WO2017018077A1 - スパッタリング装置、膜の製造方法、SrRuO3-σ膜、強誘電体セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

スパッタリング装置、膜の製造方法、SrRuO3-σ膜、強誘電体セラミックス及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

結晶性の高い膜を成膜できるスパッタリング装置を提供する。本発明の一態様は、チャンバー11内に配置された、基板12を保持する保持部13とスパッタリングターゲット14と、前記スパッタリングターゲットに10ΚHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給する出力供給機構16と、ガス導入源17と、真空排気機構19と、を具備し、前記スパッタリングターゲットは、SrRuまたはSr(Ti1-xRuを含み、 f,g,h,xは下記の式2~式5を満たすことを特徴とするスパッタリング装置である。0.01≦x≦0.4 ・・・式2 f=1 ・・・式3 1.0<g≦1.2 ・・・式4 2≦h≦3 ・・・式5

Description

スパッタリング装置、膜の製造方法、SrRuO3−δ膜、強誘電体セラミックス及びその製造方法
 本発明は、スパッタリング装置、膜の製造方法、SrRuO3−δ膜、強誘電体セラミックス及びその製造方法に関する。
 従来のスパッタリング装置は、SrRuOスパッタリングターゲットに高周波出力を連続的に供給してスパッタリングすることで、基板上にSrRuO膜を成膜する装置である。このSrRuO膜はペロブスカイト型構造膜の一例である。
 SrRuO膜は強誘電体セラミックスを作製する際に用いられることがあり、その際に結晶性の高いSrRuO膜が求められる。つまり、上記従来のスパッタリング装置で成膜されるSrRuO膜より結晶性の高い膜が求められる。
 本発明の一態様は、結晶性の高い膜を成膜できるスパッタリング装置、結晶性の高い膜の製造方法、結晶性の高いSrRuO3−δ膜、そのSrRuO3−δ膜を有する強誘電体セラミックス及びその製造方法のいずれかを提供することを課題とする。
 以下に、本発明の種々の態様について説明する。
[1]チャンバー内に配置された、基板を保持する保持部と、
 前記チャンバー内に配置されたスパッタリングターゲットと、
 前記スパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給する出力供給機構と、
 前記チャンバー内に希ガスを導入するガス導入源と、
 前記チャンバー内を真空排気する真空排気機構と、
を具備し、
 前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
 前記スパッタリングターゲットは、SrRuまたはSr(Ti1−xRuを含み、
 f,g,h,xは下記の式2~式5を満たすことを特徴とするスパッタリング装置。
 0.01≦x≦0.4 ・・・式2
 f=1 ・・・式3
 1.0<g≦1.2 ・・・式4
 2≦h≦3 ・・・式5
[2]上記[1]において、
 前記スパッタリングターゲットに磁場を加える磁石と、
 前記磁石を20rpm以上120rpm以下の速度で回転させる回転機構と、を有することを特徴とするスパッタリング装置。
[3]上記[1]または[2]において、
 前記出力供給機構により前記高周波出力を供給している際に前記スパッタリングターゲットに発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御するVDC制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれか一項において、
 前記出力供給機構により前記高周波出力を供給した後の前記スパッタリングターゲットの表面の比抵抗が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であることを特徴とするスパッタリング装置。
[5]上記[1]乃至[4]のいずれか一項において、
 前記希ガスはArガスであることを特徴とするスパッタリング装置。
[6]上記[1]乃至[5]のいずれか一項において、
 成膜時における前記チャンバー内の圧力が0.1Pa以上2Pa以下となるように制御する圧力制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
[7]スパッタリングターゲットに10KHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、基板上に膜を成膜する方法であり、
 前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
 前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、減圧下で希ガスを含むものであり、
 前記スパッタリングターゲットは、SrRuまたはSr(Ti1−xRuを含み、
 f,g,h,xは下記の式2~式5を満たすことを特徴とする膜の製造方法。
 0.01≦x≦0.4 ・・・式2
 f=1 ・・・式3
 1.0<g≦1.2 ・・・式4
 2≦h≦3 ・・・式5
[8]上記[7]において、
 前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給する際に、20rpm以上120rpm以下の速度で磁石を回転させることで前記スパッタリングターゲットに磁場を加えることを特徴とする膜の製造方法。
[9]上記[7]または[8]において、
 前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給している際に前記スパッタリングターゲットに発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御することを特徴とする膜の製造方法。
[10]上記[7]乃至[9]のいずれか一項において、
 前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給した後の前記スパッタリングターゲットの表面の比抵抗を1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下に制御することを特徴とする膜の製造方法。
[11]上記[7]乃至[10]のいずれか一項において、
 前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、Arガスの雰囲気であることを特徴とする膜の製造方法。
[12]上記[7]乃至[11]のいずれか一項において、
 前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、0.1Pa以上2Pa以下の圧力雰囲気であることを特徴とする膜の製造方法。
[13]δが下記式1を満たすSrRuO3−δ膜であり、
 前記SrRuO3−δ膜のXRDの(200)のピーク位置が、22.0°≦2θ≦22.7°であることを特徴とするSrRuO3−δ膜。
 0≦δ≦1 ・・・式1
[14]上記[13]において、
 前記SrRuO3−δ膜は、スパッタリングターゲットに10KHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、基板上に成膜された膜であり、
 前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
 前記スパッタリングターゲットはSrRuを含み、
 f,g,hは下記の式3~式5を満たすことを特徴とするSrRuO3−δ膜。
 f=1 ・・・式3
 1.0<g≦1.2 ・・・式4
 2≦h≦3 ・・・式5
[15]Pt膜と、
 前記Pt膜上に形成された請求項13に記載のSrRuO3−δ膜と、
 前記SrRuO3−δ膜上に形成された(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜と、
を具備し、
 a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
 0≦b≦0.08 ・・・式12
 1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
 0.4≦c≦0.7 ・・・式14
 0.3≦d≦0.6 ・・・式15
 0≦e≦0.1 ・・・式16
[16]上記[15]において、
 前記(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜と前記SrRuO3−δ膜との間に形成されたPb(Zr1−ATi)O3−δ膜を有し、
 δ及びAは下記式1及び式21を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 0≦A≦0.1 ・・・式21
[17]第1のスパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、基板上にSrRuO3−δ膜を成膜する工程(a)と、
 第2のスパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、前記SrRuO3−δ膜上に(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜を成膜する工程(b)と、
を具備し、
 前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
 前記工程(a)で成膜する際の前記基板及び前記第1のスパッタリングターゲットの雰囲気は、減圧下で希ガスを含むものであり、
 前記第1のスパッタリングターゲットはSrRuO3−δを含み、
 前記工程(b)で成膜する際の前記基板及び前記第2のスパッタリングターゲットの雰囲気は、減圧下で希ガス及び酸素ガスを含むものであり、
 前記第2のスパッタリングターゲットは(PbLa)(ZrTiNb)O3−δを含み、
 a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
 0≦b≦0.08 ・・・式12
 1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
 0.4≦c≦0.7 ・・・式14
 0.3≦d≦0.6 ・・・式15
 0≦e≦0.1 ・・・式16
 本発明の一態様によれば、結晶性の高い膜を成膜できるスパッタリング装置、結晶性の高い膜の製造方法、結晶性の高いSrRuO3−δ膜、そのSrRuO3−δ膜を有する強誘電体セラミックス及びその製造方法のいずれかを提供することができる。
 図1は、本発明の一態様に係るスパッタリング装置を模式的に示す断面図である。
 図2は、100S/T%のDUTY比の場合を説明する図である。
 図3は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
 図4は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
 図5は、実施例1のサンプルをXRDで結晶性を評価した結果を示す図である。
 図6は、比較例1のサンプルをXRDで結晶性を評価した結果を示す図である。
 図7は、実施例2のサンプルをXRDで結晶性を評価した結果を示す図である。
 図8は、図4に示す膜構造の実施例3のサンプルをXRDで結晶性を評価した結果を示す図である。
 図9は、PZOの結晶構造が斜方晶であることを示す図である。
 図10は、δ=0.125、或はn=8.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図11は、δ=0.25、或はn=4.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図12は、δ=0.5、或はn=2.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図13は、δ=1.0、或はn=1.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 以下では、本発明の実施形態及び実施例について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施形態の記載内容及び実施例に限定して解釈されるものではない。
 [第1の実施形態]
 図1は、本発明の一態様に係るスパッタリング装置を模式的に示す断面図である。このスパッタリング装置はチャンバー11を有し、このチャンバー11内には、基板12を保持する保持部13が配置されている。保持部13には基板12を所定の温度に加熱するヒーター(図示せず)が配置されているとよい。
 チャンバー11、基板12及び保持部13は接地されている。チャンバー11内にはスパッタリングターゲット14を保持するターゲット保持部15が配置されている。ターゲット保持部15に保持されたスパッタリングターゲット14は、保持部13に保持された基板12に対向するように位置する。
 スパッタリングターゲット14は、SrRuまたはSr(Ti1−xRuを含むスパッタリングターゲットであり、f,g,h,xは下記の式2~式5を満たすとよい。
 0.01≦x≦0.4(好ましくは0.05≦x≦0.2) ・・・式2
 f=1 ・・・式3
 1.0<g≦1.2 ・・・式4
 2≦h≦3 ・・・式5
 スパッタリングターゲット14の組成をRu過剰または(Ti1−xRu)過剰にする理由は、Ruは揮発し易い金属だからである。揮発分を過剰に添加している。
 また、(Ti1−xRu)において、Tiは0<Ti≦0.3である。Tiは格子定数をPZT組成に合せて格子マッチングするために添加するのだが、これ以上Ti添加すると、導電性が失われてゆく。かつ、ここは絶縁体でも良いのだが、誘電率が100程度であり、PZTよりも極端に小さい為、印加した電圧がPZTに掛からなくなるため、この範囲でTiを添加する。
 また、上記式2において上限を0.4とするのは、上限を0.4超とするとスパッタリングにより成膜されたSr(Ti1−xRu)O膜が粉になり、十分に固められないからである。
 また、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜を成膜するためには、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δを含むスパッタリングターゲットとし、a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たすとよい。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
 0≦b≦0.08 ・・・式12
 1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
 0.4≦c≦0.7 ・・・式14
 0.3≦d≦0.6 ・・・式15
 0≦e≦0.1 ・・・式16
 上記式1においてδが0より大きい値を含むのは酸素欠損型ペロブスカイト構造を含むからである。但し、スパッタリングターゲット14の成分がすべて酸素欠損型ペロブスカイト構造であってもよいが、スパッタリングターゲット14が部分的に酸素欠損型ペロブスカイト構造を含んでいてもよい。なお、酸素欠損型ペロブスカイト構造の詳細は後述する。
 また、スパッタリング装置は出力供給機構16を有し、この出力供給機構16はパルス機能付高周波電源である。出力供給機構16は整合器22に電気的に接続されており、整合器22はターゲット保持部15に電気的に接続されている。つまり、出力供給機構16は、整合器22及びターゲット保持部15を介してスパッタリングターゲット14に周波数が10kHz以上30MHz以下の高周波出力(RF出力)を、1/20ms以上1/3ms以下の周期(3kHz以上20kHz以下の周波数)で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給するものである。なお、本実施形態では、出力供給機構16により高周波出力をターゲット保持部15を介してスパッタリングターゲット14に供給するが、出力供給機構16により高周波出力をスパッタリングターゲット14に直接供給してもよい。
 DUTY比は、1周期の間でターゲット保持部15に高周波出力が印加される期間の比率である。例えば、25%のDUTY比の場合は、1周期の25%の期間がターゲット保持部15に高周波出力が印加される期間(高周波出力オンの期間)となり、1周期の75%の期間がターゲット保持部15に高周波出力が印加されない期間(高周波出力オフの期間)となる。詳細には、例えば1/20msの周期(20kHzの周波数)で25%のDUTY比の場合は、1/20ms(1周期)の25%の1/80msの期間が高周波出力オンの期間となり、1/20ms(1周期)の75%の3/80msの期間が高周波出力オフの期間となる。
 また、例えば図2は、100S/T%のDUTY比の場合を示しており、1周期の100S/T%の期間が高周波出力オンの期間となり、1周期の残りの100N/T%の期間が高周波出力オフの期間となる。
 また、本実施の形態では、出力供給機構16によってターゲット保持部15に高周波出力をパルス状に供給する際の当該パルス状を、1/20ms以上1/3ms以下の周期(3kHz以上20kHz以下の周波数)で25%以上90%以下のDUTY比としているが、当該パルス状を1/15ms以上1/5ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比とすることが好ましい。
 上記の範囲でパルススパッタリングすることにより、次々に生ずる新たなRFプラズマの発生の数だけ新たなスパッタリング現象が生じ、成膜速度が飛躍的に向上し、かつ、RFプラズマ照射を完全に止めるプラズマOFFの時間が生じるが、その際もマイグレーション現象を中心に結晶は成長し続ける。
 DUTY比を25%以上とする理由は、25%未満とすると結晶成長が完全に途切れてしまい、次の結晶成長が上手く繋がらないからである。DUTY比を90%以下とする理由は、90%超とすると殆ど連続波と同等の成膜速度に落ち込んでしまうからである。
 また、スパッタリング装置は、出力供給機構16により高周波出力を供給している際にスパッタリングターゲット14に発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御するVDC制御部23を有する。このVDC制御部23は、VDCセンサを有し、出力供給機構16に電気的に接続されている。
 また、出力供給機構16により高周波出力を供給した後のスパッタリングターゲット14の表面の比抵抗は、新品のスパッタリングターゲットの表面の比抵抗に対して変化することがあるが、1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であることが好ましい。
 また、スパッタリング装置は、チャンバー11内に希ガスを導入する第1のガス導入源17と、チャンバー11内を真空排気する真空ポンプ等の真空排気機構19を有する。また、スパッタリング装置は、チャンバー内にOガスを導入する第2のガス導入源18を有する。
 第1のガス導入源17によってチャンバー11内に導入する希ガスはArガスであるとよく、成膜時における第2のガス導入源18により導入されるOガスと第1のガス導入源17により導入されるArガスとの比が下記式6を満たすように制御する流量制御部(図示せず)をスパッタリング装置が有するとよい。なお、OガスとArガスとの比が下記式6を満たすようにするのが好ましいのは、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜を成膜する場合である。SrRuO3−δ膜またはSr(Ti1−xRu)O3−δ膜を成膜する場合は、Oガスを導入しない場合もある。
 0.1≦Oガス/Arガス≦0.3 ・・・式6
 また、スパッタリング装置は、成膜時におけるチャンバー内の圧力が0.1Pa以上2Pa以下となるように制御する圧力制御部を有するとよい。
 また、スパッタリング装置は、スパッタリングターゲット14に磁場を加える磁石20と、この磁石20を20rpm以上120rpm以下の速度で回転させる回転機構21を有する。
 本実施形態によれば、スパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給する。このようにパルス状に高周波出力を供給するため、スパッタリングターゲットに電荷が溜まっても、高周波出力を供給していない時(高周波出力がオフ状態の時)にその溜まった電荷を逃がすことができる。その結果、結晶性の良い膜を成膜することができる。
 また、スパッタリングターゲット14がペロブスカイト構造の(PbLa)(ZrTiNb)O3−δを含む物である場合、成膜時にスパッタリングターゲット14の表面抵抗が大きく変動することが考えられる。このため、上記のようにパルス状に高周波出力を供給してスパッタリングターゲット14に電荷が溜まりにくくすることで、スパッタリングターゲット14の表面抵抗の変動を抑制することが可能となる。その結果、結晶性の良い膜を成膜することができる。
 次に、図1のスパッタリング装置を用いて、基板上にSrRuO3−δ膜またはSr(Ti1−xRu)O3−δ膜を成膜する方法について説明する。ここで用いるスパッタリングターゲットは、前述したSrRuO3−δまたはSr(Ti1−xRu)O3−δを含むスパッタリングターゲットである。また、ここでいう基板は、種々の基板を用いることができ、基板上に薄膜が成膜されたものも含むが、本実施形態では一例として以下の基板を使用する。
 (100)に配向したSi基板上にZrO膜を550℃以下の温度(好ましくは500℃の温度)で蒸着法により形成する。このZrO膜は(100)に配向する。なお、本明細書において(100)に配向することと(200)に配向することは実質的に同一である。この後、ZrO膜上に下部電極を形成する。下部電極は、金属または酸化物からなる電極膜によって形成される。金属からなる電極膜としては例えばPt膜またはIr膜が用いられる。
 本実施形態では、ZrO膜上に550℃以下の温度(好ましくは400℃の温度)でスパッタリングによってエピタキシャル成長によるPt膜を下部電極として形成する。このPt膜は(200)に配向する。
 本実施形態では、上記のような基板を用いるが、Si基板に代えてSi単結晶やサファイア単結晶などの単結晶基板、表面に金属酸化物膜が形成された単結晶基板、表面にポリシリコン膜またはシリサイド膜が形成された基板等を用いてもよい。
 次に、上記の基板を保持部13に保持する。次いで、第1のガス導入源17によってチャンバー11内にArガスを導入する。
 また、真空排気機構19によってチャンバー11内を真空排気することで、チャンバー11内を所定の圧力(例えば0.1Pa以上2Pa以下の圧力)まで減圧する。
 この後、基板12上に、高周波出力機構16によって整合器22及びターゲット保持部15を介して、SrRuO3−δまたはSr(Ti1−xRu)O3−δを含むスパッタリングターゲット14に高周波出力を供給する。この高周波出力は、10kHz以上30MHz以下の周波数、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状である。これにより、基板12上にSrRuO3−δ膜またはSr(Ti1−xRu)O3−δ膜を成膜する。δ及びxは、下記の式1及び式2を満たすとよい。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 0.01≦x≦0.4(好ましくは0.05≦x≦0.2) ・・・式2
 スパッタリングターゲット14に高周波出力を供給してSrRuO3−δ膜またはSr(Ti1−xRu)O3−δ膜を成膜する際に、20rpm以上120rpm以下の速度で磁石20を回転機構21により回転させることでスパッタリングターゲット14に磁場を加えることが好ましい。
 また、スパッタリングターゲット14に高周波出力を供給している際にスパッタリングターゲット14に発生する直流成分である電圧VDCをVDC制御部23によって−200V以上−80V以下に制御することが好ましい。
 また、スパッタリングターゲット14に高周波出力を供給した後のスパッタリングターゲット14の表面の比抵抗を1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下に制御することが好ましい。
 上記のようにして成膜されたSrRuO3−δ膜は前記の式1を満たし、このSrRuO3−δ膜のXRD(X−Ray Diffraction)の(200)のピーク位置が、22.0°≦2θ≦22.7°であることが好ましい。つまり、このようなピーク位置を有するSrRuO3−δ膜を得られるのは、スパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給するためである。
 次に、酸素欠損型ペロブスカイト構造について図10~図13を参照しつつ詳細に説明する。
 酸素欠損型ペロブスカイト構造を一般式で表すと以下のように分類される。以下の分類は実際に存在している結晶構造を基にしている。
 ペロブスカイト構造はABO3−δ、或はA3n−1で表される。
 図10~図13それぞれの左図はABO3−δの酸素欠損を含有した各種結晶構造を示す模式図である。図10~図13それぞれの右図は、a−b面の酸素欠損構造の模式図であり、C’層、D’層はそれぞれ、C層、D層をa−b面で鏡映した状態、或は位相がずれた状態を示す模式図である。
 図10は、δ=0.125、或はn=8.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図11は、δ=0.25、或はn=4.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図12は、δ=0.5、或はn=2.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 図13は、δ=1.0、或はn=1.0の場合の酸素欠損型ペロブスカイト構造の模式図である。
 ペロブスカイトの派生構造の一つに酸素欠損秩序型ペロブスカイト構造というものがある。Bサイト遷移金属が高価数で不安定な場合や、試料作製雰囲気の制御により、酸素が欠損する。酸素が欠損するとBO八面体は、BO正方ピラミッドやBO四面体などに変化する。酸素がわずかに欠損したABO3−δでは基本構造を保ったまま、ランダムなサイトの酸素が欠損するが、酸素欠損量δが大きくなると、多くの場合酸素欠損が規則的に配列する。
 酸素欠損状態の違いにより、配位構造は大きく異なる。BO(B:Bサイトイオン、O:酸素イオン)八面体は、酸素欠損の無い八面体構造である。Bサイトイオンが5配位の場合は、BO正方ピラミッド構造となり、4配位の場合は、BO四面体構造、BO平面(酸素が完全に欠損)の2つの構造を有する。
 なお、上記の酸素欠損型ペロブスカイト構造の説明は、本明細書に記載したペロブスカイト構造に関するすべての物質に適用される。
 [第2の実施形態]
 図3は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図である。
 Si基板31上に第1の実施形態と同様の方法でZrO膜32を形成し、ZrO膜32上にPt膜33を形成する。
 次いで、Pt膜33上に第1の実施形態と同様の方法でSrRuO3−δ膜34を形成する。δは、下記の式1を満たすとよい。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 なお、本実施形態では、Pt膜33上にSrRuO3−δ膜34を形成するが、これに限定されず、Pt膜33上にSr(Ti1−xRu)O3−δ膜を形成してもよく、x及びδは前記の式1及び下記式2を満たすとよい。
 0.01≦x≦0.4(好ましくは0.05≦x≦0.2 ・・・式2
 次に、SrRuO3−δ膜34上にPbZrO膜(以下、「PZO膜」ともいう。)36を形成する。このPZO膜36は、種々の方法で形成でき、例えばゾルゲル法、CVD法、スパッタ法によって形成することができる。PZO膜36をゾルゲル法で形成する場合は、PZOの前駆体溶液を基板上に塗布し、5atm以上(好ましくは7.5気圧以上)の酸素雰囲気で結晶化を行うとよい。なお、PZOの格子定数は、それぞれa=8.232オングストローム,b=11.776オングストローム,c=5.882オングストロームである。a軸長さが平均的ペロブスカイト(ap≒4オングストローム)の約2倍,c軸長さがc≒(√2)ap,b軸長さはb≒2cとなっている。このPZOの格子定数の変化は、基本的にはペロブスカイト八面体結晶の回転と、これに八面体の歪みが加わって、b軸方向の周期が2倍になったものである。
 PZOは図9に示すように斜方晶である。このため、PZOは見かけ上格子定数が大きくなっている。それは、ペロブスカイトが縦に45°程度回転していて、あたかも回転した結晶を点線部分のように周囲を取り囲んで、大きな結晶のように取り扱っているためである。つまり、見かけ上、a,b,c軸の長さがとても長くなっているように取り扱うのが斜方晶の慣例である。実際のPZOは実線のような結晶で、通常のペロブスカイト結晶である。
 次に、PZO膜36上に図1のスパッタリング装置を用いて(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を形成する。a、b、c、d、e及び6は下記の式1及び式11~式16を満たすとよい。
 0≦δ≦1 ・・・式1
 1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
 0≦b≦0.08 ・・・式12
 1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
 0.4≦c≦0.7 ・・・式14
 0.3≦d≦0.6 ・・・式15
 0≦e≦0.1 ・・・式16
 ここで、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37の成膜方法の詳細を図1のスパッタリング装置を参照しつつ以下に説明する。
 第1のガス導入源17によってチャンバー11内にArガスを導入し、第2のガス導入源18によってOガスを導入する。この際、OガスとArガスとの比が下記式6を満たすように流量制御部によって制御するとよい。
 0.1≦Oガス/Arガス≦0.3 ・・・式6
 また、真空排気機構19によってチャンバー11内を真空排気することで、チャンバー11内を所定の圧力(例えば0.1Pa以上2Pa以下の圧力)まで減圧する。
 次いで、高周波出力機構16によって整合器22及びターゲット保持部15を介して、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δを含むスパッタリングターゲット14に高周波出力を供給する。この高周波出力は、10KHz以上30MHz以下の周波数、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状である。a、b、c、d、e及びδは前記の式1及び式11~式16を満たす。
 スパッタリングターゲット14に高周波出力を供給して絶縁膜を成膜する際に、20rpm以上120rpm以下の速度で磁石20を回転機構21により回転させることでスパッタリングターゲット14に磁場を加えることが好ましい。
 また、スパッタリングターゲット14に高周波出力を供給している際にスパッタリングターゲット14に発生する直流成分である電圧VDCをVDC制御部23によって−200V以上−80V以下に制御することが好ましい。
 また、スパッタリングターゲット14に高周波出力を供給した後のスパッタリングターゲット14の表面の比抵抗を1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下に制御することが好ましい。
 このようにして、PZO膜36上に(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を形成することができる(図3参照)。
 なお、本明細書において「(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜」は、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δに不純物を含有するものも含み、その不純物を含有させても(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜の圧電体の機能を消滅させないものであれば種々のものを含有させてもよいものとする。
 上記のように、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37の下にPZO膜36を配置するのは、PZO膜36を(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37の初期核層(即ちバッファ層)として用いることにより、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37の圧電特性を向上させるためである。詳細に説明すると、PbZrO(PZO)はPb(Zr1−xTi)O(PZT)の相図中、Ti比率0(ゼロ)の場合であり、反強誘電体であるが、Pb(Zr1−xTi)Oの中でc軸長が最も長いため、PZOが全てのPZTのc軸長を伸ばす方向に働き、その構造が取り得る最大の圧電パフォーマンスを得られ易くすることができる。つまり、PZOを初期核にすることで、PZT全体がPZO初期核の結晶軸に影響を受けて、PZT膜全体でc結晶軸が伸び易くなり、つまり分極し易くなり、圧電性を容易に取り出すことが可能となる。
 なお、本実施形態では、Pt膜33上に、Pb(Zr,Ti)Oの相図中、Ti比率0であるPZO膜36を形成し、PZO膜36上に(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を形成するが、非常に少ないTi比率のPb(Zr1−ATi)O膜上に(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を形成してもよい。ただし、Aは下記式21を満たすとよい。
 0≦A≦0.1 ・・・式21
 上記式21を満たすこと、つまりTi比率を10%以下とすることで、初期核として用いるPb(Zr1−ATi)O膜が反強誘電性斜方晶相のPZT(つまりPb(Zr,Ti)Oの相図中、斜方晶領域(ortho領域)のPZT)となり、Pb(Zr1−ATi)Oが全てのPb(Zr1−xTi)O(PZT)のc軸長を伸ばす方向に働き、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
 本実施形態によれば、結晶性の良い膜であるSrRuO3−δ膜34上にPZO膜36を介して(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を形成するため、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37の結晶性を高めることができる。
 また、10KHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、PZO膜36上に(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を成膜する。このため、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37の結晶性を高めることができる。
 [第3の実施形態]
 図4は、本発明の一態様に係る強誘電体セラミックスの製造方法を説明する模式的な断面図であり、図3と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
 図3で示す第2の実施形態では、SrRuO3−δ膜34上にPZO膜36を介して(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を形成するのに対し、図4で示す本実施形態では、SrRuO3−δ膜34上に(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を直接形成する点が異なる。
 本実施形態によれば、結晶性の良い膜であるSrRuO3−δ膜34上に(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を形成するため、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37の結晶性を高めることができる。
 また、10KHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、膜34上に(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を成膜する。このため、(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37の結晶性を高めることができる。
 図5は、図4に示す膜構造の(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を成膜する前の状態(SrRuO3−δ膜/Pt膜/ZrO膜/Si基板)の実施例1のサンプルをXRDで結晶性を評価した結果を示す図である。
 実施例1のサンプルは、Si基板上にZrO膜を蒸着法により成膜し、このZrO膜上にスパッタリングによってエピタキシャル成長によるPt膜を成膜し、このPt膜上にSrRuO3−δ膜(SRO膜)を、図1に示すスパッタリング装置を用いて表1に示すスパッタ条件で成膜したものである。この際のスパッタリングターゲットの組成はSr/Ru=1:1.15である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 図6は、図4に示す膜構造の(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を成膜する前の状態(SrRuO3−δ膜/Pt膜/ZrO膜/Si基板)の比較例1のサンプルをXRDで結晶性を評価した結果を示す図である。
 比較例1のサンプルは、Pt膜上にSrRuO3−δ膜(SRO膜)を、表1からパルス周波数及びパルスデューティー比を除いたスパッタ条件で高周波出力を連続的にスパッタリングターゲットに供給することで成膜したものである。この際のスパッタリングターゲットの組成は実施例1と同様である。
 比較例1のサンプルでは、図6に示すようにSROの(200)のピークがブロードで弱いのに対し、実施例1のサンプルでは、図5に示すようにSROの(200)のピークが強く検出され、この(200)のピーク位置が、22.0°≦2θ≦22.7°である。このことから実施例1のサンプルのSRO膜は、比較例1に比べて結晶性の良い膜であることが分かる。
 図7は、図4に示す膜構造の(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜37を成膜する前の状態(SrRuO3−δ膜/Pt膜/ZrO膜/Si基板)の実施例2のサンプルをXRDで結晶性を評価した結果を示す図である。
 実施例2のサンプルは、Si基板上にZrO膜を蒸着法により成膜し、このZrO膜上にスパッタリングによってエピタキシャル成長によるPt膜を成膜し、このPt膜上にSrRuO3−δ膜(SRO膜)を、図1に示すスパッタリング装置を用いて表1に示すスパッタ条件で成膜したものである。この際のスパッタリングターゲットの組成はSr/Ru=1:1.15である。
 図8は、図4に示す膜構造の実施例3のサンプル(Pb(ZrTi)O3−δ膜/SrRuO3−δ膜/Pt膜/ZrO膜/Si基板)をXRDで結晶性を評価した結果を示す図である。
 実施例3のサンプルは、実施例2のサンプルのSRO膜上にPb(ZrTi)O3−δ(PZT)膜を、図1に示すスパッタリング装置を用いて以下に示すスパッタ条件で成膜したものである。
 <スパッタ条件>
 PZTスパッタリングターゲットの組成:Pb/Zr/Ti=130/58/42
 PZT膜厚:5μm
 成膜温度:475℃
 反応圧力:0.14Pa
 成膜時間:60min
 ガス流量:Ar 66cc、O 17cc
 RF周波数:13.56MHz
 パルス周波数:5kHz
 パルスデューティー比:90%
 図8によれば、PZT膜が(001)に配向し、SRO膜が(200)に配向し、PZT膜とSRO膜の格子マッチングが取れていることが分かる。従って、PZT膜の結晶性が良いことが確認できた。
 11  チャンバー
 12  基板
 13  保持部
 14  スパッタリングターゲット
 15  ターゲット保持部
 16  出力供給機構
 17  第1のガス導入源
 18  第2のガス導入源
 19  真空排気機構
 20  磁石
 21  回転機構
 22  整合器
 23  VDC制御部

Claims (17)

  1.  チャンバー内に配置された、基板を保持する保持部と、
     前記チャンバー内に配置されたスパッタリングターゲットと、
     前記スパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給する出力供給機構と、
     前記チャンバー内に希ガスを導入するガス導入源と、
     前記チャンバー内を真空排気する真空排気機構と、
    を具備し、
     前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
     前記スパッタリングターゲットは、SrRuまたはSr(Ti1−xRuを含み、
     f,g,h,xは下記の式2~式5を満たすことを特徴とするスパッタリング装置。
     0.01≦x≦0.4 ・・・式2
     f=1 ・・・式3
     1.0<g≦1.2 ・・・式4
     2≦h≦3 ・・・式5
  2.  請求項1において、
     前記スパッタリングターゲットに磁場を加える磁石と、
     前記磁石を20rpm以上120rpm以下の速度で回転させる回転機構と、を有することを特徴とするスパッタリング装置。
  3.  請求項1または2において、
     前記出力供給機構により前記高周波出力を供給している際に前記スパッタリングターゲットに発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御するVDC制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
  4.  請求項1乃至3のいずれか一項において、
     前記出力供給機構により前記高周波出力を供給した後の前記スパッタリングターゲットの表面の比抵抗が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であることを特徴とするスパッタリング装置。
  5.  請求項1乃至4のいずれか一項において、
     前記希ガスはArガスであることを特徴とするスパッタリング装置。
  6.  請求項1乃至5のいずれか一項において、
     成膜時における前記チャンバー内の圧力が0.1Pa以上2Pa以下となるように制御する圧力制御部を有することを特徴とするスパッタリング装置。
  7.  スパッタリングターゲットに10KHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、基板上に膜を成膜する方法であり、
     前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
     前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、減圧下で希ガスを含むものであり、
     前記スパッタリングターゲットは、SrRuまたはSr(Ti1−xRuを含み、
     f,g,h,xは下記の式2~式5を満たすことを特徴とする膜の製造方法。
     0.01≦x≦0.4 ・・・式2
     f=1 ・・・式3
     1.0<g≦1.2 ・・・式4
     2≦h≦3 ・・・式5
  8.  請求項7において、
     前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給する際に、20rpm以上120rpm以下の速度で磁石を回転させることで前記スパッタリングターゲットに磁場を加えることを特徴とする膜の製造方法。
  9.  請求項7または8において、
     前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給している際に前記スパッタリングターゲットに発生する直流成分である電圧VDCを−200V以上−80V以下に制御することを特徴とする膜の製造方法。
  10.  請求項7乃至9のいずれか一項において、
     前記スパッタリングターゲットに前記高周波出力を供給した後の前記スパッタリングターゲットの表面の比抵抗を1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下に制御することを特徴とする膜の製造方法。
  11.  請求項7乃至10のいずれか一項において、
     前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、Arガスの雰囲気であることを特徴とする膜の製造方法。
  12.  請求項7乃至11のいずれか一項において、
     前記成膜する際の前記基板及び前記スパッタリングターゲットの雰囲気は、0.1Pa以上2Pa以下の圧力雰囲気であることを特徴とする膜の製造方法。
  13.  δが下記式1を満たすSrRuO3−δ膜であり、
     前記SrRuO3−δ膜のXRDの(200)のピーク位置が、22.0°≦2θ≦22.7°であることを特徴とするSrRuO3−δ膜。
     0≦δ≦1 ・・・式1
  14.  請求項13において、
     前記SrRuO3−δ膜は、スパッタリングターゲットに10KHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、基板上に成膜された膜であり、
     前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
     前記スパッタリングターゲットはSrRuを含み、
     f,g,hは下記の式3~式5を満たすことを特徴とするSrRuO3−δ膜。
     f=1 ・・・式3
     1.0<g≦1.2 ・・・式4
     2≦h≦3 ・・・式5
  15.  Pt膜と、
     前記Pt膜上に形成された請求項13に記載のSrRuO3−δ膜と、
     前記SrRuO3−δ膜上に形成された(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜と、
    を具備し、
     a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
     0≦δ≦1 ・・・式1
     1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
     0≦b≦0.08 ・・・式12
     1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
     0.4≦c≦0.7 ・・・式14
     0.3≦d≦0.6 ・・・式15
     0≦e≦0.1 ・・・式16
  16.  請求項15において、
     前記(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜と前記SrRuO3−δ膜との間に形成されたPb(Zr1−ATi)O3−δ膜を有し、
     δ及びAは下記式1及び式21を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックス。
     0≦δ≦1 ・・・式1
     0≦A≦0.1 ・・・式21
  17.  第1のスパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、基板上にSrRuO3−δ膜を成膜する工程(a)と、
     第2のスパッタリングターゲットに10kHz以上30MHz以下の高周波出力を、1/20ms以上1/3ms以下の周期で25%以上90%以下のDUTY比のパルス状に供給することで、前記SrRuO3−δ膜上に(PbLa)(ZrTiNb)O3−δ膜を成膜する工程(b)と、
    を具備し、
     前記DUTY比は、1周期の間で前記スパッタリングターゲットに高周波出力が印加される期間の比率であり、
     前記工程(a)で成膜する際の前記基板及び前記第1のスパッタリングターゲットの雰囲気は、減圧下で希ガスを含むものであり、
     前記第1のスパッタリングターゲットはSrRuO3−δを含み、
     前記工程(b)で成膜する際の前記基板及び前記第2のスパッタリングターゲットの雰囲気は、減圧下で希ガス及び酸素ガスを含むものであり、
     前記第2のスパッタリングターゲットは(PbLa)(ZrTiNb)O3−δを含み、
     a、b、c、d、e及びδは下記の式1及び式11~式16を満たすことを特徴とする強誘電体セラミックスの製造方法。
     0≦δ≦1 ・・・式1
     1.00≦a+b≦1.35 ・・・式11
     0≦b≦0.08 ・・・式12
     1.00≦c+d+e≦1.1 ・・・式13
     0.4≦c≦0.7 ・・・式14
     0.3≦d≦0.6 ・・・式15
     0≦e≦0.1 ・・・式16
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