JP2004311790A - 活性炭及びその製造方法、並びに分極性電極及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

活性炭及びその製造方法、並びに分極性電極及び電気二重層キャパシタ Download PDF

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望 須郷
Hideji Iwasaki
秀治 岩崎
Yoshitaka Uehara
剛毅 上原
Takeshi Fujino
健 藤野
Yuji Kawabuchi
祐二 河淵
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Abstract

【課題】体積当たりの静電容量が大きい活性炭及びその製造方法、並びに分極性電極及び電気二重層キャパシタを提供する。
【解決手段】易黒鉛系炭素質材料をアルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理して得られた活性炭である。その黒鉛的結晶性構造パラメータIbは、下記式(2):
【数1】
0.40<Ib<0.75 (2)
(ここで、黒鉛的結晶性構造パラメータIbは、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値をIbとし、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値をIbとしたときに、IbをIbで除した値として定義される。)
を満たす。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、易黒鉛系炭素質材料をアルカリ賦活処理して得られた活性炭及びその製造方法、並びに分極性電極及び電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】
活性炭は、従来より、優れた吸着能を利用して、水や空気の浄化、溶剤の回収等の様々な用途に使用されているが、近年、その優れた静電容量を利用して、電気二重層キャパシタの分極性電極材料として使用されるようになっている。
【0003】
このような電気二重層キャパシタは、電池に比べ瞬時充放電特性に優れ、繰り返し充放電特性の劣化が少なく、充放電時に充放電過電圧がないため、それを組み込むべき電気回路を単純化でき、また、残存容量が確認し易く、広範囲の耐久温度特性を有しており、比較的小型で小容量のメモリーバックアップ電源などに使用されていたが、最近では、車載バッテリーやモーター等の補助電源などの大容量製品向けの開発も行われている。このため、電気二重層キャパシタに対し、軽量・コンパクト化、即ち、単位体積当たりの静電容量の増大が求められている。一般に、電気二重層キャパシタの電極に用いる活性炭の静電容量は、活性炭の比表面積に比例するといわれており、これまで、活性炭の静電容量を増大させるためにその比表面積を増大することに注力して開発が行われていた。
【0004】
このような観点から開発された、電気二重層キャパシタの分極性電極材料向け活性炭としては、樹脂材料、椰子殻、ピッチ及び石炭などを水蒸気、ガスなどの酸性条件下で賦活した活性炭(非特許文献1)や、そのような活性炭を更に水酸化カリウム等の強酸化力を有する薬品によって賦活した活性炭(特許文献1、特許文献2)などが知られている。
【0005】
また、近年、活性炭の静電容量を増大させる要因には、その比表面積を増大させるという手段以外の要因(例えば、賦活処理される炭素質材料と得られる活性炭のそれぞれの高次構造)もあることが示唆されている(非特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特公昭62−61529号公報
【特許文献2】特開平10−199767号公報
【非特許文献1】「大容量キャパシタ技術と材料」(1998)、株式会社シーエムシー
【非特許文献2】「電気化学」vol.59、No.7(1991)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気二重層キャパシタに対してさらなる小型化の要望が高まっている現状において、活性炭の比表面積を増大させることだけで、全ての要望に応えることは非常に困難となっているという問題があった。また、活性炭の静電容量を増大させる際に、比表面積の増大以外の要因に関する解明が十分になされていたとはいえず、活性炭の静電容量を増大させるという目標に対し、比表面積の増大以外の要因に基づいた実用に足るアプローチが提案されていないというのが現状である。
【0008】
従って、本発明の目的は、比表面積の増大以外の要因に基づいた実用に足るアプローチで、電気二重層キャパシタ用の分極性電極に適した、体積当たりの静電容量が高い活性炭及びその製造方法、並びに該活性炭を用いた分極性電極を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討し、易黒鉛系炭素質材料をアルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理して得られた活性炭の静電容量が、その黒鉛的結晶性構造パラメーターと極めて深い関連があること、また、そのような活性炭を製造する際に、原料である易黒鉛系炭素質材料の黒鉛的結晶性構造パラメーターにも大きな影響を受けることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、易黒鉛系炭素質材料をアルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理して得られた活性炭であって、その黒鉛的結晶性構造パラメータIbが、下記式(2):
【0011】
【数7】
0.40<Ib<0.75 (2)
(ここで、黒鉛的結晶性構造パラメータIbは、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値をIbとし、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値をIbとしたときに、IbをIbで除した値として定義される(即ち、Ib=(Ib/Ib))。)
を満たすことを特徴とする活性炭を提供する。
【0012】
本発明の活性炭においては、アルカリ金属水酸化物で賦活処理すべき原料の易黒鉛系炭素質材料として、黒鉛的結晶性構造パラメータIaが、下記式(1):
【0013】
【数8】
0.50<Ia<0.80 (1)
(ここで、黒鉛的結晶性構造パラメータIaは、易黒鉛系炭素質材料のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値をIaとし、易黒鉛系炭素質材料のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値をIaとしたときに、IaをIaで除した値として定義される(即ち、Ia=(Ia/Ia))。)
を満たしているものを使用することが好ましい。
【0014】
また、本発明は、易黒鉛系炭素質材料をアルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理して活性炭を得る活性炭の製造方法において、易黒鉛系炭素質材料として、黒鉛的結晶性構造パラメータIaが、上述の式(1)を満たしているものを使用することを特徴とする製造方法を提供する。
【0015】
この製造方法においては、アルカリ金属水酸化物を用いる賦活処理を、得るべき活性炭の黒鉛的結晶性構造パラメータIbが、前述の式(2)を満たすように行うことが好ましい。具体的には、易黒鉛系炭素質材料に対し、1.4〜2.4倍質量のアルカリ金属水酸化物を混合し、不活性ガス通流下、650℃〜800℃に加熱することにより賦活処理することが好ましい。
【0016】
また、本発明は、上述の活性炭と、少なくともバインダー及び導電性フィラーとを混合して成形してなる分極性電極、及びその分極性電極を組み込んだ電気二重層キャパシタを提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の活性炭は、易黒鉛系炭素質材料をアルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理して得られたものであって、その黒鉛的結晶性構造パラメータIbが下記式(2)を満たしているものである。
【0018】
【数9】
0.40<Ib<0.75 (2)
【0019】
前述したように、黒鉛的結晶性構造パラメータIbは、図3に示すように、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値をIbとし、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値をIbとしたときに、IbをIbで除した値として定義される(即ち、Ib=(Ib/Ib))。
【0020】
ここで、本発明を特徴づける指標として、X線回折強度曲線の(002)面の回折強度を選択した理由は、易黒鉛系炭素質材料を原料とする活性炭の静電容量が、活性炭の結晶性の残存程度及び原料の結晶性の程度に関連することに鑑み、結晶性の特徴が良く発現するからであり、その回折強度から空気の散乱強度を差し引く理由は、測定された回折強度は活性炭の回折強度と空気の散乱強度が合わさっているため、活性炭のみの回折強度を算出するためである。また、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値として定義されたIbの有する意味は、X線回折から観測される活性炭の非晶部と結晶部の(002)面を合わせた回折強度である。また、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値として定義されるIbの有する意味は、X線回折から観測される活性炭の結晶部の(002)面の回折強度である。また、2θとして10度、13度、37度及び60度を選択した理由は、スプライン補間を行うために回折ピークの両裾に2θの各2点の指定が必要だからである。従って、IbをIbで除した値として定義される黒鉛的結晶性構造パラメータIbが、活性炭の静電容量と密接な関係があることが理解される。
【0021】
本発明の活性炭においては、活性炭の体積当たりの静電容量が高くなるように、その黒鉛的結晶性構造パラメーターIbが式(2)を満足するものとなっている。これは、該結晶性構造パラメーターIbがあまり小さいと(即ち、0.40未満であると)、黒鉛的構造が未発達のため、特にメソフェーズピッチなどを原料とした場合、得られた活性炭は過賦活状態になったり、均質でない場合があり、その結果、体積当たりの高静電容量を達成できないことがあり、一方、その黒鉛的結晶性構造パラメーターIbがあまりに大きいと(即ち、0.75以上であると)、高静電容量を達成するに必要な微細構造が発達しておらず、その結果、体積当たりの高静電容量を達成できないことがあるからである。
【0022】
また、本発明の活性炭においては、アルカリ金属水酸化物で賦活処理すべき原料の易黒鉛系炭素質材料として、黒鉛的結晶性構造パラメータIaが、下記式(1)、好ましくは(1′)を満足するものを使用することが好ましい。
【0023】
【数10】
0.50<Ia<0.80 (1)
0.60<Ia<0.80 (1′)
【0024】
先述したように、黒鉛的結晶性構造パラメータIaは、易黒鉛系炭素質材料のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値をIaとし、易黒鉛系炭素質材料のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値をIaとしたときに、IaをIaで除した値として定義される(即ち、Ia=(Ia/Ia))。Ia、Ia及びIaはそれぞれ、式(2)におけるIb、Ib及びIbと同じ意味を有する。また、易黒鉛系炭素質材料の黒鉛的結晶性構造パラメータIaがそれをアルカリ賦活処理して得られる活性炭の黒鉛的結晶構造に密接に影響を与えることは自明であるから、易黒鉛系炭素質材料の黒鉛的結晶性構造パラメータIaが、活性炭の静電容量と密接な関係があることが理解される。
【0025】
本発明の活性炭においては、その体積当たりの静電容量が高くなるように、賦活前の易黒鉛系炭素質材料の黒鉛的結晶性構造パラメーターIaが式(1)を満足するものとなっている。これは、黒鉛的結晶性構造パラメーターIaがあまり小さいと(即ち、0.50以下であると)、ルーズな結晶性構造となるため、賦活後の活性炭の重量当たりの静電容量は高いものの、所望の体積当たりの静電容量を達成できにくくなり、また、あまり大きいと(即ち、0.80以上であると)、黒鉛構造が発達しすぎて、賦活が進行しにくくなるため、賦活条件を厳しくしなければならず、その結果、賦活炉材への負担が大きくなるからである。
【0026】
また、本発明の活性炭において、黒鉛的結晶性構造パラメーターIbを黒鉛的結晶性構造パラメーターIaで除した値(Ib/Ia)があまり小さいと、得られた活性炭が過賦活状態になって、体積当たりの静電容量を高めることができないことがあり、しかも賦活条件を厳しくしなければならず、その結果、賦活炉材への負担が大きくなったり、賦活剤の量が多くなることがある。一方、その値(Ib/Ia)があまり大きいと、賦活に高温を要したり、賦活時間が長くなることがある。したがって、黒鉛的結晶性構造パラメーターIbを黒鉛的結晶性構造パラメーターIaで除した値(Ib/Ia)が、以下の式(3)、好ましくは(3′)を満たしていることが好ましい。
【0027】
【数11】
0.35<Ib/Ia<1.00 (3)
0.5<Ib/Ia<0.95 (3′)
【0028】
本発明で用いる易黒鉛系炭素質材料としては、炭化、賦活して活性炭となる易黒鉛系の炭素質材料あれば特に限定されるものではなく、例えば、コークス、石油ピッチ、メソフェーズピッチ、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリアクリロニトリルなどを出発原料とするものが挙げられる。炭素質材料の形状は限定されるものではなく、粒状、微粉状、繊維状、シート状など種々の形状のものを使用することができる。
【0029】
本発明の活性炭を得るためには、その原料となる炭素質材料が黒鉛的結晶性構造を部分的に有していることが必要であり、かかる点から、なかでも、メソフェーズピッチ系炭素繊維が好ましく、メソフェーズピッチ系炭素繊維としては、導電性に優れる点から光学的異方性相を50体積%以上、好ましくは80体積%以上含有するピッチが望ましい。
【0030】
なお、活性炭や易黒鉛系炭素質材料のX線回折強度曲線は、市販のX線解析装置により測定することができる。また、3次のスプラインでの補間は、曲線を滑らかにするために行うものであり、市販のデータ解析用ソフトを使用することにより行うことができる。
【0031】
次に、本発明の活性炭の製造方法について説明する。この製造方法は、黒鉛的結晶性構造パラメータIaが、前述の式(1)を満たしている易黒鉛系炭素質材料をアルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理する方法である。この製造方法におては、黒鉛的結晶性構造パラメータIaが、前述の式(1)を満たしている易黒鉛系炭素質材料を使用するので、アルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理して得られる活性炭の静電容量を増大させることが可能となる。
【0032】
本発明に使用する易黒鉛系炭素質材料は、粒体間の融着を防ぐため、表面を部分酸化して不融化しておくことが好ましい。不融化の手法としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸素を含有するガスの存在下で熱処理する手法などが簡便で好ましい。この場合の具体的な不融化条件としては、必要とする酸素導入量、原料量、酸素ガスの分圧比、ガス流量、温度などによって左右されるが、通常は、空気などの酸素を含有するガスの存在下で、800℃以下、より好ましくは、100℃〜600℃、更に好ましくは200℃〜400℃の温度範囲まで昇温し、5秒〜15時間、より好ましくは5秒〜2時間程度保持するという条件が挙げられる。ここで、酸素ガスの分圧比等の条件にもよるが、800℃を超える温度に昇温すると、不融化後の収率が低くなる傾向にある点に留意する必要がある。
【0033】
易黒鉛系炭素質材料の黒鉛的結晶性構造パラメーターIaを式(1)の範囲に調整するには、易黒鉛系炭素質材料を熱処理すればよい。このような熱処理の手法としては、例えば、このような炭素質材料又は不融化された炭素質材料が溶解しない溶剤中で加熱する手法や、不活性ガス通流下で熱処理することによって結晶性化を進める手法が挙げられる。中でも、溶剤を使用しない不活性ガス通流下で熱処理することによって結晶性化を進める手法が好ましい。この場合の熱処理条件は、易黒鉛系炭素質材料の種類や量、不活性ガスの量などによって異なるが、易黒鉛系炭素質材料を窒素などの不活性ガス通流下で500℃〜900℃で加熱処理する条件が挙げられる。易黒鉛系炭素質材料としてメソフェーズピッチ繊維を使用する場合は、窒素などの不活性ガス通流下で650℃〜850℃で加熱処理することが好ましい。
【0034】
本発明において、易黒鉛系炭素質材料は、賦活処理に供する前に、粉砕しておくことが好ましく、その粉砕の程度は、アルカリ金属水酸化物と均一に混合させて後述する賦活処理を円滑に進行させるため、長軸方向の最大長さが500μm以下、好ましくは200μm以下となるように粉砕する。ここで、長軸方向の最大長さは、例えば、無作為に抽出した炭素質材料の粉砕物を電子顕微鏡写真を観察することによって確認することができる。粉砕はコーンクラッシャー、ダブルロールクラッシャー、ディスククラッシャー、ロータリークラッシャー、ボールミル、遠心ロールミル、リングロールミル、遠心ボールミル、リングロールミルなど公知の粉砕機で行うことができる。
【0035】
次に、このように黒鉛的結晶性構造パラメーターIaが0.50<Ia<0.80に調整された易黒鉛系炭素質材料を、アルカリ金属水酸化物とできるだけ均一になるように十分に混合し、100〜200℃の温度で加熱混合して、造粒し、乾燥しておくことが好ましい。混合は乾燥空気や乾燥窒素、乾燥アルゴンなどの雰囲気又は通流下で吸湿を避けて実施するのが望ましい。
【0036】
粉砕した易黒鉛系炭素質材料とアルカリ金属水酸化物の混合に使用する混合機の種類はとくに限定されるものではなく、公知の回転容器型混合機や固定容器型混合機が用いられるが、均一な混合が得られる点で回転容器型混合機を用いるのがよい。通常、アルカリ金属水酸化物は吸湿性であるので、混合機の材質は腐食をできるだけ低減させる点からニッケルとするのが好ましい。
【0037】
ここで、賦活処理に使用するアルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムなどの粒状物、又はこれらの混合物が挙げられるが、中でも、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。これらのアルカリ金属水酸化物は、一般に市販されているものを使用することが可能である。
【0038】
また、アルカリ金属水酸化物としては、含水量が1〜20重量%のものを使用することができるが、取扱いの点から1〜10重量%以下のものが好ましい。これらのアルカリ金属水酸化物は、前記のような粉砕機を使用して、好ましくは平均粒径1mm以下に粉砕して使用される。塊状物である場合は、前記のような粉砕機により粉砕して粒状とすればよい。なお、本発明において、粒状とは、球状、破砕状、粉状などの細粒状態のもの一般を広く意味する。
【0039】
易黒鉛系炭素質材料に対するアルカリ金属水酸化物の混合量は、前者に対し後者が少なすぎると賦活の進行が遅く、賦活に長時間を要することになり、また、多すぎると過賦活状態になることがあり、その場合には活性炭の嵩密度が小さくなり、体積当たりの静電容量が小さくなるので、賦活前の易黒鉛系炭素質材料に対し、アルカリ金属水酸化物を1.2〜3.0質量倍で混合することが好ましい。
【0040】
次に、得られた、黒鉛系炭素質材料とアルカリ金属水酸化物とからなる混合物は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でバッチ又は連続で賦活処理する。
【0041】
賦活処理の温度は、高すぎると得られる活性炭の表面積は増大するが、分極性電極に成形して電気二重層キャパシタに組み込んだときの静電容量が小さくなり、しかも、賦活処理で生成するアルカリ金属が蒸発するため、危険性が著しく高くなる。また、賦活処理の温度が低すぎると、賦活処理によってガス化され、系外に除去されるべき微細な構造が除去されないため、例えば電極材料として使用した時の電気抵抗が大きくなる傾向にある。したがって、賦活温度は、500℃〜900℃の温度、好ましくは550℃〜800℃で実施するのが望ましい。特に、アルカリ金属水酸化物として水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを使用した場合には、各々730℃又は650℃付近で静電容量が臨界的に増加する。
【0042】
賦活処理を行うにあたって、所定の温度まで昇温する必要があるが、急激な昇温は造粒物の形状維持の点で好ましいことではなく、またあまり緩慢な昇温では電気二重層キャパシタとしての性能が十分発現しないことがあるので、通常50℃〜1000℃/時間で実施される。アルカリ金属水酸化物として、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを使用する場合には、室温から通常毎分4℃前後で昇温することが好ましい。
【0043】
賦活装置としては、従来公知の回転式、流動式、移動式などの賦活装置が採用される。賦活装置の炉材としては腐食をできるだけ低減させる点からニッケルを主成分とする材質のものを使用するのが好ましい。
【0044】
なお、アルカリ金属水酸化物による賦活処理は、得られる活性炭の体積当たりの静電容量をより高くするためには、活性炭の黒鉛的結晶性構造パラメーターIbが式(2)を満たすように行うことが好ましい。具体的には、黒鉛的結晶性構造パラメーターIaが式(1)を満たしている易黒鉛系炭素質材料に対し、1.4〜2.4質量倍のアルカリ金属水酸化物を混合し、前述したように、混合、成形(造粒)及び脱水工程を全て固体状態を保ったまま低温で処理して、賦活温度を600℃〜800℃、更に好ましくは650℃〜750℃とし、10分〜6時間保持することで行うことができる。易黒鉛系炭素質材料としてメソフェーズピッチ繊維を使用し、水酸化カリウムを賦活剤として使用する場合は、窒素などの不活性ガス通流下で1.4〜2.4倍量の水酸化カリウムを使用し、200℃/時間の昇温速度で650℃〜800℃、さらに好ましくは650℃〜750℃まで昇温し、6時間以下、好ましくは15分〜4時間、さらに好ましくは1時間〜2時間保持することで行うことができる。
【0045】
なお、賦活装置中に不活性ガスを通流させる場合には、反応の方式によっても異なるが、通常、不活性ガスの賦活装置中での移動速度が、0.01cm/分以上となるように通流させるのがよく、0.1cm/分以上とするのがより好ましい。
【0046】
賦活終了後、賦活処理物を、活性炭の燃焼を抑制するために、好ましくは窒素、アルゴンなどの不活性ガス気流下で冷却する。
【0047】
得られた活性炭は、更に炭酸ガス、水蒸気ガスを含む炭酸ガス、不活性ガスなどを導入後、水洗浄、酸洗浄、アルカリ洗浄、粉砕、造粒、乾燥などの精製工程や二次加工工程を経て、例えばフィルターに成形され、吸着、脱臭などの用途に供される。また、活性炭の粉末品、カーボンブラックのような導電性材料としても使用することができる。活性炭を電極用途に使用する場合、活性炭の充填密度を向上させるために、平均粒径は50μm以下とするのが好ましく、より好ましくは20μm、更に好ましくは15μm以下にするのが好ましい。
【0048】
本発明の活性炭は、分極性電極の原料として有用であり、そのような分極性電極を製造するには、通常知られた方法を適用することが可能である。例えば、市販されている、ポリビニリデンフロライド、ポリテトラフロロエチレンなどバインダーとして知られた物質やカーボンブラックなどの導電性材料を必要に応じて、数%程度まで加えてよく混練した後、金型に入れて加圧成形したり、圧延してシート化し、必要な形状に打ちぬくことで電極に成形することができる。また、混練物を集電体に塗布して塗布電極としてもよい。電極の製造の際、必要に応じて、アルコールやN−メチルピロリドンなどの有機化合物や水などの溶剤、分散剤、各種添加物を使用してもよい。また、熱を加えることも可能である。必要以上に高い温度は、使用したバインダー成分の劣化だけでなく、活性炭成分の表面構造による物性、例えば比表面積などに影響を与えるため、その温度条件を考慮しなければならないことは言うまでもない。
【0049】
この分極性電極は静電容量が大きいため、シリンダー型、積層型、コイン型構造の電気二重層キャパシタの電極として好ましく使用することができる。このような電気二重層キャパシタ(コイン型)の例を図1及び図2に示す。
【0050】
図1の電気二重層キャパシタにおいて、1及び2は集電部材、3及び4は活性炭を主原料とする一対の分極性電極、5はポリプロピレン不織布などのセパレータ、6はステンレス製の蓋体、7はケース、8はガスケット、9は電解液である。このように、電気二重層キャパシタは、ケースの中に一対の分極性電極とその間に多孔質でイオン通過性のセパレータを有しており、電解液で分極性電極及びセパレータが濡れた構造をしている。また、必要に応じて集電部材が分極性電極とケースの間に挿入あるいは電極に溶着されており、ケースは電解液が漏れないよう上蓋と下ケースとの間が封止材(上記ガスケットに相当)で封口されている。
【0051】
また、図2の電気二重層キャパシタにおいて、13及び14は活性炭を主原料とする一対の分極性電極であり、セパレータ15を介して対向させて設けられている。分極性電極13及び14には電解質を有機溶媒に溶解させた溶液が電解液として含浸され、アルミニウム製あるいはステンレス製のケース17に収容され、アルミニウム製あるいはステンレス製の蓋体16により閉蓋されるようになっている。ケース17は集電部材12を介して分極性電極14と電気的に導通しており、外部回路に対する接続端子となっている。また、蓋体16は、集電部材11、押え板21、圧力調節ばね20を介して、分極性電極13と電気的に導通しており、外部回路に対する接続端子となっている。
【0052】
電気二重層キャパシタに使用する電解質の溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、3−メチル−γ−バレロラクトンなどのラクトン類、ジメチルスルフォキシド、ジエチルスルフォキシドなどのスルフォキシド類、ジメチルフォルムアミド、ジエチルフォルムアミドなどのアミド類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類、ジメチルスルホラン、スルホランなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、一種または二種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0053】
これらの有機溶媒に溶解させる電解質としては、テトラエチルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラメチルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラプロピルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフロロボレート、トリメチルエチルテトラフロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフロロボレート、ジエチルジメチルアンモニウムテトラフロロボレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムテトラフロロボレート、N,N−テトラメチレンピロリジニウムテトラフロロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロロボレートのようなアンモニウムテトラフロロボレート類、テトラエチルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムパークロレート、テトラプロピルアンモニウムパークロレート、テトラブチルアンモニウムパークロレート、トリメチルエチルパークロレート、トリエチルメチルアンモニウムパークロレート、ジエチルジメチルアンモニウムパークロレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムパークロレート、N,N−テトラメチレンピロリジニウムパークロレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムパークロレートのようなアンモニウム過塩素酸塩類、テトラエチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラプロピルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラブチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、トリメチルエチルヘキサフロロホスフェート、トリエチルメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、ジエチルジメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェートのようなアンモニウムヘキサフロロホスフェート類などが挙げられる。
【0054】
電解質の濃度としては、0.5M/L(モル/リットル)〜5M/Lが好ましい。特に好ましくは1.0M/L〜2.5M/Lである。電解質濃度が0.5M/Lより低い場合は、電解質不足により、静電容量が低下することがある。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0056】
実施例1
石油の分解残渣を熱処理して得たメトラー軟化点285℃の光学的異方性ピッチを、幅2mmのスリット中に直径0.2mmの紡糸孔を1000個有するノズルを用いてメルトブロー紡糸し、不融化処理後、原料10gを石英ボードに乗せ、直径4cmの管状反応炉に導入し、300mL(ミリリットル)/分の窒素通流下で650℃まで200℃/時間にて昇温し、そのまま2時間保持した後、冷却し、熱処理した光学的異方性ピッチ繊維を得た。
【0057】
温度計及び攪拌機を装着した300mL(ミリリットル)の金属製セパラブルフラスコに、長軸方向の最大長さが100ミクロン以下に粉砕した熱処理した光学的異方性ピッチ繊維20g及び平均粒径1mm以下に破砕した95%水酸化カリウム40gを加え、窒素を200mL/分で通流しながら10rpmで攪拌した。反応器をオイルバスにて加温し、系内温度160℃で1時間加熱攪拌した後、熱源を取り去り、さらに1時間窒素を通流しながら攪拌して粒状の成形物を得た。成形物は20mm以下の大きさであった。次いで、該成形物を1.5Torrの減圧下、2℃/分の昇温速度で300℃まで5時間かけて脱水を行った。
【0058】
温度計を装着した2インチの横型ニッケル製反応器に、上記成形物6gを入れ、系中を窒素で置換した後、100mL/分の窒素通流下、700℃まで、200℃/時間で昇温した。700℃に達した後、1時間保持し、その後室温まで2時間かけて冷却した。蒸留水バブラーを通した窒素を1時間通流した後、水50mLに投入した。1N塩酸水200mLを加えて、8時間で中和洗浄し、さらに蒸留水3Lを用いて連続的に洗浄し、塩類を除去し、乾燥して活性炭6.2gを得た。
【0059】
得られた活性炭のX線回折は、回転対陰極X線回折装置(理学電機(株)、RINT2400)を用いて測定し、X線回折強度曲線を求めた。X線出力は40kV、100mAでモノクロメータで単色化されたCuKα線(0.15405nm)を使用し、スリット幅は1/2deg、0.15mmであった。走査速度1°/分にて、対称反射法で測定した。次いで、サンプルを置かない状態で同様の測定を行い、空気の散乱強度を求めた。
【0060】
測定した活性炭の実測回折強度から空気の散乱強度を引いた曲線を図3の22に示す。このようにして得たX線回折強度曲線において、10度、13度、37度、60度の点を3次のスプラインで補間した曲線を曲線22から差し引くことにより求めた曲線を図3の23に併せて示す。図3からIb及びIbを求め、更にIbを算出した。同様に、原料の光学的異方性ピッチ繊維についてX線回折強度曲線から、Ia及びIaを求め、更にIaを求めた。こらの値からIb/Iaも求めた。得られた結果を表1に示す。
【0061】
この活性炭に、質量比でポリテトラフロロエチレン(三井・デュポンフルオロケミカルズ社製、テフロン(登録商標)6J)10%、導電性フィラー(電気化学社製デンカブラック)9%を加え、混錬、シート化した後、打ち抜き、直径11mm、厚み300μmの円形の分極性電極を得た。該分極性電極をさらに真空乾燥後、露点−80℃以下のグローブボックス内に移し、以後のセル作製に関わる作業をグローブボックス内で実施した。
【0062】
電解液には1Mのテトラエチルアンモニウムテトラフロロボレートのプロピレンカーボネート溶液を使用し、分極性電極を真空下、30分間電解液に含浸した。セパレータには直径13mmに打ち抜いたガラスフィルター(ADVANTEC社製、商品名GB100R)を使用し、HSセル(宝泉製)を用いてキャパシタを組み立てた。作製したキャパシタに充電電圧2.7V、充電電流3mAで定電流にて充電後、1mAになるまで2.7Vの定電圧で補充電を行い、3mAで放電を実施した。このサイクルを6回繰り返し、6回目の1.2−1.0Vの傾きと電極体積から体積当たりの静電容量を求めた。静電容量の結果を表1に示す。
【0063】
実施例2
アルカリ金属水酸化物による賦活処理時に、200℃/時間の昇温速度で、650℃まで昇温し、そのまま1時間保持した以外は実施例1と同様の方法で活性炭を調製し、更に電気二重層キャパシタを作製した。活性炭のX線回折強度及び電気二重層キャパシタの静電容量の測定結果を表1に示す。
【0064】
実施例3
賦活処理時に、200℃/時間の昇温速度で、800℃まで昇温し、そのまま1時間保持した以外は実施例1と同様の方法で活性炭を調製し、更に電気二重層キャパシタを作製した。活性炭のX線回折強度及び電気二重層キャパシタの静電容量の測定結果を表1に示す。
【0065】
実施例4
不融化後の熱処理条件を、200℃/時間の昇温速度で、600℃まで昇温し、そのまま2時間保持した以外は実施例1と同様の方法で活性炭を調製し、更に電気二重層キャパシタを作製した。活性炭のX線回折強度及び電気二重層キャパシタの静電容量の測定結果を表1に示す。
【0066】
実施例5
不融化後の熱処理条件を、200℃/時間の昇温速度で、700℃まで昇温し、そのまま2時間保持した以外は実施例1と同様の方法で活性炭を調製し、更に電気二重層キャパシタを作製した。活性炭のX線回折強度及び電気二重層キャパシタの静電容量の測定結果を表1に示す。
【0067】
比較例1
不融化後、熱処理せずに得た光学的異方性ピッチ繊維を用いた以外は実施例1と同様の方法で活性炭を調製し、更に電気二重層キャパシタを作製した。活性炭のX線回折強度及び電気二重層キャパシタの静電容量の測定結果を表1に示す。
【0068】
比較例2
不融化後の熱処理条件を、200℃/時間の昇温速度で、900℃まで昇温し、そのまま2時間保持した以外は実施例1と同様の方法で活性炭を調製し、更に電気二重層キャパシタを作製した。活性炭のX線回折強度及び電気二重層キャパシタの静電容量の測定結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
Figure 2004311790
【0070】
以上の結果から、黒鉛的結晶性構造パラメータIbが0.40と0.75の間にある実施例の活性炭は、その範囲外の活性炭に比べて、静電容量が大きいことがわかる。また、これらの実施例で使用した原料の炭素質材料の黒鉛的結晶性構造パラメータIaはいずれも、0.5と0.8の間であった。
【0071】
【発明の効果】
本発明により、体積当たりの静電容量が大きく、電気二重層キャパシタ用の分極性電極として好適な活性炭を提供できる。また、本発明の活性炭は、吸着、脱臭用としても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気二重層キャパシタの一例を示す概略図である。
【図2】電気二重層キャパシタの他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の活性炭のX線回折強度曲線図である。
【符号の説明】
1、11 集電部材
2、12 集電部材
3、13 分極性電極
4、14 分極性電極
5、15 セパレータ
6、16 蓋体
7、17 ケース
8、18 ガスケット
9、19 電解液
20 圧力調整ばね
21 押え板
22 活性炭の実測回折強度から空気の散乱強度を引いた曲線22
23 3次のスプラインで補間した曲線を曲線22から差し引いた曲線

Claims (14)

  1. 易黒鉛系炭素質材料をアルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理して得られた活性炭であって、その黒鉛的結晶性構造パラメータIbが、下記式(2):
    Figure 2004311790
    (ここで、黒鉛的結晶性構造パラメータIbは、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値をIbとし、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値をIbとしたときに、IbをIbで除した値として定義される。)
    を満たすことを特徴とする活性炭。
  2. 該易黒鉛系炭素質材料の黒鉛的結晶性構造パラメータIaが、下記式(1):
    Figure 2004311790
    (ここで、黒鉛的結晶性構造パラメータIaは、易黒鉛系炭素質材料のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値をIaとし、易黒鉛系炭素質材料のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値をIaとしたときに、IaをIaで除した値として定義される。)を満たしている請求項1記載の活性炭。
  3. 該易黒鉛系炭素質材料の黒鉛的結晶性構造パラメータIaと該活性炭の黒鉛的結晶性構造パラメータIbとが、下記式(3):
    Figure 2004311790
    を満たしている請求項2記載の活性炭。
  4. 該易黒鉛系炭素質材料がメソフェーズピッチ系炭素繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の活性炭。
  5. 該メソフェーズピッチ系炭素繊維が、光学的異方性相を50体積%以上含有するピッチ系炭素繊維である請求項4記載の活性炭。
  6. 易黒鉛系炭素質材料をアルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理して活性炭を得る活性炭の製造方法において、易黒鉛系炭素質材料として、黒鉛的結晶性構造パラメータIaが、下記式(1):
    Figure 2004311790
    (ここで、黒鉛的結晶性構造パラメータIaは、易黒鉛系炭素質材料のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値をIaとし、易黒鉛系炭素質材料のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値をIaとしたときに、IaをIaで除した値として定義される。)を満たしているものを使用することを特徴とする製造方法。
  7. 該アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムである請求項6記載の製造方法。
  8. 該易黒鉛系炭素質材料がメソフェーズピッチ系炭素繊維である請求項6又は7記載の製造方法。
  9. 該メソフェーズピッチ系炭素繊維が、光学的異方性相を50体積%以上含有するピッチ系炭素繊維である請求項8記載の製造方法。
  10. アルカリ金属水酸化物を用いる賦活処理を、得るべき活性炭の黒鉛的結晶性構造パラメータIbが、下記式(2):
    Figure 2004311790
    (ここで、黒鉛的結晶性構造パラメータIbは、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度の最大値をIbとし、易黒鉛系炭素質材料を賦活して得た活性炭のX線回折強度曲線の(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りのX線回折強度曲線における、2θ(ここで、θは回折角である)が10度、13度、37度及び60度である各点を3次のスプラインで補間した曲線より上の部分のX線回折強度の最大値をIbとしたときに、IbをIbで除した値として定義される。)
    を満たすように行う請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. アルカリ金属水酸化物を用いる賦活処理を、該易黒鉛系炭素質材料の黒鉛的結晶性構造パラメータIaと該活性炭の黒鉛的結晶性構造パラメータIbとを、下記式(3):
    Figure 2004311790
    を満たすように行うことを特徴とする請求項10記載の製造方法。
  12. 易黒鉛系炭素質材料に対し、1.4〜2.4質量倍のアルカリ金属水酸化物を混合し、不活性ガス通流下、650℃〜800℃に加熱することによりアルカリ賦活処理する請求項11記載の製造方法。
  13. 請求項1〜5のいずれかに記載の活性炭と、少なくともバインダー及び導電性フィラーとを混合して成形してなる分極性電極。
  14. 請求項13記載の分極性電極を組み込んだ電気二重層キャパシタ。
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