JP2004301289A - クイックコネクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コネクタハウジング3のパイプ挿入部11を、リテーナ保持部19と、シール保持部21と、連絡部23とから一体的に構成する。シール保持部21の内周面の軸方向一方側に、第1の環状シール部材であるXリング25と、第2の環状シール部材である断面円形状のOリング27との2本の環状シール部材を、軸方向に間隔を設けて嵌めておく。Xリング25をFKM製とし、Oリング27をFVMQ製とする。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のガソリン燃料配管の接続に用いられるクイックコネクタに関し、より具体的にはコネクタハウジングとパイプ体との間を密封するシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のガソリン燃料配管の接続には、例えば図12に示すようなクイックコネクタAが用いられる。このクイックコネクタAは、軸方向一方側にチューブ接続部Bが形成され、軸方向他方側にパイプ挿入部Cが設けられた筒状のコネクタハウジングDと、パイプ挿入部Cの軸方向他方側のリテーナ保持部E内に嵌め付けられたリテーナFと、から構成され、コネクタハウジングDあるいはパイプ挿入部C又はリテーナ保持部Eの軸方向他方側端開口からこのパイプ挿入部C内にパイプ体を相対的に挿入してスナップ嵌合することによりパイプ体と接続される構造になっている。クイックコネクタAに接続されるパイプ体Gは、図13に示すように、軸方向一方側に環状係合突部Hが設けられて挿入端部Iが構成されていて、挿入端部IがコネクタハウジングDのパイプ挿入部C内に挿入され、環状係合突部HがリテーナFとスナップ係合することによってクイックコネクタAにスナップ嵌合することとなる。
【0003】
パイプ挿入部Cのリテーナ保持部Eよりも軸方向一方側には、リテーナ保持部Eよりも小径のシール保持部Jが形成されていて、このシール保持部J内の軸方向一方側には、パイプ体Gの挿入端部Iとの間を密封するシール手段Kが配置されている。シール手段Kは弾性材料で形成された2本のOリングL、Lを有して構成されていて、形状が簡素で安価であり、取り扱い性に優れたこのOリングL、Lの密封機能により、コネクタハウジングDとパイプ体Gとの間からガソリン燃料が漏出するのを防止している。
【0004】
ところで、このようなシール手段に用いられるOリングには、コネクタ接続部からのガソリン燃料の透過量を低く抑えて環境問題に対処するために、ガソリン燃料低透過性の弾性材料を適用することが好ましい。特に、配管内のガソリン燃料に直接接触する軸方向一方側のOリングには、非常に優れたガソリン燃料低透過性を有する材料、例えばフッ素ゴム(FKM)を用いるのが得策である(クイックコネクタに直接関係するものではないが例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−89765号公報(第3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、FKMは硬質であり、例えばつぶし代を大きくとって使用されるOリングに適用すると、パイプ体をクイックコネクタに相対的に挿入する際の挿入抵抗が大きくなりすぎるおそれがある。クイックコネクタを接続すべきパイプ体の挿入端部は、機器が密集するエンジンルーム内などの狭いスペースに配置されていることが多いが、このような狭いスペース内に作業者が手を差し入れて行う接続作業では、クイックコネクタを強く押すことがしばしば困難となるので、パイプ体の挿入抵抗が大きいと、パイプ体を瞬時にクイックコネクタに挿入することができず、パイプ体の環状係合突部のリテーナへの係合も、顕著なスナップ態様では行われなくなってしまう。そうすると、パイプ体とリテーナとの接続の感触をはっきりと得ることができず、環状係合突部がリテーナと係合し、パイプ体が正常にクイックコネクタに挿入されているにもかかわらず、さらにクイックコネクタをパイプ体側に押し付けようとしたり、パイプ体の環状係合突部がリテーナと正常に係合していないにもかかわらず、コネクタハウジングに取り付けられている、接続確認用のチェッカーを操作し、パイプ体の半嵌合状態を確認してから再びクイックコネクタをパイプ体側に押し付けたりするといった非効率的な作業態様が多発する可能性があって、クイックコネクタの接続作業をスムーズに遂行できないおそれがある。
【0007】
また、特に、コネクタ接続個所が多い場合には、パイプ体をクイックコネクタに挿入しやすく構成して、作業者の作業負荷を軽減することも必要である。
【0008】
そこで本発明は、ガソリン燃料の透過量を十分低減でき、しかも、パイプ体の挿入接続作業の円滑性を阻害するといったことのない、そして耐磨耗性にも優れているシール手段を備えたクイックコネクタの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明のクイックコネクタは、環状係合突部が設けられて挿入端部が構成されたパイプ体と接続されるガソリン燃料通過用のクイックコネクタであって、軸方向一方側にチューブ接続部を有し、軸方向他方側にリテーナ保持部が設けられた筒状のコネクタハウジングと、前記リテーナ保持部に設けられ、このリテーナ保持部の軸方向他方側端開口から前記コネクタハウジング内に前記パイプ体の前記挿入端部が挿入されたときに、前記環状係合突部とスナップ係合するように構成されたリテーナ手段と、前記リテーナ保持部よりも軸方向一方側の前記コネクタハウジング内に配置され、前記コネクタハウジングと、前記パイプ体に構成された前記挿入端部の前記環状係合突部よりも軸方向一方側との間を密封するためのシール手段と、を備え、前記シール手段は、前記コネクタハウジング内に配置された軸方向一方側の第1の環状シール部材と、この第1の環状シール部材よりも軸方向他方側に位置して前記コネクタハウジング内に配置された軸方向他方側の第2の環状シール部材と、を有していて、前記第1の環状シール部材及び前記第2の環状シール部材のうちの少なくとも一方は、リップシールとして形成されているものである。リップシールとしては、例えば、断面X字状のXリング又は断面U字状(断面Y字状等のほぼU字状を含む)のUリングなどの環状凹部又は環状スリットを有するものを用いることができる。リップシールは、硬質材料を用いた場合であっても、リップ部が容易に変形するので、パイプ体に対する大きな挿入抵抗を作用させないし、クイックコネクタとパイプ体とが相対的に回動する場合の耐磨耗性に優れている。また、リップシールは適切に配置することにより、コネクタハウジングとパイプ体との間を十分に密封する。なお、チューブ接続部は、パイプ体と連結される相手側部材の接続部を広く含むものである。
【0010】
本発明には、第1の環状シール部材のみをリップシールとして形成する場合、第1の環状シール部材及び第2の環状シール部材をともにリップシールとして形成する場合及び第2の環状シール部材のみをリップシールとして形成する場合が含まれることとなる。第1の環状シール部材のみをリップシールとして形成する場合には、第2の環状シール部材を断面円形状又はほぼ円形状のOリングとして形成することができる。また、第2の環状シール部材のみをリップシールとして形成する場合には、第1の環状シール部材を断面円形状又はほぼ円形状のOリングとして形成することができる。
【0011】
第1の環状シール部材には、ガソリン燃料低透過性の観点から、硬質のFKMなど、ガソリン燃料不透過性材料を用いることができ、第2の環状シール部材には、フロロシリコーンゴム(FVMQ)又は軟質のあるいは比較的軟質のゴム弾性材料などを適用することができる。この場合には、第1の環状シール部材をリップシールとして形成し、第2の環状シール部材をOリングとして形成することが得策であるが、第2の環状シール部材もリップシールとして形成し、パイプ体に対する挿入抵抗をさらに低減させ、より優れた耐磨耗性を確保するようにしてもよい。また、第1の環状シール部材をOリングとして形成し、第2の環状シール部材をリップシールとして形成しても、第1の環状シール部材及び第2の環状シール部材をともにOリングとした場合と比較して、シール手段全体のパイプ体に対する挿入抵抗を幾分低下させ、かつ耐磨耗性を幾分向上させることができる。
【0012】
また、より優れたガソリン燃料低透過性を確保する観点から、第2の環状シール部材にも硬質のFKMなど、ガソリン燃料不透過性材料を用いることができる。この場合には、第1の環状シール部材とともに第2の環状シール部材もリップシールとして形成するのが得策であるが、第1の環状シール部材をリップシールとして形成し、第2の環状シール部材をOリングとして形成しても、あるいは、第1の環状シール部材をOリングとして形成し、第2の環状シール部材をリップシールとして形成しても、第1の環状シール部材及び第2の環状シール部材をともにOリングとした場合と比較して、シール手段全体のパイプ体に対する挿入抵抗をかなり低下させ、かつ耐磨耗性をかなり向上させることができる。
【0013】
コネクタハウジングは樹脂製又は金属製とすることができる。リテーナ手段としては、コネクタハウジングのリテーナ保持部内に嵌め付けられたリテーナを用いることができ、リテーナの嵌め付けは例えば、リテーナ保持部に一対の係合窓を設けておき、この係合窓にリテーナを係合させることにより行うことができる。そして、リテーナの軸方向一端部に係合スリットを設けておき、パイプ体の環状係合突部がこの係合スリットにスナップ係合することによりクイックコネクタとパイプ体とが接続されるように構成することができる。また、リテーナ手段としては、コネクタハウジングのリテーナ保持部外周に、このリテーナ保持部外周を挟み付けるようにして嵌め付けられた、一対の脚部を有するほぼC字形状又はコ字形状のリテーナ(例えばワイヤ形リテーナ)を用いることができ、リテーナの嵌め付けは、例えば、リテーナ保持部に一対のスリット状の係合窓を設けておき、この係合窓又は脚部係合用スリットにリテーナの脚部を入り込ませることにより行うことができる。ここでは、リテーナの脚部が係合窓又は脚部係合用スリットに入り込んでリテーナ保持部内に突出し、そして、パイプ体の環状係合突部がリテーナの脚部、あるいは脚部の端部に形成された内側に向う係合部とスナップ係合することにより、クイックコネクタとパイプ体とが接続されるように構成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明に係るクイックコネクタの斜視図、図2はクイックコネクタの断面図、図3はクイックコネクタに用いられるリテーナの斜視図、図4はクイックコネクタにパイプ体を接続した状態を示す断面図、図5はシール手段を示すための拡大断面図である。
【0016】
クイックコネクタ1は、自動車のガソリン燃料配管の接続用に使用されるものであり、筒状のコネクタハウジング3と、ほぼ環状のリテーナ5と、シール手段7と、を備えて構成されている。コネクタハウジング3はガラス繊維強化ポリアミド(PA・GF)を素材として形成され、軸方向一方側の円筒状の樹脂チューブ接続部9と、軸方向他方側のほぼ円筒状のパイプ挿入部11とから一体的に構成されていて、軸方向一方側端から軸方向他方側端に貫通する貫通孔13を有している。樹脂チューブ接続部9は、軸方向に間隔を有して一体的に形成された複数本の抜け止め環状突出部15を外周面に有していて、外周又は外周面に樹脂チューブがきつく嵌め付けられて接続されるように構成されている。なお、樹脂チューブ接続部9の軸方向一端部外周には、比較的深い環状のシール嵌め込み溝17が形成されていて、樹脂チューブを嵌め付けるに際してこのシール嵌め込み溝17内に環状シール(図示せず)を配置しておく。
【0017】
コネクタハウジング3のパイプ挿入部11は、軸方向他方側の大径のリテーナ保持部19と、リテーナ保持部19よりも小径の中間のシール保持部21と、シール保持部21よりもさらに小径の軸方向一方側の連絡部23と、から一体的に構成されている。シール保持部21の内周面の軸方向一方側には、軸方向一方側の第1の環状シール部材であるXリング25と、軸方向他方側の第2の環状シール部材である断面円形状のOリング27との2本の環状シール部材がカラー29を介して、すなわち軸方向に間隔を有して並んで嵌められ、シール保持部21の内周面の軸方向他方側には、連絡部23の内径とほぼ等しい内径を有する、短い筒状の樹脂ブッシュ31が嵌め付けられている。樹脂ブッシュ31は、軸方向他方側の環状端面33が、リテーナ保持部19の内側の軸方向一方側端に形成されている、狭い幅を有して径方向内側に広がる環状当接面又は環状内端面35と同一平面上に位置するように、シール保持部21の軸方向他方側端部に嵌め付けられている。Xリング25及びOリング27は、シール保持部21の内側の軸方向一方側端に形成されている環状の段差面37と樹脂ブッシュ31とに挟まれて軸方向に位置決めされている。
【0018】
パイプ挿入部11のほぼ円筒状のリテーナ保持部19には、径方向対称位置に対向して一対の係合窓39、39が形成されているが、係合窓39、39の軸方向一方側端(端面)41、41は、リテーナ保持部19の内側の環状当接面35及び樹脂ブッシュ31の軸方向他方側の環状端面33と同一平面上に位置するように配置されていて、接続されたパイプ体の外周に水分が溜まりにくい構成となっている。
【0019】
リテーナ保持部19内にはPA製のリテーナ5が嵌め付けられていて、このリテーナ5は、比較的柔軟であり、弾性変形可能なように構成されている。リテーナ5は、軸方向他端部の径方向対称位置に、径方向外側に突出した一対の係合爪部43、43が形成されている、周方向両端部45、45間に比較的大きな変形用隙間が設けられた断面C形状又はC字状(ほぼ環状形)の本体部47を有し、この本体部47の内面は、変形用隙間と対向する部分を除いて軸方向一方側に向かって縮径する状態に形成されていて、本体部47の軸方向一端部49は、変形用隙間と対向する部分を除いてパイプ体51とほぼ同じ内径状態に形成され、環状係合突部53よりも小さい内径状態に形成されている。本体部47の変形用隙間と対向する部分の内面はほぼ円筒内面状態に形成され、本体部47の変形用隙間と対向する部分の軸方向一端部49には切欠状凹部55が形成されている。
【0020】
リテーナ5の本体部47の軸方向他端部には、係合爪部43、43と対応した位置から軸方向他方側に向かって径方向外側に傾斜して延びる一対の操作アーム57、57が一体的に設けられていて、それぞれの操作アーム57、57の軸方向他端部には径方向外側に突出した操作端部59、59が形成されている。本体部47の軸方向一端部49には、周方向に延びる係合スリット61、61が対向して形成されていて、このような構成のリテーナ5は、係合爪部43、43がリテーナ保持部19の係合窓39、39内に入り込み、操作端部59、59がリテーナ保持部19の軸方向他端部63と係合するように、リテーナ保持部19内に押し込まれて嵌め付けられている。リテーナ保持部19の軸方向他方側の端面には、一対の軸方向突出部65、65が係合窓39、39の間に対応するように形成されていて、この一対の軸方向突出部65、65は、操作アーム57、57の操作端部59、59が、係合窓39、39と正確に対応して位置していないときに、係合窓39、39と一致するまでずれやすくするためのガイドとして機能する。操作アーム57、57から係合スリット61、61まで延びる、リテーナ5の対向している断面円弧状の内面67、67はそれぞれ、軸方向一方側に向かって中心又は中心軸方向にほぼテーパ状に傾斜しているが、パイプ体51を操作アーム57、57の操作端部59、59側からリテーナ5の本体部47内に挿入すると、パイプ体51の環状係合突部53がリテーナ5のテーパ状の内面67、67と、操作アーム57及び本体部47の境界位置で当接するように構成されている。なお、図2中符号69は、リテーナ保持部19の内周面に一体的に形成され、リテーナ5の本体部47の切欠状凹部55内に位置してリテーナ5の回り止めを行う回り止め突出部である。また、リテーナ5は、リテーナ保持部19内で軸方向一方側に最もずれると、軸方向他端が環状当接面35とほぼ当接するように構成されている。
【0021】
操作アーム57、57の操作端部59、59側からリテーナ5の本体部47内に挿入されて、すなわちクイックコネクタ1にリテーナ保持部19の軸方向他端開口71から挿入されて嵌め付けられた相手方のパイプ体51は例えば金属製であり、軸方向一方側の外周面に環状係合突部53が設けられることにより構成された挿入端部73を有しているが、環状係合突部53がリテーナ5の本体部47の内面を押し広げて進行し、係合スリット61、61に嵌り込んでスナップ係合するまでクイックコネクタ1あるいはコネクタハウジング3に押し込まれている。パイプ体51は、環状係合突部53がリテーナ5の本体部47の係合スリット61、61に嵌り込んでスナップ係合することにより、クイックコネクタ1に対して抜け止めされ、また挿入止めされる。すなわち、軸方向に位置決めされる。パイプ体51あるいは挿入端部73の軸方向一端は、Oリング27及びXリング25を通過して、連絡部23内に達していて、パイプ体51(より具体的にはパイプ体51の挿入端部73の環状係合突部53よりも軸方向一方側)とクイックコネクタ1(より具体的にはシール保持部21)との間はこのXリング25及びOリング27により密封され、パイプ体51の挿入端部73の環状係合突部53よりも軸方向一方側は、パイプ体51の挿入端部73の外径とほぼ同一の内径を有する樹脂ブッシュ31及び連絡部23内にガタが生じないように挿入されている。
【0022】
Xリング25及びOリング27はシール手段7を構成しているが、配管内のガソリン燃料と直接接触するXリング25は、非常に優れたガソリン燃料不透過性を有するが硬質であるFKMによって形成され、Oリング27は、十分なガソリン燃料不透過性を必ずしも有するとはいえない。FVMQ又は軟質のあるいは比較的軟質のゴム弾性材料よって形成されている。なお、Oリング27をFKMで形成してもよい。Xリング25は、内周側の浅い環状凹部75を介して軸方向に間隔を有して並んで配置されている一対の内周側リップ部77、77がパイプ体51の挿入端部73の外周面と接触し、外周側の浅い環状凹部79を介して軸方向に間隔を有して並んで配置されている一対の外周側リップ部81、81がシール保持部21の内周面と接触することにより、パイプ体51とコネクタハウジング3との間をガソリン燃料に対して密封する。Xリング25は、変形しやすいリップ部77、81を有しているので、硬質でありながら、挿入時にパイプ体51に大きな挿入抵抗を作用させない。すなわち、パイプ体51の挿入端部73を比較的スムーズに相対的に通過させる。したがって、クイックコネクタ1では、パイプ体51とリテーナ5とのスナップ係合時に、「カチッ」といった明確なクリック感触を得ることができる。また、燃料系又はガソリン燃料配管の稼動時には、ガソリン燃料の圧力を受けてXリング25はカラー29に押し付けられ、軸方向に押しつぶされる。しかも、ガソリン燃料の圧力は、軸方向一方側の環状凹部83内に作用して軸方向一方側のリップ部77、81に押し広げ力を加える。したがって、リップ部77、81がそれぞれ、パイプ体51の外周面及びシール保持部21の内周面に強く押し付けられるので、Xリング25によりガソリン燃料に対する十分な密封性が確保される。さらに、クイックコネクタ1とパイプ体51とは、エンジンからの振動を受けて相対的に小さな角度範囲で回動するので、硬質材料製の環状シール部材は、例えばクイックコネクタ1の軸ぶれにともない偏磨耗するおそれがあるが、Xリング25は、リップ部77、81で軸ぶれを吸収するので、偏磨耗しにくく、したがってクイックコネクタ1の長期にわたる密封性を保証する。加えて、Xリング25では、内周側の浅い環状凹部75を潤滑剤溜として利用することができるので、この環状凹部75内に潤滑剤を供給しておき、パイプ体51に対する挿入抵抗をさらに低下させ、かつ、Xリング25あるいは第1の環状シール部材の磨耗を効果的に防止することができる。
【0023】
Oリング27は、ガソリン燃料に対する密封機能とともに、外部からの水分やゴミなどの侵入を防止するダストシールとしての機能も有している。
【0024】
図6はクイックコネクタ1に設けられているシール手段7の第1の変更例を示す断面図である。
【0025】
シール手段7の第1の変更例では、Oリング27に代えてXリング25と同一形状のXリング85を第2の環状シール部材として用いている。Xリング85の素材は、Oリング27と同様のFVMQ又は軟質のあるいは比較的軟質のゴム弾性材料である。第2の環状シール部材にもXリングを用いることにより、第2の環状シール部材のパイプ体51に対する挿入抵抗をさらに低減させて、シール手段7全体のより良好な挿入性を確保できる。Xリング85は、内周側の浅い環状凹部75を介して軸方向に間隔を有して並んで配置されている一対の内周側リップ部77、77がパイプ体51の挿入端部73の外周面と接触し、かつ、外周側の浅い環状凹部79を介して軸方向に間隔を有して並んで配置されている一対の外周側リップ部81、81がシール保持部21の内周面と接触するので、ガソリン燃料に対する密封機能とともに、ダストシールとしての十分な機能を有している。第1の環状シール部材及び第2の環状シール部材をともにXリングとするここでの構成は、シール手段7のガソリン燃料低透過性をさらに高めるために、第2の環状シール部材にも硬質のFKMを用いる場合には、特に効果的となる。また、Xリング85の内周側の浅い環状凹部75内に潤滑剤を供給しておけば、パイプ体51に対する挿入抵抗をより一層低下させ、かつ、Xリング85あるいは第2の環状シール部材の磨耗を効果的に防止することができる。
【0026】
図7はクイックコネクタ1に設けられているシール手段7の第2の変更例を示す断面図である。
【0027】
シール手段7の第2の変更例では、Xリング25に代えてOリング27と同一形状のOリング87を第1の環状シール部材として用い、Oリング27に代えてXリング25と同一形状のXリング89を第2の環状シール部材として用いている。Oリング87の素材は、Xリング25と同一のFKMであり、Xリング89の素材は、Oリング27と同様のFVMQ又は軟質のあるいは比較的軟質のゴム弾性材料である。ここでは、高価なFKM材料と安価に製造できるOリングとを組み合わせているが、第1の環状シール部材がFKM製のOリング87であるため、第1の環状シール部材のパイプ体51に対する挿入抵抗は大きい。しかしながら、第2の環状シール部材であるXリング89の内周側の浅い環状凹部75内に潤滑剤を供給しておけば、第2の環状シール部材のパイプ体51に対する挿入抵抗を大きく低減できる。しかも、Xリング89を通過してOリング87に差し掛かるパイプ体51の挿入端部73部分には、潤滑剤が付着していることとなるので、Oリング87のパイプ体51に対する挿入抵抗もかなり低下する。また、第2の環状シール部材が耐磨耗性に優れたXリング89であるため、Oリング87の密封性が磨耗により低下しても、Xリング89がバッファとして機能し、引き続きシール手段7の密封性が維持される。バッファ機能を高めるために、第2の環状シール部材であるXリング89にもFKMを適用することができる。
【0028】
図8はクイックコネクタ1に設けられているシール手段7の第3の変更例を示す断面図である。
【0029】
シール手段7の第3の変更例では、Xリング25に代えて断面U字状のUリング91を第1の環状シール部材として用いている。Uリング91の素材は、Xリング25と同一のFKMである。Uリング91は、基部93と、この基部93からほぼ軸方向に突出する一対の内周側リップ部95及び外周側リップ部97と、を一体的に有していて、内周側リップ部95及び外周側リップ部97間の環状凹部99が、軸方向一方側に開口するように、シール保持部21内に配置されている。Uリング91は、内周側リップ部95がパイプ体51の挿入端部73の外周面と接触し、外周側リップ部97がシール保持部21の内周面と接触することにより、パイプ体51とコネクタハウジング3との間をガソリン燃料に対して密封する。Uリング91は変形しやすいリップ部95、97を有しているので、硬質でありながら、挿入時にパイプ体51に大きな挿入抵抗を作用させない。また、燃料系又はガソリン燃料配管の稼動時には、ガソリン燃料の圧力を受けてUリング91はカラー29に押し付けられ、軸方向に押しつぶされる。しかも、ガソリン燃料の圧力は、環状凹部99内に作用してリップ部95、97に押し広げ力を加えるので、内周側リップ部95及び外周側リップ部97がそれぞれパイプ体51の挿入端部73の外周面及びシール保持部21の内周面に強く押し付けられる。その結果、Uリング91によりガソリン燃料に対する十分な密封性が確保されることとなる。さらに、Uリング91は、変形しやすいリップ部95、97を備えることにより、優れた耐磨耗性を有し、したがって、クイックコネクタ1の長期にわたる密封性を保証する。
【0030】
なお、クイックコネクタ1が、ガソリン燃料から大きな圧力を受けない個所に用いられる場合には、図9に示すように、Uリング91を、環状凹部99が軸方向他方側に開口するように、シール保持部21内に配置してもよい。このように構成すれば、Uリング91のシール保持部21内への嵌め付けが容易となる。
【0031】
図10はクイックコネクタ1に設けられているシール手段7の第4の変更例を示す断面図である。
【0032】
シール手段7の第4の変更例では、Xリング25に代えて断面U字状のUリング101を第1の環状シール部材として用いている。Uリング101の素材は、Xリング25と同一のFKMである。Uリング101は、基部103と、この基部103から径方向内側に突出する一対の軸方向一方側のリップ部105及び軸方向他方側のリップ部107と、を一体的に有し、軸方向一方側のリップ部105及び軸方向他方側のリップ部107間の環状凹部109が径方向内側に開口して、シール保持部21内に配置されている。Uリング101は、軸方向に間隔を有して並んで配置されているリップ部105、107がパイプ体51の挿入端部73の外周面と接触し、基部103がシール保持部21の内周面と接触することにより、パイプ体51とコネクタハウジング3との間をガソリン燃料に対して密封する。Uリング101は変形しやすいリップ部105、107を有しているので、硬質でありながら、挿入時にパイプ体51に大きな挿入抵抗を作用させない。また、燃料系又はガソリン燃料配管の稼動時には、ガソリン燃料の圧力を受けてUリング101はカラー29に押し付けられ、軸方向に押しつぶされる。しかも、環状凹部109が設けられているため、容易に押しつぶされる。したがって、リップ部105、107及び基部103がそれぞれ、パイプ体51の外周面及びシール保持部21の内周面に強く押し付けられるので、Uリング101によりガソリン燃料に対する十分な密封性が確保される。さらに、Uリング101は、変形しやすいリップ部105、107を備え、優れた耐磨耗性を有している。加えて、環状凹部109内に潤滑剤を供給しておくことにより、パイプ体51に対する挿入抵抗が大きく低下するし、Uリング101あるいは第1の環状シール部材の磨耗を防止することができる。
【0033】
なお、リップ部が径方向内側に突出していると、パイプ体51の挿入時に、リップ部(特に軸方向一方側のリップ部)が、段差面37から軸方向一方側にはみ出してしまうおそれがある。そこで、図11に示すように、Uリング101に代えて、基部111と、この基部111から径方向外側に突出する一対の軸方向一方側のリップ部113及び軸方向他方側のリップ部115と、を一体的に有し、軸方向一方側のリップ部113及び軸方向他方側のリップ部115間に環状凹部117が設けられているUリング119を用い、基部111をパイプ体51の挿入端部73の外周面と接触させ、軸方向に間隔を有して並んで配置されているリップ部113、115をシール保持部21の内周面と接触させることにより、パイプ体51とコネクタハウジング3との間をガソリン燃料に対して密封するといったように構成してもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のクイックコネクタは、パイプ体との接続作業性に優れ、しかも、十分なガソリン燃料低透過性及び耐磨耗性を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクイックコネクタの斜視図である。
【図2】クイックコネクタの断面図である。
【図3】クイックコネクタに用いられるリテーナの斜視図である。
【図4】クイックコネクタにパイプ体を接続した状態を示す断面図である。
【図5】シール手段を示すための拡大断面図である。
【図6】クイックコネクタに設けられているシール手段の第1の変更例を示す断面図である。
【図7】クイックコネクタに設けられているシール手段の第2の変更例を示す断面図である。
【図8】クイックコネクタに設けられているシール手段の第3の変更例を示す断面図である。
【図9】Uリングの別の使用例を示す断面図である。
【図10】クイックコネクタに設けられているシール手段の第4の変更例を示す断面図である。
【図11】Uリングの別の構成を示す断面図である。
【図12】従来のクイックコネクタの断面図である。
【図13】従来のクイックコネクタにパイプ体を接続した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 クイックコネクタ
3 コネクタハウジング
5 リテーナ(リテーナ手段)
7 シール手段
19 リテーナ保持部
25 Xリング(第1の環状シール部材)
27 Oリング(第2の環状シール部材)
85 Xリング(第2の環状シール部材)
87 Oリング(第1の環状シール部材)
91、101、119 Uリング(第1の環状シール部材)
Claims (6)
- 環状係合突部が設けられて挿入端部が構成されたパイプ体と接続されるガソリン燃料通過用のクイックコネクタであって、
軸方向一方側にチューブ接続部を有し、軸方向他方側にリテーナ保持部が設けられた筒状のコネクタハウジングと、
前記リテーナ保持部に設けられ、このリテーナ保持部の軸方向他方側端開口から前記コネクタハウジング内に前記パイプ体の前記挿入端部が挿入されたときに、前記環状係合突部とスナップ係合するように構成されたリテーナ手段と、
前記リテーナ保持部よりも軸方向一方側の前記コネクタハウジング内に配置され、前記コネクタハウジングと、前記パイプ体に構成された前記挿入端部の前記環状係合突部よりも軸方向一方側との間を密封するためのシール手段と、を備え、
前記シール手段は、前記コネクタハウジング内に配置された軸方向一方側の第1の環状シール部材と、この第1の環状シール部材よりも軸方向他方側に位置して前記コネクタハウジング内に配置された軸方向他方側の第2の環状シール部材と、を有していて、
前記第1の環状シール部材及び前記第2の環状シール部材のうちの少なくとも一方は、リップシールとして形成されている、ことを特徴とするクイックコネクタ。 - 前記第1の環状シール部材及び前記第2の環状シール部材のうちで、前記第1の環状シール部材のみがリップシールとして形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のクイックコネクタ。
- 前記第1の環状シール部材及び前記第2の環状シール部材のうちで、前記第2の環状シール部材のみがリップシールとして形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のクイックコネクタ。
- 前記第1の環状シール部材及び前記第2の環状シール部材の両方がリップシールとして形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のクイックコネクタ。
- 前記リップシールは、Xリングである、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のクイックコネクタ。
- 前記リップシールは、Uリングである、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のクイックコネクタ。
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2003
- 2003-03-31 JP JP2003097088A patent/JP2004301289A/ja active Pending
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