JP2004305920A - 塗装ブースおよびこれを備えた塗装システム - Google Patents
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Abstract
【課題】噴霧され塗装対象物に付着しなかったミスト状の塗料を容易かつ効果的に回収する。
【解決手段】塗装対象物に対して塗料を噴霧するための塗装ブースであって、噴霧された塗料の一部を捕集した捕集液を貯留する水槽と、当該塗装ブース内を吸引して気流を発生させる吸引手段と、該気流により前記水槽中の前記捕集液および前記塗料と当該塗装ブース内の塗料ミストとを混合する渦巻室と、前記吸引手段と前記渦巻室との間に設けられ、前記捕集液、前記塗料および前記塗料ミストとが混合された混合物を回収する回収塔とを備え、前記渦巻室の入口は、下端が山切り状に形成された仕切板38を備えて構成されている。
【選択図】 図8
【解決手段】塗装対象物に対して塗料を噴霧するための塗装ブースであって、噴霧された塗料の一部を捕集した捕集液を貯留する水槽と、当該塗装ブース内を吸引して気流を発生させる吸引手段と、該気流により前記水槽中の前記捕集液および前記塗料と当該塗装ブース内の塗料ミストとを混合する渦巻室と、前記吸引手段と前記渦巻室との間に設けられ、前記捕集液、前記塗料および前記塗料ミストとが混合された混合物を回収する回収塔とを備え、前記渦巻室の入口は、下端が山切り状に形成された仕切板38を備えて構成されている。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塗装対象物を噴霧塗装するための塗装ブースと、この塗装ブースを備えた塗装システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
多数の塗装対象物に対して連続的に塗装する塗装システムとして、塗装対象物を保持しながら軌道に沿って移動する搬送手段を備えたものがある。
このような塗装システムにおいては、塗装対象物に対して塗料を噴霧する塗装手段を備えた塗装ブースが軌道の途中に設けられ、塗装対象物を保持した台車などの搬送手段が、塗装ブースを通過するようになっている。また、例えば、塗料が紫外線(UV)硬化型塗料である場合には、塗装ブースの後段側に、軌道に沿って、塗装された塗料表面を平滑化させるレベリングゾーン、塗装された塗料の溶剤を揮発させる加熱炉、加熱された塗装対象物を冷却する冷却ゾーン、紫外線を照射し硬化させるUV照射装置、塗装された塗装物を冷却する冷却ゾーンなどが設けられる場合もある。
【0003】
このような塗装システムにおいては、台車などの搬送手段が塗装ブース、レベリングゾーン、加熱炉、冷却ゾーン、UV照射装置、冷却ゾーンなどを順次通過するため、多数の塗装対象物に対して非常に効率的に各工程を行える。
ところが、塗装ブースでの塗装方法が塗料を噴霧する方法である場合には、噴霧された塗料の一部は塗装対象物に付着せずに、塗装ブース内でミスト状に浮遊するという問題があった。そのため、浮遊したミスト状の塗料を回収する塗装ブースが開発されていて、例えば特許文献1や特許文献2などに記載されているように、ミスト状の塗料を水などの捕集液とともに一旦貯留する水槽を備え、水槽中の捕集液および塗料と、さらには浮遊している塗料ミストとを高速気流により渦巻室に吸引して捕捉、混合した後、この混合物をエリミネータにより回収する形態のものが知られている。回収された混合物からは、塗料が分離され適宜処理される。
【0004】
【特許文献1】
特開昭56−70871号公報
【特許文献2】
特開昭56−70872号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の塗装ブースを使用し、水槽中の捕集液および塗料と塗装ブース内で浮遊しているミスト状の塗料とをともに高速気流により渦巻室に吸引する場合、高速気流の風速を適切な範囲に厳密に制御する必要があった。風速が適切な範囲にないと、ミスト状の塗料が渦巻室において捕集液中に十分に捕捉されず、その結果、ミスト状の塗料がそのまま気流とともに大気中に排気されてしまったり、逆に、水槽に滞留してしまったりして、塗料を混合物の形態で効果的に回収できないという問題があった。風速を適切な範囲に制御するためには、塗装ブースに備えられた給気手段および吸引手段の風速を厳密に調整したり、渦巻室入口の開口の度合いなどを微調整したりする必要があり、非常に手間がかかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、渦巻室入口の開口の度合いを微調整したり、給気手段および吸引手段の風速を厳密に調整したりするなどして渦巻室入口における高速気流の風速を厳密に制御しなくても、効率的に水槽中の捕集液および塗料と塗装ブース内で浮遊しているミスト状の塗料とをともに渦巻室に吸引して混合物とすることができる塗装ブースおよびこれを備えた塗装システムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗装ブースは、塗装対象物に対して塗料を噴霧するための塗装ブースであって、噴霧された塗料の一部を捕集した捕集液を貯留する水槽と、当該塗装ブース内を吸引して気流を発生させる吸引手段と、該気流により前記水槽中の前記捕集液および前記塗料と当該塗装ブース内の塗料ミストとを混合する渦巻室と、前記吸引手段と前記渦巻室との間に設けられ、前記捕集液、前記塗料および前記塗料ミストとが混合された混合物を回収する回収塔とを備え、前記渦巻室の入口は、下端が山切り状に形成された仕切板を備えていることを特徴とする。
前記回収塔は、開口部が形成された平板状のエリミネータを当該回収塔の高さ方向に沿って少なくとも2枚備え、前記気流が蛇行しながら上昇するように、隣接するエリミネータの開口部は互い違いに形成されていることが好ましい。
前記各エリミネータは傾斜して設けられ、隣接するエリミネータは傾斜方向が互い違いに逆向きに形成されていることが好ましい。
前記各エリミネータの非開口部における開口部との境界には、前記混合物の落下を促す落下誘導板が設けられていることが好ましい。
また、本発明の塗装ブースには、前記回収塔により回収された前記混合物から前記塗料を回収する塗料回収手段が付設されていることが好ましい。
前記塗料回収手段は、遠心力により前記塗料を分離回収する遠心分離機を備えることが好ましい。
さらに、前記塗料回収手段により塗料が除去された捕集液を、前記水槽に戻す捕集液返送手段を具備することが好ましい。
本発明の塗装システムは前記塗装ブースを備えていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、塗料としてUV硬化型塗料を用い、塗装対象物(以下、対象物という。)を塗装する本発明の塗装システムの一例を示す概略平面図である。
この塗装システム200は、台車12などの搬送手段やこの搬送手段により搬送される対象物から静電気を除去する除電装置60と、対象物に塗料を噴霧する塗装ブース10とを備えている。塗装ブース10の後段側には、塗料が噴霧された対象物を常温に保持するレベリングゾーン70、対象物を加熱し塗料から溶剤を揮発させる加熱炉80、加熱された対象物を冷却する冷却ゾーン90、対象物にUV照射して塗料を硬化させるUV照射装置100、塗装された対象物を冷却する冷却ゾーン110が順次設けられ、対象物を順次通過させることによって、多数の塗装物が連続的に得られるようになっている。
【0009】
図2は、図1の塗装システム200の具備する塗装ブース10の縦断面図であって、対象物11を搬送する台車12が、塗装ブース10内に敷設されたレール18(軌道)上を通過(図中、背面側から前面側へ)していて、この台車12が搬送している対象物11に対して、塗装手段である塗装ロボット19が塗料を噴霧している状態を示すものである。図3は図2の一部を拡大したものである。
この例の台車12は、図4にも示すように、対象物11を保持する保持部13と、保持部13を支持する支柱14と、支柱14の下端に連結された駆動部15とから概略構成され、駆動部15は、進行方向に対して前後左右の4つの車輪15aと、これら車輪15aが固定される平板状の基台15bとを具備している。そして、この駆動部15の内輪側(図2および図3中右側)にはレール18に沿って敷設されたチェーン16が連結されていて、このチェーン16により台車12がレール18上を搬送されるようになっている。このように内輪側のみがチェーン16に連結されていると、この塗装ブース10を出た後、後段側のレベリングゾーン70などで進行方向を90°変更する場合などに、小さい回転半径で進路変更することができ、塗装システム200全体を小さいスペース内に収めることができる。また、図中、符号17は、台車12の外輪側に設けられた位置決めガイドであって、台車12がレール18上をずれなく移動するよう規制するもので、レール18上にその全長に沿って設けられている。
【0010】
この例の台車12は、一例として対象物11がプラスチック成型物(以下、成型物という。)である場合に使用されるものである。そのため保持部13は、図4に示すように、成型物の内形に沿う形状の2つ成型物保持具13aと、これらの成型物保持具13aを着脱自在に固定する支持板13cとからなり、2つの成型物を同時に保持できるようになっている。具体的には、各成型物保持具13aの下部にはそれぞれ筒部13bが形成されていて、この筒部13bと図5に示す支持板13cに設けられた位置決めピン13dとをそれぞれ嵌合させることにより、2つの成型物保持具13aを所定の位置および向きに、支持板13c上に保持できるようになっている。対象物11である成型物は、この成型物保持具13aの上に載せられ、保持される。
【0011】
図2中、符号20は塗料ミスト捕集用の捕集液が溜められた水槽であって、後述する第1の捕集液供給手段25および第2の捕集液供給手段51から供給された捕集液とこれに同伴された塗料とを溜めるとともに、塗装ロボット19が噴霧し、対象物11に付着しなかったミスト状の塗料の一部も、直接この中に溜まるようになっている。この例において水槽20は、塗装ブース10内に敷設された2本1組のレール18の下方に、レール18の全長に沿って設けられている。具体的には、レール18が水槽20の上端に掛け渡されることにより敷設された構成となっている。
捕集液としては、水を使用してもよいし、塗料用不粘着化剤などの処理剤が添加された溶液などを使用してもよいが、塗料用不粘着化剤などの処理剤が添加された溶液を使用した方が捕集液に捕捉された塗料を容易に水槽20から回収できるため好ましい。
また、この水槽20は循環式であって、第1の捕集液供給手段25および第2の捕集液供給手段51や後述する水切り板の上方に設けられた配管から供給される捕集液が、水槽20を一旦出た後再利用されるようになっている。
【0012】
また、この塗装ブース10には、図6にも示すように、レール18とこのレール18上を移動する台車12の駆動部15とを覆うための保護カバー21が、塗装ブース10内におけるレール18の全長にわたって設けられているとともに、この保護カバー21上に塗料ミスト捕集用の捕集液を供給して流下させるための第1の捕集液供給手段25が備えられている。
よって、台車12の駆動部15やレール18にはミスト状の塗料が付着せず、さらにこれらを覆う保護カバー21にも付着せずに、塗料が水槽20中に捕集液とともに流れ落ちるようになっている。
【0013】
この例の保護カバー21は、断面が山型の天板22とこれを支える2枚の側板23とを備えて構成されている。各側板23は、2本のレール18の外側にこれらレール18と平行に水槽20の上端に掛け渡された2本の橋材24上にそれぞれ固定されている。また、天板22の頂部には、レール18と平行な、すなわち進行方向に沿ったスリット部22aが全長にわたって形成されていて、台車12の支柱14がここを通過できるようになっている。
また、天板22および側板23の全長は、塗装ブース10内のレール18と同じ長さに形成されて、天板22および側板23の長さ方向の両端が、それぞれ塗装ブース10と除電装置60との境界壁、および塗装ブース10とレベリングゾーン70との境界壁に接合されていてもよいが、この例では、天板22および側板23の全長は、塗装ブース10内のレール18よりも若干短い長さとされ、天板22および側板23の長さ方向の両端に、捕集液の流れを規制する堤防状の立て板21aが設けられている。
【0014】
また、この例の第1の捕集液供給手段25は、保護カバー21の天板22上に、スリット部22aを挟むように配設された、内部を捕集液が流れる2本の配管26と、これら2本の配管26がそれぞれ収められる断面コの字状の2本の樋部材27とを具備して構成され、2本の配管26の周壁に下向きに形成された図示略の多数の捕集液流出口から配管26内の捕集液が樋部材27に流れ出し、さらには、これらの捕集液が樋部材27の上端からオーバーフローすることにより、捕集液が保護カバー21上に流れ、さらには水槽20に流れ落ちるようになっている。また、図3に示すように、スリット部22aから保護カバー21の内側にミスト状の塗料が入り込まないように、2つの樋部材27の上端には1組の軟質性の塗料プロテクタ28が、支柱14が通過でき、かつ、スリット部22aを覆うように設けられている。該塗料プロテクタ28は常時は閉じており、前記支柱14が通過する部分のみ押し広げられ、該支柱14が通過する構造になっている。該塗料プロテクタ28は好ましくは使用される溶剤に耐久性のある材料が用いられる。さらに、台車12の支柱14には、液止用円板14aが設けられていて、塗料が万一スリット部22aを通過して垂れてきても、これよりも下方に塗料が垂れないよう受け止められるようになっている。なお、図6においては、塗料プロテクタの図示は略している。
また、後述する回収塔34における内側の塔壁34aには、塗料ミストが付着しないようにこれを覆う水切り板35が、レール18方向に塗装ブース10の全長にわたって設けられ、その上方にも配管36および樋部材37が配設され、ここからも捕集液が随時流れ落ちるようになっている。
【0015】
また、この塗装ブース10には、図2に示すように、塗装ロボット19やその周辺の床などに塗料の付着を防止するための衝立状の遮蔽部材50が、塗装ロボット19の前方、すなわち、塗装ロボット19とレール18との間に、レール18の方向に沿って全長にわたって設けられている。また、特にこの例では、衝立状の遮蔽部材50が水槽20の上端に立設されているとともに、遮蔽部材50の上部には、この遮蔽部材50の外面の少なくとも一部に塗料ミスト捕集用の捕集液を流下させるための第2の捕集液供給手段51が設けられている。第2の捕集液供給手段51も、第1の捕集液供給手段25と同様に、内部を捕集液が流れる配管52と、この配管52が収められる断面コの字状の樋部材53とを具備して構成され、配管52の周壁に下向きに形成された図示略の多数の捕集液流出口から配管52内の捕集液が樋部材53に流れ出し、さらには、これらの捕集液が樋部材53の上端からオーバーフローすることにより、捕集液が、この例では遮蔽部材50の水槽20側の面を流下し、さらには水槽20に流れ落ちるようになっている。
よって、塗装ロボット19やその周辺の床などにはミスト状の塗料がほとんど付着せず、さらに遮蔽部材50にも付着せずに、塗料が水槽20中に捕集液とともに溜まるようになっている。
【0016】
この例の塗装ブース10には、図示略の給気手段が設けられ、図2中符号29で示される給気口から塗装ブース10内に空気が供給されるようになっているとともに、図示略の吸引手段が設けられ、排気口30から塗装ブース10内を吸引できるようになっていて、塗装ブース10内には、給気口29から排気口30に向かう気流が発生するようになっている。なお、図2中、符号31は整流板、符号32は整流フィルタである。整流板31としてはパンチングメタル(開口比20〜50%程度)が、また、整流フイルタ32としては不織布フイルタがそれぞれ好ましく用いられる。
【0017】
また、この塗装ブース10には、図7にも拡大して示すように、このように発生した気流により水槽20中の液面近傍の捕集液および塗料、さらには台車12の周囲などを浮遊しているミスト状の塗料を吸引してバブリング状態とし、これらを混合する渦巻室33と、この渦巻室33と排気口30との間に設けられ、渦巻室33で混合された混合物を回収するための回収塔34とが備えられている。
【0018】
渦巻室33は、その入口に回収塔34の塔壁34aから下方の水槽20中に向けて延出するように設けられた仕切板38を備えるとともに、仕切板38の下方側に設けられ、混合物を回収塔34へと誘導する湾曲板39により底部が湾曲して形成されている。そして、吸引手段と給気手段の作用により発生した気流が渦巻室33の入口、すなわち、仕切板38と湾曲板39との隙間を高速で通過するのに伴って、水槽20の液面近傍に存在する捕集液と塗料、さらにはミスト状に浮遊している塗料が、渦巻室33内に吸引され、渦巻室33内においてバブリング状態となり、塗料が捕集液に捕捉された混合物となる。
【0019】
そして、特にここでは、渦巻室33の入口に備えられた仕切板38は、図8に示すようにその下端が山切り状に形成されている。よって、仕切板38の先端と水槽20の液面との距離や、仕切板38の先端(山切り状の部分の頂点)と湾曲板39との図9中L1で示す距離を厳密に制御しなくても、水槽20中の液面近傍の捕集液および塗料、さらには浮遊しているミスト状の塗料を、良好なバブリング状態で渦巻室33内に吸引しやすく、その結果、塗料を捕集液中に十分に捕捉することができる。なお、仕切板38の下端は図8に示すように山切り状に形成されているものが非常に好ましいものであり、この山切り状の底角部分および/または頂角部分が略90°のものが特に好ましく用いられるが、これら底角部分および/または頂角部分がそれぞれ多少丸みを呈しているものも用いることができる。ここで仮に、仕切板38の下端が直線状などに形成されていると、仕切板38と水槽20の液面との距離や、仕切板38と湾曲板39との距離が多少変化するだけで、仕切板38の下方を通過する気流の速度が大きく変動してしまい、ミスト状の塗料が渦巻室33において捕集液中に十分に捕捉されず、その結果、ミスト状の塗料がそのまま気流とともに大気中に排気されてしまったり、逆に、水槽20に滞留してしまったりして、塗料を混合物の形態で効果的に回収できない。また、仕切板38と水槽20の液面との距離や、仕切板38と湾曲板39との距離の微調整には非常に手間がかかる。さらに、このように微調整したとしても、給気手段や吸引手段の作動条件が若干変動するだけで、その影響を受けて効果的な捕捉ができなくなることがある。
【0020】
仕切板38の下端は山切り状に形成されている限り、各部分の具体的なサイズなどにはあまり制限なく、回収塔34のスケールなどに応じて適宜設定できる。例えば、この仕切板38と湾曲板39との間を通過する風速が15〜35m/s、さらに好ましくは20〜25m/sとなるようにする場合には、山切りのピッチPは30〜100mm、その深さHはP/2程度とすることが好ましく、この例ではP=50mm、H=25mmとしている。また、仕切板38の先端と湾曲板39との鉛直距離L1は20〜70mmとすることが好ましく、30〜50mmとすることがより好ましい。この例ではL1は37.5mmとしている。
【0021】
また、この例の仕切板38は、その下端側が鉛直方向に対して特定の角度αで渦巻室33側に傾くように形成されている。このように形成されていると、バブリング状態が良好となり、塗料はより捕捉されやすくなるとともに、回収塔34における捕集液と塗料の回収率も高くなる。仕切板38の下端の傾きの角度αは、135°以上180°未満であることが好ましく、この例では150°としている。
【0022】
なお、この例の仕切板38は、図示略のボルトなどの固定具で回収塔34の塔壁34aに固定されているが、このボルトなどを緩め、作業者が符号38aで示される取手部材を把持して仕切板38を上下方向に適宜移動させることにより、仕切板38の先端と湾曲板39との距離L1および仕切板38の先端と液面との距離などを制御できるようになっている。
また、湾曲板39も図示略のボルトなどの固定具で水槽20に固定されているが、このボルトなどを緩め、湾曲板39を上下方向に適宜移動させることにより、湾曲板39と仕切板38との距離L1および湾曲板39と液面との距離などを制御できるようになっている。
【0023】
回収塔34は、平板状のエリミネータ(邪魔板)40を回収塔34の高さ方向に沿って少なくとも2枚(この例では3枚)備えている。よって、渦巻室33において塗料が捕集液に捕捉された混合物は、気流により渦巻室33から回収塔34を上昇しようとするが、回収塔34に設けられたエリミネータ40の非開口部40aにより阻まれ、空気のみがエリミネータ40の開口部40bを上昇し、排気口30から排気される。一方、塗料を捕捉した混合物は、各エリミネータ40の非開口部40aの下面に一端付着した後落下して、回収塔34の底部に形成されたホッパ41から回収塔34の外部の塗料回収手段に搬出される。
また、これら複数のエリミネータ40は、水平方向に対して互い違いに逆向きに傾斜するように設けられ、かつ、各エリミネータ40における傾斜の下部側には気流が通過する開口部40bが形成されていて、気流が直線的ではなく蛇行しながら上昇し、より効果的に捕集液と塗料との混合物を開口部40b以外の非開口部40aで回収できるようになっている。
さらに、各エリミネータ40の非開口部40aにおける開口部40bとの境界には、捕集液と塗料との混合物が空気に同伴されて上昇せず下方に落下するよう促す落下誘導板44が設けられ、より確実に混合物を回収できるようになっている。
【0024】
各エリミネータ40の水平方向に対する図10中符号βで示す傾斜角は、12〜20°が好ましく、この例では15〜16°としている。また、落下誘導板44の鉛直方向に対する角度γは、10〜20°が好ましく、この例では、下側のエリミネータ40からそれぞれ14°、11°、15°としている。
なお、落下誘導板44の長さは、長すぎると空気の通過による空気抵抗が大きくなり、より大きな吸引能力の吸引手段が必要となる。また、落下誘導板44の長さが短すぎると空気の通過による空気抵抗は小さくなるが、捕集液と塗料との混合物が空気に同伴されて上昇する。このため落下誘導板44の長さは好ましくは10mm〜60mmが用いられ、この例ではすべて30mmとしている。
さらに、各エリミネータ40の開口部40bは、開口部40bを上昇する気流の流速が、捕集液と塗料との混合物が気流に同伴されない風速となるように形成されていることが好ましい。具体的な流速としては、下側のエリミネータ40からそれぞれ好ましくは4〜7m/秒、3〜6m/秒、3〜6m/秒、より好ましくはそれぞれ、5〜6m/秒、3〜5m/秒、3〜5m/秒である。この例では、それぞれ、5.4m/秒、4.2m/秒、4.2m/秒としている。
【0025】
回収塔34の外方に設けられた塗料回収手段は、スラッジ槽42と、このスラッジ槽42に搬出された捕集液と塗料の混合物から塗料を回収する図示略の分離手段とから構成されている。塗料回収手段における分離手段としては、塗料を回収できるものであれば特に制限はなく、例えば、捕集液と塗料の混合物をろ過処理するろ過装置、捕集液に浮遊している塗料を掻き取る掻取装置などでもよいが、効率的な回収ができる点から、遠心力により捕集液と塗料とを分離して塗料を回収する遠心分離機を備えることが好適である。
【0026】
塗料回収手段により回収された塗料は、適宜後処理がなされた後に廃棄される。一方、残りの捕集液は、吸引ポンプなどからなる図示略の捕集液返送手段により、配管43を通して水槽20に戻される。
【0027】
次に、以上説明した塗装システム200を利用して、対象物11である成型物に塗料を塗装する方法を具体的に説明する。
まず、図1に示された除電装置60の手前で、作業者が、台車12の保持部13に2つの成型物を載せる。成型物を保持した台車12は除電装置60を通過した後、塗装ブース10内に進入する。
【0028】
塗装ブース10においては、この中を通過している台車12に保持された2つの成型物に対して、塗装ロボット19がスプレーガンで塗料を噴霧し、塗装する。
ここで、噴霧された塗料のうち成型物に付着しなかった塗料の一部はミスト状に浮遊するが、塗装ブース10内には保護カバー21が設けられているために、レール18や台車12の駆動部15に塗料が付着してしまうことはない。さらに、保護カバー21上には、第1の捕集液供給手段25から捕集液が供給され流下しているので、保護カバー21にも塗料が直接付着することなく回収され、塗料回収率が高まる。また、このように捕集液が流れていると、塗装ブース10の休止中などに保護カバー21上に埃などがたまっていたとしても埃が舞い上がることなく、塗装作業を行うことができる。
また、この例では、遮蔽部材50と、遮蔽部材50の外面の少なくとも一部に塗料ミスト捕集用の捕集液を流下させる第2の捕集液供給手段51とが設けられているために、塗装ロボット19、その周辺の床、さらには遮蔽部材50にも塗料が直接付着することなく回収され、塗料回収率が高まるとともに、塗装ブース10内の汚れの除去作業が軽減される。
【0029】
また、ミスト状に浮遊している塗料の他の一部は、塗装ブース10内の気流に乗りつつ浮遊するか、落下して直接水槽20内に溜まり、渦巻室33を経て捕集液とともに回収塔34で回収される。
すなわち、浮遊している塗料および水槽20中の塗料は、水槽20の液面近傍の捕集液とともに、渦巻室33に吸引されて混合物となる。
ここで、この例の渦巻室33の入口は、下端が山切り状に形成された仕切板38を備えて構成されているので、その先端と湾曲板39との距離L1や、その先端と液面との距離を厳密に調整しなくても、また、給気手段や吸引手段の作動条件が若干変動した場合であっても、水槽20中の液面近傍の捕集液および塗料、さらには台車12の周囲などを浮遊しているミスト状の塗料を、良好なバブリング状態で渦巻室33内に吸引し、その結果、塗料を捕集液中に十分に捕捉することができる。
こうして効果的に捕集液中に捕捉された塗料は、混合物の形態で回収塔34において回収され、ついで、回収塔34の底部に形成されたホッパ41から回収塔34の外部のスラッジ槽42に搬出される。一方、排気口30からは、空気のみが排出される。
【0030】
スラッジ槽42に搬出された捕集液と塗料の混合物からは、遠心分離機などの分離手段により塗料が回収されて適宜廃棄され、残りの捕集液は、捕集液返送手段により水槽20に戻される。
【0031】
塗装ブース10内で塗装された成型物は、ひきつづき台車12で搬送されて塗装ブース10を出て、レベリングゾーン70、加熱炉80、冷却ゾーン90、UV照射装置100、冷却ゾーン110を順次通過し、塗装物として作業者のもとに戻る。
【0032】
このような塗装システム200は、噴霧された塗料の一部を捕集した捕集液を貯留する水槽20と、塗装ブース10内を吸引して気流を発生させる吸引手段と、気流により水槽20中の捕集液および塗料と当該塗装ブース10内の塗料ミストとを混合する渦巻室33と、吸引手段と渦巻室33との間に設けられ、捕集液、塗料および塗料ミストとが混合された混合物を回収する回収塔34とを備え、渦巻室33の入口は、下端が山切り状に形成された仕切板38を備えているので、水槽20中の捕集液および塗料とミスト状の塗料とをともに高速気流により渦巻室33に吸引する場合、仕切板38の先端と湾曲板39との距離L1や仕切板38の先端と水槽20の液面との距離を厳密に微調整しなくても、また、給気手段や吸引手段の作動条件が若干変動した場合でも、良好なバブリング状態を維持しつつ安定に吸引できる。そのため、ミスト状の塗料がそのまま気流とともに大気中に排気されたり、逆に、水槽20に滞留したりすることなく、回収塔34で効果的に回収できる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の塗装ブースを備えた塗装システムによれば、噴霧され塗装対象物に付着しなかったミスト状の塗料を容易かつ効果的に回収しつつ、多数の対象物を安定に塗装することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗装システムの一例を示す概略平面図である。
【図2】図1の塗装システムの備える塗装ブースの縦断面図である。
【図3】図2の一部を示す拡大図である。
【図4】図1の塗装システムで使用される台車を示す側面図である。
【図5】図4の台車の備える支持板を示す斜視図である。
【図6】図2の塗装ブース内の一部を示す斜視図である。
【図7】図2の塗装ブースの備える渦巻室と回収塔とを示す縦断面図である。
【図8】図7の渦巻室の備える仕切板を示す斜視図である。
【図9】図7の渦巻室の拡大図である。
【図10】図2の塗装ブースの備える渦巻室と回収塔とを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 塗装ブース
11 塗装対象物
20 水槽
33 渦巻室
34 回収塔
38 仕切板
40 エリミネータ
40a 非開口部
40b 開口部
44 落下誘導板
200 塗装システム
【発明の属する技術分野】
本発明は塗装対象物を噴霧塗装するための塗装ブースと、この塗装ブースを備えた塗装システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
多数の塗装対象物に対して連続的に塗装する塗装システムとして、塗装対象物を保持しながら軌道に沿って移動する搬送手段を備えたものがある。
このような塗装システムにおいては、塗装対象物に対して塗料を噴霧する塗装手段を備えた塗装ブースが軌道の途中に設けられ、塗装対象物を保持した台車などの搬送手段が、塗装ブースを通過するようになっている。また、例えば、塗料が紫外線(UV)硬化型塗料である場合には、塗装ブースの後段側に、軌道に沿って、塗装された塗料表面を平滑化させるレベリングゾーン、塗装された塗料の溶剤を揮発させる加熱炉、加熱された塗装対象物を冷却する冷却ゾーン、紫外線を照射し硬化させるUV照射装置、塗装された塗装物を冷却する冷却ゾーンなどが設けられる場合もある。
【0003】
このような塗装システムにおいては、台車などの搬送手段が塗装ブース、レベリングゾーン、加熱炉、冷却ゾーン、UV照射装置、冷却ゾーンなどを順次通過するため、多数の塗装対象物に対して非常に効率的に各工程を行える。
ところが、塗装ブースでの塗装方法が塗料を噴霧する方法である場合には、噴霧された塗料の一部は塗装対象物に付着せずに、塗装ブース内でミスト状に浮遊するという問題があった。そのため、浮遊したミスト状の塗料を回収する塗装ブースが開発されていて、例えば特許文献1や特許文献2などに記載されているように、ミスト状の塗料を水などの捕集液とともに一旦貯留する水槽を備え、水槽中の捕集液および塗料と、さらには浮遊している塗料ミストとを高速気流により渦巻室に吸引して捕捉、混合した後、この混合物をエリミネータにより回収する形態のものが知られている。回収された混合物からは、塗料が分離され適宜処理される。
【0004】
【特許文献1】
特開昭56−70871号公報
【特許文献2】
特開昭56−70872号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の塗装ブースを使用し、水槽中の捕集液および塗料と塗装ブース内で浮遊しているミスト状の塗料とをともに高速気流により渦巻室に吸引する場合、高速気流の風速を適切な範囲に厳密に制御する必要があった。風速が適切な範囲にないと、ミスト状の塗料が渦巻室において捕集液中に十分に捕捉されず、その結果、ミスト状の塗料がそのまま気流とともに大気中に排気されてしまったり、逆に、水槽に滞留してしまったりして、塗料を混合物の形態で効果的に回収できないという問題があった。風速を適切な範囲に制御するためには、塗装ブースに備えられた給気手段および吸引手段の風速を厳密に調整したり、渦巻室入口の開口の度合いなどを微調整したりする必要があり、非常に手間がかかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、渦巻室入口の開口の度合いを微調整したり、給気手段および吸引手段の風速を厳密に調整したりするなどして渦巻室入口における高速気流の風速を厳密に制御しなくても、効率的に水槽中の捕集液および塗料と塗装ブース内で浮遊しているミスト状の塗料とをともに渦巻室に吸引して混合物とすることができる塗装ブースおよびこれを備えた塗装システムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗装ブースは、塗装対象物に対して塗料を噴霧するための塗装ブースであって、噴霧された塗料の一部を捕集した捕集液を貯留する水槽と、当該塗装ブース内を吸引して気流を発生させる吸引手段と、該気流により前記水槽中の前記捕集液および前記塗料と当該塗装ブース内の塗料ミストとを混合する渦巻室と、前記吸引手段と前記渦巻室との間に設けられ、前記捕集液、前記塗料および前記塗料ミストとが混合された混合物を回収する回収塔とを備え、前記渦巻室の入口は、下端が山切り状に形成された仕切板を備えていることを特徴とする。
前記回収塔は、開口部が形成された平板状のエリミネータを当該回収塔の高さ方向に沿って少なくとも2枚備え、前記気流が蛇行しながら上昇するように、隣接するエリミネータの開口部は互い違いに形成されていることが好ましい。
前記各エリミネータは傾斜して設けられ、隣接するエリミネータは傾斜方向が互い違いに逆向きに形成されていることが好ましい。
前記各エリミネータの非開口部における開口部との境界には、前記混合物の落下を促す落下誘導板が設けられていることが好ましい。
また、本発明の塗装ブースには、前記回収塔により回収された前記混合物から前記塗料を回収する塗料回収手段が付設されていることが好ましい。
前記塗料回収手段は、遠心力により前記塗料を分離回収する遠心分離機を備えることが好ましい。
さらに、前記塗料回収手段により塗料が除去された捕集液を、前記水槽に戻す捕集液返送手段を具備することが好ましい。
本発明の塗装システムは前記塗装ブースを備えていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、塗料としてUV硬化型塗料を用い、塗装対象物(以下、対象物という。)を塗装する本発明の塗装システムの一例を示す概略平面図である。
この塗装システム200は、台車12などの搬送手段やこの搬送手段により搬送される対象物から静電気を除去する除電装置60と、対象物に塗料を噴霧する塗装ブース10とを備えている。塗装ブース10の後段側には、塗料が噴霧された対象物を常温に保持するレベリングゾーン70、対象物を加熱し塗料から溶剤を揮発させる加熱炉80、加熱された対象物を冷却する冷却ゾーン90、対象物にUV照射して塗料を硬化させるUV照射装置100、塗装された対象物を冷却する冷却ゾーン110が順次設けられ、対象物を順次通過させることによって、多数の塗装物が連続的に得られるようになっている。
【0009】
図2は、図1の塗装システム200の具備する塗装ブース10の縦断面図であって、対象物11を搬送する台車12が、塗装ブース10内に敷設されたレール18(軌道)上を通過(図中、背面側から前面側へ)していて、この台車12が搬送している対象物11に対して、塗装手段である塗装ロボット19が塗料を噴霧している状態を示すものである。図3は図2の一部を拡大したものである。
この例の台車12は、図4にも示すように、対象物11を保持する保持部13と、保持部13を支持する支柱14と、支柱14の下端に連結された駆動部15とから概略構成され、駆動部15は、進行方向に対して前後左右の4つの車輪15aと、これら車輪15aが固定される平板状の基台15bとを具備している。そして、この駆動部15の内輪側(図2および図3中右側)にはレール18に沿って敷設されたチェーン16が連結されていて、このチェーン16により台車12がレール18上を搬送されるようになっている。このように内輪側のみがチェーン16に連結されていると、この塗装ブース10を出た後、後段側のレベリングゾーン70などで進行方向を90°変更する場合などに、小さい回転半径で進路変更することができ、塗装システム200全体を小さいスペース内に収めることができる。また、図中、符号17は、台車12の外輪側に設けられた位置決めガイドであって、台車12がレール18上をずれなく移動するよう規制するもので、レール18上にその全長に沿って設けられている。
【0010】
この例の台車12は、一例として対象物11がプラスチック成型物(以下、成型物という。)である場合に使用されるものである。そのため保持部13は、図4に示すように、成型物の内形に沿う形状の2つ成型物保持具13aと、これらの成型物保持具13aを着脱自在に固定する支持板13cとからなり、2つの成型物を同時に保持できるようになっている。具体的には、各成型物保持具13aの下部にはそれぞれ筒部13bが形成されていて、この筒部13bと図5に示す支持板13cに設けられた位置決めピン13dとをそれぞれ嵌合させることにより、2つの成型物保持具13aを所定の位置および向きに、支持板13c上に保持できるようになっている。対象物11である成型物は、この成型物保持具13aの上に載せられ、保持される。
【0011】
図2中、符号20は塗料ミスト捕集用の捕集液が溜められた水槽であって、後述する第1の捕集液供給手段25および第2の捕集液供給手段51から供給された捕集液とこれに同伴された塗料とを溜めるとともに、塗装ロボット19が噴霧し、対象物11に付着しなかったミスト状の塗料の一部も、直接この中に溜まるようになっている。この例において水槽20は、塗装ブース10内に敷設された2本1組のレール18の下方に、レール18の全長に沿って設けられている。具体的には、レール18が水槽20の上端に掛け渡されることにより敷設された構成となっている。
捕集液としては、水を使用してもよいし、塗料用不粘着化剤などの処理剤が添加された溶液などを使用してもよいが、塗料用不粘着化剤などの処理剤が添加された溶液を使用した方が捕集液に捕捉された塗料を容易に水槽20から回収できるため好ましい。
また、この水槽20は循環式であって、第1の捕集液供給手段25および第2の捕集液供給手段51や後述する水切り板の上方に設けられた配管から供給される捕集液が、水槽20を一旦出た後再利用されるようになっている。
【0012】
また、この塗装ブース10には、図6にも示すように、レール18とこのレール18上を移動する台車12の駆動部15とを覆うための保護カバー21が、塗装ブース10内におけるレール18の全長にわたって設けられているとともに、この保護カバー21上に塗料ミスト捕集用の捕集液を供給して流下させるための第1の捕集液供給手段25が備えられている。
よって、台車12の駆動部15やレール18にはミスト状の塗料が付着せず、さらにこれらを覆う保護カバー21にも付着せずに、塗料が水槽20中に捕集液とともに流れ落ちるようになっている。
【0013】
この例の保護カバー21は、断面が山型の天板22とこれを支える2枚の側板23とを備えて構成されている。各側板23は、2本のレール18の外側にこれらレール18と平行に水槽20の上端に掛け渡された2本の橋材24上にそれぞれ固定されている。また、天板22の頂部には、レール18と平行な、すなわち進行方向に沿ったスリット部22aが全長にわたって形成されていて、台車12の支柱14がここを通過できるようになっている。
また、天板22および側板23の全長は、塗装ブース10内のレール18と同じ長さに形成されて、天板22および側板23の長さ方向の両端が、それぞれ塗装ブース10と除電装置60との境界壁、および塗装ブース10とレベリングゾーン70との境界壁に接合されていてもよいが、この例では、天板22および側板23の全長は、塗装ブース10内のレール18よりも若干短い長さとされ、天板22および側板23の長さ方向の両端に、捕集液の流れを規制する堤防状の立て板21aが設けられている。
【0014】
また、この例の第1の捕集液供給手段25は、保護カバー21の天板22上に、スリット部22aを挟むように配設された、内部を捕集液が流れる2本の配管26と、これら2本の配管26がそれぞれ収められる断面コの字状の2本の樋部材27とを具備して構成され、2本の配管26の周壁に下向きに形成された図示略の多数の捕集液流出口から配管26内の捕集液が樋部材27に流れ出し、さらには、これらの捕集液が樋部材27の上端からオーバーフローすることにより、捕集液が保護カバー21上に流れ、さらには水槽20に流れ落ちるようになっている。また、図3に示すように、スリット部22aから保護カバー21の内側にミスト状の塗料が入り込まないように、2つの樋部材27の上端には1組の軟質性の塗料プロテクタ28が、支柱14が通過でき、かつ、スリット部22aを覆うように設けられている。該塗料プロテクタ28は常時は閉じており、前記支柱14が通過する部分のみ押し広げられ、該支柱14が通過する構造になっている。該塗料プロテクタ28は好ましくは使用される溶剤に耐久性のある材料が用いられる。さらに、台車12の支柱14には、液止用円板14aが設けられていて、塗料が万一スリット部22aを通過して垂れてきても、これよりも下方に塗料が垂れないよう受け止められるようになっている。なお、図6においては、塗料プロテクタの図示は略している。
また、後述する回収塔34における内側の塔壁34aには、塗料ミストが付着しないようにこれを覆う水切り板35が、レール18方向に塗装ブース10の全長にわたって設けられ、その上方にも配管36および樋部材37が配設され、ここからも捕集液が随時流れ落ちるようになっている。
【0015】
また、この塗装ブース10には、図2に示すように、塗装ロボット19やその周辺の床などに塗料の付着を防止するための衝立状の遮蔽部材50が、塗装ロボット19の前方、すなわち、塗装ロボット19とレール18との間に、レール18の方向に沿って全長にわたって設けられている。また、特にこの例では、衝立状の遮蔽部材50が水槽20の上端に立設されているとともに、遮蔽部材50の上部には、この遮蔽部材50の外面の少なくとも一部に塗料ミスト捕集用の捕集液を流下させるための第2の捕集液供給手段51が設けられている。第2の捕集液供給手段51も、第1の捕集液供給手段25と同様に、内部を捕集液が流れる配管52と、この配管52が収められる断面コの字状の樋部材53とを具備して構成され、配管52の周壁に下向きに形成された図示略の多数の捕集液流出口から配管52内の捕集液が樋部材53に流れ出し、さらには、これらの捕集液が樋部材53の上端からオーバーフローすることにより、捕集液が、この例では遮蔽部材50の水槽20側の面を流下し、さらには水槽20に流れ落ちるようになっている。
よって、塗装ロボット19やその周辺の床などにはミスト状の塗料がほとんど付着せず、さらに遮蔽部材50にも付着せずに、塗料が水槽20中に捕集液とともに溜まるようになっている。
【0016】
この例の塗装ブース10には、図示略の給気手段が設けられ、図2中符号29で示される給気口から塗装ブース10内に空気が供給されるようになっているとともに、図示略の吸引手段が設けられ、排気口30から塗装ブース10内を吸引できるようになっていて、塗装ブース10内には、給気口29から排気口30に向かう気流が発生するようになっている。なお、図2中、符号31は整流板、符号32は整流フィルタである。整流板31としてはパンチングメタル(開口比20〜50%程度)が、また、整流フイルタ32としては不織布フイルタがそれぞれ好ましく用いられる。
【0017】
また、この塗装ブース10には、図7にも拡大して示すように、このように発生した気流により水槽20中の液面近傍の捕集液および塗料、さらには台車12の周囲などを浮遊しているミスト状の塗料を吸引してバブリング状態とし、これらを混合する渦巻室33と、この渦巻室33と排気口30との間に設けられ、渦巻室33で混合された混合物を回収するための回収塔34とが備えられている。
【0018】
渦巻室33は、その入口に回収塔34の塔壁34aから下方の水槽20中に向けて延出するように設けられた仕切板38を備えるとともに、仕切板38の下方側に設けられ、混合物を回収塔34へと誘導する湾曲板39により底部が湾曲して形成されている。そして、吸引手段と給気手段の作用により発生した気流が渦巻室33の入口、すなわち、仕切板38と湾曲板39との隙間を高速で通過するのに伴って、水槽20の液面近傍に存在する捕集液と塗料、さらにはミスト状に浮遊している塗料が、渦巻室33内に吸引され、渦巻室33内においてバブリング状態となり、塗料が捕集液に捕捉された混合物となる。
【0019】
そして、特にここでは、渦巻室33の入口に備えられた仕切板38は、図8に示すようにその下端が山切り状に形成されている。よって、仕切板38の先端と水槽20の液面との距離や、仕切板38の先端(山切り状の部分の頂点)と湾曲板39との図9中L1で示す距離を厳密に制御しなくても、水槽20中の液面近傍の捕集液および塗料、さらには浮遊しているミスト状の塗料を、良好なバブリング状態で渦巻室33内に吸引しやすく、その結果、塗料を捕集液中に十分に捕捉することができる。なお、仕切板38の下端は図8に示すように山切り状に形成されているものが非常に好ましいものであり、この山切り状の底角部分および/または頂角部分が略90°のものが特に好ましく用いられるが、これら底角部分および/または頂角部分がそれぞれ多少丸みを呈しているものも用いることができる。ここで仮に、仕切板38の下端が直線状などに形成されていると、仕切板38と水槽20の液面との距離や、仕切板38と湾曲板39との距離が多少変化するだけで、仕切板38の下方を通過する気流の速度が大きく変動してしまい、ミスト状の塗料が渦巻室33において捕集液中に十分に捕捉されず、その結果、ミスト状の塗料がそのまま気流とともに大気中に排気されてしまったり、逆に、水槽20に滞留してしまったりして、塗料を混合物の形態で効果的に回収できない。また、仕切板38と水槽20の液面との距離や、仕切板38と湾曲板39との距離の微調整には非常に手間がかかる。さらに、このように微調整したとしても、給気手段や吸引手段の作動条件が若干変動するだけで、その影響を受けて効果的な捕捉ができなくなることがある。
【0020】
仕切板38の下端は山切り状に形成されている限り、各部分の具体的なサイズなどにはあまり制限なく、回収塔34のスケールなどに応じて適宜設定できる。例えば、この仕切板38と湾曲板39との間を通過する風速が15〜35m/s、さらに好ましくは20〜25m/sとなるようにする場合には、山切りのピッチPは30〜100mm、その深さHはP/2程度とすることが好ましく、この例ではP=50mm、H=25mmとしている。また、仕切板38の先端と湾曲板39との鉛直距離L1は20〜70mmとすることが好ましく、30〜50mmとすることがより好ましい。この例ではL1は37.5mmとしている。
【0021】
また、この例の仕切板38は、その下端側が鉛直方向に対して特定の角度αで渦巻室33側に傾くように形成されている。このように形成されていると、バブリング状態が良好となり、塗料はより捕捉されやすくなるとともに、回収塔34における捕集液と塗料の回収率も高くなる。仕切板38の下端の傾きの角度αは、135°以上180°未満であることが好ましく、この例では150°としている。
【0022】
なお、この例の仕切板38は、図示略のボルトなどの固定具で回収塔34の塔壁34aに固定されているが、このボルトなどを緩め、作業者が符号38aで示される取手部材を把持して仕切板38を上下方向に適宜移動させることにより、仕切板38の先端と湾曲板39との距離L1および仕切板38の先端と液面との距離などを制御できるようになっている。
また、湾曲板39も図示略のボルトなどの固定具で水槽20に固定されているが、このボルトなどを緩め、湾曲板39を上下方向に適宜移動させることにより、湾曲板39と仕切板38との距離L1および湾曲板39と液面との距離などを制御できるようになっている。
【0023】
回収塔34は、平板状のエリミネータ(邪魔板)40を回収塔34の高さ方向に沿って少なくとも2枚(この例では3枚)備えている。よって、渦巻室33において塗料が捕集液に捕捉された混合物は、気流により渦巻室33から回収塔34を上昇しようとするが、回収塔34に設けられたエリミネータ40の非開口部40aにより阻まれ、空気のみがエリミネータ40の開口部40bを上昇し、排気口30から排気される。一方、塗料を捕捉した混合物は、各エリミネータ40の非開口部40aの下面に一端付着した後落下して、回収塔34の底部に形成されたホッパ41から回収塔34の外部の塗料回収手段に搬出される。
また、これら複数のエリミネータ40は、水平方向に対して互い違いに逆向きに傾斜するように設けられ、かつ、各エリミネータ40における傾斜の下部側には気流が通過する開口部40bが形成されていて、気流が直線的ではなく蛇行しながら上昇し、より効果的に捕集液と塗料との混合物を開口部40b以外の非開口部40aで回収できるようになっている。
さらに、各エリミネータ40の非開口部40aにおける開口部40bとの境界には、捕集液と塗料との混合物が空気に同伴されて上昇せず下方に落下するよう促す落下誘導板44が設けられ、より確実に混合物を回収できるようになっている。
【0024】
各エリミネータ40の水平方向に対する図10中符号βで示す傾斜角は、12〜20°が好ましく、この例では15〜16°としている。また、落下誘導板44の鉛直方向に対する角度γは、10〜20°が好ましく、この例では、下側のエリミネータ40からそれぞれ14°、11°、15°としている。
なお、落下誘導板44の長さは、長すぎると空気の通過による空気抵抗が大きくなり、より大きな吸引能力の吸引手段が必要となる。また、落下誘導板44の長さが短すぎると空気の通過による空気抵抗は小さくなるが、捕集液と塗料との混合物が空気に同伴されて上昇する。このため落下誘導板44の長さは好ましくは10mm〜60mmが用いられ、この例ではすべて30mmとしている。
さらに、各エリミネータ40の開口部40bは、開口部40bを上昇する気流の流速が、捕集液と塗料との混合物が気流に同伴されない風速となるように形成されていることが好ましい。具体的な流速としては、下側のエリミネータ40からそれぞれ好ましくは4〜7m/秒、3〜6m/秒、3〜6m/秒、より好ましくはそれぞれ、5〜6m/秒、3〜5m/秒、3〜5m/秒である。この例では、それぞれ、5.4m/秒、4.2m/秒、4.2m/秒としている。
【0025】
回収塔34の外方に設けられた塗料回収手段は、スラッジ槽42と、このスラッジ槽42に搬出された捕集液と塗料の混合物から塗料を回収する図示略の分離手段とから構成されている。塗料回収手段における分離手段としては、塗料を回収できるものであれば特に制限はなく、例えば、捕集液と塗料の混合物をろ過処理するろ過装置、捕集液に浮遊している塗料を掻き取る掻取装置などでもよいが、効率的な回収ができる点から、遠心力により捕集液と塗料とを分離して塗料を回収する遠心分離機を備えることが好適である。
【0026】
塗料回収手段により回収された塗料は、適宜後処理がなされた後に廃棄される。一方、残りの捕集液は、吸引ポンプなどからなる図示略の捕集液返送手段により、配管43を通して水槽20に戻される。
【0027】
次に、以上説明した塗装システム200を利用して、対象物11である成型物に塗料を塗装する方法を具体的に説明する。
まず、図1に示された除電装置60の手前で、作業者が、台車12の保持部13に2つの成型物を載せる。成型物を保持した台車12は除電装置60を通過した後、塗装ブース10内に進入する。
【0028】
塗装ブース10においては、この中を通過している台車12に保持された2つの成型物に対して、塗装ロボット19がスプレーガンで塗料を噴霧し、塗装する。
ここで、噴霧された塗料のうち成型物に付着しなかった塗料の一部はミスト状に浮遊するが、塗装ブース10内には保護カバー21が設けられているために、レール18や台車12の駆動部15に塗料が付着してしまうことはない。さらに、保護カバー21上には、第1の捕集液供給手段25から捕集液が供給され流下しているので、保護カバー21にも塗料が直接付着することなく回収され、塗料回収率が高まる。また、このように捕集液が流れていると、塗装ブース10の休止中などに保護カバー21上に埃などがたまっていたとしても埃が舞い上がることなく、塗装作業を行うことができる。
また、この例では、遮蔽部材50と、遮蔽部材50の外面の少なくとも一部に塗料ミスト捕集用の捕集液を流下させる第2の捕集液供給手段51とが設けられているために、塗装ロボット19、その周辺の床、さらには遮蔽部材50にも塗料が直接付着することなく回収され、塗料回収率が高まるとともに、塗装ブース10内の汚れの除去作業が軽減される。
【0029】
また、ミスト状に浮遊している塗料の他の一部は、塗装ブース10内の気流に乗りつつ浮遊するか、落下して直接水槽20内に溜まり、渦巻室33を経て捕集液とともに回収塔34で回収される。
すなわち、浮遊している塗料および水槽20中の塗料は、水槽20の液面近傍の捕集液とともに、渦巻室33に吸引されて混合物となる。
ここで、この例の渦巻室33の入口は、下端が山切り状に形成された仕切板38を備えて構成されているので、その先端と湾曲板39との距離L1や、その先端と液面との距離を厳密に調整しなくても、また、給気手段や吸引手段の作動条件が若干変動した場合であっても、水槽20中の液面近傍の捕集液および塗料、さらには台車12の周囲などを浮遊しているミスト状の塗料を、良好なバブリング状態で渦巻室33内に吸引し、その結果、塗料を捕集液中に十分に捕捉することができる。
こうして効果的に捕集液中に捕捉された塗料は、混合物の形態で回収塔34において回収され、ついで、回収塔34の底部に形成されたホッパ41から回収塔34の外部のスラッジ槽42に搬出される。一方、排気口30からは、空気のみが排出される。
【0030】
スラッジ槽42に搬出された捕集液と塗料の混合物からは、遠心分離機などの分離手段により塗料が回収されて適宜廃棄され、残りの捕集液は、捕集液返送手段により水槽20に戻される。
【0031】
塗装ブース10内で塗装された成型物は、ひきつづき台車12で搬送されて塗装ブース10を出て、レベリングゾーン70、加熱炉80、冷却ゾーン90、UV照射装置100、冷却ゾーン110を順次通過し、塗装物として作業者のもとに戻る。
【0032】
このような塗装システム200は、噴霧された塗料の一部を捕集した捕集液を貯留する水槽20と、塗装ブース10内を吸引して気流を発生させる吸引手段と、気流により水槽20中の捕集液および塗料と当該塗装ブース10内の塗料ミストとを混合する渦巻室33と、吸引手段と渦巻室33との間に設けられ、捕集液、塗料および塗料ミストとが混合された混合物を回収する回収塔34とを備え、渦巻室33の入口は、下端が山切り状に形成された仕切板38を備えているので、水槽20中の捕集液および塗料とミスト状の塗料とをともに高速気流により渦巻室33に吸引する場合、仕切板38の先端と湾曲板39との距離L1や仕切板38の先端と水槽20の液面との距離を厳密に微調整しなくても、また、給気手段や吸引手段の作動条件が若干変動した場合でも、良好なバブリング状態を維持しつつ安定に吸引できる。そのため、ミスト状の塗料がそのまま気流とともに大気中に排気されたり、逆に、水槽20に滞留したりすることなく、回収塔34で効果的に回収できる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の塗装ブースを備えた塗装システムによれば、噴霧され塗装対象物に付着しなかったミスト状の塗料を容易かつ効果的に回収しつつ、多数の対象物を安定に塗装することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗装システムの一例を示す概略平面図である。
【図2】図1の塗装システムの備える塗装ブースの縦断面図である。
【図3】図2の一部を示す拡大図である。
【図4】図1の塗装システムで使用される台車を示す側面図である。
【図5】図4の台車の備える支持板を示す斜視図である。
【図6】図2の塗装ブース内の一部を示す斜視図である。
【図7】図2の塗装ブースの備える渦巻室と回収塔とを示す縦断面図である。
【図8】図7の渦巻室の備える仕切板を示す斜視図である。
【図9】図7の渦巻室の拡大図である。
【図10】図2の塗装ブースの備える渦巻室と回収塔とを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 塗装ブース
11 塗装対象物
20 水槽
33 渦巻室
34 回収塔
38 仕切板
40 エリミネータ
40a 非開口部
40b 開口部
44 落下誘導板
200 塗装システム
Claims (8)
- 塗装対象物に対して塗料を噴霧するための塗装ブースであって、
噴霧された塗料の一部を捕集した捕集液を貯留する水槽と、
当該塗装ブース内を吸引して気流を発生させる吸引手段と、
該気流により前記水槽中の前記捕集液および前記塗料と当該塗装ブース内の塗料ミストとを混合する渦巻室と、
前記吸引手段と前記渦巻室との間に設けられ、前記捕集液、前記塗料および前記塗料ミストとが混合された混合物を回収する回収塔とを備え、
前記渦巻室の入口は、下端が山切り状に形成された仕切板を備えていることを特徴とする塗装ブース。 - 前記回収塔は、開口部が形成された平板状のエリミネータを当該回収塔の高さ方向に沿って少なくとも2枚備え、
前記気流が蛇行しながら上昇するように、隣接するエリミネータの開口部は互い違いに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の塗装ブース。 - 前記各エリミネータは傾斜して設けられ、隣接するエリミネータは傾斜方向が互い違いに逆向きに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の塗装ブース。
- 前記各エリミネータの非開口部における開口部との境界には、前記混合物の落下を促す落下誘導板が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の塗装ブース。
- 前記回収塔により回収された前記混合物から前記塗料を回収する塗料回収手段が付設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の塗装ブース。
- 前記塗料回収手段は、遠心力により前記塗料を分離回収する遠心分離機を備えることを特徴とする請求項5に記載の塗装ブース。
- 前記塗料回収手段により塗料が除去された捕集液を、前記水槽に戻す捕集液返送手段を具備することを特徴とする請求項5または6に記載の塗装ブース。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の塗装ブースを備えていることを特徴とする塗装システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003103201A JP2004305920A (ja) | 2003-04-07 | 2003-04-07 | 塗装ブースおよびこれを備えた塗装システム |
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JP2003103201A JP2004305920A (ja) | 2003-04-07 | 2003-04-07 | 塗装ブースおよびこれを備えた塗装システム |
Publications (1)
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JP2004305920A true JP2004305920A (ja) | 2004-11-04 |
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ID=33466423
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JP (1) | JP2004305920A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019188308A (ja) * | 2018-04-24 | 2019-10-31 | アネスト岩田株式会社 | 塗装ブース |
-
2003
- 2003-04-07 JP JP2003103201A patent/JP2004305920A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019188308A (ja) * | 2018-04-24 | 2019-10-31 | アネスト岩田株式会社 | 塗装ブース |
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