JP2004300292A - 形状記憶ポリマー半硬化材料及びその製造方法並びに形状記憶ポリマー硬化物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2官能若しくは3官能の液状イソシアネートと、ポリオールと、活性水素基を含む2官能の鎖延長剤とを官能基のモル比で、イソシアネート:ポリオール:鎖延長剤=5.0〜1.0:1.0: 4.0〜0を含むマトリックス樹脂組成物、又は2官能若しくは3官能の液状イソシアネートと、ポリオールとを官能基のモル比で、液状イソシアネート:ポリオール=0.9〜1.1:1.0を含むマトリックス樹脂組成物からなる形状記憶ポリマー半硬化材料とした。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状記憶ポリマー半硬化材料及びその製造方法並びに形状記憶ポリマー硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
形状記憶機能を有する材料としてウレタン系の形状記憶ポリマーがある。形状記憶ポリマーとは、通常のポリマーの中にあって、成形形状と変形形状とを熱による温度操作で使い分けることのできる樹脂である。この樹脂を用いた形状記憶ポリマー成形体は、ポリマーのガラス転移点以上、溶融温度未満又は分解温度未満の温度で変形を加え、その形状を保持した状態でガラス転移点(Tg)以下まで冷却することにより、変形形状を固定し、また、ガラス転移点以上で溶融温度未満又は分解温度未満の温度に加熱することにより、元の成形形状を回復するもので、温度操作により変形形状と成形形状を使い分けることのできるものである。
【0003】
ウレタン系の形状記憶ポリマーには熱可塑のタイプと熱硬化のタイプがあり、成形時の加工法が異なるが、熱硬化性樹脂のタイプは二液硬化型であり、混合とともに常温で速やかに硬化してしまう(数分で硬化完了)。すなわち、可使時間が短かった。
したがって、従来の特開平5−320366号公報等に記載された形状記憶ポリマーは、大型の製品(大物成形体)には適用することが困難であり、可使時間を任意に設定可能な材料が求められていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−320366号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、十分な可使時間を備え、大物成形体の製造が簡便な形状記憶ポリマー半硬化材料及びその製造方法並びに形状記憶ポリマー硬化物について鋭意検討した。
その結果、本発明者らは、特定の組成物からなる形状記憶ポリマーによって、かかる問題点が解決されることを見い出した。本発明は、かかる見地より完成されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、2官能又は3官能若しくは2官能と3官能からなるイソシアネートと、ポリオールと、活性水素基を含む2官能の鎖延長剤とを官能基のモル比で、イソシアネート:ポリオール:鎖延長剤=5.0〜1.0:1.0:4.0〜0を含むマトリックス樹脂組成物(以下、組成物1ともいう)からなることを特徴とする形状記憶ポリマー半硬化材料を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、2官能又は3官能若しくは2官能と3官能からなるイソシアネートと、ポリオールとを官能基のモル比で、液状イソシアネート:ポリオール=0.9〜1.1:1.0を含むマトリックス樹脂組成物(以下、組成物2ともいう)からなることを特徴とする形状記憶ポリマー半硬化材料を提供するものである。
形状記憶ポリマーの機能を発現する温度を決定するものは、ガラス転移点(Tg)であり、適用製品の仕様にあわせたTgを有する任意の組成を用いるが、Tgを高くすると更に可使時間が短くなるため、高Tg化(例えば約95℃)と任意の可使時間の確保が技術的な課題となる。
【0008】
そこで、任意のTgを有する組成物1及び組成物2を半硬化状態の材料とすることで任意の可使時間を確保可能となった。
特に、組成物2は、従来では必須であった鎖延長剤を含有させないことで可使時間を確保しながらも、鎖延長剤の不使用により低下したTgを、低分子量のポリオールを用い且つイソシアネートとポリオールの含有割合を上記の割合にすることで、数十分〜数時間の可使時間を確保しつつ、高いTgを有するポリマー組成物であるが、これを半硬化材料とすることで可使時間を任意にすることが可能となった。
【0009】
ここで、組成物に用いるイソシアネートは常温で液状であることが好ましい。
ここで、組成物2に用いる上記ポリオールは、平均分子量100〜550であることが好ましい。また、上記ポリオールは、ポリプロピレングリコールを50重量%以上、好ましくは50重量%以上含むのがよい。他に含まれるポリオール成分としては、加水分解が懸念されないエーテル系であって、分子設計的に高Tg化が可能な芳香族系又は脂肪族側鎖系が好ましい。また、上記ポリオールは2官能であることが好ましい。
【0010】
なお、本明細書中、形状記憶ポリマー半硬化材料とは、その半硬化マトリックス樹脂のTg以上かつその半硬化マトリックス樹脂の流動温度未満で、変形可能となり、さらに流動温度以上に加温して、硬化を再開し、硬化を完了させて形状記憶ポリマー硬化物となる硬化物の前駆体である。ここで、流動温度とは、半硬化マトリックスが固体状態から流動可能な状態になる温度であり、例えば粘弾性測定等で半硬化マトリックス樹脂の弾性率を測定した場合に、昇温過程で半硬化マトリックスが流動してサンプルの形状が不定形となり、弾性率が検出不能となる温度である。また、半硬化とは、組成物の硬化が不十分で、架橋度や重合度が低い状態である。一般的に硬化性樹脂が硬化した場合には昇温により流動することはないが、本発明の組成物は架橋密度が一般的な硬化性樹脂と比較して低い特徴を有しており、この組成の特徴をも利用して半硬化の状態で一旦硬化を停止させることで架橋度や重合度が低い状態とする。この半硬化の状態は架橋密度も低く重合度も低いことから常温では固体でありながらも、ある温度以上で溶融し液状化するという、熱可塑的な特徴を有することとなる。
本発明に係る形状記憶ポリマー半硬化材料は、好適には充填材を含む。
【0011】
さらに、本発明は、別の側面において、形状記憶ポリマー半硬化材料の製造方法であり、該製造方法では、マトリックス樹脂組成物をその硬化温度マイナス10℃以下、好ましくは硬化温度マイナス20℃以下、更に好ましくは硬化温度マイナス30℃以下に温度を保持して半硬化させる。また、ここで硬化温度とは、例えばDSC測定(示差走査熱量測定)にて測定した際の硬化発熱のピーク温度を意味する。この形状記憶ポリマー半硬化材料の製造方法は、真空又は減圧下で行うことが好ましい。
またさらに、本発明は、さらに別の側面において、本発明に係る形状記憶ポリマー半硬化材料を用いた形状記憶ポリマー硬化物である。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記したように、本発明は、その一側面において、形状記憶ポリマー半硬化材料であり、該形状記憶ポリマー半硬化材料は、組成物1又は組成物2を含むことを特徴としている。
【0013】
組成物1
ここでは先ず、組成物1について説明する。組成物1における樹脂組成物の混合比は、官能基のモル比で、イソシアネート:ポリオール:鎖延長剤=5.0〜1.0:1.0: 4.0〜0、好ましくは3.0〜1.2:1.0:2.0〜0.2、さらに好ましくは2.0〜1.3:1.0:1.0〜0.3である。
【0014】
また、好適な形状記憶ポリマー半硬化材料を得るには、可使時間が30分以上好ましくは60分以上であるのがよい。ここでの可使時間は、組成物1の粘度の立ち上がり時間として例えば1000cpsになるまでの時間である。
【0015】
組成物1に使用可能な原料を次に例示するが、これらに限定されるものではない。
まず、2官能又は3官能若しくは2官能と3官能からなるイソシアネートの例としては、一般式でOCN−R−NCOと表記することができ、Rにはベンゼン環を1、2個有するものと全く有しないものがあるが、いずれも使用可能であり、具体的には、2,4−トリエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性の4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができ、液状であることが好ましい。
【0016】
2官能のポリオールの例としては、一般式でHO−R′−OHと表記することができ、R′にはベンゼン環を1、2個有するものと有しないもの、更には上記の2官能のポリオールに対して2官能のカルボン酸若しくは環状エーテルを反応させた生成物などが挙げられ、具体的には、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタングリコールアジペート、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノール−A+プロピレンオキサイド等を挙げることができる。
【0017】
組成物1では、上記ポリオールの中で、加水分解が懸念されないエーテル系であって、分子設計的に高Tg化が可能な芳香族系又は脂肪族側鎖系が好ましい。特に上記化合物中では、ポリプロピレングリコールが好ましく、ポリオール成分中のモノマーとして通常50重量%以上好ましくは70重量%以上さらに好ましくは90重量%以上含むのがよい。
ポリオールの分子量については特に限定されないが、好ましくは1000以下、さらに好ましくは650以下のものが用いられる。ポリオールが必要以上に高分子量になると、低Tgになるので好ましくない。
【0018】
活性水素基を含む2官能の鎖延長剤の例としては、一般式でHO−R″−OHで表記することができ、R″には(CH2)n基、ベンゼン環を1、2個有する基など、いずれも使用可能であり、具体的には、エチレングリコール、1,4−ブタングリコール、ビス(2−ハイドロキシエチル)ハイドロキノン、ビスフェノール−A+エチレンオキサイド、ビスフェノール−A+プロピレンオキサイド等を挙げることができる。このような鎖延長剤は、組成物1の中でTg調整剤の役割を有するものであり、特に高Tgを維持するのに用いられる。
【0019】
上記の組成物1に硬化可能な範囲で添加することのできる添加剤としては、各種フィラー、有機成分、希釈剤等の慣用される添加剤を一種以上添加することができる。
【0020】
組成物2
次に、組成物2について説明する。組成物2は、2官能又は3官能若しくは2官能と3官能からなるイソシアネートと、平均分子量100〜550のポリオールとを、官能基のモル比でイソシアネート:ポリオール=0.9〜1.1:1.0にて含むことを特徴とするものである。
【0021】
好適な形状記憶ポリマー半硬化材料を得るには、可使時間が30分以上、好ましくは60分以上であるのがよい。ここでの可使時間は、組成物2の粘度の立ち上がり時間として例えば1000cpsになるまでの時間である。
【0022】
組成物2は、上記の条件を十分に満たすものである。すなわち、高Tg化(例えば約95℃)と可使時間の確保(例えば約50分)とを両立させることができる。
組成物2に使用可能な原料を次に例示するが、これらに限定されるものではない。
【0023】
2官能又は3官能若しくは2官能と3官能からなるイソシアネートの例としては、一般式でOCN−R−NCOと表記することができ、Rにはベンゼン環を1、2個有するものと全く有しないものがあるが、いずれも使用可能であり、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができ、液状であることが好ましい。
【0024】
ポリオールとしては、組成物2では、平均分子量が100〜550のものを用いる。ポリオールの分子量が550を超えると、得られる形状記憶ポリマーの可使時間が長くなる利点があるものの、Tgが低下する。一方、平均分子量が100未満の場合、組成物2では、FRPの成形に必要な可使時間を確保できなくなる。組成物2では、ポリオールの平均分子量は、好ましくは150〜250である。なお、平均分子量とは、重量平均分子量であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法で測定されるものである。
【0025】
ポリオールは、Tg前後での大きな物性変化(例えば弾性率)を得るため、2官能のものが好ましい。2官能のポリオールの例としては、一般式でHO−R’−OHと表記することができ、R’にはベンゼン環を1、2個有するものと有しないもの、更には上記の2官能のポリオールに対して2官能のカルボン酸若しくは環状エーテルを反応させた生成物などが挙げられ、具体的には、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタングリコールアジペート、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノール−A+プロピレンオキサイド等を挙げることができる。
【0026】
また、組成物2では上記ポリオールの中で、加水分解が懸念されないエーテル系であって、分子設計的に高Tg化が可能な芳香族系又は脂肪族側鎖系が好ましい。特に上記化合物中では、ポリプロピレングリコールが好ましく、ポリオール成分中のモノマーとして通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含むのがよい。
【0027】
イソシアネートとポリオールとの混合比は、官能基のモル比で、イソシアネート:ポリオール=0.9〜1.1:1.0(すなわち、NCO/OH=0.9〜1.1)である。このような混合比とすることで、必要な可使時間を確保しつつ、形状固定及び形状回復といった形状記憶性を発現することができる高いTgを有するポリマー組成物を得ることができる。なお、上記混合比は、官能基のモル比で、イソシアネート:ポリオール=0.95〜1.05:0.95〜1.05と表現することもできる。また、好ましい混合比は、官能基のモル比で、イソシアネート:ポリオール=0.98〜1.05:1.0(NCO/OH=0.98〜1.05)である。
【0028】
なお、組成物2は、従来では必須であった鎖延長剤を含有しないものである。鎖延長剤は、ポリマー組成物の中でTg調整剤の役割を有するものであり、高いTgを維持するのに用いられているが、その一方で、可使時間を短くする傾向がある。組成物2では、このような鎖延長剤を用いずに、高いTgを確保できる。
【0029】
組成物2に硬化可能な範囲で添加することのできる添加剤としては、各種フィラー、有機成分、希釈剤等の慣用される添加剤を一種以上添加することができる。
【0030】
なお、組成物1又は2は、上記フィラーとして充填材を含むことができる。
充填材としては、無機系、有機系、金属系、繊維系のものを挙げることができる。無機系のものとしては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、無機顔料等を挙げることができ、有機系のものとしては、ゴム微粒子や有機顔料等を挙げることができる。金属系のものとしては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム等を挙げることができる。
繊維系充填材としては、有機材料による繊維に限定されるものではなく、ガラス繊維等の無機繊維や炭素繊維を用いることができる。具体的には、例えば炭素繊維、アラミド繊維などが好適である。織組織も限定されないが、例えばタテ糸とヨコ糸からなる平織りの素材が挙げられ、厚さは例えば0.1〜1.0mmの範囲のものが用いられる。
また、本発明に係る形状記憶ポリマー半硬化材料には、マトリックス樹脂である上記組成物1又は2と繊維材料以外に、補強用繊維や色素等が含まれていても良く、それらの量比は特に限定されるものではない。
【0031】
形状記憶ポリマー半硬化材料の製造方法
次に、本発明に係る形状記憶ポリマー半硬化材料の製造方法について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
形状記憶ポリマー半硬化材料の製造方法として、組成物1又は2の各成分は、個別に真空脱泡した後、所定量を予め容器などで混合調製及び真空脱泡しておき、この混合物を真空にした型内に注入する。硬化温度マイナス30℃以下で1時間保持して反応させた後、室温に冷却し型から取り出して形状記憶ポリマーの半硬化材料を得る。
ここで、半硬化とは、架橋が不十分な形で硬化を停止させた状態をいう。本発明の形状記憶ポリマー半硬化材料では、マトリックス樹脂の架橋が不十分であるため、再度温度を上げると溶融し硬化が開始され完全な硬化物となる。
半硬化は、各成分を混合し、硬化中の組成物を硬化温度マイナス10℃、好ましくは硬化温度マイナス20℃以下、更に好ましくは硬化温度マイナス30℃以下に保持ことによって行われる。すなわち、硬化を行うには不十分な温度環境及び硬化時間により半硬化の状態で硬化の進行を停止させることが重要であり、この際硬化反応による発熱で組成物の温度が上昇しない様に組成物の温度を維持することがポイントとなる。加えてのポイントは前述した通り本発明の組成物にある。硬化温度とは、例えばDSC測定(示差走査熱量測定)にて測定した際の硬化発熱のピーク温度を意味する。
【0032】
上記組成物1及2は、熱硬化樹脂であるが、一般的な熱硬化樹脂と比較すると、架橋密度が低い傾向にあり、従って半硬化の状態では熱硬化樹脂でありながら流動が可能となる。この特徴を応用することで、常温にて固体状態であり、容易なハンドリングで、保管も可能となる。
その後、例えば、形状記憶ポリマー半硬化材料を適宜積層等した後、加熱により層間の樹脂が流動することで一体物として成形できる。すなわち、形状記憶ポリマー半硬化材料は、任意の場所で所望の任意の形状に成形することができる。
【0033】
また、本発明の形状記憶ポリマー半硬化材料には、形状固定−回復特性が存在し、半硬化マトリックス樹脂のTgは、この半硬化マトリックス樹脂の流動温度より低いことから、半硬化マトリックス樹脂のTg以上で、半硬化マトリックス樹脂の流動温度未満に加温し、自由な形状に変形可能な状態にしてから金型等に合わせて積層した後、さらに流動温度以上に加温して硬化を完了させることもできるため、作業をさらに容易とすることができる。なお、形状記憶ポリマー半硬化材料は、例えば熱プレス成形法によって、形状記憶ポリマー硬化物とできる。
【0034】
例えば、熱プレス成形法では、形状記憶ポリマー半硬化材料を、複数積層等し、熱プレスする。この際の温度は通常60〜180℃まで上昇させる。圧力は通常0〜20kgf/cm2程度である。
また、後硬化処理工程として温度を調整し、熱による歪みを解放して取り除くためにポストキュアーすることもできる。この際、成形したとき以上の熱を加えることが好ましい。最後に、切断工程を経て、得られた成形体を検査する。
【0035】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び変更を加え得るものである。以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものでない。
【0036】
【実施例】
実施例1
イソシアネート成分として液状のカルボジイミド変性4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物(MDI)、ポリオール成分として脂肪族側鎖系化合物の2官能性ポリプロピレングリコール(PPG400)、鎖延長剤として1,4−ブタングリコール(1,4BG)、をそれぞれ用いて、以下の組成比で樹脂組成物を調製した。
【0037】
上記樹脂組成物の主剤(イソシアネート成分)と硬化剤(ポリオール成分)は、60℃で2時間程度、真空脱気してから、室温まで冷却した。その後、イソシアネート成分(MDI)/ポリオール成分(PPG400)/鎖延長剤(1,4BG)=97/103/10の重量比で撹拌混合し、約2分程度で白濁から透明になった。
この透明になった樹脂成分を50mm×10mm×2mmの型に流し込み、60℃、2時間で半硬化させた(常温で固体)。
得られた半硬化物の粘弾性測定を実施した結果、120℃以上で弾性率が急激に低下し検出不能となった(加温により測定樹脂サンプルが流動したため)。また、測定後のサンプルを確認したところ元の形状を維持しておらず、流動したことを確認した。
また、50mm×50mm×2mmの型より得られた3つの形状記憶ポリマー半硬化材料を50mm×50mm×6mmの型内に重ねて150℃で1時間加熱した。得られたサンプル(硬化物)は一体となって完全に硬化しており、形状記憶性を有していた。
【0038】
実施例2
表1の組成のサンプル1〜3に充填材として30重量%のタルクを用いて、形状記憶ポリマー半硬化材料を作製した。
【0039】
【表1】
【0040】
液状イソシアネート:カルボジイミド変性4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物。
PPG200:ポリプロピレングリコール(平均分子量200)。
PPG400:ポリプロピレングリコール(平均分子量400)。
1,4BG :1,4ブタンジオール(鎖延長剤)。
【0041】
サンプル1は、組成物2に対応している。サンプル2は、組成物2に対応し、サンプル3は、組成物1に対応している。
【0042】
上記各サンプル1〜3の各成分を、60℃で2時間程度、真空脱気してから、室温まで冷却した。その後、これらの各成分を混合すると同時にタルクを加え、透明化させた。
この透明になった樹脂成分を50mm×10mm×2mmの型に流し込み、60℃、2時間で半硬化させた(常温で固体)。
得られた3つの形状記憶ポリマー半硬化材料を、熱プレス成形法によって熱プレス成形し、形状記憶ポリマー硬化物を製造した。
製造にあたっては、各々3枚ずつ、50mm×50mm×3mmの型内に重ねて150℃で1時間、加熱した。プレス圧は、約1kgf/mm2であった。
製造した形状記憶ポリマー硬化物の形状固定−回復性について評価し、全てのサンプルにおいて形状固定−回復特性を有していることを確認した。
【0043】
上記のように、組成物1、2を半硬化させてなる形状記憶ポリマー半硬化材料は、マトリックス樹脂が半硬化の状態で保管できることから、十分な可使時間を備え、したがって、大物成形体の製造が簡便であり、かつ得られる成形体は、良好なTg及び形状記憶特性(インフレータブル性)を備えることが了解される。
【0044】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明によれば、十分な可使時間を備え、大物成形体の製造が簡便な形状記憶ポリマー半硬化材料及びその製造方法並びに形状記憶ポリマー硬化物が提供される。
すなわち、本発明に係る形状記憶ポリマー半硬化材料は、マトリックス樹脂が半硬化の状態で保管できることから、十分な可使時間を備える。したがって、大物成形体の製造が簡便であり、かつ得られる成形体は、良好なTg及び形状記憶特性(インフレータブル性)を備えることが了解される。
Claims (8)
- 2官能又は3官能若しくは2官能と3官能からなるイソシアネートと、ポリオールと、活性水素基を含む2官能の鎖延長剤とを官能基のモル比で、イソシアネート:ポリオール:鎖延長剤=5.0〜1.0:1.0:4.0〜0を含むマトリックス樹脂組成物からなることを特徴とする形状記憶ポリマー半硬化材料。
- 2官能又は3官能若しくは2官能と3官能からなるイソシアネートと、ポリオールとを官能基のモル比で、イソシアネート:ポリオール=0.9〜1.1:1.0を含むマトリックス樹脂組成物からなることを特徴とする形状記憶ポリマー半硬化材料。
- 上記ポリオールが、平均分子量100〜550であることを特徴とする請求項2に記載の形状記憶ポリマー半硬化材料。
- 上記ポリオールが、ポリプロピレングリコールを50重量%以上含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一に記載の形状記憶ポリマー半硬化材料。
- 上記マトリックス樹脂が充填材を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の形状記憶ポリマー半硬化材料。
- 硬化中の請求項1〜5のいずれか一に記載されたマトリックス樹脂をその硬化温度マイナス10℃以下に温度を保持して半硬化させることを特徴とする形状記憶ポリマー半硬化材料の製造方法。
- 真空又は減圧下で行うことを特徴とする請求項5に記載の形状記憶ポリマー半硬化材料の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一に記載の形状記憶ポリマー半硬化材料を硬化させてなる形状記憶ポリマー硬化物。
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