JP2004314054A - 排水・廃液有害物質除去方法およびその装置 - Google Patents

排水・廃液有害物質除去方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
排水・廃液のpH値を2〜4に希釈する希釈手段と、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤とを設け、希釈液を、吸着剤を通過させて有害物質を除去すべく構成することにより、上記吸着剤による吸着ろ過方式を採用したことで、排水・廃液中の複数の有害物質を同時または段階的に除去することができ、多量の薬剤投入が不要で、かつ排ケーキ(汚泥)の発生もなく、装置の小型化と処理時間の短縮との両立を図ることができ、しかも、pH値を2〜4とすることで、酸排水にに対する希釈が容易なうえ、吸着剤の吸着効率を最大限に発揮することができる排水・廃液有害物質除去方法およびその装置の提供を目的とする。
【解決手段】
排水・廃液のpH値を2〜4に希釈する希釈手段10と、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤が設けられたタンク21とを備え、希釈液を、上記吸着剤を通過させて有害物質を除去すべく構成したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、工業用の排水・廃液中に含まれるフッ素、砒素、ホウ素、溶解性鉄などの有害物質(水質汚濁防止法で定められる排水基準の規制対象物質としての有害物質)を同時または段階的に除去するような排水・廃液有害物質除去方法およびその装置に関する。
従来、排水・廃液中の有害物質を除去するには、有害物質の種類に対応した薬剤等の凝集剤を用いて処理処理する一次排水処理装置と、この一次処理では水質汚濁防止法の排水基準に適合しない有害物質を、その種類に対応したキレート樹脂(溶液中のイオンとキレート生成によってイオン変換現象を示すイオン交換樹脂のこと)などで吸着除去する装置とを備えたものが一般的である。なお複数の有害物質を同時または段階的に除去する装置は存在しないので、以下においてはフッ素(有害物質)を除去する従来技術について説明する。
工業製品の製造過程でフッ化水素(HF、いわゆるフッ酸)を使用している工場等からは排水・廃液中にフッ素が排水基準値以上に含まれている。このため排水・廃液を河川、海域等に排出する場合には、図14に示す装置を用いて、フッ素の除去処理を行なっている。
図14において排液100は配管101を介して調整槽102に供給される。この調整槽102に供給される酸排水のpH値は1〜3程度であるため,Ca(OH)(水酸化カルシウム)等を多量に添加してpH値を8〜11のアルカリ性にしている。
これは、次段の反応層タンク103(つまり凝集槽)で用いる凝集剤104がアルカリ性でなければ凝集できないためである。
上述の反応層タンク103で排水・廃液中に溶けているフッ素イオンを大量に集めて分子状のフロック(凝集により形成される粒子集合体のこと)を生成させるのに適した凝集剤104または高分子凝集剤を投入してフッ素イオンを沈殿させることで、フッ素イオンが含有された固形状の汚泥物105(以下、単に排ケーキと称する)と、フッ素イオンが除去された排水処理水との固液分離が可能となり、処理水の液体部分はろ過部106にてろ過することにより、液体中に残るマイクロ・フロックもろ過部106のろ過剤に吸着でき、液体部分のみ通過させて、固体部分は排ケーキ105として分離することができる(一次処理)。
この排ケーキ105はフッ化カルシウム汚泥(CaF)として多量のフッ素を含有しており、また、その発生量も極めて多い。
上述の反応層タンク103から排出される排水・廃液はpH=8〜11のアルカリ性であるため、次段のpH調整槽107にてHCl(塩酸)を用いてpH値を3程度に固定させる。
次に吸着槽108においてフッ素イオンのみを選択的に吸着し得るキレート樹脂を用いて処理水中に残っている微量のフッ素イオンを吸着処理する(二次処理)。
さらに、次段のpH調整槽109において吸着槽108通過後の処理水に対してNaOH(水酸化ナトリウム)を添加してpH値が6.5〜8.5の範囲となるように中和処理を実行し、この中和後において処理水を河川、海域に放流する。
しかし、上述の従来装置においては次のような各諸種の問題点があった。
すなわち、フッ素除去に必要な装置はそれぞれの工程においてタンクや円柱状の層(各要素102,103,107,108,109参照)が必要であって、装置というよりも、むしろ施設的な大きさを要する。
また反応タンク103ではフッ素イオンを凝集沈殿させるので、充分な処理能力を確保するためには広い表面積が必要となり、このため排水・廃液処理関連の敷地面積が広大となる。
さらに調整槽102で薬剤としてのCa(OH)(水酸化カルシウム)を添加して、排水・廃液のpH=1〜3をアルカリ側pH=8〜11にpHコントロールするが、処理される排水・廃液の数倍の薬剤(水酸化カルシウム)が必要となり、薬剤コストが大となる。
また排ケーキ105として発生する汚泥量は排水・廃液量以上の量が発生するので、この排ケーキ105を処理するために廃棄物処理コストが別途必要となる。
さらに、少なくとも三段階のpHコントロールが必要になる関係上、pH調整が複雑化し、pH調整に要する作業コストが大となるばかりではなく、日常的なpH値の管理監視が必要不可欠となる。
特に、吸着槽108の前段におけるpH調整槽107ではpH値を3に固定する必要があるので、pH値の幅がとれず、pH値を常時管理する必要があって、監視および計測コストが大となる。
また、排水・廃液中に複数以上の有害物質が含有している場合には、その種類に対応した複数の反応工程と2次処理工程とが必要になる。
特に、フッ素を除去するうえで、排水・廃液中にホウ素等が同時に含有している場合には、反応層タンク103でフッ素イオンを凝集沈殿させる際、このホウ素(いわゆるボロン)が妨害物質となり、適正なフロックの生成が困難であって、このため予めホウ素のみを事前に除去する工程が必要となり、これに伴う前処理コストが大となるばかりでなく、装置全体(施設全体)がさらに肥大化する。
このように、複数の有害物質が混合された排水・廃液を処理するためには、複数の除去工程が必要となり装置が大型化するのみならず、ランニングコストも大となる。加えて、反応層タンク103における凝集剤104投入による有害物質のフロック形成は化学反応により進行するのを、充分なフロックを形成するには一般的に24時間以上の長大な時間がかかる。
このため、排水・廃液は24時間毎に断続的に処理されることになり、その処理待ち時間が24時間と長い関係上、連続的に発生する排水・廃液を24時間分以上一時的にプールするバッファタンクを複数設ける必要が生じ、施設全体の肥大化、敷地面積の広大化、装置、管理および維持に要するコスト高を招くという諸種の問題点があった。
一方、Ca(OH)スラリーを用いて、排水・廃液としての原水のpH値を11(アルカリ性)にした後に、沈降槽にて凝集剤を用いてフッ素を凝集沈殿させて排ケーキを生成する高度フッ素処理設備が既に発明されているが、フッ素を凝集沈殿させて、排ケーキを生成するものである以上、図14で示した構造のものと概ね同様の問題点を有している(特許文献1参照)。
特開2004−25136号公報
そこで、この発明は、排水・廃液のpH値を2〜4に希釈する希釈手段と、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤とを設け、希釈液を、吸着剤を通過させて有害物質を除去すべく構成することにより、上記吸着剤による吸着ろ過方式を採用したことで、排水・廃液中の複数の有害物質を同時または段階的に除去することができ、多量の薬剤投入が不要で、かつ排ケーキ(汚泥)の発生もなく、装置の小型化と処理時間の短縮との両立を図ることができ、しかも、pH値を2〜4とすることで、酸排水にに対する希釈が容易なうえ、吸着剤の吸着効率を最大限に発揮することができる排水・廃液有害物質除去方法およびその装置の提供を目的とする。
この発明による排水・廃液有害物質除去装置は、排水・廃液のpH値を2〜4に希釈する希釈手段と、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤が設けられたタンクとを備え、希釈液を上記吸着剤を通過させて有害物質を除去すべく構成したものである。
上述の活性アルミナ(activated alumina)は多孔質で大きな比表面積をもつ非晶質のアルミナで、吸着力が強い。
上記構成によれば、排水・廃液(一般にpH=1〜3程度)は上述の希釈手段によりそのpH値が2〜4に希釈され、この希釈液がタンク内に設けられた上述の吸着剤を通過する時、排水・廃液中に含まれる有害物質は吸着剤を平衡吸着作用によって吸着除去される。
ここで、吸着剤の吸着効率が最大限に発揮できる化学的要素として排水・廃液のpH値を2〜4の範囲に設定したので、吸着効率が最大となる。
なお、排水・廃液のpH値がこの範囲外の場合には吸着効率は半減する。また、排水・廃液のpH値は1〜3程度であり、このpH値を2〜4に希釈するとよいので、工業用水やアルカリ水溶液またはアルカリ廃液の添加にて簡単に希釈することができる。
この希釈により吸着剤の吸着効率を最大と成した条件下において、希釈液をタンク内の吸着剤を通過させるので、吸着剤の平衡吸着作用にて排水・廃液中に含まれる有害物質を同時または段階的に除去することができる。
また上述の吸着剤により複数の有害物質を同時に除去することができるので前処理的な複数の反応層設置が不要となり、装置のコンパクト化および装置占有面積の狭小化を図ることができる。
さらに、吸着剤による吸着ろ過方式の除去処理であるから、従来の凝集沈殿方式と異なり、有害物質を凝集沈殿させるための多量の薬剤投入が不要となり、多量の排ケーキのような汚泥発生もない。
しかも、凝集化させる薬剤を用いないことで、化学反応時間が皆無となるため、有害物質除去に要する時間の大幅な短縮を図ることができ、またバッファタンクも不要となる。
この発明の一実施態様においては、上記タンクには希釈液を攪拌する攪拌手段が設けられたものである。
上記構成によれば、攪拌により希釈液が吸着剤と均一に接触し、この結果、排水・廃液中の有害物質の濃度低減を図り、吸着効率の向上を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記吸着剤の割合を排水・廃液の量に対して0.1〜10wt%の範囲に設定したものである。
上記構成によれば、0.1〜10wt%の吸着剤を用いるので時間の経過と共に有害物質濃度の良好な低減を図ることができる。なお吸着剤が0.1wt%未満の場合には有害物質濃度の良好な低減が得られず、逆に吸着剤が10wt%以上の場合には10wt%の場合と比較して大差(有意性)がないため、コスト面を考慮して上記範囲内とする。
この発明の一実施態様においては、上記タンク内における処理時間を60〜120分の範囲に設定したものである。
上記構成によれば、タンク内の処理時間を60〜120分に設定したので、排水・廃液中の有害物質濃度を適切かつ最適に低減させることができる。なお、処理時間が60分未満の場合には充分に低い有害物質濃度を得ることができず、逆に処理時間を120分以上に設定しても有害物質濃度の低減率が飽和するので、処理時間短縮を考慮して上記範囲内とする。
この発明の一実施態様においては、上記吸着剤を備えたタンクはモジュール化され、排水・廃液の有害物質濃度に対応して1つまたは複数のモジュールを用いるものである。
上述の複数のモジュールを用いる場合には、これら複数のモジュールを直列に連結してもよい。
上記構成によれば、1つのモジュールで排水・廃液中に含まれる有害物質の濃度を約1/20に低減させることができるので、排水・廃液の有害物質濃度に応じて1つまたは複数のモジュールを選択して使用することができる。なお、2つのモジュールを直列に連結した場合には有害物質の濃度を約1/400に低減させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記吸着剤を網状体に入れて吸着要素を形成し、複数の吸着要素が、希釈液の通過を許容するカートリッジに挿入されたものである。
上述の網状体はネットに設定してもよい。
上記構成によれば、排水・廃液中に含まれている有害物質と網状体内部の吸着剤との接触面積が大幅に向上し、高効率の吸着除去処理が達成できると共に、カートリッジ構造と成したことで、吸着剤の交換操作も容易となる。
この発明による排水・廃液有害物質除去装置は、排水・廃液のpH値を2〜4に希釈する希釈手段と、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤が充填されたカラムとを備え、希釈液を、上記カラム内の吸着剤を通過させて有害物質を除去すべく構成したものである。
上記構成によれば、排水・廃液(一般にpH=1〜3程度)は上述の希釈手段によりそのpH値が2〜4に希釈され、この希釈液がカラム(いわゆる吸着塔)に充填された上述の吸着剤を通過する時、排水・廃液中に含まれる有害物質は吸着剤を平衡吸着作用によって吸着除去される。
ここで、吸着剤の吸着効率が最大限に発揮できる化学的要素として排水・廃液のpH値を2〜4の範囲に設定したので、吸着効率が最大となる。
この希釈により吸着剤の吸着効率を最大と成した条件下において、希釈液をカラム内の吸着剤を通過させるので、吸着剤の平衡吸着作用にて排水・廃液中に含まれる有害物質を同時または段階的に除去することができる。
なお、このカラムと上述のタンクとを組合せて用いてもよい。例えば、カラムを上記タンクの次段に設けた場合には、タンク内で有害物質濃度を大幅に低減し、タンク通過後の排水・廃液中に残留する有害物質の濃度を微少の濃度まで大幅に低減させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記カラム内における吸着剤の割合を排水・廃液の通過量の0.1〜5wt%の範囲に設定したものである。
上記構成によれば、0.1〜5wt%の吸着剤を用いるので時間の経過と共に有害物質濃度の良好な低減を図ることができる。なお吸着剤が0.1wt%未満の場合には有害物質濃度の良好な低減が得られず、逆に吸着剤が5wt%以上の場合には5wt%の場合と比較して大差(有意性)がないため、コスト面を考慮して上記範囲内とする。
この発明の一実施態様においては、上記排水・廃液のカラム通過時間を30〜60分の範囲に設定したものである。
上記構成によれば、カラム通過時間を30〜60分に設定したので、排水・廃液中の有害物質濃度を適切かつ最適に低減させることができる。なお、処理時間が30分未満の場合には充分に低い有害物質濃度を得ることができず、逆に通過時間を60分以上に設定しても有害物質の吸着率が飽和するので、処理時間短縮を考慮して上記範囲内とする。
この発明の一実施態様においては、上記吸着剤を備えたカラムはモジュール化され、排水・廃液の有害物質濃度に対して1つまたは複数のモジュールを用いるものである。
上述カラムは複数塔、望ましくは3塔を直列に連結して1つのモジュールを構成してもよい。
上記構成によれば、1つのモジュールで排水・廃液中に含まれる有害物質の濃度を約1/n(3塔のカラムを直列に連結した場合には約1/2)に低減させることができるので、排水・廃液の有害物質濃度に応じて1つまたは複数のモジュールを選択して使用することができる。なお、2つのモジュールを直列に連結した場合には有害物質の濃度を約1/nに低減させることができる。
この発明による排水・廃液有害物質除去方法は、排水・廃液のpH値を2〜4に希釈する希釈工程と、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤を設けて、希釈後の液体を、上記吸着剤を通過させて有害物質を除去する除去工程とを備えたものである。
上記構成によれば、排水・廃液(一般にpH=1〜3程度)は上述の希釈工程によりそのpH値が2〜4に希釈され、この希釈液が次の除去工程において活性アルミナおよび二酸化ケイ素(いわゆるシリカ)を主成分とするセラミック系の吸着剤を通過する時、排水・廃液中に含まれる有害物質は吸着剤の平衡吸着作用により吸着除去される。
ここで、吸着剤の吸着効率が最大限に発揮できる化学的要素として排水・廃液のpH値を2〜4の範囲に設定したので、吸着効率が最大となる。
なお、排水・廃液のpH値がこの範囲外の場合には吸着効率は半減する。また、排水・廃液のpH値は1〜3程度であり、このpH値を2〜4に希釈するとよいので、工業用水やアルカリ水溶液またはアルカリ廃液の添加にて簡単に希釈することができる。
この希釈により吸着剤の吸着効率を最大と成した条件下において、希釈液を、吸着剤を通過させるので、吸着剤の有害物質吸着作用(つまり平衡吸着作用)にて排水・廃液中に含まれる有害物質を同時または段階的に除去することができる。
また上述の吸着剤により複数の有害物質を同時に除去することができるので前処理的な複数の反応層設置が不要となり、装置のコンパクト化および装置占有面積の狭小化を図ることができる。
さらに、吸着剤による吸着ろ過方式の除去処理であるから、従来の凝集沈殿方式と異なり、有害物質を凝集沈殿させるための多量の薬剤投入が不要となり、多量の排ケーキのような汚泥発生もない。
しかも、凝集化させる薬剤を用いないことで、化学反応時間が皆無となるため、有害物質除去に要する時間の大幅な短縮を図ることができ、またバッファタンクも不要となる。
この発明によれば、上記活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤による吸着ろ過方式を採用したことで、排水・廃液中の複数の有害物質を同時または段階的に除去することができ、多量の薬剤投入が不要で、かつ排ケーキ(汚泥)の発生もなく、装置の小型化と処理時間の短縮との両立を図ることができ、しかも、排水・廃液のpH値を予め2〜4とすることで、酸排水に対する希釈が容易なうえ、吸着剤の吸着効率を最大限に発揮することができる効果がある。
この発明の実施の形態を以下図面に基づいて詳述する。
図面は排水・廃液有害物質除去方法およびその装置を示すが、まず、図1を参照して排水・廃液有害物質除去装置の構造について説明する。なお、以下の説明においては主として有害物質としてのフッ素を除去処理する場合を例示するが、この実施例の除去方法および装置はフッ素のみならず他の有害物質についても同時または段階的に除去処理することができる。
図1は排水・廃液有害物質除去装置を示し、同図において、希釈手段としての希釈槽10を設け、この希釈槽10には排水・廃液A(以下単に排液と略記する)を供給するライン11(ラインとは流体通路または配管の意)と、希釈用の工業用水Bを供給するライン12とを接続し、上述のライン11には流量調整バルブ13を介設し、ライン12にはバルブ14を介設している。
また希釈槽10内にはモータ15で駆動される攪拌羽根16を設け、攪拌により希釈の均一化を図るように構成している。つまり、工場等から連続的に排出される有害物質を含む排液のpH値は一般に1〜3程度であって、このpH値が2〜4になるように希釈槽10内にて希釈する時、上述の攪拌羽根16にて排液Aと希釈用の液体とを均一に攪拌するものである。
排液Aの希釈には工業用水Bを用いてもよく、後述するリターンライン45からのリターン水を用いてもよく、あるいはアルカリ性の廃液やアルカリ性の薬剤を用いてもよいが、何れにしても、pH=1〜3からpH=2〜4になるように若干の調整をすることで対応できるため、従来のような凝集剤も不要となり、また多量の薬剤投入も不要となるうえ、排ケーキ等の生成物も発生しない。
さらに上述の希釈槽10にはpH値を監視、測定するための自動pH調整器17と、フッ素イオン濃度を計測する自動フッ素計測器18とを設け、自動pH調整器17の出力でバルブ14またはバルブ46を開閉または開度コントロール
するように構成している。
上述の希釈槽10の下部と、該希釈槽10の次段に設けたタンク21の上部とを連通接続するライン19を設け、このライン19には流量調整バルブ20を介設している。
上述のタンク21の上下方向の中間部にはカートリッジ22を着脱可能に配設している。このカートリッジ22は図2に拡大図で示すように上下両面に複数の開口部23、24を有する多孔箱形構造に形成され、カートリッジ22内には多数の吸着要素25が充填されている。
ここで、上述の吸着要素25は図3に示す如く網状体としてのネット26内に活性アルミナ(Al)およびSiO(二酸化ケイ素いわゆるシリカ)を主成分とするセラミック系の吸着剤27を充填したものである。
この吸着剤27はその平衡吸着作用により排液A中のフッ素イオンを吸着除去することができる。
また上述のタンク21内におけるカートリッジ22を隔てた上流側と下流側との双方には、モータ28、29で駆動される攪拌羽根30,31(攪拌手段)を設けている。
これらの攪拌羽根30,31により排液Aを積極的に吸着剤27と接触させて該排液A中の有害物質の濃度低減を図って、吸着効率の向上を図ると共に、排液Aの全体が均一に吸着剤27と接触するように成したものである。
また上述の各要素21〜31をモジュール化することにより攪拌モジュールM1を構成している。
ところで、上述のタンク21の次段には複数、例えば3個のカラム32,33,34を直列に連結してモジュール化して成るカラムモジュールM2を設けている。
上流側のカラム32の上部と中間のカラム33の上部とを連通路35で接続し、中間のカラム33の下部と下流側のカラム34の下部とを連通路36で接続する一方、タンク21の下部と上流側のカラム32との間は流量調整バルブ37を有するインレットライン38で接続し、下流側のカラム34の上部とさらに後段の最終調整槽40との間はアウトレットライン39で接続している。
上述の各カラム32,33,34内には図3で示した吸着要素25が多数充填されている。そして、攪拌モジュールM1で処理された後の排液Aをインレットライン38を介してカラムモジュールM2に供給し、各カラム32,33,34内を図1の矢印方向に強制的に通過させることで、排液A中の有害物質を吸着要素25の活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤27により吸着除去するものである。
上述のカラムモジュールM2の次段に設けられた最終調整槽40には、自動フッ素計測器41を設け、この自動フッ素計測器41で該最終調整槽40内の水質検査を実行し、所定のフッ素イオン濃度まで減衰除去されていた場合には、中和処理部42を介して河川等に放流する。
上述の最終調整槽40の下部とインレットライン38のバルブ37下流側との間には、リターンバルブ43を有するライン44が接続されていて、所定のフッ素イオン濃度まで減衰除去されていない時に該最終調整槽40内の処理水CをカラムモジュールM2に再循環させて、所定のフッ素イオン濃度になるまで処理すべく構成している。
上述のライン44に分岐接続させたリターンライン45にはバルブ46を介設する一方、このリターンライン45を前述の希釈槽10の上部に連通接続している。
そして、フッ素イオンをほとんど含んでいない処理水Cを希釈槽10のpH希釈用のリターン水として有効利用すべく構成したものである。
つまり、希釈槽10においてpH1〜3の排液AをpH2〜4に希釈する場合には、各要素12,14による工業用水Bと、各要素45,46による処理水Cとを択一的に用いることができる。
次に排水・廃液有害物質除去方法について説明する。
排液AのpH値は一般に1〜3であるから、希釈槽10において工業用水Bまたは処理水Cを用いて、そのpH値を2〜4に希釈する(希釈工程)。
このpH値が2〜4に希釈された排液Aつまり希釈液を次段のタンク21に供給し、攪拌手段としての攪拌羽根30,31で排液Aを攪拌しながらカートリッジ22を隔てた上流側から下流側に排液Aを流下させる時、希釈液をカートリッジ22内の吸着剤27を通過させて有害物質を平衡吸着作用にて吸着除去する。
この場合、カートリッジ22内の吸着剤27の量は0.1〜10wt%の範囲に設定すると共に、タンク21内における処理時間を60〜120分の範囲に設定すると、有害物質としてのフッ素濃度が約1/20になるまで除去することができる(1次除去工程)。
この1次除去工程終了後の排液AをカラムモジュールM2に供給し、吸着剤27が充填された各カラム32,33,34を強制流通させ、1次除去工程五の排液A中に残留する有害物質を吸着剤27の平衡吸着作用により再度吸着除去して2次除去を行なう。
この場合、カラム32,33,34内における吸着剤の割合を排液Aの通過量の0.1〜5wt%の範囲に設定すると共に、排液AがカラムモジュールM2を通過する通過時間を30〜60分の範囲に設定すると、有害物質としてのフッ素濃度をさらに約1/2になるまで除去することができる(2次除去工程)。
2次除去工程後の排液は処理水Cとして最終調整槽40に供給され、この処理水Cのフッ素イオン濃度が所定値以下まで減衰除去されている場合には中和処理部42を介して河川等に放流され、所定値以下まで減衰除去されていない場合にはライン44を介してカラムモジュールM2に再循環させ、所定のフッ素イオン濃度になるまで再処理される。
要するに、排液Aの有害物質を除去し、その規制値をクリアした後に放流するまでに必要な時間は全体で1.5〜3時間程度であって、処理時間の大幅な短縮を図ることができる。
図4は希釈槽10で排液AをpH=1〜3から何れのpH値まで希釈した場合に最大の吸着効率を確保することができるかという点について実験を行った結果を示し、pH=2.5〜3.5に希釈した場合には他の場合(pH=1〜1.5,pH=6.0〜7.0,pH=9.0〜10.0参照)に比較して吸着率約67%の最も高い吸着率を確保することができた。なお、設計マージンを考慮するとpH=2〜4の範囲に設定することが望ましい。
図5はタンク21で用いる物理的条件としての攪拌処理、振とう処理(振とうとはふりまぜの意)、バブリング処理、攪拌処理&バブリング処理の差異によるフッ素濃度の経時変化について実験を行った結果を示し、攪拌処理または攪拌処理とバブリング処理とを同時に行った場合、フッ素濃度の著しい低減を確保することができたが、経済性、メンテナンス性、を考慮すると攪拌処理が最も望ましい。
図6はタンク21で用いる吸着剤27の割合によるフッ素濃度の経時変化について実験を行った結果を示し、排液Aの量に対する吸着剤27の割合が0.1〜10wt%の場合には吸着剤量に対応して濃度低減効果つまりフッ素除去効果が著しいが、10wt%以上に吸着剤27の量を増量しても、10wt%の場合と比較して大差(有意差)が認められず、0.1〜10wt%の範囲で充分にフッ素濃度を低減させることができるフッ素除去効果が確認でき、経済性、効率性を考慮すると0.1〜10wt%の範囲が望ましい。
図7は吸着剤27を設けたタンク21内において攪拌手段(攪拌羽根30,31参照)による攪拌を行う場合の攪拌処理時間とフッ素濃度の変化との実験を行った結果を示し、タンク21内における攪拌処理時間が60〜120分の範囲の時に、フッ素濃度が最も低減する効果がある。なお、攪拌処理時間を120分以上に拡大してもフッ素濃度の除去効果は飽和する。
図7から明らかなようにフッ素を約110ppm以上含有する排液Aのフッ素濃度は120分以内で水質汚濁防止法で定められている排水基準値の8ppm以下を充分に満足する約6ppm以下まで濃度低減を図ることができ、吸着剤27と攪拌手段(攪拌羽根30,31参照)とにより約1/20以下のフッ素除去効果を確保することが可能となった。
図8はカラムモジュールM2のカラム32,33,34の吸着剤27の割合と、フッ素イオン濃度の経時変化について実験を行なった結果を示し、排液Aの量に対する吸着剤27の割合が0.1〜5wt%の場合には吸着剤量に対応して濃度低減効果つまりフッ素除去効果が著しいが、5wt%以上に吸着剤27の量を増量しても、5wt%の場合と比較して大差(有意差)が認められず、0.1〜5wt%の範囲で充分にフッ素イオン濃度を低減させることができるフッ素除去効果が確認でき、経済性、効率性を考慮すると0.1〜5wt%の範囲が望ましい。
図9はカラム32,33,34の吸着剤27の割合と、吸着率との関係について実験を行った結果を示し、吸着剤27の割合を5wt%から10wt%、20wt%に増量しても吸着率は飽和するため、最適な吸着剤27の割合は経済性、効率性を考慮すると0.1〜5wt%の範囲となり、この範囲で最適な吸着効果を確保することができた。なお図9において白抜きの棒グラフは排液Aのカラム通過時間を30分に設定した場合の特性であり、ハッチングを施して示す棒グラフは排液Aのカラム通過時間を60分に設定した場合の特性である。
図10は吸着剤27の割合を0.1〜5wt%に設定した条件下で、カラム通過時間と吸着率の変化との関係について実験を行なった結果を示し、図10から明らかなように排液Aのカラム通過時間が約30〜60分の範囲でフッ素イオンを最大限に吸着除去することができる。なお、カラム通過時間を60分以上に拡大してもフッ素イオンの吸着率効果は飽和する。
図11はカラムの連結数(段数)による吸着率の変化について実験を行った結果を示し、カラム段数1はカラム32のみを用いる場合、カラム段数2はカラム32,33を用いる場合、カラム段数3はカラム32,33,34を用いる場合、カラム段数4はカラム32,33,34に加えてさらに1つのカラムを用いる場合を示している。
図1で示すように3段以上のカラム32,33,34で1つのカラムモジュールM2を構成すると、このカラムモジュールM2を排液Aが通過することで、排液A中に含まれているフッ素イオンは吸着剤27の平衡吸着作用によって50%以上吸着除去されることになる。ここで、カラム段数1では10%以上の吸着率が確保でき、カラム段数2では40%に近い吸着率が確保でき、カラム段数3では50%以上の吸着率が確保でき、カラム段数4では60%以上の吸着率が確保できるので、カラム段数は「2」以上が望ましく、カラム段数3を含むそれ以上がさらに望ましい。
すなわち、一次処理としての攪拌モジュールM1(一次処理モジュール)と二次処理としてのカラム段数3のカラムモジュールM2(二次処理モジュール)とを組合わせることで、6ppm(図7の接触時間120分のポイント参照)まで減衰したフッ素イオン濃度は、このカラムモジュールM2の作用により、約1/2以下の3ppm以下まで減衰することができる。
したがって上述の各モジュールM1,M2を組合わせることにより、約110ppmのフッ素イオン濃度(図5参照)を約1/40以下の約3ppm以下までに大幅に減衰することができる。
図12は排液A中に含まれるマイナスイオンを帯びた有害物質としてのAs(砒素)およびFe(溶解性鉄)を同時に吸着処理できることを示した特性図であって、上述の吸着剤27によりフッ素のみならず砒素、溶解性鉄などの他の有害物質の同時処理が可能となった。
このように図1〜図12で示した実施例の排水・廃液有害物質除去装置は、排液AのpH値を2〜4に希釈する希釈手段(希釈槽10参照)と、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤27が設けられたタンクとを備え、希釈液を、上記吸着剤27を通過させて有害物質(F,As,Fe参照)を除去すべく構成したものである。
この構成によれば、排液A(一般にpH=1〜3程度)は上述の希釈槽10によりそのpH値が2〜4に希釈され、この希釈液がタンク21内に設けられた上述の吸着剤27を通過する時、排液A中に含まれる有害物質は吸着剤27を平衡吸着作用によって吸着除去される。
ここで、吸着剤27の吸着効率が最大限に発揮できる化学的要素として排液AのpH値を2〜4の範囲に設定したので、吸着効率が最大となる。
なお、排液AのpH値がこの範囲外の場合には吸着効率は半減する。また、排液AのpH値は1〜3程度であり、このpH値を2〜4に希釈するとよいので、工業用水Bやアルカリ水溶液またはアルカリ廃液の添加にて簡単に希釈することができる。
この希釈により吸着剤27の吸着効率を最大と成した条件下において、希釈液をタンク21内の吸着剤27を通過させるので、吸着剤27の平衡吸着作用にて排液A中に含まれる有害物質を同時または段階的に除去することができる。
また上述の吸着剤27により複数の有害物質を同時に除去することができるので前処理的な複数の反応層設置が不要となり、装置のコンパクト化および装置占有面積の狭小化を図ることができる。
さらに、吸着剤27による吸着ろ過方式の除去処理であるから、従来の凝集沈殿方式と異なり、有害物質を凝集沈殿させるための多量の薬剤投入が不要となり、多量の排ケーキのような汚泥発生もない。
しかも、凝集化させる薬剤を用いないことで、化学反応時間が皆無となるため、有害物質除去に要する時間の大幅な短縮を図ることができ、またバッファタンクも不要となる。
さらに、上記タンク21には希釈液を攪拌する攪拌手段(攪拌羽根30,31参照)が設けられたものである。
この構成によれば、攪拌により希釈液が吸着剤27と均一に接触し、この結果、排液A中の有害物質の濃度低減を図り、吸着効率の向上を図ることができる。
また、上記タンク21における吸着剤27の割合を排液Aの量に対して0.1〜10wt%の範囲に設定したものである。
この構成によれば、0.1〜10wt%の吸着剤27を用いるので時間の経過と共に有害物質濃度の良好な低減を図ることができる。なお吸着剤27が0.1wt%未満の場合には有害物質濃度の良好な低減が得られず、逆に吸着剤が10wt%以上の場合には10wt%の場合と比較して大差(有意性)がないため、経済性、効率性を考慮して上記範囲内とする。
しかも上記タンク21内における処理時間を60〜120分の範囲に設定したものである。
この構成によれば、タンク21内の処理時間を60〜120分に設定したので、排液A中の有害物質濃度を適切かつ最適に低減させることができる。なお、処理時間が60分未満の場合には充分に低い有害物質濃度を得ることができず、逆に処理時間を120分以上に設定しても有害物質濃度の低減率が飽和するので、処理時間の短縮を考慮して上記範囲内とする。
また、上記吸着剤27を網状体(ネット26参照)に入れて吸着要素25を形成し、複数の吸着要素25が、希釈液の通過を許容するカートリッジ22に挿入されたものである。
この構成によれば、排液A中に含まれている有害物質と網状体(ネット26参照)内部の吸着剤27との接触面積が大幅に向上し、高効率の吸着除去処理が達成できると共に、カートリッジ構造と成したことで、吸着剤27の交換操作も容易となる。
加えて、上記実施例の排水・廃液有害物質除去装置は、また、排液AのpH値を2〜4に希釈する希釈手段(希釈槽10参照)と、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤27が充填されたカラム32,33,34とを備え、希釈液を、上記カラム32,33,34内の吸着剤27を通過させて有害物質を除去すべく構成したものである。
この構成によれば、排液A(一般にpH=1〜3程度)は上述の希釈槽10によりそのpH値が2〜4に希釈され、この希釈液がカラム32,33,34(いわゆる吸着塔)に充填された上述の吸着剤27を通過する時、排液A中に含まれる有害物質は吸着剤27を平衡吸着作用によって吸着除去される。
ここで、吸着剤27の吸着効率が最大限に発揮できる化学的要素として排液AのpH値を2〜4の範囲に設定したので、吸着効率が最大となる。
この希釈により吸着剤27の吸着効率を最大と成した条件下において、希釈液をカラム32,33,34内の吸着剤27を通過させるので、吸着剤27の平衡吸着作用にて排液A中に含まれる有害物質を同時または段階的に除去することができる。
なお、このカラム32,33,34と上述のタンク21とを図1で示したように組合せて用いてもよい。例えば、カラム32,33,34を上記タンク21の次段に設けた場合には、タンク21内で有害物質濃度を大幅に低減し、タンク21通過後の排液A中に残留する有害物質の濃度を微少濃度まで大幅に低減させることができる。
上記カラム32,33,34内における吸着剤27の割合を排液Aの通過量の0.1〜5wt%の範囲に設定したものである。
この構成によれば、0.1〜5wt%の吸着剤27を用いるので時間の経過と共に有害物質濃度の良好な低減を図ることができる。なお吸着剤27が0.1wt%未満の場合には有害物質濃度の良好な低減が得られず、逆に吸着剤27が5wt%以上の場合には5wt%の場合と比較して大差(有意性)がないため、経済性、効率性を考慮して上記範囲内とする。
さらに、上記排液Aのカラム通過時間を30〜60分の範囲に設定したものである。
この構成によれば、カラム通過時間を30〜60分に設定したので、排液A中の有害物質濃度を適切かつ最適に低減させることができる。なお、処理時間が30分未満の場合には充分に低い有害物質濃度を得ることができず、逆に処理時間を60分以上に設定しても有害物質の吸着率が飽和するので、処理時間の短縮を考慮して上記範囲内とする。
一方、上記実施例の排水・廃液有害物質除去方法は、排液AのpH値を2〜4に希釈する希釈工程と、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤27を設けて、希釈後の液体を、上記吸着剤27を通過させて有害物質を除去する除去工程とを備えたものである。
この構成によれば、排液A(一般にpH=1〜3程度)は上述の希釈工程によりそのpH値が2〜4に希釈され、この希釈液が次の除去工程において活性アルミナおよび二酸化ケイ素(いわゆるシリカ)を主成分とするセラミック系の吸着剤27を通過する時、排液A中に含まれる有害物質は吸着剤27の平衡吸着作用により吸着除去される。
ここで、吸着剤27の吸着効率が最大限に発揮できる化学的要素として排液AのpH値を2〜4の範囲に設定したので、吸着効率が最大となる。
なお、排液AのpH値がこの範囲外の場合には吸着効率は半減する。また、排液AのpH値は1〜3程度であり、このpH値を2〜4に希釈するとよいので、工業用水Bやアルカリ水溶液またはアルカリ廃液の添加にて簡単に希釈することができる。
この希釈により吸着剤27の吸着効率を最大と成した条件下において、希釈液を、吸着剤27を通過させるので、吸着剤27の有害物質吸着作用(つまり平衡吸着作用)にて排液A中に含まれる有害物質を同時または段階的に除去することができる。
また上述の吸着剤27により複数の有害物質を同時に除去することができるので前処理的な複数の反応層設置が不要となり、装置のコンパクト化および装置占有面積の狭小化を図ることができる。
さらに、吸着剤27による吸着ろ過方式の除去処理であるから、従来の凝集沈殿方式と異なり、有害物質を凝集沈殿させための多量の薬剤投入が不要となり、多量の排ケーキのような汚泥発生もない。
しかも、凝集化させる薬剤を用いないことで、化学反応時間が皆無となるため、有害物質除去に要する時間の大幅な短縮を図ることができ、またバッファタンクも不要となる。
図13は排水・廃液有害物質除去装置の他の実施例を示し、図13で示すこの実施例においては図1で示した攪拌モジュールM1を複数直列に連結すると共に、図1で示したカラムモジュールM2を複数直列に連結したものである。
この場合、前段の攪拌モジュールM1の下部と次段または後段の攪拌モジュールM1の上部とは、ライン47で連通接続する。同様に、前段のカラムモジュールM2のカラム34の上部と次段または後段のカラムモジュールM2のカラム32の下部とは、ライン48で連通接続する。
このように構成すると攪拌モジュールM1,M1により有害物質の濃度を約1/20×約1/20の合計約1/400以下に低減させることができ、カラムモジュールM2,M2では有害物質の濃度をさらに約1/2×約1/2の合計約1/4以下に低減させることができ、総合的に有害物質の濃度を約1/1600以下まで大幅に減衰処理することができる。
図13では一例として2つの攪拌モジュールM1,M1と2つのカラムモジュールM2,M2とを組合わせた場合を例示したが、これら各モジュールM1,M2の組合わせ数は(一方のモジュールが零の場合を含む)は任意に設定することができる。
例えば攪拌モジュールM1を合計3台連結すると約(1/20)=1/8000以下まで有害物質濃度を大幅に低減できるので、80,000ppmの有害物質濃度の排液Aであっても、約10ppm以下までに大幅に低減させることができる。この3台連結のモジュールM1,M1,M1と併せてカラムモジュールM2も3台連結すると、さらに約(1/2)=1/8以下まで有害物質濃度を低下させることができるので、80,000ppmの有害物質濃度は約1.25ppm以下までに大幅に濃度低減することができる。
要するに排液A中に含有される有害物質の濃度に対応して1台または複数台の攪拌モジュールM1、または/および、1台または複数台のカラムモジュールM2を任意数使用するとよい。
このように図13で示す実施例においては、上記吸着剤27を備えたタンク21はモジュール化され、排液Aの有害物質濃度に対応して1つまたは複数のモジュールM1を用いるものである。
この構成によれば、1つのモジュールM1で排液A中に含まれる有害物質の濃度を約1/20に低減させることができるので、排液Aの有害物質濃度に応じて1つまたは複数のモジュールM1を選択して使用することができる。なお、2つのモジュールM1,M1を直列に連結した場合には有害物質の濃度を約1/400に低減させることができる。
また、上記吸着剤27を備えたカラム32,33,34はモジュール化され、排液Aの有害物質濃度に対応して1つまたは複数のモジュールM2を用いるものである。
この構成によれば、1つのモジュールM2で排液A中に含まれる有害物質の濃度を約1/n(3塔のカラム32,33,34を直列に連結した場合には約1/2)に低減させることができるので、排液の有害物質濃度に応じて1つまたは複数のモジュールM2を選択して使用することができる。なお、2つのモジュールM2,M2を直列に連結した場合には有害物質の濃度を約1/nに低減させることができる。
図13で示す実施例においても、その他の点については先の実施例とほぼ同様の作用、効果を奏するので、図13において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の希釈手段は、実施例の希釈槽10に対応し、以下同様に、
排水・廃液は、排液Aに対応し、
攪拌手段は攪拌羽根30,31に対応し、
網状体は、ネット26に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、希釈槽10と攪拌モジュールM1とのみを用いてもよく、希釈槽10とカラムモジュールM2とのみを用いてもよく、希釈槽10に対して各モジュールM1,M2を組合わせて用いてもよく、この場合、モジュールM1,M2は何れも上流側に配設してもよい。さらに攪拌モジュールM1およびカラムモジュールM2は直列連結のみならず複数の同一モジュール同士を並列に連結して配置してもよい。
本発明にかかる排水・廃液有害物質除去方法およびその装置は、活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系吸着剤の平衡吸着作用により有害物質を除去するので、工場排水処理等に有効であり、また廃酸等の廃液処理用途にも応用できる。
本発明の排水・廃液有害物質除去方法およびその装置を示す系統図。 カートリッジの断面図。 吸着要素の説明図。 pHによる吸着率の変化を示す特性図。 物理的条件の差異によるフッ素濃度の経時変化を示す特性図。 吸着剤量の変化によるフッ素濃度の経時変化を示す特性図。 攪拌時間によるフッ素濃度の変化を示す特性図。 カラム処理における吸着剤量変化によるフッ素イオン濃度の経時変化を示す特性図。 カラム処理における吸着剤量変化による吸着率を示す特性図。 カラム通過時間に対する吸着率の変化を示す特性図。 カラム段数に対する吸着率の変化を示す特性図。 他の有害物質の同時除去特性を示す特性図。 本発明の排水・廃液有害物質除去方法およびその装置の他の実施例を示す系統図。 従来の排水・廃液有害物質除去方法およびその装置を示す系統図。
符号の説明
A…排液(排水・廃液)
M1…攪拌モジュール
M2…カラムモジュール
10…希釈槽(希釈手段)
21…タンク
22…カートリッジ
25…吸着要素
26…ネット(網状体)
27…吸着剤
30,31…攪拌羽根(攪拌手段)
32,33,34…カラム

Claims (11)

  1. 排水・廃液のpH値を2〜4に希釈する希釈手段と、
    活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤が設けられたタンクとを備え、
    希釈液を、上記吸着剤を通過させて有害物質を除去すべく構成した
    排水・廃液有害物質除去装置。
  2. 上記タンクには希釈液を攪拌する攪拌手段が設けられた
    請求項1記載の排水・廃液有害物質除去装置。
  3. 上記吸着剤の割合を排水・廃液の量に対して0.1〜10wt%の範囲に設定した
    請求項1または2記載の排水・廃液有害物質除去装置。
  4. 上記タンク内における処理時間を60〜120分の範囲に設定した
    請求項1〜3何れか1に記載の排水・廃液有害物質除去装置。
  5. 上記吸着剤を備えたタンクはモジュール化され、排水・廃液の有害物質濃度に対応して1つまたは複数のモジュールを用いる
    請求項1〜4何れか1に記載の排水・廃液有害物質除去装置。
  6. 上記吸着剤を網状体に入れて吸着要素を形成し、
    複数の吸着要素が、希釈液の通過を許容するカートリッジに挿入された
    請求項1〜5何れか1に記載の排水・廃液有害物質除去装置。
  7. 排水・廃液のpH値を2〜4に希釈する希釈手段と、
    活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤が充填されたカラムとを備え、
    希釈液を、上記カラム内の吸着剤を通過させて有害物質を除去すべく構成した
    排水・廃液有害物質除去装置。
  8. 上記カラム内における吸着剤の割合を排水・廃液の通過量の0.1〜5wt%の範囲に設定した
    請求項7記載の排水・廃液有害物質除去装置。
  9. 上記排水・廃液のカラム通過時間を30〜60分の範囲に設定した
    請求項7または8記載の排水・廃液有害物質除去装置。
  10. 上記吸着剤を備えたカラムはモジュール化され、排水・廃液の有害物質濃度に対して1つまたは複数のモジュールを用いる
    請求項7〜9何れか1に記載の排水・廃液有害物質除去装置。
  11. 排水・廃液のpH値を2〜4に希釈する希釈工程と、
    活性アルミナおよび二酸化ケイ素を主成分とするセラミック系の吸着剤を設けて、
    希釈後の液体を、上記吸着剤を通過させて有害物質を除去する除去工程とを備えた排水・廃液有害物質除去方法。
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