JP2004300290A - ボールペン用水性インキ - Google Patents
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Abstract
【課題】極寒地への輸送や保管時インキが凍結及びそれに近い状態になっても顔料のリショウ現象が無く、品質が低下しないボールペン用水性インキ。
【解決手段】顔料と、多糖類と、液媒体を少なくとも含有するボールペン用水性インキ組成物において、該顔料をポリオキシエチレン脂肪酸エステルで分散したものを用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】顔料と、多糖類と、液媒体を少なくとも含有するボールペン用水性インキ組成物において、該顔料をポリオキシエチレン脂肪酸エステルで分散したものを用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆跡の滲みが極力抑制されたボールペン用水性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、顔料を使用したボールペン用の水性インキは、顔料の沈降やペン先からのインキ漏れや適切なインキ吐出量を得る等の目的で、粘度調整剤を使用することが知られている。この粘度調節剤は非筆記時には比較的高粘度であり、顔料の沈降やインキ洩れや気泡の混入を抑制し、筆記時には回転するボールの剪弾力によって粘度が低下する結果、滑らかにインキを吐出させることができる。かような剪弾減粘性を有する物質として、種々の多糖類を用いることが提案されている。その一例として、特開昭59−74175号公報(特許文献1参照)にはキサンタンガムが、特開平4−214782号公報(特許文献2参照)には、ウェランガムが、特開平6−88050号公報(特許文献3参照)にはサクシノグリカンが開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭59−74175号公報(キサンタンガム:第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平4−214782号公報(ウエランガム:第3頁第3欄5行、分散安定剤:第3頁第3欄41行〜43行)
【特許文献3】
特開平6−88050号公報(サクシノグリカン:第2頁第1欄41行〜46行、分散安定剤:第2頁第2欄41行〜42行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載されている発明の実施例は、保存安定性が常温で1〜2ヶ月程度の期間の試験結果である。しかし、環境は種々の状況が考えられ、例えば、製品が真冬の倉庫に保管されたり、極寒地方へ輸送されたりした場合、インキ組成物が凍結あるいはそれに近い状態になる。このような凍結あるいはそれに近い状態となったインキ組成物は、再度温度が高くなり元の状態に戻ると著しく滲んだ筆跡を形成するインキ組成物となってしまうという不具合があった。
【0005】
即ち、顔料を分散し、多糖類を配合した水性インキ組成物は多糖類の網目構造の中に顔料を取り込んでいる。このようなインキ組成物が凍結するとインキ全体の体積が増大するため前記の網目構造の間隙も大きくなっている。その後温度が上がり多糖類の網目構造の間隔が元の状態に収縮すると、多糖類に伴って広がって媒体と共に分散していた顔料のすべてが最初の状態に戻れず一部の顔料が網目構造の間隙の外側にでてしまう。所謂寒天の表面状に水が浮き出るのと同様なリショウ現象が発生し、編み目構造から外れた顔料分散部分が筆跡となる際に自由に移動しやすいことから滲んだ筆跡が形成されてしまう。
本発明の目的は、極寒地方への輸送時や真冬に倉庫に保管された後に元の温度に戻された時にも、筆跡の滲みのないインキ組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、顔料とポリオキシエチレン脂肪酸エステルと多糖類と液媒体とを少なくとも含有するボールペン用水性インキ組成物を要旨とするものである。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は使用する顔料の分散剤として、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルを使用する。その具体例としては、MYL−10(POE(10)モノラウレート、HLB:12.5)、MYS−25(POE(25)モノステアレート、HLB:15.)、MYS−40(POE(40)モノステアレート、HLB:17.5)、MYS−45(POE(45)モノステアレート、HLB:18.0)、MYS−−55(POE(55)モノステアレート、HLB:18.0)(以上、日光ケミカルズ(株)製)、ノニオンS−40(POE(40)ステアレート、HLB:18.2、ノニオンO−6(POE(6)オレート、HLB:13.5)(以上、日本油脂(株)製)等が挙げられる。
そして、本発明における前記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルの使用量は、インキ全量に対して、0.10〜5.00重量%が好ましい。
【0008】
本発明に使用する多糖類は、その具体例として、微生物由来の多糖類であるキサンタンガム、植物由来の種子多糖類であるグァーガムやローカストビーンガム及びその誘導体(以上、三晶(株)製)や、海藻多糖類のカラギーナン、アルギン酸及びその誘導体(以上、三唱(株)製)、樹脂多糖類のタラガントガム(三唱(株)製)や微生物由来の酸性多糖類であるサクシノグリカン(三晶(株)製)やアルカシーガム(伯東(株)製)等が挙げられる。特に、平均分子量が5×106以上5×109以下である多糖類を使用すると、シュードプラスチック性が大きいことから比重の重いものをより保持し易く、また保湿性有していることから好ましく、その具体例として微生物由来の酸性多糖類であるサクシノグリカン(三晶(株)製)やアルカシーガム(伯東(株)製)が挙げられる。
サクシノグリカンは、天然物由来であるためそのモル比等を一つのものとして確定することは困難だが、例えば、グルコース、ガラクトース、ピルビン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、酢酸を5:1:0.5:0.5:0.5のモル比で構成された酸性多糖類である。
アルカシーガムも同様に、天然物由来であるためそのモル比等を一つのものとして確定することは困難だが、例えば、高分子成分と低分子成分を約7:1で含む混合物であり、その主成分である高分子成分が、グルコース、グルクロン酸、フコース、ラムノースを2:1:1:1のモル比で含むユニットから構成された酸性多糖類である。
そして、本発明における多糖類の使用量は、インキ全量に対して0.05〜1.50重量%が好ましい。0.05重量%未満では、インキ粘度が低すぎて、顔料に対して、沈降防止の効果が少なくなることがある。一方、1.50重量%を越えた場合、粘度が高くなり過ぎるため、ペン先部からのインキの吐出が悪くなる傾向がある。
【0009】
着色剤としての顔料は、従来公知の顔料を使用することが出来、具体例として、ファーネストブラック、コンタクトブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等の無機顔料、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同17、同22、同38、同41、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194同206、同207、同209、同216、同245、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同16、同17、同22、同25、同60、同66、C.I.PIGMENT BROWN 25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同139、同153、同166、同167、同173C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36等の有機顔料等が挙げられる。これらは、1種もしくは2種以上混合して用いることが出来る。
【0010】
液媒体として水は主溶剤として用いる。
【0011】
液媒体としてその他、ペン先での乾燥防止、粘度調節剤の溶解・分散等の目的で水溶性有機溶剤を用いる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独或は混合して使用することができる。その使用量はインキ組成物全量に対して10〜60重量%が好ましい。
【0012】
また、尿素、エチレン尿素、チオ尿素などの湿潤剤や、ベンゾチアゾリン系、オマジン系などの防腐剤、ベンゾトリアゾールなどの防錆剤、顔料を被筆記面に定着させるためにスチレン−アクリル共重合体やそのアルカリ塩、酢酸ビニル系やアクリル系やスチレン−アクリル系の樹脂等のエマルジョン、水酸化ナトリウムや2,2−アミノメチル−1,3−プロパンジオール等のpH調整剤、シリコーン系エマルジョン等の消泡剤等といった種々の添加剤を必要に応じて使用することもできる。
【0013】
本発明のインキ組成物を製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。
例えばヘンシェルミキサー等の撹拌機に水と多糖類を入れ撹拌溶解した後、ボールミル、ビーズミル、ロールミル等の分散機により分散した顔料やその他残りの成分を入れ、更に混合撹拌することにより容易に得られる。脱泡機による泡の除去や濾過機による粗大物の濾過等を必要に応じて行っても良い。
【0014】
【作用】
本発明に係る、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、顔料の分散剤として働き、顔料表面に吸着する。
一方多糖類は、分子量が大きく、分子鎖が長いため、分子同士が絡み易くなり、更に絡み合った分子同士が絡み合ってより複雑化することで非常に強固で安定な網目構造をとる物質である。
しかもポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、低温時でも多糖類との相溶性が失われないので分離することはなく編み目構造中に安定に存在する。従って、顔料やその他分散媒等は低温時でもその網目構造の間隙に強固に保持されるので、顔料の沈降は極力抑止される。
【0015】
本発明のポリオキシエチレン脂肪酸エステルを多糖類と併用したインキ組成物が、上述の離ショウに似たような現象を何故起こさないかは定かでないが、脂肪酸のアルキル基が多糖類の親水部である水酸基とカルボン酸基以外の疎水部との親和力が働き、その結果多糖類に対する顔料の濡れ性が向上し分離しないと推測される。
【0016】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
【0017】
上記成分をボールミルにて24時間分散処理を行った。
【0018】
上記成分をボールミルにて24時間分散処理を行った。
【0019】
(顔料調整例3)
顔料調整例2のMYS−55の替わりにBS−20(POE(20)ステアリルエーテル、日光ケミカルズ(株)製)を用いた以外は顔料調整例1と同様になした。
【0020】
(顔料調整例4)
顔料調整例1のMYS−25の替わりにジョンクリル62(スチレン−アクリル共重合体のアンモニウム塩、ジョンソンポリマー(株)製)を10部にし、その増えた分水を減らした以外は顔料調整例1と同様になした。
【0021】
上記成分中、アルカガムと水とをホモミキサーにて10分間撹拌して得たアルカガム水溶液中に、残りの上記各成分を加え、更に30分間混合撹拌して黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0022】
上記成分を実施例1と同様になして赤色を有するボールペン用水性インキを得た。
【0023】
実施例3
顔料調整例2 20.00部
水 63.65部
ジエチレングリコール 9.00部
グリセリン 6.00部
ケルザンAR(三晶(株)製) 0.60部
プロクセルGXL 0.20部
ベンゾトリアゾール 0.50部
上記成分を実施例1と同様になして赤色を有するボールペン用水性インキを得た。
【0024】
比較例1
実施例1において、顔料調整例1の替わりに顔料調整例3にした以外は、実施例1と同様になして赤色のボールペン用水性インキを得た。
【0025】
比較例2
実施例1において、顔料調整例1の替わりに顔料調整例4にした以外は、実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0026】
比較例3
実施例1において、顔料調整例1の替わりに市販分散顔料Black K−14(カーボンブラック30%、分散剤:ノニオン系界面活性剤、東洋インキ(株)製)を14.0部にし、減らした分水を増やした以外は、実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0027】
比較例4
実施例1において、顔料調整例1の替わりに市販分散顔料Emacol SFBlack H528F(カーボンブラック20%、分散剤:アクリル樹脂、山陽色素(株)製)にした以外は、実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0028】
【発明の効果】
以上、実施例1〜3、比較例1〜4で得たインキ組成物について、下記の試験を行った。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
(試験用ボールペンの作成)
上記実施例、比較例で得たインキ組成物をステンレス製のボールホルダー、超硬合金製ボール(ボール径:0.6mm)からなるボールペンチップを備えるぺんてる(株)製のハイブリッド(製品符号K105)のリフィルに0.8g程度充填し、その界面上に逆流防止体を充填し、遠心機にて遠心力を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作成した。
【0031】
上記試験用ボールペンの作成直後、下記の条件で筆記試験を行い、連続してインキが吐出されているか及び筆跡に異常がないかを確認した。その後、各試験用ボールペンをペン先を密閉した状態で−20℃恒温室内にペン先横向きで1日放置した後、室温に1日放置し、試験前と同様に筆記試験を行いその筆跡を確認した。尚、筆記用紙は上質紙(JIS P3201筆記用紙A)を用いた。
【0032】
筆記試験:自転式連続螺旋筆記試験機(MODEL TS−4C−20 精機工業研究所製)にて、筆記速度7cm/秒、筆記角度70゜、筆記荷重100gの条件でインキを使い切るまで筆記する。筆記終了後、その筆跡を観察し、滲んだことにより、筆跡幅が筆跡幅が1.5倍以上に変化した部分を確認し、その発生した数を数えた。
【0033】
以上、詳細に説明したように、本発明に係るインキ組成物はインキが凍結したりそれに近い状態になった場合に、著しく滲んだ筆跡になることが極力抑制されるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆跡の滲みが極力抑制されたボールペン用水性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、顔料を使用したボールペン用の水性インキは、顔料の沈降やペン先からのインキ漏れや適切なインキ吐出量を得る等の目的で、粘度調整剤を使用することが知られている。この粘度調節剤は非筆記時には比較的高粘度であり、顔料の沈降やインキ洩れや気泡の混入を抑制し、筆記時には回転するボールの剪弾力によって粘度が低下する結果、滑らかにインキを吐出させることができる。かような剪弾減粘性を有する物質として、種々の多糖類を用いることが提案されている。その一例として、特開昭59−74175号公報(特許文献1参照)にはキサンタンガムが、特開平4−214782号公報(特許文献2参照)には、ウェランガムが、特開平6−88050号公報(特許文献3参照)にはサクシノグリカンが開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭59−74175号公報(キサンタンガム:第1頁、特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平4−214782号公報(ウエランガム:第3頁第3欄5行、分散安定剤:第3頁第3欄41行〜43行)
【特許文献3】
特開平6−88050号公報(サクシノグリカン:第2頁第1欄41行〜46行、分散安定剤:第2頁第2欄41行〜42行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載されている発明の実施例は、保存安定性が常温で1〜2ヶ月程度の期間の試験結果である。しかし、環境は種々の状況が考えられ、例えば、製品が真冬の倉庫に保管されたり、極寒地方へ輸送されたりした場合、インキ組成物が凍結あるいはそれに近い状態になる。このような凍結あるいはそれに近い状態となったインキ組成物は、再度温度が高くなり元の状態に戻ると著しく滲んだ筆跡を形成するインキ組成物となってしまうという不具合があった。
【0005】
即ち、顔料を分散し、多糖類を配合した水性インキ組成物は多糖類の網目構造の中に顔料を取り込んでいる。このようなインキ組成物が凍結するとインキ全体の体積が増大するため前記の網目構造の間隙も大きくなっている。その後温度が上がり多糖類の網目構造の間隔が元の状態に収縮すると、多糖類に伴って広がって媒体と共に分散していた顔料のすべてが最初の状態に戻れず一部の顔料が網目構造の間隙の外側にでてしまう。所謂寒天の表面状に水が浮き出るのと同様なリショウ現象が発生し、編み目構造から外れた顔料分散部分が筆跡となる際に自由に移動しやすいことから滲んだ筆跡が形成されてしまう。
本発明の目的は、極寒地方への輸送時や真冬に倉庫に保管された後に元の温度に戻された時にも、筆跡の滲みのないインキ組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、顔料とポリオキシエチレン脂肪酸エステルと多糖類と液媒体とを少なくとも含有するボールペン用水性インキ組成物を要旨とするものである。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は使用する顔料の分散剤として、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルを使用する。その具体例としては、MYL−10(POE(10)モノラウレート、HLB:12.5)、MYS−25(POE(25)モノステアレート、HLB:15.)、MYS−40(POE(40)モノステアレート、HLB:17.5)、MYS−45(POE(45)モノステアレート、HLB:18.0)、MYS−−55(POE(55)モノステアレート、HLB:18.0)(以上、日光ケミカルズ(株)製)、ノニオンS−40(POE(40)ステアレート、HLB:18.2、ノニオンO−6(POE(6)オレート、HLB:13.5)(以上、日本油脂(株)製)等が挙げられる。
そして、本発明における前記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルの使用量は、インキ全量に対して、0.10〜5.00重量%が好ましい。
【0008】
本発明に使用する多糖類は、その具体例として、微生物由来の多糖類であるキサンタンガム、植物由来の種子多糖類であるグァーガムやローカストビーンガム及びその誘導体(以上、三晶(株)製)や、海藻多糖類のカラギーナン、アルギン酸及びその誘導体(以上、三唱(株)製)、樹脂多糖類のタラガントガム(三唱(株)製)や微生物由来の酸性多糖類であるサクシノグリカン(三晶(株)製)やアルカシーガム(伯東(株)製)等が挙げられる。特に、平均分子量が5×106以上5×109以下である多糖類を使用すると、シュードプラスチック性が大きいことから比重の重いものをより保持し易く、また保湿性有していることから好ましく、その具体例として微生物由来の酸性多糖類であるサクシノグリカン(三晶(株)製)やアルカシーガム(伯東(株)製)が挙げられる。
サクシノグリカンは、天然物由来であるためそのモル比等を一つのものとして確定することは困難だが、例えば、グルコース、ガラクトース、ピルビン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、酢酸を5:1:0.5:0.5:0.5のモル比で構成された酸性多糖類である。
アルカシーガムも同様に、天然物由来であるためそのモル比等を一つのものとして確定することは困難だが、例えば、高分子成分と低分子成分を約7:1で含む混合物であり、その主成分である高分子成分が、グルコース、グルクロン酸、フコース、ラムノースを2:1:1:1のモル比で含むユニットから構成された酸性多糖類である。
そして、本発明における多糖類の使用量は、インキ全量に対して0.05〜1.50重量%が好ましい。0.05重量%未満では、インキ粘度が低すぎて、顔料に対して、沈降防止の効果が少なくなることがある。一方、1.50重量%を越えた場合、粘度が高くなり過ぎるため、ペン先部からのインキの吐出が悪くなる傾向がある。
【0009】
着色剤としての顔料は、従来公知の顔料を使用することが出来、具体例として、ファーネストブラック、コンタクトブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等の無機顔料、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同17、同22、同38、同41、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194同206、同207、同209、同216、同245、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同16、同17、同22、同25、同60、同66、C.I.PIGMENT BROWN 25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同139、同153、同166、同167、同173C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36等の有機顔料等が挙げられる。これらは、1種もしくは2種以上混合して用いることが出来る。
【0010】
液媒体として水は主溶剤として用いる。
【0011】
液媒体としてその他、ペン先での乾燥防止、粘度調節剤の溶解・分散等の目的で水溶性有機溶剤を用いる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類や、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独或は混合して使用することができる。その使用量はインキ組成物全量に対して10〜60重量%が好ましい。
【0012】
また、尿素、エチレン尿素、チオ尿素などの湿潤剤や、ベンゾチアゾリン系、オマジン系などの防腐剤、ベンゾトリアゾールなどの防錆剤、顔料を被筆記面に定着させるためにスチレン−アクリル共重合体やそのアルカリ塩、酢酸ビニル系やアクリル系やスチレン−アクリル系の樹脂等のエマルジョン、水酸化ナトリウムや2,2−アミノメチル−1,3−プロパンジオール等のpH調整剤、シリコーン系エマルジョン等の消泡剤等といった種々の添加剤を必要に応じて使用することもできる。
【0013】
本発明のインキ組成物を製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。
例えばヘンシェルミキサー等の撹拌機に水と多糖類を入れ撹拌溶解した後、ボールミル、ビーズミル、ロールミル等の分散機により分散した顔料やその他残りの成分を入れ、更に混合撹拌することにより容易に得られる。脱泡機による泡の除去や濾過機による粗大物の濾過等を必要に応じて行っても良い。
【0014】
【作用】
本発明に係る、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、顔料の分散剤として働き、顔料表面に吸着する。
一方多糖類は、分子量が大きく、分子鎖が長いため、分子同士が絡み易くなり、更に絡み合った分子同士が絡み合ってより複雑化することで非常に強固で安定な網目構造をとる物質である。
しかもポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、低温時でも多糖類との相溶性が失われないので分離することはなく編み目構造中に安定に存在する。従って、顔料やその他分散媒等は低温時でもその網目構造の間隙に強固に保持されるので、顔料の沈降は極力抑止される。
【0015】
本発明のポリオキシエチレン脂肪酸エステルを多糖類と併用したインキ組成物が、上述の離ショウに似たような現象を何故起こさないかは定かでないが、脂肪酸のアルキル基が多糖類の親水部である水酸基とカルボン酸基以外の疎水部との親和力が働き、その結果多糖類に対する顔料の濡れ性が向上し分離しないと推測される。
【0016】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
【0017】
上記成分をボールミルにて24時間分散処理を行った。
【0018】
上記成分をボールミルにて24時間分散処理を行った。
【0019】
(顔料調整例3)
顔料調整例2のMYS−55の替わりにBS−20(POE(20)ステアリルエーテル、日光ケミカルズ(株)製)を用いた以外は顔料調整例1と同様になした。
【0020】
(顔料調整例4)
顔料調整例1のMYS−25の替わりにジョンクリル62(スチレン−アクリル共重合体のアンモニウム塩、ジョンソンポリマー(株)製)を10部にし、その増えた分水を減らした以外は顔料調整例1と同様になした。
【0021】
上記成分中、アルカガムと水とをホモミキサーにて10分間撹拌して得たアルカガム水溶液中に、残りの上記各成分を加え、更に30分間混合撹拌して黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0022】
上記成分を実施例1と同様になして赤色を有するボールペン用水性インキを得た。
【0023】
実施例3
顔料調整例2 20.00部
水 63.65部
ジエチレングリコール 9.00部
グリセリン 6.00部
ケルザンAR(三晶(株)製) 0.60部
プロクセルGXL 0.20部
ベンゾトリアゾール 0.50部
上記成分を実施例1と同様になして赤色を有するボールペン用水性インキを得た。
【0024】
比較例1
実施例1において、顔料調整例1の替わりに顔料調整例3にした以外は、実施例1と同様になして赤色のボールペン用水性インキを得た。
【0025】
比較例2
実施例1において、顔料調整例1の替わりに顔料調整例4にした以外は、実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0026】
比較例3
実施例1において、顔料調整例1の替わりに市販分散顔料Black K−14(カーボンブラック30%、分散剤:ノニオン系界面活性剤、東洋インキ(株)製)を14.0部にし、減らした分水を増やした以外は、実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0027】
比較例4
実施例1において、顔料調整例1の替わりに市販分散顔料Emacol SFBlack H528F(カーボンブラック20%、分散剤:アクリル樹脂、山陽色素(株)製)にした以外は、実施例1と同様になして黒色のボールペン用水性インキを得た。
【0028】
【発明の効果】
以上、実施例1〜3、比較例1〜4で得たインキ組成物について、下記の試験を行った。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
(試験用ボールペンの作成)
上記実施例、比較例で得たインキ組成物をステンレス製のボールホルダー、超硬合金製ボール(ボール径:0.6mm)からなるボールペンチップを備えるぺんてる(株)製のハイブリッド(製品符号K105)のリフィルに0.8g程度充填し、その界面上に逆流防止体を充填し、遠心機にて遠心力を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作成した。
【0031】
上記試験用ボールペンの作成直後、下記の条件で筆記試験を行い、連続してインキが吐出されているか及び筆跡に異常がないかを確認した。その後、各試験用ボールペンをペン先を密閉した状態で−20℃恒温室内にペン先横向きで1日放置した後、室温に1日放置し、試験前と同様に筆記試験を行いその筆跡を確認した。尚、筆記用紙は上質紙(JIS P3201筆記用紙A)を用いた。
【0032】
筆記試験:自転式連続螺旋筆記試験機(MODEL TS−4C−20 精機工業研究所製)にて、筆記速度7cm/秒、筆記角度70゜、筆記荷重100gの条件でインキを使い切るまで筆記する。筆記終了後、その筆跡を観察し、滲んだことにより、筆跡幅が筆跡幅が1.5倍以上に変化した部分を確認し、その発生した数を数えた。
【0033】
以上、詳細に説明したように、本発明に係るインキ組成物はインキが凍結したりそれに近い状態になった場合に、著しく滲んだ筆跡になることが極力抑制されるものである。
Claims (1)
- 顔料とポリオキシエチレン脂肪酸エステルと多糖類と液媒体とを少なくとも含有するボールペン用水性インキ組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003095193A JP2004300290A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | ボールペン用水性インキ |
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ID=33407575
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
JP2007297517A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Pentel Corp | ボールペン用水性インキ |
JP2008013587A (ja) * | 2006-06-30 | 2008-01-24 | Pentel Corp | ボールペン用水性インキ組成物 |
JP2018001755A (ja) * | 2016-06-23 | 2018-01-11 | 株式会社パイロットコーポレーション | ボールペン |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003095193A patent/JP2004300290A/ja active Pending
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