JP2004299236A - 画像記録装置及び画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光硬化型のインクを用いて画像記録を行う際に、記録媒体の種類やインク硬化の行われる環境条件に関わらず高画質の画像を得ることの画像記録装置を提供する。
【解決手段】光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体P上に吐出させる記録ヘッド6,6…と、記録媒体P上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる紫外線照射装置7,7とを備えてなる画像記録装置1において、少なくとも記録ヘッド6,6…の移動範囲を覆うチャンバ9を設けるとともに、チャンバ9内の温度または湿度のうち少なくとも一方を調整する空調機構12を設け、空調機構12を制御する制御部14を備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体P上に吐出させる記録ヘッド6,6…と、記録媒体P上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる紫外線照射装置7,7とを備えてなる画像記録装置1において、少なくとも記録ヘッド6,6…の移動範囲を覆うチャンバ9を設けるとともに、チャンバ9内の温度または湿度のうち少なくとも一方を調整する空調機構12を設け、空調機構12を制御する制御部14を備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像記録装置及び画像記録方法に係り、特に、光硬化型のインクを用いて画像記録を行う画像記録装置及び画像記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、少量多品種の需要に対して臨機応変に対応できる画像記録装置として、従来よりインクジェット方式の画像記録装置が知られている。インクジェット方式の画像記録装置は、記録ヘッドの記録媒体に対向する面に設けられたノズルからインクを吐出して記録媒体上に着弾、定着させることにより記録媒体に画像を記録するものであり、騒音が少なく多色のインクを用いることによってカラーでの画像記録も容易に行うことができるという特徴を有している。また、従来のグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式による画像記録手段と異なって製版工程を必要としないため少量の需要にも簡易に対応することが可能であるという長所がある。しかしながら、一般的なインクジェット画像記録装置の場合には、記録媒体上でインクが滲み易いため、インク吸収性のよい記録媒体にしか画像記録を行うことができず、樹脂フィルム等のインク吸収性の低い記録媒体や金属等のインク吸収性の全くない記録媒体に対して画像記録を行うことはきわめて難しいという問題があった。
【0003】
これに対し、様々な記録媒体に画像を形成することのできる手段として、近年、紫外線硬化インクを用いたインクジェット画像記録装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。これは、紫外線に対して所定の感度を有する光開始剤が含有された紫外線硬化インクを用い、記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射することで、インクを硬化させ記録媒体上に定着させるものであり、普通紙はもとより、インク吸収性の全くないプラスチックや金属等の記録媒体に対しても画像記録を行うことが可能である。
【0004】
しかし、このように多様な種類の記録媒体上にインクを吐出させた場合、それぞれの記録媒体の表面特性の違いによって、着弾したインクの記録媒体上での広がり方が大きく異なる。また、光硬化型のインクは、種々の環境条件によって硬化の速度が変動するという性質がある。そして、これらのインクの広がり方や硬化速度の変動は、記録された画像の画質に影響を与えるため、これらインクの変動要因を無視して画像記録を行った場合には安定した画像を得ることができない。従って、様々な条件において希望の出力画質を維持するためには、外気の諸条件を把握して画像記録条件をそれに合わせて最適化することが必要である。この点、画像記録条件を最適化する手段としては、外気の温度・湿度を検出してそれに基づく制御を行うことが考えられ、近時は、外気湿度を検出し、必要に応じてインク吐出後に加熱することによって画像記録条件の最適化を図る画像記録装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−186725号公報
【特許文献2】
特開2001−158865号公報
【特許文献3】
特開2001−131452号公報
【特許文献4】
特開2002−137375号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光硬化型インクの硬化は、温度及び湿度の双方によって影響を受けるものであり、例えば同じ相対湿度であっても、気温が異なれば硬化速度が異なる場合もある。また、光硬化型のインクは、低温、高湿の硬化しにくい条件下で硬化するとつや感のある画質の画像を形成し、高温、低湿の硬化しやすい条件下で硬化するとマット調の画質の画像を形成するという特色がある。そのため、温度及び湿度が一定しない条件下では、インクを効率よく硬化させることができないとともに、希望に沿う画質の画像を安定的に得ることができないとの問題があった。
【0007】
そこで、本発明は以上のような課題を解決すべくなされたものであり、光硬化型のインクを用いて画像記録を行う際に、記録媒体の種類やインク硬化の行われる環境条件に関わらず高画質の画像を得ることの画像記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えてなる画像記録装置において、
少なくとも前記記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、前記チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくとも一方を調整する空調機構を設け、前記空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成を有する請求項1に記載の発明においては、インクの硬化反応に大きく影響を与える温度条件を制御することにより、高画質の画像を安定的に得ることができる。
【0010】
また、一般に、インク吐出後に記録媒体を加熱することによってインクの硬化に適した画像記録条件となるように調整する方法による場合には、インク全体に均一に熱をかけることが難しく、画像にムラが生じやすいとの問題がある。この点、請求項1に記載の発明は、空調機構によってチャンバ内の環境条件を整備するものであるため、インク硬化に最適な画像記録条件がインク全体に均一に実現され、記録画像の画質の均一性を向上させることができる点において優れている。
【0011】
また、記録ヘッド周囲をチャンバで覆ってインク硬化に最も影響を及ぼす記録ヘッド周囲を密閉された状態とすることにより、記録ヘッド周囲の環境条件を効率よく制御して、インク硬化に適した状態を確保することができる点で優れている。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えてなる画像記録装置において、
少なくとも記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する内部センサと、外気の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する外気センサとを備え、前記外気センサによって検知された外気の温度条件または湿度条件のうち少なくともいずれか一方に応じて、前記チャンバ内部の温度及び湿度のうち少なくとも一方を調整するように空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
【0013】
このように、請求項2に記載の発明は、外気センサによって外気の温度、湿度をモニターしながらチャンバ内の環境条件を調整することができるので、外気の温湿度条件に左右されることなく安定した画像記録を行うことができる。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記制御部は、前記記録媒体の種類または記録される画像の画質のうち少なくともいずれか一方に応じてチャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を調整するように前記空調機構を制御することを特徴としている。
【0015】
光硬化型インクはインクが吐出される記録媒体のインク吸収性等の条件によっても硬化反応の速度等に影響が生じる。そこで、請求項3に記載の発明は、インクの硬化に影響を及ぼす記録媒体の種類に応じて制御することにより高画質の画像を安定的に得ることが可能である。
【0016】
また、光硬化型インクはインク硬化の速度によってつや感のある画質となりあるいはマット調の画質となるという特性を有する。そこで、請求項3に記載の発明は、温度または湿度を制御することにより、積極的にチャンバ内の環境条件をコントロールし、希望する画質の画像を形成できるようにした点で優れている。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明は、光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えて画像記録を行う画像記録方法において、
少なくとも前記記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、前記チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくとも一方を調整する空調機構を設け、前記空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
【0018】
このように、請求項4に記載の発明は、チャンバ内の温度と湿度の双方を制御することにより、より確実にインク硬化の効率化及び高画質の画像記録を行うことが可能である。
【0019】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像記録装置において、光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えて画像記録を行う画像記録方法において、
少なくとも記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する内部センサと、外気の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する外気センサとを備え、前記外気センサによって検知された外気の温度条件または湿度条件のうち少なくともいずれか一方に応じて、前記チャンバ内部の温度及び湿度のうち少なくとも一方を調整するように空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項5に記載の発明は、外気センサによって外気の温度、湿度をモニターしながらチャンバ内の環境条件を調整することができるので、外気の温湿度条件に左右されることなく安定した画像記録を行うことができる。
【0021】
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記制御部は、前記記録媒体の種類または記録される画像の画質のうち少なくともいずれか一方に応じてチャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を調整するように前記空調機構を制御することを特徴としている。
【0022】
光硬化型インクはインクが吐出される記録媒体のインク吸収性等の条件によっても硬化反応の速度等に影響が生じる。そこで、請求項6に記載の発明は、インクの硬化に影響を及ぼす記録媒体の種類に応じて制御することにより高画質の画像を安定的に得ることが可能である。
【0023】
また、光硬化型インクはインク硬化の速度によってつや感のある画質となりあるいはマット調の画質となるという特性を有する。そこで、請求項6に記載の発明は、温度または湿度を制御することにより、積極的にチャンバ内の環境条件をコントロールし、希望する画質の画像を形成できるようにした点で優れている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の第一の実施形態について説明する。
まず、図1に示すように、本実施の形態において、画像記録装置1は、シリアルプリント方式の画像記録装置1であり、箱型の本体2を有している。
【0025】
本体2の上面であってほぼ中央部には、記録媒体Pを非記録面から支持するプラテン3が本体2の上面に沿ってほぼ水平に配置されている。プラテン3の上には、所定幅を有して長尺に形成された記録媒体Pが支持されており、記録媒体Pは、記録媒体搬送機構17(図2参照)によってプラテン3の上面に沿って搬送方向Xの上流側から下流側に搬送されるようになっている。
【0026】
プラテン3の上方には、搬送方向Xに直交する主走査方向Yに延在する棒状のガイドレール4が設けられている。このガイドレール4にはキャリッジ5が支持されており、このキャリッジ5は、キャリッジ駆動機構16(図2参照)によって主走査方向Yをガイドレール4に沿って往復移動するようになっている。
【0027】
キャリッジ5には、本実施形態において使用されるブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のインクを吐出する記録ヘッド6,6…が所定の間隔をあけて搭載されている。
【0028】
また、キャリッジ5の両側には、紫外線照射装置7,7が、それぞれ両側に位置する記録ヘッド6,6の側面に隣接して設けられている。紫外線照射装置7,7は、記録ヘッド6,6…により記録媒体P上に吐出され着弾したインクを硬化定着させる紫外線を出力する紫外線光源8,8を有している。なお、この紫外線光源8,8としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管、LED等いずれの紫外線光源8,8を用いるようにしてもよい。
【0029】
ここで、本実施形態に用いられるインクについて説明する。
本実施形態において用いられるインクは、紫外線を照射することによって硬化する紫外線硬化型インクである。この紫外線硬化型インクジェット用のインク組成物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各号公報に記載の化合物等のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物を用いた光重合性インク組成物、及びカチオン重合系の光硬化性樹脂が知られている。本実施形態においては、これらラジカル重合系及びカチオン重合系のいずれのインクをも用いることができるが、本実施形態は、例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137等に記載された光カチオン重合タイプの光硬化性樹脂を用いたインク組成物において特に好ましい。また、実施形態においては、このほか、特開2002−288025、特開2003−317139号、特願2003−8110号、特開2002−187918号、色材協会誌75(8)、394(2002)「UVインクジェット技術の展望」等に記載されているモノマーを用いることが出来る。なお、これらの各種モノマー、色材としては、WO99/29787号、特開2001−220526等に開示されているものなどが使用でき、その他、開始剤、添加剤等もこれらの文献を参考にすることができるが、特に好ましくは、少なくとも1種のエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル誘導体等のカチオン重合型のモノマーを含有するすることである。
【0030】
本体2の上には、プラテン3に対向する側に開口する箱型のチャンバ9が前記キャリッジに搭載された記録ヘッドの可動範囲を囲むように設けられている。チャンバ9とプラテン3との間には、記録媒体Pの厚さとほぼ等しい間隙があり、記録媒体Pはこの間隙を通って、搬送方向Xの上流側から下流側に搬送されるようになっている。なお、チャンバ9内は記録媒体Pが搬送されるための間隙を除いてほぼ密閉された状態となっている。
【0031】
チャンバ9の内側面には、チャンバ9内の温度及び湿度を検知する内部センサ10が設けられている。また、チャンバ9の側面にはダクト11を介してチャンバ9内の空調を行う空調機構12と接続されている。空調機構12には前記内部センサ10が接続されており、内部センサ10によって検知されたチャンバ9内の環境状況に応じてチャンバ9内の空調がなされるようになっている。
【0032】
次に、図2を参照しつつ本実施形態における制御構成について説明する。
画像記録装置1は、使用者が記録媒体Pの種類や画像記録条件等を入力する入力部13を有しており、入力部13から入力された情報は、各種のプログラム等を格納する記憶部15を備える制御部14に送られるようになっている。入力部13は、例えばキーボードや操作パネルであり、画像記録に使用される記録媒体Pの種類や解像度、希望する画質等を選択できるようになっている。
【0033】
記憶部15には、例えば、図3に示されるように、チャンバ9内の温度及び湿度に関する項目とチャンバ9内の空調の要否とが対応付けられたLUT(ルックアップテーブル)が格納されている。LUTは、例えば記録媒体Pの種類や記録媒体Pの厚さごとに用意されており、また、例えば、画像を形成したときの解像度を360dpiとする場合と720dpiとする場合とに応じてそれぞれ異なる閾値を有するLUTが用意されている。なお、一般に紫外線硬化インクは、気温が20℃以上、湿度が40%以下の条件下において硬化しやすく、低温及び高湿度の条件下では硬化しにくいという特性がある。そこで、例えば、LUTは、図3に示すように、インクを最も効率的に硬化させて安定した画質の画像を得るために温度が20℃以上30℃未満の場合であって湿度が40%以下の場合には空調をせず、それ以外の場合には加温、除湿等の空調を行うように対応付けられている。また、紫外線硬化インクは、低温高湿の硬化しにくい環境条件の下でゆっくりと硬化させることによりつや感のある画質の画像を形成し、高温低湿の硬化しやすい環境条件の下で素早く硬化させることによりマット調の画質の画像を形成するという特徴を有するため、チャンバ9内の環境条件を変化させることによって積極的に画質をコントロールすることも可能である。そこで、例えば、図4に示すように、つや感のある画質を得たい場合には、チャンバ内の温度をチャンバ内の湿度に関わりなくが20℃未満とするか、またはチャンバ内の湿度をチャンバ内の温度に関わりなく80%以上となるように空調を行い、マット感のある画質としたい場合には、チャンバ内の温度が25℃以下で湿度が40%未満であるかまたは温度が35℃以上で湿度が60%未満となるように空調を行うように対応付けられたLUTが用意される。なお、図3に示したLUT及び図4に示したLUTは、あくまでも一例であって、LUTのパターンはこれに限られるものではない。
【0034】
また、内部センサ10が検知したチャンバ9内部の温度及び湿度の情報は電気信号として制御部14に送られるようになっており、制御部14は内部センサ10から信号が送られると、この信号と記憶部15に格納されたLUTとを照合し、必要に応じて空調機構12の空調機構制御部を制御してチャンバ9内の空調を行わせるようになっている。
【0035】
さらに、制御部14は、キャリッジ駆動機構16を制御してキャリッジ5を主走査方向Yに往復移動させるとともに、キャリッジ5の動作に合わせて記録媒体Pの搬送と停止とを繰り返し、記録媒体Pを間欠的に搬送方向Xの上流側から下流側に搬送させるように、記録媒体搬送機構17の動作を制御するようになっている。
【0036】
また、制御部14は、紫外線光源8,8から紫外線を照射させるように紫外線照射装置7,7を制御するようになっている。
【0037】
さらに、制御部14は、入力部13から入力された画像情報についての信号に基づいて記録ヘッド6,6…を動作させて記録媒体P上にインクを吐出させ、所定の画像を形成させるようになっている。
【0038】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、記録動作を行うに際して、入力部13から画像記録を行う記録媒体Pの種類が入力されると内部センサ10によってチャンバ9内の温湿度が検知され、検知された温湿度は電気信号化されて制御部14に送られる。内部センサ10からの信号を受けると、制御部14は記憶部15に予め格納されているLUTのうち、入力部13から入力された記録媒体Pの種類及び記録媒体Pの厚さ等と対応するLUTをLUTの種類項目から検索して読み出し、作業領域内に展開する。そして、制御部14は、LUTに対応付けられた温度及び湿度と内部センサ10によって検出されたチャンバ9内の温度及び湿度とを照合する。その結果、内部センサ10によって検出されたチャンバ9内の環境が画像記録に適した温湿度と異なっている場合には、制御部14は空調機構12を制御してチャンバ9内の加熱、除湿等の空調を行わせる。これにより効率よくインクを硬化させて安定した画質を得ることができるようにチャンバ9内の環境が整備される。
【0039】
また、入力部13から記録媒体Pの種類の他、希望する画質等の情報が入力された場合には、制御部14がチャンバ9内の温湿度を検知した内部センサ10からの信号を受けると、制御部14は記憶部15に格納されているLUTの中から入力部13から入力された記録媒体P及び画質に対応するものを読み出して作業領域に展開し、LUTに対応付けられた温度及び湿度と内部センサ10によって検出されたチャンバ9内の温度及び湿度とを照合し、温湿度を制御する必要性及びその程度を判断する。例えば、温度20℃未満、湿度60%以上の条件下でつや感のある画質での画像記録を希望する場合や、温度20℃以上、湿度40%以下の条件下でマットな画質での画像記録を希望する場合には、それぞれの温湿度となるようにチャンバ9内の環境条件を整備する必要がある。そこで、内部センサ10によって検出されたチャンバ9内の環境がこれと異なっている場合には、制御部14は空調機構12を制御してチャンバ9内の加熱、除湿等の空調を行わせる。これにより希望する画質を得ることができるようにチャンバ9内の環境が整備される。なお、入力部から使用するLUTを直接選択できるようにして、選択されたLUTに基づく制御がなされるようにしてもよい。
【0040】
チャンバ9内の環境が整備されると、制御部14がキャリッジ駆動機構16を制御してキャリッジ5を駆動させることにより、キャリッジ5が主走査方向Yに往復運動する。また、制御部14は、記録媒体搬送機構17を制御して記録媒体Pを記録媒体搬送方向Xの上流側から下流側に搬送させる。この際、制御部14は、入力部13からの入力情報及び所定の画像情報に基づいて記録ヘッド6,6…を動作させることにより所要の色のインクを吐出させる。そして、記録媒体P上に着弾したインクに対して紫外線光源8,8から紫外線が照射されることによりインクが硬化定着して記録媒体Pに画像が形成される。
【0041】
本実施形態において、画像記録装置1は、キャリッジ5の周囲をチャンバ9で覆っているので、チャンバ9内の温湿度を検知しこれに基づいて空調を行うことにより、画像記録時の環境条件をコントロールすることができ、常に安定した画質の画像記録を行うことができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、画像記録装置1は、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6,6…を主走査方向Yに往復移動させるとともに、記録媒体Pを主走査方向Yに直交する搬送方向Xに搬送させながら、記録ヘッド6,6…からインクを吐出させて画像を形成するシリアルプリント方式の画像記録装置1としたが、画像記録装置1はこの方式に限定されるものではなく、図5に示すように、画像記録装置の本体に固定された記録ヘッド6,6…からインクを吐出させるとともに、記録媒体Pを搬送させて画像を形成するラインプリント方式の画像記録装置としてもよい。
【0043】
また、本実施形態においては、チャンバ9をプラテン3の上であってキャリッジ5に搭載された記録ヘッド6,6…の可動範囲に対応する部分のみに設けるものとしたが、図6に示すように、チャンバ21を画像記録装置1の全体を覆うように設けるようにしてもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、画像記録装置1は、インクジェット方式の画像記録装置1としたが、画像記録装置1はこれに限られるものではなく、紫外線硬化成分を含んだトナーを用いた画像記録装置等、他の画像記録手段であってもよい。
【0045】
さらに、本実施形態では、紫外線の照射により硬化するインクを用いたが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光を照射することにより硬化するものであってもよい。ここでいう「光」とは、広義の光であって、紫外線、電子線、X線、可視光線、赤外線等の電磁波を含むものである。すなわち、インクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。
【0046】
紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを用いる場合は、紫外線光源8,8に代えて、使用するインクを硬化させるのに適した光を照射する光源を適用する。
【0047】
次に、図7を参照しつつ、本発明の第二の実施形態について説明する。なお、以下においては、特に第一の実施形態と異なる点を説明する。
【0048】
本実施形態において、本体2の上には、プラテン3に対向して開口する箱型のチャンバ9が前記キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6,6…の可動範囲を囲むように設けられている。また、チャンバ9の内側面には、チャンバ9内の温度及び湿度を検知する内部センサ10が設けられている。さらに、チャンバ9はダクト11を介してチャンバ9内の空調を行う空調機構18と接続されている。また、チャンバ9の外部には外気の温度、湿度を検知する外気センサ20が設けられている。
【0049】
さらに、空調機構18には、コントローラ19が接続されている。コントローラ19は、内部センサ10によって検知されたチャンバ9内の環境状況に応じて、空調機構18に適切にチャンバ内の空調を行わせるようになっている。
【0050】
次に、本実施形態における制御構成について説明する。
本実施形態において、画像記録装置は、第一の実施形態と同様の制御部を有している。制御部は、外気センサ20及び内部センサ10によって検知された温湿度情報を電気信号として取得するようになっており、制御部は、外気センサ20及び内部センサ10からの信号に基づいてコントローラ19を制御して、空調機構18を動作させ、チャンバ9内の空調を行わせるようになっている。また、制御部は、温度と湿度とを対応付けられ記録媒体Pの種類、記録媒体Pの厚さ、画像の解像度及び希望する画質等ごとに用意されたLUTを格納する記憶部を有している。例えば、LUTは、図8(a)に示すように、外気の温度及び湿度に関わりなく、チャンバ9内を安定した標準的な画像を形成することのできる温度25℃、湿度40℃の環境に調整するように対応付けられたものや、図8(b)に示すように、外気の温度が20℃未満の場合には外気の湿度に関わりなくチャンバ内の温度を35℃となるように加温し、外気の温度が20℃以上で外気の湿度が60%以上であるときはチャンバ内の湿度を40%となるように除湿するように対応付けられたもの、図8(c)に示すように、外気の温度が25℃未満で湿度が80%未満のとき及び温度にかかわらず湿度が80%以上のときには、チャンバ9内を35℃に加温するように対応付けられたもの等が用意されている。紫外線硬化インクは低温、高湿の環境条件下では硬化しにくく、高温、低湿の環境条件下では硬化しやすいとの特性を有するが、外気の温湿度を外気センサによってモニターし、これに基づいてチャンバ9内の空調を行うことにより、常に安定した画質の画像を得ることができる。また、空調を行うことによりチャンバ9内の環境を変えて積極的に画質をコントロールすることも可能となる。なお、加温によって空調を行うか除湿によって空調を行うかの切り替えは記録媒体の性質に応じて行われるようにしてもよい。例えば、記録媒体Pの種類または厚さによっては加温を行っても温度が上昇しにくい場合があり、このような場合には、除湿を行うことにより環境条件を適切にコントロールするものとしてもよい。また、硬化速度の違いによって形成される画質が異なるという紫外線硬化インクの性質を利用して積極的に画質をコントロールするために、外気の温度及び湿度をモニターしながらチャンバ9内の環境条件を変化させることも可能である。そこで、例えば、図9(a)に示すように、つや感のある画質を得たい場合に温度が20℃以上、湿度が60%未満の場合には湿度が60%以上であるかまたは温度が20℃未満となるように空調を行うように対応付けられたLUTが用意される。また、図9(b)に示すように、マット調の画質を得たい場合に湿度が60%以上であるかまたは温度が20℃以下、湿度が40%以下の場合には温度が20度以上湿度が40%以下となるように空調を行うように対応付けられたLUTが用意される。なお、図8及び図9に示したLUTは、あくまでも一例であって、LUTのパターンはこれに限られるものではない。
【0051】
なお、その他の構成は、第一実施形態のものと同様であるので、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
次に、本実施形態の作用について説明する。
入力部から画像記録を開始する信号、記録媒体Pの種類等が入力されると、外気センサ20によって外気の温度及び湿度が検知される。また、内部センサ10によってチャンバ9内の温度及び湿度が検知される。一方、入力部から入力された記録媒体Pの種類及び記録媒体Pの厚さ等と対応するLUTがLUTの種類項目から検索されることによって読み出され、読み出されたLUTと外気センサ20及び内部センサ10から送られた信号とが照合されることによりチャンバ9内の空調の要否及び程度が決定される。空調が必要である場合には、コントローラ19の制御に基づいて空調機構18を動作させることにより、チャンバ9内の空調が行われる。次に、記録媒体搬送機構が制御されることにより、記録媒体Pが搬送方向Xの上流側から下流側に順次搬送される。この際に、所定の記録ヘッド6,6…を動作させることによりインクが記録媒体P上に吐出される。さらに、紫外線照射装置7,7の紫外線光源8,8から記録媒体P上に紫外線が照射され、これによりインクが硬化定着して記録媒体Pに画像が形成される。
【0053】
本実施形態において、画像記録装置は、外気の温湿度をモニターしながら必要に応じてチャンバ9内の空調を行うので、希望する画質の画像を安定的に得ることができるとともに、空調の必要のないときは空調を行わないため、安定した画質を得るためにコストを最小限に抑えることができる。
【0054】
なお、本発明が本実施形態に限られないことは、第一の実施形態と同様である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載された発明は、光硬化型インクが、その種類によってインクの硬化反応が温度によって左右されるものと湿度によって左右されるものとがあることを考慮し、インクの硬化反応に大きく影響を与えるチャンバ内部の温度条件または湿度条件を制御することにより、高画質の画像を安定的に得ることができる。これによって、常に安定した画像記録を行うことができるという効果がある。
【0056】
また、請求項2に記載の発明は、外気センサによって外気の温度、湿度をモニターしながらチャンバ内の環境条件を調整することができるので、外気の温湿度条件に左右されることなく安定した画像記録を行うことができるという効果がある。
【0057】
また、光硬化型インクはインクが吐出される記録媒体のインク吸収性や熱の伝わり方、厚さ等の諸条件によっても硬化反応の速度等に影響が生じる。そこで、請求項3に記載の発明は、インクの硬化に影響を及ぼす記録媒体の種類についても勘案しつつ温度条件または湿度条件を制御することにより高画質の画像を安定的に得るできるという効果がある。
【0058】
また、光硬化型インクはインク硬化の速度によってつや感のある画質となりあるいはマット調の画質となるという特性を有する。そこで、請求項3に記載の発明は、温度または湿度を制御することにより、積極的にチャンバ内の環境条件をコントロールし、希望する画質の画像を形成できるようにした点で優れている。
【0059】
さらに、光硬化型インクは、その種類によってインクの硬化反応が温度によって左右されるものと湿度によって左右されるものとがあるため、請求項4に記載された発明は、インクの硬化反応に大きく影響を与えるチャンバ内部の温度条件または湿度条件を制御することにより、高画質の画像を安定的に得ることができる。これによって、常に安定した画像記録を行うことができるという効果がある。
【0060】
また、請求項5に記載の発明は、外気センサによって外気の温度、湿度をモニターしながらチャンバ内の環境条件を調整することができるので、外気の温湿度条件に左右されることなく安定した画像記録を行うことができるという効果がある。
【0061】
また、光硬化型インクはインクが吐出される記録媒体のインク吸収性や熱の伝わり方、厚さ等の諸条件によっても硬化反応の速度等に影響が生じる。そこで、請求項5に記載の発明は、インクの硬化に影響を及ぼす記録媒体の種類についても勘案しつつ温度条件または湿度条件を制御することにより高画質の画像を安定的に得るできるという効果がある。
【0062】
また、光硬化型インクはインク硬化の速度によってつや感のある画質となりあるいはマット調の画質となるという特性を有する。そこで、請求項6に記載の発明は、温度または湿度を制御することにより、積極的にチャンバ内の環境条件をコントロールし、希望する画質の画像を形成できるようにした点で優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態において適用されるLUTの一例である。
【図4】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態において得たい画質によってチャンバ内の温湿度を調整する場合に適用されるLUTの一例である。
【図5】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態の一変形例を示した正面図である。
【図6】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態の一変形例を示した正面図である。
【図7】本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態を示した正面図である。
【図8】図8(a)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態において適用されるLUTの一例である。図8(b)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態において湿度を制御する場合に適用されるLUTの一例である。図8(c)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態において温度を制御する場合に適用されるLUTの一例である。
【図9】図9(a)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態においてつや感のある画像を得たい場合に適用されるLUTの一例である。図9(b)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態においてマット感のある画像を得たい場合に適用されるLUTの一例である。
【符号の説明】
1 画像記録装置
2 本体
5 キャリッジ
6 記録ヘッド
7 紫外線照射装置
8 紫外線光源
9 チャンバ
10 内部センサ
11 ダクト
12 空調機構
14 制御部
15 記憶部
16 キャリッジ駆動機構
17 記録媒体搬送機構
P 記録媒体
X 搬送方向
Y 主走査方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像記録装置及び画像記録方法に係り、特に、光硬化型のインクを用いて画像記録を行う画像記録装置及び画像記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、少量多品種の需要に対して臨機応変に対応できる画像記録装置として、従来よりインクジェット方式の画像記録装置が知られている。インクジェット方式の画像記録装置は、記録ヘッドの記録媒体に対向する面に設けられたノズルからインクを吐出して記録媒体上に着弾、定着させることにより記録媒体に画像を記録するものであり、騒音が少なく多色のインクを用いることによってカラーでの画像記録も容易に行うことができるという特徴を有している。また、従来のグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式による画像記録手段と異なって製版工程を必要としないため少量の需要にも簡易に対応することが可能であるという長所がある。しかしながら、一般的なインクジェット画像記録装置の場合には、記録媒体上でインクが滲み易いため、インク吸収性のよい記録媒体にしか画像記録を行うことができず、樹脂フィルム等のインク吸収性の低い記録媒体や金属等のインク吸収性の全くない記録媒体に対して画像記録を行うことはきわめて難しいという問題があった。
【0003】
これに対し、様々な記録媒体に画像を形成することのできる手段として、近年、紫外線硬化インクを用いたインクジェット画像記録装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。これは、紫外線に対して所定の感度を有する光開始剤が含有された紫外線硬化インクを用い、記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射することで、インクを硬化させ記録媒体上に定着させるものであり、普通紙はもとより、インク吸収性の全くないプラスチックや金属等の記録媒体に対しても画像記録を行うことが可能である。
【0004】
しかし、このように多様な種類の記録媒体上にインクを吐出させた場合、それぞれの記録媒体の表面特性の違いによって、着弾したインクの記録媒体上での広がり方が大きく異なる。また、光硬化型のインクは、種々の環境条件によって硬化の速度が変動するという性質がある。そして、これらのインクの広がり方や硬化速度の変動は、記録された画像の画質に影響を与えるため、これらインクの変動要因を無視して画像記録を行った場合には安定した画像を得ることができない。従って、様々な条件において希望の出力画質を維持するためには、外気の諸条件を把握して画像記録条件をそれに合わせて最適化することが必要である。この点、画像記録条件を最適化する手段としては、外気の温度・湿度を検出してそれに基づく制御を行うことが考えられ、近時は、外気湿度を検出し、必要に応じてインク吐出後に加熱することによって画像記録条件の最適化を図る画像記録装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−186725号公報
【特許文献2】
特開2001−158865号公報
【特許文献3】
特開2001−131452号公報
【特許文献4】
特開2002−137375号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光硬化型インクの硬化は、温度及び湿度の双方によって影響を受けるものであり、例えば同じ相対湿度であっても、気温が異なれば硬化速度が異なる場合もある。また、光硬化型のインクは、低温、高湿の硬化しにくい条件下で硬化するとつや感のある画質の画像を形成し、高温、低湿の硬化しやすい条件下で硬化するとマット調の画質の画像を形成するという特色がある。そのため、温度及び湿度が一定しない条件下では、インクを効率よく硬化させることができないとともに、希望に沿う画質の画像を安定的に得ることができないとの問題があった。
【0007】
そこで、本発明は以上のような課題を解決すべくなされたものであり、光硬化型のインクを用いて画像記録を行う際に、記録媒体の種類やインク硬化の行われる環境条件に関わらず高画質の画像を得ることの画像記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えてなる画像記録装置において、
少なくとも前記記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、前記チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくとも一方を調整する空調機構を設け、前記空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成を有する請求項1に記載の発明においては、インクの硬化反応に大きく影響を与える温度条件を制御することにより、高画質の画像を安定的に得ることができる。
【0010】
また、一般に、インク吐出後に記録媒体を加熱することによってインクの硬化に適した画像記録条件となるように調整する方法による場合には、インク全体に均一に熱をかけることが難しく、画像にムラが生じやすいとの問題がある。この点、請求項1に記載の発明は、空調機構によってチャンバ内の環境条件を整備するものであるため、インク硬化に最適な画像記録条件がインク全体に均一に実現され、記録画像の画質の均一性を向上させることができる点において優れている。
【0011】
また、記録ヘッド周囲をチャンバで覆ってインク硬化に最も影響を及ぼす記録ヘッド周囲を密閉された状態とすることにより、記録ヘッド周囲の環境条件を効率よく制御して、インク硬化に適した状態を確保することができる点で優れている。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えてなる画像記録装置において、
少なくとも記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する内部センサと、外気の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する外気センサとを備え、前記外気センサによって検知された外気の温度条件または湿度条件のうち少なくともいずれか一方に応じて、前記チャンバ内部の温度及び湿度のうち少なくとも一方を調整するように空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
【0013】
このように、請求項2に記載の発明は、外気センサによって外気の温度、湿度をモニターしながらチャンバ内の環境条件を調整することができるので、外気の温湿度条件に左右されることなく安定した画像記録を行うことができる。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記制御部は、前記記録媒体の種類または記録される画像の画質のうち少なくともいずれか一方に応じてチャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を調整するように前記空調機構を制御することを特徴としている。
【0015】
光硬化型インクはインクが吐出される記録媒体のインク吸収性等の条件によっても硬化反応の速度等に影響が生じる。そこで、請求項3に記載の発明は、インクの硬化に影響を及ぼす記録媒体の種類に応じて制御することにより高画質の画像を安定的に得ることが可能である。
【0016】
また、光硬化型インクはインク硬化の速度によってつや感のある画質となりあるいはマット調の画質となるという特性を有する。そこで、請求項3に記載の発明は、温度または湿度を制御することにより、積極的にチャンバ内の環境条件をコントロールし、希望する画質の画像を形成できるようにした点で優れている。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明は、光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えて画像記録を行う画像記録方法において、
少なくとも前記記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、前記チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくとも一方を調整する空調機構を設け、前記空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
【0018】
このように、請求項4に記載の発明は、チャンバ内の温度と湿度の双方を制御することにより、より確実にインク硬化の効率化及び高画質の画像記録を行うことが可能である。
【0019】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像記録装置において、光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えて画像記録を行う画像記録方法において、
少なくとも記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する内部センサと、外気の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する外気センサとを備え、前記外気センサによって検知された外気の温度条件または湿度条件のうち少なくともいずれか一方に応じて、前記チャンバ内部の温度及び湿度のうち少なくとも一方を調整するように空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項5に記載の発明は、外気センサによって外気の温度、湿度をモニターしながらチャンバ内の環境条件を調整することができるので、外気の温湿度条件に左右されることなく安定した画像記録を行うことができる。
【0021】
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記制御部は、前記記録媒体の種類または記録される画像の画質のうち少なくともいずれか一方に応じてチャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を調整するように前記空調機構を制御することを特徴としている。
【0022】
光硬化型インクはインクが吐出される記録媒体のインク吸収性等の条件によっても硬化反応の速度等に影響が生じる。そこで、請求項6に記載の発明は、インクの硬化に影響を及ぼす記録媒体の種類に応じて制御することにより高画質の画像を安定的に得ることが可能である。
【0023】
また、光硬化型インクはインク硬化の速度によってつや感のある画質となりあるいはマット調の画質となるという特性を有する。そこで、請求項6に記載の発明は、温度または湿度を制御することにより、積極的にチャンバ内の環境条件をコントロールし、希望する画質の画像を形成できるようにした点で優れている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の第一の実施形態について説明する。
まず、図1に示すように、本実施の形態において、画像記録装置1は、シリアルプリント方式の画像記録装置1であり、箱型の本体2を有している。
【0025】
本体2の上面であってほぼ中央部には、記録媒体Pを非記録面から支持するプラテン3が本体2の上面に沿ってほぼ水平に配置されている。プラテン3の上には、所定幅を有して長尺に形成された記録媒体Pが支持されており、記録媒体Pは、記録媒体搬送機構17(図2参照)によってプラテン3の上面に沿って搬送方向Xの上流側から下流側に搬送されるようになっている。
【0026】
プラテン3の上方には、搬送方向Xに直交する主走査方向Yに延在する棒状のガイドレール4が設けられている。このガイドレール4にはキャリッジ5が支持されており、このキャリッジ5は、キャリッジ駆動機構16(図2参照)によって主走査方向Yをガイドレール4に沿って往復移動するようになっている。
【0027】
キャリッジ5には、本実施形態において使用されるブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のインクを吐出する記録ヘッド6,6…が所定の間隔をあけて搭載されている。
【0028】
また、キャリッジ5の両側には、紫外線照射装置7,7が、それぞれ両側に位置する記録ヘッド6,6の側面に隣接して設けられている。紫外線照射装置7,7は、記録ヘッド6,6…により記録媒体P上に吐出され着弾したインクを硬化定着させる紫外線を出力する紫外線光源8,8を有している。なお、この紫外線光源8,8としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、熱陰極管、冷陰極管、LED等いずれの紫外線光源8,8を用いるようにしてもよい。
【0029】
ここで、本実施形態に用いられるインクについて説明する。
本実施形態において用いられるインクは、紫外線を照射することによって硬化する紫外線硬化型インクである。この紫外線硬化型インクジェット用のインク組成物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各号公報に記載の化合物等のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物を用いた光重合性インク組成物、及びカチオン重合系の光硬化性樹脂が知られている。本実施形態においては、これらラジカル重合系及びカチオン重合系のいずれのインクをも用いることができるが、本実施形態は、例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137等に記載された光カチオン重合タイプの光硬化性樹脂を用いたインク組成物において特に好ましい。また、実施形態においては、このほか、特開2002−288025、特開2003−317139号、特願2003−8110号、特開2002−187918号、色材協会誌75(8)、394(2002)「UVインクジェット技術の展望」等に記載されているモノマーを用いることが出来る。なお、これらの各種モノマー、色材としては、WO99/29787号、特開2001−220526等に開示されているものなどが使用でき、その他、開始剤、添加剤等もこれらの文献を参考にすることができるが、特に好ましくは、少なくとも1種のエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル誘導体等のカチオン重合型のモノマーを含有するすることである。
【0030】
本体2の上には、プラテン3に対向する側に開口する箱型のチャンバ9が前記キャリッジに搭載された記録ヘッドの可動範囲を囲むように設けられている。チャンバ9とプラテン3との間には、記録媒体Pの厚さとほぼ等しい間隙があり、記録媒体Pはこの間隙を通って、搬送方向Xの上流側から下流側に搬送されるようになっている。なお、チャンバ9内は記録媒体Pが搬送されるための間隙を除いてほぼ密閉された状態となっている。
【0031】
チャンバ9の内側面には、チャンバ9内の温度及び湿度を検知する内部センサ10が設けられている。また、チャンバ9の側面にはダクト11を介してチャンバ9内の空調を行う空調機構12と接続されている。空調機構12には前記内部センサ10が接続されており、内部センサ10によって検知されたチャンバ9内の環境状況に応じてチャンバ9内の空調がなされるようになっている。
【0032】
次に、図2を参照しつつ本実施形態における制御構成について説明する。
画像記録装置1は、使用者が記録媒体Pの種類や画像記録条件等を入力する入力部13を有しており、入力部13から入力された情報は、各種のプログラム等を格納する記憶部15を備える制御部14に送られるようになっている。入力部13は、例えばキーボードや操作パネルであり、画像記録に使用される記録媒体Pの種類や解像度、希望する画質等を選択できるようになっている。
【0033】
記憶部15には、例えば、図3に示されるように、チャンバ9内の温度及び湿度に関する項目とチャンバ9内の空調の要否とが対応付けられたLUT(ルックアップテーブル)が格納されている。LUTは、例えば記録媒体Pの種類や記録媒体Pの厚さごとに用意されており、また、例えば、画像を形成したときの解像度を360dpiとする場合と720dpiとする場合とに応じてそれぞれ異なる閾値を有するLUTが用意されている。なお、一般に紫外線硬化インクは、気温が20℃以上、湿度が40%以下の条件下において硬化しやすく、低温及び高湿度の条件下では硬化しにくいという特性がある。そこで、例えば、LUTは、図3に示すように、インクを最も効率的に硬化させて安定した画質の画像を得るために温度が20℃以上30℃未満の場合であって湿度が40%以下の場合には空調をせず、それ以外の場合には加温、除湿等の空調を行うように対応付けられている。また、紫外線硬化インクは、低温高湿の硬化しにくい環境条件の下でゆっくりと硬化させることによりつや感のある画質の画像を形成し、高温低湿の硬化しやすい環境条件の下で素早く硬化させることによりマット調の画質の画像を形成するという特徴を有するため、チャンバ9内の環境条件を変化させることによって積極的に画質をコントロールすることも可能である。そこで、例えば、図4に示すように、つや感のある画質を得たい場合には、チャンバ内の温度をチャンバ内の湿度に関わりなくが20℃未満とするか、またはチャンバ内の湿度をチャンバ内の温度に関わりなく80%以上となるように空調を行い、マット感のある画質としたい場合には、チャンバ内の温度が25℃以下で湿度が40%未満であるかまたは温度が35℃以上で湿度が60%未満となるように空調を行うように対応付けられたLUTが用意される。なお、図3に示したLUT及び図4に示したLUTは、あくまでも一例であって、LUTのパターンはこれに限られるものではない。
【0034】
また、内部センサ10が検知したチャンバ9内部の温度及び湿度の情報は電気信号として制御部14に送られるようになっており、制御部14は内部センサ10から信号が送られると、この信号と記憶部15に格納されたLUTとを照合し、必要に応じて空調機構12の空調機構制御部を制御してチャンバ9内の空調を行わせるようになっている。
【0035】
さらに、制御部14は、キャリッジ駆動機構16を制御してキャリッジ5を主走査方向Yに往復移動させるとともに、キャリッジ5の動作に合わせて記録媒体Pの搬送と停止とを繰り返し、記録媒体Pを間欠的に搬送方向Xの上流側から下流側に搬送させるように、記録媒体搬送機構17の動作を制御するようになっている。
【0036】
また、制御部14は、紫外線光源8,8から紫外線を照射させるように紫外線照射装置7,7を制御するようになっている。
【0037】
さらに、制御部14は、入力部13から入力された画像情報についての信号に基づいて記録ヘッド6,6…を動作させて記録媒体P上にインクを吐出させ、所定の画像を形成させるようになっている。
【0038】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、記録動作を行うに際して、入力部13から画像記録を行う記録媒体Pの種類が入力されると内部センサ10によってチャンバ9内の温湿度が検知され、検知された温湿度は電気信号化されて制御部14に送られる。内部センサ10からの信号を受けると、制御部14は記憶部15に予め格納されているLUTのうち、入力部13から入力された記録媒体Pの種類及び記録媒体Pの厚さ等と対応するLUTをLUTの種類項目から検索して読み出し、作業領域内に展開する。そして、制御部14は、LUTに対応付けられた温度及び湿度と内部センサ10によって検出されたチャンバ9内の温度及び湿度とを照合する。その結果、内部センサ10によって検出されたチャンバ9内の環境が画像記録に適した温湿度と異なっている場合には、制御部14は空調機構12を制御してチャンバ9内の加熱、除湿等の空調を行わせる。これにより効率よくインクを硬化させて安定した画質を得ることができるようにチャンバ9内の環境が整備される。
【0039】
また、入力部13から記録媒体Pの種類の他、希望する画質等の情報が入力された場合には、制御部14がチャンバ9内の温湿度を検知した内部センサ10からの信号を受けると、制御部14は記憶部15に格納されているLUTの中から入力部13から入力された記録媒体P及び画質に対応するものを読み出して作業領域に展開し、LUTに対応付けられた温度及び湿度と内部センサ10によって検出されたチャンバ9内の温度及び湿度とを照合し、温湿度を制御する必要性及びその程度を判断する。例えば、温度20℃未満、湿度60%以上の条件下でつや感のある画質での画像記録を希望する場合や、温度20℃以上、湿度40%以下の条件下でマットな画質での画像記録を希望する場合には、それぞれの温湿度となるようにチャンバ9内の環境条件を整備する必要がある。そこで、内部センサ10によって検出されたチャンバ9内の環境がこれと異なっている場合には、制御部14は空調機構12を制御してチャンバ9内の加熱、除湿等の空調を行わせる。これにより希望する画質を得ることができるようにチャンバ9内の環境が整備される。なお、入力部から使用するLUTを直接選択できるようにして、選択されたLUTに基づく制御がなされるようにしてもよい。
【0040】
チャンバ9内の環境が整備されると、制御部14がキャリッジ駆動機構16を制御してキャリッジ5を駆動させることにより、キャリッジ5が主走査方向Yに往復運動する。また、制御部14は、記録媒体搬送機構17を制御して記録媒体Pを記録媒体搬送方向Xの上流側から下流側に搬送させる。この際、制御部14は、入力部13からの入力情報及び所定の画像情報に基づいて記録ヘッド6,6…を動作させることにより所要の色のインクを吐出させる。そして、記録媒体P上に着弾したインクに対して紫外線光源8,8から紫外線が照射されることによりインクが硬化定着して記録媒体Pに画像が形成される。
【0041】
本実施形態において、画像記録装置1は、キャリッジ5の周囲をチャンバ9で覆っているので、チャンバ9内の温湿度を検知しこれに基づいて空調を行うことにより、画像記録時の環境条件をコントロールすることができ、常に安定した画質の画像記録を行うことができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、画像記録装置1は、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6,6…を主走査方向Yに往復移動させるとともに、記録媒体Pを主走査方向Yに直交する搬送方向Xに搬送させながら、記録ヘッド6,6…からインクを吐出させて画像を形成するシリアルプリント方式の画像記録装置1としたが、画像記録装置1はこの方式に限定されるものではなく、図5に示すように、画像記録装置の本体に固定された記録ヘッド6,6…からインクを吐出させるとともに、記録媒体Pを搬送させて画像を形成するラインプリント方式の画像記録装置としてもよい。
【0043】
また、本実施形態においては、チャンバ9をプラテン3の上であってキャリッジ5に搭載された記録ヘッド6,6…の可動範囲に対応する部分のみに設けるものとしたが、図6に示すように、チャンバ21を画像記録装置1の全体を覆うように設けるようにしてもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、画像記録装置1は、インクジェット方式の画像記録装置1としたが、画像記録装置1はこれに限られるものではなく、紫外線硬化成分を含んだトナーを用いた画像記録装置等、他の画像記録手段であってもよい。
【0045】
さらに、本実施形態では、紫外線の照射により硬化するインクを用いたが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光を照射することにより硬化するものであってもよい。ここでいう「光」とは、広義の光であって、紫外線、電子線、X線、可視光線、赤外線等の電磁波を含むものである。すなわち、インクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。
【0046】
紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを用いる場合は、紫外線光源8,8に代えて、使用するインクを硬化させるのに適した光を照射する光源を適用する。
【0047】
次に、図7を参照しつつ、本発明の第二の実施形態について説明する。なお、以下においては、特に第一の実施形態と異なる点を説明する。
【0048】
本実施形態において、本体2の上には、プラテン3に対向して開口する箱型のチャンバ9が前記キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6,6…の可動範囲を囲むように設けられている。また、チャンバ9の内側面には、チャンバ9内の温度及び湿度を検知する内部センサ10が設けられている。さらに、チャンバ9はダクト11を介してチャンバ9内の空調を行う空調機構18と接続されている。また、チャンバ9の外部には外気の温度、湿度を検知する外気センサ20が設けられている。
【0049】
さらに、空調機構18には、コントローラ19が接続されている。コントローラ19は、内部センサ10によって検知されたチャンバ9内の環境状況に応じて、空調機構18に適切にチャンバ内の空調を行わせるようになっている。
【0050】
次に、本実施形態における制御構成について説明する。
本実施形態において、画像記録装置は、第一の実施形態と同様の制御部を有している。制御部は、外気センサ20及び内部センサ10によって検知された温湿度情報を電気信号として取得するようになっており、制御部は、外気センサ20及び内部センサ10からの信号に基づいてコントローラ19を制御して、空調機構18を動作させ、チャンバ9内の空調を行わせるようになっている。また、制御部は、温度と湿度とを対応付けられ記録媒体Pの種類、記録媒体Pの厚さ、画像の解像度及び希望する画質等ごとに用意されたLUTを格納する記憶部を有している。例えば、LUTは、図8(a)に示すように、外気の温度及び湿度に関わりなく、チャンバ9内を安定した標準的な画像を形成することのできる温度25℃、湿度40℃の環境に調整するように対応付けられたものや、図8(b)に示すように、外気の温度が20℃未満の場合には外気の湿度に関わりなくチャンバ内の温度を35℃となるように加温し、外気の温度が20℃以上で外気の湿度が60%以上であるときはチャンバ内の湿度を40%となるように除湿するように対応付けられたもの、図8(c)に示すように、外気の温度が25℃未満で湿度が80%未満のとき及び温度にかかわらず湿度が80%以上のときには、チャンバ9内を35℃に加温するように対応付けられたもの等が用意されている。紫外線硬化インクは低温、高湿の環境条件下では硬化しにくく、高温、低湿の環境条件下では硬化しやすいとの特性を有するが、外気の温湿度を外気センサによってモニターし、これに基づいてチャンバ9内の空調を行うことにより、常に安定した画質の画像を得ることができる。また、空調を行うことによりチャンバ9内の環境を変えて積極的に画質をコントロールすることも可能となる。なお、加温によって空調を行うか除湿によって空調を行うかの切り替えは記録媒体の性質に応じて行われるようにしてもよい。例えば、記録媒体Pの種類または厚さによっては加温を行っても温度が上昇しにくい場合があり、このような場合には、除湿を行うことにより環境条件を適切にコントロールするものとしてもよい。また、硬化速度の違いによって形成される画質が異なるという紫外線硬化インクの性質を利用して積極的に画質をコントロールするために、外気の温度及び湿度をモニターしながらチャンバ9内の環境条件を変化させることも可能である。そこで、例えば、図9(a)に示すように、つや感のある画質を得たい場合に温度が20℃以上、湿度が60%未満の場合には湿度が60%以上であるかまたは温度が20℃未満となるように空調を行うように対応付けられたLUTが用意される。また、図9(b)に示すように、マット調の画質を得たい場合に湿度が60%以上であるかまたは温度が20℃以下、湿度が40%以下の場合には温度が20度以上湿度が40%以下となるように空調を行うように対応付けられたLUTが用意される。なお、図8及び図9に示したLUTは、あくまでも一例であって、LUTのパターンはこれに限られるものではない。
【0051】
なお、その他の構成は、第一実施形態のものと同様であるので、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
次に、本実施形態の作用について説明する。
入力部から画像記録を開始する信号、記録媒体Pの種類等が入力されると、外気センサ20によって外気の温度及び湿度が検知される。また、内部センサ10によってチャンバ9内の温度及び湿度が検知される。一方、入力部から入力された記録媒体Pの種類及び記録媒体Pの厚さ等と対応するLUTがLUTの種類項目から検索されることによって読み出され、読み出されたLUTと外気センサ20及び内部センサ10から送られた信号とが照合されることによりチャンバ9内の空調の要否及び程度が決定される。空調が必要である場合には、コントローラ19の制御に基づいて空調機構18を動作させることにより、チャンバ9内の空調が行われる。次に、記録媒体搬送機構が制御されることにより、記録媒体Pが搬送方向Xの上流側から下流側に順次搬送される。この際に、所定の記録ヘッド6,6…を動作させることによりインクが記録媒体P上に吐出される。さらに、紫外線照射装置7,7の紫外線光源8,8から記録媒体P上に紫外線が照射され、これによりインクが硬化定着して記録媒体Pに画像が形成される。
【0053】
本実施形態において、画像記録装置は、外気の温湿度をモニターしながら必要に応じてチャンバ9内の空調を行うので、希望する画質の画像を安定的に得ることができるとともに、空調の必要のないときは空調を行わないため、安定した画質を得るためにコストを最小限に抑えることができる。
【0054】
なお、本発明が本実施形態に限られないことは、第一の実施形態と同様である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載された発明は、光硬化型インクが、その種類によってインクの硬化反応が温度によって左右されるものと湿度によって左右されるものとがあることを考慮し、インクの硬化反応に大きく影響を与えるチャンバ内部の温度条件または湿度条件を制御することにより、高画質の画像を安定的に得ることができる。これによって、常に安定した画像記録を行うことができるという効果がある。
【0056】
また、請求項2に記載の発明は、外気センサによって外気の温度、湿度をモニターしながらチャンバ内の環境条件を調整することができるので、外気の温湿度条件に左右されることなく安定した画像記録を行うことができるという効果がある。
【0057】
また、光硬化型インクはインクが吐出される記録媒体のインク吸収性や熱の伝わり方、厚さ等の諸条件によっても硬化反応の速度等に影響が生じる。そこで、請求項3に記載の発明は、インクの硬化に影響を及ぼす記録媒体の種類についても勘案しつつ温度条件または湿度条件を制御することにより高画質の画像を安定的に得るできるという効果がある。
【0058】
また、光硬化型インクはインク硬化の速度によってつや感のある画質となりあるいはマット調の画質となるという特性を有する。そこで、請求項3に記載の発明は、温度または湿度を制御することにより、積極的にチャンバ内の環境条件をコントロールし、希望する画質の画像を形成できるようにした点で優れている。
【0059】
さらに、光硬化型インクは、その種類によってインクの硬化反応が温度によって左右されるものと湿度によって左右されるものとがあるため、請求項4に記載された発明は、インクの硬化反応に大きく影響を与えるチャンバ内部の温度条件または湿度条件を制御することにより、高画質の画像を安定的に得ることができる。これによって、常に安定した画像記録を行うことができるという効果がある。
【0060】
また、請求項5に記載の発明は、外気センサによって外気の温度、湿度をモニターしながらチャンバ内の環境条件を調整することができるので、外気の温湿度条件に左右されることなく安定した画像記録を行うことができるという効果がある。
【0061】
また、光硬化型インクはインクが吐出される記録媒体のインク吸収性や熱の伝わり方、厚さ等の諸条件によっても硬化反応の速度等に影響が生じる。そこで、請求項5に記載の発明は、インクの硬化に影響を及ぼす記録媒体の種類についても勘案しつつ温度条件または湿度条件を制御することにより高画質の画像を安定的に得るできるという効果がある。
【0062】
また、光硬化型インクはインク硬化の速度によってつや感のある画質となりあるいはマット調の画質となるという特性を有する。そこで、請求項6に記載の発明は、温度または湿度を制御することにより、積極的にチャンバ内の環境条件をコントロールし、希望する画質の画像を形成できるようにした点で優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態を模式的に示す正面図である。
【図2】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態において適用されるLUTの一例である。
【図4】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態において得たい画質によってチャンバ内の温湿度を調整する場合に適用されるLUTの一例である。
【図5】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態の一変形例を示した正面図である。
【図6】本発明に係る画像記録装置の第一の実施形態の一変形例を示した正面図である。
【図7】本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態を示した正面図である。
【図8】図8(a)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態において適用されるLUTの一例である。図8(b)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態において湿度を制御する場合に適用されるLUTの一例である。図8(c)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態において温度を制御する場合に適用されるLUTの一例である。
【図9】図9(a)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態においてつや感のある画像を得たい場合に適用されるLUTの一例である。図9(b)は、本発明に係る画像記録装置の第二の実施形態においてマット感のある画像を得たい場合に適用されるLUTの一例である。
【符号の説明】
1 画像記録装置
2 本体
5 キャリッジ
6 記録ヘッド
7 紫外線照射装置
8 紫外線光源
9 チャンバ
10 内部センサ
11 ダクト
12 空調機構
14 制御部
15 記憶部
16 キャリッジ駆動機構
17 記録媒体搬送機構
P 記録媒体
X 搬送方向
Y 主走査方向
Claims (6)
- 光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えてなる画像記録装置において、
少なくとも前記記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、前記チャンバ内の温度または湿度のうち少なくとも一方を調整する空調機構を設け、前記空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴とする画像記録装置。 - 光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えてなる画像記録装置において、
少なくとも記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する内部センサと、外気の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する外気センサとを備え、前記外気センサによって検知された外気の温度条件または湿度条件のうち少なくともいずれか一方に応じて、前記チャンバ内部の温度及び湿度のうち少なくとも一方を調整するように空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴とする画像記録装置。 - 前記制御部は、前記記録媒体の種類または記録される画像の画質のうち少なくともいずれか一方に応じてチャンバ内の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を調整するように前記空調機構を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
- 光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えて画像記録を行う画像記録方法において、少なくとも前記記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、前記チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくとも一方を調整する空調機構を設け、前記空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴とする画像記録方法。
- 光硬化性の成分を含む一種または複数のインクを記録媒体上に吐出させる記録ヘッドと、前記記録媒体上に着弾したインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置とを備えて画像記録を行う画像記録方法において、少なくとも記録ヘッドの移動範囲を覆うチャンバを設けるとともに、チャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する内部センサと、外気の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を検知する外気センサとを備え、前記外気センサによって検知された外気の温度条件または湿度条件のうち少なくともいずれか一方に応じて、前記チャンバ内部の温度及び湿度のうち少なくとも一方を調整するように空調機構を制御する制御部を備えたことを特徴とする画像記録方法。
- 前記制御部は、前記記録媒体の種類または記録される画像の画質のうち少なくともいずれか一方に応じてチャンバ内部の温度または湿度のうち少なくともいずれか一方を調整するように前記空調機構を制御することを特徴とする請求項4または5に記載の画像記録方法。
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- 2003-03-31 JP JP2003094590A patent/JP2004299236A/ja active Pending
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