JP2007223899A - スパッタリング用BaxSr1−xTiO3−yターゲット材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パーティクル欠陥の少ない薄膜の製造を可能とし、同時に機械的強度を向上させたBaxSr1-xTiO3-yで表される焼結体から成るスパッタリング用ターゲット材の開発。
【解決手段】焼結後にBaxSr1-xTiO3-y(但し、0≦x<1、0≦y<0.5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物焼結体が得られるような組成の、平均粒径が1μm以下のBaxSr1-xTiO3の熱合成粉末を、成形後、大気中、1350〜1450℃で相対密度90〜94%となるまで予備焼結し、次いで1250〜1350℃、50MPa以上のHIP処理条件で相対密度99.2%以上、結晶粒径3μm以下の焼結体を得られるまで処理する、スパッタリング用ターゲット材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、MOS−ULSIの高誘電体キャパシタ薄膜を、スパッタリング法で形成する際に用いられるBaxSr1-xTiO3-yの組成式で表されるスパッタリング用ターゲット材に関するものであり、特にはパーティクル欠陥の非常に少ない薄膜の製造を可能とし、同時に機械的強度を向上させた、スパッタリング用ターゲット材の製造方法に関する。
近年、半導体メモリーのキャパシタとして、高い誘電率を有するSrTiO3やそのSrサイトの一部をBaで置換したBaxSr1-xTiO3の薄膜を用いることが研究されており、このような高誘電性薄膜の成膜方法の一つにターゲットを用いてのスパッタリング法があるが、SrTiO3やそのSrサイトの一部をBaで置換したBaxSr1-xTiO3は、焼成中に異常粒成長が起こりやすい材料であるため、緻密なスパッタリング用ターゲットを得ることが困難であり、また、緻密化のために高温で焼成すると異常粒成長の発達により結晶粒径が20μm以上の焼結体組織になってしまう。
このような焼結体をスパッタリング用ターゲットとして用いると、成膜された薄膜上にパーティクル(ターゲットから放出される粒子のクラスター化したもの)と呼ばれる欠陥が多数発生し、歩留まりが大幅に低下するという問題点があった。
また、焼結体をターゲット寸法に機械加工する際、密度の低い焼結体或いは結晶粒径の大きな焼結体は機械的強度が弱いため、歩留まり低下、不純物による汚染等の問題があった。
本発明の課題は、一般式BaxSr1-xTiO3-y(但し、0≦x<1、0≦y<0.5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物焼結体から成るスパッタリング用ターゲット材において、パーティクル欠陥の非常に少ない薄膜の製造を可能とし、また同時にその機械的強度を向上させることである。
従来技術において、BaxSr1-xTiO3-yで表されるペロブスカイト型複合酸化物焼結体から成るスパッタリング用ターゲット材における、こうしたパーティクル欠陥と機械的強度の問題に正面から取り組んだものはない。
そこで、本発明者らは上述の課題を解決するため検討した結果、焼結後にBaxSr1-xTiO3-y(但し、0≦x<1、0≦y<0.5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物焼結体が得られるような組成の、平均粒径が1μm以下のBaxSr1-xTiO3の熱合成粉末を、成形後、大気中、1350〜1450℃で相対密度90〜94%となるまで予備焼結し、次いで1250〜1350℃、50MPa以上のHIP処理条件で相対密度99.2%以上、結晶粒径3μm以下の焼結体を得られるまで処理する、スパッタリング用ターゲット材の製造方法により課題を解決する。
本発明はまた、焼結後にBaxSr1-xTiO3-y(但し、0≦x<1、0≦y<0.5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物焼結体が得られるような組成の、平均粒径が1μm以下のBaxSr1-xTiO3の熱合成粉末を、成形後、Ar雰囲気中で温度1250〜1350℃、15〜30MPaのホットプレス処理条件で、相対密度98.9%以上で且つ、結晶粒径3μm以下の焼結体が得られるまで処理する、スパッタリング用ターゲット材の製造方法により課題を解決する。
このように本発明はBaxSr1-xTiO3-yの組成式で表される焼結体の相対密度を98.9%以上、好ましくは99.2%以上、かつ焼結体の結晶粒径を3μm以下とすることにより、パーティクル欠陥が1個/cm2以下となり、また、機械加工による歩留まりが著しく向上することを見いだした。緻密化のために高温で焼成すると異常粒成長の発達により結晶粒径の大きな焼結体組織になるのが通常であるが、本発明は製造方法の適切なコントロールを通してこの相反する要件を同時に実現することに成功したものである。
かくして、本発明は、一般式BaxSr1-xTiO3-y(但し、0≦x<1、0≦y<0.5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物焼結体から成るスパッタリング用ターゲット材において、焼結体の相対密度が98.9%以上、好ましくは99.2%以上であり、また、焼結体の平均結晶粒径が3μm以下である、スパッタリング用ターゲット材を提供する。
本発明によれば、BaxSr1-xTiO3-yの組成式で表されるターゲット材の相対密度を98.9%以上、好ましくは99.2%以上そして平均粒径を3μm以下とすることによって機械的強度を向上させ、ターゲット加工歩留まりの向上、加工時の汚染を防止することができる。また、このターゲットを使用することによって、パーティクル欠陥の非常に少ない薄膜をスパッタリング法で得ることができ、半導体メモリの歩留まり、及び信頼性を向上することができる。
以下に、上記の相対密度及び平均結晶粒径特性を有するターゲット材料の作製方法に関して詳細に説明する。
出発原料には純度3N以上、平均粒径が1μm以下のBaCO3及び/又はSrCO3、TiO2粉を用いる。これらの原料粉を所定の組成となるように秤量し、アルコール等の媒体を介して湿式混合した後、850〜1000℃の熱合成によって平均粒径が1μm以下のBaxSr1-xTiO3合成粉末を得る。
焼成方法には、ホットプレス法やこれとHIPを併用する方法、及び常圧焼結法とHIPを併用する方法がある。
ホットプレス法の場合、熱合成によって得られた平均粒径1μm以下のBaxSr1-xTiO3粉末をAr雰囲気中で1250〜1350℃、15〜30MPaで焼成することにより相対密度97%以上(実施例2では98.9%以上)、そして結晶粒径3μm以下の焼結体を得ることができる。この際、焼結温度が1350℃を超えると、密度は上昇するが、異常粒成長が起こり粒径20μm以上の結晶組織或いは異常粒と微細粒の混合組織となり、機械的強度が低下する。また、焼成温度1250℃未満では、相対密度97%以上の焼結体を得ることができない。
ホットプレス法とHIPを併用する場合は、ホットプレス温度を1180〜1350℃とすることにより焼結体表面の気孔形態を閉気孔とし、1250〜1350℃、50MPa以上でHIP処理することにより、相対密度97%以上、結晶粒径3μm以下の焼結体を得ることができる。
常圧焼結法とHIP法の併用で相対密度97%以上の焼結体を得るためには、1400℃以上での長保持時間が必要となり、異常粒が著しく発達してしまう。
そこで、1350〜1450℃の焼成温度において適度の保持時間により相対密度90〜94%、焼結体表面の気孔が閉気孔である焼結体を作製し、1250〜1350℃、50MPa以上でHIP処理することにより相対密度97%以上(実施例1では99.2%以上)、結晶粒径3μm以下の焼結体を得ることができる。
また、HIP処理の際、焼結体は高温で低酸素雰囲気に曝されるため、酸素欠陥が生成し電気伝導性を有するBa1-xSrxTiO3-y焼結体が得られる。
こうして、一般式BaxSr1-xTiO3-y(但し、0≦x<1、0≦y<0.5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物焼結体スパッタリング用ターゲット材において、その焼結体の相対密度を98.9%以上、好ましくは99.2%以上かつ焼結体の結晶粒径を3μm以下とすることができる。得られた焼結体は、スパッタリング用ターゲット材の形状に機械加工される。
上記製法により作製した相対密度98.9%以上、好ましくは99.2%以上、結晶粒径3μm以下のBaxSr1-xTiO3-y(但し、0≦x<1、0≦y<0.5)組成で表される焼結体は、スパッタリング用ターゲットに加工する際の歩留まりが著しく向上し、また、これをスパッタリング用ターゲットに用いて成膜したBaxSr1-xTiO3薄膜には、パーティクル欠陥が1個/cm2以下となり、半導体メモリの製造歩留まりが著しく向上する。
以下、本発明の実施例及び比較例並びに試験結果を説明する。
(実施例1)
純度4N、粒径1μm以下のBaCO3粉、SrCO3粉及びTiO2粉をモル比で1:1:2となるように配合し、エタノールを媒体とした湿式ボールミル法により混合を行った。混合スラリーを乾燥した後、大気中、1000℃で熱合成を行いBa0.5Sr0.5TiO3合成粉末を得た。この合成粉末に成形助剤として有機バインダーを添加し、金型を用いて予備成形を行った後、CIPで本成形した。添加した有機バインダーを除去するため、大気中で脱脂処理を行った後、大気中、1370℃で2時間焼成を行い、相対密度93%の予備焼結体を得た。この焼結体を更に、1300℃で1時間、100MPaでHIP処理し、焼結体の密度、組織、抗折力を測定した。
次に、同様にして作製した焼結体をスパッタリング用ターゲット材の形状(直径:4inch、厚さ:6mm)に機械加工し、基板温度:550℃、スパッタガス圧力:Ar=0.3Pa、O2=0.1Pa、スパッタ電力密度:3W/cm2の条件でRFスパッタリング法により(Ba、Sr)TiO3薄膜を成膜し、薄膜上のパーティクル数を計測した。その結果を、表1に示す。
実施例1により得られた焼結体の相対密度は、99.2%であり、結晶粒径は2.3μmの微細な組織であった。3点曲げによる抗折力は220MPaであり、機械加工時のターゲットの割れは無かった。
これらのターゲットを用いて成膜した薄膜中のパーティクル数は0.2個/cm2と非常に少なかった。
(実施例2)
実施例1と同条件で合成したBa0.5Sr0.5TiO3粉を用い、1300℃、30分及び30MPaの条件でホットプレスした焼結体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例2により得られた焼結体の相対密度は、98.9%であり、結晶粒径は1.6μmの微細な組織であった。3点曲げによる抗折力は219MPaであり、機械加工時のターゲットの割れは無かった。
これらのターゲットを用いて成膜した薄膜中のパーティクル数は0.4個/cm2と非常に少なかった。
(比較例)
実施例と同条件で合成したBa0.5Sr0.5TiO3粉を用い、1300℃で10時間の条件及び1500℃で保持なしの条件で焼成した焼結体を得た。得られた焼結体を1300℃で1時間、100MPaの条件でHIPし、焼結体の密度、組織、抗折力を測定した。また、これら焼結体を実施例と同条件でスパッタリング用ターゲットに機械加工し、成膜して、薄膜中のパーティクル数を計測した。その結果を表1に示す。
1300℃10時間の焼成を行った焼結体は、平均粒径は1μm以下と非常に微細ではあったが、HIP後の相対密度は88%と低く、抗折力も100MPa以下で、ターゲット加工時にクラックの発生が見られた。また、1500℃で焼成した焼結体の相対密度は約97%と比較的高密度となったが、平均粒径は68μmと大きくなり、抗折力は約140MPaと低かった。これらのターゲット材を用いて成膜した薄膜中のパーティクル数は、いずれも4個/cm2以上と多かった。
Figure 2007223899

Claims (2)

  1. 焼結後にBaxSr1-xTiO3-y(但し、0≦x<1、0≦y<0.5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物焼結体が得られるような組成の、平均粒径が1μm以下のBaxSr1-xTiO3の熱合成粉末を、成形後、大気中、1350〜1450℃で相対密度90〜94%となるまで予備焼結し、次いで1250〜1350℃、50MPa以上のHIP処理条件で相対密度99.2%以上、結晶粒径3μm以下の焼結体を得られるまで処理する、スパッタリング用ターゲット材の製造方法。
  2. 焼結後にBaxSr1-xTiO3-y(但し、0≦x<1、0≦y<0.5)で表されるペロブスカイト型複合酸化物焼結体が得られるような組成の、平均粒径が1μm以下のBaxSr1-xTiO3の熱合成粉末を、成形後、Ar雰囲気中で温度1250〜1350℃、15〜30MPaのホットプレス処理条件で、相対密度98.9%以上で且つ、結晶粒径3μm以下の焼結体が得られるまで処理する、スパッタリング用ターゲット材の製造方法。
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