重量%以上である請求項1に記載の針状酸化チタン微粒子。
  3. 平均短径の標準偏差と平均短径との比が0.01〜0.1程度であり、平均長径の標準偏差と平均長径との比が0.01〜0.1程度であり、平均アスペクト比の標準偏差と平均アスペクト比との比が0.03〜0.2程度である請求項1又は2に記載の針状酸化チタン微粒子。
  4. チタンアルコキシドを、少なくともメタノールを含むアルコールと水とを含有する溶媒中に加えて撹拌又は超音波処理することを特徴とするアモルファス針状酸化チタン微粒子の製造方法。
  5. チタンアルコキシドが、一般式(I):
    Ti(OR)4 (I)
    (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す)
    で表される化合物である請求項4に記載の製造方法。
  6. チタンアルコキシドが、チタンエトキシド、チタンn−プロポキシド、チタンイソプロポキシド、又はチタンn−ブトキシドである請求項5に記載の製造方法。
  7. アルコールが、メタノールを90体積%以上含有するアルコールである請求項4に記載の製造方法。
  8. チタンアルコキシドと溶媒の体積比が1:5〜1:500であり、チタンアルコキシドと水の重量比が100:0.0025〜100:10である請求項4に記載の製造方法。
  9. 製造されるアモルファスの針状酸化チタン微粒子のアスペクト比[A]と反応時間(分)[T]が、式(IV):
    A=a+blnT a=−2〜−5 b=3〜6 (IV)
    で表される関係を満たすことを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 請求項3〜9のいずれかに記載の製造方法により得られるアモルファス針状酸化チタン微粒子。
  11. 請求項10に記載のアモルファス針状酸化チタン微粒子を加熱処理することを特徴とする結晶の針状酸化チタン微粒子の製造方法。
  12. 結晶がアナターゼ型又はルチル型である請求項11に記載の製造方法。
  13. 請求項11に記載の製造方法により得られる結晶の針状酸化チタン微粒子。
  14. 請求項1〜3のいずれかに記載の針状酸化チタン微粒子を含有する補強材料。
  15. 請求項1〜3のいずれかに記載の針状酸化チタン微粒子の表面に導電性材料が被覆されてなる導電性フィラー。
  16. アナターゼ型結晶構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載の針状酸化チタン微粒子を含有するフィルター。
  17. アナターゼ型結晶構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載の針状酸化チタン微粒子の光触媒としての使用。
JP2004093619A 2003-03-28 2004-03-26 針状酸化チタン微粒子、その製造方法及びその用途 Expired - Fee Related JP4631013B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004093619A JP4631013B2 (ja) 2003-03-28 2004-03-26 針状酸化チタン微粒子、その製造方法及びその用途

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003089598 2003-03-28
JP2004093619A JP4631013B2 (ja) 2003-03-28 2004-03-26 針状酸化チタン微粒子、その製造方法及びその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004315356A true JP2004315356A (ja) 2004-11-11
JP4631013B2 JP4631013B2 (ja) 2011-02-16

Family

ID=33478456

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004093619A Expired - Fee Related JP4631013B2 (ja) 2003-03-28 2004-03-26 針状酸化チタン微粒子、その製造方法及びその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4631013B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008189497A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Fujifilm Corp ルチル型酸化チタン粒子及びその製造方法
JP2008254983A (ja) * 2007-04-06 2008-10-23 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ナノ針状アナターゼTiO2結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO2結晶膜及びそれらの作製方法
JP2009023854A (ja) * 2007-07-17 2009-02-05 National Institute Of Advanced Industrial & Technology エピタキシャルナノTiO2粒子コーティング及びその作製方法
JP2009067655A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ナノ結晶集積TiO2及びその作製方法
JP2011511750A (ja) * 2008-02-11 2011-04-14 ダウニア ソラー セル エッセ・エッレ・エッレ ナノメートルサイズと制御された形状を有する二酸化チタンの製造方法
WO2012169660A1 (ja) * 2011-06-07 2012-12-13 株式会社ダイセル 光触媒塗膜、及びその製造方法
JP2013203578A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Osaka Gas Co Ltd 高結晶性高比表面積酸化チタン構造体
KR20150037998A (ko) * 2012-07-26 2015-04-08 코스웰 에스.피.에이. TiO2 나노입자로 외면적으로 기능화된 무기 입자를 포함하는 광촉매 활성을 가진 경구 보호 및 경구 위생 제품
JP2017065972A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 住友大阪セメント株式会社 酸化チタン粒子及びそれを含む光触媒体

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6872476B2 (ja) * 2017-12-27 2021-05-19 日本特殊陶業株式会社 センサ素子及びガスセンサ

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63233016A (ja) * 1986-11-11 1988-09-28 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 針状導電性酸化チタン及びその製造方法
JPH05139747A (ja) * 1991-08-20 1993-06-08 Fuji Titan Kogyo Kk 針状含水酸化チタン及び針状酸化チタンの製造方法
JPH06107417A (ja) * 1992-09-22 1994-04-19 Fuji Titan Kogyo Kk 有色針状酸化チタン及びその製造方法
JPH06279618A (ja) * 1993-03-25 1994-10-04 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 棒状微粒子導電性酸化チタンおよびその製造方法
JPH06340421A (ja) * 1993-05-27 1994-12-13 Pola Chem Ind Inc 針状多孔質性微粒子酸化チタン及びその製造法
JPH09175821A (ja) * 1995-12-25 1997-07-08 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 紡錘状微粒子二酸化チタン及びその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63233016A (ja) * 1986-11-11 1988-09-28 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 針状導電性酸化チタン及びその製造方法
JPH05139747A (ja) * 1991-08-20 1993-06-08 Fuji Titan Kogyo Kk 針状含水酸化チタン及び針状酸化チタンの製造方法
JPH06107417A (ja) * 1992-09-22 1994-04-19 Fuji Titan Kogyo Kk 有色針状酸化チタン及びその製造方法
JPH06279618A (ja) * 1993-03-25 1994-10-04 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 棒状微粒子導電性酸化チタンおよびその製造方法
JPH06340421A (ja) * 1993-05-27 1994-12-13 Pola Chem Ind Inc 針状多孔質性微粒子酸化チタン及びその製造法
JPH09175821A (ja) * 1995-12-25 1997-07-08 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 紡錘状微粒子二酸化チタン及びその製造方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008189497A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Fujifilm Corp ルチル型酸化チタン粒子及びその製造方法
JP2008254983A (ja) * 2007-04-06 2008-10-23 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ナノ針状アナターゼTiO2結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO2結晶膜及びそれらの作製方法
JP2009023854A (ja) * 2007-07-17 2009-02-05 National Institute Of Advanced Industrial & Technology エピタキシャルナノTiO2粒子コーティング及びその作製方法
JP2009067655A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ナノ結晶集積TiO2及びその作製方法
JP2011511750A (ja) * 2008-02-11 2011-04-14 ダウニア ソラー セル エッセ・エッレ・エッレ ナノメートルサイズと制御された形状を有する二酸化チタンの製造方法
WO2012169660A1 (ja) * 2011-06-07 2012-12-13 株式会社ダイセル 光触媒塗膜、及びその製造方法
US9517459B2 (en) 2011-06-07 2016-12-13 Daicel Corporation Photocatalytic coating film and method for producing same
JP2013203578A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Osaka Gas Co Ltd 高結晶性高比表面積酸化チタン構造体
KR20150037998A (ko) * 2012-07-26 2015-04-08 코스웰 에스.피.에이. TiO2 나노입자로 외면적으로 기능화된 무기 입자를 포함하는 광촉매 활성을 가진 경구 보호 및 경구 위생 제품
JP2015530366A (ja) * 2012-07-26 2015-10-15 コスウェル・エス・ペー・アーCoswell S.P.A. TiO2ナノ粒子で表面機能化された無機粒子を含む、光触媒活性を有するオーラルケア口腔衛生製品
KR102154066B1 (ko) 2012-07-26 2020-09-10 코스웰 에스.피.에이. TiO2 나노입자로 외면적으로 기능화된 무기 입자를 포함하는 광촉매 활성을 가진 경구 보호 및 경구 위생 제품
JP2017065972A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 住友大阪セメント株式会社 酸化チタン粒子及びそれを含む光触媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4631013B2 (ja) 2011-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5920478B2 (ja) 複合光触媒および光触媒材
CN104718162B (zh) α‑氧化铝微粒以及其制造方法
Gundiah et al. Hydrogel route to nanotubes of metal oxides and sulfates
EP3165509B1 (en) Method for producing titanium oxide fine particles
WO2005103169A1 (en) Coating material and use thereof
JP4145923B2 (ja) 酸化チタン粒子およびその製造方法、製造装置ならびにこの酸化チタンを用いた処理方法
JP2006335619A (ja) 酸化チタン粒子、その製造方法及び応用
JPH1095617A (ja) 板状酸化チタンおよびその製造方法ならびにそれを含有してなる日焼け止め化粧料、樹脂組成物、塗料組成物、吸着剤、イオン交換剤、複合酸化物前駆体
JP4631013B2 (ja) 針状酸化チタン微粒子、その製造方法及びその用途
WO2019017305A1 (ja) 被覆無機微粒子及びその製造方法
JP2007070212A (ja) Zr−O系粒子を分散質とするゾル及びその製造方法
CN113877586B (zh) 一种可控形貌的分级结构铈铁双金属复合氧化物的制备方法及其应用
JP6149039B2 (ja) 超微粒子二酸化チタンおよびその製造方法
Mohammadi et al. Synthesis of highly pure nanocrystalline and mesoporous CaTiO 3 by a particulate sol–gel route at the low temperature
WO2022007756A1 (zh) 二氧化钛材料及其制备方法、分散性提升方法、应用
CN104909405B (zh) 基于纤维素基模板的纺锤形纳米二氧化钛及其制备方法
CN107913712A (zh) 一种二氧化钛/改性硅藻土复合材料、涂膜及其制备方法和应用
Liu et al. mpg-C 3 N 4/anatase TiO 2 with reactive {001} facets composites to enhance the photocatalytic activity of organic dye degradation
JP4424905B2 (ja) アナターゼ型チタニア−シリカ複合体、その製造方法及び光触媒材料
US6803023B1 (en) Composite structure for deodorization or wastewater treatment
Bamne et al. Effect of Solvent Mixing and Calcination Temperature on the Growth of TiO2 Nanoparticle Prepared via Sol–Gel Method
WO2013061482A1 (ja) 光触媒用酸化チタニウム粒子およびその製造方法
WO2019189307A1 (ja) 酸化チタン粒子及びその製造方法
JP3136339B2 (ja) 酸化チタン光触媒及びその製造方法
JP6096536B2 (ja) 光触媒複合粒子及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090701

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090828

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100714

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100906

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100928

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101019

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees