※<組立システム1の要部構成>
図1は、本発明の実施形態に係る組立システム1の斜視図である。
この組立システム1は、組立装置2と、この組立装置2の動作シーケンスを設計する際に利用される設計支援装置3とに大別される。まず、組立装置2の要部構成について、以下で説明する。
<組立装置2の要部構成>
図2は、組立装置2を上方から見た概念的平面図である。以下、図1と図2とを参照する。
組立装置2は、複数のロボット部10A、10Bを備えており、ロボット部10A、10Bの間に配置された組立作業台11を備えている。また、ロボット部10A、10Bに隣接して部品等を供給する供給部23、組立装置2の起動、停止等の操作入力を行うための操作部24、および組立装置2の統括制御を行う制御部25A(図1)を備えている。
<ロボット部および組立作業台の概略構成>
一方のロボット部10Aは、基台20Aの上面のほぼ中央に固定されたロボット210Aを備えており、他方のロボット部10Bは、基台20Bの上面のほぼ中央に固定されたロボット210Bを備えている。これらの基台20A、20Bのそれぞれはその平面形状が略矩形であり、それらの矩形の1辺ずつが対向するように所定の間隔を隔てて配置されている。この間隔には、別体の組立作業台11が密着配置されている。基台20A,20Bおよび組立作業台11のそれぞれの上面の高さは同一とされてされており、これらによってほぼ連続する1平面が基準面として規定されている。
このうちロボット210Aは、鉛直軸まわりの2つの旋回自由度の間に、水平軸まわりの3つの回動自由度をアーム結合した6自由度のロボットであり、図2に示すようにその先端腕に相当するメカニカルハンド211Aの作業側端部は、ロボットツール(後述)を着脱可能な着脱マスタ部212Aとなっている。
なお、図2においては図1のメカニカルハンド211Aを水平方向に起こして伸ばした状態が示されており、また図1および図2には、水平XY方向と鉛直Z方向とで構成された絶対座標系XYZが定義されている。
他方のロボット210Bは、鉛直軸まわりの3つの旋回自由度のアーム結合の先端に鉛直軸方向の1つの伸縮自由度を持たせた4自由度のロボットであり、図2に示すようにその先端腕に相当するメカニカルハンド211Bの作業側端部は、ロボット210Aの場合と同様に、ロボットツールを着脱可能な着脱マスタ部212Bとなっている。
これらのロボット210A,210Bの先端は、水平視で図2中に示すような可動範囲RA,RBをそれぞれ有している。このうちロボット210Aの可動範囲RAは一部が欠けた略リング状であり、ロボット210Bの可動範囲RBは一部が陥入した略円形である。
そして、これらの可動範囲RA,RBのそれぞれが組立作業台11の上面のうち、端部を除いた大部分をカバーするように構成されている。特にこの実施形態では、これらの可動範囲RA,RBの相互が組立作業台11上で重なることによって共通可動範囲RCを規定している。この共通可動範囲RCは、2台のロボット210A,210Bが協働できる空間範囲である。後述する冶具ホルダ222および部品検出器223(図2)は、この共通可動範囲RC内に配置されている。
なお、一般には可動範囲RA,RBのそれぞれが組立作業台11の上面の少なくとも一部に重なるように構成されていればよい。
2台のロボット210A,210Bのうち、ロボット210Aは、部品を把持して水平方向にその部品を組み付ける作業を行うことも可能であり、上下方向に部品を組み付ける作業も可能である。また、ロボット210Bは、部品を把持して上下方向に部品を組み付ける作業が可能である。したがって、たとえば上下方向に組み付ける部品についてはロボット210Bを使用し、水平方向に組み付ける部品はロボット210Aを使用するというような機能分担を持たせて協働させることができる。
この実施形態の組立システム1では、供給部23によって、所定の組立体を組み立てる際に必要とされる部品、ロボットツールおよび組立用冶具が組立装置2の外部から可動範囲RA,RB内に自動搬入される。また、自動組立作業によって完成した組立体のほか、新たな種類の組立作業には不用のロボットツールや組立用冶具は、供給部23によって可動範囲RA,RBから組立装置2の外部に自動搬出されるようになっている。
この供給部23は、基台20A、20Bの平面視での矩形の各辺のうち、X方向に伸びる1辺に沿うように配置されており、ロボット部20A、20Bにそれぞれ対応する2つの供給部23A,23B(図1)の直線的な組合わせ配列となっている。
<ロボットツールの例>
図4は、2種類のロボットツールの例を示す斜視図である。図4(a)に示すロボットツール41は、部品等を把持する1つのチャック411、上記の着脱マスタ部212Aに対して着脱自在の連結部412を備えており、この連結部412に固定された板状の支持部材413にはチャック411が装着されてこの支持部材413によって支持されている。連結部412は短尺の円筒形であり、その中央には着脱孔412Hが形成されている一方、支持部材413の側端部からは複数の凸部431aが突出している。
図4(b)のロボットツール42は、着脱孔422Hが形成された連結部422と、複数の凸部423aが突出してなる支持部材423とを備える点では、図4(a)のロボットツール41と同様である。しかしながら、図4(b)のロボットツール42の場合には、互いに異なる把持機能を有する複数(図示例では3つ)の把持機構421A、421B、421Cが、支持板423に連設された中間支持体421Sに並列的に固定されている。
図5は、メカニルハンド211(211A、211B)とロボットツール41との着脱動作を説明する図である。図5(a)は、メカニルハンド211にロボットツール41が結合されていない状態を示し、図5(b)は、結合されている状態を示している。ロボット210Aのメカニカルハンド211Aと、ロボット210Bのメカニカルハンド211Bとは異なる自由度のロボットに設けられているが、それらの着脱マスタ部212A、212Bとのロボットツールとの連結構造は同じである。このため、図5ではロボット210Aのメカニカルハンド211Aと、ロボット210Bのメカニカルハンド211Bとを同じ参照記号211で表現している。また、図4(a)のロボットツール41と、図4(b)のロボットツール42とは、それぞれの把持機構は互いに異なるが、連結部412、422の構造は互いに同一とされるため、この図4においてロボットツール41について説明する事項は、ロボットツール42についても該当する。さらに、図示しない他の種類のロボットツールを使用する場合でも、それらの連結部はロボットツール41,42の連結部412,422と同じ構造とされるため、以下の連結原理はそれらのロボットツールについても該当する。
メカニカルハンド211の先端の着脱マスタ部212は、その中心軸に沿って突出した短尺の円筒形とされた突出部213を有しており、この突出部213の側面の複数箇所に形成された円形孔のそれぞれの内部に、この円形孔よりも若干大きな径を持つ可動球214が収容されている。円筒突出部213の内部にはメカニカルハンド211のアーム内を通して圧空(圧縮空気)が供給されるようになっており、その圧空の供給のON/OFFによって、可動球214が円筒突出部213の側面から出没できるようになっている。
一方、ツール着脱部412の連結部412に設けた着脱孔412Hは、その出口付近が狭まるような逆テーパの傾斜面412aとされており、その開口径が、メカニカルハンド211側の突出部213の外径と適合している。
そして、図5(a)に示す非結合状態では、可動球214は突起部213の内部に収容されている。ところが、図5(b)に示す結合状態では、圧空供給によって可動球214を移動させて可動球214の一部を突起部213の外部に突出させることにより、着脱孔412Hの傾斜部412aに可動球214が係合する。これによって、メカニルハンド211とロボットツール41とが結合されることとなる。以上の動作により、組立作業に必要なロボットツールの交換が可能となる。圧空の供給を停止すると可動球214への付勢力は消失し、メカニカルハンド211を引き抜くことによってロボットツール41をその自重で取り外すことができる。
図6は、メカニルハンド211に結合されたロボットツール42が部品を把持する様子を示す図である。図6に示すように、チャック421Aの先端で板状の部品81を把持し、チャック421Bの先端で円筒コイル状の部品82を保持できる。
<基台および作業台の上の配置部材>
図1および図2に示すように、基台20A、20Bの上面には、ロボットツール41、42を含む複数のロボットツールを保持する複数のツールホルダ221、および後述するトレイ6を位置決めする位置決めプレート224が設けられている。
図7は、ツールホルダ221を示す斜視図である。
ツールホルダ221は、コの字状の折曲げ板として形状されたホルダ本体221aと、ホルダ本体221aの先端に設けられている棒状の4本のツール載置部221bとを有している。各ツール載置部221bの上面には、2つの凹部221cが設けられている。
そして、ロボットツールの凸部413a(423a)が、このツールホルダ221の凹部221cと嵌合することにより、ロボットツールが吊り下げられた状態で保持される。また、同時にツールホルダ221に対するロボットツールの位置決めが行われることとなる。
図2に示すように、複数の位置決めプレート224は、基台20A,20Bの上においてトレイ6を位置決めするためのものであり、水平X方向について所定の単位幅を有するシングルサイズの位置決めプレート224sと、この単位幅の2倍の幅を有するダブルサイズの位置決めプレート224wとの2種類が混在して配設される。
一方、組立作業台11は、平面視で矩形の形状を有する台であり、その奥行き方向(Y方向)の長さは、基台20A,20BのY方向の長さとと整合している。このため、基台20A、20Bによって作業台11を挟むように配置したとき、これら全体として平面視でひとつの矩形を構成する。これによって、後述するようにさらに多くのロボット部や作業台を追加するときに、その配置の自由度を高め、かつ空間的な無駄を防止できるようになっている。
図2に示すように、この作業台11の上面には、後述する組立用冶具を保持する治具ホルダ222が複数設けられるとともに、各ロボット210A,210Bにその作業段階で装着されている各チャックが部品を把持して移送するにあたって、図6に例示するように実際にチャックが部品を把持しているか否かを非接触で検出する部品検出器223が設けられている。
図8は、組立用治具および治具ホルダ222の例を示す斜視図である。図8(a)に示す組立用冶具51は、部品等を保持する部品保持部511および、治具ホルダ222に着脱自在に接続するホルダ接続部512を備えている。図8(b)に示す組立用治具52も、同様に部品等を保持する部品保持部521および、治具ホルダ222に着脱自在に接続するホルダ接続部522を備えている。また、図8(c)に示す治具ホルダ222は、その底面が作業台11の上面に固定されており、組立用冶具52を載置する冶具載置部222aを備えている。この冶具載置部222aは、突起部222bを有しており、この突起部222bがホルダ接続部512、522の底面に設けられている穴(図示せず)に嵌合することで、組立用治具52を保持するとともに、治具ホルダ222に対する組立用治具52の位置決めが行われる。
図9は、上記の組立用治具52を用いて部品を組立てる様子を示す図である。組立用治具52の部品保持部521には、製造すべき組立体の、組立途中の状態に相当する組立途上体83が載置されている。この組立途上体83は、上記の板状の部品81、円筒コイル状の部品82などが所定の位置に組み付けされている。そして、図9は、ロボットツール41のチャック411に保持された部品84を、組立用治具52の上方から降下させて、これらの組立てを行なう段階を例示している。
図10は、部品検出器223を示す斜視図である。部品検出器223は、コの字状の形状であり、発光部223aおよび受光部223bを有している。そして、ロボットツールに把持された部品を、発光部223aから発せられる光FLを横切るようにメカニカルハンドにより移動させる。ここで、部品がロボットツールに把持されていれば、光FLを遮ることとなり、受光部223bでは光FLを検出できない。一方、ロボットツールによる部品の把持が失敗していれば、光FLは遮光物がなく、受光部223bで光FLを検出する。このように、受光部223bでの光FLを監視するすることで、ロボットツールによる部品の把持の検出が行える。
そして、この部品検出器223は、図2に示した各ロボット210A,210Bの共通可動範囲RCまたはその近傍に設置してあることによって、それぞれのロボット210A,210Bにつき、ロボットツールが位置決めプレート224上に載置されて部品の取り出し対象として現に使用されているトレイ(以下「利用中トレイ」)中の部品を順次に把持して組立途上体83の位置(したがって、組立用冶具51および冶具ホルダ222の設置位置)に至るまでの移送経路において、各部品がロボットツールに把持されているか否かを検出可能である。
すなわち、それぞれのロボット210A,210Bにつき、ロボットツールが利用中トレイの部品を把持してピックアップし、そのままの把持状態で組立途上体83に向かって移動するような単方向の移送経路を、それらの経路が共通可動範囲RC内の所定位置を通るように設定しておく。そして、その所定位置またはその近傍に部品検出器223を配置しておくことによって、部品検出器223をたとえば図2のツールホルダ221の近傍にロボットごとに個別に配置するような場合と比較して、少ない数の部品検出器(ここでの例では1つの部品検出器223)によって各ロボットでの部品の把持を検出可能である。
また、上記の比較例では、ロボット210Aが利用中トレイから部品検出器の位置に反時計回りに旋回して部品の把持の検出を行った後、時計まわりに逆旋回して部品を組立途上体83の位置(治具ホルダ222の上の位置)に搬送する、というような往復動作(反転動作)を必要とする。これに対して、この実施形態のように部品の単方向の移送経路(図2のロボット210Aの例では時計まわりに利用中トレイから組立途上体83に向かう単方向の移動経路PA)に部品検出器223を配置することによって、ロボットの往復動作が不要となり、組立タクトの改善に寄与する。ロボット210Bの場合には、利用中トレイから部品検出器223に向かう反時計回りの部品移送経路PBが、「単方向の部品移送経路」に相当する。
ここにおいて、複数の位置決めプレート224の上に複数の使用中トレイがあるため、部品移送経路PA,PBのそれぞれは、どの利用中トレイから部品を取り出すかによってその出発点は異なるが、図2に例示するように、部品検出器223の付近を通る段階でそれらの各ルートは同じ経路に合流する。そして、この部品検出器223を過ぎて組立途上体83の近傍に至ると、組立途上体83にどの方向からその部品を組み付けるかによって、それぞれの方向に分かれるようになる。
この部品検出器223によって、ロボット210Aまたは210Bが部品を保持していないと判定されたときには、当該ロボットは部品トレイの場所に戻って新たな部品をピックアップする。このため、ひとつの部品の保持エラーによってすべての組立作業が完全に停止してしまうことはない。
また、部品検出器223によって、ロボット210Aまたは210Bが部品を保持していないと判定されたときには、図2に示すように共通可動範囲RC内に配置しておいたトラッシュボックスTRの上まで当該ロボットのチャックを移動させてそのトラッシュボックスTRの上でチャックを開く。
すると、仮に部品が傾いたりずれたりしてロボット210A,210Bのチャックに保持されていることによって部品の保持が検出されなかったような場合でも、そのような不良保持状態の部品をトラッシュボックスTRの中に回収することが可能である。
これによって、部品を保持しているいもかかわらず、「部品を保持していない」と判定され、その部品を保持したまま当該ロボットが部品トレイまで戻って新たな部品をつかもうとして元の部品を部品トレイ上に落としてしまい、以後の部品のピックアップを阻害してしまう、という事態の発生を防止できる。
このトラッシュボックスTRも可搬のものとし、最後にロボット210Aまたは210Bで自動的に装置の外部側に移動させるようにすれば、トラッシュボックスTRの回収にあたって人手を要しない。
なお、図10では光FLの遮断を検出する光透過式の例を示したが、これに限らず、検出対象物(部品)に光を照射し、その反射光を監視することで部品を検出する反射式の検出器であってもよい。また、部品の把持の有無をカメラによる画像処理によって検出しても良い。
<供給部23の構成>
図2の供給部23は、部品等を載置するトレイ6を搬送するトレイ搬送部231(図11(a))、搬送するトレイを交換するトレイ交換部232(同じく図11(a))2、およびトレイの識別を行うトレイ識別部233(図12)を備えている。
図11(a)は、図2のXI−XI断面を示す図である。
トレイ搬送部231は、トレイ6を保持して水平方向Yに往復移動するトレイ保持部231aと、トレイ保持部231aと連結してトレイに水平Y方向への往復駆動力を与える駆動部231bとを有している。トレイ保持部231aは、トレイ6を保持できるとともに保持解除できる機能を有している。このトレイ保持部231aは、位置決めプレート224sに対応した幅のシングルサイズのトレイを保持する第1トレイ保持部231a-1(図1)と、位置決めプレート224sの2倍の幅を持つダブルサイズのトレイを保持することができる第2トレイ保持部231a-2とを含んでいる。また、図11(a)の駆動部231bは、エアー駆動によりレール231cに沿って移動できるようになっている。そして、トレイ保持部231aで保持されたトレイが、基台20A上のトレイを位置決めする位置決めプレート224の直上に搬送されると、保持部231aでの保持を解除して位置決めプレート224の位置決めブロック224b(図13(a))とトレイ6の位置決め溝61(図13(a))とを嵌合させて、ロボット210Aに対するトレイ6の位置が定められる。
トレイ交換部232は、トレイ保持部231aと同様の構成のトレイ保持部232aと、積み重ねられたトレイ6を下方から支持する支持プレート232bとを備えている。さらに、支持プレート232bにその上端部が連結する支持ポール232cと、支持ポール232cを昇降させる昇降用モータ232dとが設けられている。
部品がなくなったトレイまたは完成後の組立体で一杯になったトレイ(以下「使用済トレイ」)を他のトレイ(以下「次使用トレイ」)と交換するときには、次の動作を行う。
(1)昇降用モータ232dの動作により支持プレート232b上に積み重ねられたトレイ群を上昇させて、最下段のトレイ6Lをトレイ保持部232aで保持する(図11(b)参照)。
(2)駆動部231bの動作により支持プレート232bの直上まで使用済トレイ6Aを移動させる(図11(b)参照)。
(3)トレイ保持部231a、232aの保持解除を行い、支持プレート232bの上に全トレイを載置する。そして、昇降用モータ232dの動作により全トレイを降下させ、最上段の次使用トレイ6Bをトレイ保持部231aで保持し、位置決めプレート224Aまで搬送する(図11(a)参照)。
以上の動作により、トレイ交換が可能となる。
図12は、トレイ識別部233の動作を説明する図である。
トレイ識別部233は、バーコード読取り部を有するスキャナ233aと、このスキャナ233aを水平X方向に往復移動させるスキャナ移動部233bとを備えている。スキャナ233aは、トレイ6の外面に付された標識(バーコード)BCを検出して、各トレイ6に載置された部品等の被収容物の種類を識別する。すなわち、各トレイ6の端面には、当該トレイ6上に載置されている被収容物の種類ごとにあらかじめ割り当てられたバーコードBCが貼付されており、そのバーコードBCによって当該トレイが保持している被収容物が識別されるようになっている。これにより、搬送すべき被収容物が収容されているトレイを確実に搬送できる。また、スキャナ駆動部232bを駆動させ、スキャナ233aを矢印SCの方向に移動させることで、一度に複数のトレイ6の識別を行える。
なお、トレイ積層体中の他の段のトレイについてその被収容物を識別するにあたっては、図11の支持プレート232bによってトレイ積層体を上昇または下降させ、その段のトレイのバーコードBCをスキャナ233aの読取りヘッドの高さにしておいた状態でスキャンを行う。
実行しようとしている組立作業プロセスで必要な部品などのリストはそのコードとともにあらかじめ制御部に登録されており、スキャナ232aによって読取られたバーコードBCのコード番号が登録コードに一致していればトレイ6の置き間違いはないと判断して、作業プロセスを続行する。逆にバーコードBCのコード番号が登録コードに一致していなければトレイの置き間違いであるとして、作業プロセスを中断し、警告音などを発することにより、トレイの置き間違いをオペレータに通知する。
次に、トレイ6の説明を以下で行う。
図13は、図1のX方向について所定の単位幅を有するシングルサイズのトレイ6sを、ダブルサイズの位置決めプレート224wに対して位置決めする状況を説明する図である。
トレイ6sは、シングルサイズの位置決めプレート224sに対応するもので、その底部の端辺に第1の局所形状としての複数の位置決め溝61を有している。また、ダブルサイズの位置決めプレート224wは、その外周に沿って突出した8つの位置決めブロック224bを、上記第1の局所形状に対応する第2の局所形状として有している。そして、図13(a)に示すように、ダブルサイズの位置決めプレート224w上に2つのトレイ6sを配列して、それぞれ対応する位置決め溝61と位置決めブロック224bとを相互に合させることで、図13(b)に示すような位置決めが行われる。
なお、図13は示されていないが、シングルサイズの位置決めプレート224s(図2)については縦横2個ずつ計4個の位置決めブロック224bが突出形成されており、シングルサイズのトレイ6sを1個だけ位置決めされた状態で載置できる。
図14は、単位幅の2倍の幅を有するダブルサイズのトレイ6wを位置決めプレート224wに対して位置決めする状態を説明する図である。
図14(a)に示すトレイ6wは、位置決めプレート224wと平面的に同サイズであり、複数の位置決め溝61を有するとともに、位置決めブロック224bより若干大きい溝幅を持った複数の位置決めブロック逃し溝62を有している。位置決めブロック逃し溝62は、トレイ6wの熱収縮等により、トレイ6wの溝の間の間隔Saと位置決めプレート224wのブロック224bの相互間隔Sbとが一致しなくなった場合に、全ての位置決めブロック224bが適正に嵌合できなくなるのを防止するために設けられている。そして、位置決めに関与する位置決め溝61は、トレイ6wのXY各2方向についての中心線を通る位置に配置して、それ以外は、位置決めブロック逃し溝62としている。これにより、上記のトレイ6sの位置決めと同様に、それぞれ対応する位置決め溝61および位置決めブロック224bを嵌合させることで、図14(b)に示すような位置決めが行われる。
図15は、トレイの構成を示す図である。
図15(a)に示すダブルサイズのトレイ6wは、硬質プラスチックなどで形成されている比較的硬質のトレイ本体60wの中に、発泡樹脂の成型品などのような比較的軟質の材質で構成された中子65wが着脱自在に収容されて構成されている。中子65wは、部品や完成後の組立体などの被収容物を整列させ、トレイ内での位置決めを行うもので、厚みのある板状の形状を有し、複数の被収容物を整列させる整列孔651を有している。また、トレイ本体60wはその内側の隅に位置決めブロック224bが複数設けられており、一方、中子65wには、これらのブロック224bに対応する位置決め溝652が設けられている。そして、上記の位置決めプレート224wに対するトレイ6wの位置決めと同様に、位置決め溝652によりトレイ本体60wに対する各整列孔651の位置決めがなされる。
図15(b)に示すシングルサイズの中子65sは、水平X方向について上記の中子65wの半分の大きさであり、その上部に整列孔653を有している。シングルサイズのトレイ6sも、硬質プラスチックなどで形成されている比較的硬質のトレイ本体60sの中に、発泡樹脂の成型品などのような比較的軟質の材質で構成された中子65sが着脱自在に収容されて構成されている。
ダブルサイズのトレイ6wについては、図15(b)に示すように2つのシングルサイズの中子65sを収容することもできる。各中子6w、6sに同数の部品などを収容する場合には、シングルサイズの中子65sの整列孔653は、ダブルサイズの中子65wの整列孔651に比べて小さくなるめ、比較的小型の部品などを保持するのに適している。
図16は、部品や完成済の組立体がトレイ6wに整列される例を示す図である。
図16(a)に示すように、中子65wの整列孔651aのそれぞれに部品84が挿入されることで、整列が行われる。ここで、整列孔651aの形状は、部品84の形状に対応しており、これにより部品84の位置が整列孔651aによって規制される。図16(b)に示すように、部品81についても、その形状に対応した整列孔651bを有する中子65wにより、トレイ6wに整列される。
また、図16(c)に示す組立体85については、上記の整列孔651a、651bの代わりに整列突起651cにより整列が行われる。ここでは、整列突起651cの間に、組立体85が挟み込まれて固定されることとなる。なお、図16(a)および図16(b)に示すトレイを部品用トレイ、図16(c)に示すトレイを組立体用トレイと呼ぶこととする。
図17は、ロボットツール42がトレイに載置される例を示す図である。
図17(a)に示す中子66は、複数の位置決め溝662を有する中子本体661と、中子本体661の上面に接続するツール載置部663を備えている。ツール載置部663には、ツールホルダ221と同様に、複数の凹部664が設けられている。この凹部664にロボットツール42の凸部423aが嵌入されることにより、ロボットツール42の位置を規制して保持できる。そして、図17(b)に示すように、中子66に固定されたロボットツール41は、トレイ本体60wに収容される。
図18は、組立用治具がトレイに載置される例を示す図である。
図18(a)に示す中子67は、複数の位置決め溝672を有する中子本体671と、中子本体671の上面中央に配置させる突起部673を備えている。組立用冶具51、53、54の各ホルダ接続部512、532、542の底面に設けられている穴(図示せず)に突起部673が嵌合することで、各組立用冶具が中子67に固定できる。そして、図18(b)に示すように、中子67に固定された組立用冶具51は、トレイ本体60sに収容される。なお、この図18および上記の図17に示すトレイを組立ツール用トレイを呼ぶこととする。
<制御構成>
図3は、組立装置2の要部の機能ブロックを示す図である。
操作部24は、CPUおよびメモリを有する制御部25A、25Bに電気的に接続している。また、制御部25A(25B)は、ロボット部20A(20B)のコントローラ219A(219B)、供給部23A(23B)のコントローラ239A(239B)、およびインターフェース部26A(26B)と電気的に接続している。コントローラ219A、239A(219B、239B)もまた、CPUおよびメモリを有している。コントローラ219A(219B)は、ロボット210A(210B)と接続し、コントローラ239A(239B)は、トレイ搬送部231A(231B)、トレイ交換部232A(232B)およびトレイ識別部233A(233B)に接続している。
なお、コントローラ219A、219Bがロボット制御手段として、制御部25A、25Bがツール管理制御手段および組立制御手段としての機能を担っている。
操作部24は、起動ボタン、停止ボタン等を有するとともに、組立装置2の起動状況を表示するディスプレイを有している。
制御部25A、25Bは、それぞれのCPUおよびメモリの協働によって、操作部24におけるオペレータの操作に応答して組立装置2の各可動部をトータルに制御する役目を担っている。
インターフェース部26A、26Bは、制御部25Aに関する制御データが書込まれた記録媒体を読み込めるようになっている。なお、インターフェイス部26A、26Bに伝送線を接続し、この伝送線を介して設計支援装置3から制御データを受信するようにしてもよい。
<設計支援装置3の構成>
図19は、設計支援装置3を示す斜視図である。
設計支援装置3は、装置本体31、ディスプレイ32、キーボード33、およびマウス34を備えている。
図20は、設計支援装置3の機能ブロックを示す図である。
設計支援装置3は、制御部35を有するとともに、制御部35に電気的に接続する表示部36、操作入力部37、インターフェイス部38およびデータベース部39を有している。
制御部35は、上記の装置本体31の内部に設けられ、CPUおよびメモリを有している。
表示部36は、上記のディスプレイ32に相当し、制御部35の指令に基づき各種画面の表示を行う。
操作入力部37は、キーボード33とマウス34とに相当し、オペレータによる操作が可能である。
インターフェイス部38は、制御部35で処理されたロボットの制御データ等を記録媒体に出力する。なお、インターフェイス部38に伝送線を接続し、この伝送線を介して組立装置2の制御部242A、242Bに制御データを送信してもよい。
また、データベース部39については、部品ごとの取扱い動作を類型化して定義した動作モジュール39aをデータベースとして記憶装置内に記憶している。
※<組立システム1の動作>
<組立装置2の動作>
図21は、組立装置2の動作の概要を説明するフローチャートである。以下、同図を参照して、その基本動作を説明する。
ステップS1では、ロボットツールおよび組立用冶具で構成される組立ツールをロボットの可動範囲RA、RB内に自動搬入し、そのセッティングも自動で行う。
ステップS2では、ステップS1で搬入した組立ツールを用い、ロボット210A、210Bにより複数の部品を順次に組み立てる組立作業を所定回数繰り返して行う。
ステップS5では、組立作業の終了により不要となる組立ツールをロボットの可動範囲RA、RBから搬出する。
ステップS6では、組立製品の品種切替を行うかを判定する。品種切替を行う場合にはステップS1に戻り、同様の手順で組立作業を続行する。これにより、異なる品種でも組立ツールの交換を人手に頼らずに連続して組立作業を行うことができる。
図22は、組立ツールの搬入の動作を説明するフローチャートであり、図21に示すフローチャートのS1に対応する。
ステップS11では、組立ツール用トレイの選択を行う。つまり、トレイ交換部232にて、組立ツール用トレイを選択する。なお、トレイ識別部233により、所定の組立ツール用トレイが選択されていなければ、アラームを発信する。
ステップS12では、ステップS11で選択した組立ツール用トレイの搬送を行う。ここでは、トレイ搬送部231を駆動させて、組立ツール用トレイをロボット210A,210Bの可動範囲RA、RB外から可動範囲RA、RB内の位置決めプレート224の場所まで搬入する。これにより、複数種類のロボットツールを搬入できる。
ステップS13では、組立ツール用トレイがロボットの可動範囲RA、RB内まで搬入されたかを判定する。ロボットの可動範囲内まで搬入されている場合にはステップS14に進み、搬入されていない場合にはステップS12に戻る。
ステップS14では、ロボット210A,210Bによる組立ツールの自動セッティングを行う。つまり、まず、初期状態において既にツールホルダ221に載置されている複数種類のロボットツールのなかから予め選択されているロボットツールをメカニカルハンド211A、211Bに装着する。そして、ロボット210A,210Bの可動範囲RA、RB内に搬入された組立ツールすなわちロボットツールおよび組立用冶具は、ロボット210A,210Bによって所定の場所つまりツールホルダ221および冶具ホルダ222の位置までそれぞれ移送されて配置される。
ステップS15では、セッティングが完了したかを判定する。つまり、搬入された全ての組立ツールのセッティングが完了している場合にはステップS16に進み、完了していない場合にはステップS14に戻る。
ステップS16では、トレイ搬送部231を駆動させて、全ての組立ツールのセッティングの完了により空になった組立ツール用トレイを、ロボット210A,210Bの可動範囲RA、RB内から、可動範囲RA、RB外の位置まで搬出する。
ステップS17では、空のトレイがトレイ交換部23まで搬出されたかを判定する。トレイ交換部23まで搬出されている場合にはステップS2に進み、搬出されていない場合にはステップS16に戻る。
図23は、組立作業の動作を説明するフローチャートであり、図21に示すフローチャートのS2に対応する。
ステップS21では、部品用トレイの選択を行う。つまり、トレイ交換部232にて、積層された複数の部品トレイのうちその時点で最上部にある部品用トレイを選択する。なお、トレイ識別部233により、所定の部品用トレイが選択されていなければ、アラームを発信する。
ステップS22では、その部品用トレイの搬送を行う。具体的には、トレイ搬送部231を駆動させて部品用トレイを、ロボット210A,210Bの可動範囲RA、RB外から可動範囲RA、RB内の位置決めプレート224の場所まで自動搬入する。
ステップS23では、ロボット210A,210Bの可能範囲RA、RB内まで搬送したかを判定する。可能範囲内まで搬送されている場合にはステップS24に進み、搬出されていない場合にはステップS22に戻る。
ステップS24では、搬入された部品用トレイの位置決めを行う。つまり、位置決めプレート224により、部品用トレイをロボットの可能範囲RA、RB内で位置決めする。
このような部品用トレイの搬入は、部品の点数に応じた数の部品用トレイを並列的に自動搬送するように実行され、これによって組立作業に必要な各部品がロボット部10A,10Bに近傍に配置されて組立作業が開始できる状態になる。
ステップS25では、ロボット210A,210Bによる部品の組立作業を開始する。
ステップS26では、トレイ内の部品を取出して組立を行う。具体的には、部品の種類などに応じて適宜ロボットツールの交換を行い、搬入されたトレイ内の部品をロボット210A,210Bを交互に使用してピックアップし組立用冶具で移送して組立を行う。なお、必要に応じてロボット210A,210Bの一方を連続して使用することもできる。また、一連の組立作業の途中でロボットツールの交換が必要になったときには、ロボット210A(210B)は、ツールホルダ211上に待機している他のロボットツールと現在のロボットツールとを交換する。すなわち、組立体の組立段階に応じてロボットツールはロボット210A(210B)自身によって自動交換される。
ステップS27では、部品用トレイ内の部品が組立作業の進行に伴って、空になったトレイがあるかを判定する。空になっている場合にはステップS28に進み、空でない場合にはステップS36に進む。
ステップS28では、空になった部品用トレイをロボット210A,210Bの可動範囲RA,RBからトレイ交換部232まで自動搬出する。
ステップS29では、空になった部品用トレイ(使用済トレイ)と、別の部品が載置されている部品用トレイ(次使用トレイ)とをトレイ交換部232にて交換する。
ステップS30では、ステップS29で交換され、部品が載置されている次使用の部品用トレイをロボット210A,210Bの可動範囲RA,RBまで搬入する。
通常は各部品用トレイに同数の部品が収容されているため、ひとつの部品用トレイ内の部品が空になるときには他の部品用トレイも空になるため、複数の部品用トレイが次使用の部品用トレイと時間的に並行して交換されるが、各部品用トレイが空になるタイミングが異なる場合は、いずれかの部品トレイが空になる都度、その部品用トレイについての自動搬出とトレイ積層体の最下段への収容、最上段の部品トレイの自動搬入という、一対の動作が連続して行われ、それが完了するまではロボット210A,210Bによる組立プロセスの繰返しは一時中断して待機状態となる。
ステップS31以下は、上記のステップS26〜S30に対して並行動作となる。
すなわち、ステップS31では、ひとつの組立体が完成すると、それをロボット210Aまたは210Bにより組立体用トレイ内に移送する。この組立体用トレイは、あらかじめ空状態で位置決めプレート224のいずれかの位置に部品用トレイと並行して自動搬入されている。
ステップS32では、ステップS31の組立体移送の繰返しによって組立体用トレイが一杯になったかを判定する。一杯になっている場合にはステップS33に進み、一杯でない場合にはステップS36に進む。
ステップS33では、組立体で一杯になったトレイをロボット210A,210Bの可動範囲RA,RBからトレイ交換部232まで自動搬出する。
ステップS34では、トレイ交換部232にて組立体で一杯になった組立体用トレイと空の組立体用トレイとを交換する。
ステップS35では、空の組立体用トレイをロボット210A,210Bの可動範囲RA,RB内まで自動搬入する。
ステップS36では、その品種の組立作業がすべて完了したかを判定する。完了している場合にはステップS37に進み、完了していない場合にはステップS26、S31に戻る。
ステップS37では、ロボット210A,210Bの可動範囲RA,RB内にある全てのトレイを自動搬出する。
ステップS38では、トレイ交換部232まで全てのトレイが搬出されたか否かの判定を行う。搬出されている場合にはステップS5に進み、搬出されていない場合には、ステップS37に戻る。
図24は、組立ツールの搬出の動作を説明するフローチャートであり、図21に示すフローチャートのS5に対応する。
ステップS51では、トレイ交換部232にて空の組立ツール用トレイを選択する。なお、トレイ識別部233により、所定のトレイが選択されていなければ、アラームを発信する。
ステップS52では、空の組立ツール用トレイをロボット210A,210Bの可動範囲RA,RB内まで搬入する。ここでは、トレイ搬送部231を駆動させてトレイを搬送する。
ステップS53では、空の組立ツール用トレイがロボット210A,210Bの可動範囲RA,RB内まで搬入されたか否かを判定する。搬入されている場合にはステップS54に進み、搬入されていない場合にはステップS52に戻る。
ステップS54では、搬入された空の組立ツール用トレイに、ロボット210A,210Bによって組立ツールを返却する。
ステップS55では、ロボット210A,210Bによる組立ツール用トレイへの返却が完了したかを判定する。完了している場合にはステップS56に進み、完了していない場合にはS54に戻る。
ステップS56では、返却された組立ツールをトレイ搬送部231を駆動させて搬出する。
ステップS57では、組立ツールを載置したトレイがトレイ交換部232まで搬出されたかを判定する。搬出されている場合にはステップS6に進み、搬出されていない場合にはステップS57に戻る。
以上の動作により、部品だけでなく、組立ツールもロボット210A,210Bの可動範囲RA,RB内まで自動搬入され、また完成後の組立体だけでなく、品種変更によって不用になった組立ツールもロボット210A,210Bの可動範囲RA,RBからその外部まで自動搬出されるため、組立装置2によって多品種少量生産を効率的に行えることとなる。
また、正常な稼働状態ではロボット210A,210Bの可動範囲RA,RB内にオペレータの人手が入ることがないため、ロボット210A,210Bの動作によって危険が生じることもない。
特に、減速機を使用したロボットでは出力トルクが大きいため、できるだけその可動範囲内にオペレータが入らないようにすることが安全上で好ましいが、この実施形態の装置ではこのような要請にも合致したものとなっている。
<設計支援装置3の動作>
図25は、設計支援装置3の動作の概要を説明するフローチャートである。以下、同図を参照して、その基本動作を説明する。
ステップS81では、動作モジュールをデータベースから選択して、各工程の動作を入力する。
図26は、各工程の動作を入力する画面321の例を示す図である。この画面321は、各工程を概略フローを表示する工程表示画面322、および各工程の動作を入力する工程入力画面323を有している。
工程表示画面322は、各工程を連番で表示した工程番号表示322aと、各工程で取り扱う部品の画像322bとを含んでいる。この工程表示画面322により、操作者は組立で使用する部品を視覚的に確認できる。
また、工程入力画面323は、番号入力部323aおよび複数の選択ボタン323bを有している。番号入力部323aは、工程番号を入力するためのもので、キーボード33の操作により工程番号を入力する。また、選択ボタン323bは、データベース部39に記憶されている複数の動作モジュールから、必要なデータを選択するためのボタンである。選択ボタン323bをマウス34の操作によりクリックすると、複数の選択可能なデータの表示323cが現れ、表示323cにおいて複数のデータの中から選択するデータをマウス34の操作により選ぶことでデータ入力が行われる。
ステップS82では、選択された動作モジュールに基づき、各工程の実行タイミングを演算する。この演算は、制御部35のCPUにより実行される。このために、各動作モジュールは、たとえばその部品の1回の組付けに必要な一連の動作など、各単位動作に必要なロボットの動作とその動作に要する時間などの情報を含んで構成されている。これらは類型化されているが、その意味は以下の通りである。
すなわち、たとえば部品としてのネジを上方からねじ込む場合には、そのネジのサイズが多少異なっても、その組付け動作としてはほとんど同じような内容となる。したがって、データベース上ではそれらを区別せず、基本的な動作形態が類似した動作はひとつの動作モジュールとして定義して登録している。
また、特定の方向からバネを所定の孔に挿入するというような場合も、そのバネの巻数がどうであるかというような事項は捨象して、共通の類型に属する動作としてひとつのモジュールとすることができる。
このように、類似の動作を類型化しておくことによって、組立プロセスの組立が容易になり、迅速かつ正確な設計が可能になる。
ステップS83では、各工程を時間軸に沿って表示する。
図27は、ロボットの動作フローを表示する画面324の例を示す図である。画面324は、作業開始からの経過時間を表示する時間表示部324aおよび各工程ごとの所要時間を表示する棒グラフ324bを含んでいる。この画面324におけるグラフィック表示により各ロボットの稼働状況などを視覚的に把握できる。
また、図27に示すように各工程で組み付ける部品の画像を棒グラフ324bに付随させて表示することによって、その工程がどの部品に関するものであるかを容易に理解できる。なお、各工程のすべてにつき、その部品の画像が付随して表示されるが、図27では図示の便宜上、一部の工程についてのみ部品画像の表示を示している。
ステップS84では、1つの組立体の組立にかかる全所要時間(タクトタイム)を演算して数値表示する。具体的には、図27における表示324cに示すように、ステップS82で演算された各工程の実行タイミングに基づき、ディスプレイ32に表示される。
ステップS85では、干渉防止の待機時間を演算して表示する。具体的には、図27の表示324d(平行斜線で示す)に示すように、ロボット210A、210Bが干渉領域に入る時間帯を他の時間帯と区別可能に表示する。すなわち、共通可動範囲RCはロボット210A,10Bが相互に干渉し得る干渉領域になっているため、この共通可動範囲RCに一方のロボットが入っているときには他方のロボットはその外部で待機することが好ましい。そこで、共通可動範囲RCに入ったロボット以外のロボットの待機すべき時間帯が把握でき、時間軸において表示324dが重複しないように演算を行うことで、ロボット同士の衝突を防止できる。具体的には、当該ロボットが部品などを保持して共通可動範囲RCに入ろうとするとき、相手側のロボットが共通可動範囲RC内にあるときには、その相手側のロボットが共通可動範囲RCから出るまでの時間を計算して、それを待機時間として表示する。
このような選択と表示によって得られたシーケンスが満足できるものでない場合、たとえばタクトタイムが所望のものよりもかなり長くなっており、かつ一方のロボットの待機時間が過大であるような場合には、各動作に使用するロボットを変更するなどの修正を行えば、その修正後の動作シーケンスが表示され、最終的にプロセス設計者が満足する結果が得られた段階で動作シーケンスを確定する。
ステップS86では、このようにして確定した動作シーケンスにつき、それに対応する制御データをインターフェイス部38における可搬性の記録媒体に出力するかを判定する。出力する場合にはステップS87に進み、出力しない場合にはステップS81に進む。
ステップS87では、ロボットで使用する制御データをインターフェイス部38における記録媒体に出力する。これにより、設計支援装置3における入力された組立作業に関する制御データを記録媒体を介して組立装置2に入力できる。
なお、このような動作シーケンスの伝達は、組立装置2と設計支援装置3とをオンライン接続してオンライン通信で行ってもよい。
以上の動作により、設計支援装置3によって、ロボットによる効率的な多品種少量生産の設計支援が可能となる。
<ロボット配置の他の例>
上述の組立装置2は、2台のロボット210A、210Bを有しているが、この発明は種々の態様で実現可能である。すなわち、図28に示すように1台のロボット210と、それに隣接させた1つの作業台11,それにひとつの供給部23によって構成される装置が最小限のユニットとなるが、図29に示すように、種々の配列が可能である。
図29に示すいずれの場合も、隣接するロボットの対の間に作業台11があり、その作業台11の少なくとも一部はそれら隣接するロボットの可動範囲内に入っている。したがって、どの作業台11においても複数のロボットの協働が可能である。
特に、動作自由度が異なるロボット210P、210Qを1次元的(図29(a))または2次元的(図29(b))に交互配置した場合には、どの作業台11でも、異なる動作自由度のロボット210P、210Qの協働が可能になるという利点がある。
また、平面視で矩形の基台を使用することによって、このような配置を実質的な隙間無く行うことが可能になり、スペースの有効利用が図れる。
したがって、この発明の装置は、高効率の生産性を有するとともい、安全性も高く、フレキシビリティに富んだシステムとなっている。