JP2004305056A - 農作業機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】農作業機は、土を盛り上げる盛土体と、盛土体にて盛り上げた土を締め固めて畦側面を形成する略円錐状の円錐回転体である側面形成体15とを具備する。側面形成体15は、回転中心軸線Xを中心として放射状に位置する複数枚の作用板である側面形成板21を備える。各側面形成板21の回転方向後端部の縮径側には締付力偏り防止用の膨出板部23を形成し、回転方向前端部の縮径側には切欠部を形成した。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬さバランスの良好な崩れにくい畦を形成できる農作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば土を盛り上げる盛土体と、回転中心軸線を中心として回転しながら盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて畦側面を形成する略円錐状の円錐回転体である側面形成体とを具備し、その側面形成体が回転中心軸線を中心として放射状に位置する複数枚の略扇状の作用板を備えた農作業機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3148678号公報(第1頁、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の農作業機では、略円錐状の側面形成体の縮径側の周速が拡径側の周速より遅いため、縮径側での締付力が拡径側での締付力より弱くなり、硬さバランスの良好な崩れにくい畦が形成されないおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、硬さバランスの良好な崩れにくい畦を形成できる農作業機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の農作業機は、土を盛り上げる盛土体と、回転中心軸線を中心として回転しながら、前記盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて畦面を形成する略円錐状の円錐回転体とを具備し、前記円錐回転体は、前記回転中心軸線を中心として放射状に位置する複数枚の作用板を備え、前記作用板の回転方向後端部には、反回転方向に向って膨出した締付力偏り防止用の膨出板部が形成されているものである。
【0007】
そして、円錐回転体の作用板の回転方向後端部に形成された締付力偏り防止用の膨出板部によって円錐回転体による土の締付力の偏りが防止され、硬さバランスの良好な崩れにくい畦が形成される。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、作用板の回転方向前端部には、前記作用板と隣り合う作用板の膨出板部にて覆われた切欠部が形成されているものである。
【0009】
そして、円錐回転体の作用板の回転方向前端部に切欠部を形成しない場合に比べて、円錐回転体の重量が軽くなる。
【0010】
請求項3記載の農作業機は、請求項1または2記載の農作業機において、円錐回転体は、盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて畦側面を形成する側面形成体であるものである。
【0011】
そして、円錐回転体である側面形成体にて畦側面の上側と畦側面の下側とが略同じ硬さにされ、硬さバランスの良好な崩れにくい畦が適切に形成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の農作業機の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1において、1は農作業機で、この農作業機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)に連結され、このトラクタの走行により畦に沿って移動しながら畦形成作業(畦修復作業)をする畦形成装置である。
【0014】
農作業機1は、トラクタの後部に3点リンク(作業機昇降支持装置)を介して連結された機枠2を備えている。
【0015】
機枠2は、連結部であるトラクタ連結部3を有しており、このトラクタ連結部3は、トップピンを有する中央のトップマスト(図示せず)と、ロワピン4を有する左右一対のロワアーム5とにて構成されている。
【0016】
また、機枠2には、前後方向の入力軸6が回転可能に設けられている。この入力軸6は、トラクタのPTO軸にユニバーサルジョイントを介して連結され、トラクタからの動力を入力する。
【0017】
さらに、機枠2の一側部における前側には、土を耕耘して盛り上げる前処理部である盛土体(ロータリ)7が回転可能に設けられている。この盛土体7は、入力軸6に伝動手段(図示せず)を介して接続された左右方向の水平状の回転軸8を有し、この回転軸8には耕耘爪9が放射状に取り付けられている。
【0018】
また、機枠2の一側部における後側には、進行方向前側の盛土体7にて畦に盛り上げられた土を締め固めて新たな畦面を形成する畦形成部(ディスク)11が回転可能に設けられている。なお、この畦形成部11の回転速度は、トラクタの走行速度との関係で、畦面に対してスリップ回転する値に設定されている。
【0019】
ここで、畦形成部11は、入力軸6に伝動手段(図示せず)を介して接続された左右方向の水平状の回転軸(軸芯が回転中心軸線Xと一致する軸)13を有している。
【0020】
この回転軸13には、図1ないし図4に示されるように、略円錐状の円錐回転体である側面形成体15と、略円筒状の上面形成体16とが、それぞれ回転軸13と同軸状に取り付けられている。
【0021】
側面形成体15は、上面形成体16側に向って縮径した略円錐状をなすもので、進行方向に対して直交する左右水平方向の回転中心軸線Xを中心として回転方向(図示イ方向)に回転しながら、進行方向前側の盛土体7にて盛り上げられた土を畦に断続的に押し込むように締め固めて傾斜状の畦内側面を形成するものである。
【0022】
この側面形成体15は、対向端部が重なるようにして回転方向(図示イ方向)に並び、回転中心軸線Xを中心として放射状に位置する複数枚(例えば6枚)の略扇状の作用板である側面形成板(分割羽根板)21を外周面側に備えている。
【0023】
そして、各側面形成板21は、いずれも同一形状のものであって、回転方向後端ほど強く土を押し込むものであり、この側面形成板21の全体が回転方向に沿ってやや湾曲した略扇状に形成されている。各側面形成板21の外端側の略円弧状の外縁部21aは、回転中心軸線Xを中心とする仮想円上に位置しておらず、側面形成板21の径方向寸法は回転方向後端ほど長くなっている(図2参照)。
【0024】
また、各側面形成板21の回転方向後端部の縮径側には、反回転方向に向って膨出した締付力偏り防止用の膨出板部23が形成されている。この膨出板部23は、例えば側面形成板21の回転方向後端部の縮径側半部に一体的に形成されている。また、この膨出板部23は、拡径側ほど幅広い略四角板状に形成され、拡径側の回転方向最後端の角部23aが略円弧状に形成されている。
【0025】
なお、この膨出板部23は、図2から明らかなように、側面視で、回転中心軸線Xと側面形成板21の回転方向後端部における拡径側端30とを結んだ基準線Bより、反回転方向に向って膨出した状態に位置し、この膨出した膨出板部23にて側面形成体15による土の締付力の偏りが防止される。
【0026】
さらに、各側面形成板21の回転方向前端部の縮径側には、回転方向側に隣り合う側面形成板21の膨出板部23にて覆われた切欠部24がその膨出板部23と対応した形状に形成されている。すなわち、互いに隣り合う2枚の側面形成板21のうちの一方の側面形成板21の膨出板部23の内方に、他方の側面形成板21の切欠部24が配置されている。
【0027】
また、各側面形成板21は、回転軸13の端部に固着された截頭円錐状のベース26にこのベース26の外周面に略沿って位置するように取付具(ボルトおよびナット等)27によって着脱可能に取り付けられている。
【0028】
なお、各側面形成板21とベース26との間にはスペーサ28が配設され、各側面形成板21の回転中心軸線Xからの離間距離が回転方向前端から回転方向後端に向って徐々に増大している。すなわち、各側面形成板21は、回転方向後端ほどベース26の外周面(基準円錐面)からの離間距離が大きくなるように傾斜状に配置され、回転方向後端ほど強く土を押し込むようになっている。
【0029】
また一方、略円筒状の上面形成体16は、進行方向に対して直交する左右水平方向の回転中心軸線Xを中心として回転しながら、進行方向前側の盛土体7にて盛り上げられた土を畦に押し込むように締め固めて水平状の畦上面を形成するものである。なお、上面形成体16の端部外面と側面形成体15の縮径側の端部外面とを覆うように畦肩部形成用の筒状部材25が配設されている。
【0030】
次に、上記農作業機1を用いて畦形成作業を行う場合について説明する。
【0031】
トラクタに農作業機1を連結した状態で、トラクタを前進走行させると、農作業機1がトラクタとともに進行方向に向って移動し、トラクタからの動力が入力軸6および伝動手段を経て回転軸8,13に伝達され、盛土体7、側面形成体15および上面形成体16がそれぞれ所定方向に駆動回転する。
【0032】
そして、畦塗り用の土が盛土体7の耕耘爪9にて耕耘されて盛り上げられ、この盛り上げられた土が側面形成体15および上面形成体16にて締め固められて傾斜状の畦側面および水平状の畦上面が形成されて、新畦が形成される。
【0033】
このとき、側面形成体15の各側面形成板21の回転方向後端部の縮径側に反回転方向に向って膨出状に形成された締付力偏り防止用の膨出板部23の存在により、略円錐状の側面形成体15による土の締付力の偏りがなくなり、すなわち、周速の相違にかかわらず側面形成体15の縮径側での締付力と拡径側での締付力が略等しくなり、その結果、畦側面の上側と畦側面の下側とが略同じ硬さとなり、硬さバランスの良好な崩れにくい畦が形成される。
【0034】
このように、上記農作業機1によれば、各側面形成板21の回転方向後端部の縮径側に形成された締付力偏り防止用の膨出板部23によって、側面形成体15による土の締付力の偏りを防止できるため、硬さバランスの良好な崩れにくい畦を適切に形成することができる。
【0035】
また、各側面形成板21の回転方向前端部の縮径側に膨出板部23に対応した切欠部24を形成したため、切欠部24を形成しない場合に比べて、側面形成体15の重量を軽くでき、製造コストも安くできる。
【0036】
なお、上記一実施の形態の農作業機1の畦形成部11は、略円筒状の上面形成体16を有したものには限定されず、例えば図5に示すように、側面形成体15側に向って縮径した略円錐状の上面形成体16を有したもの等でもよい。
【0037】
また、例えば図示しないが、略円錐状の円錐回転体は、回転中心軸線を中心として回転しながら盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて水平状の畦上面を形成する上面形成体でもよい。この場合、各作用板である上面形成板の回転方向後端部の縮径側に形成された締付力偏り防止用の膨出板部にて上面形成体による土の締付力の偏りが防止され、畦上面の内側と畦上面の外側とが略同じ硬さとなり、硬さバランスの良好な崩れにくい畦が形成される。なお、略鼓形状の畦形成部11を構成する側面形成体および上面形成体の両方が、締付力偏り防止用の膨出板部が形成された作用板を備えるような構成としてもよい。
【0038】
さらに、畦形成部11は、図示しないが、側面形成体および上面形成体に加えて、傾斜状の畦外側面を形成する円錐回転体である追加側面形成体を有するもの等でもよい。
【0039】
また、側面形成体15等の円錐回転体の略円錐状には、厳密な意味での円錐形状・円錐台形状には限定されず、これら円錐形状・円錐台形状に近似した形状等も含まれる。
【0040】
さらに、円錐回転体は、個別的に交換可能な互いに別体である作用板(側面形成板21)を備えたものには限定されず、互いに一体的な作用板を複数枚備えた一体構造とすることもできる。
【0041】
また、所定の基準線Bより反回転方向に向って膨出した締付力偏り防止用の膨出板部23は、側面形成板21の回転方向後端部の縮径側のみに形成されたものには限定されず、例えば図6に示すように、側面形成板21の回転方向後端部に拡径側端30を頂点として回転方向後端部の略全体にわたって位置する略三角形状に形成されたもの等でもよい。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、円錐回転体の作用板の回転方向後端部に形成された締付力偏り防止用の膨出板部によって円錐回転体による土の締付力の偏りを防止できるため、硬さバランスの良好な崩れにくい畦を形成できる。
【0043】
請求項2の発明によれば、円錐回転体の作用板の回転方向前端部に切欠部を形成しない場合に比べて、円錐回転体の重量を軽くできる。
【0044】
請求項3の発明によれば、円錐回転体である側面形成体にて畦側面の上側と畦側面の下側とを略同じ硬さにでき、硬さバランスの良好な崩れにくい畦を適切に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の農作業機の一実施の形態を示す概略平面図である。
【図2】同上農作業機の畦形成部の側面図である。
【図3】同上農作業機の畦形成部のIII―III断面図(正面視縦断面図)である。
【図4】同上農作業機の畦形成部の斜視図である。
【図5】本発明の農作業機の他の実施の形態の畦形成部の斜視図である。
【図6】本発明の農作業機のさらに他の実施の形態の畦形成部の側面図である。
【符号の説明】
1 農作業機
7 盛土体
15 円錐回転体である側面形成体
21 作用板である側面形成板
23 膨出板部
24 切欠部
イ 回転方向
X 回転中心軸線
Claims (3)
- 土を盛り上げる盛土体と、
回転中心軸線を中心として回転しながら、前記盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて畦面を形成する略円錐状の円錐回転体とを具備し、
前記円錐回転体は、前記回転中心軸線を中心として放射状に位置する複数枚の作用板を備え、
前記作用板の回転方向後端部には、反回転方向に向って膨出した締付力偏り防止用の膨出板部が形成されている
ことを特徴とする農作業機。 - 作用板の回転方向前端部には、前記作用板と隣り合う作用板の膨出板部にて覆われた切欠部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。 - 円錐回転体は、盛土体にて盛り上げられた土を締め固めて畦側面を形成する側面形成体である
ことを特徴とする請求項1または2記載の農作業機。
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