JP2004308900A - トルク断続装置 - Google Patents

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伸司 山崎
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Abstract

【課題】 摩擦クラッチの摩擦半径を増大し、且つコンパクト化を可能とする。
【解決手段】 ラッチハウジング57及びクラッチハブ59と、クラッチハウジング57及びクラッチハブ59間のトルク伝達を行う摩擦多板クラッチ129と、推力を発生して摩擦多板クラッチ129を締結するための加圧部材セット137と、加圧部材セット137の一方の部材141を回転駆動して部材139,141間の相対回転を発生させる電動モータ171とを備え、加圧部材セット137は、摩擦多板クラッチ129の内径側に配置されたことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車等に供されるトルク断続装置に関する。
従来のトルク断続装置としては、例えば図24に示すようなものがある。図24は、トルク断続装置の要部断面図である。
図24のように、トルク断続装置301は、クランクシャフト303に対して出力軸305が相対回転可能に配置されている。出力軸305には、クラッチプレッシャプレート307が一体に設けられ、クラッチプレート309を介してクラッチハウジング311が回転軸芯に沿った方向に対向している。
前記クラッチハウジング311に対して、スラスト軸受313を介し、押圧リング315が隣接して配置されている。押圧リング315は、固定側であるケーシング317に回転方向に係合し、回転軸芯に沿った方向に移動可能となっている。押圧リング315に対し、支持リング319が対向している。
前記押圧リング315と支持リング319との間には、ボール321を備えたカム機構が設けられている。支持リング319は、スラスト軸受323を介して、ケーシング317側に支持された支持リング325に当接している。
前記支持リング319には、軸327の一端に設けられた歯車329が噛み合っている。軸327の他端には、歯車331が設けられ、電動機333側のピニオン335に噛み合っている。
従って、電動機333の駆動によって、ピニオン335、歯車331、軸327、歯車329を介して、支持リング319が回転する。この支持リング319は押圧リング315に対して相対回転し、ボール121を有したカム機構が働いて推力が発生する。この推力は、支持リング325に対する反力として、押圧リング315を移動させ、クラッチハウジング311を回転軸芯に沿った方向へ押圧する。
この押圧によって、クラッチハウジング311が移動し、プレッシャプレート307との間でクラッチプレート309が締結される。この締結によって、クランクシャフト303からクラッチプレート309を介し、出力軸305側へトルク伝達が行われる。
しかしながら、上記構造では、プレッシャプレート307、クラッチプレート309、クラッチハウジング311、押圧リング315、ボール321を備えたカム機構、支持リング319等が回転軸芯に沿った方向へ併設されているため、回転軸芯に沿った方向でのコンパクト化が困難であると共にレイアウトも固定されるという問題がある。また、クラッチプレート309の摩擦半径を増大すると、回転半径方向にも大型化してしまい、摩擦半径の増大と全体的な大型化の抑制との両立は困難であった。
特開平6−264978号公報
解決しようとする問題点は、回転軸芯に沿った方向でのコンパクト化が困難である点、摩擦半径の増大と全体的な大型化の抑制との両立は困難である点である。
本発明は、加圧部材セットを、摩擦係合部の内径側に配置したことを最も主要な特徴とする。
本発明のトルク断続装置は、アクチュエータにより加圧部材セットの少なくとも一方の部材を回転駆動させると、一対の部材間が相対回転して推力を発生し、摩擦係合部を摩擦係合させることができる。従って、第1回転部材及び第2回転部材間のトルク断続を行うことが可能となる。
しかも、加圧部材セットを、摩擦係合部の内径側に配置したため、摩擦係合部の摩擦半径の増大を図りながら、全体的な大型化を抑制すると共にレイアウトの自由度を広げることができる。
前記加圧部材セットの回転軸芯に沿った方向の少なくとも一部が前記摩擦係合部の内周内に配置された場合は、摩擦係合部の配置容積と加圧部材セットの少なくとも一部の配置容積とを共用することができ、全体的な大型化をより確実に抑制することが可能となる。
前記加圧部材セットの一対の部材の少なくとも一方が前記摩擦係合部の回転半径方向に延設された駆動部材により前記アクチュエータに連動連結された場合は、アクチュエータの配置の自由度を広げることができる。
前記アクチュエータが前記摩擦係合部の回転半径方向外側で且つ回転軸芯に沿った方向にオフセットして前記固定側に取り付けられた場合は、アクチュエータの配置スペースを容易に確保することができる。
前記第1回転部材はクラッチハウジングであると共に前記第2回転部材はクラッチハブであり、前記クラッチハウジングは回転軸芯に沿った方向の少なくとも一方に回転半径に沿った方向の内周側へ延びる外側壁を備え、前記クラッチハブは前記外側壁に沿って延びる結合壁を備え、前記外側壁に前記クラッチハブの内周側へ入り込むように形成された収容凹部を設け、前記収容凹部に前記加圧部材セットを配置し、前記外側壁に前記加圧部材セットに対向する貫通部を設け、前記貫通部に前記加圧部材セットと前記クラッチハブの結合壁との間に介設され前記加圧部材セットの推力をクラッチハブへ伝達するための伝達部材を貫通配置した場合は、前記摩擦係合部と前記加圧部材セットとを、回転軸芯に沿った方向で併設する必要がなくなる。
このため、摩擦係合部の摩擦半径の増大を図りながら、回転軸芯に沿った方向でのコンパクト化を図り、全体的な大型化を抑制することができる。
前記貫通部と伝達部との間又は前記加圧部材セットに、前記加圧部材セットが受ける引きずりトルクにより発生する推力をキャンセル又は軽減するキャンセル部を設けた場合は、引きずりトルクによって加圧部材セットが発生する推力をキャンセルするか軽減することができ、引きずりトルクによる摩擦係合部の摩擦係合を抑制し、正確なトルク断続を行うことができる。
前記キャンセル部が、カム面で構成された場合は、引きずりトルクをカム面によって確実にキャンセル又は軽減し、より確実なトルク断続を行うことができる。
前記アクチュエータ側の慣性力又は該慣性力が前記加圧部材セットに働いて発生する推力をダンピングするダンパー機構を設けた場合は、前記摩擦係合部の摩擦係合力が前記慣性力の影響で一時的に立ち上がるのを抑制し、ショックの少ない円滑なトルク断続を行うことができる。
前記部材の回転駆動を前記加圧部材セットの回転方向のガタ詰め時は相対的に早く回転させると共にガタ詰め終了側は相対的に遅く回転させるように前記アクチュエータを制御する制御手段を設けた場合は、ガタの大きい中立位置側からアクチュエータの相対的に早い駆動によって加圧部材セットのガタ詰めを迅速に行い、ガタが詰まって推力が発生するときは相対的に遅い駆動によって加圧部材セットに対するアクチュエータ側の慣性力の影響を抑制することができる。このため、前記アクチュエータの慣性力が影響することで前記摩擦係合部の摩擦係合力が一時的に立ち上がるのを抑制し、ショックの少ない円滑なトルク断続を行わせることができる。
自動車の状態に応じて前記加圧部材セットをガタを有した中立位置とガタが無いか少ないガタ詰め位置とにスタンバイさせるように前記アクチュエータを制御する制御手段を設けたため、自動車の状態に応じて迅速に摩擦係合部を摩擦係合させ、トルク伝達を行うことができる。
また、ガタを有した中立位置にスタンバイさせることによって、摩擦係合部での隙間を的確に確保することができ、摩擦係合部の引きずりトルクを抑制して、トルクの正確な遮断を行うことができる。
前記固定側に前記加圧部材セットの部材を回転方向に位置決めて組み付け可能にする位置決め部を設け、前記位置決め部によって前記部材を位置決め、前記加圧部材セットの中立位置を保持させるため、摩擦係合部を組み込む際に、加圧部材セットの中立位置を目視によって確認することなく容易に保持させることができ、摩擦係合部及び加圧部材セットの組付けを的確且つ容易に行うことができる。
前記アクチュエータと前記加圧部材セットとの間に断続手段を設け、前記アクチュエータの駆動により前記部材を回転駆動して推力を発生させるとき前記断続手段を接続状態とすると共に前記断続手段を遮断状態として前記推力を解放するように断続制御する制御手段を設けた場合は、前記摩擦係合部を摩擦係合させるときに前記断続手段を接続状態とし前記アクチュエータ等により大きく減速して加圧部材セットの部材を回転駆動することができる。この回転駆動により加圧部材セットは推力を発生させ、摩擦係合部を摩擦係合させることができる。
従って、小型のアクチュエータにより摩擦係合部を確実に摩擦係合させることができ、全体的により小型、軽量化を図ることができる。
前記摩擦係合部の摩擦係合を解除するときは、前記断続手段を遮断状態として前記推力を解放すると摩擦係合部の摩擦係合もこれに応じて直ちに解除される。
従って、前記アクチュエータにより大きく減速して加圧部材セットの部材を回転駆動する構成としても、締結解除の応答性を著しく向上させることができる。
前記断続手段が前記アクチュエータに設けられ、前記断続手段により前記アクチュエータの駆動を断続するため、アクチュエータ及び断続手段を一体的に取り扱うことが可能となり、部品点数が少なくなり、組み付け、部品管理が容易となる。
前記第1回転部材又は第2回転部材が前記固定側に支持されたオイルポンプに連動係合された場合は、第1回転部材又は第2回転部材を介してオイルポンプを回転駆動することができる。
エンジンの出力側に配置された発進クラッチまたは四輪駆動車のトランスファの出力側、リヤデファレンシャル装置への入力側、トランスファとリヤデファレンシャルとの間のプロペラシャフト、前輪側アクスルシャフト、後輪側アクスルシャフトの何れかに配置されたトルク伝達装置として構成した場合は、発進クラッチ、各トルク伝達装置の何れかとしてトルク断続を的確に行うことができる。
本発明のトルク断続装置は、摩擦係合部の摩擦半径の増大を図りながら、全体的な大型化を抑制する共にレイアウトの自由度を広げるという目的を、レイアウトの工夫によって実現した。
図1は本発明の実施例1に係るトルク断続装置として発進クラッチの配置を示す四輪駆動車のスケルトン平面図である。
図1のように、本発明実施例のトルク断続装置としての発進クラッチ1は、エンジン3の出力側に配置されている。発進クラッチ1の出力側には、トランスミッション5が結合されている。トランスミッション5としては、自動変速機(AT)、或いは複数の駒からなる金属チェーンを用いた無断変速機(CVT)、多段ギヤを持った手動変速機(MT)等が採用されている。
前記トランスミッション5の出力トルクは、フロントデファレンシャル7のリングギヤ9に入力されるようになっている。フロントデファレンシャル7には、左右のアクスルシャフト11,13を介して、左右の前輪15,17が連動連結されている。
前記フロントデファレンシャル7のデフケース19には、トランスファ21側において平歯車23が結合されている。平歯車23は、伝導軸25の平歯車26に噛み合っている。伝導軸25には、傘歯車27が取り付けられ、後輪側への出力軸29に取り付けられた傘歯車31に噛み合っている。
前記後輪側への出力軸29は、プロペラシャフト33を介してドライブピニオンシャフト35に結合されている。ドライブピニオンシャフト35に設けられたドライブピニオンギヤ37は、リヤデファレンシャル39のリングギヤ41に噛み合っている。リヤデファレンシャル39には、左右のアクスルシャフト43,45を介して、左右の後輪47,49が連動連結されている。
そして、前記発進クラッチ1がトルク伝達状態であるとき、エンジン3からトランスミッション5を介して、フロントデファレンシャル7のリングギヤ9にトルク伝達が行われる。リングギヤ9へのトルク伝達により、一方ではフロントデファレンシャル7から左右のアクスルシャフト11,13を介し、左右の前輪15,17へトルク伝達が行われる。
他方では、フロントデファレンシャル7のデフケース19からトランスファ21側の平歯車23へトルク伝達が行われ、平歯車26、伝導軸25、傘歯車27,31、出力軸29、プロペラシャフト33、ドライブピニオンシャフト35、ドライブピニオンギヤ37を介して、リヤデファレンシャル39のリングギヤ41へトルク伝達が行われる。リヤデファレンシャル39からは、左右のアクスルシャフト43,45を介して左右の後輪47,49へトルク伝達が行われる。
従って、自動車は、前輪15,17及び後輪47,49での四輪駆動状態で走行することができる。
また、自動車が駐停車状態などであるとき、発進クラッチ1がトルク非伝達状態とされ、エンジン3のトルクは、トランスミッション5へ伝達されることがなくなる。従って、トランスミッション5側の部材が無駄に回されることがなく、燃費向上を図ることができる。
前記発進クラッチ1の詳細は、図2,図3のようになっている。図2は実施例1に係る発進クラッチの断面図、図3は要部の拡大断面図である。
図2,図3のように、発進クラッチ1は、固定側であるハウジング51内に収容配置されている。ハウジング51は、前記エンジン3のシリンダブロック及びトランスミッション5のミッションケース53間に介設され、例えばボルト55等により、複数箇所で締結固定されている。
前記発進クラッチ1は、第1回転部材としてのクラッチハウジング57及びクラッチハウジング57に対して相対回転可能に配置された第2回転部材としてのクラッチハブ59を備えている。クラッチハウジング57及びクラッチハブ59は、前記ハウジング51側に回転可能に支持され、トルクの入出力伝達を行うものである。
前記クラッチハウジング57は、本体部61と、端板部63とからなっている。本体部61及び端板部63共に板金等のプレス成形によって形成されている。
前記本体部61は、回転半径に沿った方向外周側の係合周壁65と、回転軸芯に沿った方向前後一方の外側壁67とを備えている。
前記係合周壁65の内面には、スプライン部69が設けられている。係合周壁65の外周面には、係合溝71が周方向へ所定間隔で設けられている。係合周壁65には、回転半径方向内外に貫通する複数の貫通孔が形成され、係合周壁65の内周側と外周側との間で潤滑オイルを通すことができるようになっている。
前記外側壁67は、回転半径に沿った方向の内周側へ延びて形成されている。この外側壁67には、前記クラッチハブ59の内周側へ入り込むように形成された収容凹部73が設けられている。外側壁67には、収容凹部73側で回転半径方向内外に貫通する複数の貫通孔100(図2)が形成され、収容凹部73側とその外周側との間で潤滑オイルを通すことができるようになっている。前記外側壁67には、ボス部75が一体的に設けられている。ボス部75は、鍛造等によって形成され、回転半径に沿った方向のフランジ部77を周回状に備えている。フランジ部77は、前記外側壁67の内縁側に収容凹部73において溶接79により固着されている。従って、フランジ部77は、前記外側壁67の一部を構成し、収容凹部73を形成している。
前記フランジ部77には、回転軸芯に沿った方向に貫通する貫通部81が設けられている。貫通部81は、例えば周方向に所定間隔で複数設けられている。
前記ボス部75には、回転半径方向に沿った油孔83,85が回転軸芯に沿った方向で間隔を有して設けられ、それぞれ周方向に所定間隔で複数備えられている。ボス部75の端部には、係合部87が設けられている。
前記端板部63は、結合周壁89と外側壁91とからなっている。
前記結合周壁89は、回転半径に沿った方向外周側に周回状に設けられ、内周面に回転軸芯に沿った方向の係合突条93が周方向へ所定間隔で設けられている。結合周壁89には、回転半径方向内外に貫通する複数の貫通孔100(図2)が形成され、結合周壁89の内周側と外周側との間で潤滑オイルを通すことができるようになっている。結合周壁89は、前記係合周壁65の外周側に回転軸芯に沿った方向から嵌合し、係合突条93が係合溝71に係合している。
前記外側壁91は、前記一方の外側壁67に回転軸芯に沿った方向に対向している。従って、クラッチハウジング57は、概ね閉断面に形成されている。外側壁91の内周縁側には、ボス部95が備えられている。ボス部95には、結合体96が溶接等によって一体的に結合されている。
前記クラッチハブ59は、板金等のプレス成形によって形成され、係合周壁97と結合壁99と押圧部102とを備えている。
前記係合周壁97には、その外周面にスプライン部101が設けられている。係合周壁97には、回転半径方向内外に貫通する貫通孔が複数設けられ、係合周壁97の内周側と外周側との間で潤滑オイルを通すことができるようになっている。
前記結合壁99は、前記クラッチハウジング57の外側壁67,91間に位置し、外側壁67,91に沿って回転半径方向に延びている。結合壁99の内周縁には、鍛造等によって形成されたボス部103が一体的に結合されている。ボス部103には、フランジ部104とリング支持部106が一体に設けられている。
前記フランジ部104は、前記結合壁99に圧入、溶接等によって一体的に固着され、結合壁99の一部を構成している。前記リング支持部106は、周回状に設けられ、このリング支持部106には、潤滑オイル通過用の凹部108が周方向に所定間隔で複数設けられている。
前記押圧部102は、周回状に形成されている。
そして、前記クラッチハウジング57の一方のボス部75は、ニードルベアリング105を介して、前記ミッションケース53側の支持筒107に回転自在に支持されている。ボス部75の係合部87は、オイルポンプ109に係合している。オイルポンプ109は、ポンプハウジング111に設けられている。ポンプハウジング111は、ミッションケース53側に設けられた壁部材112に取り付けられている。従って、前記係合により、第1回転部材であるクラッチハウジング57は、前記固定側であるミッションケース53側に支持されたオイルポンプ109に連動係合された構成となっている。
前記クラッチハウジング57の他方のボス部95は、ベアリング113によってクラッチハブ59側のボス部103に相対回転自在に支持されている。ボス部95とハウジング51との間には、シール115が介設されている。ボス部95の結合体96の先端は、クランクシャフト118の端部に相対回転自在に嵌合している。結合体96には、ダンパー120の一側が噛み合っている。ダンパー120の他側は、クランクシャフト118に結合されている。
前記クラッチハブ59のボス部103は、前記トランスミッション5側への入力軸117にスプライン嵌合している。入力軸117は、ニードルベアリング119を介して、前記支持筒107内周面に回転自在に支持されている。
前記入力軸117には、回転軸芯に沿った方向の油孔121と、回転半径方向に沿った油孔123,125とが設けられている。油孔123は、前記オイルポンプ109側に連通している。油孔125は、油孔121側からのオイルを回転半径方向に排出して、後述する摩擦多板クラッチ側へ供給するためのものである。
前記油孔121の端部は、貫通孔128を有した蓋部材127で閉じられている。
前記クラッチハウジング57及びクラッチハブ59間には、摩擦係合部として摩擦多板クラッチ129が設けられている。摩擦多板クラッチ129は、締結力に応じて摩擦係合し、クラッチハウジング57及びクラッチハブ59間のトルク伝達を行うものである。
前記摩擦多板クラッチ129のアウタープレート131は、前記クラッチハウジング57側のスプライン部69にスプライン係合し、インナープレート133は、前記クラッチハブ59側のスプライン部101にスプライン係合している。
前記係合周壁65の内周面には、前記摩擦多板クラッチ129の締結を受け止めるストッパリング135が固定されている。
前記ボス部75上には、加圧部材セット137が配置されている。加圧部材セット137は、前記クラッチハウジング57の収容凹部73に配置され、前記クラッチハウジング57の係合周壁65及びクラッチハブ59の係合周壁97の内周側に位置している。従って、加圧部材セット137は、前記摩擦係合部である摩擦多板クラッチ129の内周内に配置された構成となっている。
前記加圧部材セット137は、相対回転可能な一対の部材139,141を備えている。部材139,141は、ドーナツ板状に形成され、両者間にボール143を備えたカム機構145が設けられている。カム機構145は、部材139,141間の相対回転により、回転軸芯に沿った方向の推力を発生するものである。加圧部材セット137は、前記推力によって前記摩擦多板クラッチ129を加圧締結するものである。
前記部材139の外周面には、係合部150が設けられ、前記固定側であるポンプハウジング111の係止部152に回転方向に係止されている。部材139の背面は、ニードルベアリング147を介して、ストッパリング149に支持され、ストッパリング149はスナップリング151によってボス部75に回転軸芯に沿った方向に位置決められている。ニードルベアリング147は、ボス部75の外周において前記一方の油孔85と位置的に対応している。
前記加圧部材セット137と前記クラッチハブ59側のフランジ部104との間に伝達部材153が介設されている。伝達部材153は、前記加圧部材セット137と前記クラッチハブ59の結合壁を構成するフランジ部104との間に介設され前記加圧部材セット137の推力を前記クラッチハブ59へ伝達するためのものである。
前記伝達部材153は、前記貫通部81に貫通配置されている。伝達部材153は、リング状の基部155と、該基部155に一体に設けられ前記貫通部81を貫通する当接部157とからなっている。当接部157は、前記貫通部81に対応して周方向に所定間隔で複数個設けられている。
前記基部155の背面は、ニードルベアリング159を介して、前記部材141側に当接している。ニードルベアリング159は、ボス部75の外周において前記他方の油孔83と位置的に対応している。
前記当接部157は、前記フランジ部104のリング支持部106に支持されたリング161に当接している。リング161は、ニードルベアリング163を介して、フランジ部104側に当接している。
前記部材141の外周部には、駆動部材としての歯車プレート165の内周縁側がリベット167の締結によって固定されている。歯車プレート165は、断面が屈曲形成され、前記収容凹部73から摩擦多板クラッチ129の回転半径方向である外周側へ延設されている。歯車プレート165の外周側は、扇型に形成され、その外周面に、ギヤ169が設けられている。
前記ミッションケース53側には、アクチュエータとして電動モータ171が固定されている。本実施例では、電動モータ171の本体が摩擦多板クラッチ129の回転半径方向外側で且つ摩擦多板クラッチ129に対して回転軸芯に沿った方向にオフセットして前記固定側であるミッションケース53側に取り付けられている。電動モータ171の回転駆動軸173は、ハウジング51内に先端部が突設され、該先端部は摩擦多板クラッチ129の回転半径方向外側に一部重なるようにしてハウジング51空間内に配置されている。回転駆動軸173には、先端部にギヤ175が設けられ、前記歯車プレート165のギヤ169に噛み合っている。ギヤ175,169は、大きなギヤ比を持っている。前記噛み合いにより、前記加圧部材セット137の一対の部材139,141の少なくとも一方、本実施例では部材141は、前記摩擦多板クラッチ129の回転半径方向に延設された歯車プレート165により前記電動モータ171に連動連結された構成となっている。
前記電動モータ171によって回転駆動軸173を所定角度回転駆動すると、ギヤ175,169を介して歯車プレート165が減速回転する。歯車プレート165の減速回転により加圧部材セット137の部材141が同方向へ回転する。加圧部材セット137の部材139は、係合部150及び係止部152を介して、固定側であるポンプハウジング111側に回転方向に係止されている。このため、前記部材141の回転によって部材139,141間で所定角度の相対回転を生じる。
この相対回転によって、カム機構145が働き、加圧部材セット137は、回転軸芯に沿った方向に推力を発生する。この推力は、部材139、ニードルベアリング147、ストッパリング149、スナップリング151を介して、ボス部75側で受けられる。ボス部75からの反力として部材141に推力が作用し、部材141が伝達部材153側へ移動する。
この部材141の移動によって、ニードルベアリング159、伝達部材153、リング161、ニードルベアリング163を介して、フランジ部104が押圧される。このフランジ部104の押圧によって、結合壁99全体が同方向に移動し、押圧部102によって摩擦多板クラッチ129がストッパリング135に対して締結される。
この摩擦多板クラッチ129の締結に際して、ストッパリング135で受けられた力は、クラッチハウジング57の本体部61側で受けられ、外側壁67を介してボス部75側に入力される。従って、前記カム機構145の推力による摩擦多板クラッチ129の締結力は、クラッチハウジング57の本体部61とボス部75との間で吸収することができる。
そして、前記摩擦多板クラッチ129の締結によって、摩擦多板クラッチ129は締結力に応じて摩擦係合し、発進クラッチ1はトルク伝達状態となる。
従って、エンジン3のクランクシャフト118からダンパー120を介して、クラッチハウジング57にトルクが伝達され、摩擦多板クラッチ129からクラッチハブ59を介し、トランスミッション5側の入力軸117へトルク伝達を行うことができる。
前記トランスミッション5からは、前記のようにトルク伝達が行われ、前輪15,17、後輪47,49による四輪駆動状態での走行を行うことができる。
前記電動モータ171の回転が元の位置へ戻され、部材141が部材139に対して逆方向へ回転移動すると、加圧部材セット137がカム機構145による推力を発生しない中立位置に戻る。この中立位置で摩擦多板クラッチ129の締結は解除され、発進クラッチ1はトルク非伝達状態となってクランクシャフト118、入力軸117間のトルク伝達は遮断される。
前記トランスミッション5のギヤのポジションが、例えばニュートラルN位置か、パーキングP位置である場合には、制御手段であるコントローラがこれを読み込み、該コントローラの制御により発進クラッチ1をトルク非伝達状態とする。これによってエンジン3とトランスミッション5との間のトルク伝達を遮断し、トランスミッション5側の部材が無駄に回転しないようにして、燃費向上を図ることができる。
また、前記トランスミッション5のギヤポジションがN,P以外であるときには、発進クラッチ1をトルク伝達状態とし、クランクシャフト118から入力軸117へのトルク伝達を行わせ、自動車の走行を円滑に行わせることができる。
前記エンジン3が回転しているときには、クランクシャフト118からクラッチハウジング57側へ常時回転が伝達されており、クラッチハウジング57と共に回転するボス部75の係合部87を介し、オイルポンプ109が回転駆動される。
図4は、オイルポンプ109の駆動による潤滑オイルの流れを示した断面図である。
図4の黒塗り矢印のように、オイルポンプ109の駆動によって、油孔123から油孔121へオイルが流入し、油孔121から油孔125及び貫通孔128からそれぞれオイルが流出する。
前記油孔125から流出したオイルは、入力軸117とボス部75との間に流入し、さらにその外側の油孔83,85、凹部108から各ニードルベアリング147,159,163へ至り、該ニードルベアリング149,159,163を潤滑しつつ、さらに外周側へ移動する。
外周側へ移動したオイルは、外側壁67の収容凹部167側及びクラッチハブ59に形成された貫通孔、クラッチハウジング57の係合周壁65及び結合周壁89に形成された貫通孔100(図2)等によって、摩擦多板クラッチ129の部分を通過して、さらに外周側へ移動する。
このようなオイルの移動によって、摩擦多板クラッチ129等の部分を的確に潤滑することができる。
また、前記貫通孔128から流出したオイルは、外周側のベアリング113等を潤滑する。
以上、本実施例のトルク断続装置は、電動モータ171により加圧部材セット137の部材141を回転駆動させると、一対の部材139,141間が相対回転して推力を発生し、摩擦多板クラッチ129を摩擦係合させることができる。従って、クラッチハウジング57及びクラッチハブ59間のトルク断続を行うことが可能となる。
しかも、加圧部材セット137を、摩擦多板クラッチ129の内径側に配置したため、摩擦多板クラッチ129の摩擦半径の増大を図りながら、全体的な大型化を抑制することができる。また、加圧部材セット137を、摩擦多板クラッチ129の回転軸芯に沿った方向で内径内側と内径外側との何れにも配置することが可能となり加圧部材セット137及び摩擦多板クラッチ129のレイアウトの自由度を広げることができる。
前記加圧部材セット137が前記摩擦多板クラッチ129の内周内に配置されたため、摩擦多板クラッチ129の配置容積と加圧部材セット137の配置容積とを共用することができ、全体的な大型化をより確実に抑制することが可能となる。
前記加圧部材セット137の部材141が、前記摩擦多板クラッチ129の回転半径方向に延設された歯車プレート165により前記電動モータ171に連動連結されたため、電動モータ171の配置の自由度を広げることができる。
前記電動モータ171が、前記摩擦多板クラッチ129の回転半径方向外側で且つ回転軸芯に沿った方向にオフセットして前記ミッションケース53側に取り付けられたため、電動モータ171の配置スペースを容易に確保することができる。
前記クラッチハウジング57の外側壁67に、前記クラッチハブ59の内周側へ入り込むように形成された収容凹部73を設け、前記収容凹部73に、前記加圧部材セット137を配置し、前記外側壁67に、前記加圧部材セット137に対向する貫通部81を設け、前記貫通部81に、前記加圧部材セット137と前記クラッチハブ59のフランジ部104との間に介設され前記加圧部材セット137の推力を前記クラッチハブ59へ伝達するための伝達部材153を貫通配置したため、前記摩擦多板クラッチ129と前記加圧部材セット137とを、回転軸芯に沿った方向で併設する必要がなくなる。
このため、摩擦多板クラッチの摩擦半径の増大を図ることができる。しかも、回転軸芯に沿った方向でのコンパクト化を図り、全体的な大型化を抑制することができる。
図5は、実施例1の変形例の実施例に係り、加圧部材セット及び伝達部材周辺の要部展開断面図である。全体的な構成は、発進クラッチ1を参照する。
前記発進クラッチ1は、トルク伝達状態にない場合でもクラッチハウジング57側が回転することで、伝達部材153が同方向に回転する。このとき、ニードルベアリング159は、前記のように常時オイルで潤滑されており、このオイルの粘性作用等によって伝達部材153の回転によりニードルベアリング159を介し部材141が同方向へ引きずりトルクを受けて回転しようとする。このため部材139,141間で引きずりトルクによる相対回転が起こり、前記同様に推力が発生して摩擦多板クラッチ129が摩擦係合し、引きずりトルクによるトルク伝達が行われる恐れがある。
そこで、図5のように、本実施例では、貫通部81Aと伝達部材153Aとの間に、キャンセル部177を設けている。キャンセル部177は、加圧部材セット137が受ける引きずりトルクにより発生する推力をキャンセルして摩擦多板クラッチ129を引きずりトルクによって締結されないようにした。
前記キャンセル部177は本実施例において、前記伝達部材153Aの当接部157Aに設けられたカム面179と、前記貫通部81Aに設けられたカム面181とで構成されている。カム面179,181は、回転方向で対称形状をなしている。
なお、前記カム機構145のボール143に当接する部材139のカム面183,185、部材141のカム面187,189も、回転方向で対称形状をなしている。
そして、発進クラッチ1がトルク伝達状態にない場合でも、クラッチハウジング57側が回転することで、伝達部材153Aが同方向に回転する。この場合の回転方向を図5の白抜き矢印で示している。
このとき、ニードルベアリング159は、前記のように常時オイルで潤滑されており、このオイルの粘性作用等によって伝達部材153Aの回転によりニードルベアリング159を介し部材141が同方向へ引きずりトルクを受けて回転する。
この引きずりトルクによる回転で、部材141が部材139に対し相対回転し、カム面189,183がボール143に乗り上げ、カム力を発生する。このカム力の方向を、ボール143側から右向きの黒塗り矢印及び下向きの黒塗り矢印として示している。
そして、カム機構145が前記引きずりトルクによって右向きの黒塗り矢印のような推力を発生することにより、キャンセル部177を設けない場合には、ニードルベアリング159、伝達部材153A、リング161、ニードルベアリング163を介してフランジ部104側へ推力が伝達される。従って、前記引きずりトルクによって、摩擦多板クラッチ129が締結される恐れがある。
しかし、本実施例では、前記のようにキャンセル部177を設けているため、クラッチハウジング57側が前記のように回転し、クラッチハブ59側のフランジ部77Aが伝達部材153Aの当接部157Aに当接すると、カム面181がカム面179に当接して力を発生する。
この場合の力を、図5においてフランジ部77A側から左向き黒塗り矢印と下向き黒塗り矢印で示している。前記左向き黒塗り矢印で示される力は、前記引きずりトルクによる右向き黒塗り矢印の推力に対向して、これをキャンセルする大きさに設定されているため、前記引きずりトルクによるカム機構145側の推力によって、伝達部材153Aが移動することはなくなる。
従って、前記引きずりトルクによって摩擦多板クラッチ129が締結されることはなく、確実なトルク断続を行うことができる。
すなわち、前記キャンセル部177により、潤滑オイルの粘度が高いとき、粘度が低い通常状態の何れにおいても引きずりトルクによる摩擦多板クラッチ129の締結を防止するか、締結を抑制することができる。
前記カム面179,181は、当接部157A、貫通部81Aにおいて回転方向に対称形状に形成されているため、キャンセル部177の構造は、発進クラッチ1に適用されるものに限られない。すなわち、後述する種々のトルク伝達装置として用いられクラッチハウジング57の回転方向が前後一定していない場合についても同様に引きずりトルクによる摩擦多板クラッチ129の締結を防止するか抑制することが可能となる。
図6は、実施例1の他の変形例に係る実施例を示し、加圧部材セットの要部断面図を示している。全体的な構成は、前記発進クラッチ1を参照する。
図6の実施例では、加圧部材セット137Bにキャンセル部177Bを設けたものである。キャンセル部177Bは、加圧部材セット137Bが受ける引きずりトルクにより発生する推力を軽減するものである。
前記キャンセル部177Bは、カム面183B,,185,187,189Bの角度設定によって構成している。すなわち、カム面183B,189Bは、カム面185,187に対し、回転方向の傾斜が大きくなるように設定されている。
図6において、白抜き矢印は、クラッチハウジング57の回転方向であり、黒塗り矢印は電動モータ171の回転駆動による部材141Bが受ける力の方向を示している。
従って、部材141Bが電動モータ171によって回転駆動され、部材139B,141B間に相対回転が起こるときは、カム面185,187がボール143に乗り上げ、回転軸芯に沿った方向へ相対的に大きな推力を発生して、前記同様、摩擦多板クラッチ129を確実に締結することができる。
また、発進クラッチ1がトルク伝達状態にないとき、クラッチハウジング57側が回転して、前記同様に部材141Bが引きずりトルクを受けると、反対側のカム面189B,183Bがボール143に乗り上げることになる。この場合、カム面189B,183Bのカム角度の設定により回転軸芯に沿った方向への推力を軽減し、摩擦多板クラッチ129の締結を抑制することができる。
この図6の実施例の場合、発進クラッチ1のようにクラッチハウジング57側の回転方向が一方向である場合に有効である。
このように、図5,図6の実施例では、前記加圧部材セット137が受ける引きずりトルクにより発生する推力をキャンセル又は軽減するキャンセル部177,177Bを設けたため、引きずりトルクによって加圧部材セット137が発生する推力をキャンセルするか軽減することができ、引きずりトルクによる摩擦多板クラッチ129の摩擦係合を抑制し、正確なトルク断続を行うことができる。
すなわち、摩擦多板クラッチ129の引きずりトルクの防止又は抑制によって、動力損失を減らすことができ、燃費を向上させることができる。
また、前記キャンセル部177,177Bは、カム面179,181,183B,189Bで構成されたため、引きずりトルクによって加圧部材セット137が発生する推力をカム面179,181によって確実にキャンセルし又はカム面183B,189Bによって確実に軽減し、より確実なトルク断続を行うことができる。
図7〜図9は本発明の実施例2に係り、図7は発進クラッチ及びその周辺を示す断面図、図8は図7のSA矢視における要部正面図である。図9(a)は引きずりトルクによる一時的な立ち上がりを説明するアクチュエータ印加電流とトルクとの関係のグラフ、(b)は実施例2のアクチュエータ印加電流とトルクの関係のグラフである。尚、基本的な構成は実施例1と同様であるため、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
前記発進クラッチ1では、電動モータ171の電流制御により前記加圧部材セット137の部材141を加圧部材セット137の中立位置から回転駆動し、前記のように推力を発生させる場合、カム機構145においてボール143とカム面との間の回転方向のガタが詰まるまで電動モータ171側に作用する負荷は極めて小さいため、電動モータ171は速い速度で回転する。
そして、前記カム機構145のガタが詰まった後、前記推力を発生することになり、前記ガタが詰まったときに電動モータ171に作用する負荷が反力として急増する。このとき、電動モータ171内の回転部品等の慣性力が歯車プレート165を介して加圧部材セット137側に作用する。この慣性力によってカム機構145で発生する推力が一時的に大きく立ち上がり、この一時的な立ち上がりの推力で摩擦多板クラッチ129が締結され、振動などの原因となり易くなる。
そこで、本実施例の発進クラッチ1Cでは、電動モータ171と、加圧部材セット137との間に、ダンパー機構191を設けたものである。ダンパー機構191は、電動モータ171側の慣性力をダンピングするものであり、慣性力によってカム機構145で発生する推力が一時的に大きく立ち上がるのを抑制する。
前記ダンパー機構191は、歯車プレート165Cに設けられている。歯車プレート165Cには、折曲部193が設けられている。折曲部193の根元部において、補助プレート195がスポット溶接等によって固定され、折曲部193と補助プレート195との間に、間隔を空けた支持部を構成している。折曲部193と補助プレート195とには、それぞれスプリング係合窓197が設けられている。
前記折曲部193及び補助プレート195間には、遊動プレート199が介設されている。遊動プレート199にもスプリング係合窓201が設けられている。
前記各スプリング係合窓197,201に係合するように、ダンピング用のコイルスプリング203が介設されている。
前記遊動プレート199の外周端縁には、前記ギヤ169が設けられ、電動モータ171側のギヤ175が噛み合っている。
そして、前記のように電動モータ171の慣性力によってカム機構145で発生する推力が一時的に大きく立ち上がると、この一時的な立ち上がりの推力で摩擦多板クラッチ129が締結され、図9(a)のように電動モータ171の印加電流に対して伝達トルクの立ち上がりが一時的な増大205を招くことになり、滑らかなトルクの立ち上がりが得られなくなる。
これに対し、上記のように、ダンパー機構191を設けることによって、電動モータ171側の慣性力が遊動プレート199に作用すると、誘導プレート199が折曲部193及び補助プレート195に対して相対移動する。このときスプリング係合窓197,201間でコイルスプリング203が圧縮され、前記電動モータ171側の慣性力が緩衝されつつ回転駆動力が伝達される。
従って、電動モータ171側の慣性力が歯車プレート165Cを介して加圧部材ユニット137側へ伝達されるのを抑制することができる。
この場合の電動モータ171の印加電流に対する前記摩擦多板クラッチ129の伝達トルクの立ち上がりは、図9(a)のような一時的な増大205を抑制して、図9(b)のように滑らかな立ち上がりとすることができ、ショックの少ない円滑なトルク断続を行うことができる。
図10,図11は、実施例2の変形例に係る実施例を示し、図10は発進クラッチ1Dの要部断面図、図11は図10のSB部の拡大断面図である。
本実施例の発進クラッチ1Dでは、前記電動モータ171側の慣性力が前記加圧部材セット137に働いて発生する推力をダンピングするダンパー機構191Dを加圧部材セット137とボス部75との間に設けたものである。すなわち、本実施例では、ストッパリング149とスナップリング151との間に、皿ばね207を介設している。
本実施例では、電動モータ171側から加圧部材セット137に慣性力が入り、カム機構145が一時的に大きな推力を発生する場合に、部材139からニードルベアリング147,ストッパリング149を介して皿ばね207が力を受ける。この力で皿ばね207がストッパリング149とスナップリング151との間で撓み、前記一時的な立ち上がりの推力を緩衝する。この緩衝により、摩擦多板クラッチ129は、一時的に増大する推力による締結が抑制される。
前記電動モータ171側の慣性力による推力が皿ばね207で緩衝された後は、皿ばね207は撓んだまま底付きし、カム機構145が電動モータ171の駆動により滑らかに推力を発生し、摩擦多板クラッチ129を印加電流に応じて締結することができる。
従って、本実施例においても、上記実施例と同様に、図9(b)のような特性を得ることができる。
図12〜図15は本発明の実施例3に係り、図12は発進クラッチ及びその周辺の断面図である。図13(a)はガタ大状態の加圧部材セットの一部省略正面図、同(b)はガタ中状態の加圧部材セットの一部省略正面図、同(c)はガタ小状態の加圧部材セットの一部省略正面図である。図14(a)はガタ大状態の加圧部材セットの要部展開断面図、(b)はガタ中状態の加圧部材セットの要部展開断面図、(c)はガタ小状態の加圧部材セットの要部展開断面図である。図15は実施例3の動作を説明するフローチャートである。尚、基本的な構成は実施例1と同様であり、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
前記のように、電動モータ171内の回転部品等の慣性力が歯車プレート165を介して加圧部材セット137側に作用すと、この慣性力によってカム機構145で発生する推力が一時的に大きく立ち上がる。
そこで、本実施例の発進クラッチ1Eでは、電動モータ171の制御により、加圧部材セット137の回転駆動を回転方向のガタ詰め時は相対的に早く、ガタ詰め終了側は相対的に遅く回転させる制御手段を設け、前記慣性力の影響を抑制した。
すなわち、図12のように、ミッションケース53側に制御手段の一部を構成する位置センサ209が歯車プレート165に対向して設けられている。
図13のように、前記歯車プレート165Eには、回転方向に沿って例えば3つのマーク211,213,215が連続して設けられ、同じく制御手段の一部を構成している。マーク211はガタ小センシングポイント、マーク213はガタ中センシングポイント、マーク215はガタ大センシングポイントを示している。
図13において、マーク211,213,215及び位置センサ209を共に歯車プレート165EのSC矢視の方向から見て手前側に示しているが、これは便宜上図示したものであり、実際は位置センサ209は図12の配置であり、マーク211,213,215は歯車プレート165Eの位置センサ209対向側の面に設けられている。
本実施例のカム機構145Bは、前記図6で示した実施例のカム機構145Bを利用しており、また、キャンセル部177Bを備えたものとなっている。
前記電動モータ171の中立位置では、図13(a)のように位置センサ209がガタ大センシングポイントであるマーク215を検知する。このとき図14(a)のように、カム機構145Bはカム面185,187,183B,189Bとボール143との間のガタが大きい状態となっている。
前記電動モータ171が駆動され、歯車プレート165Eが図13(b)の位置まで回転すると、位置センサ209はガタ中センシングポイントのマーク213を検知する。このとき図14(b)のように、カム機構145Bはカム面185,187がボール143に接近して相互間のガタが中程度と少なくなる。
前記電動モータ171がさらに駆動され、歯車プレート165Eがさらに回転すると、図13(c)のように位置センサ209がガタ小センシングポイントのマーク211を検知する。このとき図14(c)のように、カム機構145Bのカム面185,187が、ボール143に当接し、カム機構145Bが推力を発生し始める。この推力によって部材141が移動し、摩擦多板クラッチ129側のアウタープレート131及びインナープレート133間の隙間が殆ど詰められた状態となる。
このように図14の(a)のガタ大、同(b)のガタ中、同(c)のガタ小の各状態を位置センサ209によって検出し、該位置センサ209の検出値を制御手段を構成するコントローラに入力することにより、前記電動モータ171の回転速度を制御する。
すなわち、図14(a)のガタ大の状態から、図14(b)のガタ中の状態へは、電動モータ171を高速で回転させる。図14(b)のガタ中の状態から、図14(c)のガタ小の状態へは、電動モータ171を低速で回転させる。図14(c)のガタ小以後は、電動モータ171による摩擦多板クラッチ129の必要なトルク制御を行う。
図15フローチャートを用いてさらに説明すると、ステップS1では、「位置センサ検出値の読込」の処理が実行され、前記コントローラにおいて前記位置センサ209のマーク211,213,215の何れかの検出値を読み込み、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、「位置センサは、ガタ大を判定しているか?」の判断が実行される。ステップS2において、位置センサ209がマーク215を検知しているときは、図14(a)の状態であり、ガタ大と判定され(YES)、ステップS3へ移行する。ステップS2において、位置センサ209がマーク215以外を検知しているときには、図14(b)又は図14(c)の状態であり、ガタ大ではないと判定され(NO)、テップS4へ移行する。
ステップS3では、「アクチュエータは高速で回転させる」の処理が実行される。この処理では、前記電動モータ171が高速で回転され、図13(a),図14(a)のガタ大の状態から、図13(b),図14(b)のガタ中の状態まで駆動される。この駆動状態において、ステップS5へ移行し、「位置センサは、ガタ中と判定しているか?」の判断が実行される。
ステップS5において、ガタ中と判定されたときは、前記電動モータ171の高速回転制御の結果、図13(b),図14(b)の状態まで達したため、ステップS6へ移行する。
ステップS5において、電動モータ171の高速回転制御中に、ガタ中と判定されないときは、図13(a),図14(a)から図13(b),図14(b)へ至る途中にあるため、ステップS3へ戻り、電動モータ171の高速回転が継続される。
ステップS6では、「アクチュエータは低速で回転させる」の処理が実行される。この処理では、電動モータ171が低速で回転され、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、「位置センサは、ガタ小と判定しているか?」の処理が実行される。ステップS7において、ガタ小と判定されたときは(YES)、電動モータ171の低速回転制御の結果、図13(b),図14(b)の状態から図13(c),図14(c)の状態へ至ったものであるから、ステップS8へ移行する。ステップS7において、ガタ小と判定されないときは、図13(b),図14(b)の状態から図13(c),図14(c)へ至る途中にあるため、ステップS6へ戻り、電動モータ171の低速回転制御が継続される。
ステップS8では、「アクチュエータは必要なトルク制御を行う」が実行される。このステップS8では、カム機構145Bのガタ詰め完了状態から、摩擦多板クラッチ129での必要な伝達トルクを得るために電動モータ171の制御が行われる。
前記ステップS4では、「位置センサはガタ中と判定しているか?」の処理が実行される。このステップS4でガタ中と判定されたときは(YES)、図13(b),図14(b)の状態であるから、ステップS6へ移行し、前記同様、電動モータ171が低速回転制御される。
ステップS4において、ガタ中と判定されないときは、図13(a),図14(a),図13(b),図14(b)の何れの状態でもないため、ステップS7へ移行し、前記同様、ガタ小の判定が行われ、ステップS8へ移行して必要なトルク制御が行われるか、ステップS6へ移行し電動モータ171の低速回転制御が行われる。
以上のような制御によって、図13(a),図14(a)のガタ大の状態から、図13(b),図14(b)のガタ中の状態へは、電動モータ171を高速回転させて、加圧部材セット137Bに存在する大きなガタを迅速に詰めることができる。
図13(b),図14(b)のガタ中の状態から、図13(c),図14(c)のガタ小の状態へは、電動モータ171を低速回転制御し、これによってカム機構145B等のガタが詰められたときに電動モータ171側の慣性力がカム機構154Bから摩擦多板クラッチ129に作用するのを抑制することができる。
すなわち、ガタの大きい中立位置側から電動モータ171の相対的に早い回転駆動によって加圧部材セット137Bのガタ詰めを迅速に行い、ガタが詰まって推力が発生するときは相対的に遅い回転駆動によって加圧部材セット137Bに対する電動モータ171側の慣性力の影響を抑制することができる。このため、前記電動モータ171の慣性力が影響することで前記摩擦多板クラッチ129の摩擦係合力が一時的に立ち上がるのを抑制し、ショックの少ない円滑なトルク断続を行わせることができる。
前記電動モータ171の相対的に早い回転駆動によって加圧部材セット137Bのガタ詰めを迅速に行なうことができるから、図13(a),図14(a)のように、カム機構145Bのガタを大きく設定して擦多板クラッチ129の隙間を大きくしても締結応答性を確保することができ、且つ前記のような引きずりトルクによる締結をより確実に抑制することができる。
なお、本実施例でも、キャンセル部177Bを設けているため、図6の場合と同様に、このキャンセル部177Bにおいても前記慣性力による推力の発生を軽減することができ、よりショックの少ない円滑なトルク断続を行わせることができる。
また、前記のような位置センサ209を設けずに、アクチュエータを電動モータ171に変えてステッピングモータとし、位置を把握しながら制御することにより同様な作用効果を奏することができる。また、摩擦多板クラッチ129の長時間の使用により摩耗が進行し、ガタ量が変化した場合には、電動モータ171の回転数の増加などからガタ量の増加分を検出し、フィードバック制御によりアクチュエータの高速回転、低速回転のタイミングを変更することもできる。
図16は、実施例4に係る車両発進時のフローチャートである。トルク断続装置としては、前記実施例1から実施例3の発進クラッチ1,1C,1D,1Eを用いることができる。加圧部材セットは、例えば図14と同様に構成している。部材の符号は実施例1から実施例3を参照する。
前記発進クラッチ1,1C,1D,1Eでは、摩擦多板クラッチ129の引きずりトルクを小さくするために摩擦多板クラッチ129のアウタープレート131及びインナープレート133間の隙間を大きく設定する必要がある。
しかし、アウタープレート131及びインナープレート133間の隙間を大きく設定すると加圧部材セット137,137Bの回転方向のガタが大きくなる。このため、摩擦多板クラッチ129を締結してトルクを伝達するときに、まず大きなガタ詰めを経なければならず、電動モータ171の電流制御に対する摩擦多板クラッチ129締結の応答性が向上に制約を受けるという問題がある。
そこで、本実施例の発進クラッチ1,1C,1D,1Eでは、自動車の状態に応じて前記加圧部材セット137,137Bをガタを有した中立位置とガタが無いか少ないガタ詰め位置側とにスタンバイさせるように前記電動モータ171を制御する制御手段を設けたものである。
前記自動車の状態は、本実施例においてトランスミッション5のギヤのポジション位置を検出し、自動車が駐停車状態か、走行中か、走行中でブレーキペダルを踏み込んでいるかを判断したものである。
前記制御手段は、トランスミッション5のギヤのポジション位置を検出するインヒビタスイッチ、及びインヒビタスイッチの検出信号を入力して電動モータ171を制御するコントローラ等によって構成されている。
前記電動モータ171の制御が実行されると、図16のステップS11において、「ギヤのポジション読込」の処理が実行される。このステップS11では、インヒビタスイッチ等によって検出されたトランスミッション5のギヤのポジション位置が読み込まれ、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、「ギヤのポジションはNかPであるか?」の判断が実行される。コントローラにおいて、前記読み込まれたギヤのポジション位置がニュートラルN位置かパーキングP位置であると判断された場合には(YES)、自動車は駐停車状態であるからステップS13へ移行する。N位置、P位置でないと判断された場合には(NO)、走行状態であるとしてステップS14へ移行する。
前記ステップS13では、「加圧部材セットを中立位置に設定」の処理が実行される。この処理では、図14(a)のように、加圧部材セット137Bのカム機構145Bに大きなガタのある中立位置を保持するように、電動モータ171が制御され、ステップS15へ移行する。
ステップS15では、「ギヤのポジションはNかP以外で且つ、ブレーキを踏んでいるか?」の判断が実行される。ギヤのポジションがN位置かP位置以外で、且つブレーキが踏み込まれている場合には(YES)、走行中ではあるがブレーキがかけられたとしてステップS16へ移行する。そうでない場合には(NO)、依然、駐停車状態であるとしてステップS13へ戻る。
ステップS16では、「加圧部材セットをガタ詰め位置に設定」の処理が実行される。この処理では、図14(b)のように、加圧部材セット137,137Bのガタ詰めが行われ、ガタ中のガタが少ないガタ詰め位置側となるように電動モータ171が回転制御される。走行中にブレーキがかけられているときには、次にアクセルペダルが踏み込まれたときに加圧部材セット137,137Bのガタ詰め状態から摩擦多板クラッチ129の伝達トルクを応答性良く立ち上げるためである。このとき、加圧部材セット137,137Bは例えば図14(b)の状態でスタンバイし、次のステップS17へ移行する。
ステップS17では、「ギヤのポジションはNかP以外で且つブレーキを踏んでいない、またはアクセルONか?」の判断が実行される。トランスミッション5のギヤのポジションがN位置かP位置以外で、且つブレーキを踏んでいない、又はアクセルONである場合は(YES)、走行中で且つブレーキを踏んでいないかアクセルONによって加速中等である。この場合は、摩擦多板クラッチ129を締結しておく必要があるためステップS18へ移行し、そうでない場合には(NO)、ステップS16へ戻る。
ステップS18では、「クラッチを締結する」の処理が実行され、例えば図14(b)の状態から図14(c)のガタが小さい状態へ電動モータ171が低速回転制御され、さらに電動モータ171が回転されることによって、摩擦多板クラッチ129が所定の伝達トルクを得るように締結制御される。
前記ステップS14では、「ギヤのポジションはNかP以外で、且つ、ブレーキを踏んでいるか?」の判断が実行される。トランスミッション5のギヤのポジションがN位置かP位置以外で、且つブレーキを踏んでいる場合、すなわち走行中にブレーキペダルが踏み込まれた場合には(YES)、前記同様にステップS16へ移行し、加圧部材セット137,137Bが図14(b)のガタ詰め位置にスタンバイされる。
前記ステップS14の判断で、ギヤのポジションがN位置かP位置以外で、且つブレーキを踏んでいる状態でない場合、すなわち走行中ブレーキペダルが踏み込まれていない場合には(NO)、前記同様ステップS17へ移行し、前記同様の制御が実行される。
このような制御によって、トランスミッション5のギヤのポジションがN位置かP位置であって、自動車が駐停車状態である場合には、加圧部材セット137,137Bを中立位置にスタンバイさせることで、そのガタは図14(a)のように大きく保持される。従って、摩擦多板クラッチ129の引きずりトルクを抑制し、正確なトルク断続を行うことができる。
すなわち、動力損失を減らすことができ、燃費を向上させることができる。
自動車の走行中にブレーキペダルが踏み込まれている場合には、加圧部材セット137,137Bを図14(b)のようなガタ中の状態にスタンバイさせることによって、ブレーキペダルの踏み込みを解除した際、さらにはアクセルペダルを踏み込んだ際に、摩擦多板クラッチ129の締結動作を直ちに行わせ、応答性を向上させることができる。
自動車が走行中でブレーキの踏み込みがない場合、あるいはさらにアクセルペダルが踏み込まれている場合には、摩擦多板クラッチ129を締結制御することによって確実なトルク伝達を行わせることができる。
このように、本実施例の発進クラッチ1,1C,1D,1Eでは、自動車の状態に応じて前記加圧部材セット137,137Bをガタを有した中立位置とガタが少ないガタ詰め位置とにスタンバイさせるように前記電動モータ171を制御するため、自動車の状態に応じて迅速に摩擦多板クラッチ129を摩擦係合させ、トルク伝達を行うことができる。
また、ガタを有した中立位置にスタンバイさせることによって、摩擦多板クラッチ129での隙間を的確に確保することができ、摩擦多板クラッチ129の引きずりトルクによる締結を抑制して、トルクの正確な遮断を行うことができる。
なお、前記ステップS16では、加圧部材セット137,137Bを例えば図14(c)の状態でスタンバイさせ、ガタがほとんど無い状態でスタンバイさせる構成にすることもできる。
図17は実施例4の変形例に係るフローチャートである。
前記摩擦多板クラッチ129の引きずりトルクは、潤滑オイルの粘度に影響される。潤滑オイルの粘度は、自動車が走行開始後間もない状態か否かの状態によって変化する。従って、自動車の状態として潤滑オイルの温度を検出し、この温度に基づいて制御し、摩擦多板クラッチ129の引きずりトルクを抑制する。
そこで、本実施例では、制御手段としてトランスミッション5内又はハウジング51内の油温を検知する油温センサと、該油温センサの検出値を入力して、電動モータ171を制御するコントローラ等によって構成している。
図17のフローチャートが実行されると、ステップS21において、「油温の読込」の処理が実行され、油温センサによってトランスミッション5内又はハウジング51内の油温の検出値が読み込まれ、ステップS22へ移行する。
ステップS22では、「油温は設定値に対して低いか?」の判断が実行される。油温が設定値に対して低い場合には(YES)、潤滑オイルの粘度が高く、引きずりトルクによるクラッチ締結を起こしやすい為、ステップS23へ移行し、そうでない場合にはステップS25へ移行する。
ステップS23では、「加圧部材セットを中立位置に設定」の処理が実行される。この処理では、図16のステップS13と同様の制御が行われる。すなわち、加圧部材セット137,137Bのカム機構145Bに大きなガタのある中立位置でスタンバイするように、電動モータ171が制御され、ステップS24へ移行する。
ステップS24では、「油温は設定値に対して高いか?」の判断が実行される。油温が設定値に対して高い場合には(YES)、自動車の走行後ある程度時間がたっており、潤滑オイルの粘度も低く、摩擦多板クラッチ129での引きずりトルクも無いかごく僅かであるとしてステップS25へ移行し、そうでない場合にはステップS23へ戻る。
ステップS25では、図16のステップS16と同様な制御が行われる。すなわち、図14(b)のように、加圧部材セット137,137Bのガタ詰めが行われ、ガタが少ないガタ詰め位置側でスタンバイするように電動モータ171が回転制御される。
前記トランスミッション5内、ハウジング51内の油温が低いとき、発進クラッチ1,1C,1D,1E側に潤滑オイルとして供給された場合に、その粘性が高いことによって摩擦多板クラッチ129に引きずりトルクが大きく発生する可能性がある。従って、図17の実施例では、加圧部材セット137,137Bを図14(a)のガタ大の中立位置でスタンバイさせ、摩擦多板クラッチ129の引きずりトルクを抑制することができる。
また、油温が高くなって、潤滑オイルとしての粘性が低くなると、引きずりトルクは減少するか、ほとんど無くなるため、加圧部材セット137,137Bを図14(b)のガタ中の状態としてスタンバイさせ、摩擦多板クラッチ129の引きずりトルクを抑制しながら、該摩擦多板クラッチ129の締結の応答性を向上させることができる。
なお、前記ステップS16の場合と同様に、ステップS25において、加圧部材セット137,137Bを例えば図14(c)の状態でスタンバイさせ、ガタがほとんど無い状態でスタンバイさせる構成にすることもできる。
図18〜図21は本発明の実施例4に係り、図18は、発進クラッチ1F及びその周辺の断面図である。図19は、一方の部材の位置決め状態を示す加圧部材セットと位置決め壁との関係の一部省略正面図である。図20は、他方の部材の位置決め状態を示す係合部及び係止部の関係を示す一部省略正面図である。図21は加圧部材セットの位置を示し、(a)は加圧部材セットの中立位置を示す要部展開断面図、(b)は加圧部材セットの推力発生位置を示す要部展開断面図である。尚、基本的な構成は実施例1と同様であり、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
前記発進クラッチ1,1C,1D,1Eをハウジング51に組み込む際に、摩擦多板クラッチ129を隙間のあるニュートラル状態で組み込むため、加圧部材セット137,137Bのカム機構145,145Bをニュートラル位置に位置決めして組み込む必要がある。
しかし、この組み込みに際し、加圧部材セット137,137Bの中立位置を目視しながら行うことは、相当の困難が伴う。
そこで、本実施例の発進クラッチ1Fでは、固定側であるハウジング51に、加圧部材セット137の部材139,141を回転方向に位置決めて組み付け可能にする位置決め部を設け、前記位置決め部によって前記部材139,141を位置決め、前記加圧部材セット137の中立位置を保持させるようにしたものである。
すなわち、本実施例の発進クラッチ1Fでは、図18,図19のように、ハウジング51Fは、本体部219と蓋部221とから構成され、本体部219に対し蓋部221がボルト223等によって複数箇所で締結固定されている。
前記ハウジング51Fの本体部219には、位置決め部として位置決め壁225が突設されている。位置決め壁225は、歯車プレート165の端縁部227に当接し、歯車プレート165を位置決めている。これによって、歯車プレート165と一体的な加圧部材セット137の部材141が位置決められる。
また図20のように、加圧部材セット137Fの部材139の係合部150を回転方向に係止する係止部152は、前記ポンプハウジング111側に突設された突部229,231間に形成されている。
そして、組み付け時には、蓋部221を取り外している状態で、本体部219に加圧部材セットを組み込み、部材139の係合部150をポンプハウジング111側の係止部152に回転方向に係止させる。同時に、歯車プレート165を本体部219の位置決め壁225に図19のように当接させ、加圧部材セット137の部材141を回転方向に位置決める。
この状態で、図21(a)のように、加圧部材セット137におけるカム機構145のガタが大きい中立状態に設定することができる。
すなわち、前記位置決め壁225、係合部150及び係止部152によって、加圧部材セット137の部材139,141の回転方向の位置関係を位置決め、発進クラッチ1Fの組み付け時には加圧部材セット137を図21(a)のような中立位置に自動的に保持させることができ、組み付けを極めて容易に行うことができる。
そして、このように設定された加圧部材セット137の中立位置から、電動モータ171の回転制御によって、部材139、141間を相対回転させ、図21(b)のように、カム面185,187がボール143を乗り上げ、推力を発生させることができる。
従って、正確に決定された中立位置を基準にして、電動モータ171を回転制御し、摩擦多板クラッチ129を正確に締結制御、締結解除することができ、正確なトルク断続を行わせることができる。
なお、本実施例は、発進クラッチ1,1C,1D,1E等にも同様に適用することができる。
図22,図23は本発明の実施例6に係り、図22は発進クラッチ1G及びその周辺の断面図、図23は同要部拡大断面図である。尚、基本的な構成は図7の実施例2と同様であり、対応する構成部分には同符号を付して説明する。
前記発進クラッチ1,1C,1D,1E,1Fでは、回転駆動軸173からは、ギヤ175,169を介して大きく減速され、歯車プレート165,165Cが回転駆動される。これによって加圧部材セット137,137Bの部材141,141Bが回転駆動され、カム機構145,145Bによって推力を発生させ、摩擦多板クラッチ129を締結制御することができる。このとき、前記減速により、小さな電動モータ171を用いて摩擦多板クラッチ129を確実に締結制御することができる。
しかし、摩擦多板クラッチ129の締結を解除するときに、前記電動モータ171を逆転させて各部の連動により加圧部材セット137,137Bを動作させて解除しようとすると、前記減速があるため、電動モータ171の逆転に対して摩擦多板クラッチ129の締結解除動作の応答遅れを招きやすくなる。このため、電動モータ171のさらなる小型化を図るためにより大きな減速を行うことにも無理がある。
そこで、本実施例の発進クラッチ1Gでは、アクチュエータ233と、加圧部材セット137との間に、断続手段として電磁クラッチ235を設けた。また、アクチュエータ233の駆動により加圧部材セット137を駆動し、前記推力を発生させるときは、前記電磁クラッチ235を回転接続状態とし、前記推力を解放するときは、同回転遮断状態とする制御手段としてコントローラを設けた。
前記電磁クラッチ235は、本実施例においてアクチュエータ233のアクチュエータハウジング236に取り付けられた電磁石238を備えている。前記アクチュエータ233は、電動モータによって正逆回転駆動されるウォームギヤ237と、該ウォームギヤ237に噛み合うウォームホイール239とを備えている。従って、ウォームギヤ237とウォームホイール239との間で大きな減速が行われる。
前記ウォームホイール239には、ビス241によってプレート243が締結固定されている。プレート243の内周縁244は、回転駆動軸173の端部側に設けられた周溝246に嵌合支持されている。これにより、ウォームホイール239は、回転駆動軸173側に相対回転自在に支持されている。プレート243は可撓構造であり、ウォームホイール239はウォームギヤ237と噛み合ったまま、電磁石238側へ若干移動できるようになっている。
前記回転駆動軸173には、フランジ部245が設けられている。フランジ部245には、非磁性体部247が周回状又は周方向へ所定間隔で設けられている。フランジ部245とウォームホイール239との対向面には、所定の摩擦係数を有したアクチュエータ摩擦係合部として摩擦クラッチプレート249が介設されている。摩擦クラッチプレート249は、省略することもでき、フランジ部245とウォームホイール239との対向面をそれぞれ所定の摩擦係数を有するように形成することもできる。
従って、本実施例では、前記電磁石238、ウォームホイール239、フランジ部245、摩擦クラッチプレート249が、前記電磁クラッチ235を構成している。
前記フランジ部245の外周側には、鍔部251が設けられている。鍔部251は、前記電磁石238とアクチュエータハウジング236との間に介在してアクチュエータハウジング236側に回転ガイドされる。
前記アクチュエータハウジング236には、嵌合部255が突設され、前記回転駆動軸173は、該嵌合部255を貫通している。嵌合部255には、Oリング等のシール253が備えられている。嵌合部255は、ミッションケース53側の嵌合凹部257内に嵌合保持されている。
そして、コントローラにより、電磁石238を通電制御すると、電磁石238から回転駆動軸173側のフランジ部245を通り、ウォームホイール239との間で磁界が形成される。この磁界によってウォームホイール239及び回転駆動軸173のフランジ部245が電磁石238側に引き付けられる。
この引き付けにより、フランジ部245とウォームホイール239との間の摩擦クラッチプレート249が締結され、ウォームホイール239からフランジ部245を介し回転駆動軸173側へ回転力が伝達される。
従って、電動モータの回転によりウォームギヤ237を回転駆動することにより、回転駆動軸173を大きく減速しながら回転駆動することができる。
前記電磁石238の通電制御が停止されると、プレート243の戻り力によって、フランジ部245からウォームホイール239が離れ、摩擦クラッチプレート249の締結が解除される。従って、ウォームホイール239のプレート243に対し回転駆動軸173が相対回転可能となり、回転駆動軸173は自由に回転することができる。
すなわち、フランジ部245とウォームホイール239とが結合されている状態では、電動モータによってウォームギヤ237が回転駆動されると、ウォームホイール239が大きく減速回転する。ウォームホイール239からは、摩擦クラッチプレート249、フランジ部245を介して回転駆動軸173が回転駆動される。前記回転駆動軸173からは、ギヤ175,169間で再び減速され、歯車プレート165Cが減速回転駆動される。
これによって前記同様、加圧部材セット137の部材141が回転駆動され、カム機構145によって推力を発生させ、摩擦多板クラッチ129を締結制御することができる。このとき、ウォームギヤ237、ウォームホイール239間の減速、及びギヤ175,169間の減速によって、小さな電動モータを用いて摩擦多板クラッチ129を確実に締結制御することができる。
前記摩擦多板クラッチ129の締結を、自動車の走行状態等に応じて解除するとき、前記電動モータ171の通電制御を停止させ前記加圧部材セット137,137Bの戻り力のみで行うことには無理がある。特にウォームギヤ237及びウォームホイール239を用いると、小さな電動モータを用いて摩擦多板クラッチ129を確実に締結制御することはできるが、加圧部材セット137,137B側の戻り力でウォームホイール239を逆転させることは困難だからである。
本実施例では、走行状態等の検出信号をコントローラに入力し、コントローラが電磁石238の通電制御を遮断する。これによって、回転駆動軸137はウォームホイール239に対して回転自由となる。加圧部材セット137による推力が、回転駆動軸137の自由回転により瞬時に解放される。この推力解放に応じて摩擦多板クラッチ129の締結も直ちに解除される。従って、摩擦多板クラッチ129の締結解除の応答性が著しく向上する。
このように、本実施例では、大きな減速を行うことでより小型の電動モータにより摩擦多板クラッチ129を確実に摩擦係合させることができ、全体的により小型、軽量化を図ることができる。
また、前記アクチュエータ233により大きく減速して加圧部材セット137の部材を回転駆動する構成としても、締結解除の応答性が著しく向上する。
前記電磁クラッチ235は、前記アクチュエータ233に設けられ、前記電磁クラッチ235により、前記アクチュエータ233の回転駆動軸137の回転駆動を断続するため、アクチュエータ233及び電磁クラッチ235を一体的に取り扱うことが可能となり、部品点数が少なくなり、組み付け、部品管理が容易となる。
なお、本実施例は、発進クラッチ1,1C,1D,1E,1F等にも同様に適用することができる。
上記各実施例では、加圧部材セット137,137Bの一方の部材139,139Bを固定側に係合させ、他方の部材141,141Bを回転駆動するようにしたが、双方をギヤ比が僅かに異なるギヤで各別に駆動し、あるいは噛み合い半径が僅かに異なるギヤでそれぞれ駆動し、相対回転を発生させる構成にすることもできる。
前記摩擦係合部としての摩擦多板クラッチ129は、コーンクラッチなど押圧力によって締結されるその他のもので構成することもできる。
前記加圧部材セット137,137Bは、回転軸芯に沿った方向の少なくとも一部が前記摩擦係合部である摩擦多板クラッチ129の内周内に配置されれば良く、一部、例えば部材141側のみ摩擦多板クラッチ129の内周内に配置された構成にすることもできる。さらに前記加圧部材セット137,137Bは、前記摩擦多板クラッチ129の内径側に配置されれば良く、加圧部材セット137,137Bが、摩擦多板クラッチ129の内径内側から回転軸芯に沿った方向へずらし摩擦多板クラッチ129の内径外側に配置する構成にすることも可能である。
前記クラッチハウジング57に代えて、第2回転部材であるクラッチハブ59を前記オイルポンプ109に連動係合させる構成にすることもできる。
前記加圧部材セット137の部材141に代えて部材139を、前記摩擦多板クラッチ129の回転半径方向に延設された駆動部材である歯車プレート165により前記電動モータ171に連動連結する構成にすることもできる。
前記アクチュエータは、操作ロッドを用いたもの、引張ワイヤを用いたもの、電磁ソレノイドを用いたもの、シリンダー・ピストンによる流体圧を用いたもの等を適用することができる。
前記加圧部材セット137,137Bは、一対の対向するカム面間の軸方向相対移動で推力を発生させるもの、一対の部材の内外周間でリード角を有する螺子溝による軸方向相対移動で推力を発生させるもの等、回転駆動力を軸方向推力に変換できる機構を適用することができる。
本発明のトルク断続装置は、前記発進クラッチ1,1C,1D,1E,1F,1Gとして構成するものに限らず、図1のトルク伝達カップリング1H,1I,1J,1K,1L,1M,1Nのように適宜選択して配置することも可能である。
前記トルク伝達カップリング1Hは、プロペラシャフト33に介設されたもので、その締結調整によって後輪47,49側へのトルク伝達を行うことができる。トルク伝達カップリング1Hをトルク非伝達状態としたときには、後輪47,49からの回転がトルク伝達カップリング1H上流側の出力軸29等へ伝達されることがなく、二輪駆動時のエネルギー損失を抑制することができる。
前記トルク伝達カップリング1Iは、リヤデファレンシャル39側のドライブピニオンシャフト39に設けられたもので、その締結調整によってプロペラシャフト33からリヤデファレンシャル39へのトルク伝達を行うことができる。トルク伝達カップリング1Iでは、トルク非伝達状態のとき、後輪47,49側からの回転が上流側のプロペラシャフト33などへ伝達されることがなく、二輪駆動時のエネルギー損失をより抑制することができる。
前記トルク伝達カップリング1Nは、トランスファ21の出力軸29に設けられたものであり、その締結調整によってトランスファ21から出力軸29へのトルク伝達を行うことができる。トルク伝達カップリング1Nでは、トルク非伝達状態のとき、後輪47,49側からの回転が、トランスファ21側へ伝達されることがなく、二輪駆動時のエネルギー損失を抑制することができる。
前記トルク伝達カップリング1J,1Kは、それぞれアクスルシャフト43,45に介設されたもので、その締結調整によりリヤデファレンシャル39から左右の後輪47,49へトルク伝達を行うことができる。トルク伝達カップリング1J,1Kは、何れか一方にのみ設けることも可能である。このようにアクスルシャフト43,45にトルク伝達カップリング1J,1Kを介設した場合、トルク伝達カップリング1J,1Kをトルク非伝達状態としたときに、後輪47,49からの回転がリヤデファレンシャル39側へ伝達されることがなく、二輪駆動時のエネルギー損失をより抑制することができる。
前記トルク伝達カップリング1L,1Mは、前輪15,17側のアクスルシャフト11,13に介設されたものである。このトルク伝達カップリング1L,1Mの機能は、前記トルク伝達カップリング1J,1Kとほぼ同様である。
発進クラッチの配置状態を示す四輪駆動車のスケルトン平面図である(実施例1)。 発進クラッチ及びその周辺の断面図である(実施例1)。 要部の拡大断面図である(実施例1)。 潤滑オイルの流れを示す発進クラッチ及びその周辺の断面図である(実施例1)。 加圧部材セット及び伝達部材周辺の要部展開断面図である(実施例1)。 加圧部材セットの要部展開断面図である(実施例1の変形例に係る実施例)。 発進クラッチ及びその周辺の断面図である(実施例2)。 図7のSA矢視における要部正面図である(実施例2)。 (a)は引きずりトルクによる一時的な立ち上がりを説明するアクチュエータ印加電流とトルクとの関係のグラフ、(b)は実施例2のアクチュエータ印加電流とトルクの関係のグラフである(実施例2)。 発進クラッチの要部断面図である(実施例2)。 図10のSBにおける拡大断面図である(実施例2)。 発進クラッチ及びその周辺の断面図である(実施例3)。 (a)はガタ大状態の加圧部材セットの一部省略正面図、(b)はガタ中状態の加圧部材セットの一部省略正面図、(c)はガタ小状態の加圧部材セットの一部省略正面図である(実施例3)。 (a)はガタ大状態の加圧部材セットの展開断面図、(b)はガタ中状態の加圧部材セットの要部展開断面図、(c)はガタ小状態の加圧部材セットの要部展開断面図である(実施例3)。 動作を説明するフローチャートである(実施例3)。 車両発進時のフローチャートである(実施例4)。 フローチャートである(実施例4の変形例の実施例)。 発進クラッチ及びその周辺の断面図である(実施例5)。 一方の部材の位置決め状態を示す加圧部材セットと位置決め壁との関係の一部省略正面図である(実施例5)。 他方の部材の位置決め状態を示す係合部及び係止部の関係を示す一部省略正面図である(実施例5)。 (a)は加圧部材セットの中立位置を示す要部展開断面図、(b)は加圧部材セットの推力発生位置を示す要部展開断面図である(実施例5)。 発進クラッチ及びその周辺の断面図である(実施例6)。 要部の拡大断面図である(実施例6)。 トルク断続装置の一部省略断面図である(従来例)。
符号の説明
1,1C,1D,1E,1F,1G 発進クラッチ(トルク断続装置)
1H,1I,1J,1K,1L,1M,1N トルク伝達カップリング(トルク断続装置)
3 エンジン
5 トランスミッション
7 フロントデファレンシャル
11,13,43,45 アクスルシャフト
15,17 前輪
21 トランスファ
33 プロペラシャフト
47,49 後輪
51,51F ハウジング(固定側)
53 ミッションケース(固定側)
57 クラッチハウジング(第1回転部材)
59 クラッチハブ(第2回転部材)
67 外側壁
73 収容凹部
81,81A 貫通部
99 結合壁
104 フランジ部(結合壁)
109 オイルポンプ
129 摩擦多板クラッチ(摩擦係合部)
137,137B 加圧部材セット
139,139B,141,141B 部材
150 係合部(位置決め部)
152 係止部(位置決め部)
153,153A 伝達部材
165 歯車プレート(駆動部材)
171 電動モータ(アクチュエータ)
173 回転駆動軸
177,177B キャンセル部
191,191D ダンパー機構
209 位置センサ(制御手段)
211,213,215 マーク(制御手段)
225 位置決め壁(位置決め部)
233 アクチュエータ
235 電磁クラッチ(断続手段)

Claims (15)

  1. 固定側に対して回転可能に支持され入出力伝達を行うための第1回転部材及び該第1回転部材に対して相対回転自在に配置される第2回転部材と、
    前記第1回転部材及び第2回転部材間に設けられ締結力に応じて両者間のトルク伝達を行う摩擦係合部と、
    相対回転可能な一対の部材を備え該部材間の相対回転により推力を発生して前記摩擦係合部を摩擦係合させるための加圧部材セットと、
    前記固定側に支持され前記加圧部材セットの少なくとも一方の部材を回転駆動して前記相対回転を起こすアクチュエータとを備え、
    前記加圧部材セットは、前記摩擦係合部の内径側に配置されたことを特徴とするトルク断続装置。
  2. 請求項1記載のトルク断続装置であって、
    前記加圧部材セットは、回転軸芯に沿った方向の少なくとも一部が前記摩擦係合部の内周内に配置されたことを特徴とするトルク断続装置。
  3. 請求項1又は2記載のトルク断続装置であって、
    前記加圧部材セットの一対の部材の少なくとも一方は前記摩擦係合部の回転半径方向に延設された駆動部材により前記アクチュエータに連動連結されたことを特徴とするトルク断続装置。
  4. 請求項3記載のトルク断続装置であって、
    前記アクチュエータは、前記摩擦係合部の回転半径方向外側で且つ回転軸芯に沿った方向にオフセットして前記固定側に取り付けられたことを特徴とするトルク断続装置。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のトルク断続装置であって、
    前記第1回転部材はクラッチハウジングであると共に前記第2回転部材はクラッチハブであり、
    前記クラッチハウジングは回転軸芯に沿った方向の少なくとも一方に回転半径に沿った方向の内周側へ延びる外側壁を備え、
    前記クラッチハブは前記外側壁に沿って延びる結合壁を備え、
    前記外側壁に前記クラッチハブの内周側へ入り込むように形成された収容凹部を設け、
    前記収容凹部に前記加圧部材セットを配置し、
    前記外側壁に前記加圧部材セットに対向する貫通部を設け、
    前記貫通部に前記加圧部材セットと前記クラッチハブの結合壁との間に介設され前記加圧部材セットの推力をクラッチハブへ伝達するための伝達部材を貫通配置したことを特徴とするトルク断続装置。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載のトルク断続装置であって、
    前記貫通部と伝達部材との間又は前記加圧部材セットに前記加圧部材セットが受ける引きずりトルクにより発生する推力をキャンセル又は軽減するキャンセル部を設けたことを特徴とするトルク断続装置。
  7. 請求項6記載のトルク断続装置であって、
    前記キャンセル部は、カム面で構成されたことを特徴とするトルク断続装置。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載のトルク断続装置であって、
    前記アクチュエータ側の慣性力又は該慣性力が前記加圧部材セットに働いて発生する推力をダンピングするダンパー機構を設けたことを特徴とするトルク断続装置。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載のトルク断続装置であって、
    前記部材の回転駆動を前記加圧部材セットの回転方向のガタ詰め時は相対的に早く回転させると共にガタ詰め終了側は相対的に遅く回転させるように前記アクチュエータを制御する制御手段を設けたことを特徴とするトルク断続装置。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載のトルク断続装置であって、
    自動車の状態に応じて前記加圧部材セットをガタを有した中立位置とガタが無いか少ないガタ詰め位置側とにスタンバイさせるように前記アクチュエータを制御する制御手段を設けたことを特徴とするトルク断続装置。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載のトルク断続装置であって、
    前記固定側に前記加圧部材セットの部材を回転方向に位置決めて組み付け可能にする位置決め部を設け、
    前記位置決め部によって前記部材を位置決め前記加圧部材セットの中立位置を保持させることを特徴とするトルク断続装置。
  12. 請求項1〜11の何れかに記載のトルク断続装置であって、
    前記アクチュエータと前記加圧部材セットとの間に断続手段を設け、
    前記アクチュエータの駆動により前記部材を回転駆動して推力を発生させるときに前記断続手段を接続状態とすると共に前記断続手段を遮断状態として前記推力を解放するように断続制御する制御手段を設けたことを特徴とするトルク断続装置。
  13. 請求項12記載のトルク断続装置であって、
    前記断続手段は前記アクチュエータに設けられ、
    前記断続手段により前記アクチュエータの駆動を断続することを特徴とするトルク断続装置。
  14. 請求項1〜13の何れかに記載のトルク断続装置であって、
    前記第1回転部材又は第2回転部材は前記固定側に支持されたオイルポンプに連動係合されたことを特徴とするトルク断続装置。
  15. 請求項1〜14の何れかに記載のトルク断続装置であって、
    エンジンの出力側に配置された発進クラッチ又は四輪駆動車のトランスファの出力側、リヤデファレンシャル装置への入力側、トランスファとリヤデファレンシャルとの間のプロペラシャフト、前輪側アクスルシャフト、後輪側アクスルシャフトの何れかに配置されたトルク伝達装置として構成されたことを特徴とするトルク断続装置。
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