JP2004307244A - 導電性酸化物焼結体、その製造方法及びそれを用いて得られるスパッタリングターゲット - Google Patents
導電性酸化物焼結体、その製造方法及びそれを用いて得られるスパッタリングターゲット Download PDFInfo
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Abstract
【課題】半導体メモリ等の電子部品を構成する電極の製造に用いられ、焼結温度を低温化でき、構成元素の飛散を抑制することで焼結体の組成変動が抑えられ、高密度化を可能とした導電性酸化物焼結体、その製造方法及びそれを用いて得られるスパッタリングターゲットの提供。
【解決手段】化学式:AxB1.0Oy(式中、AはCa、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属元素、BはRu又はIrから選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、また、x、yは、それぞれ0.98≦x≦1.03、2.7≦y≦3.1を満たす数値である。)で示される組成からなるペロブスカイト構造を有する導電性酸化物焼結体を製造する方法であって、金属元素Aと金属元素Bを含有する酸化物粉末に、金属元素A又はBのいずれかを酸化物以外の形態で含有する低融点の金属化合物粉末を添加した後、焼結を行う。
【選択図】 なし
【解決手段】化学式:AxB1.0Oy(式中、AはCa、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属元素、BはRu又はIrから選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、また、x、yは、それぞれ0.98≦x≦1.03、2.7≦y≦3.1を満たす数値である。)で示される組成からなるペロブスカイト構造を有する導電性酸化物焼結体を製造する方法であって、金属元素Aと金属元素Bを含有する酸化物粉末に、金属元素A又はBのいずれかを酸化物以外の形態で含有する低融点の金属化合物粉末を添加した後、焼結を行う。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性酸化物焼結体、その製造方法及びそれを用いて得られるスパッタリングターゲットに関し、半導体メモリ等の電子部品を構成する電極の製造に用いられ、焼結温度を低温化でき、構成元素の飛散を抑制することで焼結体の組成変動が抑えられ、高密度化を可能とした導電性酸化物焼結体、その製造方法及びそれを用いて得られるスパッタリングターゲットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体メモリとして強誘電体メモリ(FeRAM)の実用化研究が盛んに進められており、メモリのキャパシタ用としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)薄膜やSBT(Sr−Bi−Ta−O)薄膜などの強誘電体薄膜に電極を取り付けた素子が採用されている。しかし、電極としてPtが用いられているので、その触媒効果によって強誘電体薄膜に水素劣化が起こり、分極反転の繰り返しによって強誘電体の分極反転疲労を生じることが実用上問題となっている。
【0003】
このため、Ptに代わる電極膜材料として、誘電体膜との格子整合性、耐還元性が優れ、誘電体膜との相互拡散が行われない点などから、導電性の酸化物であるIrO2、RuO2、SRO(Sr−Ru−O)、CRO(Ca−Ru−O)、BRO(Ba−Ru−O)を用いることが検討されている。
【0004】
上記電極膜は、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、MOCVD法等の方法で膜形成される。このうちスパッタリング法は、膜形成が容易であることや電極も連続して形成できる点から優位な方法であるとされている。
ところが、現状では強誘電体薄膜上に電極膜をスパッタリングしたときの密着性に課題がある。すなわち、密着性が悪いのは、薄膜形成に用いる導電性酸化物スパッタリングターゲット(以下、単にターゲットともいう)の密度が低く、それはターゲットが空孔の多い焼結体で製造されていることに起因している。また、低密度焼結体であると内部の空隙からガスが発生し、成膜中に異常放電などが起こることにより、密着性の良好な良質な膜は得られないものと考えられている。
【0005】
スパッタリング法に用いられるターゲットは、これまで常圧焼結法、または熱間加圧焼結法により製造されているが、常圧焼結法ではターゲットの焼結密度が60%程度にしかならず、スパッタリング時に割れや欠けを生じやすいとされ、また熱間加圧焼結法であれば焼結密度が70%程度の焼結体が得られるものの、高温中での分解・還元により局部的に金属相が生成されてしまう問題があった。また、このような密度の低いターゲットを用いると、投入パワーが上げられず、スパッタリング装置の真空引きに時間を要し、生産性を低下させてしまう。
【0006】
そこで、原料粉末の焼結性を改善するために、例えば、SROターゲットでは、金属ルテニウム、または酸化ルテニウム粉末中に炭酸ストロンチウム粉末を加えた後に、仮焼を行って合成した粉末に炭酸リチウム、鉛やビスマスなどの酸化物、炭酸塩を焼結助剤として添加し、焼結体を高密度化する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0007】
また、還元性ガスあるいは不活性ガス雰囲気中でグラファイトダイスを用いて原料粉末を熱間加圧焼結すると、金属酸化物と炭素が反応して組成変化が生じるため、ダイスを部分安定化ジルコニアなどで被覆したものに代えて還元を抑制すること(特許文献3参照)、酸化ルテニウムに金属ルテニウムを少量含有させた原料を用い、酸素加圧条件で焼結すること(特許文献4参照)、さらには原料粉末をプラズマ焼結した後に1000〜1300℃の大気中で熱処理すること(特許文献5参照)等が提案されている。
【0008】
しかし、これらの方法では必ずしも十分に高密度な焼結体の製造が達成できず、また、構成元素が飛散すること等により組成変動が起こることがあった。焼結助剤として炭酸リチウムを用いる上記の方法によれば、焼結体の密度を85%以上に高めることが期待されるが、構成成分でないリチウムが焼結体に残留すると、強誘電体性能が低下するので、厳格に残留量を低減しなければならないが、その操作は困難である。
一方、焼結助剤として鉛やビスマスなどの酸化物、炭酸塩を用いると、これらの化合物は、800℃程度で溶融し、液相効果で焼結体を緻密化するものであるが、焼結体の構成元素以外の元素が残留し、この焼結体から得られた膜を他の強誘電体膜と積層した場合には、鉛、ビスマスなどの元素が強誘電体膜に拡散して組成変動を起こし特性が変化してしまう恐れや、成膜したときのシリコン基板にダメージを与える可能性が指摘されていた。
【0009】
このような状況下、焼結助剤を添加しても焼結後に残留せず、構成成分の揮散などによる組成変動を生じにくく、焼結性が十分であって高密度の焼結体を製造できる方法が切望されていた。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−226267号公報(請求項1〜3)
【特許文献2】
特開2000−247739号公報(請求項1〜5)
【特許文献3】
特開2002−193668号公報(請求項1〜6)
【特許文献4】
特開2002−211978号公報(請求項1〜5)
【特許文献5】
特開2002−226268号公報(請求項1〜3)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような状況に鑑み、半導体メモリ等の電子部品を構成する電極の製造に用いられ、焼結温度を低温化でき、構成元素の飛散を抑制することで焼結体の組成変動が抑えられ、高密度化を可能とした導電性酸化物焼結体、その製造方法及びそれを用いて得られるスパッタリングターゲットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定のアルカリ土類金属元素と白金族元素を構成成分とするペロブスカイト構造の導電性酸化物焼結体を製造するに当たり、各原料粉末の混合物から得られた酸化物粉末を焼結する際に、いずれかの構成成分である金属元素を含有し、しかも酸化物の形態以外の低融点化合物粉末を添加して焼結を行うことで、焼結温度の低温化が可能となり、構成元素以外の成分元素を残留させないので組成変動が抑えられ、高密度の導電性酸化物焼結体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、化学式:AxB1.0Oy(式中、AはCa、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属元素、BはRu又はIrから選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、また、x、yは、それぞれ0.98≦x≦1.03、2.7≦y≦3.1を満たす数値である。)で示される組成からなるペロブスカイト構造を有する導電性酸化物焼結体を製造する方法であって、金属元素Aと金属元素Bを含有する酸化物粉末に、金属元素A又はBのいずれかを酸化物以外の形態で含有する低融点の金属化合物粉末を添加した後、焼結を行うことを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0014】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、酸化物粉末は、原料粉末を大気中または酸素雰囲気中において、800℃以上で仮焼して得ることを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、金属化合物粉末は、融点及び分解・揮発温度が1400℃以下であることを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0016】
また、本発明の第4の発明によれば、第1又は3の発明において、金属化合物粉末は、フッ化物または塩化物であることを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0017】
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、金属化合物粉末の添加量は、酸化物粉末1molに対し、0.05〜0.4molであることを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0018】
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、焼結は、1500℃以下で、大気もしくは酸素雰囲気中、又は不活性ガス雰囲気中、常圧で行うことを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0019】
一方、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る製造方法で得られた導電性酸化物焼結体が提供される。
【0020】
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、相対密度が80%以上であり、結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする導電性酸化物焼結体が提供される。
【0021】
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、さらに、表面の比抵抗値が1×10−2Ω・cm以下であることを特徴とする導電性酸化物焼結体が提供される。
【0022】
さらに、本発明の第10の発明によれば、第7〜9のいずれかの発明に係る導電性酸化物焼結体を研磨、加工して得られるスパッタリングターゲットが提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の導電性酸化物焼結体、その製造法及びそれを用いたスパッタリングターゲットについて詳細に説明する。
【0024】
1.導電性酸化物焼結体の製造方法
本発明は、(1)特定のアルカリ土類金属元素Aを含有する原料粉末(a)と、特定の白金族系金属元素Bを含有する原料粉末(b)とを用意し、これを混合・解砕し、(2)次いで必要により仮焼、粉砕して、(3)得られた混合粉末に特定の金属化合物粉末(c)を添加、混合した後、(4)焼結することにより製造される。
【0025】
(1)原料粉末の混合・解砕
最初の工程では、アルカリ土類金属元素Aを含有する原料粉末(a)と白金族系金属元素Bを含有する原料粉末(b)とを用意し、これを混合・解砕する。
【0026】
原料粉末(a)は、導電性酸化物焼結体の出発原料として、Ca、Ba、またはSrから選ばれる少なくとも1種類の金属元素Aを含有した粉末であり、純度が3N以上である金属、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、又は水酸化物等から選ばれる粉末を用いて製造され、酸化物以外の原料粉末を用いる場合は、後述する仮焼等の処理を加えて酸化物粉末とする必要がある。
【0027】
また、原料粉末(b)は、導電性酸化物焼結体の出発原料として、Ru、又はIrから選ばれる少なくとも1種類の金属元素Bを含有し、純度が3N以上である金属、酸化物、塩化物等からなる粉末である。酸化物以外の原料粉末を用いる場合は、後述する仮焼等の処理を加えて酸化物粉末とする必要がある。
【0028】
上記金属元素A及びBを含有する酸化物粉末を仮焼により合成するには、仮焼前に両原料粉末を均一混合しておかなければならない。この段階で均一混合しておかないと、仮焼、焼結時に局部的な飛散・分解が生じてしまう。但し、金属粉末以外の粉末同士の調合であれば、水、有機分散媒を加え、機械的な湿式混合・解砕により行うことができるが、金属粉末とそれ以外の粉末を調合した場合、粉末の比重差が大きくなって湿式混合が困難になる。この場合にはボールミルやブレンダ等による乾式混合を採用することが好ましい。
【0029】
湿式混合・解砕には、不純物混入の少ない湿式ボールミルを用いることが好ましい。粉砕に用いる際のボールは、φ3〜5mmのZrO2ボールを用い、回転数100rpm程度で24〜96時間の解砕を行う。ボールの充填率は40〜70%程度が好ましい。水量は粉末の重量に対し、1〜3倍を添加するのがよい。有機分散媒を入れることで、構成元素の分散性と解砕効率を向上させることもできる。有機分散媒としては、特に限定されないがポリカルボン酸アンモニウム塩類であれば仮焼時の残留灰分がないので好ましい。
【0030】
一方、乾式混合には、乾式ボールミルを用いれば、粉末が均一に混ざりやすい。粉砕に用いる際のボールは、φ5〜10mmのZrO2ボールを用い、回転数100rpm程度で12〜48時間の解砕を行う。粉砕がこの時間よりも長時間になると、摩耗等で不純物の混入が多くなるので好ましくない。ボールの充填率は30〜50%程度が好ましい。
【0031】
(2)仮焼・粉砕
次いで、得られた混合物を乾燥・造粒後、800℃以上、好ましくは800〜1100℃、より好ましくは900〜1000℃で、1〜10時間、好ましくは1〜5時間仮焼して酸化物粉末を得る。
【0032】
仮焼雰囲気は、大気中、もしくは酸素雰囲気中であることが好ましい。仮焼によって混合物粉末は、すべて酸化物粉末になる。酸化物粉末にすることで、焼結時の揮発や耐還元性の向上による分解等が抑制できるばかりでなく、組成の安定性、焼結体内の焼結収縮率の均一性を向上させることができる。800℃より仮焼温度が低いと、金属粉末の完全な酸化が行われず、1100℃を越えると粉末の粒成長が促進されてしまい焼結性が低下してしまうので好ましくない。
【0033】
仮焼は、原料粉末の種類によっては省略してもよいが、仮焼を行わないと、例えば、金属粉末の状態で焼結を行った後に酸化処理を施しても、焼結体内の酸素濃度が不均一になるばかりか、酸化による体積膨張差が起こって焼結密度が低下してしまう等の問題が発生する場合がある。
【0034】
(3)金属化合物粉末の添加
次いで、仮焼により得られた酸化物粉末に、金属元素A又はBを含む前記酸化物以外の形態の金属化合物粉末(c)を添加する。
【0035】
金属化合物粉末(c)は、低融点かつ金属元素A又はBを含む金属化合物であり、前記した酸化物の形態以外であれば特に制限されないが、具体的には、Ca、Ba、Sr、Ru、またはIrのいずれかの金属元素を含有するフッ化物、塩化物である。特に好ましいのは、融解後に分解・揮発しやすい、フッ化ストロンチウム(融点1190℃)、塩化ストロンチウム(融点873℃)、フッ化バリウム(融点1354℃)、塩化バリウム(融点962℃)などである。
【0036】
金属化合物粉末として、酸化物粉末と同一の金属元素を含有するフッ化物、塩化物を選ぶことが好ましいのは、これを用いることで粒成長促進による緻密化が得られるためである。金属化合物粉末が酸化物の形態であると、高温中でも安定なため、焼結性を向上させることができない。つまり、添加される金属化合物粉末には焼結助剤的な役割を果たすことが求められるために、酸化物粉末の焼結温度より低融点のものが好ましい。金属化合物粉末が低融点であれば、酸化物粉末の粒子表面と融解結合して緻密化を促進させることができる。
【0037】
一方で、本発明で製造される導電性酸化物焼結体は、誘電体の電極を成膜するスパッタリングターゲット用であるために、添加される金属化合物粉末の種類を厳選しないと焼結体中に残存したり、または酸化物主相内に固溶するとスパッタ膜の性質に悪影響を及ぼす。つまり、金属化合物粉末の構成元素によっては、誘電体膜との相互拡散によって界面の平坦性の悪化や膜抵抗の上昇等をもたらす原因になってしまう。
【0038】
本発明においては、導電性酸化物焼結体を構成する金属元素A又はBと同一金属元素の金属化合物粉末を用いており、このため分解特性を有する化合物であっても、残存した金属元素は悪影響を与えない。つまり、融解により焼結性に効果を与えた後、分解を起こさせてガス成分のみを放出させれば、不要な不純物を含まない焼結体を得ることができる。また、高温下に曝すことで、焼結体の緻密化に寄与させた後に、揮発を促進させて化合物を消失させても構わない。
【0039】
金属化合物粉末の添加量は、酸化物粉末1molに対し、0.05〜0.4mol、好ましくは0.1〜0.3molとする。0.05mol未満では、焼結性を改善できず、一方、0.4molを超えると分解・揮発に伴って多量のガス成分が発生して、内部に粗大な空隙が生成されて焼結体の緻密化を阻害する。
【0040】
添加される金属化合物粉末として、分解特性を有する金属化合物を用いる場合には、上記範囲内で金属元素の残存量を考慮し、予め原料となる酸化物粉末の量から減じて調合すればよい。これにより最終的に作製される導電性酸化物焼結体の組成を制御することができる。
さらに、金属化合物粉末として揮発特性を有する金属化合物を用いる場合には、金属化合物粉末が添加される前の原料酸化物粉末の組成で焼結体組成が決定される。
【0041】
この際、酸化物粉末の粒径が3μmよりも大きければ、水、有機分散媒、または金属化合物粉末を加え、機械的な湿式粉砕を行い、粒径が3μm以下とすることが望ましい。酸化物粉末の粒径が3μm以下であれば金属化合物粉末の融解が効果的に行われるため、粉砕せずに乾式混合して使用することができる。
【0042】
湿式粉砕には、湿式ボールミルを用いることが好ましい。例えば、粉砕に用いるボールはφ3〜5mmのZrO2ボールを用い、回転数100rpm程度で24時間以上の粉砕を行う。ボールの充填率は、使用される樹脂ポットの容積率で40〜70%程度が好ましい。水量は酸化物粉末の重量に対し、1〜2倍を添加するのが良い。また、有機分散媒を入れることで構成元素の分散性と解砕効率を向上させることができる。有機分散媒としては、特に限定されないが、ポリカルボン酸アンモニウム塩類であれば焼結時の残留灰分が無いので好ましい。
【0043】
乾式混合には、乾式ボールミルが均一に混ざりやすく好ましい。例えば、粉砕に用いるボールは、φ5〜10mmのZrO2ボールを用い、回転数100rpm程度で12〜48時間の粉砕を行うことがよい。これ以上に長時間行うと不純物の混入が多くなるので好ましくない。ボールの充填率は、使用される樹脂ポットの容積率で30〜50%程度が好ましい。
【0044】
本発明において、金属化合物粉末(c)は、酸化物粉末の原料粉末を仮焼した後に添加することが望ましいが、金属化合物粉末(c)の種類によっては仮焼前に添加してもよい。
【0045】
(4)焼結
最後に、金属化合物粉末を添加した酸化物粉末(混合粉末)を、常圧焼結法か熱間加圧焼結法のどちらかで焼結する。
【0046】
常圧焼結法による場合には、混合粉末を1500℃以下で、大気中、酸素雰囲気中、または不活性ガス雰囲気中で焼結させる。不活性ガス雰囲気中で焼結するのは、添加される金属化合物粉末(c)がフッ化物、塩化物であっても、高温中で酸素に触れると酸化物になる恐れがある場合であり、焼結性に効果を与えるまで外気を遮断しておく必要があることによる。成形体を密閉中で焼結させてもよいが、より効果を得たい場合には、不活性ガス雰囲気で行うことがよい。但し、不活性ガス雰囲気のまま高温に曝し続けると、酸化物粉末自身が還元・揮発するために、焼結に寄与させた時点で酸素を含むガスを導入する必要がある。これにより、フッ化物、塩化物は、分解・揮発して消失するか、またはガス成分のみを消失させることが可能となる。例えば、1100℃の融点を持つフッ化物を添加した場合、成形体を大気中、600℃で脱脂後、Arガスを導入し、1100℃で保持後、O2ガスに替えて本焼結を行う方法が用いられる。
【0047】
また、熱間加圧焼結法による場合は、真空中あるいはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中、グラファイトダイスを用いて900〜1300℃、好ましくは950〜1200℃で原料粉末を熱間加圧焼結する。1200℃を超えて不活性ガス雰囲気中で焼結すると化学式中のA元素、例えば、Sr等元素が金属化して揮発し易くなるため、熱間加圧後、大気中あるいは酸素雰囲気中で1400℃付近の温度での熱処理を加えることが望ましい。加圧力は、150kg/cm2以上、好ましくは180kg/cm2以上とする。ダイス強度を考慮して500kg/cm2以下とすることが望ましい。金属酸化物と炭素が反応して組成変化が生じることがあるため、部分安定化ジルコニアなどで被覆したダイスを用いてもよい。
【0048】
以上の方法により、化学式:AxB1.0Oy(式中、AはCa、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属元素、BはRu又はIrから選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、また、x、yは、それぞれ0.98≦x≦1.03、2.7≦y≦3.1を満たす数値である。)で示される組成からなるペロブスカイト構造を有する導電性酸化物焼結体を製造することができる。
【0049】
2.焼結体
上記の方法によれば、酸化物粉末に対して焼結助剤的な機能を発揮する金属化合物粉末を添加することにより、従来よりも低温で原料粉末を焼結でき、この結果、高密度で結晶粒径10μm以下、好ましくは9μm以下の焼結体を得ることができる。
【0050】
結晶粒径が10μmを超えると、結晶粒内に空孔が閉じ込められて密度が低下するので好ましくない。結晶粒径を10μm以下とすることで、例えば、SROは常圧焼結法、もしくはホットプレス法では得られなかった相対密度80%以上の焼結体の製造を達成することが可能となる。この焼結体の製造条件を最適化すれば、相対密度が85%以上の焼結体を得ることができる。ただし、結晶粒径が3μm未満であっても高密度の焼結体が得られないことがある。
【0051】
すなわち、本発明の焼結体は、相対密度80%以上、結晶粒径10μm以下の焼結体である。また、焼結体表面の比抵抗値が1×10−2Ω・cm以下の焼結体であるため、このような比抵抗値が小さい焼結体であればスパッタリングターゲットとして用いた場合、良質な膜を得ることができるものと期待される。
【0052】
3.スパッタリングターゲット
本発明のスパッタリングターゲットは、上記の焼結体を研磨、加工してバッキングプレートにボンディングすることにより製造される。研磨、加工の手段は特に限定されない。
【0053】
相対密度が80%以上、焼結体を構成する酸化物の結晶粒径が10μm以下であり、焼結体表面の比抵抗値が1×10−2Ω・cm以下、好ましくは1×10−3Ω・cm以下とした焼結体を用いているため、導電性が高く、このスパッタリングターゲットを用いれば、スパッタリング時の放電状態が安定するだけでなく、電極膜として良好な膜質を得ることができる。
【0054】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0055】
製造された焼結体は、以下に示す方法で分析・測定した。
(1)焼結密度
焼結体中央を切断して、中央部約1cm3を切り出し、高精度比重計(東洋精機(株)製)から相対密度を求めた。
(2)組成分析
焼結体の一部を粉砕し、ICP分析により組成、不純物量を求めた。
(3)結晶粒径
焼結体両端部及び中央部を切断し、切断面を鏡面研磨後、SEM観察により結晶粒径を測定した。観察箇所は1試料につき20点場所を変えて測定した。
(4)焼結体、薄膜の比抵抗値
焼結体表面を研磨し、MCPT250(三菱化学(株)製)で四探針法により比抵抗値を求めた。
【0056】
(実施例1)
最大粒径5μmの金属ルテニウム粉末に、最大粒径3μmの炭酸ストロンチウム粉末を加えて、φ5mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。造粒後、大気中1000℃×1時間で仮焼して、SrRuO3組成の粉末を得た。
この粉末にフッ化ストロンチウム粉末を0.05mol加えて、φ5mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。
得られた粉末に濃度3%の酢酸ビニルバインダ水溶液を加えて混合、造粒後、造粒粉末をφ75mmの金型に充填し、50MPaの圧力を加えて成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1400℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は82%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr1.00RuO2.8であった。
得られた試料について、XRDでSrF2の分解を確認した。図1にXRD測定結果を示したが、F化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は6.6μm、焼結体表面の比抵抗値は5.2×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0057】
【表1】
【0058】
(実施例2)
フッ化ストロンチウム粉末の添加量を0.4molとした以外は、上記実施例1と同様にして成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1400℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は84%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr1.02RuO2.8であった。
得られた試料について、XRDでSrF2の分解を確認した。XRDの結果、F化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は8.3μm、焼結体表面の比抵抗値は3.9×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0059】
(実施例3)
フッ化ストロンチウムに代えて塩化ストロンチウム粉末を0.2mol添加した以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1400℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は81%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.98RuO2.7であった。得られた試料をXRDでSrCl2の分解を確認したが、塩素化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は4.6μm、焼結体表面の比抵抗値は7.8×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0060】
(実施例4)
炭酸ストロンチウムに代えてフッ化バリウム粉末を用い、これを最大粒径5μmの金属ルテニウムに0.2mol加えた以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して、1300℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は82%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Ba0.99RuO2.7であった。
得られた試料をXRDでBaF2の分解を確認したが、F化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は3.7μm、焼結体表面の比抵抗値は6.9×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0061】
(実施例5)
金属ルテニウムを酸化ルテニウム粉末に代え、最大粒径3μmの炭酸ストロンチウム粉末と混合して、これにフッ化ストロンチウム粉末を0.4mol添加した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
この成形体を大気中600℃で脱脂した後、Arガスを10L/minで導入して1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1400℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は86%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.98RuO2.8であった。得た試料をXRDで測定しSrF2の分解を確認したが、F化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は7.1μm、焼結体表面の比抵抗値は3.2×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0062】
(実施例6)
金属ルテニウムに代えて、最大粒径5μmの金属イリジウム粉末を用い、フッ化ストロンチウムに代えて塩化ストロンチウム粉末を0.2mol添加した以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1300℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は81%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr1.02IrO2.8であった。
得られた試料について、XRDでSrCl2の分解を確認したが、Cl化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は6.1μm、焼結体表面の比抵抗値は9.2×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0063】
(比較例1)
実施例5と同様に、最大粒径3μmの酸化ルテニウム粉末に最大粒径3μm炭酸ストロンチウム粉末を加え、φ3mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。造粒後、大気中で800℃×2時間で仮焼してSRO3粉末を得た。この粉末にフッ化ストロンチウム粉末を加えることなく、酢酸ビニルバインダ水溶液を加えて混合造粒後、造粒粉末を金属製の直径50mm型に投入し、粉末に50MPaの圧力を加えて成形体を得た。600℃で脱脂後、昇温速度を800℃から1℃/minで昇温し、1300℃×2時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は63%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.99RuO2.8であった。また、平均結晶粒径は5.5μm、焼結体表面の比抵抗値は5.3×10−2Ω・cmであった。
【0064】
(比較例2)
実施例1と同様に、最大粒径5μmの金属ルテニウム粉末に、最大粒径3μmの炭酸ストロンチウム粉末を加えて、φ5mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。造粒後、大気中1000℃×1時間で仮焼してSrRuO3組成粉末を得た。この粉末にフッ化ストロンチウム粉末を加えることなく、グラファイト製パンチ・ダイスからなる直径50mm型に投入し、Ar雰囲気下で粉末に30MPaの圧力を加え、ホットプレスによる焼結を行った。昇温速度は室温から10℃/minで昇温し、1200℃×1時間で焼結した。
焼結体に割れはなく、XRD測定から金属相が検出されたため、相対密度を求めることができなかった。この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.93RuO2.1であった。
【0065】
(比較例3)
実施例1と同様に、最大粒径5μmの金属ルテニウム粉末に、最大粒径3μmの炭酸ストロンチウム粉末を加えて、φ5mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。造粒後、大気中1000℃×1時間で仮焼してSrRuO3組成粉末を得た。この粉末にフッ化ストロンチウム粉末を加えることなく、グラファイト製パンチ・ダイスからなる直径50mm型に投入し、Ar雰囲気下で粉末に30MPaの圧力を加え、ホットプレスによる焼結を行った。昇温速度は室温から10℃/minで昇温し、1000℃×1時間で焼結した。焼結体に割れはなく、XRD測定から金属相は検出されなかったが、相対密度71%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.93RuO2.4であった。
また、平均結晶粒径は2.3μm、焼結体表面の比抵抗値は2.1×10−2Ω・cmであった。
【0066】
(比較例4)
実施例1の金属化合物粉末(フッ化ストロンチウム)に代えて、Bi2O3を添加し、同様にして成形体を製造した。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1300℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は85%であった。平均結晶粒径は11μmと粗大化してしまい、結晶粒界にBiRu酸化物の偏析が認められた。図2にXRD測定結果のチャートを示すが、Bi8RuO14に関係するピーク(×)が多数存在している。これらの結果を表1にまとめた。
【0067】
上記の結果、実施例1〜6によれば、酸化物粉末に低融点の金属化合物粉末を添加して、焼結するために高密度の焼結体を得ることができ、かかる焼結体は比抵抗値も低いことが分かる。
これに対して、比較例1〜3は、低融点の金属化合物を添加せずに、焼結しているために、高密度の焼結体を得ることができない。また、比較例4では、公知の焼結助剤を添加しているが、融点が高く、焼結体に残存するために所望の焼結体が得られないことが分かる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、原料酸化物粉末の焼結温度を低温化でき、構成元素の飛散を抑制することによって、組成変動が抑えられ、高密度な導電性酸化物焼結体が得られ、特に、従来法では焼結できなかった白金族系金属元素を含む酸化物焼結体を得ることができる。これによって、導電性酸化物薄膜をスパッタリング法などで作製する酸化物焼結体(ターゲット)を提供でき、半導体メモリ等の各種電子部品を構成する電極用として好適な導電性酸化物薄膜を成膜できることから、工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた焼結体のX線回折を測定した結果を示すチャートである。
【図2】比較例4で得られた焼結体のX線回折を測定した結果を示すチャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性酸化物焼結体、その製造方法及びそれを用いて得られるスパッタリングターゲットに関し、半導体メモリ等の電子部品を構成する電極の製造に用いられ、焼結温度を低温化でき、構成元素の飛散を抑制することで焼結体の組成変動が抑えられ、高密度化を可能とした導電性酸化物焼結体、その製造方法及びそれを用いて得られるスパッタリングターゲットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体メモリとして強誘電体メモリ(FeRAM)の実用化研究が盛んに進められており、メモリのキャパシタ用としては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)薄膜やSBT(Sr−Bi−Ta−O)薄膜などの強誘電体薄膜に電極を取り付けた素子が採用されている。しかし、電極としてPtが用いられているので、その触媒効果によって強誘電体薄膜に水素劣化が起こり、分極反転の繰り返しによって強誘電体の分極反転疲労を生じることが実用上問題となっている。
【0003】
このため、Ptに代わる電極膜材料として、誘電体膜との格子整合性、耐還元性が優れ、誘電体膜との相互拡散が行われない点などから、導電性の酸化物であるIrO2、RuO2、SRO(Sr−Ru−O)、CRO(Ca−Ru−O)、BRO(Ba−Ru−O)を用いることが検討されている。
【0004】
上記電極膜は、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、MOCVD法等の方法で膜形成される。このうちスパッタリング法は、膜形成が容易であることや電極も連続して形成できる点から優位な方法であるとされている。
ところが、現状では強誘電体薄膜上に電極膜をスパッタリングしたときの密着性に課題がある。すなわち、密着性が悪いのは、薄膜形成に用いる導電性酸化物スパッタリングターゲット(以下、単にターゲットともいう)の密度が低く、それはターゲットが空孔の多い焼結体で製造されていることに起因している。また、低密度焼結体であると内部の空隙からガスが発生し、成膜中に異常放電などが起こることにより、密着性の良好な良質な膜は得られないものと考えられている。
【0005】
スパッタリング法に用いられるターゲットは、これまで常圧焼結法、または熱間加圧焼結法により製造されているが、常圧焼結法ではターゲットの焼結密度が60%程度にしかならず、スパッタリング時に割れや欠けを生じやすいとされ、また熱間加圧焼結法であれば焼結密度が70%程度の焼結体が得られるものの、高温中での分解・還元により局部的に金属相が生成されてしまう問題があった。また、このような密度の低いターゲットを用いると、投入パワーが上げられず、スパッタリング装置の真空引きに時間を要し、生産性を低下させてしまう。
【0006】
そこで、原料粉末の焼結性を改善するために、例えば、SROターゲットでは、金属ルテニウム、または酸化ルテニウム粉末中に炭酸ストロンチウム粉末を加えた後に、仮焼を行って合成した粉末に炭酸リチウム、鉛やビスマスなどの酸化物、炭酸塩を焼結助剤として添加し、焼結体を高密度化する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0007】
また、還元性ガスあるいは不活性ガス雰囲気中でグラファイトダイスを用いて原料粉末を熱間加圧焼結すると、金属酸化物と炭素が反応して組成変化が生じるため、ダイスを部分安定化ジルコニアなどで被覆したものに代えて還元を抑制すること(特許文献3参照)、酸化ルテニウムに金属ルテニウムを少量含有させた原料を用い、酸素加圧条件で焼結すること(特許文献4参照)、さらには原料粉末をプラズマ焼結した後に1000〜1300℃の大気中で熱処理すること(特許文献5参照)等が提案されている。
【0008】
しかし、これらの方法では必ずしも十分に高密度な焼結体の製造が達成できず、また、構成元素が飛散すること等により組成変動が起こることがあった。焼結助剤として炭酸リチウムを用いる上記の方法によれば、焼結体の密度を85%以上に高めることが期待されるが、構成成分でないリチウムが焼結体に残留すると、強誘電体性能が低下するので、厳格に残留量を低減しなければならないが、その操作は困難である。
一方、焼結助剤として鉛やビスマスなどの酸化物、炭酸塩を用いると、これらの化合物は、800℃程度で溶融し、液相効果で焼結体を緻密化するものであるが、焼結体の構成元素以外の元素が残留し、この焼結体から得られた膜を他の強誘電体膜と積層した場合には、鉛、ビスマスなどの元素が強誘電体膜に拡散して組成変動を起こし特性が変化してしまう恐れや、成膜したときのシリコン基板にダメージを与える可能性が指摘されていた。
【0009】
このような状況下、焼結助剤を添加しても焼結後に残留せず、構成成分の揮散などによる組成変動を生じにくく、焼結性が十分であって高密度の焼結体を製造できる方法が切望されていた。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−226267号公報(請求項1〜3)
【特許文献2】
特開2000−247739号公報(請求項1〜5)
【特許文献3】
特開2002−193668号公報(請求項1〜6)
【特許文献4】
特開2002−211978号公報(請求項1〜5)
【特許文献5】
特開2002−226268号公報(請求項1〜3)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような状況に鑑み、半導体メモリ等の電子部品を構成する電極の製造に用いられ、焼結温度を低温化でき、構成元素の飛散を抑制することで焼結体の組成変動が抑えられ、高密度化を可能とした導電性酸化物焼結体、その製造方法及びそれを用いて得られるスパッタリングターゲットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定のアルカリ土類金属元素と白金族元素を構成成分とするペロブスカイト構造の導電性酸化物焼結体を製造するに当たり、各原料粉末の混合物から得られた酸化物粉末を焼結する際に、いずれかの構成成分である金属元素を含有し、しかも酸化物の形態以外の低融点化合物粉末を添加して焼結を行うことで、焼結温度の低温化が可能となり、構成元素以外の成分元素を残留させないので組成変動が抑えられ、高密度の導電性酸化物焼結体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、化学式:AxB1.0Oy(式中、AはCa、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属元素、BはRu又はIrから選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、また、x、yは、それぞれ0.98≦x≦1.03、2.7≦y≦3.1を満たす数値である。)で示される組成からなるペロブスカイト構造を有する導電性酸化物焼結体を製造する方法であって、金属元素Aと金属元素Bを含有する酸化物粉末に、金属元素A又はBのいずれかを酸化物以外の形態で含有する低融点の金属化合物粉末を添加した後、焼結を行うことを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0014】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、酸化物粉末は、原料粉末を大気中または酸素雰囲気中において、800℃以上で仮焼して得ることを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、金属化合物粉末は、融点及び分解・揮発温度が1400℃以下であることを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0016】
また、本発明の第4の発明によれば、第1又は3の発明において、金属化合物粉末は、フッ化物または塩化物であることを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0017】
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、金属化合物粉末の添加量は、酸化物粉末1molに対し、0.05〜0.4molであることを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0018】
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、焼結は、1500℃以下で、大気もしくは酸素雰囲気中、又は不活性ガス雰囲気中、常圧で行うことを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法が提供される。
【0019】
一方、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る製造方法で得られた導電性酸化物焼結体が提供される。
【0020】
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、相対密度が80%以上であり、結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする導電性酸化物焼結体が提供される。
【0021】
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、さらに、表面の比抵抗値が1×10−2Ω・cm以下であることを特徴とする導電性酸化物焼結体が提供される。
【0022】
さらに、本発明の第10の発明によれば、第7〜9のいずれかの発明に係る導電性酸化物焼結体を研磨、加工して得られるスパッタリングターゲットが提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の導電性酸化物焼結体、その製造法及びそれを用いたスパッタリングターゲットについて詳細に説明する。
【0024】
1.導電性酸化物焼結体の製造方法
本発明は、(1)特定のアルカリ土類金属元素Aを含有する原料粉末(a)と、特定の白金族系金属元素Bを含有する原料粉末(b)とを用意し、これを混合・解砕し、(2)次いで必要により仮焼、粉砕して、(3)得られた混合粉末に特定の金属化合物粉末(c)を添加、混合した後、(4)焼結することにより製造される。
【0025】
(1)原料粉末の混合・解砕
最初の工程では、アルカリ土類金属元素Aを含有する原料粉末(a)と白金族系金属元素Bを含有する原料粉末(b)とを用意し、これを混合・解砕する。
【0026】
原料粉末(a)は、導電性酸化物焼結体の出発原料として、Ca、Ba、またはSrから選ばれる少なくとも1種類の金属元素Aを含有した粉末であり、純度が3N以上である金属、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、又は水酸化物等から選ばれる粉末を用いて製造され、酸化物以外の原料粉末を用いる場合は、後述する仮焼等の処理を加えて酸化物粉末とする必要がある。
【0027】
また、原料粉末(b)は、導電性酸化物焼結体の出発原料として、Ru、又はIrから選ばれる少なくとも1種類の金属元素Bを含有し、純度が3N以上である金属、酸化物、塩化物等からなる粉末である。酸化物以外の原料粉末を用いる場合は、後述する仮焼等の処理を加えて酸化物粉末とする必要がある。
【0028】
上記金属元素A及びBを含有する酸化物粉末を仮焼により合成するには、仮焼前に両原料粉末を均一混合しておかなければならない。この段階で均一混合しておかないと、仮焼、焼結時に局部的な飛散・分解が生じてしまう。但し、金属粉末以外の粉末同士の調合であれば、水、有機分散媒を加え、機械的な湿式混合・解砕により行うことができるが、金属粉末とそれ以外の粉末を調合した場合、粉末の比重差が大きくなって湿式混合が困難になる。この場合にはボールミルやブレンダ等による乾式混合を採用することが好ましい。
【0029】
湿式混合・解砕には、不純物混入の少ない湿式ボールミルを用いることが好ましい。粉砕に用いる際のボールは、φ3〜5mmのZrO2ボールを用い、回転数100rpm程度で24〜96時間の解砕を行う。ボールの充填率は40〜70%程度が好ましい。水量は粉末の重量に対し、1〜3倍を添加するのがよい。有機分散媒を入れることで、構成元素の分散性と解砕効率を向上させることもできる。有機分散媒としては、特に限定されないがポリカルボン酸アンモニウム塩類であれば仮焼時の残留灰分がないので好ましい。
【0030】
一方、乾式混合には、乾式ボールミルを用いれば、粉末が均一に混ざりやすい。粉砕に用いる際のボールは、φ5〜10mmのZrO2ボールを用い、回転数100rpm程度で12〜48時間の解砕を行う。粉砕がこの時間よりも長時間になると、摩耗等で不純物の混入が多くなるので好ましくない。ボールの充填率は30〜50%程度が好ましい。
【0031】
(2)仮焼・粉砕
次いで、得られた混合物を乾燥・造粒後、800℃以上、好ましくは800〜1100℃、より好ましくは900〜1000℃で、1〜10時間、好ましくは1〜5時間仮焼して酸化物粉末を得る。
【0032】
仮焼雰囲気は、大気中、もしくは酸素雰囲気中であることが好ましい。仮焼によって混合物粉末は、すべて酸化物粉末になる。酸化物粉末にすることで、焼結時の揮発や耐還元性の向上による分解等が抑制できるばかりでなく、組成の安定性、焼結体内の焼結収縮率の均一性を向上させることができる。800℃より仮焼温度が低いと、金属粉末の完全な酸化が行われず、1100℃を越えると粉末の粒成長が促進されてしまい焼結性が低下してしまうので好ましくない。
【0033】
仮焼は、原料粉末の種類によっては省略してもよいが、仮焼を行わないと、例えば、金属粉末の状態で焼結を行った後に酸化処理を施しても、焼結体内の酸素濃度が不均一になるばかりか、酸化による体積膨張差が起こって焼結密度が低下してしまう等の問題が発生する場合がある。
【0034】
(3)金属化合物粉末の添加
次いで、仮焼により得られた酸化物粉末に、金属元素A又はBを含む前記酸化物以外の形態の金属化合物粉末(c)を添加する。
【0035】
金属化合物粉末(c)は、低融点かつ金属元素A又はBを含む金属化合物であり、前記した酸化物の形態以外であれば特に制限されないが、具体的には、Ca、Ba、Sr、Ru、またはIrのいずれかの金属元素を含有するフッ化物、塩化物である。特に好ましいのは、融解後に分解・揮発しやすい、フッ化ストロンチウム(融点1190℃)、塩化ストロンチウム(融点873℃)、フッ化バリウム(融点1354℃)、塩化バリウム(融点962℃)などである。
【0036】
金属化合物粉末として、酸化物粉末と同一の金属元素を含有するフッ化物、塩化物を選ぶことが好ましいのは、これを用いることで粒成長促進による緻密化が得られるためである。金属化合物粉末が酸化物の形態であると、高温中でも安定なため、焼結性を向上させることができない。つまり、添加される金属化合物粉末には焼結助剤的な役割を果たすことが求められるために、酸化物粉末の焼結温度より低融点のものが好ましい。金属化合物粉末が低融点であれば、酸化物粉末の粒子表面と融解結合して緻密化を促進させることができる。
【0037】
一方で、本発明で製造される導電性酸化物焼結体は、誘電体の電極を成膜するスパッタリングターゲット用であるために、添加される金属化合物粉末の種類を厳選しないと焼結体中に残存したり、または酸化物主相内に固溶するとスパッタ膜の性質に悪影響を及ぼす。つまり、金属化合物粉末の構成元素によっては、誘電体膜との相互拡散によって界面の平坦性の悪化や膜抵抗の上昇等をもたらす原因になってしまう。
【0038】
本発明においては、導電性酸化物焼結体を構成する金属元素A又はBと同一金属元素の金属化合物粉末を用いており、このため分解特性を有する化合物であっても、残存した金属元素は悪影響を与えない。つまり、融解により焼結性に効果を与えた後、分解を起こさせてガス成分のみを放出させれば、不要な不純物を含まない焼結体を得ることができる。また、高温下に曝すことで、焼結体の緻密化に寄与させた後に、揮発を促進させて化合物を消失させても構わない。
【0039】
金属化合物粉末の添加量は、酸化物粉末1molに対し、0.05〜0.4mol、好ましくは0.1〜0.3molとする。0.05mol未満では、焼結性を改善できず、一方、0.4molを超えると分解・揮発に伴って多量のガス成分が発生して、内部に粗大な空隙が生成されて焼結体の緻密化を阻害する。
【0040】
添加される金属化合物粉末として、分解特性を有する金属化合物を用いる場合には、上記範囲内で金属元素の残存量を考慮し、予め原料となる酸化物粉末の量から減じて調合すればよい。これにより最終的に作製される導電性酸化物焼結体の組成を制御することができる。
さらに、金属化合物粉末として揮発特性を有する金属化合物を用いる場合には、金属化合物粉末が添加される前の原料酸化物粉末の組成で焼結体組成が決定される。
【0041】
この際、酸化物粉末の粒径が3μmよりも大きければ、水、有機分散媒、または金属化合物粉末を加え、機械的な湿式粉砕を行い、粒径が3μm以下とすることが望ましい。酸化物粉末の粒径が3μm以下であれば金属化合物粉末の融解が効果的に行われるため、粉砕せずに乾式混合して使用することができる。
【0042】
湿式粉砕には、湿式ボールミルを用いることが好ましい。例えば、粉砕に用いるボールはφ3〜5mmのZrO2ボールを用い、回転数100rpm程度で24時間以上の粉砕を行う。ボールの充填率は、使用される樹脂ポットの容積率で40〜70%程度が好ましい。水量は酸化物粉末の重量に対し、1〜2倍を添加するのが良い。また、有機分散媒を入れることで構成元素の分散性と解砕効率を向上させることができる。有機分散媒としては、特に限定されないが、ポリカルボン酸アンモニウム塩類であれば焼結時の残留灰分が無いので好ましい。
【0043】
乾式混合には、乾式ボールミルが均一に混ざりやすく好ましい。例えば、粉砕に用いるボールは、φ5〜10mmのZrO2ボールを用い、回転数100rpm程度で12〜48時間の粉砕を行うことがよい。これ以上に長時間行うと不純物の混入が多くなるので好ましくない。ボールの充填率は、使用される樹脂ポットの容積率で30〜50%程度が好ましい。
【0044】
本発明において、金属化合物粉末(c)は、酸化物粉末の原料粉末を仮焼した後に添加することが望ましいが、金属化合物粉末(c)の種類によっては仮焼前に添加してもよい。
【0045】
(4)焼結
最後に、金属化合物粉末を添加した酸化物粉末(混合粉末)を、常圧焼結法か熱間加圧焼結法のどちらかで焼結する。
【0046】
常圧焼結法による場合には、混合粉末を1500℃以下で、大気中、酸素雰囲気中、または不活性ガス雰囲気中で焼結させる。不活性ガス雰囲気中で焼結するのは、添加される金属化合物粉末(c)がフッ化物、塩化物であっても、高温中で酸素に触れると酸化物になる恐れがある場合であり、焼結性に効果を与えるまで外気を遮断しておく必要があることによる。成形体を密閉中で焼結させてもよいが、より効果を得たい場合には、不活性ガス雰囲気で行うことがよい。但し、不活性ガス雰囲気のまま高温に曝し続けると、酸化物粉末自身が還元・揮発するために、焼結に寄与させた時点で酸素を含むガスを導入する必要がある。これにより、フッ化物、塩化物は、分解・揮発して消失するか、またはガス成分のみを消失させることが可能となる。例えば、1100℃の融点を持つフッ化物を添加した場合、成形体を大気中、600℃で脱脂後、Arガスを導入し、1100℃で保持後、O2ガスに替えて本焼結を行う方法が用いられる。
【0047】
また、熱間加圧焼結法による場合は、真空中あるいはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中、グラファイトダイスを用いて900〜1300℃、好ましくは950〜1200℃で原料粉末を熱間加圧焼結する。1200℃を超えて不活性ガス雰囲気中で焼結すると化学式中のA元素、例えば、Sr等元素が金属化して揮発し易くなるため、熱間加圧後、大気中あるいは酸素雰囲気中で1400℃付近の温度での熱処理を加えることが望ましい。加圧力は、150kg/cm2以上、好ましくは180kg/cm2以上とする。ダイス強度を考慮して500kg/cm2以下とすることが望ましい。金属酸化物と炭素が反応して組成変化が生じることがあるため、部分安定化ジルコニアなどで被覆したダイスを用いてもよい。
【0048】
以上の方法により、化学式:AxB1.0Oy(式中、AはCa、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属元素、BはRu又はIrから選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、また、x、yは、それぞれ0.98≦x≦1.03、2.7≦y≦3.1を満たす数値である。)で示される組成からなるペロブスカイト構造を有する導電性酸化物焼結体を製造することができる。
【0049】
2.焼結体
上記の方法によれば、酸化物粉末に対して焼結助剤的な機能を発揮する金属化合物粉末を添加することにより、従来よりも低温で原料粉末を焼結でき、この結果、高密度で結晶粒径10μm以下、好ましくは9μm以下の焼結体を得ることができる。
【0050】
結晶粒径が10μmを超えると、結晶粒内に空孔が閉じ込められて密度が低下するので好ましくない。結晶粒径を10μm以下とすることで、例えば、SROは常圧焼結法、もしくはホットプレス法では得られなかった相対密度80%以上の焼結体の製造を達成することが可能となる。この焼結体の製造条件を最適化すれば、相対密度が85%以上の焼結体を得ることができる。ただし、結晶粒径が3μm未満であっても高密度の焼結体が得られないことがある。
【0051】
すなわち、本発明の焼結体は、相対密度80%以上、結晶粒径10μm以下の焼結体である。また、焼結体表面の比抵抗値が1×10−2Ω・cm以下の焼結体であるため、このような比抵抗値が小さい焼結体であればスパッタリングターゲットとして用いた場合、良質な膜を得ることができるものと期待される。
【0052】
3.スパッタリングターゲット
本発明のスパッタリングターゲットは、上記の焼結体を研磨、加工してバッキングプレートにボンディングすることにより製造される。研磨、加工の手段は特に限定されない。
【0053】
相対密度が80%以上、焼結体を構成する酸化物の結晶粒径が10μm以下であり、焼結体表面の比抵抗値が1×10−2Ω・cm以下、好ましくは1×10−3Ω・cm以下とした焼結体を用いているため、導電性が高く、このスパッタリングターゲットを用いれば、スパッタリング時の放電状態が安定するだけでなく、電極膜として良好な膜質を得ることができる。
【0054】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0055】
製造された焼結体は、以下に示す方法で分析・測定した。
(1)焼結密度
焼結体中央を切断して、中央部約1cm3を切り出し、高精度比重計(東洋精機(株)製)から相対密度を求めた。
(2)組成分析
焼結体の一部を粉砕し、ICP分析により組成、不純物量を求めた。
(3)結晶粒径
焼結体両端部及び中央部を切断し、切断面を鏡面研磨後、SEM観察により結晶粒径を測定した。観察箇所は1試料につき20点場所を変えて測定した。
(4)焼結体、薄膜の比抵抗値
焼結体表面を研磨し、MCPT250(三菱化学(株)製)で四探針法により比抵抗値を求めた。
【0056】
(実施例1)
最大粒径5μmの金属ルテニウム粉末に、最大粒径3μmの炭酸ストロンチウム粉末を加えて、φ5mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。造粒後、大気中1000℃×1時間で仮焼して、SrRuO3組成の粉末を得た。
この粉末にフッ化ストロンチウム粉末を0.05mol加えて、φ5mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。
得られた粉末に濃度3%の酢酸ビニルバインダ水溶液を加えて混合、造粒後、造粒粉末をφ75mmの金型に充填し、50MPaの圧力を加えて成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1400℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は82%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr1.00RuO2.8であった。
得られた試料について、XRDでSrF2の分解を確認した。図1にXRD測定結果を示したが、F化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は6.6μm、焼結体表面の比抵抗値は5.2×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0057】
【表1】
【0058】
(実施例2)
フッ化ストロンチウム粉末の添加量を0.4molとした以外は、上記実施例1と同様にして成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1400℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は84%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr1.02RuO2.8であった。
得られた試料について、XRDでSrF2の分解を確認した。XRDの結果、F化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は8.3μm、焼結体表面の比抵抗値は3.9×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0059】
(実施例3)
フッ化ストロンチウムに代えて塩化ストロンチウム粉末を0.2mol添加した以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1400℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は81%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.98RuO2.7であった。得られた試料をXRDでSrCl2の分解を確認したが、塩素化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は4.6μm、焼結体表面の比抵抗値は7.8×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0060】
(実施例4)
炭酸ストロンチウムに代えてフッ化バリウム粉末を用い、これを最大粒径5μmの金属ルテニウムに0.2mol加えた以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して、1300℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は82%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Ba0.99RuO2.7であった。
得られた試料をXRDでBaF2の分解を確認したが、F化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は3.7μm、焼結体表面の比抵抗値は6.9×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0061】
(実施例5)
金属ルテニウムを酸化ルテニウム粉末に代え、最大粒径3μmの炭酸ストロンチウム粉末と混合して、これにフッ化ストロンチウム粉末を0.4mol添加した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
この成形体を大気中600℃で脱脂した後、Arガスを10L/minで導入して1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1400℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は86%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.98RuO2.8であった。得た試料をXRDで測定しSrF2の分解を確認したが、F化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は7.1μm、焼結体表面の比抵抗値は3.2×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0062】
(実施例6)
金属ルテニウムに代えて、最大粒径5μmの金属イリジウム粉末を用い、フッ化ストロンチウムに代えて塩化ストロンチウム粉末を0.2mol添加した以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1300℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は81%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr1.02IrO2.8であった。
得られた試料について、XRDでSrCl2の分解を確認したが、Cl化合物に由来するピークは検出されなかった。
また、平均結晶粒径は6.1μm、焼結体表面の比抵抗値は9.2×10−3Ω・cmであった。これらの結果を表1にまとめた。
【0063】
(比較例1)
実施例5と同様に、最大粒径3μmの酸化ルテニウム粉末に最大粒径3μm炭酸ストロンチウム粉末を加え、φ3mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。造粒後、大気中で800℃×2時間で仮焼してSRO3粉末を得た。この粉末にフッ化ストロンチウム粉末を加えることなく、酢酸ビニルバインダ水溶液を加えて混合造粒後、造粒粉末を金属製の直径50mm型に投入し、粉末に50MPaの圧力を加えて成形体を得た。600℃で脱脂後、昇温速度を800℃から1℃/minで昇温し、1300℃×2時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は63%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.99RuO2.8であった。また、平均結晶粒径は5.5μm、焼結体表面の比抵抗値は5.3×10−2Ω・cmであった。
【0064】
(比較例2)
実施例1と同様に、最大粒径5μmの金属ルテニウム粉末に、最大粒径3μmの炭酸ストロンチウム粉末を加えて、φ5mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。造粒後、大気中1000℃×1時間で仮焼してSrRuO3組成粉末を得た。この粉末にフッ化ストロンチウム粉末を加えることなく、グラファイト製パンチ・ダイスからなる直径50mm型に投入し、Ar雰囲気下で粉末に30MPaの圧力を加え、ホットプレスによる焼結を行った。昇温速度は室温から10℃/minで昇温し、1200℃×1時間で焼結した。
焼結体に割れはなく、XRD測定から金属相が検出されたため、相対密度を求めることができなかった。この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.93RuO2.1であった。
【0065】
(比較例3)
実施例1と同様に、最大粒径5μmの金属ルテニウム粉末に、最大粒径3μmの炭酸ストロンチウム粉末を加えて、φ5mmのZrO2ボールを用いて乾式ボールミル(回転数100rpm)で24時間の解砕を行った。造粒後、大気中1000℃×1時間で仮焼してSrRuO3組成粉末を得た。この粉末にフッ化ストロンチウム粉末を加えることなく、グラファイト製パンチ・ダイスからなる直径50mm型に投入し、Ar雰囲気下で粉末に30MPaの圧力を加え、ホットプレスによる焼結を行った。昇温速度は室温から10℃/minで昇温し、1000℃×1時間で焼結した。焼結体に割れはなく、XRD測定から金属相は検出されなかったが、相対密度71%であった。
この焼結体の組成をICP化学分析すると、Sr0.93RuO2.4であった。
また、平均結晶粒径は2.3μm、焼結体表面の比抵抗値は2.1×10−2Ω・cmであった。
【0066】
(比較例4)
実施例1の金属化合物粉末(フッ化ストロンチウム)に代えて、Bi2O3を添加し、同様にして成形体を製造した。
大気中600℃で脱脂した成形体を密閉した容器に入れ、室温から1300℃まで昇温を1℃/minで行い、1300℃×2時間保持後、O2ガスを10L/minで導入して1300℃×1時間で焼結した。焼結体には割れもなく、焼結体の相対密度は85%であった。平均結晶粒径は11μmと粗大化してしまい、結晶粒界にBiRu酸化物の偏析が認められた。図2にXRD測定結果のチャートを示すが、Bi8RuO14に関係するピーク(×)が多数存在している。これらの結果を表1にまとめた。
【0067】
上記の結果、実施例1〜6によれば、酸化物粉末に低融点の金属化合物粉末を添加して、焼結するために高密度の焼結体を得ることができ、かかる焼結体は比抵抗値も低いことが分かる。
これに対して、比較例1〜3は、低融点の金属化合物を添加せずに、焼結しているために、高密度の焼結体を得ることができない。また、比較例4では、公知の焼結助剤を添加しているが、融点が高く、焼結体に残存するために所望の焼結体が得られないことが分かる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、原料酸化物粉末の焼結温度を低温化でき、構成元素の飛散を抑制することによって、組成変動が抑えられ、高密度な導電性酸化物焼結体が得られ、特に、従来法では焼結できなかった白金族系金属元素を含む酸化物焼結体を得ることができる。これによって、導電性酸化物薄膜をスパッタリング法などで作製する酸化物焼結体(ターゲット)を提供でき、半導体メモリ等の各種電子部品を構成する電極用として好適な導電性酸化物薄膜を成膜できることから、工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた焼結体のX線回折を測定した結果を示すチャートである。
【図2】比較例4で得られた焼結体のX線回折を測定した結果を示すチャートである。
Claims (10)
- 化学式:AxB1.0Oy(式中、AはCa、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の金属元素、BはRu又はIrから選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、また、x、yは、それぞれ0.98≦x≦1.03、2.7≦y≦3.1を満たす数値である。)で示される組成からなるペロブスカイト構造を有する導電性酸化物焼結体を製造する方法であって、
金属元素Aと金属元素Bを含有する酸化物粉末に、金属元素A又はBのいずれかを酸化物以外の形態で含有する低融点の金属化合物粉末を添加した後、焼結を行うことを特徴とする導電性酸化物焼結体の製造方法。 - 酸化物粉末は、原料粉末を大気中または酸素雰囲気中において、800℃以上で仮焼して得ることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化物焼結体の製造方法。
- 金属化合物粉末は、融点及び分解・揮発温度が1400℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化物焼結体の製造方法。
- 金属化合物粉末は、フッ化物または塩化物であることを特徴とする請求項1又は3に記載の導電性酸化物焼結体の製造方法。
- 金属化合物粉末の添加量は、酸化物粉末1molに対し、0.05〜0.4molであることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化物焼結体の製造方法。
- 焼結は、1500℃以下で、大気もしくは酸素雰囲気中、又は不活性ガス雰囲気中、常圧で行うことを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化物焼結体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で得られた導電性酸化物焼結体。
- 相対密度が80%以上であり、結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の導電性酸化物焼結体。
- さらに、表面の比抵抗値が1×10−2Ω・cm以下であることを特徴とする請求項8に記載の導電性酸化物焼結体。
- 請求項7〜9のいずれかに記載の導電性酸化物焼結体を研磨、加工して得られるスパッタリングターゲット。
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WO2017018077A1 (ja) * | 2015-07-24 | 2017-02-02 | 株式会社ユーテック | スパッタリング装置、膜の製造方法、SrRuO3-σ膜、強誘電体セラミックス及びその製造方法 |
-
2003
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JPWO2017018077A1 (ja) * | 2015-07-24 | 2018-05-24 | 株式会社ユーテック | スパッタリング装置、膜の製造方法、SrRuO3−δ膜、強誘電体セラミックス及びその製造方法 |
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