JP2004304296A - ヘッドマウントディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な機構で頭部と画像出力部との相対的な位置関係の変化を検出し、その相対的な位置変化を相殺するように画像を変位できるヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】ユーザの頭部に装着されて画像表示を行うヘッドマウントディスプレイにおいて、画像を表示する画像出力部と、前記画像出力部を前記ユーザの眼前の位置に支持する支持部と、前記ユーザの頭部の存在が想定される空間に検出域を有するセンサと、前記センサからの信号を処理する信号処理部と、前記信号処理部からの出力に応じて前記画像の位置を変位させる変位手段とを備える。
前記信号処理部は、前記ユーザと前記画像出力部との相対的な位置関係の変化量を検出し、前記画像の位置を変位させて前記変化量を相殺する相殺量を算出する。前記変位手段は、前記画像の位置を前記相殺量だけ変位させる。
【選択図】図1
【解決手段】ユーザの頭部に装着されて画像表示を行うヘッドマウントディスプレイにおいて、画像を表示する画像出力部と、前記画像出力部を前記ユーザの眼前の位置に支持する支持部と、前記ユーザの頭部の存在が想定される空間に検出域を有するセンサと、前記センサからの信号を処理する信号処理部と、前記信号処理部からの出力に応じて前記画像の位置を変位させる変位手段とを備える。
前記信号処理部は、前記ユーザと前記画像出力部との相対的な位置関係の変化量を検出し、前記画像の位置を変位させて前記変化量を相殺する相殺量を算出する。前記変位手段は、前記画像の位置を前記相殺量だけ変位させる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ユーザの頭部に装着された状態で、ユーザが画像を見ることができるように画像出力を行うヘッドマウントディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと略称する)は、ユーザの頭部に装着された状態で、ユーザが画像を見ることができるように画像出力を行う。この種のHMDには2種類あり、ゴーグル型と称される、両眼を完全に覆って、ユーザの視野には、HMDの表示のみが見えるようにしたものと、片眼の眼前に画像出力部が配置される片眼タイプのものとがある。
【0003】
片眼タイプのHMDにおいては、画像出力部からの画像と、外部の景色とが同時に視野に入る。したがって、片眼タイプのHMDは、画像から特定の情報を得つつ、外部の景色を見ながら作業ができるなどの利点がある。
【0004】
しかし、この種の片眼タイプのHMDにおいては、本体(固定部)を頭部に固定し、アームに保持された画像出力部を眼前に固定することになる。ユーザの動作等により本体あるいは画像出力部が、画像を観察するのに適した位置からずれた場合、ユーザの意図しない動き(例えば映像のブレ)をする映像が提示され、目の疲れや気分の悪さとなってその影響が現れる可能性がある。
【0005】
映像のブレなどの振動による影響を避けるために、例えば、特許文献1では、ユーザと情報表示装置との双方に振動センサを取り付け、双方の相対位置変化から表示画像のブレを検出し、表示のブレを打ち消すように表示をずらすことが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−261727号公報「情報表示装置」
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】
しかし、特許文献1では、ユーザと情報表示装置との2つの独立した系の相対位置変位による画像表示の問題に対して、解決策を示したに過ぎない。この解決策は、画像表示部とユーザとが連結された1つの系であるヘッドマウントディスプレイに対して、有効なものとはいえない。また、特許文献1の手段は、振動センサを用いているため、ユーザと情報表示装置とのずれの絶対量を得ることが難しい。ヘッドマウントディスプレイの場合は、振動そのものよりも、表示位置が映像をはっきり見える位置からずれることにより映像が正しく見られないことが問題となる。従って、ユーザと情報表示装置とのずれの絶対量を得ることが難しい特許文献1の方法の適用は難しい。したがって、ヘッドマウントディスプレイにおける画像表示部とユーザとの相対位置変位による画像表示の問題は、固有の解決策が求められている。
【0008】
本発明の課題は、簡素な機構でユーザと画像出力部との相対的な位置関係の変化を検出し、その相対的な位置変化を相殺するように画像を変位できるヘッドマウントディスプレイを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ユーザの頭部に装着されて画像表示を行うヘッドマウントディスプレイにおいて、画像を表示する画像出力部と、前記画像出力部を前記ユーザの眼前の位置に支持する支持部と、前記ユーザの頭部の存在が想定される空間に検出域を有するセンサと、前記センサからの信号を処理する信号処理部と、前記信号処理部からの出力に応じて前記画像の位置を変位させる変位手段とを備え、前記信号処理部は、前記信号を基に前記ユーザと前記画像出力部との相対的な位置関係の変化量を検出し、前記画像の位置を変位させて前記変化量を相殺する相殺量を算出し、前記変位手段は、前記画像の位置を前記相殺量だけ変位させることを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、ユーザの頭部に装着されて画像表示を行うヘッドマウントディスプレイにおいて、画像を表示する画像出力部と、前記画像出力部を前記ユーザの眼前の位置に支持する支持部と、前記支持部を前記ユーザの頭部に固定する固定部と前記固定部の特定部位を検出域内に望むセンサと、前記センサからの信号を処理する信号処理部と、前記信号処理部からの出力に応じて前記画像の位置を変位させる変位手段とを備え、前記信号処理部は、前記信号を基に前記固定部と前記画像出力部との相対的な位置関係の変化量を検出し、前記画像の位置を変位させて前記変化量を相殺する相殺量を算出し、前記変位手段は、前記画像の位置を前記相殺量だけ変位させることを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記変位手段は、前記画像出力部内における前記画像の表示位置を変位することで、前記画像の位置を変位することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記変位手段は、前記画像出力部の位置を変位することで、前記画像の位置を変位することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記変位手段は、前記画像出力部内において前記画像の表示位置を変位させること及び前記画像出力部の位置を変位させることの両方の手段によって前記画像の位置を変位することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、前記画像出力部は、画像表示素子を有し、前記変位手段は、前記画像表示素子上で前記画像の表示位置を変位させること、あるいは前記画像表示素子を変位させることの何れかであることを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4または5に記載のヘッドマウントディスプレイであって、前記変位手段は、回動機構およびスライド機構、或いはその何れか一方を有し、前記回動機構および前記スライド機構、或いはその何れか一方は、前記画像出力部の位置を変位させることを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、更に、前記画像の位置の変位を行なうか否かを、選択する選択手段を有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、音響を出力する音響出力部と、前記音響の出力、前記画像の出力および電源とを制御する制御手段とをさらに有し、前記信号処理部は、前記相対的な位置関係の変化を検出し、前記制御手段は、前記相対的な位置関係が所定範囲外である場合に、前記電源を制御し、出力されている前記音声と前記画像の出力を停止し、一定時間、前記音声および前記画像、或いはその一方による警告メッセージを出力し、その後前記音声および前記画像の出力を停止するディレイオフ制御を行なうことを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のヘッドマウントディスプレイであって、更に、前記ディレイオフ制御を行なうか否かを選択する第2の選択手段を有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るヘッドマウントディプレイの概略構成を示す上面図(A)、側面図(B)および一部断面図(C)である。
【0021】
図1に示すように、HMDは、ユーザUに対して画像を出力するための機能を有する画像出力部100と、音声、音楽、効果音等の音響を発生させる機能を有する音響出力部200と、画像出力部100および音響出力部200を一体的に連結すると共に、これらをユーザUの頭部1に着脱自在に装着するための支持部300と、ケーブル800を介して接続され画像表示信号、音響出力信号およびモータ制御信号を出力する駆動ユニットDと、センサ181を有する。
【0022】
以下にHMDの各構成要素について説明する。
【0023】
画像出力部100は、図2(A)に示すように、画像を現す画像表示信号を光信号に変換して画像を形成する電気‐光変換器110と、形成された画像を拡大する光学系120と、該光学系120を収容する鏡筒130と、これら全体的に収容するケース140とを有する。
【0024】
また、画像出力部100には、センサ181が装着される。センサ181は、ユーザUの頭部の存在が想定される空間に検出域を持つ。このセンサ181として、画像出力部100とユーザUの顔面部、特に眼部付近を撮影するカメラが使われる。
【0025】
本実施形態において用いられる電気‐光変換器110は、ビットマップイメージの画像を形成する表示素子により構成することができるものである。この種の電気‐光変換器110には、大別して、2種類ある。
【0026】
第1のものは、画像出力信号に応じて透過率または反射率が変化するセルを、ビットマップの各画素に対応して配置し、他の光源からの光について各画素の透過率または反射率を変化させることによって画像を形成する形式のデバイスである。
【0027】
第2のものは、自らが発光する素子をビットマップの各画素に対応して配置し、画像出力信号に応じて各素子の発光輝度を変化させることによって画像を形成する形式のデバイスである。
【0028】
前者の形式のデバイスとしては、例えば、透過率または反射率を変化させることができる液晶セルを二次元的に配置した液晶表示素子が挙げられる。
【0029】
後者の形式でのデバイスとしては、例えば、電気信号によりそれ自身が発光する発光素子を二次元的に配置した有機EL素子が挙げられる。本発明では、いずれの形式のデバイスを用いてもよい。
【0030】
また、電気‐光変換器110では、例えば、情報処理装置のディスプレイ画面のように画面を形成することができる。もちろん、動画を表示することも可能である。
【0031】
光学系120は、電気‐光変換器110によって形成される画像を拡大する。具体的には、虚像を形成する。この虚像をユーザの肉眼が網膜上に結像させることにより、例えば、ユーザがあたかもその視野の全体にわたって画像を見ているように表示することが可能となる。
【0032】
鏡筒130は、前述した光学系120を収容するレンズ収容部131と、電気‐光変換器110を収容する変換器収容部132と、電気‐光変換器110との距離を一定に保つと共に、外光が入射しないように遮断する遮光部133とを有する。鏡筒130は、遮光性材料により形成される。
【0033】
ケース140は、例えば、遮光性のプラスチックにより形成される。ケース140のユーザUとの対向面に開口部142が設けられている。この開口部142内に、光学系120が収容される。また、ケース140の一端は、画像出力部接続部190との連結部となっている。
【0034】
また、図2(B)で示すように、電気‐光変換器110を光学系120の光軸bxに垂直な平面内で直交する2軸(X軸、Y軸と呼ぶ)方向に変位させるための変換器移動系170を、変換器収容部132に設ける。
【0035】
変換器移動系170は、電気‐光変換器110を保持し、X軸およびY軸方向に移動させる第1ステージ171と、X軸移動系172と、Y軸移動系173とを有する。
【0036】
X軸移動系172は、Y軸移動系173によってY軸方向に移動可能に保持された第2ステージ174と、両端が第2ステージ174に固定されX軸方向と平行に第1ステージ171を貫く2本の補助材175と、一端を第1ステージ171の側面部に固定し、他端は第2ステージ174の側面部を螺合して貫通しているX方向移動軸176と、X方向移動軸176の端部に固定され、X方向移動軸176を螺動させるX軸モータ177とを有している。
【0037】
Y軸移動系173は、変換器収容部132に固定された第3ステージ178と、両端を第3ステージ178に固定されY軸方向と平行に第2ステージ174を貫く2本の補助材175と、一端を第2ステージ174の側面部に固定し、他端は第3ステージ178の側面部を螺合して貫通しているY方向移動軸179と、Y方向移動軸179の端部に固定され、Y方向移動軸179を螺動させるY軸モータ180とを有している。
【0038】
また、X軸モータ177およびY軸モータ180には、両軸の回転数を計測する回転角センサ402が取り付けられており、その計測された各軸の回動角によって第1ステージ171の相対位置が検出される。
【0039】
X軸モータ177およびY軸モータ180は、駆動ユニットDの支持アーム駆動制御装置859(図8参照)にある図示していないX軸駆動モータコントローラおよびY軸駆動モータコントローラに制御される。
【0040】
センサ181は、図1(A)、(B)に示すように、画像出力部100の、ユーザUとの対向面に設置され、その検知域はユーザUの頭部が存在すべき空間、特に眼部が位置することが想定される付近である。センサ181の出力は、ケーブル800を介して駆動ユニットDの記憶装置853あるいは状態検出装置855(図8参照)に送られる。
【0041】
センサ181としては、例えば、撮像素子にCMOSを用いた超小型カメラが利用できる。
【0042】
音響出力部200は、音響出力信号を音響に変換するものである。本実施形態では、左音響出力部200Lと、右音響出力部200Rとが設けられている。
【0043】
音響出力部200は、通常、ヘッドホンとして製品化されているものを用いることができる。音響出力部200L,200Rは、後述するように、支持部300により、互いに近接する方向に付勢される。また、音響出力部200は、本実施形態では、その構造上、後述する支持部300と共に、当該HMDをユーザUの頭部1に装着させる際の、耳への当接部としても機能する。
【0044】
なお、本実施形態では、音響出力部200L側に、ケーブル800と内部配線とを接続する接続部(図示せず)が設けられている。
【0045】
支持部300は、図1に示すように、左右の音響出力部200Lと200Rとを連結するバンド310と、バンド310の一端側に設けられた第1の支持アーム320aと、を有する。第1の支持アーム320aは、バンド310の一端で連結固定されている。
【0046】
バンド310は、ユーザUの頭部1を後方から挟むことができるように湾曲した形状を持っている。そして、両端に音響出力部200Lと200Rとが連結固定されている。
【0047】
また、バンド310には、駆動ユニットDからのケーブル800に接続される配線(図示せず)が設けられている。これら配線のうち一部は、画像出力部100に通じ、電気−光変換器110と変換器移動系170に給電を行なう。他の一部は、左右の音響出力部200L,200Rに通じ、音響出力信号の供給を行なう。画像出力部100に通じる配線は、第1の支持アーム320aの内に設けられた配線と接続されている。
【0048】
バンド310の左端には、開口部312bが設けられている。第1の支持アーム320aは、この開口部312bに挿入され、固定されている。
【0049】
第1の支持アーム320aは、支持アーム可動部390aによって、第2の支持アーム320bと、回動可能に接続している。
【0050】
支持アーム可動部390aは、上下駆動モータ394と、上下駆動モータ軸395とを有している。この支持アーム可動部390aには、回動角センサ400が備えられている。
【0051】
上下駆動モータ394は、駆動ユニットDの支持アーム制御装置859にある上下駆動モータコントローラ410に制御される。
【0052】
上下駆動モータ軸395は、支持アーム可動部390aの回動軸である。したがって、モータ394には、回動軸(上下駆動モータ軸395)を直接ドライブする、ダイレクトドライブモータを用いることができる。なお、上下駆動モータ394は、ステッピングモータを用いることができる。また、上下駆動モータ軸395には回動角センサ400が設けられており、モータ回転軸395の回動角を検出する。
【0053】
この回動角センサ400は、駆動ユニットDの状態検出装置855に接続され、検出結果を状態検出装置855に送信する。
【0054】
第1の支持アーム320aに対する第2の支持アーム320bの回動方向は、上下駆動モータ軸395の方向(図1(C)の矢印A)を回動軸として、図1(B)の両矢印の方向Bである。
【0055】
画像出力部微動部396は、左右駆動モータ397と、左右駆動モータの駆動量を検出する左右駆動センサ401とを有する。
【0056】
左右駆動モータ397は、画像出力部微動部396にスライド可能に接続された画像出力部接続部190を介して、図1(A)の両矢印Cの方向に、画像出力部100を変位させる。左右駆動モータ397は、例えばリニア駆動のモータであってもよい。
【0057】
これらの回転機構やスライド機構は顔面のそばにあるため、機構を駆動する動力(上下駆動モータ394および左右駆動モータ397)には、低騒音の動力源を用いることが望ましい。例えば、超音波モータを用いることができる。
【0058】
左右駆動センサ401は、画像出力部接続部190の端部の位置を測定するセンサで、画像出力部接続部190の端部が画像出力部微動部396の内部にスライドして停止した、つまり、左側への待避動作が終了したことを検知するセンサにもなる。
【0059】
このセンサも、駆動ユニットDの状態検出装置855に接続され、検出結果を状態検出装置855に送信する。
【0060】
駆動ユニットDの支持アーム駆動制御装置859にある左右駆動モータコントローラ411は、左右駆動モータ397に接続され、左右駆動モータ397を制御する(図3参照)。
【0061】
画像出力部100は、支持アーム可動部390aによる上下方向の動き(正確には、上下駆動モータ軸395を中心とした弧を描く)と、画像出力部微動部396による左右の動きとの、2自由度をもつ動きが行なえる。
【0062】
画像出力部100は、センサ181を有している。センサ181は、画像出力部100の開口方向と略同方向に指向している。センサ181は、顔面部および頭部を撮影し、その情報を駆動ユニットDの記憶装置853に記憶する。
(駆動ユニット等)
本実施形態のHMDは、画像表示信号および音響出力信号と、上下駆動モータ394、左右駆動モータ397、X軸モータ177およびY軸モータ180に対する制御信号とを出力する駆動ユニットDとケーブル800を介して接続されることにより動作するものである。
【0063】
駆動ユニットDには、図8で示すように、画像出力部100に画像表示信号を送るため、当該画像表示信号を処理する画像出力信号処理装置851と、音響出力部200に音響出力信号を送るための音響出力信号処理装置852と、記憶装置853と、駆動ユニット全体を管理する中央制御装置854と、上下駆動モータコントローラ410、左右駆動モータコントローラ411、図示していないX軸駆動モータコントローラおよびY軸駆動モータコントローラを制御する支持アーム駆動制御装置859と、電源のオンオフおよび節電モードの制御を行うための電源制御回路856と、電池857とを有する。また、センサ181および各モータ軸に取り付けられたセンサから検出結果を受け取る状態検出装置855を有する。また、HMD本体と情報、信号等の授受をする入出力インタフェース858を有する。また、電源のオンオフを行うためのメインスイッチSWを有する。さらに、HMDと信号を授受するためのケーブル800のプラグ810を接続するためのコネクタが設けられている。また、電源として、充電可能な電池857と、電源制御回路856とが用意されている。
【0064】
電源制御回路856には、以下のような遅延回路が備わっている。電源制御回路856は、中央制御装置854に備わったタイマに連動し、予め定めた時間の後、画像出力部100および音声出力部200への給電を停止する。
【0065】
コネクタは、画像出力信号、音響出力信号、調光制御信号、光センサ検出信号等を接続するため、多ピン構造と成っている。また、コネクタの形状についても、断面円形に限られない。角型で、ピンがシングルインライン、デュアルインライン等の配列となっているものであってもよい。なお、各信号をパケット等により伝送する場合には、高周波数に対応することができるピンであればよい。その場合には、一定の通信プロトコルに従って、種々の信号をデータとして送ることとなる。この場合には、通信制御装置がさらに設けられる。
【0066】
記憶装置853には、プログラムのほか、画像表示信号および音響出力信号を生成する基となる画像情報、音響情報等が格納される。また、センサ181から送られた画像を保存する。記憶装置853としては、例えば、ハードディスク装置が用いられる。もちろん、これに限定されない。他の記憶媒体を用いることもできる。
【0067】
状態検出装置855は、センサ181から送られ記憶装置853に保存された複数の画像に基づいて、センサ181から見たユーザUの眼部の位置のずれを計算し、その結果を中央制御装置854に送る。
【0068】
次に第1実施形態の動作を説明する。
【0069】
本実施形態において、画像出力部100に備えられたセンサ181によってユーザUの眼部付近の画像を随時撮影する。
【0070】
撮影された画像変化を検出して、眼部の位置が画像出力部100(あるいはセンサ181)から見て予め定めた値を越えて移動している場合、中央制御装置854は、ユーザUが画像を見づらくなっていると認識する。そして、中央制御装置854は、この状況を改善するため、眼部の位置の変位を相殺するように、画像形成位置を変位させる制御を行なう。
【0071】
画像の位置を変位するには、画像出力部100の位置を2つのモータ(上下駆動モータ394および左右駆動モータ397)を駆動し変位させる場合と、画像出力部100内で画像900の表示位置を変更する場合とがある。また、それらを組み合わせた場合がある。
【0072】
まず、ユーザUは、HMDの利用を開始するため、HMD本体を頭部1に装着する。次に、ユーザUは駆動ユニットDに備えられた電源スイッチSWをオンにする。上下駆動モータ394によって第2の支持アーム320bが回動し、左右駆動モータ397によって画像出力部接続部190が変位する。そして、その先端部の画像出力部100が眼前に固定され、画像出力部100に画像の表示が開始される。
【0073】
画像の表示と共に、画像出力部100に取り付けられたセンサ181がユーザUの顔面部、特に眼部付近のモニタを開始する。
【0074】
次に、HMDが、このモニタされた画像を用いて、どのように眼部の位置のずれを測定するかを説明する。
【0075】
ずれの測定に利用できる情報は、ユーザUの眼とその近傍の形態情報である。この形態情報を用いてずれの測定をする例を図3〜4を用いて説明する。
【0076】
まず、予め定めた時間間隔で眼部付近の2画像を取得する。その時間間隔で2回撮影をしてもよいし、連続撮影或いは動画から予め定めた時間間隔で2画像を取得してもよい。
【0077】
その2画像を、ケーブル800、入出力インタフェース858を介して、駆動ユニットDの記憶装置853に送信し、保存する(図1および図8参照)。
【0078】
次に、状態検出装置855は、記憶装置853から呼び出した両画像を画像処理した後に比較し、その画像重心の位置のずれから眼部の位置のずれを推定する。
【0079】
画像比較にあたって、比較の基準となる眼部付近の画像を登録しておくようにしてもよい。この基準画像は、途中で再登録することができるようにしてもよい。
【0080】
図3に、処理の概要を示す。
【0081】
センサ181が眼部付近の撮影をし、ケーブル800、入出力インタフェース858を介して、駆動ユニットDの記憶装置853のフレームメモリ2にその画像を送る(ステップ1)。フレームメモリ2は、その画像を、保持している。
【0082】
予め定めた時間後に、再びセンサ181が眼部の撮影をし、同様に記憶装置853のフレームメモリ1に2回目の画像を送る(ステップ2)。フレームメモリ1は、2回目の画像を、保持している。
【0083】
次に、状態検出装置855の比較回路は、フレームメモリ1から2回目の画像とフレームメモリ2から1回目の画像(基準画像)とを取得し、それぞれに2値化の処理(後述)を行なう(ステップ3)。
【0084】
更に、比較回路は、2値化されたそれぞれの画像から、画像の重心検出(後述)を行なう(ステップ4)。
【0085】
比較回路は、2画像の重心から、重心位置の差を示す移動ベクトル(後述)を取得し(ステップ5)、その結果を中央制御装置854に送信する。この移動ベクトルが、センサ181から見たユーザUの眼部の位置のずれに相当する。
【0086】
図4に、上記の画像処理を、簡潔に示す。
【0087】
図4のA−1およびB−1は、センサ181に撮影された2値化前の通常の眼部付近の形態(S1、S2)の画像である。
【0088】
比較回路は、この両画像に、2値化の処理を行なう(A−2およびB−2参照)。この処理は、眼部付近の形態(S1、S2)の特徴を抽出する目的の処理である。まず、画像のピクセル毎の輝度を計算し、その画像全体の輝度分布から適当な境界値を設ける。そして、その境界値によって、各ピクセルの輝度を予め定めた二つの画素値(例えば、1および0(黒および白))に分類する。こうすることで、画像が2値化した眼部付近の形態(S3、S4)の画像となり、通常の眼部付近の形態(S1、S2)の特徴が抽出される。
【0089】
次に、2値化した2画像から、それぞれ画像重心(M1、M2)を検出する(図4A−3およびB−3)。この画像重心(M1、M2)は、いわゆる剛体の質量中心の概念を、画像に用いたもので、各質点での質量を各ピクセルでの画素値に置きなおしたものである。したがって、画像重心(M1、M2)は公知の簡単な計算式で得られる。
【0090】
さらに、比較回路は画像重心(M1、M2)からその移動ベクトル(差ベクトル)を計算する。そして、移動ベクトルを直交する2成分に投影し、移動ベクトルの2つの成分ベクトルを定める。
【0091】
移動ベクトルの長さ(眼部の位置の移動距離)が、予め定めた長さより大きくなった場合に、中央制御装置854は、ユーザUが画像900を見づらくなっていると判断する。
【0092】
第1実施形態では、この状態を解消するために、以下の2つの動作を取る。
【0093】
第1に、中央制御装置854は、駆動ユニットDの支持アーム駆動制御装置859を制御し、上下駆動モータ394および左右駆動モータ397を駆動し、眼部の画像出力部100に対する位置の変位を相殺するように画像出力部100を変位させる。
【0094】
第2に、中央制御装置854は、駆動ユニットDの支持アーム駆動制御装置859または画像出力信号処理装置851を制御し、電気−光変換器110を変位させ、あるいは画像出力部100内の表示画面150上の画像900を変位させ、眼部の画像出力部100に対する位置の変位を相殺する。
【0095】
第1と第2の動作は時間的に前後しているとよい。また、その順序は逆であってもよい。
【0096】
また、眼部の画像出力部100に対する位置の移動を相殺する動作は、画像出力部100を変位させる粗動動作と、電気−光変換器110を変位させる微動動作との組み合わせであってもよい。
【0097】
第1の動作を、より詳細に述べる。
【0098】
状態検出装置855は、移動ベクトルを検出し(図3のステップ5)、その値を中央制御装置854に送信する。中央制御装置854は、支持アーム駆動制御装置859を介して、移動ベクトルの値と左右駆動モータ397および上下駆動モータ394を駆動する指示を、左右駆動モータコントローラ411および上下駆動モータコントローラ410に送る(図3のステップ6および7)。左右駆動モータコントローラ411および上下駆動モータコントローラ410は、表示出力部100を移動ベクトル量だけ変位させるため、左右駆動モータ397および上下駆動モータ394を駆動する。その結果、画像出力部100は移動ベクトル量だけスライドおよび回動し、画像出力部100の位置を、眼部の位置変位を相殺するように、変位する(以下、位置補正とも呼ぶ)。
【0099】
以下の場合は、画像出力部100の変位を中止させるようにしてもよい。
【0100】
まず、移動ベクトル量だけ位置補正したときの表示出力部100の位置が、予め定められた表示出力部100の変位可能域を越える場合は、画像出力部100の変位を中央制御装置854が中止させるようにしてもよい。また、ユーザUが画像出力部100の変位を中止させる選択をできるようにしてもよい。
【0101】
また、画像出力部100の変位が、画像出力部接続部190の端部の変位限界値あるいは第2支持アーム320bの回動角の回動限界角に達した場合は、画像出力部100の変位を中央制御装置854が中止させるようにしてもよい。また、ユーザUが画像出力部100の変位を中止させる選択をできるようにしてもよい。
【0102】
なお、画像出力部100の変位量および回動角は、画像出力部接続部190の端部の位置を測定するセンサおよび第2支持アーム320bの回動角を測定する図示していないエンコーダによって随時モニタされている。
【0103】
次に、第2の動作(画像出力部100内で、画像900を変位させる動作)の詳細を説明する(図5参照)。
【0104】
第1の動作と同様に、まず状態検出装置855は、眼部の位置の変位量を検出し(ステップ5)、その値を中央制御装置854に送信する。中央制御装置854は、送られた眼部の位置のずれ値から、画像出力部100内の表示画面150において出力画像900をずらす量(相殺量)を計算する。中央制御装置854は、画像出力信号処理装置851に、その相殺量だけ出力画像の表示位置を変更する指示を送る。画像出力信号処理装置851は、その相殺量を用いて、出力画像の表示位置を変更し(ステップ6)、画像出力部100へ出力する(ステップ7)。
【0105】
図6は、出力画像900を変位させることで眼部の画像出力部100に対する位置の変位を相殺する過程、およびその表示の状態を示す。
【0106】
図6は、電気−光変換器110、光学系120、光学系120の軸bxと平行な軸cx、眼球Eb、眼球Ebの視線方向の軸axの位置関係を示す断面図である。図6(a)の状態では、視線方向の軸axと光学系120の軸bxとは一致している。図6(b)は、この状態でユーザUが見ることのできる、表示画面150に出力される出力画像900である。
【0107】
図6(c)は、ユーザUの眼部(あるいは画像出力部100)の相対位置が変位した状態の、電気−光変換器110、光学系120、光学系120の軸bxと平行な軸cx、眼球Eb、眼球Ebの視線方向の軸axの位置関係を示している。ユーザUの眼部(あるいは画像出力部100)が変位したため、眼球Ebと電気−光変換器110との位置関係が変わり、視線方向の軸axと軸cxとの間にずれ角dができている。これは、眼球Ebの視線方向が変わったためである。
【0108】
図6(d)は、図6(c)におけるずれ角dをゼロとするように、出力画像900の出力位置を補正したものである。これによって、視線方向の軸axと軸cxとが一致しているのが分かる。図6(e)は、その際画像出力部100の表示画面150に出力される出力画像900である。出力画像900の出力位置を補正したため、画像の一部がけられていて、表示されていないことが分かる。
【0109】
一方、電気‐光変換器110を変位させる場合は、画像出力信号処理装置851が出力画像900を表示画面150上で変位させる代わりに、電気‐光変換器110の位置を画像出力部100のなかで変更する。出力画像900の表示位置を変位させる場合と同様に、中央制御装置854は、送られた眼部の位置の変位量から、電気‐光変換器110の位置の変位量(相殺量)を計算する。その相殺量から、支持アーム駆動制御装置859に備わったX軸駆動モータコントローラおよびY軸駆動モータコントローラは、X軸モータ177およびY軸モータ180を駆動させる。X軸モータ177およびY軸モータ180は、電気‐光変換器110の位置を、眼部の変位に対して相殺するように変位させる。
【0110】
また、画像出力部100を変位させる第1の動作と同様に、第2の動作であっても、以下のような場合、その動作を中止してもよい。
【0111】
画像900を表示画面150上で変位させる場合では、まず、表示画面150上で変位されて表示されている画像900と表示画面150との面積比を求める(図6(e)参照)。この面積比が、予め定めた面積比を下回った場合(つまり、変位量が大きく画像900の表示面積が小さくなりすぎた場合)、画像900の変位を、中央制御装置854が中止させるようにしてもよい。また、ユーザUが画像900の変位を中止させる選択をできるようにしてもよい。
【0112】
電気‐光変換器110の位置を変位させる場合には、まず、X軸モータ177およびY軸モータ180に備えられた回転角センサ402によって各軸の回転数が計測され、第1ステージ171の相対位置が検出される。第1ステージ171が、予め求められた第1ステージ171の変位可能域を超えて、位置補正をしようとする場合は、第1ステージ171の変位を中央制御装置854が中止させるようにしてもよい。また、ユーザUが第1ステージ171の変位を中止させる選択をできるようにしてもよい。
【0113】
また、第1実施形態では、画像出力部100の位置変位と画像出力部100の中での画像900の変位とを組み合わせている。この組み合わせは、時間的に前後することが望ましい。また、その順序は、どちらが先に来ることも考えられる。
【0114】
例えば、図6(e)で示したように表示画面150上で画像900を変位させる場合には、画像900がけられる場合がある。この場合、次に画像出力部100の位置変位を行なえば、けられた画像を、更に補正することができる。
【0115】
もちろん、画像出力部100の位置変位のみで、ユーザUの眼部の位置変位を相殺させてもよい。また、画像出力部100の中で画像900を変位させるだけで、ユーザUの眼部の位置変位を相殺させてもよい。
【0116】
また、ユーザUの眼部の位置変位が予め定めた値を越えた場合に、画像出力部100の位置変位と画像出力部100の中での画像900の変位との何れも行なわない選択もありうる。この選択は、駆動ユニットDの中央制御装置854によってなされてもよいし、ユーザUが選択をできるようにしてもよい。
【0117】
第1実施形態の効果を以下に述べる。
【0118】
画像出力部100の位置は、上下、左右の2自由度を持つ2つ駆動機構で自動的に変更できる。したがって、広い範囲で、ユーザUの眼部とセンサ181との位置のずれに対応できる。
【0119】
また、画像出力部100の中で画像900の位置を変位させるには、駆動ユニットDの記憶装置853に新たな信号処理用のソフトウエアを追加するだけでよい。
【0120】
さらに、画像出力部100の電気‐光変換器110の位置の微動だけで、画像表示位置の補正に対処できる。
【0121】
また、画像出力部100の位置変位と画像900の位置の変位とを組み合わせることで、効率のよい画像表示位置の補正が可能となる。
【0122】
以上、第1実施形態を説明した。
【0123】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されるのもではない。その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0124】
第1実施形態の変形例として、センサ181とユーザUの眼部との位置関係ではなく、センサ181と、HMDを頭部に固定している音響出力部200との相対的な位置関係の変化を取得してもよい。この位置関係を得るには、例えば図7に示すようにセンサ181を音響出力部200に、マーカ901を画像出力部100に設け、マーカ901をセンサ181で撮影すればよい。この場合頭部への固定がずれた場合には対応できないが、同じHMD上にある特定の形(模様/色等)を持つマーカ901のみを撮影すればよいため、ロバストネスの向上、装置の単純化を図ることができる。この場合のデータ処理は、ユーザUの眼部を撮影した場合と同じでよい。
【0125】
また、センサ181を画像出力部100に、マーカ901を音響出力部200に設けてもよい。
【0126】
また、第1実施形態に、音響或いは画像の通常の出力を停止し、音響或いは画像の警告を出力した後、画像出力部100および音響出力部200への給電を停止する機能を付け加えた態様も可能である。
【0127】
例えば、画像出力部100が短周期(例えば1秒以下の周期)で振動し、かつ振動が継続した場合、ユーザUの眼部(付近)の位置のずれも短周期かつ継続して現れることが予想される。この場合、画像出力部100内での画像900の位置変位および2つのモータによる画像出力部100の変位では対処が難しい場合があり、警告の後給電を停止する本態様による対処法が可能である。
【0128】
したがって、給電を停止する条件として、眼部の位置変化(移動ベクトルの変化)の継続時間が、予め定めた時間を越えた場合とすることでも良い。また、この条件を、第1実施形態の相殺動作を開始する条件に加えても良い。つまり、眼部の画像出力部100に対する位置変化(移動ベクトルの変化)の継続時間が、予め定めた時間を越えた場合と、眼部の位置変化の距離(移動ベクトルの長さ)が、予め定めた値を越えた場合と、の何れかが満たされたとき、本態様のHDMが動作を停止すればよい。
【0129】
給電停止機能を有した本態様の構成は、駆動ユニットD(図8参照)の記憶装置853に警告用の画像と音声メッセージとを保存しておく以外には、第1実施形態の構成と同じである。
【0130】
その動作は、図9に示すように駆動ユニットDの状態検出装置855が、ユーザUの眼部の変位(移動ベクトル)からその変位量を検出するまでは、第1実施形態と全く同様である(図9のステップ5)。本態様では、更に、状態検出装置855は、中央制御装置854に備わったタイマに連動し、ユーザUの眼部の変位(移動ベクトル)の変化が継続する時間をモニタしている。この継続時間が予め定めた時間を越えた場合、中央制御装置854は、変位(移動ベクトル)の変化が継続することで、画像900がユーザUにとって見づらい画像になっていると判断する。この状況を解消する動作として、本態様のHMDは、それまで継続してきた音響或いは画像の出力を停止し、音響或いは画像による警告の後、画像出力部100および音響出力部200への給電を停止する動作を取ることができる(ステップ6〜8)。
【0131】
駆動ユニットDの電源制御回路856には、以下のような遅延回路が備わっている。電源制御回路856は、中央制御装置854に備わったタイマに連動し、予め定めた時間の後、画像出力部100および音声出力部200への給電を停止する。
【0132】
したがって、中央制御装置854は、まず、予め定めた時間の後に画像出力部100および音声出力部200への給電を停止させるように、遅延回路を制御する。次に、それまで継続してきた音響或いは画像の出力を停止し、予め定めた時間、警告用の画像メッセージ及び音声メッセージ、またはその何れか一方を出力するように、画像出力信号処理装置851および音響出力信号処理装置852を制御する。これらの制御によって、本態様のHDMは、それまで継続してきた音響或いは画像の出力を停止する。次に、予め定めた時間、画像出力装置100および音響出力装置200、またはその何れか一方は、警告用のメッセージを出力する。そして、画像出力部100および音声出力部200への給電が停止される。
【0133】
本態様では、眼部の変位の変化継続時間が予め定めた時間を越えた場合であっても、特別な動作をしない選択があってもよい。つまり、警告用のメッセージを出力せず、かつ画像出力部100および音声出力部200への給電を継続する選択肢を設けてもよい。この選択は、中央制御装置854によってなされてもよいし、ユーザUが選択できるようにしてもよい。
【0134】
【発明の効果】
簡素な機構で画像出力部とユーザの頭部との相対的な位置関係を検知し、その相対的な位置変化を相殺するように画像を変位できるヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの外観を示す上面図(A)および側面図(B)と、一部断面図(C)である。
【図2】第1実施形態において用いられる画像出力部の構成を示す一部破断平面図(A)と、一部斜視図(B)である。
【図3】第1実施形態において用いられる画像処理のフローチャート(1)である。
【図4】第1実施形態において用いられる画像処理を示す説明図である。
【図5】第1実施形態において用いられる画像処理のフローチャート(2)である。
【図6】第1実施形態における出力画像と視線の関係を示す説明図である。
【図7】第1実施形態の変形例に係るヘッドマウントディスプレイの外観を示す斜視図である。
【図8】各実施形態において適用可能なHMD駆動ユニットの構成要素を表すブロック図である。
【図9】第1実施形態の変形例において用いられる画像処理のフローチャートである。
【符号の説明】
H…ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
D…駆動ユニット、CN…コネクタ、
M1…画像重心、M2…画像重心、
S1…通常の眼部付近の形態、S2…通常の眼部付近の形態、S3…2値化した眼部付近の形態、S4…2値化した眼部付近の形態、SW…電源スイッチ、
U…ユーザ、Eb…眼球、
ax…眼球の視線の軸、bx…光学系120の軸、cx…光学系120の軸と平行な軸、d…ずれ角、
1…頭部、
100…画像出力部、110…電気‐光変換器、120…光学系、121…レンズ系、130…鏡筒、131…レンズ収容部、132…変換器収容部、133…遮光部、140…ケース、141…覆い板、142…開口部、143…連結部、150…表示画面、151…オフディレイ設定ウィンドウ、152…オフ対象選択ウィンドウ、159…矢印アイコン、170…変換器移動系、171…第1ステージ、172…X軸移動系、173…Y軸移動系、174…第2ステージ、175…補助材、176…X方向移動軸、177…X軸モータ、178…第3ステージ、179…Y方向移動軸、180…Y軸モータ、181…センサ、190…画像出力部接続部、
200(200L,200R)…音響出力部、
300…支持部、310…バンド、第1の支持アーム320a、第2の支持アーム320b、340…支持アーム支持部、394…上下駆動モータ、395…上下駆動モータ軸、396…画像出力部アクチュエータ、397…左右駆動モータ、
400…回動角センサ、401…左右駆動センサ、402…回動角センサ、410…上下駆動モータコントローラ、411…左右駆動モータコントローラ、
800…ケーブル、810…プラグ、851…画像信号処理装置、852…音響出力信号処理装置、853…記憶装置、854…中央制御装置、855…状態検出装置、856…電源制御回路、857…電池、858…入出力インタフェース、859…支持アーム駆動制御装置、
900…出力画像、901…マーカ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ユーザの頭部に装着された状態で、ユーザが画像を見ることができるように画像出力を行うヘッドマウントディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDと略称する)は、ユーザの頭部に装着された状態で、ユーザが画像を見ることができるように画像出力を行う。この種のHMDには2種類あり、ゴーグル型と称される、両眼を完全に覆って、ユーザの視野には、HMDの表示のみが見えるようにしたものと、片眼の眼前に画像出力部が配置される片眼タイプのものとがある。
【0003】
片眼タイプのHMDにおいては、画像出力部からの画像と、外部の景色とが同時に視野に入る。したがって、片眼タイプのHMDは、画像から特定の情報を得つつ、外部の景色を見ながら作業ができるなどの利点がある。
【0004】
しかし、この種の片眼タイプのHMDにおいては、本体(固定部)を頭部に固定し、アームに保持された画像出力部を眼前に固定することになる。ユーザの動作等により本体あるいは画像出力部が、画像を観察するのに適した位置からずれた場合、ユーザの意図しない動き(例えば映像のブレ)をする映像が提示され、目の疲れや気分の悪さとなってその影響が現れる可能性がある。
【0005】
映像のブレなどの振動による影響を避けるために、例えば、特許文献1では、ユーザと情報表示装置との双方に振動センサを取り付け、双方の相対位置変化から表示画像のブレを検出し、表示のブレを打ち消すように表示をずらすことが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−261727号公報「情報表示装置」
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】
しかし、特許文献1では、ユーザと情報表示装置との2つの独立した系の相対位置変位による画像表示の問題に対して、解決策を示したに過ぎない。この解決策は、画像表示部とユーザとが連結された1つの系であるヘッドマウントディスプレイに対して、有効なものとはいえない。また、特許文献1の手段は、振動センサを用いているため、ユーザと情報表示装置とのずれの絶対量を得ることが難しい。ヘッドマウントディスプレイの場合は、振動そのものよりも、表示位置が映像をはっきり見える位置からずれることにより映像が正しく見られないことが問題となる。従って、ユーザと情報表示装置とのずれの絶対量を得ることが難しい特許文献1の方法の適用は難しい。したがって、ヘッドマウントディスプレイにおける画像表示部とユーザとの相対位置変位による画像表示の問題は、固有の解決策が求められている。
【0008】
本発明の課題は、簡素な機構でユーザと画像出力部との相対的な位置関係の変化を検出し、その相対的な位置変化を相殺するように画像を変位できるヘッドマウントディスプレイを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ユーザの頭部に装着されて画像表示を行うヘッドマウントディスプレイにおいて、画像を表示する画像出力部と、前記画像出力部を前記ユーザの眼前の位置に支持する支持部と、前記ユーザの頭部の存在が想定される空間に検出域を有するセンサと、前記センサからの信号を処理する信号処理部と、前記信号処理部からの出力に応じて前記画像の位置を変位させる変位手段とを備え、前記信号処理部は、前記信号を基に前記ユーザと前記画像出力部との相対的な位置関係の変化量を検出し、前記画像の位置を変位させて前記変化量を相殺する相殺量を算出し、前記変位手段は、前記画像の位置を前記相殺量だけ変位させることを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、ユーザの頭部に装着されて画像表示を行うヘッドマウントディスプレイにおいて、画像を表示する画像出力部と、前記画像出力部を前記ユーザの眼前の位置に支持する支持部と、前記支持部を前記ユーザの頭部に固定する固定部と前記固定部の特定部位を検出域内に望むセンサと、前記センサからの信号を処理する信号処理部と、前記信号処理部からの出力に応じて前記画像の位置を変位させる変位手段とを備え、前記信号処理部は、前記信号を基に前記固定部と前記画像出力部との相対的な位置関係の変化量を検出し、前記画像の位置を変位させて前記変化量を相殺する相殺量を算出し、前記変位手段は、前記画像の位置を前記相殺量だけ変位させることを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記変位手段は、前記画像出力部内における前記画像の表示位置を変位することで、前記画像の位置を変位することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記変位手段は、前記画像出力部の位置を変位することで、前記画像の位置を変位することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記変位手段は、前記画像出力部内において前記画像の表示位置を変位させること及び前記画像出力部の位置を変位させることの両方の手段によって前記画像の位置を変位することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、前記画像出力部は、画像表示素子を有し、前記変位手段は、前記画像表示素子上で前記画像の表示位置を変位させること、あるいは前記画像表示素子を変位させることの何れかであることを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4または5に記載のヘッドマウントディスプレイであって、前記変位手段は、回動機構およびスライド機構、或いはその何れか一方を有し、前記回動機構および前記スライド機構、或いはその何れか一方は、前記画像出力部の位置を変位させることを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、更に、前記画像の位置の変位を行なうか否かを、選択する選択手段を有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、音響を出力する音響出力部と、前記音響の出力、前記画像の出力および電源とを制御する制御手段とをさらに有し、前記信号処理部は、前記相対的な位置関係の変化を検出し、前記制御手段は、前記相対的な位置関係が所定範囲外である場合に、前記電源を制御し、出力されている前記音声と前記画像の出力を停止し、一定時間、前記音声および前記画像、或いはその一方による警告メッセージを出力し、その後前記音声および前記画像の出力を停止するディレイオフ制御を行なうことを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のヘッドマウントディスプレイであって、更に、前記ディレイオフ制御を行なうか否かを選択する第2の選択手段を有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るヘッドマウントディプレイの概略構成を示す上面図(A)、側面図(B)および一部断面図(C)である。
【0021】
図1に示すように、HMDは、ユーザUに対して画像を出力するための機能を有する画像出力部100と、音声、音楽、効果音等の音響を発生させる機能を有する音響出力部200と、画像出力部100および音響出力部200を一体的に連結すると共に、これらをユーザUの頭部1に着脱自在に装着するための支持部300と、ケーブル800を介して接続され画像表示信号、音響出力信号およびモータ制御信号を出力する駆動ユニットDと、センサ181を有する。
【0022】
以下にHMDの各構成要素について説明する。
【0023】
画像出力部100は、図2(A)に示すように、画像を現す画像表示信号を光信号に変換して画像を形成する電気‐光変換器110と、形成された画像を拡大する光学系120と、該光学系120を収容する鏡筒130と、これら全体的に収容するケース140とを有する。
【0024】
また、画像出力部100には、センサ181が装着される。センサ181は、ユーザUの頭部の存在が想定される空間に検出域を持つ。このセンサ181として、画像出力部100とユーザUの顔面部、特に眼部付近を撮影するカメラが使われる。
【0025】
本実施形態において用いられる電気‐光変換器110は、ビットマップイメージの画像を形成する表示素子により構成することができるものである。この種の電気‐光変換器110には、大別して、2種類ある。
【0026】
第1のものは、画像出力信号に応じて透過率または反射率が変化するセルを、ビットマップの各画素に対応して配置し、他の光源からの光について各画素の透過率または反射率を変化させることによって画像を形成する形式のデバイスである。
【0027】
第2のものは、自らが発光する素子をビットマップの各画素に対応して配置し、画像出力信号に応じて各素子の発光輝度を変化させることによって画像を形成する形式のデバイスである。
【0028】
前者の形式のデバイスとしては、例えば、透過率または反射率を変化させることができる液晶セルを二次元的に配置した液晶表示素子が挙げられる。
【0029】
後者の形式でのデバイスとしては、例えば、電気信号によりそれ自身が発光する発光素子を二次元的に配置した有機EL素子が挙げられる。本発明では、いずれの形式のデバイスを用いてもよい。
【0030】
また、電気‐光変換器110では、例えば、情報処理装置のディスプレイ画面のように画面を形成することができる。もちろん、動画を表示することも可能である。
【0031】
光学系120は、電気‐光変換器110によって形成される画像を拡大する。具体的には、虚像を形成する。この虚像をユーザの肉眼が網膜上に結像させることにより、例えば、ユーザがあたかもその視野の全体にわたって画像を見ているように表示することが可能となる。
【0032】
鏡筒130は、前述した光学系120を収容するレンズ収容部131と、電気‐光変換器110を収容する変換器収容部132と、電気‐光変換器110との距離を一定に保つと共に、外光が入射しないように遮断する遮光部133とを有する。鏡筒130は、遮光性材料により形成される。
【0033】
ケース140は、例えば、遮光性のプラスチックにより形成される。ケース140のユーザUとの対向面に開口部142が設けられている。この開口部142内に、光学系120が収容される。また、ケース140の一端は、画像出力部接続部190との連結部となっている。
【0034】
また、図2(B)で示すように、電気‐光変換器110を光学系120の光軸bxに垂直な平面内で直交する2軸(X軸、Y軸と呼ぶ)方向に変位させるための変換器移動系170を、変換器収容部132に設ける。
【0035】
変換器移動系170は、電気‐光変換器110を保持し、X軸およびY軸方向に移動させる第1ステージ171と、X軸移動系172と、Y軸移動系173とを有する。
【0036】
X軸移動系172は、Y軸移動系173によってY軸方向に移動可能に保持された第2ステージ174と、両端が第2ステージ174に固定されX軸方向と平行に第1ステージ171を貫く2本の補助材175と、一端を第1ステージ171の側面部に固定し、他端は第2ステージ174の側面部を螺合して貫通しているX方向移動軸176と、X方向移動軸176の端部に固定され、X方向移動軸176を螺動させるX軸モータ177とを有している。
【0037】
Y軸移動系173は、変換器収容部132に固定された第3ステージ178と、両端を第3ステージ178に固定されY軸方向と平行に第2ステージ174を貫く2本の補助材175と、一端を第2ステージ174の側面部に固定し、他端は第3ステージ178の側面部を螺合して貫通しているY方向移動軸179と、Y方向移動軸179の端部に固定され、Y方向移動軸179を螺動させるY軸モータ180とを有している。
【0038】
また、X軸モータ177およびY軸モータ180には、両軸の回転数を計測する回転角センサ402が取り付けられており、その計測された各軸の回動角によって第1ステージ171の相対位置が検出される。
【0039】
X軸モータ177およびY軸モータ180は、駆動ユニットDの支持アーム駆動制御装置859(図8参照)にある図示していないX軸駆動モータコントローラおよびY軸駆動モータコントローラに制御される。
【0040】
センサ181は、図1(A)、(B)に示すように、画像出力部100の、ユーザUとの対向面に設置され、その検知域はユーザUの頭部が存在すべき空間、特に眼部が位置することが想定される付近である。センサ181の出力は、ケーブル800を介して駆動ユニットDの記憶装置853あるいは状態検出装置855(図8参照)に送られる。
【0041】
センサ181としては、例えば、撮像素子にCMOSを用いた超小型カメラが利用できる。
【0042】
音響出力部200は、音響出力信号を音響に変換するものである。本実施形態では、左音響出力部200Lと、右音響出力部200Rとが設けられている。
【0043】
音響出力部200は、通常、ヘッドホンとして製品化されているものを用いることができる。音響出力部200L,200Rは、後述するように、支持部300により、互いに近接する方向に付勢される。また、音響出力部200は、本実施形態では、その構造上、後述する支持部300と共に、当該HMDをユーザUの頭部1に装着させる際の、耳への当接部としても機能する。
【0044】
なお、本実施形態では、音響出力部200L側に、ケーブル800と内部配線とを接続する接続部(図示せず)が設けられている。
【0045】
支持部300は、図1に示すように、左右の音響出力部200Lと200Rとを連結するバンド310と、バンド310の一端側に設けられた第1の支持アーム320aと、を有する。第1の支持アーム320aは、バンド310の一端で連結固定されている。
【0046】
バンド310は、ユーザUの頭部1を後方から挟むことができるように湾曲した形状を持っている。そして、両端に音響出力部200Lと200Rとが連結固定されている。
【0047】
また、バンド310には、駆動ユニットDからのケーブル800に接続される配線(図示せず)が設けられている。これら配線のうち一部は、画像出力部100に通じ、電気−光変換器110と変換器移動系170に給電を行なう。他の一部は、左右の音響出力部200L,200Rに通じ、音響出力信号の供給を行なう。画像出力部100に通じる配線は、第1の支持アーム320aの内に設けられた配線と接続されている。
【0048】
バンド310の左端には、開口部312bが設けられている。第1の支持アーム320aは、この開口部312bに挿入され、固定されている。
【0049】
第1の支持アーム320aは、支持アーム可動部390aによって、第2の支持アーム320bと、回動可能に接続している。
【0050】
支持アーム可動部390aは、上下駆動モータ394と、上下駆動モータ軸395とを有している。この支持アーム可動部390aには、回動角センサ400が備えられている。
【0051】
上下駆動モータ394は、駆動ユニットDの支持アーム制御装置859にある上下駆動モータコントローラ410に制御される。
【0052】
上下駆動モータ軸395は、支持アーム可動部390aの回動軸である。したがって、モータ394には、回動軸(上下駆動モータ軸395)を直接ドライブする、ダイレクトドライブモータを用いることができる。なお、上下駆動モータ394は、ステッピングモータを用いることができる。また、上下駆動モータ軸395には回動角センサ400が設けられており、モータ回転軸395の回動角を検出する。
【0053】
この回動角センサ400は、駆動ユニットDの状態検出装置855に接続され、検出結果を状態検出装置855に送信する。
【0054】
第1の支持アーム320aに対する第2の支持アーム320bの回動方向は、上下駆動モータ軸395の方向(図1(C)の矢印A)を回動軸として、図1(B)の両矢印の方向Bである。
【0055】
画像出力部微動部396は、左右駆動モータ397と、左右駆動モータの駆動量を検出する左右駆動センサ401とを有する。
【0056】
左右駆動モータ397は、画像出力部微動部396にスライド可能に接続された画像出力部接続部190を介して、図1(A)の両矢印Cの方向に、画像出力部100を変位させる。左右駆動モータ397は、例えばリニア駆動のモータであってもよい。
【0057】
これらの回転機構やスライド機構は顔面のそばにあるため、機構を駆動する動力(上下駆動モータ394および左右駆動モータ397)には、低騒音の動力源を用いることが望ましい。例えば、超音波モータを用いることができる。
【0058】
左右駆動センサ401は、画像出力部接続部190の端部の位置を測定するセンサで、画像出力部接続部190の端部が画像出力部微動部396の内部にスライドして停止した、つまり、左側への待避動作が終了したことを検知するセンサにもなる。
【0059】
このセンサも、駆動ユニットDの状態検出装置855に接続され、検出結果を状態検出装置855に送信する。
【0060】
駆動ユニットDの支持アーム駆動制御装置859にある左右駆動モータコントローラ411は、左右駆動モータ397に接続され、左右駆動モータ397を制御する(図3参照)。
【0061】
画像出力部100は、支持アーム可動部390aによる上下方向の動き(正確には、上下駆動モータ軸395を中心とした弧を描く)と、画像出力部微動部396による左右の動きとの、2自由度をもつ動きが行なえる。
【0062】
画像出力部100は、センサ181を有している。センサ181は、画像出力部100の開口方向と略同方向に指向している。センサ181は、顔面部および頭部を撮影し、その情報を駆動ユニットDの記憶装置853に記憶する。
(駆動ユニット等)
本実施形態のHMDは、画像表示信号および音響出力信号と、上下駆動モータ394、左右駆動モータ397、X軸モータ177およびY軸モータ180に対する制御信号とを出力する駆動ユニットDとケーブル800を介して接続されることにより動作するものである。
【0063】
駆動ユニットDには、図8で示すように、画像出力部100に画像表示信号を送るため、当該画像表示信号を処理する画像出力信号処理装置851と、音響出力部200に音響出力信号を送るための音響出力信号処理装置852と、記憶装置853と、駆動ユニット全体を管理する中央制御装置854と、上下駆動モータコントローラ410、左右駆動モータコントローラ411、図示していないX軸駆動モータコントローラおよびY軸駆動モータコントローラを制御する支持アーム駆動制御装置859と、電源のオンオフおよび節電モードの制御を行うための電源制御回路856と、電池857とを有する。また、センサ181および各モータ軸に取り付けられたセンサから検出結果を受け取る状態検出装置855を有する。また、HMD本体と情報、信号等の授受をする入出力インタフェース858を有する。また、電源のオンオフを行うためのメインスイッチSWを有する。さらに、HMDと信号を授受するためのケーブル800のプラグ810を接続するためのコネクタが設けられている。また、電源として、充電可能な電池857と、電源制御回路856とが用意されている。
【0064】
電源制御回路856には、以下のような遅延回路が備わっている。電源制御回路856は、中央制御装置854に備わったタイマに連動し、予め定めた時間の後、画像出力部100および音声出力部200への給電を停止する。
【0065】
コネクタは、画像出力信号、音響出力信号、調光制御信号、光センサ検出信号等を接続するため、多ピン構造と成っている。また、コネクタの形状についても、断面円形に限られない。角型で、ピンがシングルインライン、デュアルインライン等の配列となっているものであってもよい。なお、各信号をパケット等により伝送する場合には、高周波数に対応することができるピンであればよい。その場合には、一定の通信プロトコルに従って、種々の信号をデータとして送ることとなる。この場合には、通信制御装置がさらに設けられる。
【0066】
記憶装置853には、プログラムのほか、画像表示信号および音響出力信号を生成する基となる画像情報、音響情報等が格納される。また、センサ181から送られた画像を保存する。記憶装置853としては、例えば、ハードディスク装置が用いられる。もちろん、これに限定されない。他の記憶媒体を用いることもできる。
【0067】
状態検出装置855は、センサ181から送られ記憶装置853に保存された複数の画像に基づいて、センサ181から見たユーザUの眼部の位置のずれを計算し、その結果を中央制御装置854に送る。
【0068】
次に第1実施形態の動作を説明する。
【0069】
本実施形態において、画像出力部100に備えられたセンサ181によってユーザUの眼部付近の画像を随時撮影する。
【0070】
撮影された画像変化を検出して、眼部の位置が画像出力部100(あるいはセンサ181)から見て予め定めた値を越えて移動している場合、中央制御装置854は、ユーザUが画像を見づらくなっていると認識する。そして、中央制御装置854は、この状況を改善するため、眼部の位置の変位を相殺するように、画像形成位置を変位させる制御を行なう。
【0071】
画像の位置を変位するには、画像出力部100の位置を2つのモータ(上下駆動モータ394および左右駆動モータ397)を駆動し変位させる場合と、画像出力部100内で画像900の表示位置を変更する場合とがある。また、それらを組み合わせた場合がある。
【0072】
まず、ユーザUは、HMDの利用を開始するため、HMD本体を頭部1に装着する。次に、ユーザUは駆動ユニットDに備えられた電源スイッチSWをオンにする。上下駆動モータ394によって第2の支持アーム320bが回動し、左右駆動モータ397によって画像出力部接続部190が変位する。そして、その先端部の画像出力部100が眼前に固定され、画像出力部100に画像の表示が開始される。
【0073】
画像の表示と共に、画像出力部100に取り付けられたセンサ181がユーザUの顔面部、特に眼部付近のモニタを開始する。
【0074】
次に、HMDが、このモニタされた画像を用いて、どのように眼部の位置のずれを測定するかを説明する。
【0075】
ずれの測定に利用できる情報は、ユーザUの眼とその近傍の形態情報である。この形態情報を用いてずれの測定をする例を図3〜4を用いて説明する。
【0076】
まず、予め定めた時間間隔で眼部付近の2画像を取得する。その時間間隔で2回撮影をしてもよいし、連続撮影或いは動画から予め定めた時間間隔で2画像を取得してもよい。
【0077】
その2画像を、ケーブル800、入出力インタフェース858を介して、駆動ユニットDの記憶装置853に送信し、保存する(図1および図8参照)。
【0078】
次に、状態検出装置855は、記憶装置853から呼び出した両画像を画像処理した後に比較し、その画像重心の位置のずれから眼部の位置のずれを推定する。
【0079】
画像比較にあたって、比較の基準となる眼部付近の画像を登録しておくようにしてもよい。この基準画像は、途中で再登録することができるようにしてもよい。
【0080】
図3に、処理の概要を示す。
【0081】
センサ181が眼部付近の撮影をし、ケーブル800、入出力インタフェース858を介して、駆動ユニットDの記憶装置853のフレームメモリ2にその画像を送る(ステップ1)。フレームメモリ2は、その画像を、保持している。
【0082】
予め定めた時間後に、再びセンサ181が眼部の撮影をし、同様に記憶装置853のフレームメモリ1に2回目の画像を送る(ステップ2)。フレームメモリ1は、2回目の画像を、保持している。
【0083】
次に、状態検出装置855の比較回路は、フレームメモリ1から2回目の画像とフレームメモリ2から1回目の画像(基準画像)とを取得し、それぞれに2値化の処理(後述)を行なう(ステップ3)。
【0084】
更に、比較回路は、2値化されたそれぞれの画像から、画像の重心検出(後述)を行なう(ステップ4)。
【0085】
比較回路は、2画像の重心から、重心位置の差を示す移動ベクトル(後述)を取得し(ステップ5)、その結果を中央制御装置854に送信する。この移動ベクトルが、センサ181から見たユーザUの眼部の位置のずれに相当する。
【0086】
図4に、上記の画像処理を、簡潔に示す。
【0087】
図4のA−1およびB−1は、センサ181に撮影された2値化前の通常の眼部付近の形態(S1、S2)の画像である。
【0088】
比較回路は、この両画像に、2値化の処理を行なう(A−2およびB−2参照)。この処理は、眼部付近の形態(S1、S2)の特徴を抽出する目的の処理である。まず、画像のピクセル毎の輝度を計算し、その画像全体の輝度分布から適当な境界値を設ける。そして、その境界値によって、各ピクセルの輝度を予め定めた二つの画素値(例えば、1および0(黒および白))に分類する。こうすることで、画像が2値化した眼部付近の形態(S3、S4)の画像となり、通常の眼部付近の形態(S1、S2)の特徴が抽出される。
【0089】
次に、2値化した2画像から、それぞれ画像重心(M1、M2)を検出する(図4A−3およびB−3)。この画像重心(M1、M2)は、いわゆる剛体の質量中心の概念を、画像に用いたもので、各質点での質量を各ピクセルでの画素値に置きなおしたものである。したがって、画像重心(M1、M2)は公知の簡単な計算式で得られる。
【0090】
さらに、比較回路は画像重心(M1、M2)からその移動ベクトル(差ベクトル)を計算する。そして、移動ベクトルを直交する2成分に投影し、移動ベクトルの2つの成分ベクトルを定める。
【0091】
移動ベクトルの長さ(眼部の位置の移動距離)が、予め定めた長さより大きくなった場合に、中央制御装置854は、ユーザUが画像900を見づらくなっていると判断する。
【0092】
第1実施形態では、この状態を解消するために、以下の2つの動作を取る。
【0093】
第1に、中央制御装置854は、駆動ユニットDの支持アーム駆動制御装置859を制御し、上下駆動モータ394および左右駆動モータ397を駆動し、眼部の画像出力部100に対する位置の変位を相殺するように画像出力部100を変位させる。
【0094】
第2に、中央制御装置854は、駆動ユニットDの支持アーム駆動制御装置859または画像出力信号処理装置851を制御し、電気−光変換器110を変位させ、あるいは画像出力部100内の表示画面150上の画像900を変位させ、眼部の画像出力部100に対する位置の変位を相殺する。
【0095】
第1と第2の動作は時間的に前後しているとよい。また、その順序は逆であってもよい。
【0096】
また、眼部の画像出力部100に対する位置の移動を相殺する動作は、画像出力部100を変位させる粗動動作と、電気−光変換器110を変位させる微動動作との組み合わせであってもよい。
【0097】
第1の動作を、より詳細に述べる。
【0098】
状態検出装置855は、移動ベクトルを検出し(図3のステップ5)、その値を中央制御装置854に送信する。中央制御装置854は、支持アーム駆動制御装置859を介して、移動ベクトルの値と左右駆動モータ397および上下駆動モータ394を駆動する指示を、左右駆動モータコントローラ411および上下駆動モータコントローラ410に送る(図3のステップ6および7)。左右駆動モータコントローラ411および上下駆動モータコントローラ410は、表示出力部100を移動ベクトル量だけ変位させるため、左右駆動モータ397および上下駆動モータ394を駆動する。その結果、画像出力部100は移動ベクトル量だけスライドおよび回動し、画像出力部100の位置を、眼部の位置変位を相殺するように、変位する(以下、位置補正とも呼ぶ)。
【0099】
以下の場合は、画像出力部100の変位を中止させるようにしてもよい。
【0100】
まず、移動ベクトル量だけ位置補正したときの表示出力部100の位置が、予め定められた表示出力部100の変位可能域を越える場合は、画像出力部100の変位を中央制御装置854が中止させるようにしてもよい。また、ユーザUが画像出力部100の変位を中止させる選択をできるようにしてもよい。
【0101】
また、画像出力部100の変位が、画像出力部接続部190の端部の変位限界値あるいは第2支持アーム320bの回動角の回動限界角に達した場合は、画像出力部100の変位を中央制御装置854が中止させるようにしてもよい。また、ユーザUが画像出力部100の変位を中止させる選択をできるようにしてもよい。
【0102】
なお、画像出力部100の変位量および回動角は、画像出力部接続部190の端部の位置を測定するセンサおよび第2支持アーム320bの回動角を測定する図示していないエンコーダによって随時モニタされている。
【0103】
次に、第2の動作(画像出力部100内で、画像900を変位させる動作)の詳細を説明する(図5参照)。
【0104】
第1の動作と同様に、まず状態検出装置855は、眼部の位置の変位量を検出し(ステップ5)、その値を中央制御装置854に送信する。中央制御装置854は、送られた眼部の位置のずれ値から、画像出力部100内の表示画面150において出力画像900をずらす量(相殺量)を計算する。中央制御装置854は、画像出力信号処理装置851に、その相殺量だけ出力画像の表示位置を変更する指示を送る。画像出力信号処理装置851は、その相殺量を用いて、出力画像の表示位置を変更し(ステップ6)、画像出力部100へ出力する(ステップ7)。
【0105】
図6は、出力画像900を変位させることで眼部の画像出力部100に対する位置の変位を相殺する過程、およびその表示の状態を示す。
【0106】
図6は、電気−光変換器110、光学系120、光学系120の軸bxと平行な軸cx、眼球Eb、眼球Ebの視線方向の軸axの位置関係を示す断面図である。図6(a)の状態では、視線方向の軸axと光学系120の軸bxとは一致している。図6(b)は、この状態でユーザUが見ることのできる、表示画面150に出力される出力画像900である。
【0107】
図6(c)は、ユーザUの眼部(あるいは画像出力部100)の相対位置が変位した状態の、電気−光変換器110、光学系120、光学系120の軸bxと平行な軸cx、眼球Eb、眼球Ebの視線方向の軸axの位置関係を示している。ユーザUの眼部(あるいは画像出力部100)が変位したため、眼球Ebと電気−光変換器110との位置関係が変わり、視線方向の軸axと軸cxとの間にずれ角dができている。これは、眼球Ebの視線方向が変わったためである。
【0108】
図6(d)は、図6(c)におけるずれ角dをゼロとするように、出力画像900の出力位置を補正したものである。これによって、視線方向の軸axと軸cxとが一致しているのが分かる。図6(e)は、その際画像出力部100の表示画面150に出力される出力画像900である。出力画像900の出力位置を補正したため、画像の一部がけられていて、表示されていないことが分かる。
【0109】
一方、電気‐光変換器110を変位させる場合は、画像出力信号処理装置851が出力画像900を表示画面150上で変位させる代わりに、電気‐光変換器110の位置を画像出力部100のなかで変更する。出力画像900の表示位置を変位させる場合と同様に、中央制御装置854は、送られた眼部の位置の変位量から、電気‐光変換器110の位置の変位量(相殺量)を計算する。その相殺量から、支持アーム駆動制御装置859に備わったX軸駆動モータコントローラおよびY軸駆動モータコントローラは、X軸モータ177およびY軸モータ180を駆動させる。X軸モータ177およびY軸モータ180は、電気‐光変換器110の位置を、眼部の変位に対して相殺するように変位させる。
【0110】
また、画像出力部100を変位させる第1の動作と同様に、第2の動作であっても、以下のような場合、その動作を中止してもよい。
【0111】
画像900を表示画面150上で変位させる場合では、まず、表示画面150上で変位されて表示されている画像900と表示画面150との面積比を求める(図6(e)参照)。この面積比が、予め定めた面積比を下回った場合(つまり、変位量が大きく画像900の表示面積が小さくなりすぎた場合)、画像900の変位を、中央制御装置854が中止させるようにしてもよい。また、ユーザUが画像900の変位を中止させる選択をできるようにしてもよい。
【0112】
電気‐光変換器110の位置を変位させる場合には、まず、X軸モータ177およびY軸モータ180に備えられた回転角センサ402によって各軸の回転数が計測され、第1ステージ171の相対位置が検出される。第1ステージ171が、予め求められた第1ステージ171の変位可能域を超えて、位置補正をしようとする場合は、第1ステージ171の変位を中央制御装置854が中止させるようにしてもよい。また、ユーザUが第1ステージ171の変位を中止させる選択をできるようにしてもよい。
【0113】
また、第1実施形態では、画像出力部100の位置変位と画像出力部100の中での画像900の変位とを組み合わせている。この組み合わせは、時間的に前後することが望ましい。また、その順序は、どちらが先に来ることも考えられる。
【0114】
例えば、図6(e)で示したように表示画面150上で画像900を変位させる場合には、画像900がけられる場合がある。この場合、次に画像出力部100の位置変位を行なえば、けられた画像を、更に補正することができる。
【0115】
もちろん、画像出力部100の位置変位のみで、ユーザUの眼部の位置変位を相殺させてもよい。また、画像出力部100の中で画像900を変位させるだけで、ユーザUの眼部の位置変位を相殺させてもよい。
【0116】
また、ユーザUの眼部の位置変位が予め定めた値を越えた場合に、画像出力部100の位置変位と画像出力部100の中での画像900の変位との何れも行なわない選択もありうる。この選択は、駆動ユニットDの中央制御装置854によってなされてもよいし、ユーザUが選択をできるようにしてもよい。
【0117】
第1実施形態の効果を以下に述べる。
【0118】
画像出力部100の位置は、上下、左右の2自由度を持つ2つ駆動機構で自動的に変更できる。したがって、広い範囲で、ユーザUの眼部とセンサ181との位置のずれに対応できる。
【0119】
また、画像出力部100の中で画像900の位置を変位させるには、駆動ユニットDの記憶装置853に新たな信号処理用のソフトウエアを追加するだけでよい。
【0120】
さらに、画像出力部100の電気‐光変換器110の位置の微動だけで、画像表示位置の補正に対処できる。
【0121】
また、画像出力部100の位置変位と画像900の位置の変位とを組み合わせることで、効率のよい画像表示位置の補正が可能となる。
【0122】
以上、第1実施形態を説明した。
【0123】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されるのもではない。その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0124】
第1実施形態の変形例として、センサ181とユーザUの眼部との位置関係ではなく、センサ181と、HMDを頭部に固定している音響出力部200との相対的な位置関係の変化を取得してもよい。この位置関係を得るには、例えば図7に示すようにセンサ181を音響出力部200に、マーカ901を画像出力部100に設け、マーカ901をセンサ181で撮影すればよい。この場合頭部への固定がずれた場合には対応できないが、同じHMD上にある特定の形(模様/色等)を持つマーカ901のみを撮影すればよいため、ロバストネスの向上、装置の単純化を図ることができる。この場合のデータ処理は、ユーザUの眼部を撮影した場合と同じでよい。
【0125】
また、センサ181を画像出力部100に、マーカ901を音響出力部200に設けてもよい。
【0126】
また、第1実施形態に、音響或いは画像の通常の出力を停止し、音響或いは画像の警告を出力した後、画像出力部100および音響出力部200への給電を停止する機能を付け加えた態様も可能である。
【0127】
例えば、画像出力部100が短周期(例えば1秒以下の周期)で振動し、かつ振動が継続した場合、ユーザUの眼部(付近)の位置のずれも短周期かつ継続して現れることが予想される。この場合、画像出力部100内での画像900の位置変位および2つのモータによる画像出力部100の変位では対処が難しい場合があり、警告の後給電を停止する本態様による対処法が可能である。
【0128】
したがって、給電を停止する条件として、眼部の位置変化(移動ベクトルの変化)の継続時間が、予め定めた時間を越えた場合とすることでも良い。また、この条件を、第1実施形態の相殺動作を開始する条件に加えても良い。つまり、眼部の画像出力部100に対する位置変化(移動ベクトルの変化)の継続時間が、予め定めた時間を越えた場合と、眼部の位置変化の距離(移動ベクトルの長さ)が、予め定めた値を越えた場合と、の何れかが満たされたとき、本態様のHDMが動作を停止すればよい。
【0129】
給電停止機能を有した本態様の構成は、駆動ユニットD(図8参照)の記憶装置853に警告用の画像と音声メッセージとを保存しておく以外には、第1実施形態の構成と同じである。
【0130】
その動作は、図9に示すように駆動ユニットDの状態検出装置855が、ユーザUの眼部の変位(移動ベクトル)からその変位量を検出するまでは、第1実施形態と全く同様である(図9のステップ5)。本態様では、更に、状態検出装置855は、中央制御装置854に備わったタイマに連動し、ユーザUの眼部の変位(移動ベクトル)の変化が継続する時間をモニタしている。この継続時間が予め定めた時間を越えた場合、中央制御装置854は、変位(移動ベクトル)の変化が継続することで、画像900がユーザUにとって見づらい画像になっていると判断する。この状況を解消する動作として、本態様のHMDは、それまで継続してきた音響或いは画像の出力を停止し、音響或いは画像による警告の後、画像出力部100および音響出力部200への給電を停止する動作を取ることができる(ステップ6〜8)。
【0131】
駆動ユニットDの電源制御回路856には、以下のような遅延回路が備わっている。電源制御回路856は、中央制御装置854に備わったタイマに連動し、予め定めた時間の後、画像出力部100および音声出力部200への給電を停止する。
【0132】
したがって、中央制御装置854は、まず、予め定めた時間の後に画像出力部100および音声出力部200への給電を停止させるように、遅延回路を制御する。次に、それまで継続してきた音響或いは画像の出力を停止し、予め定めた時間、警告用の画像メッセージ及び音声メッセージ、またはその何れか一方を出力するように、画像出力信号処理装置851および音響出力信号処理装置852を制御する。これらの制御によって、本態様のHDMは、それまで継続してきた音響或いは画像の出力を停止する。次に、予め定めた時間、画像出力装置100および音響出力装置200、またはその何れか一方は、警告用のメッセージを出力する。そして、画像出力部100および音声出力部200への給電が停止される。
【0133】
本態様では、眼部の変位の変化継続時間が予め定めた時間を越えた場合であっても、特別な動作をしない選択があってもよい。つまり、警告用のメッセージを出力せず、かつ画像出力部100および音声出力部200への給電を継続する選択肢を設けてもよい。この選択は、中央制御装置854によってなされてもよいし、ユーザUが選択できるようにしてもよい。
【0134】
【発明の効果】
簡素な機構で画像出力部とユーザの頭部との相対的な位置関係を検知し、その相対的な位置変化を相殺するように画像を変位できるヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの外観を示す上面図(A)および側面図(B)と、一部断面図(C)である。
【図2】第1実施形態において用いられる画像出力部の構成を示す一部破断平面図(A)と、一部斜視図(B)である。
【図3】第1実施形態において用いられる画像処理のフローチャート(1)である。
【図4】第1実施形態において用いられる画像処理を示す説明図である。
【図5】第1実施形態において用いられる画像処理のフローチャート(2)である。
【図6】第1実施形態における出力画像と視線の関係を示す説明図である。
【図7】第1実施形態の変形例に係るヘッドマウントディスプレイの外観を示す斜視図である。
【図8】各実施形態において適用可能なHMD駆動ユニットの構成要素を表すブロック図である。
【図9】第1実施形態の変形例において用いられる画像処理のフローチャートである。
【符号の説明】
H…ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
D…駆動ユニット、CN…コネクタ、
M1…画像重心、M2…画像重心、
S1…通常の眼部付近の形態、S2…通常の眼部付近の形態、S3…2値化した眼部付近の形態、S4…2値化した眼部付近の形態、SW…電源スイッチ、
U…ユーザ、Eb…眼球、
ax…眼球の視線の軸、bx…光学系120の軸、cx…光学系120の軸と平行な軸、d…ずれ角、
1…頭部、
100…画像出力部、110…電気‐光変換器、120…光学系、121…レンズ系、130…鏡筒、131…レンズ収容部、132…変換器収容部、133…遮光部、140…ケース、141…覆い板、142…開口部、143…連結部、150…表示画面、151…オフディレイ設定ウィンドウ、152…オフ対象選択ウィンドウ、159…矢印アイコン、170…変換器移動系、171…第1ステージ、172…X軸移動系、173…Y軸移動系、174…第2ステージ、175…補助材、176…X方向移動軸、177…X軸モータ、178…第3ステージ、179…Y方向移動軸、180…Y軸モータ、181…センサ、190…画像出力部接続部、
200(200L,200R)…音響出力部、
300…支持部、310…バンド、第1の支持アーム320a、第2の支持アーム320b、340…支持アーム支持部、394…上下駆動モータ、395…上下駆動モータ軸、396…画像出力部アクチュエータ、397…左右駆動モータ、
400…回動角センサ、401…左右駆動センサ、402…回動角センサ、410…上下駆動モータコントローラ、411…左右駆動モータコントローラ、
800…ケーブル、810…プラグ、851…画像信号処理装置、852…音響出力信号処理装置、853…記憶装置、854…中央制御装置、855…状態検出装置、856…電源制御回路、857…電池、858…入出力インタフェース、859…支持アーム駆動制御装置、
900…出力画像、901…マーカ。
Claims (10)
- ユーザの頭部に装着されて画像表示を行うヘッドマウントディスプレイにおいて、
画像を表示する画像出力部と、
前記画像出力部を前記ユーザの眼前の位置に支持する支持部と、
前記ユーザの頭部の存在が想定される空間に検出域を有するセンサと、
前記センサからの信号を処理する信号処理部と、
前記信号処理部からの出力に応じて前記画像の位置を変位させる変位手段とを備え、
前記信号処理部は、前記信号を基に前記ユーザと前記画像出力部との相対的な位置関係の変化量を検出し、前記画像の位置を変位させて前記変化量を相殺する相殺量を算出し、
前記変位手段は、前記画像の位置を前記相殺量だけ変位させること
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ。 - ユーザの頭部に装着されて画像表示を行うヘッドマウントディスプレイにおいて、
画像を表示する画像出力部と、
前記画像出力部を前記ユーザの眼前の位置に支持する支持部と、
前記支持部を前記ユーザの頭部に固定する固定部と
前記固定部の特定部位を検出域内に望むセンサと、
前記センサからの信号を処理する信号処理部と、
前記信号処理部からの出力に応じて前記画像の位置を変位させる変位手段とを備え、
前記信号処理部は、前記信号を基に前記固定部と前記画像出力部との相対的な位置関係の変化量を検出し、前記画像の位置を変位させて前記変化量を相殺する相殺量を算出し、
前記変位手段は、前記画像の位置を前記相殺量だけ変位させること
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ。 - 前記変位手段は、
前記画像出力部内における前記画像の表示位置を変位することで、前記画像の位置を変位すること
を特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイ。 - 前記変位手段は、
前記画像出力部の位置を変位することで、前記画像の位置を変位すること
を特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイ。 - 前記変位手段は、
前記画像出力部内において前記画像の表示位置を変位させること及び前記画像出力部の位置を変位させることの両方の手段によって前記画像の位置を変位すること
を特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイ。 - 請求項1または2のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記画像出力部は、画像表示素子を有し、
前記変位手段は、
前記画像表示素子上で前記画像の表示位置を変位させること、あるいは前記画像表示素子を変位させることの何れかであること
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ。 - 請求項4または5に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
前記変位手段は、回動機構およびスライド機構、或いはその何れか一方を有し、
前記回動機構および前記スライド機構、或いはその何れか一方は、前記画像出力部の位置を変位させること
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
更に、前記画像の位置の変位を行なうか否かを、選択する選択手段を有すること
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ。 - 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
音響を出力する音響出力部と、
前記音響の出力、前記画像の出力および電源とを制御する制御手段とをさらに有し、
前記信号処理部は、前記相対的な位置関係の変化を検出し、
前記制御手段は、前記相対的な位置関係が所定範囲外である場合に、前記電源を制御し、出力されている前記音声と前記画像の出力を停止し、一定時間、前記音声および前記画像、或いはその一方による警告メッセージを出力し、その後前記音声および前記画像の出力を停止するディレイオフ制御を行なうこと
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ。 - 請求項9に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
更に、前記ディレイオフ制御を行なうか否かを選択する第2の選択手段を有すること
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
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- 2003-03-28 JP JP2003092139A patent/JP2004304296A/ja active Pending
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