JP2004300207A - 新規加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物及びカラー舗装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】カラー舗装用バインダーと骨材との剥離を防止して、密着性及び耐久性を向上させた、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物及びカラー舗装材を提供する。
【解決手段】石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分とする加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物、前記(メタ)アクリル系樹脂は、熱可塑性であり、酸価が10mgKOH/g以上である加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物、前記熱可塑性エラストマーは、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体である加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物、並びに、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物1〜20重量部、及び、骨材100重量部を含んでなるカラー舗装材。
【選択図】 なし
【解決手段】石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分とする加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物、前記(メタ)アクリル系樹脂は、熱可塑性であり、酸価が10mgKOH/g以上である加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物、前記熱可塑性エラストマーは、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体である加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物、並びに、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物1〜20重量部、及び、骨材100重量部を含んでなるカラー舗装材。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物及びカラー舗装材に関する。より詳しくは、歩道、車道等の着色された道路舗装材に有用な耐久性に優れたカラー舗装用樹脂組成物及びカラー舗装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー舗装材は、カラー舗装用バインダーと骨材等とを混合する際の形態により、常温施工型、加熱混合型及び溶着型の3種類に大別される。常温施工型としては、樹脂すべり止めカラー舗装(EP−N)等のニート工法;カラー舗装用樹脂モルタル(EPM)、透水性舗装用樹脂モルタル(EPM)、樹脂パッチング(CAM)等のモルタル工法;エマルジョン型塗布(EMP)、溶剤型アクリル系塗剤材(SAP)等の塗布工法に分けられる。これらのカラー舗装材は、着色が可能な各種の新しい舗装材として利用できるため、主に歩道、自転車道等軽車両交通用の舗装、カラー舗装用ブロック等の種々の舗装にその用途が広がってきており、また、最近ではバスレーンや交差点等の重車両交通用の舗装にも使用されるようになってきている。
【0003】
このようなカラー舗装材において、常温施工型カラー舗装材は、施工後に熱エポキシ基等の官能基が架橋反応して硬化する場合が多い。例えば、常温施工型カラー舗装材としては、アクリル樹脂を含むカラー舗装用バインダー(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。また、溶着型カラー舗装材としては、例えば、アスファルトの硬化前に溶融状態のアクリル樹脂等の樹脂を溶着して、乾燥固化させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、これらのカラー舗装材は、骨材との密着性や耐久性等の強度の点において、また、道路等への施工後に時間を要することから、作業効率の点においても工夫の余地があった。
【0004】
一方、加熱混合型カラー舗装材は、アスファルト舗装のほとんどがそうであるように、バインダーと骨材とを加熱重合したものを施工して放冷するだけであり、硬化反応は伴わない。従来の加熱混合型カラー舗装材としては、例えば、鉱物質潤滑油抽出物と石油樹脂及び/又はクマロン−インデン樹脂を必須成分とし、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体を任意成分とした着色可能なバインダー組成物(例えば、特許文献3参照。)、石油樹脂、芳香族系重質鉱油、熱可塑性エラストマー、エチレンコポリマー及びワックス性物質を必須成分とするバインダー組成物(例えば、特許文献4参照。)、ジシクロペンタジエン系の石油樹脂を水素化した炭化水素樹脂、芳香族油又はナフテン油、ブライトストック及びスチレン系熱可塑性エラストマーを必須成分とするカラー舗装用バインダー組成物(例えば、特許文献5参照。)、石油樹脂、鉱油及び熱可塑性エラストマーを有するカラー舗装用バインダー(例えば、特許文献6参照。)が開示されている。また、加熱混合による施工、及び、常温施工の両方に対応できるカラー舗装材として、石油樹脂又はクマロン−インデン樹脂、潤滑油、及び、芳香族炭化水素又はフタル酸類のジアルキルエステルを主成分とするカラー舗装用結合材組成物が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、これらのカラー舗装材は、骨材に対する密着力が充分なものではなく、また、近年における交通量の増加、特に重量車両の増加により、高度な耐久性が求められている状況から、骨材との密着性を更に向上させたカラー舗装材が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−12701号公報(第1〜5頁)
【特許文献2】
特開昭52−49633号公報(第1、2頁)
【特許文献3】
特開昭61−97369号公報(第1〜4頁)
【特許文献4】
特開平5−302072号公報(第1、2頁)
【特許文献5】
特開平6−271790号公報(第1頁)
【特許文献6】
特開2000−109698号公報(第1〜3頁)
【特許文献7】
特開昭51−92839号公報(第1頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、カラー舗装用バインダーと骨材との剥離を防止して、密着性及び耐久性を向上させた、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物及びカラー舗装材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々のカラー舗装用樹脂組成物を検討するうち、加熱混合型カラー舗装用バインダーとして(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂組成物を使うことが新規であることに着目し、石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分とし、骨材等との混合時の施工形態が加熱混合型である樹脂組成物とすることにより、骨材密着性を高めて耐久性が優れたカラー舗装を形成することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。このような本発明のカラー舗装用樹脂組成物を加熱混合型として用いることによって、(メタ)アクリル系樹脂を必須とすること、及び、加熱混合型とすることの相乗的な作用により、従来のカラー舗装用樹脂組成物と比べて、骨材との密着性及び耐久性を向上させることが可能となる。更に、(メタ)アクリル系樹脂を、熱可塑性のものとすること、石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合物に相溶するものであること、酸価を10mgKOH/g以上とすること、重量平均分子量を10万以下とすること、シクロへキシルエステル基及び/又は炭素数8以上のアルキルエステル基を有するようにすること、星型重合体とすること、熱可塑性エラストマーをスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体にすること等により、本発明の作用効果がより優れたものとなることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分としてなる加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物である。本発明はまた、上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物1〜20重量部、及び、骨材100重量部を含んでなるカラー舗装材でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物において、加熱混合型であるということは、カラー舗装用樹脂組成物と骨材等とを加熱状態で混合する形態であるということを意味しており、その形態において、本発明におけるカラー舗装用樹脂組成物が有する性質を充分に活かすことができる。例えば、加熱状態で混合することにより、熱可塑性エラストマーや(メタ)アクリル系樹脂が分子レベルで運動し易くなり、他の成分との反応性を高めたり、また骨材との密着性を向上させることができる。そのため、該カラー舗装用樹脂組成物、すなわちカラー舗装用バインダーの骨材密着性が高まり、耐久性が優れた舗装を形成することができる。
【0010】
本発明における石油樹脂としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂及びC5C9共重合石油樹脂が挙げられる。C5系石油樹脂はC5留分を、C9系石油樹脂はC9留分を、C5C9共重合石油樹脂はC5留分及びC9留分を原料として重合した石油樹脂である。またこれらの石油樹脂の代わりに、ジシクロペンタジエン系石油樹脂あるいはテルペン樹脂、フェノール樹脂を用いてもよい。また、上記オイル類としては、植物油、動物油及び各種の鉱物油を用いることができる。鉱物油の例としては、芳香族油、パラフィン油、ナフテン油等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0011】
上記熱可塑性エラストマーとしては、加熱すると塑性変形しやすくなり、常温付近で弾性を示す重合体等の高分子物質を用いることになるが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ジメチルポリシロキサン、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルスチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ジエン系合成ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、フッ化ビニリデン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、メチルスチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、メチルスチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、通常のゴムと比べて分子量が小さく、熱可塑性であり、石油樹脂及びオイル類との相溶性も良い。その立体構造としては、例えば、直鎖状、側鎖型、星型、グラフト体等のいずれであってもよく、特に限定されるものではない。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明においては、機械的物性等を考慮して、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS共重合体)が最も好適に用いられることとなる。
【0012】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系単量体を含有する単量体成分により形成される重合体によって構成される樹脂であり、石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合物に相溶するものであることが好ましい。石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合物に相溶するとは、該混合物と混合したときに析出しないことを意味し、例えば、該混合物100重量部に対して樹脂0.5重量部を混合したときに該混合物から析出しないことが好ましい。なお、石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合割合としては、相溶性を試験する場合、石油樹脂/オイル類/熱可塑性エラストマーの質量割合を30/65/5とすることが好ましい。
本発明においては、(メタ)アクリル系樹脂は、熱可塑性であることが好ましい。熱可塑性樹脂であることにより、骨材等との加熱混合時に分子レベルで運動しやすくなり、骨材等に対する密着性が高くなる。また、熱可塑性樹脂であることは、すなわちエポキシ基、グリシジル基、アミド基等の架橋性官能基を有しないことを意味するため、官能基が架橋反応して樹脂が硬化、析出するのを防ぐことができる。
【0013】
上記(メタ)アクリル系樹脂の酸価は、10mgKOH/g以上であることが好ましい。10mgKOH/g未満であると、カラー舗装材の骨材密着性を向上させる効果が充分とはならないおそれがある。また、上記酸価は、500mgKOH/g以下であることが好ましい。より好ましくは、20mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下であり、更に好ましくは、30mgKOH/g以上、350mgKOH/g以下である。また、酸価を上記範囲内とし、骨材密着性を向上させるために、カルボキシル基を有することが好ましい。
【0014】
上記(メタ)アクリル系樹脂の分子量としては、重量平均分子量が10万以下であることが好ましい。10万を超えると、石油樹脂に溶解しにくくなる。また、1000未満であると、骨材密着性を向上させる効果が充分とはならないおそれがある。より好ましくは、5000以上であり、5万以下である。
本明細書中、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(ゲル浸透クロマトグラフィー、GPC)によって、標準ポリスチレン換算として求められるものを意味する。
【0015】
上記(メタ)アクリル系樹脂を構成する重合体は、単量体の1種又は2種以上を含有する単量体成分を重合することにより得ることができる。単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜30の(メタ)アクリレート類;テトラエチレンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;α−メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル等の不飽和カルボン酸やそのエステル;(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0016】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、シクロへキシルエステル基及び/又は炭素数8以上のアルキルエステル基を有することが好ましい。これにより、(メタ)アクリル系樹脂が石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合物に相溶しやすいものとすることができる。また、アルキルエステル基の炭素数は、30以下であることが好ましい。この場合、(メタ)アクリル系単量体を必須とし、シクロヘキシルエステル基及び/又は炭素数8以上のアルキルエステル基を有する単量体を含有する単量体成分を重合することにより(メタ)アクリル系樹脂を構成する重合体を得ることができる。例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び/又はステアリル(メタ)アクリレートを含有する単量体成分を重合することにより、本発明における(メタ)アクリル系樹脂を構成する重合体を得ることが好ましい。
【0017】
上記(メタ)アクリル系樹脂を構成する重合体においては、それを形成する単量体成分を100重量%とすると、(メタ)アクリル系単量体の含有量を60重量%以上、好ましくは90重量%以上とすることが好ましく、中でも、シクロヘキシルエステル基及び/又は炭素数8以上のアルキルエステル基を有する単量体成分を30重量%以上含むことがより好ましい。更に好ましくは、40重量%以上含むことであり、特に好ましくは、50重量%以上含むことが、最もアスファルトに溶解しやすくなるため好ましい。
【0018】
上記(メタ)アクリル系樹脂の立体構造としては特に限定されず、直鎖状、側鎖型、星型、グラフト体等のいずれの構造でもよい。これらの中でも、星型構造を有する星型重合体が、カラー舗装材の粘度が不必要に増加することがなく、作業性を良好に保ったまま物性を向上させることができるため好ましい。
【0019】
上記星型重合体の製造方法としては特に限定されず、例えば、3個以上のメルカプト基を有する多価メルカプタンの存在下に、メルカプト基を発端として、単量体成分のラジカル重合を行う方法等が挙げられる。
上記多価メルカプタンとしては、3〜6価のメルカプタンである、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物に由来するものであることが好ましい。
【0020】
上記ラジカル重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の通常のラジカル重合方法により行うことができる。この場合、重合温度としては、例えば、30〜200℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。また、ラジカル重合に用いられるラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビスシクロヘキサンカーボニトリル等のアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイル等の過酸化物系重合開始剤等の通常使用されるものを使用することができる。
【0021】
本発明における、上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物を構成する各必須成分の含有量としては、例えば、石油樹脂の含有量は20重量%以上、50重量%以下であり、オイル類の含有量は30重量%以上、80重量%以下、熱可塑性エラストマーの含有量は3重量%以上、15重量%以下、(メタ)アクリル系樹脂の含有量は0.1重量%以上、10重量%以下(いずれも組成物全量基準)であることが好ましい。より好ましくは、石油樹脂の含有量は30重量%以上、35重量%以下であり、オイル類の含有量は55重量%以上、65重量%以下、熱可塑性エラストマーの含有量は4重量%以上、10重量%以下、(メタ)アクリル系樹脂の含有量は0.2重量%以上、5重量%以下である。
【0022】
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物の使用形態としては、固形;エマルジョン;オイル類との混合物;石油樹脂との混合物;酢酸エチル溶液、トルエン溶液等の溶液が挙げられ、中でも、石油樹脂との混合物としての形態が、カラー舗装用樹脂組成物を製造するうえで最も取り扱いやすいので好適である。
【0023】
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、本発明の作用効果を奏する限り、必須成分である、上述の、石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂以外の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。このような必須成分以外の成分としては、例えば、各種ゴム、有機系耐ブロッキング剤、無機系耐ブロッキング剤、剥離防止剤、分散剤、案手剤、酸化防止剤、着色用顔料等が挙げられる。着色用顔料としては、特に限定されないが、例えば、無機顔料である、酸化鉄(赤)、水酸化鉄(黄色)、酸化クロム(緑)、酸化チタン(白)等が好ましい。顔料の添加順序としては、特に限定されず、例えば、カラー舗装用樹脂組成物と骨材等との混合時に添加することが好ましい。顔料の添加量としては、特に限定されず、例えば、0.05重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。
【0024】
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物における物性評価の指標としては、例えば、タフネス・テナシティ、軟化点、60℃粘度、骨材密着性等を用いることができる。タフネス・テナシティは、例えば、社団法人日本道路協会編「舗装試験法便覧」(昭和63年11月発行)p.456−461に記載のタフネス・テナシティ試験方法(JEAAS準拠)に準拠した測定方法により、軟化点は、例えば、日本工業標準調査会、JIS K 2207「石油アスファルト」に記載の「環球法」に準拠した測定方法により、60℃粘度は、例えば、社団法人日本アスファルト協会の規格、JAA−001「石油アスファルト絶対粘度試験方法」に準拠して粘度を測定することにより、骨材密着性は、例えば、石油学会規格、JPI−5S−27「アスファルト被膜のはく離試験方法」に準拠して剥離抵抗性試験を行うことにより、それぞれ評価することができる。
【0025】
これら物性評価の指標の各数値は目的とする舗装によって異なるが、特に改質II型や排水性舗装に用いる場合には、本発明では以下の(1)〜(5)に記載する好ましい数値に範囲に設定することが可能であり、このように設定された加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、耐久性に優れた改質II型用又は排水性舗装用として好適に用いることができる。このような物性評価の指標の好ましい数値範囲に設定された本発明の加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、本発明の好ましい実施形態である。
(1)タフネスは、8〜40N・mであることが好ましい。8N・m未満では柔らかすぎて耐久性不充分となり、40N・mを超えると硬すぎてヒビ割れを生じるおそれがある。より好ましくは20〜40N・mである。
(2)テナシティは、4N・m以上であることが好ましい。4N・m未満だと耐衝撃性が不充分であるおそれがある。より好ましくは15N・m以上である。(3)軟化点は、44℃以上であることが好ましい。44℃未満では耐久性不充分である。より好ましくは56℃以上である。
(4)60度粘度は、100〜200000Pa・sであることが好ましい。100Pa・s未満だと耐流動性が不充分で、200000を超えると作業性が悪い。より好ましくは5000〜100000Pa・sである。
(5)骨材密着性は、剥離面積率10%以下であることが好ましい。10%を超えると骨材が飛散しやすくなる。より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。
【0026】
本発明の加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、上述したように石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分とすることにより本発明の作用効果を奏することになるが、その理由については、次のように説明することができる。まず、オイル類を加えることにより、固体である石油樹脂の軟化点を下げ、反応性を高め、熱可塑性エラストマーにより骨材密着性や弾力性を高める作用を有するようになる。また、(メタ)アクリル系樹脂により骨材密着性(剥離抵抗性)を更に向上させる作用を有するようになる。これらの作用が相乗的に働くことによって、骨材との剥離を防止して密着性を向上させることが可能となる。また、高度な耐久性が求められる各種のカラー舗装、特に排水性カラー舗装を形成するカラー舗装材に好適に用いることが可能となる。
【0027】
上記カラー舗装用樹脂組成物を製造する方法としては、石油樹脂に、オイル、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分として配合したものを混合することにより製造することが好ましい。また、各成分の混合には、プロペラ式攪拌機、ホモミキサー等の各種の攪拌機を使用することができるが、高剪断力をかけることができるホモミキサーを使用することが好ましい。各成分の混合温度としては、例えば、120℃以上、200℃以下であることが好ましい。
【0028】
本発明はまた、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物1〜20重量部、及び、骨材100重量部を含むカラー舗装材でもある。
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物の重量割合が、上記範囲未満であると、骨材把握力が低下し、上記範囲を超えると、骨材のかみ合わせが少なくなるためにカラー舗装材が変形や流動を起こしやすくなる。上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物の骨材への添加量としては、骨材100重量部に対して、2重量部以上、10重量部以下となることが好ましい。より好ましくは、4重量部以上、8重量部以下である。
上記骨材としては特に限定されず、例えば、砕石、鉄鋼スラグ、砂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記カラー舗装材は、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物と骨材とが、上述した重量割合で加熱混合する方法により製造できる。その際の温度としては、例えば、120℃以上、200℃以下であることが好ましい。
上記カラー舗装材の使用形態としては、舗装の表層として使用するのが一般的である。なお、該カラー舗装材は、本発明の作用効果を奏する限り、上述の必須成分以外の成分を1種又は2種以上含んでもよい。このような必須成分以外の成分としては、例えば、石粉、消石灰等のフィラーや上記着色用顔料等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0031】
1.加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物の合成及びカラー舗装材の製造
実施例1
<(メタ)アクリル系樹脂(1)の製造>
[開始剤溶液(1)の調製]
ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート6.0重量部、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1.2重量部及び酢酸エチル30.0重量部を混合し、滴下ロートに仕込んで、開始剤溶液(1)とした。
【0032】
[重合]
容量2Lのフラスコに、シクロヘキシルメタクリレート180重量部、ステアリルアクリレート105重量部、アクリル酸15重量部及び酢酸エチル270重量部を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら90℃の湯浴で加熱した。内部の温度がほぼ一定になったところで、開始剤溶液(1)の3分の1を滴下して重合を開始させた。重合開始40分後及び90分に開始剤溶液(1)の3分の1ずつを滴下し、更に重合を進行させた。重合開始240分後に冷却し、重合を終了させ、重量平均分子量30000の(メタ)アクリル系樹脂(1)溶液を得た。
[乾燥]
(メタ)アクリル系樹脂(1)溶液を180℃の減圧乾燥機で完全に乾燥させ、冷却後に粉砕して、フレーク状の(メタ)アクリル系樹脂(1)を得た。
[理論酸価の計算]
理論酸価(mgKOH/g)=1×アクリル酸含有割合÷100÷アクリル酸分子量×56×1000
=1×5÷100÷72÷56×1000
=38.9
<工程▲1▼:石油樹脂+オイル類+(メタ)アクリル系樹脂の混合>
石油樹脂(新日本石油化学社製の「ネオポリマー170」)、オイル類(新日本石油社製「コウモレックス700」)、及び、(メタ)アクリル系樹脂(1)の各成分を表1に示す割合で配合し、190℃のオイルバス中でホモミキサー(混合回転数;3000rpm)を用いて30分間混合し、混合物(1)を得た。なお、混合前後における配合物の総質量は、285gであった。
<工程▲2▼:熱可塑性エラストマー(SBS)の混合>
工程▲1▼で得た混合物(1)285gにSBS(クレイトンポリマージャパン社製の「クレイトンD−1184」)15gを加え、190℃のオイルバス中でホモミキサー(混合回転数;5000rpm)を用いて60分間混合し、工程▲2▼での無着色の本発明の樹脂組成物(1)を得た。
<工程▲3▼:着色剤(鉄黒)の混合>
工程▲2▼で得た本発明の樹脂組成物(1)100gに着色剤(大同化成工業社製の鉄黒(四酸化三鉄、Fe3O4))10gを加え、190℃のオイルバス中でホモミキサー(混合回転数;5000rpm)を用いて10分間混合し、工程▲3▼での着色した本発明の樹脂組成物(1)を得た。
<工程▲4▼:骨材の混合>
170℃のオーブンで加熱した骨材(6号砕石)100重量部と着色した本発明の樹脂組成物(1)5.5重量部を、金属容器中で金属ヘラを用いて1分間混合し、本発明のカラー舗装材(1)を得た。
【0033】
実施例2
実施例1と同様にして、表1に示す配合割合で石油樹脂(新日本石油化学社製の「ネオポリマー150S」)、オイル類(新日本石油社製「コウモレックス700」)、(メタ)アクリル系樹脂(1)、及び、熱可塑性エラストマー(SBS、クレイトンポリマージャパン社製の「クレイトンD−1101」)の各成分を表1に示す割合で配合し、工程▲2▼での無着色の本発明の樹脂組成物(2)を得た後、着色剤(大同化成工業社製の鉄黒(四酸化三鉄、Fe3O4))を加え、工程▲3▼での着色した本発明の樹脂組成物(2)を得た後、更に、工程▲4▼で骨材(6号砕石)を加えて本発明のカラー舗装材(2)を得た。
【0034】
比較例1〜2
実施例1と同様にして、表1に示す配合割合で石油樹脂(新日本石油化学社製の「ネオポリマー170S」又は「ネオポリマー150」)、オイル類(新日本石油社製の「コウモレックス700」)、及び、熱可塑性エラストマー(SBS、クレイトンポリマージャパン社製の「クレイトンD−1184」又は「クレイトンD−1101」)の各成分を表1に示す割合で配合し、工程▲2▼での無着色の比較樹脂組成物(1)又は(2)を得た後、着色剤(大同化成工業社製の鉄黒(四酸化三鉄、Fe3O4))を加え、工程▲3▼で着色した比較樹脂組成物(1)又は(2)を得た後、更に、工程▲4▼で骨材(6号砕石)を加えて比較カラー舗装材(1)又は(2)を得た。
【0035】
【表1】
【0036】
2.樹脂組成物の物性評価
工程▲2▼で得た無着色の樹脂組成物について、下記のごとく、タフネス・テナシティ、軟化点及び60℃粘度の測定を行った。結果を表2に示す。
[タフネス・テナシティの測定]
無着色の樹脂組成物の骨材把握力を示すタフネスと、粘結力を示すテナシティとを、社団法人日本道路協会編「舗装試験法便覧」(昭和63年11月発行)に記載されている「タフネス・テナシティ試験方法」に準じて測定した。
【0037】
[軟化点の測定]
無着色の樹脂組成物の軟化温度を示す軟化点を、日本工業標準調査会、JIS K 2207「石油アスファルト」に記載の「環球法」に準じて測定した。
【0038】
[60℃粘度の測定]
無着色の樹脂組成物の耐流動性及び作業性の指標となる60℃粘度を、社団法人日本アスファルト協会の規格、JAA−001「石油アスファルト絶対粘度試験方法」に準じて測定した。
【0039】
工程▲4▼で得たカラー舗装材について、下記のごとく、剥離面積率の測定を行った。結果を表2に示す。
[剥離面積率の測定]
着色した樹脂組成物の骨材密着性を評価するため、アスファルト被膜の骨材からの剥離面積率の測定を、石油学会規格、JPI−5S−27「アスファルト被膜のはく離試験方法」に準じて行った。ただし、この試験方法では目視で剥離面積率を判定するとされているが、評価の精度を高めるため、試験後の骨材の写真をコンピューターで読み込み、画像処理ソフトを用いて骨材全体及び剥離部分の面積をそれぞれ求めることによって算出した。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例1の樹脂組成物は、タフネス及びテナシティが改質II型バインダーの規格値と排水性カラー舗装用バインダーの規格値を満たしており、非常に優れた骨材把握力と粘結力をもつバインダーであることは明らかである。更に、本発明の(メタ)アクリル系樹脂を含有する実施例1のカラー舗装材(1)では、比較例1の比較カラー舗装材(1)と比較して剥離面積率が著しく減少しており、樹脂組成物(1)の密着性が向上していることは明らかである。また同様に、本発明の(メタ)アクリル系樹脂を含有する実施例2のカラー舗装材(2)では、比較例2の比較カラー舗装材(2)と比較して剥離面積率が著しく減少しており、樹脂組成物の密着性が向上していることは明らかである。
【0042】
【発明の効果】
本発明の加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、上述のような構成からなるため、カラー舗装用バインダーと骨材との剥離を防止して、密着性及び耐久性を向上することが可能であり、高度な耐久性が求められる各種のカラー舗装、特に改質II型又は排水性カラー舗装を形成するカラー舗装材に好適に用いることができるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物及びカラー舗装材に関する。より詳しくは、歩道、車道等の着色された道路舗装材に有用な耐久性に優れたカラー舗装用樹脂組成物及びカラー舗装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー舗装材は、カラー舗装用バインダーと骨材等とを混合する際の形態により、常温施工型、加熱混合型及び溶着型の3種類に大別される。常温施工型としては、樹脂すべり止めカラー舗装(EP−N)等のニート工法;カラー舗装用樹脂モルタル(EPM)、透水性舗装用樹脂モルタル(EPM)、樹脂パッチング(CAM)等のモルタル工法;エマルジョン型塗布(EMP)、溶剤型アクリル系塗剤材(SAP)等の塗布工法に分けられる。これらのカラー舗装材は、着色が可能な各種の新しい舗装材として利用できるため、主に歩道、自転車道等軽車両交通用の舗装、カラー舗装用ブロック等の種々の舗装にその用途が広がってきており、また、最近ではバスレーンや交差点等の重車両交通用の舗装にも使用されるようになってきている。
【0003】
このようなカラー舗装材において、常温施工型カラー舗装材は、施工後に熱エポキシ基等の官能基が架橋反応して硬化する場合が多い。例えば、常温施工型カラー舗装材としては、アクリル樹脂を含むカラー舗装用バインダー(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。また、溶着型カラー舗装材としては、例えば、アスファルトの硬化前に溶融状態のアクリル樹脂等の樹脂を溶着して、乾燥固化させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、これらのカラー舗装材は、骨材との密着性や耐久性等の強度の点において、また、道路等への施工後に時間を要することから、作業効率の点においても工夫の余地があった。
【0004】
一方、加熱混合型カラー舗装材は、アスファルト舗装のほとんどがそうであるように、バインダーと骨材とを加熱重合したものを施工して放冷するだけであり、硬化反応は伴わない。従来の加熱混合型カラー舗装材としては、例えば、鉱物質潤滑油抽出物と石油樹脂及び/又はクマロン−インデン樹脂を必須成分とし、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体を任意成分とした着色可能なバインダー組成物(例えば、特許文献3参照。)、石油樹脂、芳香族系重質鉱油、熱可塑性エラストマー、エチレンコポリマー及びワックス性物質を必須成分とするバインダー組成物(例えば、特許文献4参照。)、ジシクロペンタジエン系の石油樹脂を水素化した炭化水素樹脂、芳香族油又はナフテン油、ブライトストック及びスチレン系熱可塑性エラストマーを必須成分とするカラー舗装用バインダー組成物(例えば、特許文献5参照。)、石油樹脂、鉱油及び熱可塑性エラストマーを有するカラー舗装用バインダー(例えば、特許文献6参照。)が開示されている。また、加熱混合による施工、及び、常温施工の両方に対応できるカラー舗装材として、石油樹脂又はクマロン−インデン樹脂、潤滑油、及び、芳香族炭化水素又はフタル酸類のジアルキルエステルを主成分とするカラー舗装用結合材組成物が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、これらのカラー舗装材は、骨材に対する密着力が充分なものではなく、また、近年における交通量の増加、特に重量車両の増加により、高度な耐久性が求められている状況から、骨材との密着性を更に向上させたカラー舗装材が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−12701号公報(第1〜5頁)
【特許文献2】
特開昭52−49633号公報(第1、2頁)
【特許文献3】
特開昭61−97369号公報(第1〜4頁)
【特許文献4】
特開平5−302072号公報(第1、2頁)
【特許文献5】
特開平6−271790号公報(第1頁)
【特許文献6】
特開2000−109698号公報(第1〜3頁)
【特許文献7】
特開昭51−92839号公報(第1頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、カラー舗装用バインダーと骨材との剥離を防止して、密着性及び耐久性を向上させた、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物及びカラー舗装材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々のカラー舗装用樹脂組成物を検討するうち、加熱混合型カラー舗装用バインダーとして(メタ)アクリル系樹脂を含む樹脂組成物を使うことが新規であることに着目し、石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分とし、骨材等との混合時の施工形態が加熱混合型である樹脂組成物とすることにより、骨材密着性を高めて耐久性が優れたカラー舗装を形成することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。このような本発明のカラー舗装用樹脂組成物を加熱混合型として用いることによって、(メタ)アクリル系樹脂を必須とすること、及び、加熱混合型とすることの相乗的な作用により、従来のカラー舗装用樹脂組成物と比べて、骨材との密着性及び耐久性を向上させることが可能となる。更に、(メタ)アクリル系樹脂を、熱可塑性のものとすること、石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合物に相溶するものであること、酸価を10mgKOH/g以上とすること、重量平均分子量を10万以下とすること、シクロへキシルエステル基及び/又は炭素数8以上のアルキルエステル基を有するようにすること、星型重合体とすること、熱可塑性エラストマーをスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体にすること等により、本発明の作用効果がより優れたものとなることも見いだし、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分としてなる加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物である。本発明はまた、上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物1〜20重量部、及び、骨材100重量部を含んでなるカラー舗装材でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物において、加熱混合型であるということは、カラー舗装用樹脂組成物と骨材等とを加熱状態で混合する形態であるということを意味しており、その形態において、本発明におけるカラー舗装用樹脂組成物が有する性質を充分に活かすことができる。例えば、加熱状態で混合することにより、熱可塑性エラストマーや(メタ)アクリル系樹脂が分子レベルで運動し易くなり、他の成分との反応性を高めたり、また骨材との密着性を向上させることができる。そのため、該カラー舗装用樹脂組成物、すなわちカラー舗装用バインダーの骨材密着性が高まり、耐久性が優れた舗装を形成することができる。
【0010】
本発明における石油樹脂としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂及びC5C9共重合石油樹脂が挙げられる。C5系石油樹脂はC5留分を、C9系石油樹脂はC9留分を、C5C9共重合石油樹脂はC5留分及びC9留分を原料として重合した石油樹脂である。またこれらの石油樹脂の代わりに、ジシクロペンタジエン系石油樹脂あるいはテルペン樹脂、フェノール樹脂を用いてもよい。また、上記オイル類としては、植物油、動物油及び各種の鉱物油を用いることができる。鉱物油の例としては、芳香族油、パラフィン油、ナフテン油等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0011】
上記熱可塑性エラストマーとしては、加熱すると塑性変形しやすくなり、常温付近で弾性を示す重合体等の高分子物質を用いることになるが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ジメチルポリシロキサン、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルスチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ジエン系合成ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、フッ化ビニリデン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、メチルスチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、メチルスチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、通常のゴムと比べて分子量が小さく、熱可塑性であり、石油樹脂及びオイル類との相溶性も良い。その立体構造としては、例えば、直鎖状、側鎖型、星型、グラフト体等のいずれであってもよく、特に限定されるものではない。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明においては、機械的物性等を考慮して、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS共重合体)が最も好適に用いられることとなる。
【0012】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系単量体を含有する単量体成分により形成される重合体によって構成される樹脂であり、石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合物に相溶するものであることが好ましい。石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合物に相溶するとは、該混合物と混合したときに析出しないことを意味し、例えば、該混合物100重量部に対して樹脂0.5重量部を混合したときに該混合物から析出しないことが好ましい。なお、石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合割合としては、相溶性を試験する場合、石油樹脂/オイル類/熱可塑性エラストマーの質量割合を30/65/5とすることが好ましい。
本発明においては、(メタ)アクリル系樹脂は、熱可塑性であることが好ましい。熱可塑性樹脂であることにより、骨材等との加熱混合時に分子レベルで運動しやすくなり、骨材等に対する密着性が高くなる。また、熱可塑性樹脂であることは、すなわちエポキシ基、グリシジル基、アミド基等の架橋性官能基を有しないことを意味するため、官能基が架橋反応して樹脂が硬化、析出するのを防ぐことができる。
【0013】
上記(メタ)アクリル系樹脂の酸価は、10mgKOH/g以上であることが好ましい。10mgKOH/g未満であると、カラー舗装材の骨材密着性を向上させる効果が充分とはならないおそれがある。また、上記酸価は、500mgKOH/g以下であることが好ましい。より好ましくは、20mgKOH/g以上、400mgKOH/g以下であり、更に好ましくは、30mgKOH/g以上、350mgKOH/g以下である。また、酸価を上記範囲内とし、骨材密着性を向上させるために、カルボキシル基を有することが好ましい。
【0014】
上記(メタ)アクリル系樹脂の分子量としては、重量平均分子量が10万以下であることが好ましい。10万を超えると、石油樹脂に溶解しにくくなる。また、1000未満であると、骨材密着性を向上させる効果が充分とはならないおそれがある。より好ましくは、5000以上であり、5万以下である。
本明細書中、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(ゲル浸透クロマトグラフィー、GPC)によって、標準ポリスチレン換算として求められるものを意味する。
【0015】
上記(メタ)アクリル系樹脂を構成する重合体は、単量体の1種又は2種以上を含有する単量体成分を重合することにより得ることができる。単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜30の(メタ)アクリレート類;テトラエチレンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;α−メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル等の不飽和カルボン酸やそのエステル;(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0016】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、シクロへキシルエステル基及び/又は炭素数8以上のアルキルエステル基を有することが好ましい。これにより、(メタ)アクリル系樹脂が石油樹脂、オイル類及び熱可塑性エラストマーの混合物に相溶しやすいものとすることができる。また、アルキルエステル基の炭素数は、30以下であることが好ましい。この場合、(メタ)アクリル系単量体を必須とし、シクロヘキシルエステル基及び/又は炭素数8以上のアルキルエステル基を有する単量体を含有する単量体成分を重合することにより(メタ)アクリル系樹脂を構成する重合体を得ることができる。例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び/又はステアリル(メタ)アクリレートを含有する単量体成分を重合することにより、本発明における(メタ)アクリル系樹脂を構成する重合体を得ることが好ましい。
【0017】
上記(メタ)アクリル系樹脂を構成する重合体においては、それを形成する単量体成分を100重量%とすると、(メタ)アクリル系単量体の含有量を60重量%以上、好ましくは90重量%以上とすることが好ましく、中でも、シクロヘキシルエステル基及び/又は炭素数8以上のアルキルエステル基を有する単量体成分を30重量%以上含むことがより好ましい。更に好ましくは、40重量%以上含むことであり、特に好ましくは、50重量%以上含むことが、最もアスファルトに溶解しやすくなるため好ましい。
【0018】
上記(メタ)アクリル系樹脂の立体構造としては特に限定されず、直鎖状、側鎖型、星型、グラフト体等のいずれの構造でもよい。これらの中でも、星型構造を有する星型重合体が、カラー舗装材の粘度が不必要に増加することがなく、作業性を良好に保ったまま物性を向上させることができるため好ましい。
【0019】
上記星型重合体の製造方法としては特に限定されず、例えば、3個以上のメルカプト基を有する多価メルカプタンの存在下に、メルカプト基を発端として、単量体成分のラジカル重合を行う方法等が挙げられる。
上記多価メルカプタンとしては、3〜6価のメルカプタンである、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物に由来するものであることが好ましい。
【0020】
上記ラジカル重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の通常のラジカル重合方法により行うことができる。この場合、重合温度としては、例えば、30〜200℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。また、ラジカル重合に用いられるラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビスシクロヘキサンカーボニトリル等のアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイル等の過酸化物系重合開始剤等の通常使用されるものを使用することができる。
【0021】
本発明における、上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物を構成する各必須成分の含有量としては、例えば、石油樹脂の含有量は20重量%以上、50重量%以下であり、オイル類の含有量は30重量%以上、80重量%以下、熱可塑性エラストマーの含有量は3重量%以上、15重量%以下、(メタ)アクリル系樹脂の含有量は0.1重量%以上、10重量%以下(いずれも組成物全量基準)であることが好ましい。より好ましくは、石油樹脂の含有量は30重量%以上、35重量%以下であり、オイル類の含有量は55重量%以上、65重量%以下、熱可塑性エラストマーの含有量は4重量%以上、10重量%以下、(メタ)アクリル系樹脂の含有量は0.2重量%以上、5重量%以下である。
【0022】
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物の使用形態としては、固形;エマルジョン;オイル類との混合物;石油樹脂との混合物;酢酸エチル溶液、トルエン溶液等の溶液が挙げられ、中でも、石油樹脂との混合物としての形態が、カラー舗装用樹脂組成物を製造するうえで最も取り扱いやすいので好適である。
【0023】
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、本発明の作用効果を奏する限り、必須成分である、上述の、石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂以外の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。このような必須成分以外の成分としては、例えば、各種ゴム、有機系耐ブロッキング剤、無機系耐ブロッキング剤、剥離防止剤、分散剤、案手剤、酸化防止剤、着色用顔料等が挙げられる。着色用顔料としては、特に限定されないが、例えば、無機顔料である、酸化鉄(赤)、水酸化鉄(黄色)、酸化クロム(緑)、酸化チタン(白)等が好ましい。顔料の添加順序としては、特に限定されず、例えば、カラー舗装用樹脂組成物と骨材等との混合時に添加することが好ましい。顔料の添加量としては、特に限定されず、例えば、0.05重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。
【0024】
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物における物性評価の指標としては、例えば、タフネス・テナシティ、軟化点、60℃粘度、骨材密着性等を用いることができる。タフネス・テナシティは、例えば、社団法人日本道路協会編「舗装試験法便覧」(昭和63年11月発行)p.456−461に記載のタフネス・テナシティ試験方法(JEAAS準拠)に準拠した測定方法により、軟化点は、例えば、日本工業標準調査会、JIS K 2207「石油アスファルト」に記載の「環球法」に準拠した測定方法により、60℃粘度は、例えば、社団法人日本アスファルト協会の規格、JAA−001「石油アスファルト絶対粘度試験方法」に準拠して粘度を測定することにより、骨材密着性は、例えば、石油学会規格、JPI−5S−27「アスファルト被膜のはく離試験方法」に準拠して剥離抵抗性試験を行うことにより、それぞれ評価することができる。
【0025】
これら物性評価の指標の各数値は目的とする舗装によって異なるが、特に改質II型や排水性舗装に用いる場合には、本発明では以下の(1)〜(5)に記載する好ましい数値に範囲に設定することが可能であり、このように設定された加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、耐久性に優れた改質II型用又は排水性舗装用として好適に用いることができる。このような物性評価の指標の好ましい数値範囲に設定された本発明の加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、本発明の好ましい実施形態である。
(1)タフネスは、8〜40N・mであることが好ましい。8N・m未満では柔らかすぎて耐久性不充分となり、40N・mを超えると硬すぎてヒビ割れを生じるおそれがある。より好ましくは20〜40N・mである。
(2)テナシティは、4N・m以上であることが好ましい。4N・m未満だと耐衝撃性が不充分であるおそれがある。より好ましくは15N・m以上である。(3)軟化点は、44℃以上であることが好ましい。44℃未満では耐久性不充分である。より好ましくは56℃以上である。
(4)60度粘度は、100〜200000Pa・sであることが好ましい。100Pa・s未満だと耐流動性が不充分で、200000を超えると作業性が悪い。より好ましくは5000〜100000Pa・sである。
(5)骨材密着性は、剥離面積率10%以下であることが好ましい。10%を超えると骨材が飛散しやすくなる。より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。
【0026】
本発明の加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、上述したように石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分とすることにより本発明の作用効果を奏することになるが、その理由については、次のように説明することができる。まず、オイル類を加えることにより、固体である石油樹脂の軟化点を下げ、反応性を高め、熱可塑性エラストマーにより骨材密着性や弾力性を高める作用を有するようになる。また、(メタ)アクリル系樹脂により骨材密着性(剥離抵抗性)を更に向上させる作用を有するようになる。これらの作用が相乗的に働くことによって、骨材との剥離を防止して密着性を向上させることが可能となる。また、高度な耐久性が求められる各種のカラー舗装、特に排水性カラー舗装を形成するカラー舗装材に好適に用いることが可能となる。
【0027】
上記カラー舗装用樹脂組成物を製造する方法としては、石油樹脂に、オイル、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分として配合したものを混合することにより製造することが好ましい。また、各成分の混合には、プロペラ式攪拌機、ホモミキサー等の各種の攪拌機を使用することができるが、高剪断力をかけることができるホモミキサーを使用することが好ましい。各成分の混合温度としては、例えば、120℃以上、200℃以下であることが好ましい。
【0028】
本発明はまた、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物1〜20重量部、及び、骨材100重量部を含むカラー舗装材でもある。
上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物の重量割合が、上記範囲未満であると、骨材把握力が低下し、上記範囲を超えると、骨材のかみ合わせが少なくなるためにカラー舗装材が変形や流動を起こしやすくなる。上記加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物の骨材への添加量としては、骨材100重量部に対して、2重量部以上、10重量部以下となることが好ましい。より好ましくは、4重量部以上、8重量部以下である。
上記骨材としては特に限定されず、例えば、砕石、鉄鋼スラグ、砂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記カラー舗装材は、加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物と骨材とが、上述した重量割合で加熱混合する方法により製造できる。その際の温度としては、例えば、120℃以上、200℃以下であることが好ましい。
上記カラー舗装材の使用形態としては、舗装の表層として使用するのが一般的である。なお、該カラー舗装材は、本発明の作用効果を奏する限り、上述の必須成分以外の成分を1種又は2種以上含んでもよい。このような必須成分以外の成分としては、例えば、石粉、消石灰等のフィラーや上記着色用顔料等が挙げられる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0031】
1.加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物の合成及びカラー舗装材の製造
実施例1
<(メタ)アクリル系樹脂(1)の製造>
[開始剤溶液(1)の調製]
ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート6.0重量部、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1.2重量部及び酢酸エチル30.0重量部を混合し、滴下ロートに仕込んで、開始剤溶液(1)とした。
【0032】
[重合]
容量2Lのフラスコに、シクロヘキシルメタクリレート180重量部、ステアリルアクリレート105重量部、アクリル酸15重量部及び酢酸エチル270重量部を仕込み、窒素雰囲気下、攪拌しながら90℃の湯浴で加熱した。内部の温度がほぼ一定になったところで、開始剤溶液(1)の3分の1を滴下して重合を開始させた。重合開始40分後及び90分に開始剤溶液(1)の3分の1ずつを滴下し、更に重合を進行させた。重合開始240分後に冷却し、重合を終了させ、重量平均分子量30000の(メタ)アクリル系樹脂(1)溶液を得た。
[乾燥]
(メタ)アクリル系樹脂(1)溶液を180℃の減圧乾燥機で完全に乾燥させ、冷却後に粉砕して、フレーク状の(メタ)アクリル系樹脂(1)を得た。
[理論酸価の計算]
理論酸価(mgKOH/g)=1×アクリル酸含有割合÷100÷アクリル酸分子量×56×1000
=1×5÷100÷72÷56×1000
=38.9
<工程▲1▼:石油樹脂+オイル類+(メタ)アクリル系樹脂の混合>
石油樹脂(新日本石油化学社製の「ネオポリマー170」)、オイル類(新日本石油社製「コウモレックス700」)、及び、(メタ)アクリル系樹脂(1)の各成分を表1に示す割合で配合し、190℃のオイルバス中でホモミキサー(混合回転数;3000rpm)を用いて30分間混合し、混合物(1)を得た。なお、混合前後における配合物の総質量は、285gであった。
<工程▲2▼:熱可塑性エラストマー(SBS)の混合>
工程▲1▼で得た混合物(1)285gにSBS(クレイトンポリマージャパン社製の「クレイトンD−1184」)15gを加え、190℃のオイルバス中でホモミキサー(混合回転数;5000rpm)を用いて60分間混合し、工程▲2▼での無着色の本発明の樹脂組成物(1)を得た。
<工程▲3▼:着色剤(鉄黒)の混合>
工程▲2▼で得た本発明の樹脂組成物(1)100gに着色剤(大同化成工業社製の鉄黒(四酸化三鉄、Fe3O4))10gを加え、190℃のオイルバス中でホモミキサー(混合回転数;5000rpm)を用いて10分間混合し、工程▲3▼での着色した本発明の樹脂組成物(1)を得た。
<工程▲4▼:骨材の混合>
170℃のオーブンで加熱した骨材(6号砕石)100重量部と着色した本発明の樹脂組成物(1)5.5重量部を、金属容器中で金属ヘラを用いて1分間混合し、本発明のカラー舗装材(1)を得た。
【0033】
実施例2
実施例1と同様にして、表1に示す配合割合で石油樹脂(新日本石油化学社製の「ネオポリマー150S」)、オイル類(新日本石油社製「コウモレックス700」)、(メタ)アクリル系樹脂(1)、及び、熱可塑性エラストマー(SBS、クレイトンポリマージャパン社製の「クレイトンD−1101」)の各成分を表1に示す割合で配合し、工程▲2▼での無着色の本発明の樹脂組成物(2)を得た後、着色剤(大同化成工業社製の鉄黒(四酸化三鉄、Fe3O4))を加え、工程▲3▼での着色した本発明の樹脂組成物(2)を得た後、更に、工程▲4▼で骨材(6号砕石)を加えて本発明のカラー舗装材(2)を得た。
【0034】
比較例1〜2
実施例1と同様にして、表1に示す配合割合で石油樹脂(新日本石油化学社製の「ネオポリマー170S」又は「ネオポリマー150」)、オイル類(新日本石油社製の「コウモレックス700」)、及び、熱可塑性エラストマー(SBS、クレイトンポリマージャパン社製の「クレイトンD−1184」又は「クレイトンD−1101」)の各成分を表1に示す割合で配合し、工程▲2▼での無着色の比較樹脂組成物(1)又は(2)を得た後、着色剤(大同化成工業社製の鉄黒(四酸化三鉄、Fe3O4))を加え、工程▲3▼で着色した比較樹脂組成物(1)又は(2)を得た後、更に、工程▲4▼で骨材(6号砕石)を加えて比較カラー舗装材(1)又は(2)を得た。
【0035】
【表1】
【0036】
2.樹脂組成物の物性評価
工程▲2▼で得た無着色の樹脂組成物について、下記のごとく、タフネス・テナシティ、軟化点及び60℃粘度の測定を行った。結果を表2に示す。
[タフネス・テナシティの測定]
無着色の樹脂組成物の骨材把握力を示すタフネスと、粘結力を示すテナシティとを、社団法人日本道路協会編「舗装試験法便覧」(昭和63年11月発行)に記載されている「タフネス・テナシティ試験方法」に準じて測定した。
【0037】
[軟化点の測定]
無着色の樹脂組成物の軟化温度を示す軟化点を、日本工業標準調査会、JIS K 2207「石油アスファルト」に記載の「環球法」に準じて測定した。
【0038】
[60℃粘度の測定]
無着色の樹脂組成物の耐流動性及び作業性の指標となる60℃粘度を、社団法人日本アスファルト協会の規格、JAA−001「石油アスファルト絶対粘度試験方法」に準じて測定した。
【0039】
工程▲4▼で得たカラー舗装材について、下記のごとく、剥離面積率の測定を行った。結果を表2に示す。
[剥離面積率の測定]
着色した樹脂組成物の骨材密着性を評価するため、アスファルト被膜の骨材からの剥離面積率の測定を、石油学会規格、JPI−5S−27「アスファルト被膜のはく離試験方法」に準じて行った。ただし、この試験方法では目視で剥離面積率を判定するとされているが、評価の精度を高めるため、試験後の骨材の写真をコンピューターで読み込み、画像処理ソフトを用いて骨材全体及び剥離部分の面積をそれぞれ求めることによって算出した。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例1の樹脂組成物は、タフネス及びテナシティが改質II型バインダーの規格値と排水性カラー舗装用バインダーの規格値を満たしており、非常に優れた骨材把握力と粘結力をもつバインダーであることは明らかである。更に、本発明の(メタ)アクリル系樹脂を含有する実施例1のカラー舗装材(1)では、比較例1の比較カラー舗装材(1)と比較して剥離面積率が著しく減少しており、樹脂組成物(1)の密着性が向上していることは明らかである。また同様に、本発明の(メタ)アクリル系樹脂を含有する実施例2のカラー舗装材(2)では、比較例2の比較カラー舗装材(2)と比較して剥離面積率が著しく減少しており、樹脂組成物の密着性が向上していることは明らかである。
【0042】
【発明の効果】
本発明の加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物は、上述のような構成からなるため、カラー舗装用バインダーと骨材との剥離を防止して、密着性及び耐久性を向上することが可能であり、高度な耐久性が求められる各種のカラー舗装、特に改質II型又は排水性カラー舗装を形成するカラー舗装材に好適に用いることができるものである。
Claims (4)
- 石油樹脂、オイル類、熱可塑性エラストマー及び(メタ)アクリル系樹脂を必須成分とする
ことを特徴とする加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物。 - 前記(メタ)アクリル系樹脂は、熱可塑性であり、酸価が10mgKOH/g以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物。 - 前記熱可塑性エラストマーは、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体である
請求項1又は2に記載の加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物1〜20重量部、及び、骨材100重量部を含んでなる
ことを特徴とするカラー舗装材。
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JP2003092637A JP2004300207A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 新規加熱混合型カラー舗装用樹脂組成物及びカラー舗装材 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006249704A (ja) * | 2005-03-09 | 2006-09-21 | Nichireki Co Ltd | 舗装用カラークラックシール材 |
WO2009071653A1 (en) * | 2007-12-07 | 2009-06-11 | Shell Internationale Research Maatschappij B.V. | Binder composition and asphalt mixture |
US8513338B2 (en) | 2009-05-07 | 2013-08-20 | Shell Oil Company | Binder composition and asphalt mixture |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003092637A patent/JP2004300207A/ja active Pending
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WO2009071653A1 (en) * | 2007-12-07 | 2009-06-11 | Shell Internationale Research Maatschappij B.V. | Binder composition and asphalt mixture |
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