JP2005040981A - 高光沢でオフセット印刷性良好な耐水性シート - Google Patents
高光沢でオフセット印刷性良好な耐水性シート Download PDFInfo
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Abstract
【課題】インキ乾燥性、耐摩擦性に優れ、しかも耐ブロッキング性に優れた高光沢の耐水性シートを提供する。
【解決手段】シートの一方又は両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有する積層シートの、少なくとも一方の該熱可塑性樹脂層表面、または、熱可塑性樹脂からなるシートの少なくとも一方の表面に、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子とバインダーとを含有する塗工層を設けた耐水性シート。
【選択図】 なし
【解決手段】シートの一方又は両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有する積層シートの、少なくとも一方の該熱可塑性樹脂層表面、または、熱可塑性樹脂からなるシートの少なくとも一方の表面に、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子とバインダーとを含有する塗工層を設けた耐水性シート。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高光沢でオフセット印刷に適した耐水性シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、耐水性シートとしては、紙基材等に無機充填剤を含有する熱可塑性樹脂をラミネートした複合紙タイプの積層シートと、熱可塑性樹脂に無機充填剤や発泡剤を練り込んで延伸した合成紙タイプのものが知られ、ポスター、ラベル、配送伝票、冷凍・冷蔵食品の包装等、耐水性が要求される各種分野で用いられている。
【0003】
しかし、これらの耐水性シートは、そのままでは表面にインキが殆ど染込まない。従って、これをオフセット印刷等の各種印刷に用いた場合、印刷されたインキはシート表面に滞留してそのまま乾燥し、そのため、印刷後のシートを擦ったりすると、乾燥したインキがシート表面から剥がれ落ちたり、シート表面で砕けて印刷面を汚したりすることとなる。
【0004】
かかるトラブルを防止する方法の一つとして、シート表面に、より強固にインキ層を形成することが考えられる。例えば、市販の合成紙専用インキは、不飽和結合を多く含む植物油を主体とした溶剤を用い、酸化重合によってインキを固化させることで、シート表面のインキ層を強固なものとする。この合成紙専用インキは、合成紙のみならず複合紙にも用いることができ、これを用いれば、摩擦によっても消えたり汚れたりしない、優れた印刷面を得ることができる。一方、このインキは完全に固化するまでに非常に長い時間がかかり、印刷後、次工程に送るまでの待機時間を長く取らなければならない。この時間が不十分であると、印刷後のシートを積重ねて保存した場合に、シート表面のインキが、その上に積重ねられたシートの裏面に転移するという問題(裏付き)が発生する。また、このようなインキは、空気中の酸素と反応して固化するため、印刷中に固化が始まって印刷インキの粘度が上昇し、印刷機の安定的な操業を妨げることもある。
【0005】
そこで、耐水性シートの印刷性改良方法のもう一つとして、インキ受理層としてシート表面に無機顔料等を含有する塗工層を設け、これにインキを吸収させるインキ受理層とすることが考えられる。この方法であれば、一般のコート紙用に従来から汎用されているオフセット印刷用等のインキも用いることができる。
例えば、特許文献1は、充填剤配合樹脂延伸フィルムを紙状層とする合成紙基材上に、特定のエチレンイミン−エチレン尿素共重合体を含むインキ接着向上層を設けるものであり、この共重合体水性溶液中に炭酸カルシウム等の無機充填剤を添加してもよいことが記載されている。また、特許文献2は、プラスチックフィルムの片面に、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体とカチオン系ポリマーとを主成分とする高分子結着剤と、高吸油量のシリカ等からなる多孔質粒子とを含む被覆層を設けた、インキ乾燥性等に優れる印刷用受容シートが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特公昭53−6676号
(請求項1、第4頁第7欄24〜33行)
【特許文献2】特開平5−201118号(
【0007】)
【発明が解決しようとする課題】
しかし、無機顔料等を含有する塗工層を設ける場合は、シート表面を高光沢とすることが難しい。一方、耐水性シートの主要な用途であるポスターにおいては、何よりも美麗性が重要視されるため、高光沢な面調が好まれる傾向にある。
また、塗工層のバインダーの種類によっては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体系ラテックスなど、成膜性が高く優れた塗工層を得ることができる一方で、塗工層がべたつきやすくなる傾向があり、夏場など高温環境下で保管した際にシート同士がブロッキング(接着)を起こし、塗工層が破壊されるという問題が起こることがある。
本発明はかかる問題点を踏まえ、インキ乾燥性、耐摩擦性に優れ、一般コート紙用インキを用いて印刷することができ、しかも、耐ブロッキング性に優れた高光沢の耐水性シートを提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子を含有する塗工層を設けることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、シートの一方又は両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有する積層シートの少なくとも一方の該熱可塑性樹脂層表面、あるいは、熱可塑性樹脂からなるシートの少なくとも一方の表面に、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子とバインダーとを含有する塗工層を設けたことを特徴とする耐水性シートに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において塗工層を設ける積層シートは、シートの一方又は両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有するものであればどのようなものであってもよい。即ち、シートの一方の最外層が熱可塑性樹脂層であれば、シートの他方は基材が露出していても、熱可塑性樹脂層が積層されていても、どちらでも構わない。シートの両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有する場合には、これらの層が、それぞれ異なる種類・組成の熱可塑性樹脂で形成されていても構わない。なお、かかる基材と最外層の熱可塑性樹脂層との間に、他の熱可塑性樹脂層など別の層が存在していてもよいし、熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理等の表面処理を施しても構わない。
【0010】
具体的には例えば、本発明で用いられる積層シートは、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂の単独又は共重合体を用い、これを紙、不織布、布、金属箔、合成樹脂フィルムもしくはシート、又はこれらの複合素材からなる基材に、押出しラミネーション、共押出しラミネーション、ドライラミネーション、ウェットラミネーション等、公知の方法を用いて積層することにより製造できる。
【0011】
また、本発明においては、上記積層シートの代わりに、熱可塑性樹脂からなるシートを用いることもできる。かかるシートとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニルもしくはこれらの混合物等からなる延伸シート、又は、これらの熱可塑性樹脂もしくは混合物に無機充填剤や発泡剤を練り込んで延伸することにより外観を紙様としたシートを用いることができる。
【0012】
本発明においては、上記積層シートの少なくとも一方の熱可塑性樹脂層表面に、又は、上記熱可塑性樹脂シートの少なくとも一方の表面に、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子とバインダーとを含有する塗工層を設けることで、インキ乾燥性、耐摩擦性に優れ、しかも、耐ブロッキング性に優れた高光沢の耐水性シートを得る。
【0013】
本発明で用いられる有機樹脂からなる粒子とは、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレンアクリル酸エチル系樹脂、塩化ビニル樹脂等の少なくとも1種からなる粒子を指す。本発明では、ガラス転移温度の制御が容易で、コストが比較的安価なことからアクリル系樹脂またはスチレンアクリル系樹脂であることが好ましい。
【0014】
アクリル系樹脂とは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸アルキル共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキル共重合体等及びこれらの金属塩、アクリル酸−アクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−メタクリルアミド−スチレン酸共重合体、メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体、メタクリル酸金属塩−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル−アクリルアミド−スチレン共重合体、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル−無水マレイン酸金属塩共重合体、アクリル酸アルキル−スチレン−無水マレイン酸金属塩共重合体、メタクリル酸アルキル−フマル酸共重合体、アクリル酸アルキル−イタコン酸共重合体等及びこれらの金属塩または変性物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0015】
また、本発明で用いられる有機樹脂からなる粒子は、十分な耐ブロッキング性を得るために、そのガラス転移温度は80℃以上、より好ましくは90℃以上であり高いほど良いが、上限としては200℃程度が適当である。
【0016】
また、有機樹脂からなる粒子の平均粒径は、30nm以上300nm以下、好ましくは50nm以上200nm以下であり、小さいほど高い光沢性を得ることができる一方、大きいほど優れた耐ブロッキング性が得られる。
【0017】
本発明で用いられるバインダーとしては、特に限定されるものではないが、成膜性が高く、また優れたインキ乾燥性や耐摩擦性の観点から、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、アクリル系重合体または共重合体等が好ましく、特にスチレン−アクリル系共重合体、アクリル系重合体または共重合体が好ましい。これらバインダーのガラス転移温度は、有機樹脂からなる粒子のガラス転移温度より低い方が成膜性が高くより好ましい。
【0018】
有機樹脂からなる粒子とバインダーとの混合比率は、有機樹脂からなる粒子の混合割合が少なくなるとインキ乾燥性が劣り、バインダーの混合割合が少なすぎると十分な成膜性が得られ難くなるため、これらのバランスから5:95〜95:5が好ましい。特に好ましい有機樹脂からなる粒子とバインダーとの混合比率は、20:80〜80:20である。
【0019】
塗工層は、上記有機樹脂からなる粒子とバインダー、そして必要に応じてその他の添加剤を水系で分散させ、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ダイコーター等を用いて、熱可塑性樹脂シートの表面に塗工することにより設けることができる。塗工量は、インキ乾燥性と経済性の観点から0.3〜10g/m2(乾燥重量、以下同じ。)が好ましい。
【0020】
本発明において、耐水性シートの基材や熱可塑性樹脂層、熱可塑性樹脂シート、そして塗工層には、上記した以外にも一般的に使用される種々の添加剤を添加することができる。これらの添加剤としては、例えば、帯電防止剤、顔料(酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等の無機填料等)などがある。但し、塗工層に顔料等を添加すると、シート表面の光沢が低下するため、原則として、本発明の塗工層には顔料を添加しない。添加するとしても、その高光沢性を損ねない程度の量にとどめる必要がある。なお、本発明において高光沢とは、JIS P−8142に準じた測定法により光沢度75度以上を示すことをいう。
【0021】
【作用】
本発明によれば、塗工層中に有機樹脂からなる粒子を含有することにより、耐水性シート表面を高光沢としたまま、優れたインキ乾燥性と耐ブロッキング性を付与することができる。この理由は明らかではないが、次のように考えられる。本発明では、塗工層に無機顔料を含有する必要がないため光沢を有し、さらに、本発明で用いられる有機樹脂からなる粒子はそれ自体透明で、かつ粒子径が小さいことにより、可視光線が散乱されにくく光沢が損なわれることがない。また、本発明では塗工層に無機顔料等を含有しなくても、有機樹脂からなる粒子とバインダーとの間には空隙が形成され、塗工層に素早くインキが吸収されインキ乾燥性が向上するとともに、塗工層のインキ保持力も高まって、摩擦によるインキの脱落が防止されると考えられる。さらに、ガラス転移温度の高い有機樹脂からなる粒子を用いることにより、高温環境下でも塗工層の軟化が抑えられるとともに、粒子状であることにより、粒子表面に微細な突起が形成されシート表面同士の接触面積が減少するために、ブロッキングが改善されると考えられる。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、実施例及び比較例において、インキ乾燥性、耐摩擦性、光沢度及び耐ブロッキング性は、以下のようにして評価を行った。
【0023】
・インキ乾燥性
得られた耐水性シートについて、汎用されているオフセット印刷用インキ(東洋インキ(株)製『TKハイエコー紅』)を用い、RI型印刷機((株)明製作所製RI−3)にてインキ盛り量0.5ccで印刷を行った。100分経過後、その印刷面にコート紙を重ね、重さ6.5kg、巾2.5cmのローラーで荷重を加えた後、コート紙に転写されたインキ濃度をカラー反射濃度計(X−RITE 418 日本平版機材株式会社)にて測定し、このときのインキ転写濃度をインキ乾燥性の指標とした。
○:インキ転写濃度が0.1以下
×:インキ転写濃度が0.1より高い
なお、印刷は、耐水性シートに塗工層が設けられている場合には、その塗工層表面に行い、塗工層が設けられていない場合には熱可塑性樹脂シート表面に直接行った。
【0024】
・耐摩擦性
得られた耐水性シートについて、汎用されているオフセット印刷用インキ(東洋インキ(株)製『TKハイエコー紅』)を用い、RI型印刷機((株)明製作所製RI−3)にてインキ盛り量0.5ccで印刷を行いインキが乾燥した後、印刷面を爪で強くこすった際のインキの残り具合を目視で評価した。
○:インキの取られがない
×:インキの取られがある
【0025】
・光沢度
JIS P−8142に従い、印刷前の耐水性シートについて測定を行った。
【0026】
・耐ブロッキング性
耐水性シートに塗工層が設けられている場合には、その塗工層表面どうし、塗工層が設けられていない場合には熱可塑性樹脂シート表面どうしを荷重0.1kg/cm2で重ね合わせ、40℃、85%RHの条件下で24時間保持した後に剥がした際の様子を目視で評価した。
○:ブロッキングが見られない
△:剥がした際に音はするが、塗工層の破壊は見られない
×:剥がした際に、塗工層の破壊が見られる。
【0027】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例及び比較例にて得られた耐水性シートにつき、インキ乾燥性、耐摩擦性、光沢度、耐ブロッキング性を評価した結果を表1に示す。
【0028】
[実施例1]
予め溶融したポリプロピレン(MFR25g/10分、密度0.91g/cm3)90重量部に酸化チタン10重量部を添加混合しておき、この酸化チタン含有ポリプロピレンと酸化チタン不含のポリプロピレン(ポリプロピレンのMFR及び密度は、特に示さない限り、上記に同じ。)とを、坪量81g/m2の上質紙の両面に、酸化チタン不含ポリプロピレンが上質紙側に位置するように、Tダイを用いて押出温度290℃にて共押出しラミネートを行い、鏡面仕上げのクーリングロールで圧着して耐水性積層シートを作成し、次いで、この耐水性積層シートの両面にコロナ放電処理を行った。なお、このとき耐水性積層シートの両面に積層された酸化チタン含有ポリプロピレン層と酸化チタン不含ポリプロピレン層の厚さは、それぞれ15μmであった。
その後、この片面にスチレン−アクリル系樹脂からなる粒子(ガラス転移温度105℃、平均粒径80nm、商品名:ハリマ化成株式会社製、B−14)50重量部とスチレン−アクリル系共重合体(ガラス転移温度40℃)の水系分散液(濃度40%、平均粒径0.19μm)50重量部を混合して塗工液を調製し、この塗工液を乾燥塗布量が1g/m2になるようにマイヤーバーで塗布、乾燥することで、塗工層を設けた。
【0029】
[実施例2]
実施例1に記載した積層シートの代わりに、厚さ140μmのポリプロピレンからなる白色シートを用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを作成した。
【0030】
[実施例3]
スチレン−アクリル系樹脂からなる粒子の代わりに、ポリウレタン系樹脂からなる粒子(ガラス転移温度130℃、平均粒径100nm)を用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0031】
[実施例4]
厚さ140μmのポリプロピレンからなる白色シートの両面に塗工層を設けた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0032】
[比較例1]
スチレン−アクリル系樹脂からなる粒子の代わりに、平均粒径0.5μmのシリカを用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0033】
[比較例2]
スチレン−アクリル系樹脂(ガラス転移温度105℃)からなる粒子の代わりに、ガラス転移温度50℃のスチレン−アクリル系樹脂からなる粒子を用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0034】
[比較例3]
スチレン−アクリル系樹脂からなる粒子を用いない以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0035】
[比較例4]
実施例1において、積層シートに塗工層を設けなかった。
【0036】
[比較例5]
実施例2において、厚さ140μmのポリプロピレンからなる白色シートに塗工層を設けなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例1〜4より明らかなように、本発明の耐水性シートは高光沢で優れたインキ乾燥性と耐摩擦性、および耐ブロッキング性を示した。
【0039】
【発明の効果】
本発明の耐水性シートは、高光沢で優れたインキ乾燥性を示す塗工層が設けられているので、この塗工層を印刷面として、オフセット印刷等を行うことができる。しかも、この塗工層は十分な耐摩擦性を示し、無機填料等を添加しなくてもインキ乾燥性は発揮されるうえ、耐ブロッキング性にも優れている。従って、本発明によれば、インキ乾燥性、耐摩擦性に優れ、しかも、高光沢で耐ブロッキング性に優れた耐水性シートが提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高光沢でオフセット印刷に適した耐水性シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、耐水性シートとしては、紙基材等に無機充填剤を含有する熱可塑性樹脂をラミネートした複合紙タイプの積層シートと、熱可塑性樹脂に無機充填剤や発泡剤を練り込んで延伸した合成紙タイプのものが知られ、ポスター、ラベル、配送伝票、冷凍・冷蔵食品の包装等、耐水性が要求される各種分野で用いられている。
【0003】
しかし、これらの耐水性シートは、そのままでは表面にインキが殆ど染込まない。従って、これをオフセット印刷等の各種印刷に用いた場合、印刷されたインキはシート表面に滞留してそのまま乾燥し、そのため、印刷後のシートを擦ったりすると、乾燥したインキがシート表面から剥がれ落ちたり、シート表面で砕けて印刷面を汚したりすることとなる。
【0004】
かかるトラブルを防止する方法の一つとして、シート表面に、より強固にインキ層を形成することが考えられる。例えば、市販の合成紙専用インキは、不飽和結合を多く含む植物油を主体とした溶剤を用い、酸化重合によってインキを固化させることで、シート表面のインキ層を強固なものとする。この合成紙専用インキは、合成紙のみならず複合紙にも用いることができ、これを用いれば、摩擦によっても消えたり汚れたりしない、優れた印刷面を得ることができる。一方、このインキは完全に固化するまでに非常に長い時間がかかり、印刷後、次工程に送るまでの待機時間を長く取らなければならない。この時間が不十分であると、印刷後のシートを積重ねて保存した場合に、シート表面のインキが、その上に積重ねられたシートの裏面に転移するという問題(裏付き)が発生する。また、このようなインキは、空気中の酸素と反応して固化するため、印刷中に固化が始まって印刷インキの粘度が上昇し、印刷機の安定的な操業を妨げることもある。
【0005】
そこで、耐水性シートの印刷性改良方法のもう一つとして、インキ受理層としてシート表面に無機顔料等を含有する塗工層を設け、これにインキを吸収させるインキ受理層とすることが考えられる。この方法であれば、一般のコート紙用に従来から汎用されているオフセット印刷用等のインキも用いることができる。
例えば、特許文献1は、充填剤配合樹脂延伸フィルムを紙状層とする合成紙基材上に、特定のエチレンイミン−エチレン尿素共重合体を含むインキ接着向上層を設けるものであり、この共重合体水性溶液中に炭酸カルシウム等の無機充填剤を添加してもよいことが記載されている。また、特許文献2は、プラスチックフィルムの片面に、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体とカチオン系ポリマーとを主成分とする高分子結着剤と、高吸油量のシリカ等からなる多孔質粒子とを含む被覆層を設けた、インキ乾燥性等に優れる印刷用受容シートが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特公昭53−6676号
(請求項1、第4頁第7欄24〜33行)
【特許文献2】特開平5−201118号(
【0007】)
【発明が解決しようとする課題】
しかし、無機顔料等を含有する塗工層を設ける場合は、シート表面を高光沢とすることが難しい。一方、耐水性シートの主要な用途であるポスターにおいては、何よりも美麗性が重要視されるため、高光沢な面調が好まれる傾向にある。
また、塗工層のバインダーの種類によっては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体系ラテックスなど、成膜性が高く優れた塗工層を得ることができる一方で、塗工層がべたつきやすくなる傾向があり、夏場など高温環境下で保管した際にシート同士がブロッキング(接着)を起こし、塗工層が破壊されるという問題が起こることがある。
本発明はかかる問題点を踏まえ、インキ乾燥性、耐摩擦性に優れ、一般コート紙用インキを用いて印刷することができ、しかも、耐ブロッキング性に優れた高光沢の耐水性シートを提供することを目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子を含有する塗工層を設けることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、シートの一方又は両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有する積層シートの少なくとも一方の該熱可塑性樹脂層表面、あるいは、熱可塑性樹脂からなるシートの少なくとも一方の表面に、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子とバインダーとを含有する塗工層を設けたことを特徴とする耐水性シートに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において塗工層を設ける積層シートは、シートの一方又は両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有するものであればどのようなものであってもよい。即ち、シートの一方の最外層が熱可塑性樹脂層であれば、シートの他方は基材が露出していても、熱可塑性樹脂層が積層されていても、どちらでも構わない。シートの両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有する場合には、これらの層が、それぞれ異なる種類・組成の熱可塑性樹脂で形成されていても構わない。なお、かかる基材と最外層の熱可塑性樹脂層との間に、他の熱可塑性樹脂層など別の層が存在していてもよいし、熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理等の表面処理を施しても構わない。
【0010】
具体的には例えば、本発明で用いられる積層シートは、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂の単独又は共重合体を用い、これを紙、不織布、布、金属箔、合成樹脂フィルムもしくはシート、又はこれらの複合素材からなる基材に、押出しラミネーション、共押出しラミネーション、ドライラミネーション、ウェットラミネーション等、公知の方法を用いて積層することにより製造できる。
【0011】
また、本発明においては、上記積層シートの代わりに、熱可塑性樹脂からなるシートを用いることもできる。かかるシートとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニルもしくはこれらの混合物等からなる延伸シート、又は、これらの熱可塑性樹脂もしくは混合物に無機充填剤や発泡剤を練り込んで延伸することにより外観を紙様としたシートを用いることができる。
【0012】
本発明においては、上記積層シートの少なくとも一方の熱可塑性樹脂層表面に、又は、上記熱可塑性樹脂シートの少なくとも一方の表面に、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子とバインダーとを含有する塗工層を設けることで、インキ乾燥性、耐摩擦性に優れ、しかも、耐ブロッキング性に優れた高光沢の耐水性シートを得る。
【0013】
本発明で用いられる有機樹脂からなる粒子とは、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレンアクリル酸エチル系樹脂、塩化ビニル樹脂等の少なくとも1種からなる粒子を指す。本発明では、ガラス転移温度の制御が容易で、コストが比較的安価なことからアクリル系樹脂またはスチレンアクリル系樹脂であることが好ましい。
【0014】
アクリル系樹脂とは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸アルキル共重合体、酢酸ビニル−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキル共重合体等及びこれらの金属塩、アクリル酸−アクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合体、アクリル酸−メタクリルアミド−スチレン酸共重合体、メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体、メタクリル酸金属塩−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−アクリルアミド共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル−アクリルアミド−スチレン共重合体、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル−無水マレイン酸金属塩共重合体、アクリル酸アルキル−スチレン−無水マレイン酸金属塩共重合体、メタクリル酸アルキル−フマル酸共重合体、アクリル酸アルキル−イタコン酸共重合体等及びこれらの金属塩または変性物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0015】
また、本発明で用いられる有機樹脂からなる粒子は、十分な耐ブロッキング性を得るために、そのガラス転移温度は80℃以上、より好ましくは90℃以上であり高いほど良いが、上限としては200℃程度が適当である。
【0016】
また、有機樹脂からなる粒子の平均粒径は、30nm以上300nm以下、好ましくは50nm以上200nm以下であり、小さいほど高い光沢性を得ることができる一方、大きいほど優れた耐ブロッキング性が得られる。
【0017】
本発明で用いられるバインダーとしては、特に限定されるものではないが、成膜性が高く、また優れたインキ乾燥性や耐摩擦性の観点から、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、アクリル系重合体または共重合体等が好ましく、特にスチレン−アクリル系共重合体、アクリル系重合体または共重合体が好ましい。これらバインダーのガラス転移温度は、有機樹脂からなる粒子のガラス転移温度より低い方が成膜性が高くより好ましい。
【0018】
有機樹脂からなる粒子とバインダーとの混合比率は、有機樹脂からなる粒子の混合割合が少なくなるとインキ乾燥性が劣り、バインダーの混合割合が少なすぎると十分な成膜性が得られ難くなるため、これらのバランスから5:95〜95:5が好ましい。特に好ましい有機樹脂からなる粒子とバインダーとの混合比率は、20:80〜80:20である。
【0019】
塗工層は、上記有機樹脂からなる粒子とバインダー、そして必要に応じてその他の添加剤を水系で分散させ、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ダイコーター等を用いて、熱可塑性樹脂シートの表面に塗工することにより設けることができる。塗工量は、インキ乾燥性と経済性の観点から0.3〜10g/m2(乾燥重量、以下同じ。)が好ましい。
【0020】
本発明において、耐水性シートの基材や熱可塑性樹脂層、熱可塑性樹脂シート、そして塗工層には、上記した以外にも一般的に使用される種々の添加剤を添加することができる。これらの添加剤としては、例えば、帯電防止剤、顔料(酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等の無機填料等)などがある。但し、塗工層に顔料等を添加すると、シート表面の光沢が低下するため、原則として、本発明の塗工層には顔料を添加しない。添加するとしても、その高光沢性を損ねない程度の量にとどめる必要がある。なお、本発明において高光沢とは、JIS P−8142に準じた測定法により光沢度75度以上を示すことをいう。
【0021】
【作用】
本発明によれば、塗工層中に有機樹脂からなる粒子を含有することにより、耐水性シート表面を高光沢としたまま、優れたインキ乾燥性と耐ブロッキング性を付与することができる。この理由は明らかではないが、次のように考えられる。本発明では、塗工層に無機顔料を含有する必要がないため光沢を有し、さらに、本発明で用いられる有機樹脂からなる粒子はそれ自体透明で、かつ粒子径が小さいことにより、可視光線が散乱されにくく光沢が損なわれることがない。また、本発明では塗工層に無機顔料等を含有しなくても、有機樹脂からなる粒子とバインダーとの間には空隙が形成され、塗工層に素早くインキが吸収されインキ乾燥性が向上するとともに、塗工層のインキ保持力も高まって、摩擦によるインキの脱落が防止されると考えられる。さらに、ガラス転移温度の高い有機樹脂からなる粒子を用いることにより、高温環境下でも塗工層の軟化が抑えられるとともに、粒子状であることにより、粒子表面に微細な突起が形成されシート表面同士の接触面積が減少するために、ブロッキングが改善されると考えられる。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、実施例及び比較例において、インキ乾燥性、耐摩擦性、光沢度及び耐ブロッキング性は、以下のようにして評価を行った。
【0023】
・インキ乾燥性
得られた耐水性シートについて、汎用されているオフセット印刷用インキ(東洋インキ(株)製『TKハイエコー紅』)を用い、RI型印刷機((株)明製作所製RI−3)にてインキ盛り量0.5ccで印刷を行った。100分経過後、その印刷面にコート紙を重ね、重さ6.5kg、巾2.5cmのローラーで荷重を加えた後、コート紙に転写されたインキ濃度をカラー反射濃度計(X−RITE 418 日本平版機材株式会社)にて測定し、このときのインキ転写濃度をインキ乾燥性の指標とした。
○:インキ転写濃度が0.1以下
×:インキ転写濃度が0.1より高い
なお、印刷は、耐水性シートに塗工層が設けられている場合には、その塗工層表面に行い、塗工層が設けられていない場合には熱可塑性樹脂シート表面に直接行った。
【0024】
・耐摩擦性
得られた耐水性シートについて、汎用されているオフセット印刷用インキ(東洋インキ(株)製『TKハイエコー紅』)を用い、RI型印刷機((株)明製作所製RI−3)にてインキ盛り量0.5ccで印刷を行いインキが乾燥した後、印刷面を爪で強くこすった際のインキの残り具合を目視で評価した。
○:インキの取られがない
×:インキの取られがある
【0025】
・光沢度
JIS P−8142に従い、印刷前の耐水性シートについて測定を行った。
【0026】
・耐ブロッキング性
耐水性シートに塗工層が設けられている場合には、その塗工層表面どうし、塗工層が設けられていない場合には熱可塑性樹脂シート表面どうしを荷重0.1kg/cm2で重ね合わせ、40℃、85%RHの条件下で24時間保持した後に剥がした際の様子を目視で評価した。
○:ブロッキングが見られない
△:剥がした際に音はするが、塗工層の破壊は見られない
×:剥がした際に、塗工層の破壊が見られる。
【0027】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例及び比較例にて得られた耐水性シートにつき、インキ乾燥性、耐摩擦性、光沢度、耐ブロッキング性を評価した結果を表1に示す。
【0028】
[実施例1]
予め溶融したポリプロピレン(MFR25g/10分、密度0.91g/cm3)90重量部に酸化チタン10重量部を添加混合しておき、この酸化チタン含有ポリプロピレンと酸化チタン不含のポリプロピレン(ポリプロピレンのMFR及び密度は、特に示さない限り、上記に同じ。)とを、坪量81g/m2の上質紙の両面に、酸化チタン不含ポリプロピレンが上質紙側に位置するように、Tダイを用いて押出温度290℃にて共押出しラミネートを行い、鏡面仕上げのクーリングロールで圧着して耐水性積層シートを作成し、次いで、この耐水性積層シートの両面にコロナ放電処理を行った。なお、このとき耐水性積層シートの両面に積層された酸化チタン含有ポリプロピレン層と酸化チタン不含ポリプロピレン層の厚さは、それぞれ15μmであった。
その後、この片面にスチレン−アクリル系樹脂からなる粒子(ガラス転移温度105℃、平均粒径80nm、商品名:ハリマ化成株式会社製、B−14)50重量部とスチレン−アクリル系共重合体(ガラス転移温度40℃)の水系分散液(濃度40%、平均粒径0.19μm)50重量部を混合して塗工液を調製し、この塗工液を乾燥塗布量が1g/m2になるようにマイヤーバーで塗布、乾燥することで、塗工層を設けた。
【0029】
[実施例2]
実施例1に記載した積層シートの代わりに、厚さ140μmのポリプロピレンからなる白色シートを用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを作成した。
【0030】
[実施例3]
スチレン−アクリル系樹脂からなる粒子の代わりに、ポリウレタン系樹脂からなる粒子(ガラス転移温度130℃、平均粒径100nm)を用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0031】
[実施例4]
厚さ140μmのポリプロピレンからなる白色シートの両面に塗工層を設けた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0032】
[比較例1]
スチレン−アクリル系樹脂からなる粒子の代わりに、平均粒径0.5μmのシリカを用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0033】
[比較例2]
スチレン−アクリル系樹脂(ガラス転移温度105℃)からなる粒子の代わりに、ガラス転移温度50℃のスチレン−アクリル系樹脂からなる粒子を用いた以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0034】
[比較例3]
スチレン−アクリル系樹脂からなる粒子を用いない以外は、実施例2と同様にして耐水性シートを作成した。
【0035】
[比較例4]
実施例1において、積層シートに塗工層を設けなかった。
【0036】
[比較例5]
実施例2において、厚さ140μmのポリプロピレンからなる白色シートに塗工層を設けなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例1〜4より明らかなように、本発明の耐水性シートは高光沢で優れたインキ乾燥性と耐摩擦性、および耐ブロッキング性を示した。
【0039】
【発明の効果】
本発明の耐水性シートは、高光沢で優れたインキ乾燥性を示す塗工層が設けられているので、この塗工層を印刷面として、オフセット印刷等を行うことができる。しかも、この塗工層は十分な耐摩擦性を示し、無機填料等を添加しなくてもインキ乾燥性は発揮されるうえ、耐ブロッキング性にも優れている。従って、本発明によれば、インキ乾燥性、耐摩擦性に優れ、しかも、高光沢で耐ブロッキング性に優れた耐水性シートが提供される。
Claims (5)
- シートの一方又は両方の最外層として熱可塑性樹脂層を有する積層シートの、少なくとも一方の該熱可塑性樹脂層表面に、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子とバインダーとを含有する塗工層を設けたことを特徴とする耐水性シート。
- 熱可塑性樹脂からなるシートの、少なくとも一方の表面に、ガラス転移温度80℃以上の有機樹脂からなる粒子とバインダーとを含有する塗工層を設けたことを特徴とする耐水性シート。
- 有機樹脂がアクリル系またはスチレンアクリル系の重合体または共重合体である請求項1または2に記載の耐水性シート。
- 有機樹脂からなる粒子の平均粒径が300nm以下である請求項1、2または3に記載の耐水性シート。
- バインダーがアクリル系またはスチレンアクリル系の重合体または共重合体である請求項1、2、3または4に記載の耐水性シート。
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JP2003199993A JP2005040981A (ja) | 2003-07-22 | 2003-07-22 | 高光沢でオフセット印刷性良好な耐水性シート |
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- 2003-07-22 JP JP2003199993A patent/JP2005040981A/ja active Pending
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