JP2004301738A - 地震情報収集システムおよび地震情報収集装置ならびに地震情報収集方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サーバー20は一つの地震が発生すると、その地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、その1つの地震に関する一連の地震動のデータと、その地震が発生した際の配管網やガスの状態に関するデータとを対応付けて、例えば(地震1;前震,本震,余震A,余震B,P,Q,R)のように一つの地震における情報として纏めて、主記憶装置21に記憶させる(記録する)。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばガス供給配管における地震発生時の防災対策のために有用な地震情報収集システムおよび地震情報収集装置ならびに地震情報収集方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば都市ガスのような流体を輸送するための配管網では、その配管網におけるガバナが設置されている拠点毎などに感震器を設置しておき、地震が発生した際には、その感震器によってSI値また震動加速度などのデータを地震動に関する情報として計測(検出)し、その地震動に関する情報を、例えばガス管理会社内に設けられた地震情報収集装置によって無線または専用回線もしくは一般電話回線等のような通信手段を介して収集する、というシステムが提案されている。
【0003】
さらに詳細には、例えば、所定の大きさ以上の地震動が検出されると、地震情報収集装置は地震が発生したものと自動的に判定し、そのとき検出されたSI値のような地震動の大きさの値をはじめとして、ガバナの遮断状態、輸送される流体の圧力値や流量値、配管の破損状態、漏洩発生のような各種の情報を、本震か余震かを問わず、その都度ごとに、各拠点から収集して記録するようにしていた。
【0004】
また、地震が発生した際に検出されたSI値のような地震動の大きさの値と、過去の地震発生の際の統計的事実の記録とに基づいて、被害発生の推定を行うという技術も提案されていた。
【0005】
ここで、例えば都市ガスの配管網は一般に、広い地域に亘って複雑な地理的配置となっている。このため、地震が発生した際の正確で確実な防災を実現するためには、できるだけ多くの拠点から情報を収集することが望ましい。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−168963号公報(発明の詳細な説明全体)
【特許文献2】
特開2000−75040号公報(発明の詳細な説明全体)
【特許文献3】
特開2002−188800号公報(発明の詳細な説明全体)
【特許文献4】
特開平11−84017号公報(発明の詳細な説明全体)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、都市ガスの配管網などでは、広い地域に分散された多数の拠点の一つ一つからその拠点毎での地震に関する情報を収集することになるので、そのようにして収集された情報量は極めて多大なものとなる傾向にある。
【0008】
また、地震が発生した際には、本震の他にも余震が多発するが、従来の技術では、その余震の一つ一つを個別の地震として記憶するようにしているので、例えば地震情報収集装置として用いられるサーバのような情報処理装置におけるデータ記憶量やデータ処理量が莫大なものとなり、サーバがいわゆるパンク状態になってしまう虞があるという問題があった。
【0009】
ここで、検出対象とする地震動の大きさのしきい値を低くすると、多数の余震を拾うことになるので、地震について詳細な情報を得ることはできるが、その分、収集および記憶するデータ量が多くなる傾向にある。逆に、検出対象とする地震動の大きさのしきい値を高くすると、本震およびそれに近い大きな余震のみを拾うことになるので、収集および記憶が要請されるデータ量は削減されることになるが、そのときの地震について得られる詳細な情報量も少なくなってしまう傾向にある。
【0010】
このため、地震に関する精確なデータの収集を実現するために、対象とする地震動の大きさのしきい値を低くして、ほとんど全てのめぼしい余震を記録するように設定すると、サーバでの収集および記憶に必要なデータ量が莫大なものとなり、サーバがいわゆるパンク状態となってしまうという不都合が生じる。しかし、サーバでの収集および記憶が要請されるデータ量を削減するために、検出対象とする地震動の大きさのしきい値を高くして余震に関するデータを無視してしまうようにすると、地震に関する精確な(詳細な)データの収集ができなくなり、延いてはそのような地震に関するデータに基づいて行われるガバナの強制遮断や復旧の的確な判断等を誤らせる要因ともなり得る。また、一つの地震に関しての粗いデータは残せるが、精確なデータの記録を残すことができなくなるという不都合も生じる。
【0011】
また、余震等のデータ量が多くなると、いわゆる被害推定を行うに際してのデータ処理に要する時間が長く掛かるようになってしまい、被害推定の演算の高速処理化の妨げとなるという問題があった。
【0012】
また、配管網における多数の各拠点から収集した情報は、その配管網の地理的な表示と共に表示出力することによってユーザに視覚的に提示することが望ましいが、元より広い区域に亘って複雑な形状に敷設されている配管網は、画像として表示するために画像データ化すると、多数の拠点ごとの地震動に関するデータや被害推定状況に関するデータなどのデータ量の多さと相俟って、余りにも重いデータとなってしまい、その結果、そのデータ処理や表示処理等に長い時間が必要となって、データの高速処理化や表示の迅速化の妨げとなるという問題があった。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、地震に関するデータ量を莫大なものとすることなく、余震等のデータも含めた地震発生時の防災等に用いるのに有効である必要十分な量のデータ(情報)を記憶あるいは処理することを可能とした、地震情報収集システムおよび地震情報収集装置ならびに地震情報収集方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の地震情報収集システムは、地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段を有する地震時遠隔監視装置と、前記地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報を収集する地震情報収集手段と、当該地震の発生から所定時間に亘って検出される地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段とを有する地震情報収集装置とを備えている。
【0015】
また、本発明による第1の地震情報収集装置は、地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段を有する外部の地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報を収集する地震情報収集手段と、当該地震の発生から所定時間に亘って検出される地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段とを備えている。
【0016】
また、本発明による第1の地震情報収集方法は、地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出プロセスと、前記検出された地震動の情報を収集し、当該地震の発生から所定時間に亘って検出される地震動の情報を一つの地震に関する一連の地震動の情報として纏めて記憶する地震情報記憶プロセスとを含んでいる。
【0017】
本発明による第1の地震情報収集システムまたは地震情報収集装置もしくは地震情報収集方法では、地震が発生すると、その地震による地震動の情報を検出し、その検出された地震動の情報を収集し、そのときの地震の発生から所定時間に亘って検出される地震動の情報を一つの地震に関する一連の地震動の情報として纏めて記憶する。このようにすることにより、従来のような多数の余震のそれぞれを別個の地震としてとらえてその都度ごとに記憶していたといった記憶容量の無駄遣いが削減される。
【0018】
本発明による第2の地震情報収集システムは、所定種類の流体を輸送する配管網に設けられて、地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段と、前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出手段とを有する地震時遠隔監視装置と、前記地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを前記地震時遠隔監視装置から通信手段を介して収集する地震情報収集手段と、一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段とを有する地震情報収集装置とを備えている。
【0019】
また、本発明による第2の地震情報収集装置は、所定種類の流体を輸送する配管網に設けられて地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段と、前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出手段とを有する外部の地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを、前記地震時遠隔監視装置から通信手段を介して収集する地震情報収集手段と、一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段とを備えている。
【0020】
また、本発明による第2の地震情報収集方法は、所定種類の流体を輸送する配管網における、地震が発生した際の当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出プロセスと、前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出プロセスと、前記地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを収集する地震情報収集プロセスと、一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶プロセスとを含んでいる。
【0021】
本発明による第2の地震情報収集システムまたは地震情報収集装置もしくは地震情報収集方法では、一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する。このようにすることにより、多数の余震が発生しても、それらは本震と共に一纏めにして一つの地震として(換言すればデータ的には一連のデータとして)記憶されると共に、その一つの地震に対して一つの配管網や流体の状態に関するデータが対応付けられて記憶されるので、従来のような多数の余震や前震のそれぞれを別個の地震としてとらえて、その多数の余震の一つ一つごとに、配管網または流体の状態に関する情報をわざわざ別個にそれぞれ添付して記憶していたような記憶容量の無駄遣いが全く削減されて、記憶や処理の対象となるデータの飛躍的なコンパクト化が達成される。
【0022】
本発明による第3の地震情報収集システムは、所定種類の流体を輸送する配管網に設けられて、地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段と、前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出手段とを有する地震時遠隔監視装置と、前記地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを前記地震時遠隔監視装置から通信手段を介して収集する地震情報収集手段と、一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段と、前記地震動の情報と前記地震の発生に起因した前記配管網における被害発生率の情報とをあらかじめ対応付けたデータベースを備えており、前記地震動の情報が収集されて来ると、当該地震動の情報に対応した被害発生率の情報を前記データベースから読み出して当該地震に起因した前記配管網における被害発生の推定を行う配管網被害推定手段とを有する地震情報収集装置とを備えている。
【0023】
また、本発明による第3の地震情報収集方法は、所定種類の流体を輸送する配管網における、地震が発生した際の当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出プロセスと、前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出プロセスと、前記検出された地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを収集する地震情報収集プロセスと、一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶プロセスと、前記地震動の情報と前記地震の発生に起因した前記配管網における被害発生率の情報とをあらかじめ対応付けてデータベース化しておき、前記地震動の情報が収集されて来ると、当該地震動の情報に対応した被害発生率の情報を前記データベースから読み出して被害発生の推定を行う配管網被害推定プロセスとを含んでいる。
【0024】
本発明による第3の地震情報収集システムまたは第3の地震情報収集方法では、上記のような処理および記憶する対象の情報をコンパクト化することに加えて、地震動の情報と地震の発生に起因した配管網における被害発生率の情報とをあらかじめ対応付けてデータベース化しておき、実際に地震動の情報が収集されて来ると、そのときの地震動の情報に対応した被害発生率の情報をデータベースから読み出して被害発生の推定を行うようにしているので、地震が発生した際に検出される地震動の情報に対応してその都度ごとに被害発生の推定を行う場合と比較して、その被害発生の推定のプロセスに要する時間の飛躍的な短縮化(換言すれば被害発生の推定プロセスの飛躍的な高速化)が達成される。
【0025】
なお、上記の地震動の情報としては、一つの地震におけるSI値または震動加速度もしくはマグニチュードの最大値などを採ることが可能である。このように最大値のみを採って記憶することにより、地震動の情報それ自体として記憶されあるいは処理されるデータのコンパクト化が達成される。
【0026】
また、前記最大値を、当該最大値が検出された時刻の情報と対応付けて前記地震動の情報として記憶するようにしてもよい。
【0027】
すなわち、上記のように最大値のみを採る場合、地震動の情報としてはその最大値の1点のみとなるが、実際には地震は前震や余震を含めると数時間以上も継続する場合が多いので、その最大の地震動が発生した時刻を精確に特定することが困難となる虞がある。そこで、その最大値が検出(計測)された時刻を、その最大値のデータと共に記憶することが望ましいということになる。
【0028】
また、前記地震動の情報として、前記一つの地震におけるSI値または震動加速度もしくはマグニチュードの値における、所定時間以上に亘って継続的に最大値であった値を、当該値が検出された時刻の情報と対応付けて、前記地震動の情報として記憶するようにしてもよい。
【0029】
すなわち、上記のように一つの地震あたりの最大値を採る場合には、実質的に本震のみを検出することになるが、実際にはそれ以外にもかなり大きな余震も多数存在しており、それらは記録に残らないことになってしまう虞がある。そこで、一つの地震あたりの最大値以外にも、所定のタイムスパンに亘って最大値であれば、それも「比較的大きな余震」としてデータを採る対象に加えるようにすることで、そのような比較的大きな複数の余震等についても記録できるようにする。このようにすることにより、本震のような最大値の地震動以外にも、震災被害の要因となり得る可能性の高い比較的大きな地震動である複数個の余震等についてのデータも採って記録に残すことが可能となる。
【0030】
また、上記の地震情報収集装置は、所定時間の経過後も所定の予備時間に亘って前記地震時遠隔監視装置からの前記情報の収集を継続するようにしてもよい。このようにすることにより、一つの地震の計測時間としてあらかじめ想定された所定時間が経過した後に大きな余震等が発生したような場合でも、その余震に関する地震動値や被害状態などのデータを収集し記録することが可能となる。
【0031】
また、前記配管網に関する地理的データを、座標データとしてバイナリデータ化して取り扱うようにしてもよい。このようにすることにより、配管網に関する地理的データを、いわゆる重い画像データとして取り扱う場合と比較して、そのデータ量やデータ処理に要する時間等を著しく削減することができる。
【0032】
ここで、上記の流体が可燃性のガスであり、配管網がガスを輸送または供給対象としたガス配管網であるものとして、ガス配管網用の地震情報収集システムまたは地震情報収集装置もしくは地震情報収集方法としてもよい。すなわち、本発明はガス配管網用の地震情報収集システムまたは地震情報収集装置もしくは地震情報収集方法として好適に利用可能なものである。
【0033】
また、上記の配管網または流体の状態に関する情報としては、配管網に設けられた遮断弁装置付きのガバナのような流体供給調節器における流体の遮断状態(開閉状態)、流体の圧力状態、流体の流量状態または流速状態のうちの、少なくともいずれか一種類の情報ないし全種類、あるいはそれらの複数種類の情報の組み合わせなども可能であることは言うまでもない。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るガス配管網用の地震情報収集システムとしての機能を含んだ超高密度リアルタイム地震防災システムの主要部の構成を表したものである。
【0036】
なお、本発明の実施の形態に係る地震情報収集装置または地震情報収集方法は、この地震情報収集システム(超高密度リアルタイム地震防災システム)の動作あるいは作用によって具現化されるものであるから、以下、それらを併せて説明する。
【0037】
この超高密度リアルタイム地震防災システムは、端末装置10と、サーバ20と、地震時遠隔監視装置30とから、その主要部が構成されている。
【0038】
地震時遠隔監視装置30は、都市ガスの配管網が敷設されている都市ガス供給エリア内の、例えば3700か所のような極めて多数の主要拠点ごとに配置されているガバナ31に付設されて、その拠点毎で地震発生時の各種情報の収集およびガバナ31の遠隔遮断制御を行うものである。
【0039】
さらに詳細には、この地震時遠隔監視装置30は、SIセンサ32と、感震器33と、圧力センサ34と、流量センサ35と、遠隔遮断ユニット36と、情報処理ユニット37と、通信ユニット38とを備えている。
【0040】
SIセンサ32は、この地震時遠隔監視装置30が設置されている地点における地震発生時に観測されるSI値の情報を出力する。
【0041】
感震器33は、この地震時遠隔監視装置30が設置されている地点における、地震発生時に観測される震動加速度(Gal)を計測し、その震動加速度計測値の情報を出力する。
【0042】
圧力センサ34は、それが付設されている中圧配管におけるガスの圧力を計測して、その圧力の計測値の情報を出力する。また、流量センサ35は、それが付設されている中圧配管におけるガスの流量を計測して、その流量計測値の情報を出力する。
【0043】
遠隔遮断ユニット36は、地震発生時などに、後述する情報処理ユニット37によって制御されて、ガバナ31を自動的に遮断する制御を行う。あるいは、外部のサーバ20を介して端末装置10からの命令を受けて、ユーザによって入力装置400で遠隔操作されて、ガバナ31を遮断する制御を行う。また、例えば地震に起因した災害等の危険性が解消された際などには、外部のサーバ20および端末装置10からの命令を受けて遠隔操作されて、それまで遮断状態にあったガバナ31を復帰する(開状態に戻す)制御を行う。
【0044】
また、この遠隔遮断ユニット36は、SIセンサ32で計測されたSI値が10[kine]および感震器33で計測された震動加速度が50[Gal]以上となった場合にのみ遠隔遮断命令を受け付けるようにすることで、誤遮断等を防止するという、ゲート機能なども備えている。
【0045】
情報処理ユニット37は、SIセンサ32から送られて来たSI値および震動加速度の計測値の情報、圧力センサ34から送られて来たガスの圧力の計測値の情報、流量センサ35から送られて来たガスの流量の計測値の情報を、それぞれサーバ20で処理可能となるようにデータ化して、その各種類の情報のデータに対してその各々が計測された時刻の情報を付け合わせて、通信ユニット38および一般電話回線のような39等を介して外部のサーバ20へと送出する。
【0046】
また、この情報処理ユニット37は、SIセンサ32から出力されたSI値や震動加速度の情報に基づいて、例えばSI値が所定のしきい値を超えた大きさであった場合(換言すれば地震動が所定の大きさを超えた強い震動であった場合)などには、それを検知して、遠隔遮断ユニット36に対してガバナ31を自動的に遮断する制御を行う命令を伝送する。その命令を受けて、遠隔遮断ユニット36では、ガバナ31を遮断する制御を行う。あるいは、外部のサーバ20および端末装置10から、通信ユニット38および一般電話回線のような通信手段39等を介して、ガバナ31の遠隔操作命令が伝送されて来ると、その命令を遠隔遮断ユニット36に入力して、その命令に従った遠隔遮断制御を遠隔遮断ユニット36に実行させる。
【0047】
また、この情報処理ユニット37は、ガバナ31が遮断状態にあるか開放状態にあるかについての情報を、通信ユニット38等を介してサーバ20に伝送する機能も備えている。
【0048】
サーバ20は、地震時遠隔監視装置30によって計測されて伝送されて来た地震動の情報であるSI値および震動加速度のデータと、配管網中のガスの圧力や流量に関するデータおよびガバナ31の開閉状態についての情報とを、拠点毎の地震時遠隔監視装置30から通信手段39を介して収集する、地震情報収集手段(あるいは地震情報収集装置)としての機能を備えており、またそのようにして収集されたデータを記憶するための主記憶装置21を内蔵している。
【0049】
配管網が敷設されたガス供給区域内に設置されているいずれかの地震時遠隔監視装置30で例えば震度3以上の地震動が検知されて、その旨の情報が当該地震時遠隔監視装置30からサーバ20へと伝送されて来ると、この超高密度リアルタイム地震防災システム全体が地震モードに移行する。
【0050】
そしてこのサーバ20では、一つの地震が発生すると、その地震の発生時点から例えば6時間のような所定時間に亘って検出された地震動の情報を、1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、その1つの地震に関する一連のSI値および震動加速度の情報(地震動の情報)と、その地震が発生した際のガスの圧力状態および流量状態ならびにガバナ31の遮断状態に関する情報とを、対応付けて一つの地震における情報として纏めて主記憶装置21に記憶させるようにしている。
【0051】
一例として、図2に模式的に示したように、前震が検知されると、サーバ20では、その時点から6時間に亘って一つの地震が継続しているものと見做して、そのときの地震に関する一連の情報収集を行う。この図2の一例では、このときの一つの地震を地震1と呼ぶものとすると、この地震1は、前震が発生した後、本震が発生し、続いて余震A,余震Bが発生しているが、このサーバ20では、これらを別個の地震としてとらえるのではなく、前震が発生してから6時間のうちに、前震→本震→余震A→余震Bのような順で発生した一つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、それらの地震動のデータを(前震,本震,余震A,余震B)のように一纏めにして1ログのデータとして記憶する。そしてその一纏めの地震動のデータに対して、そのときの一つの地震におけるガスの圧力のデータ(P)および流量のデータ(Q)ならびにガバナ31の開閉状態のデータ(R)のデータを対応付けて、(地震1;前震,本震,余震A,余震B,P,Q,R)のようにして、一纏めのデータとして記憶する。なお、図2では説明および図示の簡潔化を図るために余震は余震A,余震Bの2つしか示していないが、実際にはさらに多数の余震が発生する場合が多い。しかし、そのように余震が多数であっても、基本的には図2で模式的に示したような手法で、それら多数の余震を一つの地震1における一連の地震動のデータとして一纏まりにして記憶することに変りないことは言うまでもない。
【0052】
このようにして、本実施の形態に係る超高密度リアルタイム地震防災システム(地震情報収集システム)によれば、多数の余震が発生しても、それらは本震と共に一纏めにして一つの地震として(換言すればデータ的には一連のデータとして)記憶されると共に、その一つの地震に対して一つの配管網や流体の状態に関するデータが対応付けられて記憶されるので、比較例として図6に示したような多数の余震や前震のそれぞれを別個の地震としてとらえてその多数の余震の一つ一つごとにガス圧力やガス流量などの状態に関する情報をわざわざ別個にそれぞれ添付して記憶していたような記憶容量の無駄遣いを、ほとんど全く削減して、記憶データのコンパクト化およびデータ処理の飛躍的な時間短縮化を達成することができる。
【0053】
あるいは、一つの地震におけるSI値や震動加速度の最大値のみを採ってデータとして記憶するようにしてもよい。このようにすることにより、地震動の情報それ自体として記憶されあるいは処理されるデータの、さらなるコンパクト化を達成することができる。
【0054】
但し、最大値のみをデータとして記憶する場合には、一つの地震に関する地震動の情報としてはその最大値の1点のみとなるが、実際には地震は前震や余震を含めると数時間以上も継続する場合が多いので、その最大の地震動が発生した時刻を精確に特定することが困難となる虞がある。そこで、その最大値が検出(計測)された時刻を、その最大値のデータと共に記憶することが望ましい。
【0055】
あるいは、例えば6時間以内のような一つの地震が継続する時間内では、多数の余震によって計測されるSI値や震動加速度が時事刻々と変化するが、そのうちの、例えば10分間のような所定時間以上に亘って継続的に最大値(極大値)となった値を、その値が検出された時刻の情報と対応付けて、地震動のデータとして記憶するようにしてもよい。
【0056】
例えば図3に示した一例では、突出した大きさの地震動としては、30Kine未満の比較的小さな地震動Aと、30Kine超の比較的大きな地震動Bとが発生し(計測され)ているが、この場合、新たに計測されたSI値をすでに計測されて一時的に保持されている履歴データと比較して、より大きなデータの方にインクリメント(逐一更新書き換え)することで、最大値のみをデータとして採ることができる。このようにして最大値のみをデータとして採るようにすることにより、記憶するデータのコンパクト化を達成することができる。しかし他方、このように最大値のみをデータとして採るようにすると、最大の地震動Bのみがそのときの地震のデータとして記録され、比較的小さいが実際には震災の要因となり得る地震動Aなどは記録されないことになる。実際には、この地震動Aのような余震も多数発生するので、それらは記録に残らないことになってしまうと不都合が生じる虞がある。そこで、本震のような一つの地震における最も大きな地震動以外にも、例えば10分間のような所定のタイムスパン以上の時間に亘って最大値(極大値)であり続けた地震動Aのような中小規模の地震動のデータについても記録に残すようにしてもよい。
【0057】
ここで、地震情報収集手段(装置)であるサーバ20は、所定時間の経過後も所定の予備時間に亘って地震時遠隔監視装置30からのデータの収集を継続するようにしてもよい。そしてその予備時間が経過すると、そのときの一つの地震に関しての全てのデータ収集を終了して、それまでの間に収集した一連のデータを主記憶装置21に記憶させるようにすることが望ましい。このようにすることで、一つの地震の継続時間としてあらかじめ想定された、例えば6時間のような所定時間が経過した後に、震災の要因となり得るような大きな余震が発生した場合などでも、その余震についてもSI値や振動加速度などのデータを収集し記録することが可能となるからである。
【0058】
端末装置10は、サーバ20によって各拠点から収集された各種情報を読み出して、配管網の地図的表示等と共に表示装置300の画面に表示出力する機能、ユーザが所望する拠点の地震時遠隔監視装置30に対してサーバ20を介してアクセスし、遠隔遮断ユニット36を遠隔操作してガバナ31の強制遮断を行う機能等を備えている。
【0059】
この端末装置10に付設されている表示装置300の画面には、配管網の画像が表示されるが、その配管網の画像を表示するためのデータは、座標データとしてバイナリデータ化して取り扱われているので、いわゆる重い画像データとして取り扱う場合と比較して、そのデータ量やデータ処理に要する時間等を著しく削減することが可能となっている。例えば、ガス供給区域内における東経140度上を南北方向に直線的に配置された配管のデータは、(140, 35.11),(140, 35.12),(140, 35.13),(140, 35.14),(140, 35.15)…のように、座標データとして記憶され処理され、その配管網における地震時遠隔監視装置30が設置された各拠点はそれぞれ1点の座標データで、例えば(140, 35.15)のようにデータ化されているので、それらの配管網の地理表示を行うためのデータおよび地震時遠隔監視装置30の設置位置を表示するためのデータを画像データとして取り扱う場合と比較して、端末装置10においてもサーバ20においても、データとして極めて簡素で取り扱いが容易なものとなっている(このような座標データの取り扱いおよび画像表示のさらに具体的な手法については第2の実施の形態でさらに詳述する)。
【0060】
なお、地震動のデータは、記録については上記のように一つの地震における一連のデータとして纏めて主記憶装置21に記憶させる(記録する)が、ガバナ31を遮断するか否かの判定については、前震、本震、余震A、余震B…という一つ一つの地震動について個別に、そのSI値や振動加速度の値ごとに行うようにすることが望ましい。換言すれば、SI値や振動加速度の最大値のみをデータとして主記憶装置21に記憶させる場合であっても、その最大値以外の多数の余震等のデータは無視するのではなく、ガバナ31の遮断を行うか否かの判定を行うための情報として端末装置10に送出して、ユーザが現在の地震動の情報として確認することができるようにすることや、地震時遠隔監視装置30の内部で自動遮断を行うか否かの自動判定を行うための情報として利用できるようにすることが望ましい。
【0061】
[第2の実施の形態]
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るガス配管網用の地震情報収集システムとしての機能を含んだ超高密度リアルタイム地震防災システムにおける、特にサーバの主要部の構成を表したものである。なお、説明および図示の簡潔化を図るために、第1の実施例と同様の部位については、同一の符号を付して同一の名称で呼ぶものとし、その詳細な説明については省略する。
【0062】
この第2の実施の形態に係るガス配管網用の地震情報収集システムとしての機能を含んだ超高密度リアルタイム地震防災システムでは、サーバ20が、第1の実施の形態のものに加えて、地震動の情報と地震の発生に起因したガス配管網における被害発生(被害発生率でもよい)の情報とをあらかじめ対応付けたデータベースを備えており、地震動の情報が収集されて来ると、そのときの地震動の情報に対応した被害発生の情報をデータベースから読み出して、そのときの地震に起因したガス配管網における被害発生の推定を行う配管網被害推定手段としての機能を、さらに備えている。
【0063】
さらに詳細には、サーバ20は、図4に示したように、臨界値記憶部100と、破損発生推定部200とを備えており、外部の端末装置10ならびに地震時遠隔監視装置30に接続されている。
【0064】
臨界値記憶部100は、例えば南西関東地域ほぼ全域のような所定地域内に網目状に張り巡らされた都市ガスの配管網を、例えば所定の大きさのメッシュ状に区切って複数のセグメントごとで分割掌握するようにして、そのセグメント毎に、識別番号(N=1,2,3…)を付して、地盤の固有振動周期(T)または固有振動波長(L)と配管の破損が生じる臨界変形量(Dcr)とに基づいて予め求められた、そのセグメント内の配管に破損が発生する臨界の地震動値である臨界地震動値(SIcr)のデータと、地震が発生した場合の地盤の流動化に起因した流動方向で配管に破損が生じることが予め推定される流動臨界変形量(δcr)のデータと、そのセグメントが所定地域における地図上のどの位置に存在しているのかについてのデータ((x,y);例えば直交座標データ)とを、対応付けてデータベース化して記憶している。またこの臨界値記憶部100は、配管網が配設されている地域の地図および配管網を表示装置300の表示デバイス302の画面に表示するためのデータ等も記憶している。
【0065】
例えば、第nセグメント(N=n)について、その第nセグメントの地図中での位置のデータが(x,y)、地盤の固有振動周期がT、固有振動波長がL、臨界変形量がDcr、流動臨界変形量がδcrである場合、臨界値記憶部100には、第nセグメントのデータとして、{N=n,(x,y),T,L,Dcr,δcr,SIcr}という最大7種類のデータが一纏まりにして記憶されている。このデータは、臨界値記憶部100から読み出される際にも、上記のように{N,(x,y),T,L,Dcr,δcr,SIcr}という一纏まりの状態で取り扱われる。なお、入力された地震動の情報に対応して発生する配管の破損等の被害を推定する際に用いるデータが実質的にn,(x,y),SIcr,δcrの4種類のデータである場合には、それ以外の用いられないデータであるT,L,Dcrについては、例えばバックデータとして別途に保持しておき、臨界値記憶部100には{n,(x,y),δcr,SIcr}というデータを一纏まりの状態で記憶させておくようにしてもよい。このようにすることにより、記憶や読み出しの対象となるデータ量の低減化を図ることができるので望ましい。
【0066】
配管網を複数のセグメント(N=1,2,3…)に分ける際の分割法としては、例えば1辺が0.5[km]の正方形のメッシュを想定し、そのメッシュによって配管網が張り巡らされている所定地域を区分けして、その個々のメッシュごとを各セグメントとして取り扱うことなどが可能である。そして各セグメントの例えば中心点あるいは図心の位置などを、地図中でのそのセグメントの位置のデータ(x,y)とすることが可能である。なお、メッシュの寸法は、位置的な精度とセグメントの個数の多さとの兼ね合いを考慮して適切な大きさに設定することが望ましい。また、地図や破損発生位置を表示する表示デバイス302の画面の表示解像度に対して余りにも微細な表示寸法となってしまうような細かい寸法にメッシュを設定することは無意味であるから、そのような表示デバイス302の解像度なども考慮に入れることが望ましい。
【0067】
あるいは、詳細は後述するが、配管の接続形態(構造力学的および幾何学的な配管形状)に着目して、配管網を、直線の部分と、屈曲の部分と、T字型に分岐した部分とに分類するといった分類法に基づいて細分化し、その個々の部分をそれぞれ離散化された各セグメントとして取り扱うようにしてもよい。この場合にも、各セグメントの例えば中心点あるいは図心の位置などを、地図中でのそのセグメントの位置のデータ(x,y)として用いればよい。
【0068】
地盤の固有振動周期(T)または固有振動波長(L)のデータは、配管網が配設されている所定地域内の地盤の要所ごとにボーリング調査を行って得ることができる。例えば、管理対象の地域として首都圏の東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県における、ガス導管が設けられている要所ごとの地盤について、合計数万箇所を実地にボーリング調査して、それらの各地点の実測値を得ることなどが可能である。あるいは、その配管が配設されている地域の地盤に関する既存の(過去に調査済みの)データを利用してもよいことは言うまでもない。
【0069】
地震の直接的な振動力(破壊力)による臨界変形量(Dcr)のデータ、および地震によって引き起こされる地盤の流動化に因る流動臨界変形量(δcr)のデータは、それぞれ、セグメント毎の具体的な配管に関する種類(例えば都市ガスの配管網の場合、溶接接合鋼管、ダクタイル鋳鉄管、ねずみ鋳鉄管等)、口径(内径)、材質、その他の仕様(例えば補強処置済み/未着手など)等の各種データに基づいて配管の強度解析を行って求めることができる。あるいはさらに、配管の強度解析結果等に基づいて、臨界変形量(Dcr)のデータや流動臨界変形量(δcr)のデータを算出し、そのデータを既往地震の事例調査によって得られた被害事例のデータ等の情報に基づいてキャリブレーションするなどして、データのさらなる高信頼化を図るようにしてもよい。
【0070】
さらに具体的には、臨界変形量(Dcr)、流動臨界変形量(δcr)は、どちらも本質的に配管やバルブの構造力学的な強度に関する数値(許容応力あるいは許容変位などの物理量)である。従って、地震の振動による破壊力が外力として配管網に加えられた際の、配管やバルブの構造力学的な強度解析あるいは破壊実験を行うことで、理論的または実験的に、精確な臨界変形量(Dcr)および流動臨界変形量(δcr)の値を求めることができる。
【0071】
その際の配管やバルブの構造力学的強度の解析手法それ自体については、例えば、ある一つのセグメント内の配管を、所定の金属材料からなる筒状構造と見做して、その筒状構造に対して有限要素法による強度解析を行うなどして、臨界変形量(Dcr)や流動臨界変形量(δcr)を求めることができる。
【0072】
あるいは、配管の接続形状を考慮に入れて、一つのセグメント内の配管を、直線の部分と、屈曲(曲管)の部分と、T字型に分岐した部分とに分類するなどして、その個々の種類ごとでそれぞれ別個に臨界変形量を求めた上で、それらのうちの最小の値を、そのセグメントにおける臨界変形量(Dcr)のデータとして採用することなども可能である。また流動臨界変形量(δcr)についても同様に、一つのセグメント内の配管を、上記のように接続形状に基づいて細かく分類し、その個々の種類ごとで個別に流動臨界変形量を求めた上で、それらのうちの最小の値を、そのセグメントにおける流動臨界変形量(δcr)のデータとして採用することが可能である。
【0073】
上記のようにして求められた臨界変形量(Dcr)の値と、そのセグメントにおける地盤の固有振動周期(T)または固有振動波長(L)の値とに基づいて、臨界地震動値(SIcr)または臨界地震振幅値(Ucr)が求められる。
【0074】
さらに詳細には、図5に一例を示したように、ある配管の臨界変形量(Dcr)に対して、その配管に破損が生じはじめる臨界の地震振幅値(あるいは許容地震振幅値)である臨界地震振幅値(Ucr)が一義的に定まるが、このとき配管が埋設されている地盤の固有振動周期(T)または固有振動波長(L)の値によって、臨界変形量(Dcr)と臨界地震振幅値(Ucr)との対応関係を示すグラフ(曲線)は異なったものとなることが確認されている。これは換言すれば、一般に1つの配管に関して、その配管の臨界変形量(Dcr)と、その配管が埋設されている地盤の固有振動周期T)または固有振動波長(L)との、2つの変数に対して、1つの臨界地震振幅値(Ucr)が定まるという関数関係(すなわちF(Dcr,T or L)=Ucr)が成り立っているということである(すなわちFを関数とすると、F(Dcr,TまたはL)=Ucr)。
【0075】
従って、例えばあるセグメントにおける配管の臨界変形量がDcr、その配管が埋設されている地盤の固有振動周期がT=0.7[s](このときL=200[m])である場合には、そのセグメントにおける臨界地震振幅値の値Ucrは、図5に示したようなT=0.7[s](L:200[m])の場合の曲線に基づいて求めることができる。あるいは、例えば地盤の固有振動周期がT=1[s](このときL=400[m])の場合には、T=0.7[s]の場合よりもさらに緩やかな単調増加を示す曲線に基づいてUcrの値を求めることができる。
【0076】
ここで、地震は地盤の振動現象であるから、臨界地震振幅値(Ucr)と臨界地震動値(SIcr)との間には、SIcr=2π・Ucr/Tなる式で表される関係が成り立っている。従って、この関係式を用いて、上記のようにして得られた臨界地震振幅値(Ucr)から、臨界地震動値(SIcr)を求めることができる。このようにして得られた臨界地震動値(SIcr)は、最終的に、破損発生推定部200によって、地震に起因した配管の破損(被害)の有無を推定する際に用いられる。あるいは、臨界地震振幅値(Ucr)を用いて配管の破損の有無を推定するように破損発生推定部200が設定されており、従って解析条件を与えるための地震動の情報の一要素として臨界地震振幅値(Ucr)が入力されるように設定されている場合には、上記のようにして求めた臨界地震振幅値(Ucr)を直接に用いればよく、従ってこの場合には、臨界地震振幅値(Ucr)に対応した臨界地震動値(SIcr)の算出は省略してもよいことは言うまでもない。
【0077】
近年では、地震で観測される地震動値(SI)のデータは、他の種類のデータと比べて、観測および入手することが容易で、かつ配管に掛かる外力を算出するのに極めて好適なものとなっている。従って、このようなデータの入手や取り扱いが簡便であり地震動の評価・判断等のための基準となる単位として一般化しているという点で、臨界地震動値(SIcr)を予め求めておき、その臨界地震動値(SIcr)と入力された地震動の情報のうちに含まれている地震動値(SI)とを、破損発生推定部200で比較するように設定することが望ましい。
【0078】
他方、流動臨界変形量(δcr)のデータについては、全てのセグメントあるいは全ての配管に対して流動臨界変形量を求めておくようにしてもよいが、地震に因る地盤の流動化が発生したときに実質的に配管の破損を引き起こすような流動量が生じるのは、実際には護岸の付近に限られており、しかもその護岸付近での流動化による地盤の変位は護岸線に対してほぼ直交方向であることが多いということを、本発明者らは確認している。従って、例えば護岸から100[m]以内の領域に位置している配管またはそのような配管を有しているセグメントのみを、破損発生推定の対象として取り扱うものとし、その他の配管またはセグメントについては、流動臨界変形量(δcr)のデータの記憶やそれに基づいた破損発生の推定動作などは省略してもよい。このようにすることにより、少なくともその省略した分のデータ量やデータ処理を簡略化することができるという利点が得られる。また、流動臨界変形量(δcr)の推定は、流動化に起因して地盤の変位が最も発生しやすい方向である護岸線に対してほぼ直交方向から配管に対して外力が加えられた場合を想定した配管の構造力学的な強度解析等を行うことによって求めることが望ましいことは言うまでもない。
【0079】
この流動臨界変形量(δcr)のデータを求める際にも、臨界変形量(Dcr)の場合と同様に、直線型、曲管型、T字型等のような配管の接続形態に着目した分類法に則して配管網を複数のセグメントに離散化して考えて、その個々のセグメントごとに強度解析等を行うようにしてもよい。あるいはさらに、このようにして流動臨界変形量(δcr)のデータを求めておき、この流動臨界変形量(δcr)を生じさせる流動臨界地震動値(SIcr´)または流動臨界地震振幅値(Ucr´)を、例えば成り立つことが既に確認されている地震動値と流動量との間の相関関係あるいは関係式に基づいて算出しておき、その流動臨界地震動値(SIcr´)または地震振幅値(Ucr´)を、地震動の情報として入力された地震動値(SI)または地震振幅値(U)と比較するように設定してもよい。但しこれのみには限定されないことは言うまでもない。
【0080】
破損発生推定部200は、SI比較判定部201と、δ比較判定部202とを備えている。SI比較判定部201は、地震時遠隔監視装置で計測されて、一般回線のような通信手段等を介して伝送されて来た地震動のデータである地震動値(SI)と、セグメント毎の臨界地震動値(SIcr)とを比較して、地震動に対応してどの位置のセグメントに配管の破損が生じるかを推定する。また、δ比較判定部202も同様に、地震時遠隔監視装置で計測された地震動に起因して発生することが推定される流動量(δ)と各セグメントまたは所定のセグメントごとの流動臨界変形量(δcr)とを比較して、そのときの地震に因る地盤の流動化に起因してどの位置のセグメントに配管の破損が生じるかについてを推定する。
【0081】
さらに詳細には、地震動値(SI)の情報およびその震源位置の情報を含んだ地震動の情報が破損発生推定部200へと入力されると、破損発生推定部200のSI比較判定部201では、臨界値記憶部100に記憶されている各セグメントに関するデータ{N,(x,y),T,L,Dcr,δcr,SIcr;N=1,2,3…}を読み出し、その個々のセグメントごとに、地震時遠隔監視装置で計測された地震動値(SI)と臨界地震動値(SIcr)とを比較して、地震動値(SI)が臨界地震動値(SIcr)以上である(SIcr≦SI)セグメントには破損が生じるものと推定し、そのセグメントの位置のデータを表示装置300へと送出する。地震動値(SI)が臨界地震動値(SIcr)未満である(SIcr>SI)場合には、そのセグメントには破損が生じないものと推定し、そのセグメントの位置のデータは送出されない。
【0082】
また、入力された地震動の情報に含まれている、地盤の流動化に起因して護岸から所定距離内の領域に生じることが観測される流動量(δ)の値が、破損発生推定部200に入力されると、この破損発生推定部200のδ比較判定部202では、臨界値記憶部100に記憶されている全てのセグメントのうちから、前述の護岸から所定距離内の領域の配管を有するセグメントのデータを選択して読み出し、その読み出された個々のセグメントごとに、流動量の値δと流動臨界変形量の値δcrとを比較して、流動量(δ)が流動臨界変形量(δcr)以上の値である(δcr≦δ)セグメントには破損が生じると推定し、そのセグメントの位置のデータを表示装置300へと送出する。しかし流動量(δ)が流動臨界変形量(δcr)未満(δcr>δ)である場合には、そのセグメントには破損が生じないものと推定する。
【0083】
ここで、例えば200[kine]以上のような、所定地域内で発生する可能性のある最大規模の地震に対応した地震動値(SImax )よりも大きな臨界地震動値(SIcr>SImax )を有するセグメントについては、そのような最大級の地震に対しても耐震的であるということであるから、「恒常的に破損なし」と予め推定しておくようにしてもよい。あるいは臨界地震動値(SIcr)の代りに臨界地震振幅値(Ucr)を用いる場合にも同様に、発生する可能性のある最大規模の地震に対応した地震振幅値(Umax )よりも大きな臨界地震振幅値(Ucr>Umax )を有するセグメントについては、「恒常的に破損なし」と、予め推定しておくようにしてもよい。このように十分な強度(SIcrまたはUcr)を備えた配管については「恒常的に破損なし」と予め決定しておくことにより、少なくともその分は地震動値(SI)と臨界地震動値(SIcr)との比較の手間(それに要する時間およびデータ処理)を省略することが可能となり、延いては地震被害推定方法のさらなる簡易化およびそれに要するデータ処理量のさらなる低減化を達成することができるので望ましい。
【0084】
また、地盤の流動化に起因した破損についても同様に、例えば5[m]以上のように、配管網が設けられている所定地域内の護岸付近で発生する可能性のある最大の流動量(δmax )よりも大きな流動臨界変形量(δcr>δmax )を有するセグメントについては、そのような最大級の流動化が生じても破損しないということなのであるから、「恒常的に破損なし」と予め推定しておくようにしてもよい。なお、上記のSImax =200[kine]やδmax =5[m]などの値については、一例として掲げたものであって、実際には、このような数値のみに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0085】
なお、このように「恒常的に破損なし」と推定されたセグメントについては、地震動値や流動量に基づいた地震被害推定を行う必要が無い旨を示す情報(例えばフラグ)を、そのセグメントに関する一纏まりのデータ{n,(x,y),T,L,Dcr,δcr,SIcr}の中に付記して臨界値記憶部100に記憶させておくようにすることが望ましい。
【0086】
表示装置300は、データ処理回路301と表示デバイス302とを、その主要部として備えている。この表示装置300では、地震動または地盤の流動化に因って配管に破損が生じると推定されたセグメントの位置の座標データがバイナリデータ形式で破損発生推定部200から送られて来ると、データ処理回路301が、その送られて来たセグメントの位置の座標データ(x,y)と配管網が設けられた地域全体の地図の座標データとに基づいて、表示デバイス302によって表示される地図中に破損が発生していることが推定される位置を例えばピンポイントで表示するための表示データを作成する。そして表示デバイス302は、例えばカラー表示が可能な液晶表示デバイスまたはCRTなどの表示画面に、所定地域全体の地図の画像と、その中にピンポイントに示される破損発生位置の画像とを、合成して表示する。
【0087】
このときの具体的な表示の手法としては、例えば、地図全体の地の色を緑色とし、配管網を例えば圧力等級別などに分類して、その分類ごとに黄色や青のような異なった色で示すようにしておく。そして、そのような地図中に、地震動に対応して配管の破損が発生すると推定される位置を、例えば赤色のような目立つ警戒色で表示する。さらには、その配管破損被害の発生が推定される位置の警戒色のピンポイントの表示を点滅させるようにしてもよい。あるいは、地震動に因る破損発生位置と、地盤の流動化に因る破損発生位置とを、異なった色や点滅状態で表示するなどして、破損の発生位置と共に、その破損の発生要因の種類別を一目瞭然で判別できるようにしてもよい。なお、この表示デバイス302では、自動的または遠隔操作によって開閉動作が行われる各ガバナの弁装置の開閉状態を、例えば弁装置が開状態であるガバナは青色で表示し、弁装置が閉状態であるガバナは赤色で表示する、というように、一目瞭然で判別できるようにすることが望ましい。
【0088】
このようにして、サーバ20では、各拠点で計測(検出あるいは観測)された地震動の情報に対応して、配管網における被害発生箇所(地震に因る配管破損等の被害が発生する箇所)を推定する。そしてその推定結果の情報を、地図的な画像として表示装置300が表示出力する。
【0089】
ここで、さらには、予め各地点における地震動に対する揺れ易さのような地域的特性等を評価し、それを0〜1までの重み付け係数(これを例えばwとする)として数値化しておき、地震動の大きさの情報としてSI値が用いられるように設定されている場合には、そのSI値に重み付け係数wを乗算するなどして、さらに精確な推定を行うようにしてもよい。
【0090】
以上のように、この第2の実施の形態に係る超高密度リアルタイム地震防災システムでは、第1の実施の形態で説明したような手法によって処理および記憶する対象のデータをコンパクト化することに加えて、地震動の情報とそのときの地震の発生に起因した配管網における被害発生の情報とを、あらかじめ対応付けてデータベース化しておき、実際に地震動の情報が収集されると、そのときの地震動の情報に対応した被害発生の情報をデータベースから読み出して被害発生の推定を行うようにしているので、地震が発生した際に検出される地震動の情報に対応してその都度ごとに被害発生の推定を行う場合と比較して、その被害発生の推定のプロセスに要する時間が飛躍的に短縮化でき、被害発生推定プロセスの飛躍的な高速化を達成することができる。
【0091】
なお、上記の第1の実施の形態および第2の実施の形態では、配管網の輸送する対象の流体として可燃性の都市ガスを想定した場合について説明したが、本発明の適用可能な配管網(による輸送対象の流体)の種類についてはこれのみには限定されない。この他にも、例えば石油や上・下水のような液体状の流体を輸送するための配管網や、所定の管区地域内にほぼ平面的に敷設された配管網のみならず所定の建築物内に立体的に配設された配管網などにも、本発明は適用可能であることは言うまでもない。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし10のいずれかに記載の地震情報収集システム、または請求項11ないし18のいずれかに記載の地震情報収集装置、もしくは請求項19ないし28のいずれかに記載の地震情報収集方法によれば、地震が発生すると、その地震による地震動の情報を検出し、その検出された地震動の情報を収集し、そのときの地震の発生から所定時間に亘って検出される地震動の情報を一つの地震に関する一連の地震動の情報として纏めて記憶するようにしたので、多数の余震が発生しても、それらは本震と共に一纏めにして一つの地震における地震動のデータ群として(換言すればデータ的には一連のデータ群として)記憶される。また、その一つの地震に対して一つの配管網や流体の状態に関するデータ群が対応付けられて記憶されるようにしたので、従来のような多数の余震や前震のそれぞれを別個の地震としてとらえて、その多数の余震の一つ一つごとに配管網または流体の状態に関する情報を別個にそれぞれ添付して記憶していたような記憶容量の無駄遣いを削減することができ、記憶や処理の対象となるデータの飛躍的なコンパクト化を達成しながらも、地震発生時の防災等に用いるのに有効である複数個の余震等のデータも含めた必要十分な量のデータを記憶することや高速処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガス配管網用の地震情報収集システムとしての機能を含んだ超高密度リアルタイム地震防災システムの主要部の構成を示した図である。
【図2】第1の実施の形態に係る超高密度リアルタイム地震防災システムにおけるデータ記憶方法を模式的に表した図である。
【図3】地震動のデータのうちの最大値を採って記憶する方法および所定時間ごとの極大値を採って記憶する方法についての一例を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るガス配管網用の地震情報収集システムとしての機能を含んだ超高密度リアルタイム地震防災システムにおける、特にサーバの主要部の構成を表した図である。
【図5】臨界変形量(Dcr)と臨界地震振幅値(Ucr)との対応関係を示したグラフである。
【図6】比較例として従来の地震に関するデータの記憶方法を模式的に表した図である。
【符号の説明】
10…端末装置、20…サーバ、21…主記憶装置、30…地震時遠隔監視装置、31…ガバナ、32…SIセンサ、33…感震器、34…圧力センサ、35…流量センサ、36…遠隔遮断ユニット、37…情報処理ユニット、38…通信ユニット、39…通信手段
Claims (28)
- 地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段を有する地震時遠隔監視装置と、
前記地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報を収集する地震情報収集手段と、当該地震の発生から所定時間に亘って検出される地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段とを有する地震情報収集装置と
を備えたことを特徴とする地震情報収集システム。 - 所定種類の流体を輸送する配管網に設けられて、地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段と、
前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出手段と
を有する地震時遠隔監視装置と、
前記地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを前記地震時遠隔監視装置から通信手段を介して収集する地震情報収集手段と、
一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段と
を有する地震情報収集装置と
を備えたことを特徴とする地震情報収集システム。 - 前記地震動の情報として、前記一つの地震におけるSI値または震動加速度もしくはマグニチュードの最大値を、前記地震情報記憶手段に記憶する
ことを特徴とする請求項1または2記載の地震情報収集システム。 - 前記最大値を、当該最大値が検出された時刻の情報と対応付けて、前記地震動の情報として前記地震情報記憶手段に記憶する
ことを特徴とする請求項3記載の地震情報収集システム。 - 前記地震動の情報として、前記一つの地震におけるSI値または震動加速度もしくはマグニチュードの値における、所定時間以上に亘って継続的に最大値であった値を、当該値が検出された時刻の情報と対応付けて、前記地震動の情報として前記地震情報記憶手段に記憶する
ことを特徴とする請求項1または2記載の地震情報収集システム。 - 前記地震情報収集装置は、前記所定時間の経過後も、所定の予備時間に亘って前記地震時遠隔監視装置からの前記情報の収集を継続する
ことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の地震情報収集システム。 - 所定種類の流体を輸送する配管網に設けられて、地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段と、
前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出手段と
を有する地震時遠隔監視装置と、
前記地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを前記地震時遠隔監視装置から通信手段を介して収集する地震情報収集手段と、
一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段と、
前記地震動の情報と前記地震の発生に起因した前記配管網における被害発生の情報とをあらかじめ対応付けたデータベースを備えており、前記地震動の情報が収集されて来ると、当該地震動の情報に対応した被害発生の情報を前記データベースから読み出して当該地震に起因した前記配管網における被害発生の推定を行う配管網被害推定手段と
を有する地震情報収集装置と
を備えたことを特徴とする地震情報収集システム。 - 前記地震情報収集装置が、前記配管網に関する地理的データを、座標データとしてバイナリデータ化して取り扱うように設定されている
ことを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1つの項に記載の地震情報収集システム。 - 前記流体が可燃性のガスであり、
前記配管網が、前記ガスを輸送または供給対象としたガス配管網である
ことを特徴とする請求項2ないし8のうちいずれか1項に記載のガス配管網用の地震情報収集システム。 - 前記配管網または前記流体の状態に関する情報が、前記配管網に設けられた流体供給調節器の遮断状態、前記流体の圧力状態、前記流体の流量状態または流速状態のうちの少なくともいずれか一種類である
ことを特徴とする請求項2ないし9のうちいずれか1項に記載の地震情報収集システム。 - 地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段を有する外部の地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報を収集する地震情報収集手段と、
当該地震の発生から所定時間に亘って検出される地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段と
を備えたことを特徴とする地震情報収集装置。 - 所定種類の流体を輸送する配管網に設けられて地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出手段と、前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出手段とを有する外部の地震時遠隔監視装置によって検出された地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを、前記地震時遠隔監視装置から通信手段を介して収集する地震情報収集手段と、
一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶手段と
を備えたことを特徴とする地震情報収集装置。 - 前記地震動の情報として、前記一つの地震におけるSI値または震動加速度もしくはマグニチュードの最大値を、前記地震情報記憶手段に記憶する
ことを特徴とする請求項11または12記載の地震情報収集装置。 - 前記最大値を、当該最大値が検出された時刻の情報と対応付けて、前記地震動の情報として前記地震情報記憶手段に記憶する
ことを特徴とする請求項13記載の地震情報収集装置。 - 前記地震動の情報として、前記一つの地震におけるSI値または震動加速度もしくはマグニチュードの値における、所定時間以上に亘って継続的に最大値であった値を、当該値が検出された時刻の情報と対応付けて、前記地震動の情報として前記地震情報記憶手段に記憶する
ことを特徴とする請求項11または12記載の地震情報収集装置。 - 前記所定時間の経過後も、所定の予備時間に亘って前記地震時遠隔監視装置からの前記情報の収集を継続する
ことを特徴とする請求項11ないし15のうちいずれか1項に記載の地震情報収集装置。 - 前記流体が可燃性のガスであり、
前記配管網が、前記ガスを輸送または供給対象としたガス配管網である
ことを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1項に記載のガス配管網用の地震情報収集装置。 - 前記配管網または前記流体の状態に関する情報が、前記配管網に設けられた流体供給調節器の遮断状態、前記流体の圧力状態、前記流体の流量状態または流速状態のうちの少なくともいずれか一種類である
ことを特徴とする請求項12ないし17のうちいずれか1項に記載の地震情報収集装置。 - 地震が発生すると当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出プロセスと、
前記検出された地震動の情報を収集し、当該地震の発生から所定時間に亘って検出される地震動の情報を一つの地震に関する一連の地震動の情報として纏めて記憶する地震情報記憶プロセスと
を含むことを特徴とする地震情報収集方法。 - 所定種類の流体を輸送する配管網における、地震が発生した際の当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出プロセスと、
前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出プロセスと、
前記地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを収集する地震情報収集プロセスと、
一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶プロセスと
を含むことを特徴とする地震情報収集方法。 - 前記一つの地震におけるSI値または震動加速度もしくはマグニチュードの最大値を前記地震動の情報として記憶する
ことを特徴とする請求項19または20記載の地震情報収集方法。 - 前記最大値を、当該最大値が検出された時刻の情報と対応付けて、前記地震動の情報として記憶する
ことを特徴とする請求項20記載の地震情報収集方法。 - 前記地震動の情報として、前記一つの地震におけるSI値または震動加速度もしくはマグニチュードの値の、所定時間以上に亘って継続的に最大値であった値を、当該値が検出された時刻の情報と対応付けて、前記地震動の情報として記憶する
ことを特徴とする請求項19または20記載の地震情報収集方法。 - 前記地震情報収集プロセスは、前記所定時間が経過した後も、所定の予備時間に亘って前記情報の収集を継続する
ことを特徴とする請求項19ないし23のうちいずれか1項に記載の地震情報収集方法。 - 所定種類の流体を輸送する配管網における、地震が発生した際の当該地震による地震動の情報を検出する地震動検出プロセスと、
前記地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報を検出する配管網状態検出プロセスと、
前記検出された地震動の情報と前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを収集する地震情報収集プロセスと、
一つの地震が発生すると当該地震の発生から所定時間に亘って検出された地震動の情報を1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、前記1つの地震に関する一連の地震動の情報と当該地震が発生した際の前記配管網または前記流体の状態に関する情報とを対応付けて一つの地震における情報として纏めて記憶する地震情報記憶プロセスと、
前記地震動の情報と前記地震の発生に起因した前記配管網における被害発生の情報とをあらかじめ対応付けてデータベース化しておき、前記地震動の情報が収集されて来ると、当該地震動の情報に対応した被害発生の情報を前記データベースから読み出して被害発生の推定を行う配管網被害推定プロセスと
を含むことを特徴とする地震情報収集方法。 - 前記配管網に関する地理的データを、座標データとしてバイナリデータ化して取り扱うようにした
ことを特徴とする請求項19ないし25のうちいずれか1つの項に記載の地震情報収集方法。 - 前記流体が可燃性のガスであり、
前記配管網が、前記ガスを輸送または供給対象としたガス配管網である
ことを特徴とする請求項20ないし26のうちいずれか1項に記載のガス配管網用の地震情報収集方法。 - 前記配管網または前記流体の状態に関する情報が、前記配管網に設けられた流体供給調節器の遮断状態、前記流体の圧力状態、前記流体の流量状態または流速状態のうちの少なくともいずれか一種類である
ことを特徴とする請求項20ないし27のうちいずれか1項に記載の地震情報収集方法。
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