JP7172480B2 - クラッチレリーズ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や産業機械などに使用される、マニュアルトランスミッション(MT)やオートメーテッドマニュアルトランスミッション(AMT)用のクラッチ装置に組み込まれ、クラッチの断接を行うために利用するクラッチレリーズ装置に関する。
自動車用の変速機は、マニュアルトランスミッションとオートマチックトランスミッション(AT)とに大別される。マニュアルトランスミッションは、オートマチックトランスミッションに比べて、構造が簡単で製造コストを抑えやすい、修理が容易であるなどの理由から、新興国など一部の地域で高い需要がある。
また、欧州の自動車メーカを中心に、低燃費化を目的として、高速巡航時などのアクセルオフ時に、エンジンとトランスミッションとを切り離して惰性走行を行うといった、コースティング走行を積極的に採用することが考えられている。このようなコースティング走行を行うには、変速操作とは別に、クラッチを切り離す操作が必要になるため、クラッチの操作回数の増加に繋がる。これに対し、近年、女性ドライバの増加や交通渋滞の増加などの理由により、クラッチ操作を簡便にするイージードライブ化への要求が高まっている。
そして、イージードライブ化を図るべく、クラッチ制御の自動化、すなわち、シフトレバー操作はこれまで通り手動で行い、クラッチペダル操作のみを自動化することが考えられている。また、このようなクラッチ制御の自動化に適用可能な、クラッチレリーズ装置の構造も考えられ始めている。
特開2008-101643号公報には、制御装置から出される信号に基づいてレリーズシリンダ内に所定の圧油を送り込むことで、レリーズフォークの動きを制御し、クラッチの制御を行う技術が記載されている。また、特開2010-91043号公報には、制御装置から出される信号に基づいてコンセントリックスレーブシリンダ(CSC)に導入する油圧を制御することで、クラッチの制御を行う技術が記載されている。
特開2008-101643号公報 特開2010-91043号公報
ただし、特開2008-101643号公報および特開2010-91043号公報に記載されたいずれの構造も、オイルリザーバや複雑な油圧配管が必要になる。また、特開2008-101643号公報に記載された構造は、レリーズシリンダやレリーズフォークがさらに必要であり、特開2010-91043号公報に記載された構造は、コンセントリックスレーブシリンダがさらに必要である。このため、重量が増加しやすくなるとともに、設置スペースが嵩むといった問題を生じる。また、特開2008-101643号公報および特開2010-91043号公報に記載されたいずれの構造も、油圧制御を行うため、油漏れの問題を生じる可能性がある。
そこで、電動モータの出力軸の回転を、カム装置により直線運動に変換し、この直線運動により、ダイヤフラムばねを、レリーズ軸受を介して押圧することで、クラッチの断接状態を切り換えることが考えられる。
ところで、エンジンルームなどの限られた空間内においては、トランスミッションとエンジンとは、軸方向に近接して配置されるため、クラッチ装置の設置スペースの軸方向寸法は限られる。一方、ダイヤフラムばねの押圧力を十分に確保するためには、カム装置の軸方向寸法の拡縮量を十分確保する必要がある。したがって、電動モータの出力軸の回転を、カム装置により直線運動に変換し、ダイヤフラムばねを押圧するクラッチレリーズ装置では、駆動側カムに対する被駆動側カムの軸方向に関するストローク(軸方向に関する相対変位量)の確保が課題となる。このような課題は、大型乗用車など、排気量が比較的大きく、大きなクラッチ締結力が必要となる自動車用のクラッチレリーズ装置では、ウォームホイールのホイール歯の幅寸法を確保する必要があるため、顕著になりやすい。
本発明は、上述のような事情に鑑み、クラッチ制御の自動化を図れるだけでなく、装置全体の小型化および軽量化を図るとともに、油漏れを防止でき、さらに、ウォームホイールのホイール歯の幅寸法を確保しつつ、駆動側カムに対する被駆動側カムの軸方向に関するストロークを十分に確保することができる、クラッチレリーズ装置の構造を実現することを目的としている。
本発明のクラッチレリーズ装置は、電動モータと、ウォーム減速機と、カム装置と、レリーズ軸受とを備える。
前記ウォーム減速機は、前記電動モータにより回転駆動され、外周面にウォーム歯を有するウォーム軸と、外周面に前記ウォーム歯と噛合するホイール歯を有するウォームホイールとを含む。
前記カム装置は、前記ウォームホイールに対し支持固定されるとともに、軸方向片側面に駆動側カム面を有する駆動側カムと、前記駆動側カム面に対向する軸方向他側面に被駆動側カム面を有する被駆動側カムと、前記駆動側カム面と前記被駆動側カム面との間に転動自在に配置された複数個の転動体とを含む。
前記レリーズ軸受は、トランスミッションの入力軸の周囲に、該入力軸に対する軸方向の相対変位を可能に支持され、前記被駆動側カムにより軸方向に押圧されるのに伴い、ダイヤフラムばねを押圧する。
本発明のクラッチレリーズ装置では、前記駆動側カム面のうち、軸方向に関する高さが最も低い底部(前記駆動側カム面のうちで、軸方向に関して最も他側に位置する部分、すなわちカム装置の軸方向寸法を最も短くした状態で前記転動体が接触している部分)が、軸方向に関して、前記ホイール歯の軸方向片側の端面と軸方向他側の端面との間に位置している。
さらに、前記ウォームホイールは、外周面に、前記ホイール歯を直接または他の部材を介して形成したホイール側円筒部と、該ホイール側円筒部の軸方向中間部または軸方向他側部分から径方向内方に突出したホイール側フランジ部とを有する。
本発明のクラッチレリーズ装置は、ハウジングと、軸受ガイドとをさらに備える。
前記ハウジングは、軸方向他側部分の外周面が、前記ホイール側円筒部の軸方向片側部分の内周面に対向するように配置された外径側案内筒部を有する。
前記軸受ガイドは、前記レリーズ軸受を外嵌するガイド側小径筒部と、該ガイド側小径筒部の軸方向他側の端部から径方向外方に折れ曲がるとともに、軸方向他側面を前記被駆動側カムの軸方向片側面に突き当てたガイド側接続部と、該ガイド側接続部の径方向外側の端部から軸方向他側に向けて折れ曲がるとともに、前記外径側案内筒部に対し、軸方向の変位を可能に内嵌されたガイド側大径筒部とを有する。
前記ウォームホイールを、前記入力軸の周囲に該入力軸に対する相対回転を自在に支持する支持軸受をさらに備えることができる。
この場合、前記駆動側カムを、軸方向片側面に前記駆動側カム面を有するとともに、軸方向他側面を、前記ホイール側フランジ部の軸方向片側面、および/または、前記支持軸受の軸方向片側面に突き当てたカム本体と、該カム本体の軸方向他側面から軸方向他方に突出し、前記ホイール側フランジ部の内周面と前記支持軸受の外周面との間に挟持されるカム側円筒部とを含むものとする。
前記カム本体を、軸方向他側面を前記支持軸受の軸方向片側面に突き当てるものとするとともに、前記カム側円筒部を、前記カム本体の軸方向他側面の径方向外側の端部から軸方向他方に突出するものとすることができる。
この場合、前記駆動側カムを、前記カム本体の外周面の軸方向他側の端部から径方向外方に突出し、軸方向側面を前記ホイール側フランジ部の軸方向片側面に突き当てたカム側フランジ部をさらに含むものとする。
本発明のクラッチレリーズ装置は、前記被駆動側カムに対し支持固定され、軸方向片側を向いた段部を有するガイド筒部と、前記段部と前記ガイド側接続部の軸方向他側面との間に挟持されたコイルドウェーブスプリングとをさらに備えることができる。
前記入力軸の周囲に配置され、前記入力軸に入力された実トルクを検出するトルクセンサをさらに備えることができる。
この場合、前記トルクセンサの少なくとも一部を、前記ウォームホイールと径方向に重畳する位置に配置する。
本発明のクラッチレリーズ装置によれば、クラッチ制御の自動化を図れるだけでなく、装置全体の小型化および軽量化を図れるとともに、油漏れを防止できる。さらに本発明のクラッチレリーズ装置によれば、ウォームホイールのホイール歯の幅寸法を確保しつつ、駆動側カムに対する被駆動側カムの軸方向に関するストロークを十分に確保することができる。
図1は、本発明の実施の形態の1例にかかるクラッチ装置の断面図である。 図2は、本発明の実施の形態の1例にかかるクラッチレリーズ装置の断面図である。 図3は、図2のX部拡大図である。 図4は、駆動側カム、ウォームホイールおよび支持軸受を取り出して示す斜視図である。 図5(A)は、駆動側カム、ウォームホイールおよび支持軸受を取り出して、エンジン側から見た端面図であり、図5(B)は、図5(A)のY-Y断面図である。 図6は、カム装置の動作を説明するためにカム装置を径方向外側から見た模式図であり、図6(A)は駆動側カムと被駆動側カムとの中立状態(初期状態)を示しており、図6(B)は駆動側カムを被駆動側カムに対して相対回転させた状態を示している。 図7は、レリーズ軸受のストロークとトランスミッションの入力軸に伝達されるトルクとの関係を示す線図である。
図1~図6(B)は、本発明の実施の形態の第1例を示している。クラッチ装置1は、エンジンとトランスミッションとの間に配置されて、エンジンのクランクシャフトと、トランスミッションの入力軸2との間の動力の伝達状態を切り換える。クラッチ装置1は、フライホイール3と、クラッチディスク(摩擦板)4と、プレッシャプレート5と、ダイヤフラムばね6と、クラッチレリーズ装置7とを備える。
フライホイール3は、例えば鋳鉄などの金属製で、クランクシャフトの端部に、例えば複数本のボルトなどを用いて結合固定されており、クランクシャフトと同期して回転する。
クラッチディスク4は、図示は省略するが、径方向外側部分に、エンジントルクが入力される入力部(摩擦部)を有し、径方向内側部分に、入力軸2にトルクを伝達する出力部を有し、径方向中間部にダンパ部を有する。クラッチディスク4は、入力部を、フライホイール3に対し軸方向に対向させた状態で、出力部を、入力軸2にスプライン嵌合させている。
なお、軸方向とは、特に断わらない限り、入力軸2の軸方向をいう。また、軸方向片側とは、エンジンの側である、図1、図2、図3および図5(B)の左側をいい、軸方向他側とは、トランスミッションの側である、図1、図2、図3および図5(B)の右側をいう。
フライホイール3の径方向外側部分には、クラッチカバー8が支持固定され、該クラッチカバー8の内側には、クラッチディスク4をフライホイール3に向けて押圧するプレッシャプレート5、および、該プレッシャプレート5をクラッチディスク4に向けて押圧するダイヤフラムばね6が配置されている。
ダイヤフラムばね6は、クラッチカバー8に対して支持されている。なお、本例のクラッチ装置1は、プッシュ式のクラッチ装置であるため、ダイヤフラムばね6の中央部が軸方向片側に向けて押圧されると、プレッシャプレート5がクラッチディスク4から退避する方向(軸方向他側)に移動し、フライホイール3とクラッチディスク4との接続が断たれる構造を有する。ただし、本発明のクラッチレリーズ装置は、プッシュ式のクラッチ装置に限らず、レリーズ軸受を、ダイヤフラムばねを押圧する力が大きくなる方向に移動させることで、クラッチを接続し、反対に押圧する力が小さくなる方向に移動させることで、クラッチの接続を断つ、プル式のクラッチ装置に組み込むこともできる。
クラッチレリーズ装置7は、図示しないECU(制御装置)からの制御信号に基づいて、ダイヤフラムばね6に所定の押圧力を付与する。本例のクラッチレリーズ装置7は、電動モータ9と、ハウジング10と、ウォーム減速機11と、軸受ガイド12と、カム装置13と、レリーズ軸受14と、トルクセンサ15とを備える。
電動モータ9は、図示しない出力軸を、入力軸2に対しねじれの位置に配置している。
ハウジング10は、トランスミッションのフロントケース16に支持固定されるとともに、電動モータ9を支持固定する。本例では、ハウジング10は、軸方向片側に配置された第1ハウジング素子32と、軸方向他側に配置された第2ハウジング素子33とを備える。そして、これら第1ハウジング素子32と第2ハウジング素子33とかなるハウジング10は、ホイール収容部17と、ウォーム収容部18と、外径側案内筒部19と、段付円筒部20とを備える。
ホイール収容部17は、入力軸2の周囲に配置されている。本例では、ホイール収容部17は、それぞれが円輪板状で、軸方向に離隔して配置された1対の側板部21a、21bと、該1対の側板部21a、21bの径方向外側の端部同士を、周方向に関する一部分を除き、互いに接続する接続筒部22とを備える。なお、本例では、1対の側板部21a、21bのうち、軸方向片側の側板部21aの内径寸法は、軸方向他側の側板部21bの内径寸法よりも大きい。
ウォーム収容部18は、有底円筒状で、自身の中心軸を、入力軸2に対してねじれの位置に配置している。
外径側案内筒部19は、円筒状で、軸方向中間部に、軸方向片側の側板部21aの径方向内側の端部を連結している。換言すれば、軸方向片側の側板部21aは、外径側案内筒部19の軸方向中間部から径方向外方に突出している。外径側案内筒部19は、面取り部が形成された軸方向片側の端部を除いて、入力軸2の中心軸を中心とし、軸方向に関して内径寸法が変化しない円筒状の内周面を有する。
段付円筒部20は、軸方向片側に向かうほど外径寸法および内径寸法が段階的に小さくなる段付円筒状で、入力軸2の周囲に配置されている。段付円筒部20は、軸方向他側の側板部21bの径方向内側の端部から軸方向片側に向けて折れ曲がった大径筒部27と、該大径筒部27の軸方向片側の端部から径方向内方に折れ曲がった外径側接続部28と、該外径側接続部28の径方向内側の端部から軸方向片側に向けて折れ曲がった中径筒部29と、該中径筒部29の軸方向片側の端部から径方向内方に折れ曲がった内径側接続部30と、該内径側接続部30の径方向内側の端部から軸方向片側に向けて折れ曲がった小径筒部31とを備える。段付円筒部20のうちで、内径寸法が最も小さい小径筒部31の内径寸法は、入力軸2の外径寸法よりも大きい。すなわち、入力軸2は、段付円筒部20の内径側に挿通されている。
本例では、ハウジング10を構成する第1ハウジング素子32は、ホイール収容部17のうちの軸方向片側の側板部21aおよび接続筒部22と、ウォーム収容部18と外径側案内筒部19と、第1フランジ片34とを有する。第1フランジ片34は、接続筒部22の軸方向他側の端部外周面の周方向複数箇所から径方向外方に突出している。第2ハウジング素子33は、ホイール収容部17のうちの軸方向他側の側板部21bと、段付円筒部20と、第2フランジ片35とを有する。第2フランジ片35は、軸方向他側の側板部21bの軸方向他側部分の外周面の周方向複数箇所から径方向外方に突出している。本例では、第1フランジ片34および第2フランジ片35に形成された通孔を挿通したボルト36を、フロントケース16に形成されたねじ孔に螺合しさらに締め付けることにより、第1ハウジング素子32と第2ハウジング素子33とを結合するとともに、ハウジング10をフロントケース16に支持固定している。
ウォーム減速機11は、ウォーム37と、ウォームホイール38とを備える。
ウォーム37は、軸方向中間部外周面に、ねじ状のウォーム歯39を有し、ハウジング10のウォーム収容部18の内側に、電動モータ9により回転駆動可能に支持されている。本例では、ウォーム37は、図示しない歯車伝達機構を介して、電動モータ9により回転駆動される。すなわち、本例では、ウォーム37は、電動モータ9の出力軸に対して平行に配置され、該出力軸に支持固定された駆動側歯車と、ウォーム37の基端部に配置された従動側歯車とを噛合させている。このため、ウォーム37と電動モータ9とは、ウォームホイール38の径方向に関して重畳して配置されている。ただし、電動モータの出力軸とウォームとを、継手を介してトルクの伝達を可能に接続することにより、電動モータの出力軸とウォームとを同軸に配置することもできる。
ウォームホイール38は、外周面に、ウォーム歯39と噛合するホイール歯40を有し、ハウジング10のホイール収容部17の内側で、入力軸2の周囲に該入力軸2に対する相対回転を自在に支持されている。本例のウォームホイール38は、金属製または合成樹脂製で円環状のハブ(芯金)41と、合成樹脂製のギヤ部42とを備える。
ハブ41は、ホイール側円筒部43と、該ホイール側円筒部43の軸方向他側部分から径方向内方に突出した円輪状のホイール側フランジ部44とを備える。本例では、ハブ41を、ラジアル玉軸受である支持軸受45により、後述するカム装置13の駆動側カム46のカム側円筒部47を介して、ハウジング10の大径筒部27に対し回転自在に支持している。すなわち、支持軸受45の内輪48を、大径筒部27に外嵌固定し、ハブ41のホイール側フランジ部44を、支持軸受45の外輪49に、カム側円筒部47を介して外嵌固定している。本例では、ハブ41を支持軸受45により、大径筒部27の周囲に回転自在に支持した状態において、ホイール側円筒部43の軸方向片側部分の内周面が、ハウジング10の外径側案内筒部19の軸方向他側部分の外周面に近接対向している。換言すれば、ホイール側円筒部43の軸方向片側部分と、ハウジング10の外径側案内筒部19の軸方向他側部分とを径方向に重畳させている。なお、支持軸受45の幅方向(軸方向)中央位置は、ウォーム減速機11のウォーム37の中心軸よりも、軸方向に関して他側に位置している。
ギヤ部42は、外周面に、ホイール歯40を有する。ギヤ部42は、ハブ41のホイール側円筒部43の外周面に、合成樹脂を射出成型することにより形成され、ホイール側円筒部43に対し、該ホイール側円筒部43と一体的に回転するように結合固定されている。なお、ハブ41に対するギヤ部42の回転方向の保持力を高めるために、例えば、ホイール側円筒部43の外周面に、周方向に関する凹凸部を形成し、ギヤ部42を射出成形により形成する際に、凹凸部のうちの凹部に、ギヤ部42を構成する合成樹脂の一部を送り込んで、ハブ41とギヤ部42とを回転方向に関して凹凸係合させることもできる。なお、本例では、ホイール歯40の軸方向に関する幅寸法を、例えば40mm以下とすることができる。
軸受ガイド12は、段付円筒状で、ハウジング10の外径側案内筒部19と段付円筒部20との間に、軸方向の変位を可能に配置されている。軸受ガイド12は、軸方向片側のガイド側小径筒部50と、軸方向他側のガイド側大径筒部51と、ガイド側小径筒部50の軸方向他側の端部とガイド側大径筒部51の軸方向片側の端部とを接続する、円輪状のガイド側接続部52とを備える。
ガイド側小径筒部50は、ハウジング10の段付円筒部20の小径筒部31に、軸方向の変位を可能に外嵌されている。このために、ガイド側小径筒部50は、軸方向他側部分に、全周にわたって径方向内方に突出した内向凸部53を有し、該内向凸部53の内周面に、径方向外方に凹んだ凹溝54を有する。そして、ガイド側小径筒部50を、小径筒部31に緩く(内向凸部53の内周面と、小径筒部31の外周面との間に隙間を介在させた状態で)外嵌するとともに、凹溝54に装着(係止)したOリング55を、凹溝54の底面と小径筒部31の外周面との間で弾性的に挟持している。
ガイド側大径筒部51は、ハウジング10の外径側案内筒部19に、軸方向の変位を可能に内嵌されている。このために、ガイド側大径筒部51は、軸方向他側部分に、全周にわたって径方向外方に突出した外向凸部56を有し、該外向凸部56の外周面に、径方向内方に凹んだ凹溝57を有する。そして、ガイド側大径筒部51を、外径側案内筒部19に緩く(外向凸部56の外周面と、外径側案内筒部19の内周面との間に隙間を介在させた状態で)内嵌するとともに、凹溝57に装着(係止)したOリング58を、凹溝57の底面と外径側案内筒部19の内周面との間で弾性的に挟持している。
上述のように、本例のクラッチレリーズ装置7では、ガイド側小径筒部50の凹溝54の底面と小径筒部31の外周面との間にOリング55を弾性的に挟持するとともに、ガイド側大径筒部51の凹溝57の底面と外径側案内筒部19の内周面との間にOリング58を弾性的に挟持している。これにより、軸受ガイド12を、ハウジング10の外径側案内筒部19と段付円筒部20との間に、軸方向の変位を可能に配置するとともに、ウォーム減速機11およびカム装置13が配置された空間内の充填したグリースの漏洩を防止している。
カム装置13は、ウォームホイール38と、軸受ガイド12のガイド側接続部52との間に配置され、ウォームホイール38の回転に基づいて、軸方向寸法を拡縮させるものである。カム装置13は、駆動側カム46と、被駆動側カム60と、複数個(図示の例では3個)の転動体61とを備える。
駆動側カム46は、ウォームホイール38に対して支持固定され、軸方向片側面に、周方向に関する凹凸部である駆動側カム面62を有する。駆動側カム面62は、複数個(図示の例では3個)の駆動側カム部80を備える。駆動側カム部80のそれぞれは、軸方向に関する高さが最も低い(駆動側カム面62のうちで、軸方向に関して最も他側に位置する部分、すなわちカム装置13の軸方向寸法を最も短くした状態で転動体61が接触する)底部66と、軸方向に関する高さが最も高い(駆動側カム面62のうちで、軸方向に関して最も片側に位置する部分、すなわちカム装置13の軸方向寸法を最も長くした状態で転動体61が接触する)頂部81と、底部66と頂部81とを連続する傾斜面部82とを備える。
駆動側カム46は、軸方向片側面に駆動側カム面62を有するカム本体63と、該カム本体63の軸方向他側面の径方向外側部分から軸方向他方に突出したカム側円筒部47と、カム本体63の軸方向他側の端部外周面から径方向外方に突出した円輪状のカム側フランジ部65とを備える。カム本体63の軸方向他側面と、カム側フランジ部65の軸方向他側面とは、入力軸2の中心軸に直交する同一の平面上に存在している。本例では、カム本体63の軸方向他側面を、支持軸受45の外輪49の軸方向片側面に突き当てるとともに、カム側フランジ部65の軸方向他側面を、ウォームホイール38のハブ41のうちのホイール側フランジ部44の軸方向片側面に突き当てた状態で、カム側円筒部47を、外輪49の外周面とホイール側フランジ部44の内周面との間に挟持している。このような構成により、駆動側カム46は、ウォームホイール38に対し支持固定されている。
なお、ハウジングの外径側案内筒部および軸受ガイドの大径側筒部を配置するスペースを確保できれば、駆動側カムを、カム側フランジ部を省略して、カム本体と、該カム本体の軸方向他側面の径方向中間部から軸方向他方に突出したカム側円筒部とから構成することもできる。この場合、カム本体の軸方向他側面の径方向内側部分を、支持軸受の外輪の軸方向片側面に突き当てるとともに、カム本体の軸方向他側面の径方向外側部分を、ウォームホイールのハブのうちのホイール側フランジ部の軸方向片側面に突き当てる。
本例では、駆動側カム46をウォームホイール38に支持固定した状態で、駆動側カム面62のうちで軸方向に関する高さが最も低い(最も軸方向他側に位置する)底部66が、ウォームホイール38のギヤ部42の軸方向片側の端面42aと軸方向他側の端面42bとの間に位置している。より具体的には、本例では、駆動側カム面62のうち、傾斜面部82の周方向中央位置が、ウォームホイール38のギヤ部42の軸方向片側の端面42aよりも軸方向他側に位置し、頂部81が、ウォームホイール38のギヤ部42の軸方向片側の端面42aよりも軸方向片側に位置している。換言すれば、本例では、駆動側カム面62のうちの軸方向他側部分が、ウォームホイール38の外周面に配置されたホイール歯40と径方向に重畳している。ただし、駆動側カム面62全体を、ウォームホイール38の外周面に配置されたホイール歯40と径方向に重畳させることもできる。要するに、ウォームホイール38の軸方向片側面の径方向内側部分に、ウォームホイール38の軸方向片側面と内周面とに開口する、断面矩形の切り欠き部83を全周にわたって設け、該切り欠き部83の内径側に、駆動側カム面62の少なくとも一部が配置されるようにしている。なお、切り欠き部83の軸方向寸法(カム本体63の軸方向片側面とカム側フランジ部65の軸方向片側面との間の間隔)は、例えば30mm以下とすることができる。
被駆動側カム60は、軸方向他側面に、周方向に関する凹凸部である被駆動側カム面67を有し、軸方向片側面を、軸受ガイド12のガイド側接続部52の軸方向他側面の径方向外側部分に突き当てている。
転動体61は、円柱状のローラであって、駆動側カム面62と被駆動側カム面67との間に、それぞれの中心軸を放射方向に向けるようにして、保持器68により保持された状態で挟持されている。
本例では、カム装置13は、図6(A)に示すように、駆動側カム面62の底部66と、被駆動側カム面67のうちで軸方向に関する高さが最も低い(最も軸方向片側に位置する)底部とを、軸方向に対向させた中立状態(初期状態)から、図6(B)に示すように、駆動側カム46を、被駆動側カム60に対して所定方向(図6の左方向)に相対回転させると、転動体61が、駆動側カム面62および被駆動側カム面67のうちで、軸方向に関する高さの高い側に向けてそれぞれ転動する。この結果、図6(B)に示すように、被駆動側カム60が、軸方向に関して駆動側カム46から離れる方向(軸方向片側)に並進移動する。これに対し、図6(B)に示した状態から、駆動側カム46を、被駆動側カム60に対し、前記所定方向とは反対方向(図6の右方向)に相対回転させると、転動体61が、駆動側カム面62および被駆動側カム面67のうちで、軸方向に関する高さの低い側に向けてそれぞれ転動する。この結果、図6(A)に示すように、被駆動側カム60が、軸方向に関して駆動側カム46に近づく方向(軸方向片側)に並進移動する。このように、本例のカム装置13は、駆動側カム46を被駆動側カム60に対して相対回転させることで、この被駆動側カム60を軸方向に並進移動させる(駆動側カム46に対し遠近動させる)ことができる。
レリーズ軸受14は、外周面に深溝型の内輪軌道を有する内輪69と、内周面にアンギュラ型の外輪軌道を有する外輪70と、外輪軌道と内輪軌道との間に保持器71により保持された状態で転動自在に設けられた複数個の玉72とを備えた、玉軸受である。図示の例では、内輪軌道として深溝型のものを、外輪軌道としてアンギュラ型のものを、それぞれ使用している。このため、レリーズ軸受14は、ラジアル荷重に加えて、スラスト荷重(外輪70に加わる図1、図2および図3の右向きのスラスト荷重)を支承可能である。このようなレリーズ軸受14のうち、内輪69は、軸受ガイド12のガイド側小径筒部50に外嵌固定されている。このため、内輪69(レリーズ軸受14全体)は、ハウジング10の小径筒部31に対し、相対回転不能に、かつ、軸方向に関する相対変位を可能に支持されている。これに対し、外輪70は、円輪状の押圧板73を介して、ダイヤフラムばね6の中央部に接触している。このため、外輪70は、ダイヤフラムばね6と一体的に回転する。
トルクセンサ15は、入力軸2に入力された実トルクを測定するためのもので、全体が円環状に構成され、入力軸2の周囲に配置されている。具体的には、本例では、トルクセンサ15は、ハウジング10の中径筒部29の内周面に内嵌するとともに、軸方向他側面を、ハウジング10の大径筒部27の内周面に圧入されたカラー74により抑え付けることにより、入力軸2の周囲に支持されている。また、トルクセンサ15は、その検出部を、入力軸2の被検出部である外周面に近接対向させている。本例では、トルクセンサ15は、ブリッジ回路を構成する複数のコイル層を備えた磁歪式のトルクセンサであり、入力軸2により伝達しているトルクの大きさおよび方向を、入力軸2に生じる逆磁歪効果を利用して測定する。このため、入力軸2は、被検出部を含む一部または全部が、磁歪特性を有する材料により造られている。
ただし、トルクセンサ15としては、磁歪式のものに限らず、例えば2点間のねじれ位相のずれを検出する位相差式などの各種方式のものを採用できる。位相差式のトルクセンサを利用する場合には、入力軸2のうち軸方向に離隔した2個所位置に1対のエンコーダを取り付け、かつ、それぞれの検出部をエンコーダの被検出部に対向させるように1対のトルクセンサをハウジング10などに取り付ける。そして、1対のトルクセンサの出力信号の位相差に基づいて入力軸2に入力されるトルクの大きさおよび方向を検出する。また、トルクセンサ15の取付位置に関しても、中径筒部29の内周面に限定されず、例えば段付円筒部20の大径筒部27やその他の部分に対して取り付けることもできる。
また、本例のクラッチレリーズ装置7は、被駆動側カム60を軸方向他側に向けて弾性的に付勢する付勢ばね75をさらに備える。このために、被駆動側カム60を、カム装置13の内径側に配置したガイド筒76の円筒部77の軸方向片側の端部に、圧入や溶接により相対回転不能に外嵌固定している。また、ガイド筒76の円筒部77の軸方向他側の端部から径方向内方に突出した内向フランジ部78の内周面に形成された雌スプライン部を、ハウジング10の中径筒部29の外周面に形成された雄スプライン部に対し、スプライン係合させている。そして、軸受ガイド12のガイド側接続部52の軸方向他側面と、ガイド筒76の内向フランジ部78の軸方向片側面である段部79との間に、付勢ばね75を弾性的に挟持している。
本例では、付勢ばね75により、被駆動側カム60を軸方向他側に向けて弾性的に付勢することにより、駆動側カム面62と転動体61と被駆動側カム面67との間にがたつき(位相ずれ)が生じることを防止できて、カム装置13の機能を保証することができる。また、レリーズ軸受14を、ダイヤフラムばね6に対して常に押し付けることができるため、レリーズ軸受14およびクラッチレリーズ装置7に、衝撃荷重が入力されることを防止することもできる。なお、付勢ばね75による付勢力の大きさは、好ましくは、ダイヤフラムばね6を変形(または移動)させない程度とする。また、本例では、付勢ばね75を、カム装置13の径方向内側に配置しているため、付勢ばね75を設けた場合にも、クラッチレリーズ装置7の軸方向全長が大きくなることを防止できる。
さらに、本例では、付勢ばね75として、波形に湾曲した帯状の金属素材を、らせん状に巻き回してなる、コイルドウェーブスプリングを使用している。したがって、付勢ばね75の軸方向寸法を抑えつつ、該付勢ばね75の弾力を十分確保することができる。
本例のクラッチ装置1を、接続状態から切断状態に切り換える際には、電動モータ9の出力軸を回転駆動することにより、ウォーム減速機11のウォーム37を介して、ウォームホイール38を所定方向に回転させる。これにより、駆動側カム46を、被駆動側カム60に対して所定方向に相対回転させることで、被駆動側カム60を軸方向片側に向けて並進移動させる。このようにして、被駆動側カム60を軸方向片側に向けて並進移動させることにより、軸受ガイド12およびレリーズ軸受14を介して、押圧板73により、ダイヤフラムばね6の中央部を軸方向片側に向けて押圧する。この結果、プレッシャプレート5がクラッチディスク4から退避する方向に移動し、フライホイール3とクラッチディスク4との接続が断たれる。
これに対し、クラッチ装置1を、切断状態から接続状態に切り換える際には、電動モータ9の出力軸を、クラッチ装置1を切断状態に切り換える際とは逆方向に回転駆動することにより、ウォームホイール38を所定方向とは逆方向に回転させる。これにより、駆動側カム46を、被駆動側カム60に対して所定方向とは逆方向に相対回転させることで、被駆動側カム60を軸方向他側に向けて並進移動させる。このようにして、被駆動側カム60を軸方向他側に向けて並進移動させることで、押圧板73により、ダイヤフラムばね6の中央部を軸方向片側に向けて押圧する押圧力を減少させる。この押圧力がダイヤフラムばね6の発揮する弾力よりも小さくなると、この弾力に基づいて、軸受ガイド12、レリーズ軸受14および押圧板73が軸方向他側に移動する(押し戻される)とともに、プレッシャプレート5がクラッチディスク4に押し付けられ、フライホイール3とクラッチディスク4とが接続される。
本例のクラッチ装置1では、上述のような電動式のクラッチレリーズ装置7を使用しているため、クラッチ制御の自動化を図れるだけでなく、装置全体の軽量化および小型化を図るとともに、油漏れを防止することができる。
すなわち、本例のクラッチレリーズ装置7は、電気的に作動する電動モータ9によりカム装置13を駆動することで、レリーズ軸受14を軸方向に並進移動させ、ダイヤフラムばね6を軸方向に押圧し、クラッチ装置1の断接状態を切り換えることができる。要するに、電気的にクラッチ装置1の断接制御を行えるため、クラッチ装置1の断接制御の自動化を図ることができる。このため、イージードライブ化を図れるとともに、コースティング走行を積極的に採用することによる低燃費化(燃費向上)を実現することもできる。さらに、本例のクラッチレリーズ装置7によれば、特開2008-101643号公報および特開2010-91043号公報に記載された構造で必要であった、オイルリザーバ、複雑な油圧配管、および、シリンダ(レリーズシリンダ、コンセントリックスレーブシリンダ)などの油圧関連部品を不要にできるとともに、レリーズフォークを不要にできる。したがって、クラッチレリーズ装置7全体の軽量化および小型化を図れる。しかも、本例では、クラッチ装置1の断接制御(係脱制御)を、電気的に行え、油を使用しなくて済むため、油漏れの問題が生じることも防止できる。
また、本例のクラッチレリーズ装置7では、電動モータ9の回転トルクを、歯車伝達機構およびウォーム減速機11により増大してから、駆動側カム46に伝達するようにしている。このため、電動モータ9として、出力トルクが小さく、かつ、小型のものを使用することができて、この面からも、クラッチレリーズ装置7全体としての小型化および軽量化を図れる。さらに、電動モータ9の設置方向に関する自由度を高めることもできて、設置スペースの小型化(省スペース化)を図ることもできる。
なお、本例のクラッチレリーズ装置7では、ウォーム減速機11として、不可逆性(セルフロック機能)を有するものを使用するとともに、電動モータ9として、出力軸を両方向に回転可能なものを使用する。これにより、クラッチ切断状態や半クラッチ状態を、電動モータ9に通電することなく、保持できるようにしている。ただし、本発明のクラッチレリーズ装置を実施する場合、ウォーム減速機として、可逆性を有するものを使用するとともに、電動モータとして、出力軸を一方向にのみ回転可能なものを使用することもできる。
また、本例のクラッチレリーズ装置7では、ウォームホイール38のハブ41を、ホイール側円筒部43と、該ホイール側円筒部43の軸方向他側部分から径方向内方に突出したホイール側フランジ部44とからなるものとしている。これにより、カム本体63の軸方向片側面に形成された駆動側カム面62の底部66を、ウォームホイール38のギヤ部42の軸方向片側面よりも軸方向他側に位置させている。さらに、これに合わせて、ハウジング10のうち、軸受ガイド12のガイド側大径筒部51を軸方向に関する相対変位を可能に内嵌する外径側案内筒部19の軸方向他側部分を、ウォームホイール38のホイール側円筒部43の軸方向片側部分と径方向に重畳させている。
したがって、本例では、クラッチレリーズ装置7全体としての軸方向寸法の増大を抑えつつ、ウォームホイール38のホイール歯40の軸方向に関する幅寸法を確保するとともに、駆動側カム46に対する被駆動側カム60の軸方向に関するストローク(駆動側カム46に対して被駆動側カム60が軸方向に相対変位可能な量)を十分に確保することができる。このため、クラッチ装置1を、エンジンルーム内のトランスミッションとエンジンとの間部分のように、設置スペースの軸方向寸法が限られる部分に配置した場合であっても、ホイール歯40の幅寸法を確保できるので、ウォーム37とウォームホイール38との間で大きなトルクを伝達することができ、かつ、カム装置13の軸方向寸法の拡縮量を十分確保することができて、クラッチ締結力を十分大きくすることができる。
また、本例のクラッチレリーズ装置7は、入力軸2に入力された実トルクを検出可能なトルクセンサ15を備える。このため、クラッチ装置1の断接制御を高い精度で行うことができる。この理由について、以下で説明する。
電動モータを備えるクラッチレリーズ装置において、クラッチ装置の断接制御を行う場合、レリーズ軸受の軸方向位置(ストローク)を把握するために、レリーズ軸受の軸方向位置を直接測定するための位置センサや、レリーズ軸受の軸方向位置を電動モータの回転数から推定するための回転センサを、別途設けることが考えられる。
しかしながら、クラッチ装置のダイヤフラムばねの荷重とたわみ量との関係には、ヒステリシスが存在するため、ダイヤフラムばねのたわみ量に影響するレリーズ軸受の軸方向位置と、トランスミッションの入力軸に入力される実トルクとの間には、図7に示すような関係がある。このため、レリーズ軸受の軸方向位置に関する情報をクラッチ装置の断接制御に利用した場合、クラッチ装置の断接制御を精度良く実行することが難しい場合がある。つまり、クラッチ装置を、クラッチ接続状態と、半クラッチ状態と、クラッチ切断状態との間で適切に切り替えることが難しい場合がある。さらに、回転センサを利用する場合には、電動モータの体格が大きくなり、電動モータをミッションケース内に収めることが難しい場合がある。
さらに、クラッチ装置1の断接制御を自動で行う車両では、ECU(Electronic Control Unit)により、アクセルペダルの踏み込み量や車速情報などから車両の走行状態や運転者の操作状況を判定し、予め設定したクラッチ締結特性をもとに、レリーズ軸受の軸方向位置を制御し、エンジンの出力制御やエンスト防止制御を行うことが考えられる。ただし、図7に示したように、レリーズ軸受の軸方向位置からトルクを一義的に求められないため、トルクの推定値にある程度のマージンを加えた値を利用して、エンジンの出力制御やエンスト防止制御を行う必要がある。このため、エンジンの出力制御やエンスト防止制御に関して、十分に精度の高い制御を行うことが難しくなる。
これに対し、本例のクラッチ装置1では、図示しないECUにより、トルクセンサ15によって検出した入力軸2の実トルクに基づき、クラッチ装置1の断接状態を目標とする状態に調節すべく、電動モータ9の出力軸を回転駆動する。これにより、レリーズ軸受14の軸方向に関する変位量を調節し、クラッチ装置1を、クラッチ接続状態と、半クラッチ状態と、クラッチ切断状態との間で相互に切り替えるようにしている。したがって、本例のクラッチ装置1によれば、レリーズ軸受14の軸方向位置に基づきクラッチ装置1を制御する場合に比べて、クラッチ装置1の断接制御を精度良く行うことができる。また、本例では、レリーズ軸受14の軸方向位置を検出するための位置センサや回転センサを不要にすることもできるため、コスト低減を図れるとともに、クラッチレリーズ装置7の装置全体の小型化および軽量化を図ることもできる。さらに、ECUは、実トルク情報からクラッチ装置1の半クラッチ位置を学習することもできる。
また、ECUは、トルクセンサ15により検出した実トルク情報に基づいて、エンジンの出力制御を行う。具体的には、ECUは、車両の速度を検出する車速センサの出力信号、および、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサの出力信号などに、トルクセンサ15により検出した実トルク情報を加えて、エンジンを制御する。つまり、ECUは、入力軸2に入力されているトルクの大きさを考慮して、エンジンが備える燃料噴射装置およびスロットルバルブなどを制御し、燃料の噴射量および噴射のタイミング、並びに、気筒内に供給する空気量を調整する。例えば、ECUは、入力軸に入力されているトルクが十分に小さい場合に、燃料の噴射量を少なく抑える。このように、本例では、入力軸2に入力される実トルク情報を利用して、エンジンの出力制御を行うため、トルクの推定値にマージンを加えた値を利用して制御する場合に比べて、精度の高い制御を行うことができる。したがって、エンジンの燃費を十分に向上させることができる。
しかも、ECUは、上述したクラッチ装置1の断接制御(レリーズ軸受14のストローク制御)とエンジンの出力制御とを協調して行い、エンスト防止制御を行う。つまり、ECUは、クラッチ装置1の断接制御とエンジンの出力制御とを、共通の実トルク情報を利用して制御することで、エンジンの回転数とクラッチ装置1の断接状態とを関連付けて制御し、急激なトルク変動が生じないようにして、エンストの防止を図る。したがって、エンスト防止制御に関しても、精度の高い制御を行うことができる。
なお、本例のクラッチ装置1を搭載した車両によれば、所定の条件を満たした場合に車輪に自動的に制動力を付与する自動ブレーキ制御を実行した場合に、前記車両を早期に停止させることができる。すなわち、前記車両は、車速センサの出力信号や、前記車両の周囲の状況を検知するためのレーダやカメラなどの障害物検出センサの出力信号に基づいて、前記車両が障害物に衝突する可能性があると判定した場合には、運転者によるブレーキペダルの操作がなくても、ECUによる制御信号に基づき、図示しないブレーキアクチュエータを作動させて、駆動輪を含む車輪に自動的に制動力を付与する自動ブレーキ制御を行う。特に本例のクラッチ装置1を搭載した車両では、このような自動ブレーキ制御とクラッチ装置1の断接制御とを協調して行う。具体的には、ECUは、緊急ブレーキ時又はパニックブレーキ時など、自動ブレーキ制御を実行する際に、レリーズ軸受14のストローク制御を同時に行い、クラッチ装置1をクラッチ切断状態に切り替える。これにより、エンジンの駆動力が駆動輪に伝達されるのを防止できるため、前記車両を早期に停止させることが可能になる。
1 クラッチ装置
2 入力軸
3 フライホイール
4 クラッチディスク
5 プレッシャプレート
6 ダイヤフラムばね
7 クラッチレリーズ装置
8 クラッチカバー
9 電動モータ
10 ハウジング
11 ウォーム減速機
12 軸受ガイド
13 カム装置
14 レリーズ軸受
15 トルクセンサ
16 フロントケース
17 ホイール収容部
18 ウォーム収容部
19 外径側案内筒部
20 段付円筒部
21a、21b 側板部
22 接続筒部
27 大径筒部
28 外径側接続部
29 中径筒部
30 内径側接続部
31 小径筒部
32 第1ハウジング素子
33 第2ハウジング素子
34 第1フランジ片
35 第2フランジ片
36 ボルト
37 ウォーム
38 ウォームホイール
39 ウォーム歯
40 ホイール歯
41 ハブ
42 ギヤ部
42a 軸方向片側の端面
42b 軸方向他側の端面
43 ホイール側円筒部
44 ホイール側フランジ部
45 支持軸受
46 駆動側カム
47 カム側円筒部
48 内輪
49 外輪
50 ガイド側小径筒部
51 ガイド側大径筒部
52 ガイド側接続部
53 内向凸部
54 凹溝
55 Oリング
56 外向凸部
57 凹溝
58 Oリング
60 被駆動側カム
61 転動体
62 駆動側カム面
63 カム本体
65 カム側フランジ部
66 底部
67 被駆動側カム面
68 保持器
69 内輪
70 外輪
71 保持器
72 玉
73 押圧板
74 カラー
75 付勢ばね
76 ガイド筒
77 円筒部
78 内向フランジ部
79 段部
80 駆動側カム部
81 頂部
82 傾斜面部
83 切り欠き部

Claims (5)

  1. 電動モータと、
    前記電動モータにより回転駆動され、外周面にウォーム歯を有するウォーム軸、および、外周面に前記ウォーム歯と噛合するホイール歯を有するウォームホイールを含むウォーム減速機と、
    前記ウォームホイールに対し支持固定されるとともに、軸方向片側面に駆動側カム面を有する駆動側カム、前記駆動側カム面に対向する軸方向他側面に被駆動側カム面を有する被駆動側カム、および、前記駆動側カム面と前記被駆動側カム面との間に転動自在に配置された複数個の転動体を含むカム装置と、
    トランスミッションの入力軸の周囲に、該入力軸に対する軸方向の相対変位を可能に支持され、前記被駆動側カムにより軸方向に押圧されるのに伴い、ダイヤフラムばねを押圧するレリーズ軸受と、を備え、
    前記駆動側カム面のうち、軸方向に関する高さが最も低い底部が、軸方向に関して、前記ホイール歯の軸方向片側の端面と軸方向他側の端面との間に位置しており、
    前記ウォームホイールは、外周面に、前記ホイール歯を直接または他の部材を介して形成したホイール側円筒部、および、該ホイール側円筒部の軸方向中間部または軸方向他側部分から径方向内方に突出したホイール側フランジ部を有しており、
    軸方向他側部分の外周面が、前記ホイール側円筒部の軸方向片側部分の内周面に対向するように配置された外径側案内筒部を有するハウジングと、
    前記レリーズ軸受を外嵌するガイド側小径筒部、該ガイド側小径筒部の軸方向他側の端部から径方向外方に折れ曲がるとともに、軸方向他側面を前記被駆動側カムの軸方向片側面に突き当てたガイド側接続部、および、該ガイド側接続部の径方向外側の端部から軸方向他側に向けて折れ曲がるとともに、前記外径側案内筒部に対し、軸方向の変位を可能に内嵌されたガイド側大径筒部を有する軸受ガイドと、をさらに備える、
    クラッチレリーズ装置。
  2. 前記ウォームホイールを、前記入力軸の周囲に該入力軸に対する相対回転を自在に支持する支持軸受をさらに備え、
    前記駆動側カムが、軸方向片側面に前記駆動側カム面を有するとともに、軸方向他側面を、前記ホイール側フランジ部の軸方向片側面、および/または、前記支持軸受の軸方向片側面に突き当てたカム本体、および、該カム本体の軸方向他側面から軸方向他方に突出し、前記ホイール側フランジ部の内周面と前記支持軸受の外周面との間に挟持されるカム側円筒部を含む、
    請求項に記載のクラッチレリーズ装置。
  3. 前記カム本体は、軸方向他側面を前記支持軸受の軸方向片側面に突き当てており、
    前記カム側円筒部は、前記カム本体の軸方向他側面の径方向外側の端部から軸方向他方に突出しており、
    前記駆動側カムが、前記カム本体の外周面の軸方向他側の端部から径方向外方に突出し、軸方向側面を前記ホイール側フランジ部の軸方向片側面に突き当てたカム側フランジ部をさらに含む、
    請求項に記載のクラッチレリーズ装置。
  4. 前記被駆動側カムに対し支持固定され、軸方向片側を向いた段部を有するガイド筒部と、
    前記段部と前記ガイド側接続部の軸方向他側面との間に挟持されたコイルドウェーブスプリングとをさらに備える、請求項のうちの何れか1項に記載のクラッチレリーズ装置。
  5. 前記入力軸の周囲に配置され、前記入力軸に入力された実トルクを検出するトルクセンサをさらに備え、
    前記トルクセンサの少なくとも一部が、前記ウォームホイールと径方向に重畳する位置に配置されている、
    請求項1~のうちの何れか1項に記載のクラッチレリーズ装置。
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