JP2004304962A - スナバー回路およびそれを搭載するスイッチング電源装置 - Google Patents

スナバー回路およびそれを搭載するスイッチング電源装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スイッチング電源装置52に用いられるスナバー回路51において、部品点数を削減し、かつ電力損失を低減する。
【解決手段】ダイオード61とスナバーコンデンサ62とから成る直列回路をトランス54の1次巻線54aに並列に接続し、スイッチング素子55のオフ時に発生するサージエネルギを前記コンデンサ62で吸収する通常のスナバー回路に、さらに前記直列回路でスイッチング素子55側をコンデンサ62とし、かつスイッチング素子55のオン時に、そのコンデンサ62とスイッチング素子55と閉回路を形成するように、トランス54にスナバー巻線54cを設ける。そして、巻線54a,54cを略同一の巻き数に設定する。これによって、ダイオードを用いることなく、スナバー回路51内の循環電流を、スイッチングサージおよび漏洩インダクタンスに蓄積された励磁エネルギ相当分のみに抑制することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるAC−DCコンバータや、DC−DCコンバータなどとして好適に実施されるスイッチング電源装置において、スイッチング素子のオフ時に発生するノイズを除去するためのスナバー回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯型小型電子機器などに用いられ、商用交流を整流・平滑化して得られた直流電流またはバッテリからの直流電流を、たとえば数十〜数百kHz程度の高周波でスイッチングし、小型のトランスで所望とする電圧に高効率に変換するようにしたスイッチング電源装置が広く用いられている。
【0003】
一方で、電子機器から発生する電磁ノイズに対する規制が厳しくなってきており、上述のようなスイッチング電源装置には、ノイズとなるスイッチングサージを吸収するためのスナバー回路が搭載されている。
【0004】
図5は、典型的な従来技術のスナバー回路1を搭載するスイッチング電源装置2の電気回路図である。このスイッチング電源装置2は、フライバック方式のスイッチング電源装置であり、直流電源3に対してトランス4の1次巻線4aおよびスイッチング素子5の直列回路を接続し、スイッチング素子5のオン期間に1次巻線4aに蓄積した励磁エネルギを、オフ時に2次巻線4bから出力し、ダイオード6および平滑コンデンサ7を介して、出力端子8,9間に導出するものである。
【0005】
スナバー回路1は、スイッチングサージ吸収用のスナバーコンデンサ11およびダイオード12から成り、前記1次巻線4aに並列に接続される直列回路と、前記スナバーコンデンサ11に並列に接続される抵抗13とを備えて構成されている。前記スイッチング素子5のオン期間にトランス4の漏洩インダクタンスに蓄積されたエネルギによって、スイッチング素子5のターンオフ時に発生するサージは、ダイオード12を介してスナバーコンデンサ11に吸収され、時間経過に伴って、抵抗13で消費されてゆく。
【0006】
しかしながら、このような抵抗消費型のスナバー回路1では、前記漏洩インダクタンスによるサージエネルギは、スナバーコンデンサ11に蓄積された後、抵抗13で消費され、電力変換効率が低く、近年の省エネルギ化の要求には対応することができないという問題がある。
【0007】
このため、他の従来技術として、前記スナバーコンデンサ11に蓄積されたサージエネルギを利用するようにした構成が特開平8−182316号公報で提案されている。図6は、その特開平8−182316号によるスナバー回路21を備えるスイッチング電源装置22の電気回路図である。
【0008】
このスイッチング電源装置22において、前述のスイッチング電源装置2に対応する構成には、同一の参照符号を付して示している。このスイッチング電源装置22は、フォワード方式のスイッチング電源装置であり、スイッチング素子5のオン時に2次側へエネルギが導出される。スナバー回路21は、前記1次巻線4aと並列に接続されるスナバーコンデンサ11およびダイオード12の直列回路と、インダクタ23と、内部電源24と、ダイオード25とを備えて構成されている。
【0009】
このスナバー回路21は、いわゆるLCスナバー回路であり、スイッチング素子5のターンオフ時に、スナバーコンデンサ11とダイオード12との閉回路によって、スナバーコンデンサ11に図6図示とは反対の極性で充電を行い、スイッチング素子5のターンオン時に、インダクタ23とスナバーコンデンサ11とが共振することによって、該スナバーコンデンサ11が図6図示の極性となり、再び次のターンオフ時に、該スナバーコンデンサ11の充電電圧によってスイッチング素子5を零電圧スイッチングさせ、スイッチング損失を低減するものである。
【0010】
なお、補助電源24は、軽負荷時においても、スイッチング素子5のオン期間に、スナバーコンデンサ11に直流電源3にほぼ等しい電圧を充電するために設けられるものであり、余剰となった電力は、インダクタ23およびダイオード12,25を介して直流電源3に回生される。
【0011】
このようにスナバー回路21は、スイッチング素子5のオン期間にトランス4に蓄積されていた励磁エネルギによって、前記スイッチング素子5のオフ時に発生するサージエネルギをスナバーコンデンサ11で吸収し、スイッチング素子5の零電圧スイッチングのために用いている。
【0012】
このように構成されるスナバー回路21では、上述のように、スイッチング素子5を零電圧スイッチングさせて、スイッチングによる損失を低減させることができるけれども、スイッチング素子5のオフ時に発生するトランス4の漏洩インダクタンスとスナバーコンデンサ11との共振振動によるノイズレベルを低くするためには、スナバーコンデンサ11の容量を大きくする必要が生じる。
【0013】
また、スナバー回路21内に大きな無効電流が流れ、前記零電圧スイッチングによる損失の低減分よりも大きな損失を招くことになるという問題がある。すなわち、スイッチング電源装置22が重負荷で動作している場合には、スイッチング素子5のオフ後のリセット電流が大きいので、スナバーコンデンサ11が直流電源3の電圧値以上に充電され、この過充電分に相当するエネルギが次回のスイッチング素子5のオン時に直流電源3に回生されるけれども、その回生は、まずスナバーコンデンサ11とチョークコイル23との共振によって、スナバーコンデンサ11のエネルギがチョークコイル23に移り、このチョークコイル23からダイオード12,25および補助電源24を介して直流電源3に供給されることで実現されるので、ダイオード12,25のオン抵抗による損失、補助電源24の内部抵抗による損失およびチョークコイル23のヒステリシス損の増加によって、大きな損失が発生するという問題がある。
【0014】
また、スイッチング電源装置22が軽負荷で動作している場合には、スイッチング素子5のオフ後のリセット電流が小さいので、スナバーコンデンサ11が直流電源3の電圧値以下にしか充電されず、前述のように補助電源24から不足分を充電することになり、該補助電源24内の内部抵抗によって損失が発生するという問題がある。
【0015】
一方、この図6のスイッチング電源装置22は、フォワード方式のスイッチング電源装置であり、主電源投入時等、直流電源3の電源電圧のトランス4の巻数比倍の2次側誘起電圧と、平滑コンデンサ7の充電電圧との間の差が大きいと、スイッチング素子5のオン時に大きな突入電流が流れ、素子の破損を招いてしまうので、図6で示すように、フライホイールダイオード26とチョークコイル27とが設けられている。
【0016】
そこで、上述のような構成をフライバック方式のスイッチング電源装置に用いると、図7で示すようになる。このスイッチング電源装置22aでは、スナバー回路21aは、前述の補助電源24として、トランス4の第2の2次巻線から成るスナバー巻線4cを用いている。
【0017】
このスナバー回路21aでも、前記スナバー回路21と同様に、スイッチング素子5のオフ時に発生するトランス4の漏洩インダクタンスとスナバーコンデンサ11との共振振動によるノイズレベルを低くするためには、スナバーコンデンサ11の容量を大きくする必要が生じる。さらに、スイッチング素子5がオフすると、スナバーコンデンサ11の充電極性が反転して、該スナバーコンデンサ11とダイオード12と1次巻線4aとの閉回路内を大きな無効電流が流れ、またスイッチング素子5がオンすると、スナバーコンデンサ11の充電極性が反転して、該スナバーコンデンサ11とスイッチング素子5とダイオード25と2次巻線4cとインダクタ23との閉回路内を大きな無効電流が流れ、これらによる損失が発生するという問題がある。
【0018】
このため、これらの問題を解決するために、さらに他の従来技術として、フォワード方式のスイッチング電源装置として特開昭61−157264号公報が、フライバック方式のスイッチング電源装置として特開平7−264851号公報が提案されている。図8は、その特開平7−264851号によるスナバー回路31を備えるスイッチング電源装置32の電気回路図である。この図8において、図5の構成に対応する部分には、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0019】
注目すべきは、このスナバー回路31は、ダイオード41とスナバーコンデンサ42とから成り、1次巻線4aと並列に、かつ直流電源3側にダイオード41が、スイッチング素子5側にスナバーコンデンサ42が接続される直列回路と、スイッチング素子5のオン時に、前記スナバーコンデンサ42とスイッチング素子5と閉回路を形成するトランス34のスナバー巻線34cとダイオード43とを備えて構成されていることである。
【0020】
ダイオード41は、該ダイオード41とスナバーコンデンサ42と1次巻線4aとによって形成される閉回路内を、矢符i1で示す方向に電流ループを形成するように、スナバーコンデンサ42側がアノードとされ、直流電源3側がカソードとされる。また、ダイオード43は、前記閉回路内を矢符i2で示す方向に電流ループを形成するように、スナバーコンデンサ42側がカソードとされ、スイッチング素子5側がアノードとされる。このダイオード43とスナバー巻線34cとは、相互に入換えられてもよい。
【0021】
このように構成することによって、スイッチング素子5のターンオフ時のサージエネルギを、不要な電流振動を生じることなく、コンデンサ42に確実に吸収するとともに、その吸収したエネルギをスナバー巻線34cによってトランス34の励磁エネルギに変換し、結果として2次側へ回生するので、スイッチングノイズを低減しつつ、電力変換効率の向上を図ることができる。
【0022】
また、スイッチング素子5のオン時に1次巻線4aの漏洩インダクタンスに蓄積されていた励磁エネルギが、スイッチング素子5のオフ時に、2次巻線4bから1次巻線4aに誘起されるフライバック電圧に加算されてスナバーコンデンサ42に流入し、トランス34の励磁エネルギとして再利用され、無効電流が少ない回生スナバー回路が実現されている。
【0023】
ここで、一般に、回生スナバー回路は、回路内を流れる循環電流の電流値を少なくする程、また回路内の各素子の抵抗成分(ダイオードの順方向電位降下による損失、主スイッチング素子の導通抵抗、巻線および各素子を結ぶ配線の抵抗等)を少なくする程、回路内の電力損失が少なくなる。
【0024】
そこで、本件発明者は、特開2000−92834号公報で示すように、前記図8のスナバー回路31に、前記循環電流を最小にするために、構成素子の定数を最適化する手法を提案した。これによって、前記スナバーコンデンサ42は、内部電源として機能するスナバー巻線34cの誘起電圧によって、ほぼ一定電圧に維持されており、スイッチングによるサージ分だけ、すなわち2次側への回生電流分だけ充放電を行うことになり、該スナバーコンデンサ42の充電極性が反転するようなことはなく、また無効電流が発生するようなこともなく、該充放電に伴う損失を最小限とするより完成度の高い回生スナバー回路が提案されている。
【0025】
【特許文献1】
特開平8−182316号公報
【0026】
【特許文献2】
特開昭61−157264号公報
【0027】
【特許文献3】
特開平7−264851号公報
【0028】
【特許文献4】
特開2000−92834号公報
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本件発明者のさらなる検討によって、部品点数を削減し、前記電力損失も一層低減できる構成が開発された。
【0030】
本発明の目的は、部品点数を削減し、かつ電力損失を低減することができるスナバー回路およびそれを搭載するスイッチング電源装置を提供することである。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明のスナバー回路は、スナバーコンデンサおよびダイオードから成り、トランスの1次巻線と並列に、かつスイッチング素子側がスナバーコンデンサとなるように接続される直列回路と、前記スイッチング素子のオン時に、前記スナバーコンデンサおよび該スイッチング素子と閉回路を形成し、前記1次巻線と略同一の巻き数に設定されるスナバー巻線とを含むことを特徴とする。
【0032】
上記の構成によれば、本発明に係るスナバー回路は、先ず、スナバーコンデンサと、ダイオードと、スナバー巻線とを含む少ない部品で構成される。そして、スイッチングサージを吸収するためのスナバーコンデンサとダイオードとは、1次巻線の巻き始め端子、すなわち平滑コンデンサなどの電源の正極端子側にダイオードのカソードが接続され、巻き終わり端子、すなわちスイッチング素子の一端側にスナバーコンデンサの一端が接続され、該スナバーコンデンサの他端と前記ダイオードのアノードとが接続されることで、スイッチング素子のオフ時に発生したスイッチングサージは、上記閉回路内を流れ、スナバーコンデンサに吸収される。
【0033】
一方、スナバー巻線は、前記スイッチング素子のオン時に、前記スナバーコンデンサおよび該スイッチング素子と閉回路を形成するように設けられる。すなわち、巻き始め端子が前記電源の負極端子およびスイッチング素子の他端に接続され、巻き終わり端子が前記スナバーコンデンサの他端とダイオードのアノードとの接続点に接続される。以上の点が、前記特開2000−92834号と同様である。
【0034】
注目すべきは、本発明では、前記特開2000−92834号においてスナバー巻線と直列に設けられているダイオードが設けられていないことで、代わりに、このスナバー巻線の巻き数が、1次巻線の巻き数と略同一に設定されていることである。すなわち、前記特開2000−92834号では、前記直列のダイオードは、スイッチング素子のオンタイミングの初期に導通し、前回のオフタイミングでスナバーコンデンサに蓄積された漏洩インダクタンス分のエネルギを、スナバーコンデンサと、スイッチング素子と、スナバー巻線と、該直列のダイオードとによって形成される閉回路内を流してトランスの励磁エネルギに変換し、結果としてスナバー巻線から2次側へ出力させている。
【0035】
これに対して、本発明では、スナバー巻線の巻き数が1次巻線の巻き数と略同一に設定されていることから、スイッチング素子のオン時に、これらスナバー巻線および1次巻線には略同一の電圧が誘起される。そして、前記スナバーコンデンサは、電源の電圧をVDCとするとき、前記スイッチングサージおよび漏洩インダクタンス分のエネルギによって、VDC+αに上昇するけれども、電源電圧VDCとの差α分が、スナバーコンデンサ→1次巻線→電源→スナバー巻線→スナバーコンデンサの経路で流れ、電源に回生される。
【0036】
したがって、前記特開2000−92834号と同様に、スナバーコンデンサの充放電電流およびダイオードを流れる電流を前記差のα分、すなわち、スイッチングサージおよび漏洩インダクタンスに蓄積された励磁エネルギ相当分のみに抑制することができるので、スナバー回路内部の抵抗成分等による損失を少なくすることができる。そして、前記特開2000−92834号よりもダイオードを1つ削減しているので、部品点数を削減し、コストを低減することができるとともに、該ダイオードによる抵抗成分が無くなることで、損失を一層削減することができる。
【0037】
また、本発明のスナバー回路は、スイッチング素子のオフ時に1次巻線に誘起される電圧EFaを、電源電圧VDCを超えない範囲内で該電源電圧VDCに近付けるように、2次側出力電圧Voに対応して、トランスの1次巻線および2次巻線の巻き数比を設定することを特徴とする。
【0038】
上記の構成によれば、スイッチング素子のオフ時に1次巻線に誘起される電圧EFaは、2次側出力電圧をVo、1次巻線の巻き数をNa、2次巻線の巻き数をNbとするとき、Vo×(Na/Nb)で表されるので、前記電圧EFaが電源電圧VDCを超えない範囲内で該電源電圧VDCに近付けることで、該1次巻線の漏洩インダクタンスの励磁エネルギが消滅する時間以後において、ダイオードの両端間に寄生する容量と、1次巻線およびスナバー巻線に存在する漏洩インダクタンスとの間で発生する細かなリンギング振動の振幅を縮小し、不要輻射(ノイズ)を低減することができる。
【0039】
さらにまた、本発明のスイッチング電源装置は、前記のスナバー回路を搭載することを特徴とする。
【0040】
上記の構成によれば、循環電流を最小限にすることができるとともに、部品点数の少ないスイッチング電源装置を実現することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、図1および図2に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0042】
図1は、本発明の実施の一形態のスナバー回路51を備えるスイッチング電源装置52の電気回路図である。このスイッチング電源装置52は、直流電源53の両端子間にトランス54の1次巻線54aとスイッチング素子55との直列回路が接続され、スイッチング素子55のオン期間に前記1次巻線54aに蓄積された励磁エネルギを、オフ期間に2次巻線54bからダイオード56を介して取出し、平滑コンデンサ57で平滑化して、出力端子58,59間に所定の2次側電圧Voとして出力するようにしたフライバック方式のスイッチング電源装置である。
【0043】
前記直流電源53は、商用交流を整流して得られた電流を平滑化する平滑コンデンサや、バッテリなどで実現され、この図1の例では、平滑コンデンサで示している。また、スイッチング素子55は、たとえばバイポーラトランジスタや電界効果型トランジスタなどで実現され、この図1の例では、電界効果型トランジスタで示している。前記スイッチング素子55のゲートには、制御回路60から、出力電圧Voが低くなる程、オン期間が長くなる制御信号が与えられており、これによって負荷変動に拘らず、前記出力電圧Voが所定値に安定化されている。
【0044】
スナバー回路51は、ダイオード61と、スナバーコンデンサ62と、前記トランス54のスナバー巻線54cとを備えて構成されている。前記ダイオード61のカソードは、1次巻線54aの巻き始め端子、すなわち直流電源53の正極端子側に接続され、前記1次巻線54aの巻き終わり端子、すなわちスイッチング素子55の一端側にはスナバーコンデンサ62の一端が接続され、該スナバーコンデンサ62の他端と前記ダイオード61のアノードとが接続される。こうして、スイッチング素子55のオフ時に発生したスイッチングサージは、上記閉回路内を流れ、スナバーコンデンサ62に吸収される。
【0045】
一方、スナバー巻線54cは、前記スイッチング素子55のオン時に、前記スナバーコンデンサ62および該スイッチング素子55と閉回路を形成するように設けられる。すなわち、巻き始め端子が前記直流電源53の負極端子およびスイッチング素子55の他端に接続され、巻き終わり端子が前記スナバーコンデンサ62の他端とダイオード61のアノードとの接続点に接続される。以上の点が、前記特開2000−92834号と同様である。
【0046】
注目すべきは、本発明では、前記特開2000−92834号においてスナバー巻線54cと直列に設けられているダイオードが設けられていないことで、代わりに、このスナバー巻線54cの巻き数Ncが、1次巻線54aの巻き数Naと略同一に設定されていることである。すなわち、前記特開2000−92834号では、前記直列のダイオードは、スイッチング素子55のオンタイミングの初期に導通し、前回のオフタイミングでスナバーコンデンサ62に蓄積された漏洩インダクタンス分のエネルギを、スナバーコンデンサ62と、スイッチング素子55と、スナバー巻線54cと、該直列のダイオードとによって形成される閉回路内を流してトランス54の励磁エネルギに変換し、結果としてスナバー巻線54cから2次側へ出力させている。
【0047】
これに対して、本発明では、スナバー巻線54cの巻き数Ncが1次巻線54aの巻き数Naと略同一に設定されていることから、スイッチング素子55のオン時に、これらスナバー巻線54cおよび1次巻線54aには略同一の電圧EFc,EFaが誘起される。そして、前記スナバーコンデンサ62は、電源電圧をVDCとするとき、前記スイッチングサージおよび漏洩インダクタンス分のエネルギによって、VDC+αに上昇するけれども、電源電圧VDCとの差α分が、スナバーコンデンサ62→1次巻線54a→直流電源53→スナバー巻線54c→スナバーコンデンサ62の経路で流れ、電源に回生される。以上の点を、図2を用いて、詳細に説明する。
【0048】
図2は、上述のように構成されるスイッチング電源装置52の動作を説明するための電流経路図である。図2は、図1の回路図から所要の動作説明に要する以外の回路部分を削除して記載したもので、1次巻線54aに直列に該1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaを、スナバー巻線54cに直列に該スナバー巻線54cの漏洩インダクタンスLLcを追加して記載している。
【0049】
スイッチング素子55がオンしている間、図2(a)に矢印線にて示すとおり、電流I1が、直流電源53の正極端子→1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaおよび該1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)→スイッチング素子55→直流電源53の負極端子に至る経路を流れ、漏洩インダクタンスLLaおよび1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)に励磁エネルギを蓄積する。
【0050】
この間、1次巻線54aに、該1次巻線54aの左隣に矢印にて示すとおり、巻き始め端子を正とし、電圧値が直流電源53の電圧値VDCと同一値とする逆起電圧が発生し、スナバー巻線54cの巻き数Ncが前述のとおり該1次巻線54aの巻き数Naと同一であることから、スナバー巻線54cの左隣に矢印にて示すとおり、巻き始め端子を正とし、電圧値が直流電源53の電圧値VDCと同一値とする誘起電圧が発生する。これによって、スナバーコンデンサ62は、スイッチング素子55に接続されている前記一端側を正とし、電圧値VDCに充電されている。また、この間、スナバー巻線54cに流れる電流は、概略、零であり、該スナバー巻線54cの漏洩インダクタンスLLcに蓄積される励磁エネルギも、概略、零である。
【0051】
次に、スイッチング素子55がオフすると、前述のとおり1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)に蓄積されていた励磁エネルギによって、図2に図示しない2次巻線54bの巻き終わり端子→ダイオード56→平滑コンデンサ57→2次巻線54bの巻き始め端子に至る経路をフライバック電流が流れ、該スイッチング電源装置52の出力電圧Voを生成する。
【0052】
また、前述のとおり、スイッチング素子55のオン期間中に1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaに蓄積されていた励磁エネルギによって、電流I1が、図2(b)に図示するとおり、直流電源53の正極端子→1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaおよび該1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)→スナバーコンデンサ62→スナバー巻線54cの漏洩インダクタンスLLcおよび該スナバー巻線54c(完全密結合インダクタンス)→直流電源53の負極端子に至る経路を流れる。
【0053】
ここで、前述のとおり、スイッチング素子55のオン期間において、スナバー巻線54cの漏洩インダクタンスLLcの電流が概略零であったことから、スイッチング素子55がオフすると、該漏洩インダクタンスLLcが前記電流I1の急激な増加を抑制するので、1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaに蓄積されていた励磁エネルギの一部は、該1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaおよび1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)→スナバーコンデンサ62→ダイオード61→前記漏洩インダクタンスLLaおよび1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)に戻る経路で、電流I4を流す。
【0054】
前記スナバーコンデンサ62は、これらの電流I1,I4によって充電され、該スナバーコンデンサ62の充電電圧は、VDC+αのレベルに上昇するが、該スナバーコンデンサ62に充分大きな容量値のものを設定することによって、このα分が無視できるレベルに抑制され、スイッチング素子55に印加される電圧は、概略2×VDC以上の電圧に上昇しないよう抑制されることになる。
【0055】
以上の動作によって、1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaの励磁エネルギがスナバーコンデンサ62に吸収され、該励磁エネルギが消滅すると、図2(c)に示すとおり、トランス54の1次巻線54aおよびスナバー巻線54cに、各々各巻線の左隣に表示した矢印にて示す極性方向の誘起電圧EFa,EFcが誘起される。
【0056】
EFa=Vo×(Na/Nb) …(1)
EFc=Vo×(Nc/Nb) …(2)
但し、前述のように、Voは本スイッチング電源装置52の出力電圧を、Naはトランス54の1次巻線54aの巻き数を、Nbはトランス54の2次巻線54bの巻き数を、Ncはトランス54のスナバー巻線54cの巻き数を示す。
【0057】
したがって、前述のようにトランス54の1次巻線54aの巻き数Naとスナバー巻線54cの巻き数Ncとを同一にしておくことで、EFa=EFcとなり、前記1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaの励磁エネルギが消滅する時間において、スナバーコンデンサ62の充電電荷は、前述のαV分、電流I5にて表示する経路、すなわち該スナバーコンデンサ62→1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)および漏洩インダクタンスLLa→直流電源53→スナバー巻線54c(完全密結合インダクタンス)および漏洩インダクタンスLLc→スナバーコンデンサ62に戻る経路を通して放電し、該スナバーコンデンサ62の充電電圧は図2(c)に示すとおりVDCとなる。
【0058】
また、この電流I5の流れによって、図2(b)の動作期間においてスナバーコンデンサ62に充電されたエネルギを、直流電源53への充電エネルギに回生し、本スイッチング電源装置52の電力変換効率を向上することができる。これに対して、スナバー巻線54cと1次巻線54aとの巻き数Nc,Naが大きく異なると、相互の誘起電圧EFc,EFaが相異するので、スナバーコンデンサ62に余分な充放電電流が流れることになり、回路内に損失が発生する。
【0059】
こうして、前記特開2000−92834号と同様に、スナバーコンデンサ62の充放電電流およびダイオード61を流れる電流を前記差のα分、すなわち、スイッチングサージおよび漏洩インダクタンスLLaに蓄積された励磁エネルギ相当分のみに抑制することができるので、スナバー回路51内部の抵抗成分等による損失を少なくすることができる。そして、前記特開2000−92834号よりもダイオードを1つ削減しているので、部品点数を削減し、コストを低減することができるとともに、該ダイオードによる抵抗成分が無くなることで、損失を一層削減することができ、また前記ダイオードから発生するリカバリーノイズが発生することもない。
【0060】
なお、前記の図2(b)で示す動作期間において、スイッチング素子55に印加される電圧は、VDC+EFaとなり、トランス54の1次巻線54aと2次巻線54bとの巻き数比Na:Nbを、EFa<VDCの関係が成立するように設定することによって、この期間においても、該スイッチング素子55の印加電圧を2×VDC以下に管理することができる。また、フライバック電流が消滅し、2次巻線54bのフライバック電流が零になる以後の状態においても、1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)とスナバー巻線54c(完全密結合インダクタンス)とに誘起される電圧EFa,EFcは同一値となって相互に打消し合うので、スナバーコンデンサ62の充電電圧値は、前述のようにVDCで一定となり、変化しない。
【0061】
したがって、スイッチング素子55に、たとえばFETを採用した場合、FETは、一般的に高耐圧の品種を選択するに従い、オン抵抗が高くなる傾向があり、前記スナバー回路51を採用することによって、低耐圧の品種の選択が可能となり、これによってもまた、電力損失の低減が可能になる。
【0062】
さらにまた、前記式1から、前記電圧EFaを、電源電圧VDCを超えない範囲内で該電源電圧VDCに近付けるように、2次側出力電圧Voに対応して、トランス54の1次巻線54aおよび2次巻線54bの巻き数比Na:Nbを設定しておくことで(所望とする出力電圧Voは、前記巻き数比Na:Nbのみによって決定されず、デューティ等によっても変化する)、該1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaの励磁エネルギが消滅する時間以後において、ダイオード61の両端間に寄生する容量と、1次巻線54aおよびスナバー巻線54cに存在する漏洩インダクタンスLLa,LLcとの間で発生する細かなリンギング振動の振幅を縮小し、不要輻射(ノイズ)を低減することができる。
【0063】
また、図8で示す前記特開平7−264851号によるスナバー回路31では、ダイオード43がオン状態からオフ状態に遷移するときに、該ダイオード43によるリカバーノイズが発生するけれども、本発明によれば、このノイズ発生素子を除去しているので、この弊害も解消することができる。
【0064】
本発明の実施の他の形態について、図3および図4に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0065】
図3は、本発明の実施の他の形態のスイッチング電源装置72の電気回路図である。このスイッチング電源装置72は、フォワード方式のスイッチング電源装置であり、前述のスナバー回路51は同様で、またスナバー巻線54cと1次巻線54aとの巻き数Nc,Naが同一であるけれども、動作が異なるので、以下に詳述する。この図3の構成において、図1の構成に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0066】
上述のようにフォワード方式であるため、トランス74は、2次巻線74bの巻き方向が、前記スイッチング電源装置52のトランス54の2次巻線54bの巻き方向に対して、逆方向に変更されている。また、2次側回路では、前記ダイオード56と平滑コンデンサ57との間にはフライホイルチョークコイル77が設けられ、2次巻線74bの巻き終わり端子から前記フライホイルチョークコイル77の間には、この方向が順方向となるように、フライホイルダイオード76が設けられている。
【0067】
したがって、スイッチング素子55のオン期間において、トランス74の2次巻線74bに誘起する電圧によって、該2次巻線74b→ダイオード56→フライホイルチョークコイル77→平滑コンデンサ57→2次巻線74bの順に電流が流れ、前記スイッチング素子55のオフ期間には、前記フライホイルダイオード76によって、前記フライホイルチョークコイル77→平滑コンデンサ57→該フライホイルダイオード76→フライホイルチョークコイル77の順に電流が流れることで、2次側出力電圧Voが生成される。
【0068】
図4は、前述の図2と同様に、上述のように構成されるスイッチング電源装置72の動作を説明するための電流経路図である。図4(a)に示すスイッチング素子55がオンしている間は、前記図2(a)と同様に、矢印線にて示すとおり、電流I1が、直流電源53の正極端子→1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaおよび該1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)→スイッチング素子55→直流電源53の負極端子に至る経路を流れ、漏洩インダクタンスLLaおよび1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)に励磁エネルギを蓄積する。
【0069】
同時に、トランス74の図4に図示しない2次巻線74bに誘起電圧が発生し、上述のように、該2次巻線74b→ダイオード56→フライホイルチョークコイル77→平滑コンデンサ57→2次巻線74bの経路を電流が流れ、2次側出力電圧Voが生成される。
【0070】
この間、1次巻線54aに、該1次巻線54aの左隣に矢印にて示すとおり、巻き始め端子を正とし、電圧値が直流電源53の電圧値VDCと同一値とする誘起電圧が発生し、スナバー巻線54cの巻き数Ncが前述のとおり該1次巻線54aの巻き数Naと同一であることから、スナバー巻線54cの左隣に矢印にて示すとおり、巻き始め端子を正とし、電圧値が直流電源53の電圧値VDCと同一値とする誘起電圧が発生する。これによって、スナバーコンデンサ62は、スイッチング素子55に接続されている前記一端側を正とし、電圧値VDCに充電されている。また、この間、スナバー巻線54cに流れる電流は、概略、零であり、該スナバー巻線54cの漏洩インダクタンスLLcに蓄積される励磁エネルギも、概略、零である。
【0071】
次に、スイッチング素子55がオフすると、図4(b)に図示するとおり、トランス74に蓄積されていた励磁エネルギによって、スナバー巻線54cの漏洩インダクタンスLLcおよび該スナバー巻線54c(完全密結合インダクタンス)→ダイオード61→直流電源53→該スナバー巻線54cの漏洩インダクタンスLLcおよび該スナバー巻線54c(完全密結合インダクタンス)→の経路で、リセット電流Irが流れ、トランス74に蓄積された励磁エネルギを、直流電源53に回生する。
【0072】
ここで、前述のとおり、スイッチング素子55のオン期間において、スナバー巻線54cの漏洩インダクタンスLLcの電流が概略零であったことから、スイッチング素子55がオフすると、該漏洩インダクタンスLLcが前記リセット電流Irの急激な増加を抑制するので、前記トランス74に蓄積されていた励磁エネルギの一部は、前記漏洩インダクタンスLLaに蓄積されていた励磁エネルギも含めて、該1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaおよび1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)→スナバーコンデンサ62→ダイオード61→前記漏洩インダクタンスLLaおよび1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)に戻る経路で、電流I4を流す。
【0073】
前記スナバーコンデンサ62は、この電流I4によって充電され、該スナバーコンデンサ62の充電電圧は、VDC+αのレベルに上昇するが、該スナバーコンデンサ62に充分大きな容量値のものを設定することによって、この電圧上昇α分が無視できるレベルに抑制され、スイッチング素子55に印加される電圧は、概略2×VDC以上の電圧に上昇しないよう抑制されることになる。
【0074】
以上の動作によって、1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaの励磁エネルギがスナバーコンデンサ62に吸収され、該励磁エネルギが消滅すると、前述の通り、トランス74の1次巻線54aの巻き数Naとスナバー巻線54cの巻き数Ncとが同一のため、誘起電圧EFa=EFcとなり、図4(c)に示すとおり、スナバーコンデンサ62の充電電荷は前述のαV分、該スナバーコンデンサ62→1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaおよび該1次巻線54a(完全密結合インダクタンス)→直流電源53→スナバー巻線54cの漏洩インダクタンスLLcおよび該スナバー巻線54c(完全密結合インダクタンス)→スナバーコンデンサ62の経路で、電流I5を流して放電し、該スナバーコンデンサ62の充電電圧は、図4(c)に示すとおりVDCとなる。
【0075】
また、この電流I5の流れによって、図4(b)で示す動作期間においてスナバーコンデンサ62に充電されたエネルギを、直流電源53の充電エネルギに回生し、本スイッチング電源装置72の電力変換効率を向上することができる。すなわち、結果的に、スイッチング素子55のオン期間中に1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaに蓄積されていた励磁エネルギを、直流電源53の充電エネルギに回生していることになる。
【0076】
この後時間が経過し、前記スイッチング素子55のオン期間中にトランス74に蓄積された励磁エネルギがリセット電流Irによって総て直流電源53に回生されると、該リセット電流Irが停止し、次にスイッチング素子55がオンするまでの期間において、1次巻線54a、ダイオード61、スナバーコンデンサ62およびスナバー巻線54cに電流が流れないことになる。また、この期間におけるスナバーコンデンサ62の充電電圧は、VDCの状態で維持される。
【0077】
このように構成することで、フライバック方式のスイッチング電源装置52に限らず、フォワード方式のスイッチング電源装置72にも、本発明を適用することができる。たとえば、大容量の電源装置などで、励磁エネルギの蓄積のためのインダクタンスを、トランスとチョークコイルとに分散できる等のフォワード方式の利点が重視される場合には、このフォワード方式が好適である。
【0078】
なお、前記リセット電流Irを流すことで、トランス74の励磁エネルギを直流電源53に回生する技術は公知であるが、そのような従来技術では、前記スナバーコンデンサ62に相当するようなコンデンサが備えられていないので、1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaに蓄積された励磁エネルギを回生できず、スイッチング素子55のオフ時において、該励磁エネルギによってスイッチング素子55の両端間に振動電圧を発生させ、ノイズ発生の要因となるのみならず、電力変換の低下をきたしている。
【0079】
これに対して、本発明のスイッチング電源装置72は、前記公知の技術にスナバーコンデンサ62およびダイオード61を追加し、1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaに蓄積された励磁エネルギを、直流電源53に漏れなく回生することによって、電力変換効率を向上することができる。
また、前記スイッチング電源装置52と同様に、スナバーコンデンサ62の容量値を、1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaに蓄積された励磁エネルギに対して充分大きくすることによって、スイッチング素子55のオフ時において、該スイッチング素子55に印加される電圧が概略2×VDCに抑制され、尚且つ振動が発生しないので、ノイズを低減でき、スイッチング素子55にFETを採用した場合において、低耐圧の品種を選択することができ、これによってもまた、電力変換効率を向上することができる。
【0080】
さらにまた、前記1次巻線54aとスナバー巻線54cとの巻き数Na,Ncを概略同一にすることによって、スナバーコンデンサ62の充放電電流およびダイオード61を流れる電流を、1次巻線54aの漏洩インダクタンスLLaに蓄積された励磁エネルギ相当分のみに抑制することができるので、ダイオード61の順方向電位降下およびスナバー回路51内部の抵抗成分等による損失を少なくすることができる。
【0081】
【発明の効果】
本発明のスナバー回路は、以上のように、スナバーコンデンサおよびダイオードから成る直列回路をトランスの1次巻線と並列に接続して前記スナバーコンデンサによってスイッチングサージを吸収し、さらに前記直列回路においてスイッチング素子側をスナバーコンデンサとし、そのスナバーコンデンサとスイッチング素子とスナバー巻線とによって閉回路を形成し、それらの1次巻線およびスナバー巻線を略同一の巻き数に設定することで、スイッチング素子のオン時に、これらスナバー巻線および1次巻線には略同一の電圧が誘起され、前記スナバーコンデンサは、電源の電圧をVDCとするとき、前記スイッチングサージおよび漏洩インダクタンス分のエネルギによって、VDC+αに上昇するけれども、電源電圧VDCとの差α分が、スナバーコンデンサ→1次巻線→電源→スナバー巻線→スナバーコンデンサの経路で流れ、電源に回生される。
【0082】
それゆえ、特開2000−92834号と同様に、スナバーコンデンサの充放電電流およびダイオードを流れる電流を前記差のα分、すなわち、スイッチングサージおよび漏洩インダクタンスに蓄積された励磁エネルギ相当分のみに抑制することができるので、スナバ回路内部の抵抗成分等による損失を少なくすることができる。そして、前記特開2000−92834号よりもダイオードを1つ削減しているので、部品点数を削減し、コストを低減することができるとともに、該ダイオードによる抵抗成分が無くなることで、損失を一層削減することができる。
【0083】
また、本発明のスナバー回路は、以上のように、スイッチング素子のオフ時に1次巻線に誘起される電圧EFaが、2次側出力電圧をVo、1次巻線の巻き数をNa、2次巻線の巻き数をNbとするとき、Vo×(Na/Nb)で表されるので、前記電圧EFaを電源電圧VDCを超えない範囲内で該電源電圧VDCに近付けるように、2次側出力電圧Voに対応して、トランスの1次巻線および2次巻線の巻き数比を設定する。
【0084】
それゆえ、1次巻線の漏洩インダクタンスの励磁エネルギが消滅する時間以後において、ダイオードの両端間に寄生する容量と、1次巻線およびスナバー巻線に存在する漏洩インダクタンスとの間で発生する細かなリンギング振動の振幅を縮小し、不要輻射(ノイズ)を低減することができる。
【0085】
また、図8で示す前記特開平7−264851号によるスナバー回路31では、ダイオード43がオン状態からオフ状態に遷移するときに、該ダイオード43によるリカバーノイズが発生するけれども、本発明によれば、このノイズ発生素子を除去しているので、この弊害も解消することができる。
【0086】
さらにまた、本発明のスイッチング電源装置は、以上のように、前記のスナバー回路を搭載する。
【0087】
それゆえ、循環電流を最小限にすることができるとともに、部品点数の少ないスイッチング電源装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のスナバー回路を備えるスイッチング電源装置の電気回路図である。
【図2】図1で示すスイッチング電源装置の動作を説明するための電流経路図である。
【図3】本発明の実施の他の形態のスイッチング電源装置の電気回路図である。
【図4】図3で示すスイッチング電源装置の動作を説明するための電流経路図である。
【図5】典型的な従来技術のスナバー回路を備えるスイッチング電源装置の電気回路図である。
【図6】他の従来技術のスナバー回路を備えるフォワード方式のスイッチング電源装置の電気回路図である。
【図7】図6で示すスナバー回路をフライバック方式のスイッチング電源装置に適用した例を示す電気回路図である。
【図8】さらに他の従来技術のスナバー回路を備えるスイッチング電源装置の電気回路図である。
【符号の説明】
51 スナバー回路
52,72 スイッチング電源装置
53 直流電源
54,74 トランス
54a 1次巻線
54b,74b 2次巻線
54c スナバー巻線
55 スイッチング素子
56 ダイオード
57 平滑コンデンサ
60 制御回路
61 ダイオード
62 スナバーコンデンサ
77 フライホイルチョークコイル
76 フライホイルダイオード

Claims (3)

  1. スナバーコンデンサおよびダイオードから成り、トランスの1次巻線と並列に、かつスイッチング素子側がスナバーコンデンサとなるように接続される直列回路と、
    前記スイッチング素子のオン時に、前記スナバーコンデンサおよび該スイッチング素子と閉回路を形成し、前記1次巻線と略同一の巻き数に設定されるスナバー巻線とを含むことを特徴とするスナバー回路。
  2. スイッチング素子のオフ時に1次巻線に誘起される電圧EFaを、電源電圧VDCを超えない範囲内で該電源電圧VDCに近付けるように、2次側出力電圧Voに対応して、トランスの1次巻線および2次巻線の巻き数比を設定することを特徴とする請求項1記載のスナバー回路。
  3. 前記請求項1または2記載のスナバー回路を搭載することを特徴とするスイッチング電源装置。
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