JP2004300349A - 帯電防止性に優れる塗工剤及びこれを塗工した耐水性シート - Google Patents

帯電防止性に優れる塗工剤及びこれを塗工した耐水性シート Download PDF

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Chuichi Fukuchi
忠一 福地
Yuji Kohama
裕司 小濱
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Abstract

【課題】優れた帯電防止性能を有し、しかも、バインダーや無機填料等を配合しても、凝集したり増粘したりせず、経時的安定性に優れる塗工剤、及び、印刷工程等において帯電によるトラブルを起こさず、美麗な印刷面が得られる耐水性シートを提供する。
【解決手段】塗工剤中にポリエチレングリコール(PEG)を配合することにより、塗工剤に帯電防止性能を付与し、この塗工剤を熱可塑性樹脂が積層された積層シートの熱可塑性樹脂層表面又は熱可塑性樹脂フィルム表面に塗工して、この塗工層を印刷面とする。PEG以外の成分として、この塗工剤には、バインダー又はバインダーと無機填料を配合することが好ましい。また、PEGと共に塩化ナトリウムを配合することで、この塗工剤の帯電防止性能を一層向上させることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は帯電防止性に優れる塗工剤、及び、この塗工剤を塗工し、印刷に適するものとした耐水性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、印刷用の耐水性シートとしては、紙基材等に無機充填剤を含有する熱可塑性樹脂をラミネートした複合紙タイプのもの、熱可塑性樹脂に無機充填剤や発泡剤を練り混んで延伸した合成紙タイプのものが知られ、ポスター、ラベル、配送伝票、冷凍、冷蔵食品の包装等、耐水性が要求される各種分野で、紙に代わるものとして用いられている。
【0003】
耐水性シート表面を形成する熱可塑性樹脂としては、通常、疎水性かつ無極性のものが使用される。従って、耐水性シート表面は、そのままでは帯電しやすく、印刷工程等においてトラブルを起こすおそれがある。このため、印刷用耐水性シートの製造にあたっては、無機填料やバインダー等、印刷性改良のための他の成分に帯電防止剤を混合して塗工剤を調整し、この塗工剤をシート表面に塗工等することが行われる。帯電防止剤を単独で上記複合紙や合成紙に塗工すると、これらの基材に印刷を行った場合に、基材への印刷インキの染込みが阻害されるからである。
【0004】
かかる帯電防止剤として、例えば、特開昭50−161478号、特公昭59−27769号、特公平2−2910号には、カチオン性帯電防止剤及び/又は両性帯電防止剤の使用が記載されている。しかし、これらの帯電防止剤は、冬季等の低湿度環境下における性能が十分ではなく、一方、そのイオン量を増加させて低湿度でも性能を保持できるようにしたものは、親水性が増大し過ぎて、これを混合した塗工剤を塗工した表面には、オフセット印刷等を行うことが困難になる。
【0005】
また、帯電防止剤として最もよく用いられているものはカチオン性帯電防止剤であるが、この帯電防止剤は、無機填料やごく一般的なアニオン性バインダーと相性が悪く、帯電防止効果を得るための十分量をこれらに混合した塗工剤は経時安定性が悪く、凝集を起こしやすくなる。
【0006】
【特許文献1】
特開昭50−161478号公報(第1頁:特許請求の範囲)
【特許文献2】
特公昭59−27769号公報(第1頁:特許請求の範囲1)
【特許文献3】
特公平2−2910号公報(第1頁:特許請求の範囲4、第3頁:効果)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、これまで、印刷用耐水性シートに帯電防止剤を使用する場合において、十分な帯電防止効果を得て、なおかつ、耐水性シートの印刷適性を確保することは困難であった。
【0008】
従って、本願発明は、帯電防止と印刷適性という相反する性能を両立させる塗工剤、及び、この塗工剤を塗工した耐水性シートを提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
【発明を解決するための手段】
本願発明者らは鋭意研究の結果、通常は保湿剤として知られているポリエチレングリコール(PEG)を含有する塗工剤が、極めて優れた帯電防止性能を発揮することを見出し、本願発明を完成させた。
【0010】
即ち、本願発明は、PEGを含有することを特徴とする塗工剤、及び、この塗工剤を塗工し、印刷に適するものとした耐水性シートに関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
PEGは、エチレン・グリコールが重合したポリマーであり、一般には、重量平均分子量(Mw)が200〜20000程度のものをいう。本願発明においては、そのMwを問わずPEGを使用することができるが、Mwが1000を超えると低湿環境下での帯電防止効果が低下するので、Mw200〜1000のPEG、中でも、Mw200〜600のPEGの使用が好ましい。また、塗工剤中へのPEGの配合量は、十分な帯電防止効果の発揮と印刷適性その他の品質の確保という観点から、塗工剤全固形分に対し1〜10重量%の範囲とすることが好ましい。
【0012】
本願発明の塗工剤にはPEG以外に、他の成分も配合することができる。かかる成分として、典型的には、無機填料とバインダーとを例示することができる。
【0013】
この場合において無機填料は、主として、これが配合された塗工剤が塗工された場合に、得られる塗工層にインキ溶剤の吸収性を付与する目的で配合される。また、塗工層の色調は、これに施される印刷の美麗性に影響を与える。従って、ここで用いる無機填料は、空隙率が高く、インキ溶剤の吸収性が良好な白色填料が好ましい。かかる填料としては、シリカ、焼成クレー、カオリンクレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミ、珪藻土、酸化チタン、タルク等を使用することができる。また、その粒径は、30μm以下が好ましい。無機填料の粒系が30μmより大きいと、得られる塗工層は表面性が悪く、また、その塗工面から脱落しやすくなるからである。
【0014】
バインダーは、主として、これと無機填料とが配合された塗工剤が塗工された場合に、無機填料をその塗工面に固着するために配合される。また、バインダーの性能は、こうして得られる塗工層表面に印刷を行った場合のインキの固着にも関係する。従って、バインダーは、上記無機填料に対する保持力、これが配合された塗工剤が塗工されることとなる面との接着性、印刷インキとの接着性、耐水性等を考慮して選択すればよい。
【0015】
バインダーとしては、通常、合成樹脂性のバインダーが用いられる。例えば、かかるバインダーとして、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、各種アクリル酸、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等をモノマー成分とする単独重合体、共重合体及び/又はこれらの変性物を、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂、ポリビニルアルコール等と混合して、あるいは混合せずに用いることができる。
【0016】
なお、バインダーの中には、それ自体高いインキ溶剤吸収性を有するものもある。本願発明の塗工剤において、バインダーとしてこのようなものを使用する場合には、無機填料を配合しなくとも、得られる塗工層は高いインキ溶剤の吸収性、ひいては良好な印刷適性を示すので、印刷適性の向上を目的として、塗工剤中に無機填料を配合する必要はない。かかるバインダーとして、例えば、SBR系ラテックス(スチレン及びブタジエンを主たる単量体成分とする共重合体のエマルジョン)を例示することができる。殊に、ガラス転移点(Tg)10℃以下のSBR系ラテックスは、これをバインダーとして用いることで、その塗工層に、より良好なインキ溶剤の吸収性をあたえる。なお、このとき、スチレン及びブタジエン以外の他の単量体成分の如何は問わない。
【0017】
上記バインダーと無機填料との配合割合は、必要に応じて適宜決定することができる。例えば、塗工剤を塗工して得られる塗工層の表面調として、いわゆるマット調のものが要求される場合には、無機填料の固形分100重量部に対し、バインダーを固形分にして70〜20重量部配合すればよい。また、得られる塗工層の表面調として、グロス調のものが要求される場合には、バインダーの固形分100重量部に対し、無機填料の配合量は固形分にして0〜10重量部とすることが望ましい。この場合においては、この塗工層表面を鏡面状仕上げとしたロールを用いてカレンダー処理を行うことにより、更に、その表面を高光沢とすることができる。なお、ここでグロス調とは、JIS P−8142に準じた測定法により、その表面を測定したときの75度光沢度が、70%以上を示すものを言う。
【0018】
また、本願発明の塗工剤は、塩化ナトリウムが配合されることにより、一層優れた帯電防止性能を示す。このとき、塩化ナトリウムの配合量は、塗工剤全固形分に対し0.01〜5重量%、特に0.1〜3重量%が好ましい。配合量が0.01重量%未満では、その効果を十分に発揮することができず、5重量%を超えると、これを配合した塗工剤の他の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0019】
本願発明の塗工剤には更に、上記以外の他の成分、例えば、滑材(ワックス系滑材、シリコーン系滑材)、消泡剤等を添加することができる。特に、この塗工剤を屋外用途のものに使用する場合には、耐光性を付与するため、塗工剤にアクリル系樹脂を配合するとよい。ここでアクリル系樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体の重合体若しくは共重合体、又はアクリル酸、メタクリル酸若しくはこれらの誘導体とスチレン、ウレタン等との共重合体、又は上記重合体若しくは共重合体の変性物をいう。本願発明においては、かかるアクリル系樹脂を、PEGを始めとする塗工剤中の他の成分との混和性を勘案して、適宜選択すればよい。また、混和性のみならず、これが配合された塗工剤が塗工されることとなる面との接着性、印刷インキとの接着性、耐水性等を考慮して選択すれば、このアクリル系樹脂は、得られる塗工層に耐光性を付与すると共に、その良好なバインダーとしても働くこととなる。
【0020】
上記塗工剤が塗工される基材は、その種類を問わない。しかし、この塗工剤は優れた帯電防止性能を発揮するので、熱可塑性樹脂層が積層された積層シートの熱可塑性樹脂層表面又は熱可塑性樹脂フィルムの表面等、高い帯電性を示す面に塗工することにより、その効果を有意に発揮し、これらの表面固有抵抗値を最大限1011レベルにまで低減する。
【0021】
ここで、積層シートとは、シートの一方又は両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有するもののことをいう。即ち、シートの一方の最外層が熱可塑性樹脂層であれば、シートの他方は基材が露出していても、熱可塑性樹脂層が積層されていても、どちらでも構わない。シートの両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有する場合には、これらの層が、それぞれ異なる種類・組成の熱可塑性樹脂で形成されていても構わない。なお、かかる基材と最外層の熱可塑性樹脂層との間に、他の層が存在していても構わない。
【0022】
かかる積層シートとしては、紙、不織布、布、金属箔、合成樹脂フィルムもしくはシート、又はこれらの複合素材からなる基材に、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂の単独重合体又は共重合体を、押出しラミネーション、共押出しラミネーション、ドライラミネーション、ウェットラミネーション等、公知の方法により積層したものを例示することができる。
【0023】
また、熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニルもしくはこれらの混合物等からなる延伸フィルムやシート、又は、これらの熱可塑性樹脂もしくは混合物に無機充填剤や発泡剤を練り込んで延伸することにより外観を紙様としたフィルムやシートを例示することができる。
【0024】
なお、上記積層シートや熱可塑性樹脂フィルムには、一般に、耐ブロッキング剤(アクリルビーズ、ガラスビーズ等)など、汎用されている種々の添加剤が添加されている。
【0025】
上記積層シートや熱可塑性樹脂フィルム等の表面への塗工は、PEGその他の成分を水系溶媒中に均一に分散させて本願発明の塗工剤を調製した後、これを、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ダイコーター等を用いて行うことができる。塗工量は、インキ乾燥性と経済性の観点から、0.5〜10g/m(乾燥重量、以下同じ。)が好ましい。なお、塗工層は多層としてもよい。また、塗工層は、積層シートや熱可塑性樹脂フィルムの片面に設けても両面に設けてもよい。塗工層をこれらの両面に設ける場合においては、その一方の面が熱可塑性樹脂層又は熱可塑性樹脂フィルムであれば、他方の面がこれらの素材で形成されていなくとも構わない。
【0026】
なお、本願発明の塗工剤に、PEGの他、バインダー又はバインダーと無機填料を配合し、インキ溶剤吸収性を向上させたものを上記積層シートや熱可塑性樹脂フィルムに塗工した場合には、この塗工層を印刷面として使用することができる。この塗工層はインキ溶剤を速やかに吸収するので、汎用されているインキを用いた場合でも、インキ溶剤は印刷面に長時間滞留しない。従って、オフセット印刷等を行った場合でも、インキは速やかに乾燥し、印面を汚すこともないからである。
【0027】
【作用】
本願発明においては、PEGを含有させることにより塗工剤に帯電防止能を付与する。PEGは、吸湿性物質であるが、PEGのこのような働きは、これまで知られていなかった。
【0028】
本願発明においてPEGは、これを含有する塗工剤が塗工された場合に、その塗工層中で均一に分散して存在すると共に、その一部は、バインダー粒子や無機填料等、塗工剤の他の成分の表面に吸着した状態で存在するため、大気中の水分をPEGが吸収すると、この水分は、PEGが吸着している塗工剤中の他の成分にも吸収されると考えられる。従って、この塗工層には、同量のPEGが単独で吸収するよりも多量の環境水分が吸収され、しかも、吸収された水分は、塗工層中で均一に分配されて安定し、静電気の発生が抑制されるのであろう。そして、このようなPEGによる吸湿は、塗工剤中にSBRラテックスやアクリル系樹脂が配合された場合でも、これらの樹脂により付与される塗工層の耐水性を損なうことはない。
【0029】
さらに、本願発明の塗工剤は、その成分として塩化ナトリウムをPEGと共に配合することで、その帯電防止能が更に向上する。これは、塩化ナトリウムを塗工剤中に配合することで、これが塗工されて形成される塗工層のイオン濃度が高くなって、電荷の移動がスムーズになることによる。しかし、この効果はPEGが塗工層中に存在する場合にだけ発揮されるため、更に他の要因も絡んでいるものと考えられる。なお、塗工剤中で塩化ナトリウムは中性であるため、他の成分とも良好な混和性を示す。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本願発明をより具体的に説明するが、もちろん、本願発明はそれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、塗工剤の安定性、光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性は、以下のようにして評価を行った。
【0031】
(1)塗工剤の安定性
以下の基準で塗工剤を評価した。
【0032】
○:塗工剤を調製してから5時間以上経過した後も、各成分が均一に分散しており、増粘せず、安定性が良い
△:塗工剤を調製した直後は、各成分が均一に分散しているが、5時間以上経過すると成分の凝集又は粘度の上昇が起こる
×:各成分が凝集し、又は、粘度が高く塗工できない。
【0033】
(2)光沢度
JIS P−8142に従い、印刷前の耐水性シートについて75度光沢度を測定した。
【0034】
(3)表面固有抵抗値
印刷前の耐水性シートについて、23℃、50%相対湿度の条件下、三菱化学(株)製表面抵抗計『HIRESTA−UP MCP−HT450』を用いて測定した。
【0035】
(4)インキ乾燥性
耐水性シートについて、コート紙用に汎用されているオフセット印刷インキ(東洋インキ(株)製『ハイエコー紅』)を用い、RI型印刷機((株)明製作所製『RI−3』)にてインキ盛り量0.5ccで印刷を行った。15分経過後、その印刷面にコート紙を重ね、重さ6.5kg、幅2.5cmのローラーで荷重を加えた後、コート紙に転写されたインキ転写濃度をカラー反射濃度計(日本平版機材(株)製『X−RITE 418』)にて測定し、このときのインキ転写濃度をインキ乾燥性の指標とした。このとき、インキ転写濃度が低いほどインキ乾燥性は良好と言える。
【0036】
(5)インキ密着性
耐水性シートについて、上記インキ乾燥性の評価で行ったのと同様にして、RI印刷機にて印刷を行い、23℃、50%相対湿度条件下で24時間静置した。静置後、各サンプルのRI印刷面に粘着テープ(NICHIBAN製)を貼り付けて十分密着させ、次いで素早くテープを剥離し、このときの印刷面の状態を以下の基準で評価した。
【0037】
◎:インキの剥離は全く観察されなかった
○:インキが剥離した部分がわずかにあった
△:インキの剥離部が印刷面全体に対して25〜50%程度あった
×:インキの剥離部が印刷面全体に対して50%以上であった
【0038】
[実施例1]
下記成分を均一に分散させて本願発明の塗工剤Aを調製し、これを、塗工量3.0g/mとなるよう、二軸延伸ポリプロピレン製白色シート(厚さ90μm)の片面に手塗りバー(#6)にて塗工した。
【0039】
塗工剤Aの成分
アクリル−スチレン共重合体系樹脂43重量%水系エマルジョン液(中央理化工業社製『リカボンドET‐R0142』):116重量部
焼成クレー42重量%懸濁液(板状、平均粒子径1.6μm、ENGELHARD社製『アンシレックス』):190重量部
二酸化珪素25重量%懸濁液(真球状、平均粒子径1.6μm、水澤化学社製『P527』):80重量部
ポリエチレングリコール原液(平均分子量=200):5重量部
【0040】
調製した塗工剤について安定性を、得られた耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した結果を表1に示す。
【0041】
表1より明らかなように、この塗工剤は凝集したり増粘したりせず、経時的にも安定しており、また、これを塗工した耐水性シートは帯電性が低く、インキ乾燥性及びインキ密着性とも良好であった。
【0042】
[実施例2]
予め溶融したポリプロピレン(MFR25g/10分、密度0.91g/cm)90重量部に酸化チタン10重量部を添加混合しておき、この酸化チタン含有ポリプロピレンと酸化チタン不含のポリプロピレン(ポリプロピレンのMFR及び密度は、上記に同じ。)とを、坪量81g/mの上質紙の両面に、酸化チタン不含ポリプロピレンが上質紙側に位置するように、Tダイを用いて押出温度290℃にて共押出しラミネートを行い、鏡面仕上げのクーリングロールで圧着して積層シートを作成し、その両面にコロナ放電処理を行った。なお、このとき積層シート両面に積層された酸化チタン含有ポリプロピレン層と酸化チタン不含ポリプロピレン層の厚さは、各15μmであった。
【0043】
次いで、この積層シートの両面に、塗工剤Aを、塗工量3.0g/mとなるよう、手塗りバー(#6)にて塗工し、得られた耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した。
【0044】
表1より明らかなように、得られた耐水性シートは帯電性が低く、インキ乾燥性及びインキ密着性とも良好であった。
【0045】
[実施例3]
塗工剤として、塗工剤Aに、塩化ナトリウム20重量%溶液を5重量部配合したものを用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを得、この塗工剤について安定性を、耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した。
【0046】
表1より明らかなように、この塗工剤は凝集したり増粘したりせず、経時的にも安定しており、また、これを塗工した耐水性シートは、実施例2で得られた耐水性シートよりも帯電性が低く、インキ乾燥性及びインキ密着性とも良好であった。
【0047】
[実施例4]
下記成分を均一に分散させて本願発明の塗工剤Bを調製し、これを塗工した以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを得た。
【0048】
塗工剤Bの成分
アニオン系スチレン−アクリル共重合体38重量%水系分散液(平均粒径0.19μm):80重量部
SBRラテックス(Tg 0℃、日本ゼオン(株)製『SX−1105』)45重量%水系分散液(平均粒径0.1μm):15重量部。
二酸化珪素25重量%懸濁液、(真球状、平均粒子径1.6μm、水澤化学社製『P527』):4重量部
ポリエチレングリコール原液(平均分子量=200):2重量部
【0049】
調製した塗工剤について安定性を、得られた耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した結果を表1に示す。
【0050】
表1より明らかなように、この塗工剤は凝集したり増粘したりせず、経時的にも安定しており、また、これを塗工した耐水性シートは高光沢で帯電性が低く、インキ乾燥性及びインキ密着性とも良好であった。
【0051】
[実施例5]
塗工剤として、塗工剤Bに、塩化ナトリウム20重量%溶液を2重量部配合したものを用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを得、この塗工剤について塗工製を、耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した。
【0052】
表1より明らかなように、この塗工剤は凝集したり増粘したりせず、経時的にも安定しており、また、これを塗工した耐水性シートは高光沢で、実施例4で得られた耐水性シートよりも帯電性が低く、インキ乾燥性及びインキ密着性とも良好であった。
【0053】
[実施例6]
塗工剤Aの塗工量を5.0g/mとした以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを得、この耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した。
【0054】
表1より明らかなように、得られた耐水性シートは帯電性が低く、インキ乾燥性及びインキ密着性とも良好であった
【0055】
[比較例1]
塗工剤として、塗工剤AからPEG成分を除いたもの(以下、塗工剤A−PEGとする。)を用いた以外は、実施例1と同様にして耐水性シートを得、この塗工剤について安定性を、耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した。
【0056】
表1より明らかなように、この塗工剤は凝集したり増粘したりせず、経時的にも安定しており、また、これを塗工した耐水性シートは、インキ乾燥性及びインキ密着性については良好であった。しかし、この耐水性シートは極めて高い帯電性を示した。
【0057】
[比較例2]
塗工剤として、塗工剤A−PEGを用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを得、この耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した。
【0058】
表1より明らかなように、得られた耐水性シートは、インキ乾燥性及びインキ密着性については良好であったが、極めて高い帯電性を示した。
【0059】
[比較例3]
塗工剤として、塗工剤A−PEGに、塩化ナトリウム20重量%溶液を5重量部配合したものを用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを得、この塗工剤について安定性を、耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した。
【0060】
表1より明らかなように、この塗工剤は凝集したり増粘したりせず、経時的にも安定しており、また、これを塗工した耐水性シートは、インキ乾燥性及びインキ密着性については良好であった。しかし、この耐水性シートの帯電性は極めて高く、比較例2と大差がなかった。
【0061】
[比較例4]
塗工剤として、塗工剤BからPEG成分を除いたもの(以下、塗工剤B−PEGとする。)を用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを得、この塗工剤について安定性を、耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した。
【0062】
表1より明らかなように、この塗工剤は凝集したり増粘したりせず、経時的にも安定しており、また、これを塗工した耐水性シートは高光沢で、インキ乾燥性及びインキ密着性については良好であった。しかし、この耐水性シートは極めて高い帯電性を示した。
【0063】
[比較例5]
塗工剤として、塗工剤BのPEG成分に替えて、五酸化アンチモン系の帯電防止剤21重量%液(日産化学製『セルナックスCX−Z210IP−F』)を19重量部配合したものを用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを得、この塗工剤について安定性を、耐水性シートについて光沢度、表面固有抵抗値、インキ乾燥性、インキ密着性を評価した。
【0064】
表1より明らかなように、この塗工剤は経時的安定性に劣り、また、これを塗工した耐水性シートは、比較的高い光沢度を示したものの、帯電性が高く、インキ乾燥性及びインキ密着性とも悪かった。
【0065】
[比較例6]
塗工剤として、塗工剤BのPEG成分に替えて、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩である帯電防止剤30重量%液(カネボウNSC製)を13.3重量部配合したものを用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを得、この塗工剤について安定性を評価した。
【0066】
表1より明らかなように、この塗工剤は凝集してしまい、塗工すること自体が不可能であった。
【0067】
【表1】
Figure 2004300349
【0068】
【発明の効果】
本願発明の塗工剤は優れた帯電防止性能を有し、しかも、バインダーや無機填料等を配合しても、凝集したり増粘したりせず、経時的にも安定している。
【0069】
即ち、本願発明の塗工剤は、帯電防止と印刷適性という相反する性能を両立させることができ、これを積層シートの熱可塑性樹脂層表面又は熱可塑性樹脂フィルム表面に塗工した場合でも、その帯電を十分に防止し、しかも、これらの積層シート又は熱可塑性樹脂フィルムに良好な印刷適性を付与することができる
従って、本願発明によれば、印刷工程や加工工程において帯電によるトラブルを起こさず、しかも、美麗な印刷面が得られる耐水性シートを得ることができる。

Claims (8)

  1. ポリエチレングリコールを含有することを特徴とする、塗工剤。
  2. ポリエチレングリコール以外の成分として、バインダー又はバインダーと無機填料を含有することを特徴とする、請求項1に記載の塗工剤。
  3. ポリエチレングリコール以外の成分として、塩化ナトリウムを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗工剤。
  4. ポリエチレングリコールの重量平均分子量が200〜1,000であることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の塗工剤。
  5. ポリエチレングリコールの含有量が1〜10重量%であることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の塗工剤。
  6. 請求項1〜5記載の塗工剤を、積層シートの熱可塑性樹脂層表面又は熱可塑性樹脂フィルム表面に塗工したことを特徴とする、耐水性シート。
  7. 塗工剤の塗工量が0.5〜10g/mであることを特徴とする、請求項6記載の耐水性シート。
  8. JIS P−8142に準じた測定法により測定した光沢度が、70%以上を示すことを特徴とする、請求項6又は7に記載の耐水性シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007185900A (ja) * 2006-01-16 2007-07-26 Dainippon Printing Co Ltd 電子ペン用シート
JP2007223182A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 Mitsubishi Polyester Film Copp 導電性フィルム
JP2010125811A (ja) * 2008-12-01 2010-06-10 Toyobo Co Ltd 塗布フィルム

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