JP2004312959A - ケーブル分岐用管継手及び通信ケーブルの分配敷設方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】建物配管の内部に通された通信ケーブルを建物内に分配施工する際に通信ケーブルが急角度で曲がらないようにする。
【解決手段】建物配管101の外周面に沿う形状で前記分岐用開口部または分岐用切断部を覆う大きさの継手本体2と、この継手本体2に設けられた分岐口2aと、その分岐口2aに連通した状態で継手本体2に一体的に設けられた分岐管部3を備えたケーブル分岐用管継手1において、継手本体2を建物配管101に配置した状態で、その建物配管101の中心と分岐口2aの中心を通る直線Lと、分岐管部3の管軸Cとがなす角度が90°以上で160°以下になるように、分岐管部3を設ける。
【選択図】図2
【解決手段】建物配管101の外周面に沿う形状で前記分岐用開口部または分岐用切断部を覆う大きさの継手本体2と、この継手本体2に設けられた分岐口2aと、その分岐口2aに連通した状態で継手本体2に一体的に設けられた分岐管部3を備えたケーブル分岐用管継手1において、継手本体2を建物配管101に配置した状態で、その建物配管101の中心と分岐口2aの中心を通る直線Lと、分岐管部3の管軸Cとがなす角度が90°以上で160°以下になるように、分岐管部3を設ける。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブル分岐用管継手に関し、さらに詳しくは、建物配管の内部に通された通信ケーブルを建物内に分配施工する際に用いられるケーブル分岐用管継手及びそれを用いた通信ケーブルの分配敷設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の情報通信手段としては、電話線や無線による通信が主流であるが、近年では、光ファイバーケーブルを用いた情報通信など、ギガビット(Gbps)レベルの高速通信まで対応できる情報通信技術が次世代の有力な通信手段とされている。
【0003】
このような高速の光ファイバーケーブルによる情報通信によれば、例えば、動画の双方向通信や遠距離間のリアルタイムコミュニケーションなどが可能となるが、これを実現するには、幹線から建物に引き込まれた光ファイバーケーブルを建物内の各部屋などに分配施工するFTTH(Fiber To The Home)が必要である。
【0004】
光ファイバーケーブルを建物内の各部屋まで分配施工する方法として、管路を構成する管体内に支持された鞘管(ケーブル用鞘管)に挿通される光ファイバーケーブルを分岐する方法が提案されている。
【0005】
例えば、管路を構成する管体に、分岐部と蓋付桝からなる桝付分岐管を設けるとともに、前記蓋付桝を通る鞘管に鞘管用分岐部を介装し、前記桝付分岐管の分岐部に、公共桝に繋がる枝管を接続する。次に、蓋付桝内の鞘管用分岐部に接続した可撓性鞘管を、蓋付桝の側面を貫通させて外部へ導出した後、公共桝まで枝管の外周に沿わして配管し、可撓性鞘管の公共桝側の引き込み口から、蓋付桝内の鞘管用分岐部を経由して管体の下流に設けられたマンホールまでメッセンジャーワイヤを送り込む。そして、マンホール内に到達したメッセンジャーワイヤの先端に光ファイバーケーブルを連結し、このメッセンジャーワイヤを引き込み口から引き戻すことで、光ファイバーケーブルをマンホールから引き込み口まで引き込む方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、このような分配敷設方法は、2階建て以上の住宅やオフィス、もしくは住宅やオフィスが集合する高層建物などの建物内に通信ケーブルを分配施工してFTTHを構築する場合に適用することができない。また、2階建て以上の住宅やオフィスなどにおいて通信ケーブル等を分配施工するための分岐用管継手に関する提案はなされていない。
【0007】
また、集合住宅やオフィスなどの建物内に通信ケーブルを分配施工する場合、現状では、一般の電話線に代表される既設の建物配管を通して各戸や各オフィスに分配施工することが試みられているが、通信ケーブルにダメージを与えずにスムースに引き出すことが可能な引き出し方法がないのが現状で、このため、引き込みの際に通信ケーブルが途中で詰まることがある。特に、通信ケーブルが光ファイバーケーブルの場合には、急角度で曲げると光の反射角に乱れが生じて、伝送損失が急激に大きくなるという問題がある。さらに、無理に引き込もうとすると、ケーブル自体が断線してしまうという問題もある。
【0008】
なお、通信ケーブルを建物内の各部屋まで分配敷設するにあたり、建物配管として雨水などを排水する排水管を利用する場合は、配管が比較的直線状で曲がり部が少ない点で好適であるが、この場合、排水管の排水機能をできるだけ妨げないこと、及び、通信ケーブル引き出し部分から雨水などが漏水することを防止できることが要求される。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−95121号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、建物配管の内部に通された通信ケーブルを建物内に分配施工するにあたり、通信ケーブルが急角度で曲がることなく、さらに、建物配管として排水管を利用した場合において、排水機能を損なうことが少なくて引き出し部分からの漏水を防止することが可能であり、特に、光ファイバーケーブルの分配施工に適したケーブル分岐用管継手の提供と、そのようなケーブル分岐管用継手を用いた通信ケーブルの分配敷設方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のケーブル分岐用管継手は、建物配管の内部に通された通信ケーブルまたは通信ケーブルを通す通信ケーブル用鞘管を建物内に分配施工する際に、建物配管の分岐用開口部または分岐用切断部に取り付けるケーブル分岐用管継手であって、建物配管の外周面に沿う形状で前記分岐用開口部または分岐用切断部を覆う大きさの継手本体と、この継手本体に設けられた分岐口と、その分岐口に連通した状態で前記継手本体に一体的に設けられた分岐管部を備え、前記継手本体を建物配管に配置した状態で、その建物配管の中心と前記分岐口の中心を通る直線と、前記分岐管部の管軸とがなす角度が90°以上で160°以下になるように前記分岐管部が設けられていることを特徴づけられる。
【0012】
このような本発明のケーブル分岐用管継手を分配施工に用いると、建物配管内の一部(管内部の片側)に集められた通信ケーブル用鞘管(または通信ケーブル)が建物配管の中央部を横切ることなく、通信ケーブル用鞘管(または通信ケーブル)をケーブル分岐用管継手から外部に取り出すことができる。これにより、例えば、建物配管が排水管である場合、通信ケーブル用鞘管が排水の妨げにならずに済む。
【0013】
本発明のケーブル分岐用管継手において、通信ケーブル用鞘管(または通信ケーブル)を通した際に、その通信ケーブル用鞘管(または通信ケーブル)の貫通部を防水するための封止部材を備えていることが好ましい。このような封止部材を設けておくと、ケーブルの引き出し部分から雨水などが漏水することを防止できる。
【0014】
ここで、上記した特徴を有するケーブル分岐用管継手を用いて通信ケーブルを分配施工するにあたり、前記分岐管部に通す鞘管として、内径が通信ケーブルの外径の1.05〜3倍である通信ケーブル用鞘管を用いることが好ましい。このような通信ケーブル用鞘管を用いると、通信ケーブルを通す際に、通信ケーブルに対して断線などのダメージを与えにくくなる。さらに、建物配管に対しても影響を与えることがなく、排水性などを確保することができる。
【0015】
また、上記した特徴を有するケーブル分岐用管継手を用いて通信ケーブルを分配施工するにあたり、前記分岐管部に通す鞘管として、曲げ状態の曲率半径が15mmとなる場合でも座屈しない弾性を有する通信ケーブル用鞘管を用いることが好ましい。このような通信ケーブル用鞘管を用いると、通信ケーブル敷設時における通信ケーブルの許容曲率半径を満足することができる。さらに、通信ケーブル用鞘管が、ケーブル分岐用管継手の分岐管部の封止部材にてある程度固定されても、鞘管自体の弾性により通信ケーブル用鞘管を建物配管の内壁に沿って固定配置することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態の斜視図である。図2は本発明の実施形態の水平断面図である。
【0018】
この実施形態のケーブル分岐用管継手1は、通信ケーブル103を収容した通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)が通された建物配管(例えば排水管)101に取り付けられる合成樹脂製(例えばポリ塩化ビニル樹脂製)の継手であって、継手本体2と分岐管部3によって構成されている。
【0019】
継手本体2は、建物配管101の分岐管路を設ける部分の外周面に沿う形状に成形されたサドル状(鞍状)の部材で、1つの分岐口2aが設けられている。継手本体2の外周面には、バンド配置用の2条の凹部(帯状の溝)2bが円周方向に沿って形成されている。
【0020】
分岐管部3は、分岐口2aに連通した状態で継手本体2に一体的に設けられている。分岐管部3は、継手本体2を建物配管101に取り付けた状態で、その建物配管101の中心と分岐口2aの中心(継手本体2の外周面側の中心)を通る直線Lに対する分岐管部3の管軸Cの角度αが90°以上で160°以下の範囲となるように設けられている。この実施形態では、角度αを例えば140°としている。分岐管部3の先端部内面には雌ねじ3aが加工されている。
【0021】
次に、以上の構造のケーブル分岐用管継手1に電線管等の分岐管を接続する際に用いる接続具について図3を参照しながら説明する。
【0022】
図3の接続具5は、挿入部材6及び締結部材7によって構成されており、その挿入部材6内にゴムパッキン4が挿入配置される。
【0023】
挿入部材6は略円筒形状の部材であり、図4に示すように、挿入方向の先端部に通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)を挿通するための貫通孔6bが設けられている。また、挿入部材6の軸方向の中間位置にはフランジ61が一体形成されている。挿入部材6の外周面でフランジ61の前方側には、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3の内面の雌ねじ3aに噛み合う雄ねじ6aが加工されている。なお、フランジ61の片面にはリング状の止水ゴム10(例えばCR、EPDM製)が配置される。
【0024】
締結部材7は、電線管等の分岐管104と挿入部材6とを連結するための部材であって、図5に示すように、円筒体を2つ割りにした形状の一対の締結部材本体71,71と、その各締結部材本体71の合わせ部に一体形成されたフランジ72,72とからなり、2つ割りの締結部材本体71,71を合わせた状態で、フランジ72,72をボルト・ナット73にて締結することにより、これら一対の締結部材本体71,71を相互に連結できる構造となっている。
【0025】
ゴムパッキン4は、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3に挿通する通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)の貫通部分(分岐管部3の貫通部)の生じる隙間を封止する封止部材である。ゴムパッキン4は、図6(A)に示すように、リング状に成形されており、中央に通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)を挿通するための貫通孔4aが設けられている。
【0026】
ゴムパッキン4の外径は挿入部材6の内径よりも所定量だけ大きい寸法に加工されている。また、貫通孔4aの内径が、分岐を行う通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)の外径よりも所定量だけ小さい寸法に加工されている。従って、ゴムパッキン4の貫通孔4aに通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)を通した状態で、ゴムパッキン4を挿入部材6内に押し込むことにより、挿入部材6つまり分岐管部3において防水を確保することができる。ゴムパッキン4の材質としては、例えばCR、EPDMを挙げることができる。
【0027】
そして、以上の構造の接続具5を用いることにより、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3に電線管などの分岐管104を接続することができる。その接続の詳細は後述する。
【0028】
ここで、ケーブル分岐用管継手1には、付属品として、継手本体2の内面と建物配管101の外周面との間に生じる隙間を封止(防水)する環状ゴム8(例えばCR、EPDM製)、及び、継手本体2を建物配管101に固定するためのバンド9(例えばステンレス製)などを備えている。
【0029】
なお、以上の実施形態では、ゴムパッキン4の貫通孔4aの数を1つとしているが、建物配管101が複数住宅にまたがる場合、例えば図5(B)に示すように、2つの貫通孔14aもしくは3つ以上の貫通孔をゴムパッキンに設けていてもよい。
【0030】
また、通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)の貫通部分の封止部材及び継手本体2と建物配管101との間の封止部材としては、前記したゴムパッキン及び封止用の環状ゴムに限定されることなく、例えば、シリコン樹脂などのシール材、粘着剤や接着剤等を用いてもよい。
【0031】
また、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3に分岐管を接続具5にて接続する構造としているが、分岐管部3への分岐管の接続方法は、特に限定されず、例えば、分岐管部の先端部に受口を設け、その受口に分岐管の先端部を挿し込んで接着・ねじ止め等により固定するという方法であってもよい。
【0032】
さらに、本発明において、ケーブル分岐用管継手の形態は任意であり、図1及び図2に示した形態のほか、例えば、図11に示すように、円筒体を2つ割りにした形状の一対の継手本体12,12を有するケーブル分岐用管継手11であってもよい。この図11に示すケーブル分岐用管継手11は、建物配管101への取り付け位置の調整、及び、2つ割り構造の継手本体12,12同士の締付調整が可能であるという利点がある。また、図11に示すケーブル分岐用管継手11は、建物配管の分岐用切断部にも用いることができる。
【0033】
次に、通信ケーブル用鞘管及び通信ケーブルについて説明する。
【0034】
−通信ケーブル用鞘管−
通信ケーブル103を通す通信ケーブル用鞘管102は、内径が通信ケーブル103の外径の1.05〜3倍であることが好ましい。通信ケーブル用鞘管102の内径がケーブル外径の1.05倍未満であると、通信ケーブル103を通す際に、断線などのダメージを通信ケーブル103に対して与えやすくなる。また通信ケーブル用鞘管102の内径がケーブル外径の3倍を超えると、建物配管101内に占める通信ケーブル用鞘管102の割合が大きくなってしまい、建物配管101の管性能(例えば排水性)に影響が及ぶ。
【0035】
また、通信ケーブル用鞘管102は、曲げ状態での曲率半径R(図9参照)が15mmとなる場合でも、座屈しない弾性を有することが好ましい。このような弾性を有すると、通信ケーブル敷設時における通信ケーブルの許容曲率半径を満足することができる。さらに、通信ケーブル用鞘管102が、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3の封止部材にてある程度固定されても、鞘管自体の弾性により通信ケーブル用鞘管102を建物配管101の内壁に沿って固定配置することが可能となる。
【0036】
−通信ケーブル−
本発明に用いる通信ケーブル103は、特に限定されないが、例えば光ファイバーケーブルなどが好適である。光ファイバーケーブルの場合、通常、2芯ケーブルや多芯ケーブルが用いられており、これらのうち、個別の住宅(各戸)ごとに分配敷設する場合は2芯ケーブルを用いることが有利である。また、複数の住宅戸数分をまとめて分配敷設する場合は、樋または排水管などの建物配管101内部の占有面積の点を考慮すると多芯ケーブルを用いることが有利であることから、施工場所の状況に応じて最適な通信ケーブルを適宜選定すればよい。
【0037】
上記光ファイバーケーブルとしては、例えば、石英系光ファイバーやプラスチック光ファイバー(POF)などを挙げることができる。これらのうち、分岐部での曲げ性の点でプラスチック光ファイバーを用いることが好ましい。
【0038】
プラスチック光ファイバーとしては、例えば、GI型(屈折率分布型)及び多層型の断面構造を有するものが挙げられる。また、光ファイバーのコア及びクラッドの素材としてはフッ素系、アクリル系、ポリカーボネート系、ノルボルネン系、環状オレフィン系などのポリマーが挙げられる。これらのうち、伝送能力の点でフッ素系のものが好ましい。
【0039】
次に、通信ケーブル用鞘管(通信ケーブル)の分配敷設方法について図7〜図10を参照しながら説明する。
【0040】
この例では、建物配管(雨水用の排水管)101に通された複数の通信ケーブル用鞘管102‥102のうちの1本を、建物配管101内から外部に取り出す際の施工方法を示している。その具体的な方法を以下に説明する。
【0041】
[使用部材の説明]
建物配管101:10階建てマンションのベランダ内側(部屋側)に設置された雨水用の排水管(雨樋、ポリ塩化ビニル樹脂製、φ75mm)を用いる。なお、以下の説明では、建物配管101を「排水管102」という。
【0042】
通信ケーブル103:プラスチック光ファイバーケーブル(旭硝子社製、商品名「ルキナ」、ケーブル最大外径2mm)を用いる。
【0043】
通信ケーブル用鞘管102:ポリエチレン管(積水化学工業製、商品名「エスロペックス5A(内径5mm)」を用いる。なお、通信ケーブル用鞘管102にはメッセンジャーワイヤを予め通しておく。
【0044】
ケーブル分岐用管継手1:図1及び図2に示すもの(ポリ塩化ビニル樹脂製、分岐管部3の内径:14mm)を用いる。また、前記した封止用の環状ゴム8、及び、固定用のバンド(ステンレス製)9を用意しておく。
【0045】
接続具5:図3に示すものを用いる。なお、接続具5の挿入部材6は、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3にねじ込んで固定しておく。
【0046】
分岐管104:波形電線管(積水化学社製、商品名「エスロフレキPF」)を用いる。
【0047】
[作業手順の説明]
(1)まず、マンションの1階から10階までの各階のベランダにおいて、排水管102の側面にホルソーを用いて略φ50mmの略円形状の穴を開口して分岐用開口部111を設ける。
【0048】
(2)次に、各階のベランダ部分において排水管102に加工されている分岐用開口部111に、ケーブル分岐用管継手1を以下の手順で取り付けて、各階住宅内に通信ケーブルを分配施工する。なお、以下に説明する手順はマンションの1〜10階の各階において実施する。
【0049】
▲1▼排水管102の分岐用開口部111から通信ケーブル用鞘管102を引き出して切断する。このとき、通信ケーブル用鞘管102の分岐用開口部111からの引き出し長さが約0.5mとなるように通信ケーブル用鞘管102の切断を行う。
【0050】
▲2▼引き出した通信ケーブル用鞘管102を、環状ゴム8、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3(挿入部材6の貫通孔6b)、ゴムパッキン4の貫通孔4aの各部にこの順番で通す。次に、分岐管部3にねじ込まれている挿入部材6内にゴムパッキン4を押し込む。
【0051】
▲3▼ケーブル分岐用管継手1を、排水管102の分岐用開口部111の加工部分に封止用の環状ゴム8を挟んだ状態で配置するとともに、排水管102の分岐用開口部111と分岐管部3(分岐口2a)との位置合わせを行った状態で、継手本体2の上下2箇所をバンド9,9にて締め付けて、ケーブル分岐用管継手1の全体を排水管102に固定する。なお、この▲3▼の手順と前記した▲2▼の手順とは逆の順番で行ってもよい。
【0052】
▲4▼通信ケーブル用鞘管102を更に引き出して分岐管104に通し、次いで通信ケーブル用鞘管102を、例えばエアコン用に開口されている住宅開口部(壁貫通用開口部)を通して住宅内に分配する。また、分岐管104については、先端部を接続具5の挿入部材6内に、管先端面がゴムパッキン4に当接するまで押し込み、この分岐管104の先端部と接続具5の挿入部材6と締結部材7を用いて相互に接続する(図10参照)。なお、分岐管104は屋外部分のみの敷設とする。
【0053】
▲5▼マンションの屋上において、通信ケーブル用鞘管102に通してあるメッセンジャーワイヤに通信ケーブル103を取り付けた後、住宅側でメッセンジャーワイヤを引っ張って通信ケーブル103を住宅内に引き込む。
【0054】
以上の各作業をマンションの1階から10階までの全ての階について実施することにより、通信ケーブル103を挿通した通信ケーブル用鞘管102を各戸に分配敷設することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のケーブル分岐用管継手を用いれば、建物配管の内部に通された通信ケーブルを建物内に分配施工する際に通信ケーブルが急角度で曲がることがなくなるので、ケーブル敷設をスムーズに行うことができる。しかも、排水管などの建物配管内の一部(管内部の片側)に集められた通信ケーブルまたは通信ケーブル用鞘管を、配管中央を横切ることなくケーブル分岐用管継手から外部に取り出すことができるので、建物配管の管機能(例えば排水性)に影響を与えずに、通信ケーブルの分配施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のケーブル分岐用管継手の実施形態の斜視図である。
【図2】本発明のケーブル分岐用管継手の実施形態の水平断面図である。
【図3】本発明の実施形態に用いる接続具の部分断面図である。
【図4】接続具を構成する挿入部材の断面図である。
【図5】接続具を構成する締結部材の正面図(A)及びその図(A)のX−X矢視図(B)である。
【図6】本実施形態に用いるゴムパッキンの形状を示す図である。
【図7】ケーブル分岐用管継手を使用状態で示す部分断面図である。
【図8】ケーブル分岐用管継手を使用状態で示す正面図である。
【図9】図7のY矢視図である。
【図10】ケーブル分岐用管継手の分岐管部への分岐管の接続状態を示す断面図である。
【図11】本発明のケーブル分岐用管継手の他の実施形態の平面図である。
【符号の説明】
1 ケーブル分岐用管継手
2 継手本体
2a 分岐口
3 分岐管部
3a 雌ねじ
4 ゴムパッキン
4a 貫通孔
5 接続具
6 挿入部材
6a 雄ねじ
6b 貫通孔
61 フランジ
7 締結部材
71 締結部材本体
72 フランジ
73 ボルト・ナット
8 環状ゴム
9 バンド
101 建物配管(雨水用の排水管)
111 分岐用開口部
102 通信ケーブル用鞘管
103 通信ケーブル
104 分岐管
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブル分岐用管継手に関し、さらに詳しくは、建物配管の内部に通された通信ケーブルを建物内に分配施工する際に用いられるケーブル分岐用管継手及びそれを用いた通信ケーブルの分配敷設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の情報通信手段としては、電話線や無線による通信が主流であるが、近年では、光ファイバーケーブルを用いた情報通信など、ギガビット(Gbps)レベルの高速通信まで対応できる情報通信技術が次世代の有力な通信手段とされている。
【0003】
このような高速の光ファイバーケーブルによる情報通信によれば、例えば、動画の双方向通信や遠距離間のリアルタイムコミュニケーションなどが可能となるが、これを実現するには、幹線から建物に引き込まれた光ファイバーケーブルを建物内の各部屋などに分配施工するFTTH(Fiber To The Home)が必要である。
【0004】
光ファイバーケーブルを建物内の各部屋まで分配施工する方法として、管路を構成する管体内に支持された鞘管(ケーブル用鞘管)に挿通される光ファイバーケーブルを分岐する方法が提案されている。
【0005】
例えば、管路を構成する管体に、分岐部と蓋付桝からなる桝付分岐管を設けるとともに、前記蓋付桝を通る鞘管に鞘管用分岐部を介装し、前記桝付分岐管の分岐部に、公共桝に繋がる枝管を接続する。次に、蓋付桝内の鞘管用分岐部に接続した可撓性鞘管を、蓋付桝の側面を貫通させて外部へ導出した後、公共桝まで枝管の外周に沿わして配管し、可撓性鞘管の公共桝側の引き込み口から、蓋付桝内の鞘管用分岐部を経由して管体の下流に設けられたマンホールまでメッセンジャーワイヤを送り込む。そして、マンホール内に到達したメッセンジャーワイヤの先端に光ファイバーケーブルを連結し、このメッセンジャーワイヤを引き込み口から引き戻すことで、光ファイバーケーブルをマンホールから引き込み口まで引き込む方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
しかしながら、このような分配敷設方法は、2階建て以上の住宅やオフィス、もしくは住宅やオフィスが集合する高層建物などの建物内に通信ケーブルを分配施工してFTTHを構築する場合に適用することができない。また、2階建て以上の住宅やオフィスなどにおいて通信ケーブル等を分配施工するための分岐用管継手に関する提案はなされていない。
【0007】
また、集合住宅やオフィスなどの建物内に通信ケーブルを分配施工する場合、現状では、一般の電話線に代表される既設の建物配管を通して各戸や各オフィスに分配施工することが試みられているが、通信ケーブルにダメージを与えずにスムースに引き出すことが可能な引き出し方法がないのが現状で、このため、引き込みの際に通信ケーブルが途中で詰まることがある。特に、通信ケーブルが光ファイバーケーブルの場合には、急角度で曲げると光の反射角に乱れが生じて、伝送損失が急激に大きくなるという問題がある。さらに、無理に引き込もうとすると、ケーブル自体が断線してしまうという問題もある。
【0008】
なお、通信ケーブルを建物内の各部屋まで分配敷設するにあたり、建物配管として雨水などを排水する排水管を利用する場合は、配管が比較的直線状で曲がり部が少ない点で好適であるが、この場合、排水管の排水機能をできるだけ妨げないこと、及び、通信ケーブル引き出し部分から雨水などが漏水することを防止できることが要求される。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−95121号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、建物配管の内部に通された通信ケーブルを建物内に分配施工するにあたり、通信ケーブルが急角度で曲がることなく、さらに、建物配管として排水管を利用した場合において、排水機能を損なうことが少なくて引き出し部分からの漏水を防止することが可能であり、特に、光ファイバーケーブルの分配施工に適したケーブル分岐用管継手の提供と、そのようなケーブル分岐管用継手を用いた通信ケーブルの分配敷設方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のケーブル分岐用管継手は、建物配管の内部に通された通信ケーブルまたは通信ケーブルを通す通信ケーブル用鞘管を建物内に分配施工する際に、建物配管の分岐用開口部または分岐用切断部に取り付けるケーブル分岐用管継手であって、建物配管の外周面に沿う形状で前記分岐用開口部または分岐用切断部を覆う大きさの継手本体と、この継手本体に設けられた分岐口と、その分岐口に連通した状態で前記継手本体に一体的に設けられた分岐管部を備え、前記継手本体を建物配管に配置した状態で、その建物配管の中心と前記分岐口の中心を通る直線と、前記分岐管部の管軸とがなす角度が90°以上で160°以下になるように前記分岐管部が設けられていることを特徴づけられる。
【0012】
このような本発明のケーブル分岐用管継手を分配施工に用いると、建物配管内の一部(管内部の片側)に集められた通信ケーブル用鞘管(または通信ケーブル)が建物配管の中央部を横切ることなく、通信ケーブル用鞘管(または通信ケーブル)をケーブル分岐用管継手から外部に取り出すことができる。これにより、例えば、建物配管が排水管である場合、通信ケーブル用鞘管が排水の妨げにならずに済む。
【0013】
本発明のケーブル分岐用管継手において、通信ケーブル用鞘管(または通信ケーブル)を通した際に、その通信ケーブル用鞘管(または通信ケーブル)の貫通部を防水するための封止部材を備えていることが好ましい。このような封止部材を設けておくと、ケーブルの引き出し部分から雨水などが漏水することを防止できる。
【0014】
ここで、上記した特徴を有するケーブル分岐用管継手を用いて通信ケーブルを分配施工するにあたり、前記分岐管部に通す鞘管として、内径が通信ケーブルの外径の1.05〜3倍である通信ケーブル用鞘管を用いることが好ましい。このような通信ケーブル用鞘管を用いると、通信ケーブルを通す際に、通信ケーブルに対して断線などのダメージを与えにくくなる。さらに、建物配管に対しても影響を与えることがなく、排水性などを確保することができる。
【0015】
また、上記した特徴を有するケーブル分岐用管継手を用いて通信ケーブルを分配施工するにあたり、前記分岐管部に通す鞘管として、曲げ状態の曲率半径が15mmとなる場合でも座屈しない弾性を有する通信ケーブル用鞘管を用いることが好ましい。このような通信ケーブル用鞘管を用いると、通信ケーブル敷設時における通信ケーブルの許容曲率半径を満足することができる。さらに、通信ケーブル用鞘管が、ケーブル分岐用管継手の分岐管部の封止部材にてある程度固定されても、鞘管自体の弾性により通信ケーブル用鞘管を建物配管の内壁に沿って固定配置することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態の斜視図である。図2は本発明の実施形態の水平断面図である。
【0018】
この実施形態のケーブル分岐用管継手1は、通信ケーブル103を収容した通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)が通された建物配管(例えば排水管)101に取り付けられる合成樹脂製(例えばポリ塩化ビニル樹脂製)の継手であって、継手本体2と分岐管部3によって構成されている。
【0019】
継手本体2は、建物配管101の分岐管路を設ける部分の外周面に沿う形状に成形されたサドル状(鞍状)の部材で、1つの分岐口2aが設けられている。継手本体2の外周面には、バンド配置用の2条の凹部(帯状の溝)2bが円周方向に沿って形成されている。
【0020】
分岐管部3は、分岐口2aに連通した状態で継手本体2に一体的に設けられている。分岐管部3は、継手本体2を建物配管101に取り付けた状態で、その建物配管101の中心と分岐口2aの中心(継手本体2の外周面側の中心)を通る直線Lに対する分岐管部3の管軸Cの角度αが90°以上で160°以下の範囲となるように設けられている。この実施形態では、角度αを例えば140°としている。分岐管部3の先端部内面には雌ねじ3aが加工されている。
【0021】
次に、以上の構造のケーブル分岐用管継手1に電線管等の分岐管を接続する際に用いる接続具について図3を参照しながら説明する。
【0022】
図3の接続具5は、挿入部材6及び締結部材7によって構成されており、その挿入部材6内にゴムパッキン4が挿入配置される。
【0023】
挿入部材6は略円筒形状の部材であり、図4に示すように、挿入方向の先端部に通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)を挿通するための貫通孔6bが設けられている。また、挿入部材6の軸方向の中間位置にはフランジ61が一体形成されている。挿入部材6の外周面でフランジ61の前方側には、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3の内面の雌ねじ3aに噛み合う雄ねじ6aが加工されている。なお、フランジ61の片面にはリング状の止水ゴム10(例えばCR、EPDM製)が配置される。
【0024】
締結部材7は、電線管等の分岐管104と挿入部材6とを連結するための部材であって、図5に示すように、円筒体を2つ割りにした形状の一対の締結部材本体71,71と、その各締結部材本体71の合わせ部に一体形成されたフランジ72,72とからなり、2つ割りの締結部材本体71,71を合わせた状態で、フランジ72,72をボルト・ナット73にて締結することにより、これら一対の締結部材本体71,71を相互に連結できる構造となっている。
【0025】
ゴムパッキン4は、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3に挿通する通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)の貫通部分(分岐管部3の貫通部)の生じる隙間を封止する封止部材である。ゴムパッキン4は、図6(A)に示すように、リング状に成形されており、中央に通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)を挿通するための貫通孔4aが設けられている。
【0026】
ゴムパッキン4の外径は挿入部材6の内径よりも所定量だけ大きい寸法に加工されている。また、貫通孔4aの内径が、分岐を行う通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)の外径よりも所定量だけ小さい寸法に加工されている。従って、ゴムパッキン4の貫通孔4aに通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)を通した状態で、ゴムパッキン4を挿入部材6内に押し込むことにより、挿入部材6つまり分岐管部3において防水を確保することができる。ゴムパッキン4の材質としては、例えばCR、EPDMを挙げることができる。
【0027】
そして、以上の構造の接続具5を用いることにより、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3に電線管などの分岐管104を接続することができる。その接続の詳細は後述する。
【0028】
ここで、ケーブル分岐用管継手1には、付属品として、継手本体2の内面と建物配管101の外周面との間に生じる隙間を封止(防水)する環状ゴム8(例えばCR、EPDM製)、及び、継手本体2を建物配管101に固定するためのバンド9(例えばステンレス製)などを備えている。
【0029】
なお、以上の実施形態では、ゴムパッキン4の貫通孔4aの数を1つとしているが、建物配管101が複数住宅にまたがる場合、例えば図5(B)に示すように、2つの貫通孔14aもしくは3つ以上の貫通孔をゴムパッキンに設けていてもよい。
【0030】
また、通信ケーブル用鞘管102(または通信ケーブル103)の貫通部分の封止部材及び継手本体2と建物配管101との間の封止部材としては、前記したゴムパッキン及び封止用の環状ゴムに限定されることなく、例えば、シリコン樹脂などのシール材、粘着剤や接着剤等を用いてもよい。
【0031】
また、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3に分岐管を接続具5にて接続する構造としているが、分岐管部3への分岐管の接続方法は、特に限定されず、例えば、分岐管部の先端部に受口を設け、その受口に分岐管の先端部を挿し込んで接着・ねじ止め等により固定するという方法であってもよい。
【0032】
さらに、本発明において、ケーブル分岐用管継手の形態は任意であり、図1及び図2に示した形態のほか、例えば、図11に示すように、円筒体を2つ割りにした形状の一対の継手本体12,12を有するケーブル分岐用管継手11であってもよい。この図11に示すケーブル分岐用管継手11は、建物配管101への取り付け位置の調整、及び、2つ割り構造の継手本体12,12同士の締付調整が可能であるという利点がある。また、図11に示すケーブル分岐用管継手11は、建物配管の分岐用切断部にも用いることができる。
【0033】
次に、通信ケーブル用鞘管及び通信ケーブルについて説明する。
【0034】
−通信ケーブル用鞘管−
通信ケーブル103を通す通信ケーブル用鞘管102は、内径が通信ケーブル103の外径の1.05〜3倍であることが好ましい。通信ケーブル用鞘管102の内径がケーブル外径の1.05倍未満であると、通信ケーブル103を通す際に、断線などのダメージを通信ケーブル103に対して与えやすくなる。また通信ケーブル用鞘管102の内径がケーブル外径の3倍を超えると、建物配管101内に占める通信ケーブル用鞘管102の割合が大きくなってしまい、建物配管101の管性能(例えば排水性)に影響が及ぶ。
【0035】
また、通信ケーブル用鞘管102は、曲げ状態での曲率半径R(図9参照)が15mmとなる場合でも、座屈しない弾性を有することが好ましい。このような弾性を有すると、通信ケーブル敷設時における通信ケーブルの許容曲率半径を満足することができる。さらに、通信ケーブル用鞘管102が、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3の封止部材にてある程度固定されても、鞘管自体の弾性により通信ケーブル用鞘管102を建物配管101の内壁に沿って固定配置することが可能となる。
【0036】
−通信ケーブル−
本発明に用いる通信ケーブル103は、特に限定されないが、例えば光ファイバーケーブルなどが好適である。光ファイバーケーブルの場合、通常、2芯ケーブルや多芯ケーブルが用いられており、これらのうち、個別の住宅(各戸)ごとに分配敷設する場合は2芯ケーブルを用いることが有利である。また、複数の住宅戸数分をまとめて分配敷設する場合は、樋または排水管などの建物配管101内部の占有面積の点を考慮すると多芯ケーブルを用いることが有利であることから、施工場所の状況に応じて最適な通信ケーブルを適宜選定すればよい。
【0037】
上記光ファイバーケーブルとしては、例えば、石英系光ファイバーやプラスチック光ファイバー(POF)などを挙げることができる。これらのうち、分岐部での曲げ性の点でプラスチック光ファイバーを用いることが好ましい。
【0038】
プラスチック光ファイバーとしては、例えば、GI型(屈折率分布型)及び多層型の断面構造を有するものが挙げられる。また、光ファイバーのコア及びクラッドの素材としてはフッ素系、アクリル系、ポリカーボネート系、ノルボルネン系、環状オレフィン系などのポリマーが挙げられる。これらのうち、伝送能力の点でフッ素系のものが好ましい。
【0039】
次に、通信ケーブル用鞘管(通信ケーブル)の分配敷設方法について図7〜図10を参照しながら説明する。
【0040】
この例では、建物配管(雨水用の排水管)101に通された複数の通信ケーブル用鞘管102‥102のうちの1本を、建物配管101内から外部に取り出す際の施工方法を示している。その具体的な方法を以下に説明する。
【0041】
[使用部材の説明]
建物配管101:10階建てマンションのベランダ内側(部屋側)に設置された雨水用の排水管(雨樋、ポリ塩化ビニル樹脂製、φ75mm)を用いる。なお、以下の説明では、建物配管101を「排水管102」という。
【0042】
通信ケーブル103:プラスチック光ファイバーケーブル(旭硝子社製、商品名「ルキナ」、ケーブル最大外径2mm)を用いる。
【0043】
通信ケーブル用鞘管102:ポリエチレン管(積水化学工業製、商品名「エスロペックス5A(内径5mm)」を用いる。なお、通信ケーブル用鞘管102にはメッセンジャーワイヤを予め通しておく。
【0044】
ケーブル分岐用管継手1:図1及び図2に示すもの(ポリ塩化ビニル樹脂製、分岐管部3の内径:14mm)を用いる。また、前記した封止用の環状ゴム8、及び、固定用のバンド(ステンレス製)9を用意しておく。
【0045】
接続具5:図3に示すものを用いる。なお、接続具5の挿入部材6は、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3にねじ込んで固定しておく。
【0046】
分岐管104:波形電線管(積水化学社製、商品名「エスロフレキPF」)を用いる。
【0047】
[作業手順の説明]
(1)まず、マンションの1階から10階までの各階のベランダにおいて、排水管102の側面にホルソーを用いて略φ50mmの略円形状の穴を開口して分岐用開口部111を設ける。
【0048】
(2)次に、各階のベランダ部分において排水管102に加工されている分岐用開口部111に、ケーブル分岐用管継手1を以下の手順で取り付けて、各階住宅内に通信ケーブルを分配施工する。なお、以下に説明する手順はマンションの1〜10階の各階において実施する。
【0049】
▲1▼排水管102の分岐用開口部111から通信ケーブル用鞘管102を引き出して切断する。このとき、通信ケーブル用鞘管102の分岐用開口部111からの引き出し長さが約0.5mとなるように通信ケーブル用鞘管102の切断を行う。
【0050】
▲2▼引き出した通信ケーブル用鞘管102を、環状ゴム8、ケーブル分岐用管継手1の分岐管部3(挿入部材6の貫通孔6b)、ゴムパッキン4の貫通孔4aの各部にこの順番で通す。次に、分岐管部3にねじ込まれている挿入部材6内にゴムパッキン4を押し込む。
【0051】
▲3▼ケーブル分岐用管継手1を、排水管102の分岐用開口部111の加工部分に封止用の環状ゴム8を挟んだ状態で配置するとともに、排水管102の分岐用開口部111と分岐管部3(分岐口2a)との位置合わせを行った状態で、継手本体2の上下2箇所をバンド9,9にて締め付けて、ケーブル分岐用管継手1の全体を排水管102に固定する。なお、この▲3▼の手順と前記した▲2▼の手順とは逆の順番で行ってもよい。
【0052】
▲4▼通信ケーブル用鞘管102を更に引き出して分岐管104に通し、次いで通信ケーブル用鞘管102を、例えばエアコン用に開口されている住宅開口部(壁貫通用開口部)を通して住宅内に分配する。また、分岐管104については、先端部を接続具5の挿入部材6内に、管先端面がゴムパッキン4に当接するまで押し込み、この分岐管104の先端部と接続具5の挿入部材6と締結部材7を用いて相互に接続する(図10参照)。なお、分岐管104は屋外部分のみの敷設とする。
【0053】
▲5▼マンションの屋上において、通信ケーブル用鞘管102に通してあるメッセンジャーワイヤに通信ケーブル103を取り付けた後、住宅側でメッセンジャーワイヤを引っ張って通信ケーブル103を住宅内に引き込む。
【0054】
以上の各作業をマンションの1階から10階までの全ての階について実施することにより、通信ケーブル103を挿通した通信ケーブル用鞘管102を各戸に分配敷設することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のケーブル分岐用管継手を用いれば、建物配管の内部に通された通信ケーブルを建物内に分配施工する際に通信ケーブルが急角度で曲がることがなくなるので、ケーブル敷設をスムーズに行うことができる。しかも、排水管などの建物配管内の一部(管内部の片側)に集められた通信ケーブルまたは通信ケーブル用鞘管を、配管中央を横切ることなくケーブル分岐用管継手から外部に取り出すことができるので、建物配管の管機能(例えば排水性)に影響を与えずに、通信ケーブルの分配施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のケーブル分岐用管継手の実施形態の斜視図である。
【図2】本発明のケーブル分岐用管継手の実施形態の水平断面図である。
【図3】本発明の実施形態に用いる接続具の部分断面図である。
【図4】接続具を構成する挿入部材の断面図である。
【図5】接続具を構成する締結部材の正面図(A)及びその図(A)のX−X矢視図(B)である。
【図6】本実施形態に用いるゴムパッキンの形状を示す図である。
【図7】ケーブル分岐用管継手を使用状態で示す部分断面図である。
【図8】ケーブル分岐用管継手を使用状態で示す正面図である。
【図9】図7のY矢視図である。
【図10】ケーブル分岐用管継手の分岐管部への分岐管の接続状態を示す断面図である。
【図11】本発明のケーブル分岐用管継手の他の実施形態の平面図である。
【符号の説明】
1 ケーブル分岐用管継手
2 継手本体
2a 分岐口
3 分岐管部
3a 雌ねじ
4 ゴムパッキン
4a 貫通孔
5 接続具
6 挿入部材
6a 雄ねじ
6b 貫通孔
61 フランジ
7 締結部材
71 締結部材本体
72 フランジ
73 ボルト・ナット
8 環状ゴム
9 バンド
101 建物配管(雨水用の排水管)
111 分岐用開口部
102 通信ケーブル用鞘管
103 通信ケーブル
104 分岐管
Claims (4)
- 建物配管の内部に通された通信ケーブルまたは通信ケーブルを通す通信ケーブル用鞘管を建物内に分配施工する際に、建物配管の分岐用開口部または分岐用切断部に取り付けるケーブル分岐用管継手であって、
建物配管の外周面に沿う形状で前記分岐用開口部または分岐用切断部を覆う大きさの継手本体と、この継手本体に設けられた分岐口と、その分岐口に連通した状態で前記継手本体に一体的に設けられた分岐管部を備え、前記継手本体を建物配管に配置した状態で、その建物配管の中心と前記分岐口の中心を通る直線と、前記分岐管部の管軸とがなす角度が90°以上で160°以下になるように前記分岐管部が設けられていることを特徴とするケーブル分岐用管継手。 - 通信ケーブルまたは通信ケーブル用鞘管を通した際に、その通信ケーブルまたは通信ケーブル用鞘管の貫通部を防水するための封止部材を備えていることを特徴とする請求項1記載のケーブル分岐用管継手。
- 請求項1または2記載のケーブル分岐用管継手を用いて通信ケーブルを分配施工するにあたり、前記分岐管部に通す鞘管として、内径が通信ケーブルの外径の1.05〜3倍である通信ケーブル用鞘管を用いることを特徴とする通信ケーブルの分配敷設方法。
- 請求項1または2記載のケーブル分岐用管継手を用いて通信ケーブルを分配施工するにあたり、前記分岐管部に通す鞘管として、曲げ状態の曲率半径が15mmとなる場合でも座屈しない弾性を有する通信ケーブル用鞘管を用いることを特徴とする通信ケーブルの分配敷設方法。
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2003
- 2003-04-10 JP JP2003106821A patent/JP2004312959A/ja active Pending
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