JP2005099490A - 地震防災支援用情報収集システムおよび地震防災支援用情報収集出力方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 地震に起因した配管網の被災状況やその被害の程度の情報を迅速かつ的確に収集し、その情報を加工して、ガスの緊急供給停止の要・不要を二次災害発生の危険性の観点と復旧困難性の増大の観点との両面から迅速かつ確実に判断することができるような情報として出力することを実現する。
【解決手段】 配管網を複数のLブロックやKブロックに分掌して、そのブロック毎の地震発生時の被害状況の情報として被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報をサーバ20が収集または推定し、それを各ブロックの地理的な識別情報と共に一覧表やマップ画像として端末装置10が出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】 配管網を複数のLブロックやKブロックに分掌して、そのブロック毎の地震発生時の被害状況の情報として被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報をサーバ20が収集または推定し、それを各ブロックの地理的な識別情報と共に一覧表やマップ画像として端末装置10が出力する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばガス供給配管における地震発生時の防災対策のために有用な地震防災支援用情報収集システムおよび地震防災支援用情報収集出力方法に関する。
都市ガスや上下水道の配管網は一般に、一般家庭向けなどの燃料用ガスや水道水のような公共的資源を所定の地域内の需要家に対して確実に供給するために、その供給対象地域内に、あたかも人体における血管網のように複雑な形状のネットワーク状に設置されている。例えば都市ガスの配管網では、いわゆる導管はほぼ全体的に、ガス供給時業者が管轄している所定地域内の地下に埋設されており、一般に埋設管と呼ばれている。但し、少数ではあるが、部分的には導管が地上に露出している場所もある。
そのような都市ガスの配管網では、地震が発生した場合、その地震の規模如何によっては、配管に破損等の被害が発生し、その発生箇所を中心として、例えばガス漏洩や圧力異変等が生じる虞がある。このため、輸送対象として可燃性のガスを取り扱うガス供給事業者等としては、ガス配管網における安全を確保できるように、地震に起因して配管に生じる被害状況を正確に把握すること、そしてそのような配管網の被害に起因して発生する虞のあるガス漏洩や圧力異常などの発生の情報を収集して、即座に的確に地震発生後の防災対応を行うことが可能であるようにすることが必要となる。
実際に地震が発生してガス漏洩や圧力異変等が生じた場合には、短時間のうちに適切な緊急処置を施すことなく放置しておいたりなどすると、火災や爆発等のいわゆる二次災害を引き起こす要因となってしまう虞がある。例えば、ガス配管網では一般に、上流側の中圧導管から下流(末端)側の低圧導管へとガスを供給する地点ごとに、いわゆるガバナが設けられており、このガバナによってガスの供給圧力が調節されるようになっているが、地震発生時に低圧導管が破損するなどして漏洩が生じた場合には、ガバナが導通状態を続けていると、ガスが供給され続けて、ガス漏洩がむしろ助長されてしまう。このため、特に被災地域内の配管網では、確実に全てのガバナあるいはそれに代る緊急時の遮断弁装置等を遮断状態にすることが必要である。
より具体的には、配管網におけるガバナが設置されている拠点毎などに感震器を設置しておき、地震が発生した際には、その感震器によってSI値また震動加速度などのデータを地震動に関する情報として地震時遠隔監視装置によって計測(検出)し、その地震動に関する情報を収集する、という地震発生時の防災活動を支援するための情報収集方法やシステムが提案されている。例えばガス管理会社内に設けられた地震情報収集装置によって無線または専用回線のような通信手段もしくは一般電話回線などを介して収集する、というシステムが提案されている。(特許文献1〜4)
特開2000−75040号公報
特開2002−168963号公報
特開平11−84017号公報
特開2002−162893公報
しかしながら、被災状況によっては、ガスの供給を遮断する必要性の低い地域については、地震発生時のような緊急時にあっても熱エネルギや電気エネルギの源として利用価値の高いガスを供給停止すると、例えば被災地における防災活動のために必要なエネルギ源を遮断することになる虞があり、また一旦遮断すると、その後にガス供給を復旧するまでに要する時間や手間は遮断を行わなかった場合よりも大幅に増大してしまう傾向にあるので、地震発生時に直ちに全管区のガバナや遮断弁装置を全て遮断状態にすることは、望ましくない。すなわち、地震が発生した際には、そのときの地震に起因した配管網の被災状況やその被害の程度の情報を迅速かつ的確に収集し、その確かな情報に基づいて、ガスの緊急供給停止の要・不要を、二次災害発生の危険性の観点と復旧困難性の増大の観点との両面から、迅速に判断しなければならないが、従来の情報収集方法やシステムでは、そのような判断を的確に行うことを可能とする情報を収集して提示(出力)することのできるシステムや方法は、提案されておらず、示唆すらされていなかった。
例えば、30kine以上のような、明らかに緊急供給停止が必要であるような大きな地震動が全管区内に亘って観測された場合には、即、全管区内でのガスの供給を停止すればよいことは言うまでもないが、実際にはそのような事態となることは稀であって、地震発生時に、即時供給停止の条件には該当しないけれども二次災害防止のためには(地震発生直後の安全性確保のためには)供給停止が望ましいという場合がある。あるいは逆に、安全率を多く見込むならばそのとき供給停止を行う方が望ましいが、そのように必要以上の安全率を得たことで、結果的には、そのときの供給停止に因って復旧時間やそのための手間などが増大するというデメリットの方が大きくなってしまうという場合がある。
これらのことを考慮すると、例えば都市ガス供給会社が中央防災管理センターなどを設置しておき、管区内全体の配管網での被害状況の地理的な分布などを情報収集して、直観的に把握可能であるように表示や印刷等で出力することが望ましいものと本発明者らは考えるに至ったが、従来の技術では、そのような情報収集ないし出力を行うシステムや方法は、提案されておらず、示唆すらされていなかった。
また、実際には都市ガス供給会社が管理すべき配管網の全管区内には、例えば3000箇所以上のような極めて多数の箇所にガバナや遮断弁装置が設置されているが、それら全てについて個々に遮断が必要であるか否かを短時間で的確に判断して過不足なく人的に判断しながら遠隔操作することは、地震発生時のような緊急事態であるという状況とも相俟って、極めて困難あるいは不可能である。あるいは、管区内の各地点のユーザ(地域住民)や都市ガス供給会社の管理要員からの電話やインターネット等を介して通報されて来る情報を収集することなども考えられるが、そのような方法で得られる情報は体系的なものではなく、必要な情報が全て得られるわけでもないので、ガスの緊急供給停止の的確な判断を下すことができるような情報とはなり難い。
また、地震発生時には、上記のようなガバナや遮断弁装置を遠隔操作する機能を備えた地震防災システムでは、遠隔操作を行う際に利用する通信システムや情報処理装置それ自体にも故障や通信異常や動作異常等が生じる確率が高い。このため、遮断が必要であるガバナを遮断状態にすることができなかったり、あるいは逆に、遮断しなくともよい(あるいは遮断することは望ましくない)ガバナを遮断状態にしてしまったりするといった不都合が生じる虞がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、地震が発生した際に、そのときの地震に起因した配管網の被災状況やその被害の程度の情報を迅速かつ的確に収集し、その情報を加工して、ガスの緊急供給停止の要・不要を二次災害発生の危険性の観点と復旧困難性の増大の観点との両面から迅速かつ確実に判断することができるような情報として出力することが可能である地震防災支援用情報収集システムおよび地震防災支援用情報収集出力方法を提供することにある。
本発明による地震防災支援用情報収集システムは、所定種類の流体を輸送対象として需要家へと供給する配管網を複数のブロックに分掌して当該ブロック毎の地震発生時の被害状況の情報として被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を収集または推定する情報収集装置と、前記各ブロックの地理的な識別情報と共に一覧表として出力する情報出力装置とを備えている。
また、本発明による地震防災支援用情報収集出力方法は、所定種類の流体を輸送対象として需要家へと供給する配管網を複数のブロックに分掌して当該ブロック毎の地震発生時の被害状況の情報として被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を収集または推定し、前記各ブロックの地理的な識別情報と共に一覧表として出力する、というものである。
本発明による地震防災支援用情報収集システムまたは地震防災支援用情報収集出力方法では、例えば可燃性ガスのような所定種類の流体を輸送対象として需要家へと供給する配管網を、予め複数のブロックに分けて掌握できるように(分掌して)おき、その個々のブロックごとの地震発生時の被害状況の情報として被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を、それぞれ収集または推定する。そしてその個々のブロックごとの被害状況の情報を、各ブロックの地理的な識別情報と共に一覧表として出力する。このようにすることにより、ユーザは、地震が発生した際に、その一覧表を見て、ガスの緊急供給停止の要・不要を二次災害発生の危険性の観点と復旧困難性の増大の観点との両面から直観的に判断することが可能となる。
ここで、上記の被害状況の情報は、例えばブロック毎に配置された地震被害状況監視システムなどから無線通信網または電話回線通信網を介して収集するようにしてもよいが、地震発生時には一般に地震被害状況監視システム等の施設が被害を被っていて情報収集ができなくなる虞もあるので、そのような場合には被害状況の情報を、シミュレーションシステムなどによって、推定するようにしてもよい。
なお、上記の情報出力装置は、一覧表として、被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を、被害の規模の大きい順から小さい順に配列して出力するようにしてもよい。
このようにすることにより、本発明に係るシステムまたは方法のユーザは、一覧表を見ることで直観的に、被害の規模が大きくて二次災害対策の緊急度の高いブロックから低いブロックへと優先順位に従って防災対策のための判断を行うことが可能となる。
また、上記の情報出力装置は、ブロック毎の需要家の件数を、ブロック毎に被害状況の情報と併せて出力するようにしてもよい。
このようにすることにより、ユーザは、一覧表を見ることで直観的に、需要家の件数が多くて二次災害対策の緊急度の高いブロックから低いブロックへと優先順位に従って防災対策のための判断を行うことが可能となる。また、輸送対象の流体が例えば都市ガスの場合、需要家の件数が多いということは、そのブロックに対するガスの供給を停止すると、復旧作業(都市ガスの供給再開等)に要する時間や手間や費用が大きくなる傾向にあるということなので、ブロック毎に被害状況と需要家件数とを併せて出力することで、復旧の困難さについての判定情報をユーザに提示することが可能となる。
また、上記の配管網が、可燃性ガスを需要家に供給するための、流体の供給の調節および遮断を行うことの可能なガバナを備えた配管網であり、上記の情報収集装置は、ブロック毎のガバナの遮断状況の情報を収集するものであり、上記の情報出力装置は、ブロック毎のガバナの遮断状況の情報をブロック毎に被害状況の情報と併せて出力するものであるようにしてもよい。
このように、ブロック毎のガバナの遮断状況の情報を被害状況の情報と併せて出力することで、ユーザは、その出力を見て直観的に、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、またその対策を行った場合にどのブロックで供給再開のための復旧作業が必要となるかを予想することが可能となる。
また、上記の情報収集装置は、ブロック毎のガバナの供給圧力に関する情報を収集し、上記の情報出力装置は、ブロック毎のガバナの供給圧力に関する情報をブロック毎に被害状況の情報と併せて出力するようにしてもよい。
このように、ブロック毎のガバナの供給圧力の情報を被害状況の情報と併せて出力することで、ユーザは、その出力を見て直観的に、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、またその対策を行った場合にどのブロックで供給再開のための復旧作業が必要となるかを予想することが可能となる。
また、配管網における中圧導管を複数の大ブロックに分け、さらに大ブロックの中を複数の小ブロックに分けて、大ブロックごと、および小ブロックごとに、それぞれ地震発生時の被害状況の情報を分掌して出力するようにしてもよい。
このようにすることにより、例えば都心地区のように地理的に需要家件数が多い傾向にある地域や配管網の被害が大きくなることが予想される液状化地区などについて、さらにきめ細かな二次災害対策を判断するための情報をユーザに提示することが可能となる。
またさらには、上記の大ブロックおよび小ブロックでそれぞれ地震動値を測定し、全ての大ブロックで測定された地震動値のうちの最大値と、小ブロックで測定された地震動値とを、比較可能に出力するようにしてもよい。
すなわち、地震発生時には、各ブロックで地震動値を測定するための測定機器や設備それ自体が破損または故障している虞がある。そこで、全ての大ブロックで測定された地震動値のうちの最大値と小ブロックで測定された地震動値とを比較することで、その測定された地震動値が異常な値であるか否かを判定することが可能となる。
また、配管網を供給容量または耐震強度の種類ごとに区別して、その各種類の区別ごとに、被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を集計して出力するようにしてもよい。
このようにすることにより、ユーザは、その出力を見て直観的に、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、またその対策を行った場合にどのブロックで供給再開のための復旧作業が必要となるかを予想することが可能となる。
また、配管網が設けられている地域中における地盤の液状化に関する情報を収集または推定し、液状化に関する情報を、当該ブロックの情報と共に出力するようにしてもよい。
このようにすることにより、配管網の被害が大きくなることが予想される液状化地区などについて、さらにきめ細かな二次災害対策を判断するための情報をユーザに提示することが可能となる。
また、情報出力装置は、上記の出力として、例えばテーブル形式の一覧表と共に、あるいはテーブル形式の一覧表とは別に地図的な視覚的情報の一覧表として出力するようにしてもよい。
このようにすることにより、地震発生時の被害状況の地理的な分布を、視覚によってさらに直観的に把握可能な地図的な一覧表としてユーザに提示することが可能となる。
また、上記の情報収集装置は、過去の地震で発生した被害状況を段階評価して、その段階評価と共に、被害状況の情報およびそのとき行った防災対策の情報を蓄積しておき、新たに地震が発生した際に収集される被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報に基づいて、そのとき発生した地震に起因した被害状況の規模を段階評価して、その段階評価で得られた段階に対応した過去の地震に関する被害状況の情報およびそのとき行った防災対策の情報を予め蓄積された情報の中から抽出し、上記の情報出力装置は、情報収集装置によって抽出された情報を出力するようにしてもよい。
このようにすることにより、地震発生時に、過去の地震で発生した被害状況の情報を活用して、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、またその対策を行った場合にどのブロックで供給再開のための復旧作業が必要となるかを予想するための情報をユーザに提示することが可能となる。
また、上記の配管網が、上記の流体として可燃性ガスを需要家に供給するための流体の供給の調節および遮断を行うことが可能なガバナを備えた配管網であり、上記の情報収集装置は、地震発生時に可燃性ガスを供給継続した場合と遮断した場合とで、それぞれ漏洩対応に必要な延べ時間数または延べ人員数のうち少なくともいずれか一種類を推測算定し、上記の情報出力装置は、情報収集装置で推測算定された情報を出力するようにしてもよい。
このようにすることにより、地震発生時に、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、かつその対策を行った場合にどのブロックでどの程度の供給再開(復旧)作業が必要となるかを予想するための量的な情報を、明確にユーザに提示することが可能となる。
あるいは、上記の情報収集装置は、地震発生時に前記可燃性ガスを供給継続した場合と遮断した場合とで、それぞれ、二次災害発生確率および/または復旧費用を推測算定し、上記の情報出力装置は、前記情報収集装置で推測算定された情報を出力するようにしてもよい。
このようにすることにより、地震発生時に、どのブロックでどの程度に危険性の高い状況が生じているのか、またそれに基づいて、どのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、かつその対策を行った場合にどのブロックでどの程度の費用や手間の掛かる供給再開作業が必要となるかを予想するための量的な情報を、明確にユーザに提示することが可能となる。
本発明の地震防災支援用情報収集システムまたは地震防災支援用情報収集出力方法によれば、所定種類の流体を輸送対象として需要家へと供給する配管網を複数のブロックに分掌して当該ブロック毎の地震発生時の被害状況の情報として被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を迅速かつ的確に収集または推定し、それらの情報を各々該当する各ブロックの地理的な識別情報と共に一覧表または地図的情報として出力するようにしたので、地震が発生した際に、ユーザは、その一覧表または地図的情報の出力に基づいて、ガスの緊急供給停止の要・不要を、二次災害発生の危険性の観点と復旧困難性の増大の観点との両面から迅速かつ確実に判断することができるようになるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る地震防災支援用情報収集システムの概要構成を表したものである。なお、本発明の実施の形態に係る地震防災支援用情報収集出力方法は、この地震防災支援用情報収集システムの動作あるいは作用によって具現化されるものであるから、以下、それらを併せて説明する。
この地震防災支援用情報収集システムは、端末装置10と、サーバ20と、地震時遠隔監視装置30と、記憶装置40と、解析装置50と、サーバ20に付設されて一般電話回線39を利用した通信を行うためのモデム60とから、その主要部が構成されている。
地震時遠隔監視装置30は、都市ガスの配管網が敷設されている都市ガス供給エリア内の、例えば3700箇所のような極めて多数の主要拠点ごとに配置されているガバナ31に付設されて、その各拠点ごとで地震発生時の各種情報の収集および計測ならびにガバナ31の遠隔遮断制御を行うもので、地震発生時にはサーバ20のモデム60に対して発呼を掛けて、通信状態を確保し、収集した各種情報を一般電話回線39およびモデム60を介してサーバ20へと伝送する。また、それ以降もいわゆるポーリング機能として、例えば遠隔遮断制御を行うための命令電文または制御信号をサーバ20から受信することや被害発生が推定される箇所の情報を重点的に収集することなどを行う。この地震時遠隔監視装置30によって収集される情報としては、地震発生時のSI値、ガバナの遮断状態、ガス供給圧力値、ガス流量値などである。
この地震時遠隔監視装置30は、さらに詳細には、図2に示したように、SIセンサ32と、感震器33と、圧力センサ34と、流量センサ35と、遠隔遮断ユニット36と、情報処理ユニット37と、通信ユニット38とを、その主要部として備えている。
ガバナ31は、基幹配管である中圧導管から末端配管である低圧導管へと供給されるガスの圧力を調節する圧力調整弁としての機能と、地震発生時などに遠隔遮断あるいは自動感震遮断を行う、いわゆる遮断弁装置としての機能とを、備えたものである。
SIセンサ32は、この地震時遠隔監視装置30が設置されている地点における地震発生時に観測されるSI値の情報を出力する。
感震器33は、この地震時遠隔監視装置30が設置されている地点における、地震発生時に観測される震動加速度(Gal)を計測し、その震動加速度計測値の情報を出力する。
圧力センサ34は、それが付設されている中圧導管におけるガスの圧力を計測して、その圧力の計測値の情報を出力する。また、流量センサ35は、それが付設されている中圧導管におけるガスの流量を計測して、その流量計測値の情報を出力する。
遠隔遮断ユニット36は、地震発生時などに、後述する情報処理ユニット37によって制御されて、ガバナ31を自動的に遮断する制御を行う。あるいは、ユーザによって端末装置10の入力装置400からの命令を受けたサーバ20が制御信号を送出すると、その制御信号によって遠隔操作されてガバナ31を遮断する制御を行う。また、例えば地震に起因した災害等の危険性が解消された際などには、端末装置10からの命令を受けてサーバ20によって遠隔操作されて、それまで遮断状態にあったガバナ31を復帰する(開状態に戻す)制御を行う。
また、この遠隔遮断ユニット36は、SIセンサ32で計測されたSI値が10[kine]および感震器33で計測された震動加速度が50[Gal]以上となった場合にのみ遠隔遮断命令を受け付けるようにすることで、地震発生時の確実な遮断を行うと共に正常時の誤遮断やハッカーによる不法なシステム侵入等を防止するという、ゲート機能なども備えている。換言すれば、このゲート機能は、感震器33で計測された震動加速度が50[Gal]未満の場合には、遠隔遮断命令を受けても、遠隔遮断は行わない。なお、このゲート機能は、地震時遠隔監視装置30以外にも、サーバ20または端末装置10に設けるようにしてもよい。さらには、この遠隔遮断ユニット36は、サーバ20から通信手段39等を介して遠隔操作によってガバナ31を遮断する制御を行うための制御信号を受ける。
情報処理ユニット37は、SIセンサ32によって計測されたSI値および震動加速度の計測値の情報、圧力センサ34によって計測されたガスの圧力の計測値の情報、流量センサ35によって計測されたガスの流量の計測値の情報を、それぞれ一般電話回線およびモデムを介してサーバ20で処理可能となるようにデータ化して、その各種類の情報のデータに対してその各々が計測された時刻の情報を付け合わせて、通信ユニット38および一般電話回線のような39等を介して外部のサーバ20へと送出する。
また、この情報処理ユニット37は、SIセンサ32から出力されたSI値や震動加速度の情報に基づいて、例えばSI値が所定のしきい値を超えた大きさであった場合(換言すれば地震動が所定の大きさを超えた強い震動であった場合)などには、それを検知して、遠隔遮断ユニット36に対してガバナ31を自動的に遮断する制御を行う制御信号を伝送する。その制御信号を受けて、遠隔遮断ユニット36では、前述したように、ガバナ31を遮断する制御を行う。あるいは、外部の端末装置10から入力された遠隔操作命令に対応してサーバ20からモデム60および通信ユニット38ならびに一般電話回線39あるいはその他の専用無線通信網もしくは専用光ファイバケーブル通信回線のような通信手段等を介して遠隔遮断を行うための制御信号が伝送されて来ると、その制御信号を遠隔遮断ユニット36に入力して、その命令に従った遠隔遮断制御を遠隔遮断ユニット36に実行させる。
また、この情報処理ユニット37は、ガバナ31が遮断状態にあるか開放状態にあるかについての情報を、通信ユニット38および一般電話回線39ならびにモデム60を介してサーバ20に伝送する機能も備えている。
サーバ20は、例えば30台のような複数台のモデム60が付設されており、その一つ一つのモデム60は、地震発生時には、一般電話回線39を介して地震時遠隔監視装置30からの発呼を早い者順に受けて、通信可能状態を確保し、そのとき通話中の地震時遠隔監視装置30から送られて来る情報を受信(収集)する。また、ポーリング機能として、遠隔遮断制御を行うための命令電文または制御信号などをモデム60および一般電話回線39を介して通話中の地震時遠隔監視装置30へと送信したり、例えば異常な圧力低下が生じている箇所について地震被害が推定されるものとして重点的に情報を収集することなどを行う。また、このサーバ20は、端末装置10からの地震動の情報の入力を受けると、配管網における地震動に起因した被害発生箇所の推定を行うという配管網被害推定部220を備えている。また、このサーバ20は、配管網中の要所ごとに配設されているガバナに対する仮想的な遠隔操作が端末装置10の仮想遠隔操作入力手段としての機能によって行われた場合、その遠隔操作に対応したガバナの仮想的な弁開閉動作を、このガバナ内にソフトウエア的に構築されたガス配管網中で仮想的に行うことで、解析装置30による解析を行う際の解析条件の一つとして、ガバナの仮想的な弁開閉状態を盛り込む。
例えばユーザ(このシステムの使用者または操作者)が、震災訓練などにおいて、配管網中のあるガバナに対して弁装置を閉じる動作を実行させるための仮想的な遠隔操作を行った場合、そのガバナの弁装置があたかも実際に閉じられた状態になったものとサーバ20は仮想する。そして解析装置30は、サーバ20からの情報(配管網における破損発生位置やガバナによるガス遮断状態のデータ等)を受けて、ガバナの弁装置が閉じられた状態になったことを解析条件として含めたうえで、その場合の配管網におけるガスの圧力状態や漏洩状態に関する解析(シミュレーション)を行う。
端末装置10は、サーバ20によって情報収集され、あるいは推定された各種情報を、下記の詳述するような方法で集計し、あるいは図表化して、表示出力または印刷出力する。
さらに詳細には、この端末装置10では、ガス配管網を、あらかじめ複数のブロックに分けて(分掌して)おき、そのブロック毎の地震発生時の被害状況の情報として、サーバ20によって収集された情報に基づいて被害発生件数と被害発生率とを算出し、それを各ブロックの地理的な識別情報と共に、一覧表として出力する。そのような出力結果の一例を図3に示す。
この図3の一例では、地震発生時の被害発生件数の最も高かったのは、「大田区品川区」エリア(ここで「エリア」とは行区的な地理的領域を言う)で、その被害発生件数は56件、被害発生率は0.17である。この「大田区品川区」エリアを筆頭として、以降、第2番目には、被害発生件数が35件、被害発生率が0.06の「墨田区江東区台東区」エリア、第3番目には被害発生件数が35件、被害発生率が0.13の「港北区神奈川区鶴見区」エリア、第4行目には被害発生件数が34件、被害発生率が0.12の「旭区保土ヶ谷区緑区」エリア…のように、被害発生件数の高い順に各エリア(地理的情報)を一覧表としてリストアップしている。
このように、被害の規模が大きくて二次災害対策の緊急度の高いエリア(ブロック)から低いエリア(ブロック)へと優先順位に従って一覧表を作成し、それを出力としてユーザに提供することで、ユーザは、地震が発生した際に、その一覧表を見て、ガスの緊急供給停止の要・不要を二次災害発生の危険性の観点と復旧困難性の増大の観点との両面から直観的に判断して、防災対策を行うことが可能となる。
また、この図3の一例では、各エリア(ブロック)ごとの需要家の件数を、エリア毎に被害状況の情報と併せて出力している。例えば、「墨田区江東区台東区」エリアおよび 「港北区神奈川区鶴見区」エリアは、いずれも被害発生件数が35件であり、被害発生件数の観点からは同順位であるが、ブロック内の需要家件数の観点では、「墨田区江東区台東区」エリアが188916件、「港北区神奈川区鶴見区」エリアが76120件となっており、「墨田区江東区台東区」エリアの方が圧倒的に需要家件数が多いので、この「墨田区江東区台東区」エリアの防災対策を、より優先的に行うことが望ましいと考えられる。そこで、図3に示した一例では、「墨田区江東区台東区」エリアを第2順位に挙げるようにしている。このような一覧表の出力により、ユーザは、直観的に、需要家の件数が多くて二次災害対策の緊急度の高いエリアから低いエリアへと優先順位に従って防災対策のための判断を行うことが可能となる。
また、輸送対象の流体が本実施の形態のような都市ガスの場合には、需要家の件数が多いということは、そのブロックに対するガスの供給を停止すると、復旧作業に要する時間や手間や費用が大きくなる傾向にあるということであるから、ブロック毎に被害状況と需要家件数とを併せて出力することで、復旧の困難さについての判定情報をユーザに提示することも可能となる。
ここで、端末装置10では、ガス配管網を、例えばK1〜K9のような複数の大ブロック(本実施の形態ではKブロックとも呼ぶ)に分け、さらに大ブロックの中を、例えばL1〜L20のような複数の小ブロック(本実施の形態ではLブロックとも呼ぶ)に分けて、大ブロックごと、および小ブロックごとに、それぞれ地震発生時の被害状況の情報を分掌して出力するようにしている。このように各大ブロック内をさらに小さな複数の小ブロックに区分して分掌することで、例えば都心地区のように地理的に需要家件数が多い傾向にある地域や、配管網の被害が大きくなることが予想される液状化地区などについて、さらにきめ細かな二次災害対策を判断するための情報をユーザに提示することが可能となる。
また、そのような大ブロックおよび小ブロックでそれぞれ地震動値を測定し、大ブロックで測定された地震動値のうちの最大値と、小ブロックで測定された地震動値とを比較可能に出力している。地震発生時には、各ブロックで地震動値を測定するための測定機器や設備それ自体が破損または故障している虞があるので、Kブロックで測定された地震動値のうちの最大値とLブロックで測定された地震動値とを比較することで、その測定された地震動値が異常な値であるか否かを判定することが可能となる。例えば、その比較の結果、もしもある一つのKブロックで測定された地震動値が全てのLブロックで測定された地震動値のうちの最大値よりも大きな値となっていた場合には、そのようなことは全ての測定装置が正常であれば起こり得ないことなのであるから、いずれかのブロック(特にこの場合には、全てのLブロックで測定された地震動値のうちの最大値よりも大きな値が測定されたKブロックのSI測定装置)で測定された地震動値が異常であると判定することが可能である。
図3の一覧表における「チェックシート」のブラウザをユーザがクリックすると、それを端末装置10はタスク開始命令入力として受けて、その「チェックシート」ブラウザのエリアに対応するLブロックのさらに詳細な情報を出力する。
さらに具体的には、例えば図3の一覧表の第1行目にリストアップされている「大田区品川区」エリアの「チェックシート」ブラウザをクリックすると、この「大田区品川区」エリアに対応した小ブロックである「K1L3」ブロックに関する詳細な情報が出力される。ユーザは、このチェックシートの出力を見て、さらに詳細な情報の把握やそれに基づいた対策を練ることができる。ここで、「K1L3」ブロックとは、K1〜K9からなる9小の大ブロックのうちの一つの大ブロックであるK1を構成しているL1〜L20からなる20個の小ブロックのうちの一つであるL3というブロックのことを指す。このようにして「チェックシート」モードで出力される「緊急供給停止ブロックチェックシート」画面の一例を図4に示す。
この図4の画面では、まず最上段に、ブロック名「K1L3」およびその地理的情報 「大田区品川区」、供給停止基準「30kine」および供給停止権限を有する管轄区域名「南部」、需要家件数「99648件」、地震発生日時「2003(年).9(月).7(日) 22(時):30(分):12(秒)」、地震名「立川断層」、データ集計日時「2003(年).9(月).7(日) 22(時):40(分):12(秒)」が表示される。
一覧表的な表示としては、第1に、図5に拡大して示したように、「1.情報局SI値」として、情報局1(南久ヶ原1丁目),情報局2(久ヶ原4丁目),情報局3(西馬込1丁目)の、3つのLブロックの情報局の各々で測定されたSI値が表示されている。
第2に、図6に拡大して示したように、「2.ガバナ遮断状況」として、「K1L3」ブロックにおける全ガバナ数(20基)、そのうちのガス供給継続中のガバナ数(19基)、供給停止中のガバナ数(0基)、未確認のガバナ数(1基)が、それぞれ表示されている。
第3に、図7に拡大して示したように、「3.圧力状況(0〜1.00kPaのガバナがあるか?)」として、「K1L3」ブロックにおける20基のガバナの圧力を4段階で評価して、その段階毎のガバナ数を表示するようにしている。なお、この図4の一例では、「K1L3」ブロックにおける20基の全ガバナについて、「未確認」となっているが、このような事態は未通信であるか、または通信エラーのようなシステム上の支障等に起因して生じる虞がある。このため、圧力状況の情報については、必ずしも各地点の地震時遠隔監視装置から実測された情報収集に頼ることのみには限定されず、後述するような手法によって、ガバナの遮断状況および配管網の被害推定結果に基づいて、当該Lブロックにおける圧力状況を推定するようにしてもよい。
第4に、図8に拡大して示したように、「4.被害推定結果(阪神大震災での継続地区を上回るか?)」として、「本支管」、「供給管」、「灯外管」のような配管の種類別に、被害件数および被害率が表示される。この一例では、「本支管」の被害件数は56件、被害率は0.17件/km(配管の延べ距離で被害件数を除算したもの)であり、「供給管」の被害件数は94件、被害率は0.3%、「灯外管」の被害件数は90件、被害率は0.2%となっている。全被害件数は240件である。
また、今回発生した地震と同程度の被害を復旧するために要することが「阪神大震災」で実際に記録されているデータに基づいて推定される「延べ必要班数」が表示されている。この一例では、120班/日と推定されている。
また、緊急供給停止の対象となるKブロック内での被害順位が表示される。この一例では、全25個のLブロックのうち、このK1L3ブロックは、被害順位が第1位となっている。
また、「阪神大震災」のような既往の地震で実際に行われた供給停止の有無の記録とそのときの本支管被害率のレベル(段階評価)の情報が表示される。この一例では、「芸予地震」における「供給停止なし」の情報が表示されている。
また、「建物全半壊数」が表示される。この一例では、467件となっている。なお、この「建物全半壊数」の情報については、既述のような構成の地震時遠隔監視装置30によって収集することは困難あるいは不可能なので、例えばこのシステム以外の情報源からの情報を受けて用いるようにしてもよく、あるいは、過去の同程度の地震で発生したことが記録されている建物破壊状況のデータを用いるようにしてもよい。
第5に、図9に拡大して示したように、「5.液状化警報」が表示される。その液状化警報は、後述するような手法によって液状化が推定され、その推定結果に基づいて警報発令される。また、その他にも、「外部情報」として、都市ガスの需要家や消防所等からの電話や無線通信、あるいはその他に各種報道機関から送られて来る各種の外部情報等に基づいて火災情報や漏洩通報についてチェックすることができる欄なども設けられている。
そして、図4のチェックシートの最下段には、「総合判定」として、供給停止か供給継続かのいずれを選択したかのチェックおよびその判断を下した時刻を記入することができる欄が設けられている。
チェックシートでは、上記のような文字情報による一覧表と共に、地理的な情報を視覚的に提示するために、当該Lブロックにおけるガス供給圧力やガバナ遮断状況や液状化などの地理的な分布の画像が表示される。
具体的には、その一つとしては、図10に拡大して示したように、当該Lブロック(ここではK1L3ブロック)における、供給されるガスの低圧配管における圧力分布およびガバナの遮断状況の分布を示すマップ画像が表示される。この図10に示した一例では、暗い背景の部分が圧力0.00〜0.30の領域であり、明るい(白い)背景の部分が圧力0.00の領域となっている。また、各ガバナでのガス供給の停止/継続の情報は、例えばガバナが設置されている各地点ごとに、供給停止(ガバナが遮断状態)の場合には赤色で、供給継続(ガバナが導通状態)の場合には青色で、表示されるようになっている。この図10に示した一例では、20基の全てのガバナは供給継続の状態となっている。
また、他の一つとしては、図11に拡大して示したように、当該Lブロックにおける、供給されるガスの低圧配管に置ける被害分布および地盤の液状化状況の分布を示すマップ画像が表示される。この図11に示した一例では、斜線を付して示された背景の部分が被害件数2〜10の領域であり、明るい(白い)背景の部分が被害件数0〜2の領域となっている。また、各情報局(Kブロック情報局およびLブロック情報局)での液状化警報の有無の情報は、例えば液状化判定機能を有する情報局毎に、液状化警報有りの場合には赤色で、液状化警報無しの場合には青色で、表示されるようになっている。
以上のように、Lブロックごと、あるいはさらにKブロックについても、ブロック毎のガバナの遮断状況の情報を、ブロック毎に被害状況の情報と併せて出力するようにしているので、ユーザは、その出力を見て直観的に、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、またその対策を行った場合にどのブロックで供給再開のための復旧作業が必要となるかを予想することが可能となる。
また、ブロック毎のガバナの供給圧力の情報を被害状況の情報と併せて出力することで、ユーザは、その出力を見て直観的に、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、またその対策を行った場合にどのブロックで供給再開のための復旧作業が必要となるかを予想することが可能となる。
また、ガス配管網を低圧配管か中圧配管かの区別のような供給容量または耐震強度の種類ごとに区別して、その各種類の区別ごとに、被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を集計して出力するようにしているで、ユーザは、その出力を見て直観的に、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、またその対策を行った場合にどのブロックで供給再開のための復旧作業が必要となるかを予想することが可能となる。
また、ガス配管網が設けられている地域中における地盤の液状化に関する情報を収集または推定し、その推定された液状化に関する情報を、当該ブロックの情報と共に出力するようにしているので、配管網の被害が大きくなることが予想される液状化地区などについて、さらにきめ細かな二次災害対策を判断するための情報をユーザに提示することが可能となる。
また、上記のような各種の情報の出力として、例えば図5〜図9に一例を示したようなテーブル形式の一覧表と共に(あるいはテーブル形式の一覧表とは別でもよい)、図10,図11に一例を示したような地図的な視覚的情報(画像的情報)として出力するようにしているので、地震発生時の被害状況の地理的な分布を画像という極めて視覚的な情報によってさらに直観的に把握可能な状態でユーザに提示することが可能となる。
ここで、本実施の形態に係る地震防災支援用情報収集システムでは、さらに、過去の地震で発生した被害状況を段階評価しておき、その段階評価と共に、被害状況の情報およびそのとき行った防災対策の情報を蓄積しておき、新たに地震が発生した際には、そのとき収集される被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報に基づいて、そのとき発生した地震に起因した被害状況の規模を段階評価し、その段階評価で得られた段階に対応した過去の地震に関する被害状況の情報およびそのとき行った防災対策の情報を予め蓄積された情報の中から抽出して出力することなども可能となっている。このようにすることにより、地震発生時に、過去の地震で発生した被害状況の情報を活用して、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、またその対策を行った場合にどのブロックで供給再開のための復旧作業が必要となるかを予想するための情報をユーザに提示することができるからである。
また、地震発生時に可燃性ガスを供給継続した場合と遮断した場合とで、それぞれ漏洩対応に必要な延べ時間数または延べ人員数のうち少なくともいずれか一種類を推測算定してその情報を出力することなども可能である。このようにすることにより、地震発生時に、どのブロックに対してどのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、かつその対策を行った場合にどのブロックでどの程度の供給再開(復旧)作業が必要となるかを予想するための量的な情報を、明確にユーザに提示することができるからである。また、精度は必ずしも高くないが、一つのLブロック内での低圧配管に流れるガスの合計流量を演算してその値の情報を出力することなども可能となっている。そこで、次に、そのような機能について説明する。
図3に示した一覧表の表示画面における、「漏洩対応処理率推移グラフ」のブラウザをユーザがクリックすると、図12に一例を示したような緊急供給停止地域内の残存漏洩件数(観点を変えれば、これは漏洩対応必要件数あるいは漏洩対応処理率でもある)のグラフの画像が表示される。このグラフの画像は、「事業部毎」と「全社」との2種類が表示可能となっている。さらには、一つの事業部を指定入力してから「漏洩対応処理率推移グラフ」ブラウザをユーザがクリックすると、その指定された一つの事業部のみのグラフを表示することも可能となっている。
図3に示した一覧表において、あるLブロック(ここでは例えば図13に示したように第1行目のK1L3ブロック)についての「停止試行」の欄をクリックすると、そのLブロックでガスの供給停止が行われたことを条件とした漏洩対応日数(漏洩対応を行って安全を確保するために要することが推算される日数)の推定と、復旧日数(復旧に要することが推算される日数)の推定とが、サーバ20および端末装置10の演算機能によって実行される。このとき、一般に、Lブロックでガスの供給停止が行われた分だけ漏洩対応日数が減少するが、それとはトレードオフで、復旧日数は増加する。そして、その推定された漏洩対応日数の情報と復旧日数の情報とを加味して修正を加えられたデータが、図13に一例を示したようなグラフおよび文字情報として出力される。図12および図13の一例では、現状の(停止を行う前の)復旧日数は488.7日であるが、停止を行った場合には、復旧日数は499.4日となり、停止に因る復旧日数の増加は10.7日と推定されている。ユーザは、このような停止に因って生じることが推定される復旧日数の増加の情報と、既述のような種々の被害状況の情報と、図12,図13に示したような残存漏洩件数の推移グラフとに基づいて、あるLブロックについて、緊急供給停止を行うべきか否かを判断することができる。
なお、このような漏洩対応日数の推定および復旧日数の推定は、より詳細には、後述するようなサーバ20の被害推定機能、地震発生時情報収集機能、および解析装置50の解析機能、ならびに端末装置10の情報処理(画像出力用データ変換機能等)によって行われる。
ここで、さらに、上記の種々の情報のような直接的な判断材料の情報として利用するには精度が十分ではないが、「参考」として、ブロック内流量の情報、地震リスクの情報を、図14に一例を示したように提示することなども可能である。
より具体的には、ブロック内流量の情報とは、あるLブロックにおける各地震時遠隔監視装置30で測定された、そのLブロック内の低圧配管へのガス流量をサーバ20または端末装置10で合計した値である。但し、このようにして得られた値は、実際には地震で発生したガス漏洩等に起因して、必ずしも精度の高い合計値とはならない場合が多いと考えられるので、当該Lブロックへと供給されているガスの流量の規模についてを把握するための参考資料程度の位置付けとして出力することが望ましい。
また、地震リスクの情報とは、当該Lブロックへのガス供給を緊急停止した場合と継続した場合とで、それぞれ、二次災害リスクを金額換算した値および復旧費用の値を推算したものである。この二次災害リスクや復旧費用の情報についても、算定の基となる低圧配管の被害推定結果の誤差や、時間帯・季節等に影響される変動等に因る極めて大きな誤差が生じることが推測される。例えば時間帯によっては10倍程度もの誤差が生じる場合がある。従って、そのような累積誤差に起因した信頼性の低下を考慮すれば、これらの情報についても、現段階では(誤差を減少させる有効な手法が案出されるまでは)参考資料程度の位置付けとして出力することが望ましい。しかし理論的には(誤差が小さくて信頼性が高いと仮定すれば)、このように二次災害リスクの金額や復旧費用を出力することにより、地震発生時に、どのブロックでどの程度に危険性の高い状況が生じているのか、またそれに基づいて、どのような二次災害対策を行うことが必要であるのか、かつその対策を行った場合にどのブロックでどの程度の費用や手間の掛かる供給再開作業が必要となるかを予想するための量的な情報を、明確にユーザに提示することが可能となる。例えば図14の一例では、緊急供給停止を行った場合には、二次災害リスクは337百万円、復旧費用は348百万円で、合計685百万円となることが推定される。他方、供給継続した場合には、二次災害リスクは1689百万円、復旧費用は42百万円で、合計1731百万円となることが推定される。従って、このような地震リスクの金額換算の情報に基づけば、ユーザは、緊急供給停止した方がリスクが小さい、という判定を下すことが妥当であるとの結論を得ることができる。
次に、本実施の形態に係る地震防災支援用情報収集システムにおける、主にサーバ20、解析装置50、端末装置10の機能について,さらに詳細に説明する。
サーバ20は、このシステムにおける主情報処理装置であり、地震時遠隔監視装置30から離れた位置に設置されて、実際の地震が発生した際に実行される機能である地震発生時情報収集機能および地震発生時防災機能を行う地震発生時機能部210と、配管網の各地点から収集される情報に基づくのではなく、配管網の構造力学的な解析および地震動に対する地盤の反応等のデータに基づいて、地震発生時の被害推定のシミュレーションを行う機能や、訓練時に実行される機能を備えた配管網被害推定部220とを、一つのハードウェアで兼備している。その地震発生時の機能を行う地震発生時機能部210と配管網被害推定部220とは、切り替えて動作させることも可能であり、あるいは両方を一度に並行して走らせることも可能である。
地震発生時機能部210の地震発生時情報収集機能は、実際の地震発生時に地震時遠隔監視装置30から送られて来た情報に基づいて、遮断弁装置であるガバナ31の遮断状態に関する配管網中における地理的な分布の情報を収集および処理して表示出力および印刷出力ならびに記憶する機能である。
さらに詳細には、この機能では、サーバ20は、地震時遠隔監視装置30によって計測されて伝送されて来た地震動の情報であるSI値および震動加速度のデータと、配管網中のガスの圧力や流量に関するデータおよびガバナ31の開閉状態についての情報とを、拠点毎の地震時遠隔監視装置30から通信手段39を介して収集する。すなわち、サーバ20は、地震情報収集手段(あるいは地震情報収集装置)としての機能を備えており、またそのようにして地震発生時に実際に収集された地震発生時のデータを記憶するための主記憶装置21を内蔵している。
配管網が敷設されたガス供給区域内(全管区内)に設置されている、いずれかの地震時遠隔監視装置30で、例えば震度3以上の地震動が検知されて、その旨の情報が当該地震時遠隔監視装置30からサーバ20へと伝送されて来ると、この地震防災システム全体が地震モードに移行して、上記のような情報収集を行う。また、このサーバ20では、一つの地震が発生すると、その地震の発生時点から例えば6時間のような所定時間に亘って検出された地震動の情報を、1つの地震に関する一連の地震動の情報としてとらえて、その1つの地震に関する一連のSI値および震動加速度の情報(地震動の情報)と、その地震が発生した際のガスの圧力状態および流量状態ならびにガバナ31の遮断状態に関する情報とを、対応付けて一つの地震における情報として纏めて主記憶装置21に記憶させる。
地震発生時機能部210の地震発生時防災機能は、実際の地震発生時に、端末装置10から伝送されて来る命令電文に基づいて、地震時遠隔監視装置30に対して制御信号を送信することで、ガバナ31を遠隔操作して遠隔遮断の制御を行うという、遮断弁遠隔制御装置としての機能である。
さらに詳細には、この地震発生時防災機能では、端末装置10が、命令電文として、ガバナ31を遮断状態に制御する動作を行わせるための命令の電文とその制御対象のガバナ31が設置されているブロックの識別情報の電文とを組み合わせてなる電文を、1ブロック内の全てのガバナ31のそれぞれに対して1対1に対応するように生成し、その1ブロック内の全てのガバナ31に対する電文を一纏まりにして(区切り文字等によって前端と後端とが区切られた一連の1ログのデータとして)、地震時遠隔監視装置30へと送出する。そして遮断弁遠隔制御装置として機能するサーバ20では、端末装置10から一纏まりの電文が送られて来ると、その電文に含まれている全てのガバナ31を一斉に遮断状態に制御する動作を行う。
図15は、配管網全体を各単位ブロックに分けた場合の、その一単位のブロック内における配管構成の一例をマップ化して模式的に表したものである。また、この図15に示したような地図的(地理的)な画像が、実際の地震発生時にガバナ31の遮断状態の地理的な分布の情報として、端末装置10の表示装置300に表示することも可能となっている。ここで、図15では、太い配管として描いてあるものが中圧配管41を示しており、それよりも細い配管として描いてあるものが低圧配管42を示している。また、図15で×印を付した部分が、入力された地震動の情報に対応してサーバ20によって推定された破損発生箇所44を示している。なお、図15では、ブロック45内の需要家の住居46や配管構成等は模式化して描いてあるので、実際よりもかなり簡略化されているが、実際の配管構成や住居などの密度や配置の複雑さは、図15に示したものよりもさらに高度なものとなっていることは言うまでもない。
なお、既述の図10,図11に示したような一つのLブロック全体での「ブロック被害分布」や「ブロック圧力分布」を示す地図的画像の場合には、この図15に示したような極めて詳細な低圧配管やガバナの位置的な画像表現等は省略されていることは言うまでもない。
一単位のブロック内の配管では、一般に、隣接する他のブロックとの境目ごとに設けられて常時閉状態にあるブロックバルブ47によって、その隣接する他のブロックとの間でのガスの導通を隔絶されている。また、中圧配管41と低圧配管42との接続部ごとに、所定の大きさ以上の地震動に対応して自動的に弁装置の遮断を行う機能および遠隔操作によって弁装置の遮断を行う機能と中圧配管41から低圧配管42へと供給(輸送)するガスの圧力調節を行う機能とを併せ持ったガバナ31a,31b,31c,31dが、それぞれ配設されている。
一般に、実際に地震が発生すると、理論的には、図15に示したような一つのブロック内の全てのガバナ31a,31b,31c,31dが自動感震動作を行って自動的に遮断状態になるので、図15に示したような一つのブロック内に配管破損が生じてその部分からガス漏洩が発生したがそのガス漏れに対する処置を施さなかった、といった場合でも、ブロック内の配管内のガスの圧力が外部のいわゆる大気圧(ゲージ圧)と均衡するまではガス漏洩が続くが、やがて圧力が均衡状態に達すると、ガス漏れは止まることとなる。
しかし実際には、図16(B)に一例を模式的に示したように、例えば図16(B)の右上の位置にあるガバナ31dが設置されている地点の地盤のみが、何らかの要因で地震による揺れが少なかった場合には、そのときの地震に起因して配管網中の破損発生箇所44に配管破損が生じた状態となり、かつブロック内のほとんどのガバナ31a,31b,31cは遮断状態になっている一方でガバナ31dが未遮断状態になっている、といった状況になる場合もある。
このような場合には、破損発生箇所44からのガス漏洩に起因して低圧配管42の内部における圧力低下が生じ、この圧力低下に対応して、ガバナ31dは、その本来の機能により、低圧配管42内の圧力を正常な状態に戻すために中圧配管41から低圧配管42へのガスの供給(導通)流量を増加させるように機能する。このため、図16(B)に示したように、配管網中の破損発生箇所44からのガスの漏洩流量は、未遮断状態のガバナ31dによる供給量の増加機能によって助長されてしまい、いつまでもガス漏洩が続くことになる。
このような場合には、未遮断状態のガバナ31dを、外部からの遠隔操作によって強制的に遮断状態にすることが要請される。そこで、例えば全配管網における未遮断状態の全てのガバナ31を操作者が端末装置10の表示出力の画像等を目視で確認しながら手作業で確実に遮断する。あるいは、図15に示したような一つのブロック内に配管破損が生じてその部分からガス漏洩が発生したがそのガス漏れに対する処置を施さなかった、といった場合でも、図16(A)に示したように、そのブロックにおける全てのガバナ31を一斉に遮断状態に制御して、そのブロックの外部(の中圧配管41)からのガスの供給を確実に停止して、その1ブロックをガスの供給について隔絶状態にすることで、その1ブロックにおけるガス漏洩を確実に停止させるようにしてもよい。
但しここで、例えば地震発生直後の、緊急供給停止を実行するか否かを早急に判断しなければならない状態のときには、このような詳細なマップや極めて小さな区域の情報について一々チェックすることは困難である。あるいは時間の損失の方が大きい。従って、例えば地震発生直後に緊急供給停止の判断を行う場合には、例えばLブロックやKブロックのような規模のブロックごとの情報をチェックすることで、早急に的確な判断を下して二次災害対策を施すことが必要である。このため、既述のように、Lブロックごとでの被害状況の情報を一覧表やマップ画像で表示または印刷出力するのである。
なお、このサーバ20は、さらに、例えば50[kine]のような所定の規模以上の地震が検知された場合には、地震が発生したものと自動的に判断し、上記の命令電文に対応して1ブロック内の全てのガバナ31を遮断状態にする制御を行うことが可能な状態を、例えば6時間のような所定時間に亘って継続するが、所定の規模未満の地震の発生が検知された場合または地震が全く検知されていない場合には、命令電文の有無に関わらず、上記のような1ブロック内の全てのガバナ31を遮断状態にする制御は行わないようにしてもよい。このようにすることにより、地震発生時以外の正常時における、いわゆる誤遮断やハッカーの侵入等を防止することができると共に、地震発生時には1ブロック内の全てのガバナ31を一斉に遮断状態する制御を確実に行うことができる。
配管網被害推定部220の仮想情報生成機能は、外部から収集された被害状況の情報等を用いることなく被害推定を行う場合や、地震が実際には発生していない状態で防災要員等(このシステムのオペレータ等)の訓練時などに、ユーザによって人為的に入力される地震動データに基づいて、ガバナ31の仮想的な自動感震遮断状態に関する配管網中における地理的な分布の情報を仮想的に生成して、その地理的な画像を表示出力および印刷出力ならびに記憶する機能である。この仮想情報生成機能では、ガバナ31の仮想的な遮断制御以外にも、配管網の材料力学的な破損状態などの推定を行うという配管網被害推定の機能や、仮想的に与えられた地震動のデータに対して配管網におけるガスの圧力や流量状態のシミュレーションを行うという配管網流体状態解析の機能なども備えている。なお、配管網流体状態解析については、サーバ20によって推定された配管網被害推定のデータに基づいて解析装置50によってその主要な解析が行われる。解析装置50の詳細については後述する。
配管網被害推定部220の仮想防災機能は、緊急供給停止の判断を行うに先立ってユーザが着目するブロックにおける供給停止のシミュレーションを行う場合や訓練時などに、ユーザが着目するブロックのガバナ31に対して遮断動作を仮想的に遠隔操作し、その操作によって仮想的な遮断が行われたガバナ31については、上記の仮想情報生成機能によって生成された配管網中における地理的な分布の情報に反映させる(情報に追加あるいは修正を加えることで、訓練時のシミュレーションにおける当該ガバナ31の仮想的な状態の情報を遮断状態に書き替える、あるいは逆に、遮断状態であったものを仮想的な遠隔操作に対応して開放状態に書き替える)機能である。
このようなシミュレーション機能である仮想情報生成機能と仮想防災機能とで生成され、あるいはさらにそれに仮想的な遠隔操作の情報が追加されるなどして一部分を書き替えられたデータは、解析結果記憶手段である記憶装置40に記憶される。
このように、サーバ20は、端末装置10から地震動の大きさの情報(SIまたはGalなどの値)が入力されると、その大きさの地震動に起因した配管網における被害発生箇所の推定を行うという、配管網被害推定手段としての機能を実行する。このサーバ20による被害発生箇所の推定結果は、表示装置300によって表示出力することも可能となっている。そして、このようにして推定された被害発生箇所の情報は、端末装置10で、画像や一覧表に盛り込まれて出力されるようなデータフォーマットに変換され、さらにそのデータに基づいて、既述したような手法によって、図3ないし図14の各図に示したような一覧表や画像が出力される。
また、サーバ20は、配管網中の要所ごとに配設されているガバナ31に対する仮想的な遠隔操作が端末装置10の仮想遠隔操作入力手段としての機能によって行われた場合、その遠隔操作に対応したガバナ31の仮想的な弁開閉動作(弁の遮断または開放)を、このガバナ31内にソフトウエア的に構築されたガス配管網中で仮想的に行うことで、解析装置50による解析を行う際の解析条件の一つとして、ガバナ31の仮想的な弁開閉状態を盛り込む。
例えばユーザが、訓練時において、配管網中のあるガバナ31に対して弁装置を閉じる動作を実行させるための仮想的な遠隔操作を行った場合、そのガバナ31の弁装置があたかも実際に閉じられた状態になったものとサーバ20は仮想する。そして解析装置50は、サーバ20からの情報(配管網における破損発生位置やガバナ31によるガス遮断状態のデータ等)を受けて、ガバナ31の弁装置が閉じられた状態になったことを解析条件として含めたうえで、その場合の配管網におけるガスの圧力状態や漏洩状態に関する解析 (シミュレーション)を行う。
このサーバ20における、入力された地震動の情報に対応してガス配管網の地震被害発生箇所を推定する機能、ガスの圧力ならびに流量の解析を行う機能、および仮想的な遮断のシミュレーションを行う機能について、さらに詳細に説明する。
サーバ20は、図17に示したように、臨界値記憶部100と、破損発生推定部200とを備えており、外部の解析装置50および端末装置10(の表示装置300ならびに入力装置400)に接続されている。なお、図17では図示は省略したが、サーバ20と地震時遠隔監視装置30との間にはモデム60および一般電話回線39が介挿されて情報の交信が可能となっていることは言うまでもない。
臨界値記憶部100は、例えば関東地域ほぼ全域のような所定地域内に網目状に張り巡らされた都市ガスの配管網を、例えば所定の大きさのメッシュ状に区切って複数のセグメント(このセグメントは上記の「ブロック」とは異なる)毎で分割掌握するようにして、その各セグメントごとに、識別番号(N=1,2,3…)を付して、地盤の固有振動周期(T)または固有振動波長(L)と配管の破損が生じる臨界変形量(Dcr)とに基づいて予め求められた、そのセグメント内の配管に破損が発生する臨界の地震動値である臨界地震動値(SIcr)のデータと、地震が発生した場合の地盤の流動化に起因した流動方向で配管に破損が生じることが予め推定される流動臨界変形量(δcr)のデータと、そのセグメントが所定地域における地図上のどの位置に存在しているのかについてのデータ((x,y);例えば直交座標のデータ)とを、対応付けて記憶している。また、この臨界値記憶部100は、配管網が配設されている地域の地図および配管網を、表示装置300の表示デバイス302の画面に表示するためのデータ等も記憶している。
例えば、第nセグメント(N=n)について、その第nセグメントの地図中での位置のデータが(x,y)、地盤の固有振動周期がT、固有振動波長がL、臨界変形量がDcr、流動臨界変形量がδcrである場合、臨界値記憶部100には、第nセグメントのデータとして、{N=n,(x,y),T,L,Dcr,δcr,SIcr}という最大7種類のデータが一纏まりにして記憶されている。このデータは、臨界値記憶部100から読み出される際にも、上記のように{N,(x,y),T,L,Dcr,δcr,SIcr}という一纏まりの状態で取り扱われる。なお、入力された地震動の情報に対応して発生する配管の破損等の被害を推定する際に用いるデータが実質的にn,(x,y),SIcr,δcrの4種類のデータである場合には、それ以外の用いられないデータであるT,L,Dcrについては、例えばバックデータとして別途に保持しておき、臨界値記憶部100には{n,(x,y),δcr,SIcr}というデータを一纏まりの状態で記憶させておくようにしてもよい。このようにすることにより、記憶や読み出しの対象となるデータ量の低減化を図ることができるので望ましい。
配管網を複数のセグメント(N=1,2,3…)に分ける際の分割法としては、例えば1辺が0.5[km]の正方形のメッシュを想定し、そのメッシュによって配管網が張り巡らされている所定地域を区分けして、その個々のメッシュごとを各セグメントとして取り扱うことなどが可能である。そして各セグメントの例えば中心点あるいは図心の位置などを、地図中でのそのセグメントの位置のデータ(x,y)とすることが可能である。なお、メッシュの寸法は、位置的な精度とセグメントの個数の多さとの兼ね合いを考慮して適切な大きさに設定することが望ましい。また、地図や破損発生位置を表示する表示デバイス302の画面の表示解像度に対して余りにも微細な表示寸法となってしまうような細かい寸法にメッシュを設定することは無意味であるから、そのような表示デバイス302の解像度なども考慮に入れることが望ましい。
あるいは、詳細は後述するが、配管の接続形態(構造力学的および幾何学的な配管形状)に着目して、配管網を、直線の部分と、屈曲の部分と、T字型に分岐した部分とに分類するといった分類法に基づいて細分化し、その個々の部分をそれぞれ離散化された各セグメントとして取り扱うようにしてもよい。この場合にも、各セグメントの例えば中心点あるいは図心の位置などを、地図中でのそのセグメントの位置のデータ(x,y)として用いればよい。
地盤の固有振動周期(T)または固有振動波長(L)のデータは、配管網が配設されている所定地域内の地盤の要所ごとにボーリング調査を行って得ることができる。例えば、管理対象の地域として首都圏の東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県における、ガス配管が設けられている要所ごとの地盤について、合計数万箇所を実地にボーリング調査して、それらの各地点の実測値を得ることなどが可能である。あるいは、その配管が配設されている地域の地盤に関する既存の(過去に調査済みの)データを利用してもよいことは言うまでもない。
地震の直接的な振動力(破壊力)による臨界変形量(Dcr)のデータ、および地震によって引き起こされる地盤の流動化に因る流動臨界変形量(δcr)のデータは、それぞれ、セグメント毎の具体的な配管に関する種類(例えば都市ガスの配管網の場合、溶接接合鋼管、ダクタイル鋳鉄管、ねずみ鋳鉄管等)、口径(内径)、材質、その他の仕様(例えば補強処置済み/未着手など)等の各種データに基づいて配管の強度解析を行って求めることができる。あるいはさらに、配管の強度解析結果等に基づいて、臨界変形量(Dcr)のデータや流動臨界変形量(δcr)のデータを算出し、そのデータを既往地震の事例調査によって得られた被害事例のデータ等の情報に基づいてキャリブレーションするなどして、データのさらなる高信頼化を図るようにしてもよい。
さらに具体的には、臨界変形量(Dcr)、流動臨界変形量(δcr)は、どちらも本質的に配管やバルブの構造力学的な強度に関する数値(許容応力あるいは許容変位などの物理量)である。従って、地震の振動による破壊力が外力として配管網に加えられた際の、配管やバルブの構造力学的な強度解析あるいは破壊実験を行うことで、理論的または実験的に、精確な臨界変形量(Dcr)および流動臨界変形量(δcr)の値を求めることができる。
その際の配管やバルブの構造力学的強度の解析手法それ自体については、例えば、ある一つのセグメント内の配管を、所定の金属材料からなる筒状構造と見做して、その筒状構造に対して有限要素法による強度解析を行うなどして、臨界変形量(Dcr)や流動臨界変形量(δcr)を求めることができる。
あるいは、配管の接続形状を考慮に入れて、一つのセグメント内の配管を、直線の部分と、屈曲(曲管)の部分と、T字型に分岐した部分とに分類するなどして、その個々の種類ごとでそれぞれ別個に臨界変形量を求めた上で、それらのうちの最小の値を、そのセグメントにおける臨界変形量(Dcr)のデータとして採用することなども可能である。また流動臨界変形量(δcr)についても同様に、一つのセグメント内の配管を、上記のように接続形状に基づいて細かく分類し、その個々の種類ごとで個別に流動臨界変形量を求めた上で、それらのうちの最小の値を、そのセグメントにおける流動臨界変形量(δcr)のデータとして採用することが可能である。
上記のようにして求められた臨界変形量(Dcr)の値と、そのセグメントにおける地盤の固有振動周期(T)または固有振動波長(L)の値とに基づいて、臨界地震動値(SIcr)または臨界地震振幅値(Ucr)が求められる。
さらに詳細には、図18に一例を示したように、ある配管の臨界変形量(Dcr)に対して、その配管に破損が生じはじめる臨界の地震振幅値(あるいは許容地震振幅値)である臨界地震振幅値(Ucr)が一義的に定まるが、このとき配管が埋設されている地盤の固有振動周期(T)または固有振動波長(L)の値によって、臨界変形量(Dcr)と臨界地震振幅値(Ucr)との対応関係を示すグラフ(曲線)は異なったものとなることが確認されている。これは換言すれば、一般に1つの配管に関して、その配管の臨界変形量(Dcr)と、その配管が埋設されている地盤の固有振動周期T)または固有振動波長(L)との、2つの変数に対して、1つの臨界地震振幅値(Ucr)が定まるという関数関係(すなわちF(Dcr,T or L)=Ucr)が成り立っているということである(すなわちFを関数とすると、F(Dcr,TまたはL)=Ucr)。
従って、例えばあるセグメントにおける配管の臨界変形量がDcr、その配管が埋設されている地盤の固有振動周期がT=0.7[s](このときL=200[m])である場合には、そのセグメントにおける臨界地震振幅値の値Ucrは、図18に示したようなT=0.7[s](L:200[m])の場合の曲線に基づいて求めることができる。あるいは、例えば地盤の固有振動周期がT=1[s](このときL=400[m])の場合には、T=0.7[s]の場合よりもさらに緩やかな単調増加を示す曲線に基づいてUcrの値を求めることができる。
ここで、地震は地盤の振動現象であるから、臨界地震振幅値(Ucr)と臨界地震動値 (SIcr)との間には、SIcr=2π・Ucr/Tなる式で表される関係が成り立っている。従って、この関係式を用いて、上記のようにして得られた臨界地震振幅値(Ucr)から、臨界地震動値(SIcr)を求めることができる。このようにして得られた臨界地震動値(SIcr)は、最終的に、破損発生推定部200によって、地震に起因した配管の破損 (被害)の有無を推定する際に用いられる。あるいは、臨界地震振幅値(Ucr)を用いて配管の破損の有無を推定するように破損発生推定部200が設定されており、従って解析条件を与えるための地震動の情報の一要素として臨界地震振幅値(Ucr)が入力装置400を介して入力されるように設定されている場合には、上記のようにして求めた臨界地震振幅値(Ucr)を直接に用いればよく、従ってこの場合には、臨界地震振幅値(Ucr)に対応した臨界地震動値(SIcr)の算出は省略してもよいことは言うまでもない。
近年では、地震で観測される地震動値(SI)のデータは、他の種類のデータと比べて、観測および入手することが容易で、かつ配管に掛かる外力を算出するのに極めて好適なものとなっている。従って、このようなデータの入手や取り扱いが簡便であり地震動の評価・判断等のための基準となる単位として一般化しているという点で、臨界地震動値(SIcr)を予め求めておき、その臨界地震動値(SIcr)と入力された地震動の情報のうちに含まれている地震動値(SI)とを、破損発生推定部200で比較するように設定することが望ましい。
他方、流動臨界変形量(δcr)のデータについては、全てのセグメントあるいは全ての配管に対して流動臨界変形量を求めておくようにしてもよいが、地震に因る地盤の流動化が発生したときに実質的に配管の破損を引き起こすような流動量が生じるのは、実際には護岸の付近に限られており、しかもその護岸付近での流動化による地盤の変位は護岸線に対してほぼ直交方向であることが多いということを、本発明者らは確認している。従って、例えば護岸から100[m]以内の領域に位置している配管またはそのような配管を有しているセグメントのみを、破損発生推定の対象として取り扱うものとし、その他の配管またはセグメントについては、流動臨界変形量(δcr)のデータの記憶やそれに基づいた破損発生の推定動作などは省略してもよい。このようにすることにより、少なくともその省略した分のデータ量やデータ処理を簡略化することができるという利点が得られる。また、流動臨界変形量(δcr)の推定は、流動化に起因して地盤の変位が最も発生しやすい方向である護岸線に対してほぼ直交方向から配管に対して外力が加えられた場合を想定した配管の構造力学的な強度解析等を行うことによって求めることが望ましいことは言うまでもない。
この流動臨界変形量(δcr)のデータを求める際にも、臨界変形量(Dcr)の場合と同様に、直線型、曲管型、T字型等のような配管の接続形態に着目した分類法に則して配管網を複数のセグメントに離散化して考えて、その個々のセグメントごとに強度解析等を行うようにしてもよい。あるいはさらに、このようにして流動臨界変形量(δcr)のデータを求めておき、この流動臨界変形量(δcr)を生じさせる流動臨界地震動値(SIcr´)または流動臨界地震振幅値(Ucr´)を、例えば成り立つことが既に確認されている地震動値と流動量との間の相関関係あるいは関係式に基づいて算出しておき、その流動臨界地震動値(SIcr´)または地震振幅値(Ucr´)を、地震動の情報として入力された地震動値(SI)または地震振幅値(U)と比較するように設定してもよい。但しこれのみには限定されないことは言うまでもない。
破損発生推定部200は、SI比較判定部201と、δ比較判定部202とを備えている。SI比較判定部201は、入力された地震動の情報に含まれている地震動値(SI)と、セグメント毎の臨界地震動値(SIcr)とを比較して、地震動に対応してどの位置のセグメントに配管の破損が生じるかを推定する。また、δ比較判定部202も同様に、地震動に起因して発生することが推定される流動量(δ)と各セグメントまたは所定のセグメントごとの流動臨界変形量(δcr)とを比較して、そのときの地震に因る地盤の流動化に起因してどの位置のセグメントに配管の破損が生じるかについてを推定する。
さらに詳細には、地震動値(SI)の情報およびその震源位置の情報を含んだ地震動の情報が入力装置400から破損発生推定部200へと入力されると、破損発生推定部200のSI比較判定部201では、臨界値記憶部100に記憶されている全てのセグメントに関するデータ{N,(x,y),T,L,Dcr,δcr,SIcr;N=1,2,3…}を読み出し、その個々のセグメントごとに、地震動値(SI)と臨界地震動値(SIcr)とを比較して、地震動値(SI)が臨界地震動値(SIcr)以上である(SIcr≦SI)セグメントには破損が生じると推定して、そのセグメントの位置のデータを表示装置300へと送出する。地震動値(SI)が臨界地震動値(SIcr)未満である(SIcr>SI)場合には、そのセグメントには破損が生じないと推定し、そのセグメントの位置のデータは送出されない。
また、入力された地震動の情報に含まれている、地盤の流動化に起因して護岸から所定距離内の領域に生じることが観測される流動量(δ)の値が、破損発生推定部200に入力されると、この破損発生推定部200のδ比較判定部202では、臨界値記憶部100に記憶されている全てのセグメントのうちから、前述の護岸から所定距離内の領域の配管を有するセグメントのデータを選択して読み出し、その読み出された個々のセグメントごとに、流動量の値δと流動臨界変形量の値δcrとを比較して、流動量(δ)が流動臨界変形量(δcr)以上の値である(δcr≦δ)セグメントには破損が生じると推定し、そのセグメントの位置のデータを表示装置300へと送出する。しかし流動量(δ)が流動臨界変形量(δcr)未満(δcr>δ)である場合には、そのセグメントには破損が生じないものと推定する。
ここで、例えば200[kine]以上のような、所定地域内で発生する可能性のある最大規模の地震に対応した地震動値(SImax )よりも大きな臨界地震動値(SIcr>SImax )を有するセグメントについては、そのような最大級の地震に対しても耐震的であるということであるから、「恒常的に破損なし」と予め推定しておくようにしてもよい。あるいは臨界地震動値(SIcr)の代りに臨界地震振幅値(Ucr)を用いる場合にも同様に、発生する可能性のある最大規模の地震に対応した地震振幅値(Umax )よりも大きな臨界地震振幅値(Ucr>Umax )を有するセグメントについては、「恒常的に破損なし」と、予め推定しておくようにしてもよい。このように十分な強度(SIcrまたはUcr)を備えた配管については「恒常的に破損なし」と予め決定しておくことにより、少なくともその分は地震動値(SI)と臨界地震動値(SIcr)との比較の手間(それに要する時間およびデータ処理)を省略することが可能となり、延いては地震被害推定方法のさらなる簡易化およびそれに要するデータ処理量のさらなる低減化を達成することができるので望ましい。
また、地盤の流動化に起因した破損についても同様に、例えば5[m]以上のように、配管網が設けられている所定地域内の護岸付近で発生する可能性のある最大の流動量(δmax )よりも大きな流動臨界変形量(δcr>δmax )を有するセグメントについては、そのような最大級の流動化が生じても破損しないということなのであるから、「恒常的に破損なし」と予め推定しておくようにしてもよい。なお、上記のSImax =200[kine]やδmax =5[m]などの値については、一例として掲げたものであって、実際には、このような数値のみに限定されるものではないことは言うまでもない。また、このように「恒常的に破損なし」と推定されたセグメントについては、地震動値や流動量に基づいた地震被害推定を行う必要が無い旨を示す情報(例えばフラグ)を、そのセグメントに関する一纏まりのデータ{n,(x,y),T,L,Dcr,δcr,SIcr}の中に付記して臨界値記憶部100に記憶させておくようにすることが望ましい。
ここでさらに、低圧配管の被害推定について説明する。低圧配管の被害推定を良好な精度で行うために、低圧配管のうち特にねじ継手鋼管について、特に地盤条件に着目して、兵庫県南部地震での被害分析を行って被害率推定式を作成し、その分析結果を用いた。すなわち、被害率の特徴を簡潔かつ的確に表現するために、被害率推定式の形式を、R=C1 ・C2 ・φ(SI)とした。ここに、Rは被害率推定値(件/km),C1 は地盤条件区分に応じて、またC2 は液状化の程度に応じて、それぞれ被害率を増減させる係数である。φ(SI)は基準となる地盤条件での被害率であり、配管総延長の多い(殆どの低圧配管が密集している)沖積平野における被害率として定義してある。またSIは地震動のSI値である。なお液状化が発生するとSI値に対する被害の関係が不明瞭となる傾向があるため、液状化の影響は別途C2 にて取り込むようにすることが望ましい。被害率φ(SI)は図19に示したような式によって算出される。図19に示した式では、SI値に換算した低圧配管の耐力は対数正規分布し、被害率はSI値が耐力を上回る確率(被害確率)に被害率の取り得る最大値を乗じることで求まることを仮定している。ここに、R0 は沖積平野で見込まれる被害率の最大値、λ,ξはそれぞれ対数正規分布の平均,分散である。この式により、被害率はSI値の増加とともに増加し、SI値が大きくなるとR0 に漸近するという性質を持つことが分かる。R0 ,λ,ξは、「沖積平野」における被害の分析結果にSI値が60[kine]以下のデータとして調査された地震のうち沖積平野に該当するデータを加えて回帰分析を行うことによって得たものである。このようにして作成した推定式による被害率の推定値と、実際の地震の発生で被災した際の実際の被害率とを比較した結果、推定結果は実被害率と良好な一致を示すことが確認された。そこで、本実施の形態に係る地震防災システムでは、このような実際の地震発生時の被害についての統計的分析等から得られた計算式等の情報を用いて、低圧配管についてさらに良好な精度で被害推定を行うことができる。
表示装置300は、端末装置10における表示出力を行うためのもので、データ処理回路301と表示デバイス302とを、その主要部として備えている。この表示装置300では、データ処理回路301が、端末装置10から伝送されて来た画像表示用の信号を受けて、それに基づいた表示を、例えばカラー表示が可能な液晶表示デバイスまたはCRTなどによって行う。この表示装置300によって一覧表やマップとして表示出力される画像については、図3ないし図14等に基づいて既に説明した通りである。
サーバ20では、上記のようにして、入力された地震動の情報に対応して配管網における被害発生箇所(地震に因る破損等の被害が発生する箇所)を推定する。そしてその推定結果の情報に基づいて、図3ないし図14等にて一例を示したような表示出力を、端末装置10の表示装置300によって実行する。また、図示しない印刷装置などによって印刷出力するようにしてもよい。また、そのようにして生成された推定結果のデータは、記憶装置40に記憶されるようにしてもよい。
解析装置50は、サーバ20によって推定された被害発生箇所の情報に基づいて、配管網におけるガスの圧力状態(位置的な圧力分布およびその各位置での圧力値の時間的推移)やガス漏洩状態(ガス漏洩の発生位置およびその各位置ごとのガス漏洩状態の時間的推移)の解析を行うものである。従って、この解析装置50は、例えば一般的な直管内での流体の挙動についての数値風洞的な解析を行う解析装置等とは全く異なったものであることは言うまでもない。
この解析装置50で行われる、配管網におけるガスの圧力状態・漏洩状態に関する解析について、さらに詳細に説明する。
この解析装置50では、基本的に、配管網全体をLブロックのような一単位のブロックに分けて、そのブロック毎で、配管損傷に起因したガス漏洩の時間的推移や圧力状態の推移等の解析を行う。そしてそのブロック毎の解析結果を纏めて、配管網全体の解析結果のデータを出力する。
図20は、低圧配管および中圧配管ならびにガバナ31の組み合わせおよび配管形状を最も簡略化した1ブロック内の配管構成の基本形を想定し、その配管構成に損傷が発生した場合における、ガスの圧力状態・漏洩状態の時間的推移等の解析方法の一例についてを説明するための図である。ここでは、低圧配管42の断面積は一様にAL 、一連の低圧配管42の総延長はL、通常時のガスの設定圧力はPL-nol 、外気圧はPG とし、地震動に起因して配管の破損箇所が低圧配管42における一箇所に発生しており、その破損箇所からのガス漏洩の単位時間当たりの流量はQであるものとする。また、一つのブロック内の一連の低圧配管42は、中圧配管41にガバナ31を介して接続されているがその部分以外は両端がブロックバルブ47(図20では図示省略)によって閉じられた管状の閉鎖空間と見做すことができる。
ガバナ31が、地震動に対応して自動的に、あるいは遠隔操作によって手動的に、遮断状態になった場合には、この1ブロック内の配管構成は図21(A)に示したような管状の閉鎖空間と考えることができる。従って、このような場合には、配管破損が生じると、それ以降、流量Qのガス漏洩が続き、低圧配管42内のガスの圧力PL は通常時の設定圧力PL-nol から外気圧PG にまで低下して行く。そしてこのガス漏洩は、低圧配管42内のガスの圧力PL が外気圧PG と均衡すると(PL =PG になると)、停止する。従って、この場合の低圧配管42内のガスの圧力Pの時系列的推移(時間的変化)は、図21(B)に一例を示したように、時間Δtに亘って、圧力PL が設定圧力PL-nol から外気圧PG までΔPに亘って徐々に低下して行くという様相となる。
あるいは、図22(A)に一例を示したように、ガバナ31が未遮断状態にある場合には、ガス漏洩に起因した圧力低下に対応して、ガバナ31が、低圧配管42内の圧力PL を正常な状態に戻すために中圧配管41から低圧配管42へのガスの供給流量を増加させるように機能する。このため、低圧配管42内の圧力PL よりも高い圧力PM に設定されている中圧配管41から低圧配管42へとガスが供給されることによって、低圧配管42内のガスの圧力PL は配管損傷のない通常時の設定圧力PL-nol よりも高い圧力値となる。また、この場合のガス漏洩の流量Qは、ガバナ31が遮断状態になっている場合よりも大きな流量となる。しかも、この状態はガバナ31が遮断されない限りは継続することとなる。従って、この場合の低圧配管42内のガスの圧力PL の時系列的推移は、図22(B)に一例を示したように、配管破損が生じると、その直後にはガス漏洩に起因したガスの流失に因って低圧配管42内の圧力PL は通常時の圧力PL-nol から若干低下するが、その圧力低下に対応してガバナ31が圧力PM でガスを低圧配管42へと大量に供給し続けるので、結局、低圧配管42内の圧力PL は通常時の圧力PL-nol よりも高い状態となる。その状態はガバナ31を遮断状態にするまで継続されることとなる。そして例えば遠隔操作によってガバナ31が遮断状態に切り替えられると、圧力状態は図22(B)に示したような推移を辿って、低圧配管42内のガスの圧力PL が外気圧PG と均衡するに至り、ガス漏洩が停止する。
一つのブロック内での圧力状態およびガス漏洩状態は、概ね上記のような2種類の時系列的推移のうちのいずれかまたはそれらを組み合わせた様相となる。
なお、流量Qや圧力Pの時間的変化の具体的なパターンについては、例えば図21(B)に示したような指数関数的なものとなることなどが想定されるが、さらに詳細には、実際の配管網における時間的変化パターンをガス漏洩実験等により予め確認して関数化しておき、その関数を用いて、設定圧力PL-nol 、外気圧PG 、流量Q等の具体的な各数値を代入することなどによって解析することができる。また、ガス漏洩が継続する時間Δtは、圧力Pが設定圧力PL-nol から外気圧PG に低下するまでの時間を境界条件として、上記の流量Qや圧力Pの時間的変化のパターンを表した関数に基づいて算出することができる。また、漏洩したガスの総量は、流量Qを時間Δtに亘って積分することによって算出することができる。
なお、配管損傷箇所が複数である場合には、最も簡易化した解析手法としては、その複数箇所のガス漏洩の流量Qや圧力変化ΔPの線形的な総和を演算することで、一つのブロック内での圧力状態およびガス漏洩状態の解析結果を得るようにすることなどが可能である。
解析装置50は、このようにして個々に解析されたブロック毎での圧力状態およびガス漏洩状態の解析結果を纏めることによって、配管網全体の圧力状態およびガス漏洩状態の時系列的推移の解析結果を得ることができる。そしてその解析結果は、既述したような一覧表やマップ画像に盛り込まれて出力される。また、その解析結果のデータは記憶装置40に蓄積させるようにしてもよい。
記憶装置40は、上記のようにして解析装置50で行われた解析結果のデータを、解析条件として入力された地震動の情報と対応付けて記憶する。このようにすることで、ユーザは、この記憶装置40に記憶され蓄積されているデータのうちから、例えば震源位置 (x,y)および震度(SI)のような地震動の情報を訓練シミュレーション等を行う際の検索キーワードとして用いて、所望の震源位置および震度を想定した地震動に対応した圧力状態や漏洩状態の解析結果の情報を端末装置10によって読み出すことが可能となる。
またさらには、地震動に対応した圧力状態や漏洩状態の解析結果の情報をガバナ31の遠隔操作の情報と共に関連付けて、地震防災訓練シミュレーションの履歴あるいは過去ログ的なデータとして記憶装置40に蓄積してくようにすることで、後にそれを読み出して、地震防災訓練のケーススタディを行うための資料等となる情報として利用することができるようにすることも望ましい。
あるいは、本実施の形態に係るシステムを繰り返し利用して行くうちに、記憶装置40に蓄積されたデータは、多様な解析条件に対応した多様な状況についての圧力状態や漏洩状態の解析結果を有するものとなって行くので、そのようなデータは、単に地震防災の訓練用のシミュレーションに利用するだけでなく、例えば実際に震災が発生して、被災地域における配管網(における中圧配管41や低圧配管42)やガバナ31等の被害状況やガス遮断状況についての情報収集が困難あるいは不可能となった場合などに、そのとき実際に発生した地震動のデータ(SI値などの測定値など)が入手できれば、そのデータに基づいて、被災地域における被害状況やガス遮断状況についてを高い確度で推定し、それを現地から収集できなかった情報の代りとして利用することができる。
端末装置10は、サーバ20によって行われる被害推定および解析装置50における解析のための境界条件や解析条件等として用いられる地震動の情報の入力を行うという地震動情報入力手段としての機能と、サーバ20による被害発生箇所の推定結果とは別にユーザ等によって仮想された被害発生箇所の情報を解析装置50に直接に入力するための仮想被害発生箇所情報入力手段としての機能と、ユーザ等によって仮想されたガバナ31に対する仮想的な遠隔操作の入力を行うための仮想遠隔操作入力手段としての機能と、サーバ20による推定結果の情報や、その情報に基づいて形成される、図3ないし図14に示したような一覧表やマップ画像を出力する地震被害情報出力手段としての機能と、解析装置50による解析結果の情報、あるいは記憶装置40または主記憶装置21から読み出された情報、もしくはサーバ20によって各地震時遠隔監視装置30から収集された各種情報を読み出して、配管網の地図的表示等と共に表示装置300の画面に表示出力する情報出力手段としての機能と、ユーザが所望する拠点の地震時遠隔監視装置30に対してサーバ20を介してアクセスし遠隔遮断ユニット36を遠隔操作してガバナ31の強制遮断を行うことや、1ブロック内の全ての遮断弁装置を遮断状態に制御する動作を行わせるための命令電文やガバナ31を各個別に遠隔操作して遮断を遠隔制御するための命令電文をサーバ20に入力する地震時(防災用)遠隔操作入力手段としての機能とを、兼ね備えている。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、この端末装置10では、上記の各種情報の入力は、例えばテン・キーやマウスのような入力装置400によって行われ、上記の各種情報の出力は、例えばCRTまたは液晶表示デバイスのような表示デバイス302とデータ処理回路301とを備えた表示装置300などによって行われる。あるいは、各種情報の出力はプリンタ装置(図示省略)のような印刷出力装置によって行われるようにしてもよい。
ここで、入力装置400によって入力された情報は、端末装置10の本体であるパソコン本体のような情報処理装置によって適宜にデータ処理されるなどしてサーバ20あるいは解析装置50へと伝送されるように設定されていることは言うまでもない。
また、サーバ20あるいは解析装置50から出力された情報は、パソコン本体のような情報処理装置によって適宜にデータ処理されるなどした後に表示装置300に送られて、その表示装置300におけるCRTのような表示デバイス302の画面に表示される。あるいは、印刷装置に送られて配管網中でのガス漏洩発生箇所や圧力分布を示す図表等として印刷出力されるようにしてもよい。
この端末装置10は、単数で使用するようにしてもよいが、複数台を用意しておき、そのうちの1つは解析条件を入力して訓練シミュレーションの進行を制御するためのものとして用いるものとし、他のものは被訓練者がシミュレーションによる訓練を受けるために用いるようにしてもよい。
なお、以上説明した一実施の形態では、各箇所の地震時遠隔監視装置30とサーバ20との間での交信を行うための通信手段として一般電話回線39を用いるようにしているが、通信手段としてはこの他にも、例えば複数チャンネルを有する、光ファイバ回線を用いた専用回線や無線通信網なども適用可能であることは言うまでもない。また、圧力・漏洩状態の解析対象の流体として可燃性のガスを想定した場合について説明したが、これのみには限定されない。この他にも、例えば石油や上・下水道水のような液体状の流体を輸送するための配管網や、所定の管区地域内にほぼ平面的に敷設された配管網のみならず所定の建築物内に立体的に配設された配管網などにも、本発明を適用可能であることは言うまでもない。
また、上記の一実施の形態では、端末装置10は表示出力端末および印刷出力端末として機能するように設定されている。換言すれば、ブロック毎で得られたガバナ遮断状況や被害状況に関する情報の収集および集計等の主要部はサーバ20で行い、端末装置10はそのサーバ20で収集され集計された情報の表示出力や印刷出力を行うようにしているが、このような役割分担のみには限定されないことは言うまでもない。この他にも、例えば、各ブロックの地震時遠隔関し装置30からのガバナ遮断状況の情報や供給圧力の情報の収集についてはサーバ20で行い、そのようにして収集された各ブロックのガバナ遮断状況の情報や供給圧力の情報の集計、およびその集計データに基づいた一覧表やマップ画像を出力するための表示出力用データや印刷出力用データの生成については、端末装置10が行うようにしてもよい。
本発明は、例えば、輸送対象の流体が都市ガスのような可燃性ガスであり、配管網が、都市ガスの供給の調節および遮断を行うことの可能なガバナを備えたガス配管網であるような、都市ガス供給システムにおける地震防災支援用情報収集システムや地震防災支援用情報収集出力方法などに、好適に利用可能である。
10…端末装置、20…サーバ、21…主記憶装置、30…地震時遠隔監視装置、40…記憶装置、50…解析装置、60…モデム、210…地震発生時機能部、220…配管網被害推定部、300…表示装置、400…入力装置。
Claims (26)
- 所定種類の流体を輸送対象として需要家へと供給する配管網を複数のブロックに分掌して当該ブロック毎の地震発生時の被害状況の情報として被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を収集または推定する情報収集装置と、
前記各ブロックの地理的な識別情報と共に一覧表として出力する情報出力装置と
を備えたことを特徴とする地震防災支援用情報収集システム。 - 前記情報出力装置は、前記一覧表として、前記被害発生件数または前記被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を、被害の規模の大きい順から小さい順に配列して出力する
ことを特徴とする請求項1記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記情報出力装置は、前記ブロック毎の需要家の件数を、前記ブロック毎に前記被害状況の情報と併せて出力する
ことを特徴とする請求項1または2記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記配管網が、可燃性ガスを需要家に供給するための、前記流体の供給の調節および遮断を行うことの可能なガバナを備えた配管網であり、
前記情報収集装置は、前記ブロック毎のガバナの遮断状況の情報を収集し、
前記情報出力装置は、前記ブロック毎のガバナの遮断状況の情報を前記ブロック毎に前記被害状況の情報と併せて出力する
ことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記情報収集装置は、前記ブロック毎のガバナの供給圧力に関する情報を収集し、
前記情報出力装置は、前記ブロック毎のガバナの供給圧力に関する情報を前記ブロック毎に前記被害状況の情報と併せて出力する
ことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記配管網における中圧導管を複数の大ブロックに分け、さらに前記大ブロックの中を複数の小ブロックに分けて、前記大ブロックごと、および前記小ブロックごとに、それぞれ前記地震発生時の被害状況の情報を分掌して出力する
ことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記大ブロックおよび前記小ブロックで地震動値を測定し、
全ての前記大ブロックで測定された地震動値のうちの最大値と、前記小ブロックで測定された地震動値とを、比較可能に出力する
ことを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記配管網を供給容量または耐震強度の種類ごとに区別して、前記各種類の区別ごとに、前記被害発生件数または前記被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を集計して出力する
ことを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記配管網が設けられている地域中における地盤の液状化に関する情報を収集または推定し、前記液状化に関する情報を、当該ブロックの情報と共に出力する
ことを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記情報出力装置は、前記出力を、地図的な視覚的情報として出力する
ことを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記情報収集装置は、過去の地震で発生した被害状況を段階評価して、当該段階評価と共に、前記被害状況の情報およびそのとき行った防災対策の情報を蓄積しておき、新たに地震が発生した際に収集される被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報に基づいて、そのとき発生した地震に起因した被害状況の規模を段階評価して、当該段階評価で得られた段階に対応した過去の地震に関する被害状況の情報およびそのとき行った防災対策の情報を前記蓄積の中から抽出し、
前記情報出力装置は、前記情報収集装置によって抽出された情報を出力する
ことを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記配管網が、前記流体として可燃性ガスを需要家に供給するための、前記流体の供給の調節および遮断を行うことの可能なガバナを備えた配管網であり、
前記情報収集装置は、地震発生時に前記可燃性ガスを供給継続した場合と遮断した場合とで、それぞれ、漏洩対応に必要な延べ時間数および/または延べ人員数を推測算定し、
前記情報出力装置は、前記情報収集装置で推測算定された情報を出力する
ことを特徴とする請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 前記配管網が、前記流体として可燃性ガスを需要家に供給するための、前記流体の供給の調節および遮断を行うことの可能なガバナを備えた配管網であり、
前記情報収集装置は、地震発生時に前記可燃性ガスを供給継続した場合と遮断した場合とで、それぞれ、二次災害発生確率および/または復旧費用を推測算定し、
前記情報出力装置は、前記情報収集装置で推測算定された情報を出力する
ことを特徴とする請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集システム。 - 所定種類の流体を輸送対象として需要家へと供給する配管網を複数のブロックに分掌して当該ブロック毎の地震発生時の被害状況の情報として被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を収集または推定し、前記各ブロックの地理的な識別情報と共に一覧表として出力する
ことを特徴とする地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記一覧表として、前記被害発生件数または前記被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を、被害の規模の大きい順から小さい順に配列して出力する
ことを特徴とする請求項14記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記ブロック毎の需要家の件数を、前記ブロック毎に前記被害状況の情報と併せて出力する
ことを特徴とする請求項14または15記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記配管網が、可燃性ガスを需要家に供給するための、前記流体の供給の調節および遮断を行うことの可能なガバナを備えた配管網であり、
前記ブロック毎のガバナの遮断状況の情報を収集し、前記ブロック毎に前記被害状況の情報と併せて出力する
ことを特徴とする請求項14ないし16のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記ブロック毎のガバナの供給圧力に関する情報を収集し、前記ブロック毎に前記被害状況の情報と併せて出力する
ことを特徴とする請求項14ないし17のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記配管網における中圧導管を複数の大ブロックに分け、さらに前記大ブロックの中を複数の小ブロックに分けて、前記大ブロックごと、および前記小ブロックごとに、それぞれ前記地震発生時の被害状況の情報を分掌して出力する
ことを特徴とする請求項14ないし18のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記大ブロックおよび前記小ブロックで地震動値を測定し、
全ての前記大ブロックで測定された地震動値のうちの最大値と、前記小ブロックで測定された地震動値とを、比較可能に出力する
ことを特徴とする請求項14ないし19のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記配管網を供給容量または耐震強度の種類ごとに区別して、前記各種類の区別ごとに、前記被害発生件数または前記被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報を集計して出力する
ことを特徴とする請求項14ないし20のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記配管網が設けられている地域中における地盤の液状化に関する情報を収集または推定し、前記液状化に関する情報を、当該ブロックの情報と共に出力する
ことを特徴とする請求項14ないし21のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記出力を、地図的な視覚的情報として出力する
ことを特徴とする請求項14ないし22のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 過去の地震で発生した被害状況を段階評価して、当該段階評価と共に、前記被害状況の情報およびそのとき行った防災対策の情報を蓄積しておき、
新たに地震が発生した際に収集される被害発生件数または被害発生率のうち少なくともいずれか一種類の情報に基づいて、そのとき発生した地震に起因した被害状況の規模を段階評価し、当該段階評価で得られた段階に対応した過去の地震に関する被害状況の情報およびそのとき行った防災対策の情報を、前記蓄積の中から抽出して出力する
ことを特徴とする請求項14ないし23のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記配管網が、前記流体として可燃性ガスを需要家に供給するための、前記流体の供給の調節および遮断を行うことの可能なガバナを備えた配管網であり、
地震発生時に前記可燃性ガスを供給継続した場合と遮断した場合とで、それぞれ,漏洩対応に必要な延べ時間数および/または延べ人員数を推測算定して出力する
ことを特徴とする請求項14ないし24のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。 - 前記配管網が、前記流体として可燃性ガスを需要家に供給するための、前記流体の供給の調節および遮断を行うことの可能なガバナを備えた配管網であり、
地震発生時に前記可燃性ガスを供給継続した場合と遮断した場合とで、それぞれ、二次災害発生確率および/または復旧費用を推測算定して出力する
ことを特徴とする請求項14ないし25のうちいずれか1項に記載の地震防災支援用情報収集出力方法。
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