以下に、本発明の実施形態(本例)を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本例のバルブ自動組立システムの構成を模式的に示した模式平面図である。本例のシステムは、同図上側の第1セルC1と、同図下側の第2セルC2から成っており、第1セルC1は、第1基台T1を含み、第2セルC2は、第2基台T2を含んでいる。なお、セルC1、C2とは、ロボットR1、R2の作業空間を形成する空間的な領域を意味しており、第1セルC1は内部に第1可動領域E1を含んでおり、第2セルは第2可動領域E2を含むと共に、ロボットが配設されている基台や、ロボットハンドと直接連携する専用機や周辺機器に必要となる作業スペースも含む意味である。
先ず、本発明の自動組立システムで用いるロボットと、図5に示すバルブ(組立体)を説明する。本例の小型の第1ロボットR1及び大型の第2ロボットR2は、何れも同一種類の製品であり、垂直方向に立設されて占有スペースが少なく、6自由度以上など、組立対象物の組立作業に必要となる3次元空間作業に必要最小限の動作自由度を備え、人手による作業プロセスを代替するために一般的に用いられている垂直多関節型の産業用ロボットを用いている。特に、組立体として後述するバルブ本体(ボールバルブ30)を自動生産する場合など、取り扱うワークが比較的軽量小型であって、作業スピードにそれほどシビアな要求がない場合には、垂直多関節型が好適とされている。
具体的には、第1ロボットR1は、「UNIVERSAL ROBOTS(デンマーク)」社製の「UR3」製品を用い、第2ロボットR2は、同社の「UR10」製品を用いている。後述する本例のバルブを構成するバルブ部品とバルブ本体部品のそれぞれの特性上、少なくとも、第1ロボットR1は第2ロボットR2より小型のもので済ませることが好適である。ただし、R1、R2は、本例のような同一種の大小一対の製品に限定されず、互いに異なるタイプを用いても良く、さらに実施形態によっては、水平多関節型ロボットなど、他のタイプのロボットを適宜用いてもよく、ロボットR1とR2の製品の選択と組み合わせは、実施に応じて適宜選択可能である。
第1ハンド部2は、第1ロボットR1の多軸アームの先端部位に設けられており、その構成は、実施に応じて任意に選択可能であるが、本例では、エンドエフェクタとして、2つのチャック手段を備えている。具体的には、図示していないが、当該先端部位からL字状に2又方向に向けて、内掴み又は外掴み可能な3爪チャック手段と、円錐テーパ状のテーパチャック手段とが備えられ、使用に応じて互いに回転して入れ替わり対象物を適宜に扱うことが可能となっている。
第2ハンド部3も同様に、第2ロボットR2の多軸アームの先端部位に設けられ、その構成は実施に応じて任意に選択可能であるが、本例では、エンドエフェクタとして、4つのチャック手段を備えている。具体的には、図示していないが、当該先端部位から3角錐状に拡がる3方向に向けて、内掴み又は外掴み可能な2つの3爪チャック手段と1つの2爪チャック手段とが備えられていると共に、当該先端部位から軸心方向に向けて適宜のエア吸引によるバキュームチャック手段が備えられ、第1ハンド部2と同様に対象物を適宜に扱うことが可能となっている。
このように、本発明のロボットハンド部2、3には、シンプルなチャック手段のみが備えられ、対象物の運動を拘束する所謂Grasp機能と、対象物に外力を与える所謂Apply機能(組立機能)を有しており、例えば、嵌合やねじ込み作業、或はより複雑な加工作業など、高度な動作や加工手段が要される作業は適宜専用機に適宜委ねて分担させることにより、ロボットの動作は簡略化されているので、ロボットと専用機との作業バランスを適切に分配して組立作業の効率化が図られていると共に、前記「UR製品シリーズ」など、近年普及が進んでいる汎用製品を用いて容易にシステム構築が可能である。
本発明のシステムの組立対象物としてのバルブを構成する部品群は、第1基台T1において第1ロボットR1に供給されるバルブ部品と、第2基台T2において第2ロボットR2に供給されるバルブ本体部品とに分けられている。
一般的に、バルブは、ボデー(弁箱)と弁体を主要な部品としており、これらは、他の部品に比べて特に重量と容積が大きい場合が多い。本発明のバルブ部品は、少なくともこのようなボデーと弁体を除いて、以下に説明するように、他の部品に組み込まれることになる組込部品(比較的小型で軽量の部品が多い)を含む。また、小型で軽量かつ損傷し易い軟質な場合が多いシール部材も、バルブ部品に含まれている。このため、本例では、小型軽量の部品群を扱う第1ロボットR1は、第2ロボットR2よりも小型(本例においては3/10程度の最大荷重)で済ませることができる。
これに対して、本発明のバルブ本体部品には、少なくともボデー及び弁体が含まれる。また、このような重量容積の相対的に大きいボデーや弁体を扱うため、第2ロボットR2は、第1ロボットR1と比較して大型のものを用いている。
図5に示すように、本例の具体的な組立対象物は、フルボアタイプで小径のねじ込み式ボールバルブ30(1/2インチ、3/4インチ、1インチの3品種)である。このボールバルブ30の構成部品は、ボデー31、ボール32(弁体)、同一の2つのボールシート33、2つのOリング36と1つのスラストワッシャー37が組み込まれるステム34、及び1つのボールシート33が装着されたインサート35から成る。
図5において、ボデー31は、軸心方向に1次・2次流路が弁室を介して直線状に穿設された大略筒形状であり、全体が一体形成されたワンピース構造の鋳造品である。他の全ての部品に対して最大の重量と容積を有し、ボールバルブ30の組み立てプロセスにおいては、他の全ての部品がその内部に組み込まれる部品である。ボデー31内には、略球形で流路と略同径の流路孔32aが直線状に貫通した金属製ボール32(弁体)が組み込まれる。このボール32も、流路の内径に近い外径を有し、他の部品と比較して重量と容積が大きい。また、流路の内周面の開口側には、後述のインサート35が螺着可能な所定のメネジ31aが設けられている。
ボールシート33は、本例のボールバルブ30においては同一の部材が対で2つ用いられ、流路径より大きく所定の樹脂製で環状に一体形成された弁座シール部材であり、ボール32側となる片面の内径側にテーパ状のシール面33aを有しており、フローティング型である本例のボールバルブ30の組み立て状態においては、後述のインサート35のねじ込みで締め付けられた状態となり、このシール面33aがボデー31の弁室内に組み込まれたボール32の外周面を流路の1次・2次両側から抱きかかえるようにシール圧接した状態となる。
部品組み付け前のステム34本体は、金属製で一体形成された略短円柱状であり、ボデー31内に流路交差方向に向けて形成された軸装穴31bに軸着される。図5(a)に示した組み立て状態において、ステム34下側に平行2面幅状に一方向に向けて形成された断面略矩形状の嵌合凸部34bが、ボール32の軸装穴31b側となる外周の一部に流路孔32aに対して交差方向に向けて切り欠き状に設けられた断面略矩形状の嵌合凹部32bと係合することにより、ハンドルなどを介した外部からの回動力を受けてボール32と供回り可能に設けられ、この供回りによってバルブを開閉する部品であり、このステム34本体と軸装穴31bとの間には、1つのスラストワッシャー37と、軸封用として2つのOリング36が介装されるので、ステム34本体には、後述するように、予めこれらのワッシャー37とOリング36が組み付けられる。なお、ステム34上側にも、図示しないアクチュエータの回転駆動軸などが係合可能な係合凸部34aが突設形成されている。
部品組み付け前のインサート35本体は、外周に所定のオネジ35aが形成された金属製の略リング状であり、内径側にはボールシート33の一つを装着可能な内径凹部35bが形成されており、図5(a)に示すように、上記他の全ての部品群がボデー31内部に組み込まれた後、ボデー31の流路方向にボール32に向けてねじ込まれ、このねじ込みによってボールシート33の一方を背面側から締め付けることにより、ボール32が弁室内で1対のボールシート33により両側から締め付けられて必要な弁座シール機能を発揮させると共に、ボールバルブ30の組み立てが完了する。なお、図5(b)において、インサート35の外側には、ねじ込みの際に用いる係合溝35bが切欠き形成されている。
上記ボールバルブ30においては、Oリング36とボールシート33はシール部材であり、ステム34本体に組み付けられるスラストワッシャー37、ステム34本体とインサート35本体は、何れも組込部品であり、これらシール部材と組込部品とは、何れもバルブ部品に含まれる。一方で、ボール32とボデー31はバルブ本体部品に含まれる。
次いで、基台上に配備された各組立部と各部品供給部を説明する。図1において、本例の基台T1は、略矩形状であって、略中央位置には第1ロボットR1が配備されており、この第1ロボットR1の第1ハンド部2が到達して作業可能な第1可動領域E1を一点鎖線で示している。ロボットR1の稼動は方向性無く360度全方向に対して同様に行えるため、領域E1は略円形であり、基台T1上のほぼすべての領域をカバーしており、例えばE1の直径と基台T1の一辺の長さを同程度にするなど、基台T1の台上領域と領域E1とが無駄なく重複する程度に構成すれば、セルC1に必要な作業スペースをコンパクトに構成できる。
図1において、基台T1上には、前記バルブ部品が供給されるバルブ部品供給部が配備されている。本例のバルブ部品供給部は、ステム供給部4、ボールシート供給部5、インサート供給部6と、ワッシャー供給部7、及びOリング供給部8から成る。
ステム供給部4は、同図においては基台T1左上の略直角のコーナー部分に適合した略矩形状領域に、所定の搬送路として設けられている。このステム供給部4に供給される本例のステムは、図5(a)に示したステム34本体であり、略矩形状の部品コンテナ内に個々のステムが格子状に整列保持された状態で供給されるので、図示していないがステム供給部4には、この部品コンテナと略同形であって、基台T1の一辺の方向(同図横方向)へスライド搬入・搬出可能なローラー式の搬送路が設けられている。なお、本例の各部品供給部に用いるコンテナやバルブ排出部24に用いるコンテナは、何れも、棚構造のボックスパレット(受座及び仕切板)を用いている。
ステム供給部4へ部品供給する際は、例えば、台車(移動式フォーク機構など)などを用いて、基台T1の台の高さと略同一の台上に載せられた部品コンテナを、ステム供給部4の搬入側となる同図基台T1の左側に寄せた後、台上の部品コンテナを基台T1に向けて押し込むだけで、ローラー上を部品コンテナがスライドして搬出を完了させることができる。部品コンテナの搬出も同様に、ローラー上を同じ方向へ引き出して台車に載せるだけで基台T1から搬出可能である。なお、本例のバルブ部品供給部4や、後述のバルブ本体供給部22、23、或はバルブ排出部24に用いる搬送路としては、ローラー式に限らず、部品を搭載した箱体や容器を適宜スライド移動可能な搬送路であれば任意に選択できる。
図1において、ボールシート供給部5とインサート供給部6は、何れも略矩形状であり、本例では、ステム供給部4に並列状態で隣接するように、基台T1の同図左一辺側に設けられ、図示していないが、同図左側へ向けて開口した開口部へ部品を投入して供給可能なシューター部を備えている。このように本例では、バルブ部品供給部の一部であるステム供給部4、ボールシート供給部5、及びインサート供給部6が、基台T1の同図左上の領域に並べられており、これらの搬入側も同じ同図左側に向いているから、バルブ部品供給部の全部又は一部として纏めて基台T1への部品の搬出入が便利であり、自動化も行い易い。
図5(a)に示すように、これらボールシート供給部5とインサート供給部6へ供給される本例のボールシート33と、インサート35本体は、前記ステム34本体と異なり、部品供給部内において個々の部品の位置決めがされておらず、山積み状態ほどではないが、部品が置かれる面内に部品が一つずつ重ならない程度に散逸した状態で供給される。また、ボールシート33とインサート35本体は何れも表裏非対称でありランダムに供給されるので、表裏も整えられていない。このような状態で供給されたボールシート33とインサート35本体に対応するため、後述のように第1ロボットR1でチャックする際に、第1制御部14に個々の部品位置を予め伝える位置検出機構が各供給部5、6に備えられると共に、これとは別に、後述する協働領域E内の待機部11〜13へ載置する前に表裏を整えた状態にする表裏判定部9、10が設けられている。
上記位置検出機構は、本例では光学的手段を用いた2D情報センサとして構成されており、部品供給部5、6にランダムな状態で供給された個々の部品を選択してその個々の位置情報を保持すると共に、所定のタイミングで、この位置情報を第1ロボットR1の第1制御部14に伝達可能に構成されていれば、実施に応じて任意に選択可能である。本例では、図示していないが、ランダムな位置に置かれた個々の部品に対して、部品供給部5、6を上方側から撮像できるカメラを適宜設け、このカメラで個々の部品の位置を把握できるようにしている。また、前記部品が置かれる面には半透明部材を用い、撮像により位置検出する際は、この部品が置かれた面の下方から閃光をカメラに向けて透過させることにより、2次元の面内における個々の部品の相対的な位置をカメラで撮像可能となっている。このように撮像された画像情報は、第1制御部14が処理可能な位置情報として所定の制御装置15(図2)に適宜変換・保持されると共に、所定のタイミングで、第1ハンド部2のチャック対象となる一つの部品の位置情報として予め第1制御部14に送信され、第1ロボットR1は対象物(ボールシート33、インサート35本体)を適宜選択した上で掴みに行くことができる。
図1において、ワッシャー供給部7とOリング供給部8は、何れも、同図右一辺側に並列状態に整列配備され、同図右側を搬入側としてそれぞれワッシャー37とOリング36を供給可能となっている。本例のワッシャー37とOリング36は、何れも他の部品と比較して最も小さい部類であり、供給部7、8内にそれぞれバラバラの山積み状態で集積させることができる収容部(ホッパー)が上向きに開口しており、この中にワッシャー37やOリング36を、それぞれランダムな状態のまま、纏まった量を連続的に投入できるようになっている。この収容部に集積された状態にある個々の部品は、図示していないが、エアブロー等によって集積された部品群に適宜攪拌を行いながら、所定の切り出し機構を介して、それぞれ部品一つずつが、図3、4を用いて後述するように、第1ロボットR1が適切に取り出せるように供給することができる。
一方、図1において、基台T1上には、バルブ部品供給部に供給される各バルブ部品に所定の作業を施す各種のバルブ部品組立部も配備されている。本例の各バルブ部品組立部には、特定作業に応じて構成された専用機が夫々配備されており、具体的には、ボールシート表裏判定機9、インサート表裏判定機10と、図示していないが、同図左下位置に配備されるステム組立機から成る。同図に示すように、ボールシート表裏判定機9とインサート表裏判定機10は、ボールシート供給部5とインサート供給部6とに対して、第1ロボットR1の反対側となる位置にそれぞれ配備されている。
ボールシート表裏判定機9とインサート表裏判定機10は、何れもボールシート33、インサート35本体のような小型のリング状ワークが第1ロボットR1から装置に供給された後に、少なくとも表裏面を揃えた後、第1ロボットR1に適切に返却できるような機能を有していれば、その構成は実施に応じて任意に選択可能であるが、本例では、図示していないが、所定の反転機構に表裏識別機構を組み合わせて構成している。具体的には、水平状に突出した反転機構の治具の上に、第1ロボットR1の第1ハンド部2を介して載置されたボールシート33やインサート35本体が、表裏識別機構により表裏判定され、表裏が正しければ、所定の加工を経た後、そのままの載置状態で第1ハンド部2へ受け渡され、表裏が正しくなければ、反転機構が駆動して治具が反転された後、同様に第1ハンド部2へ受け渡されるようになっている。さらに、後述のように、これらの判定機9、10は、第1制御部14と情報通信可能な制御装置16(図2)を備えている。
また、本例のステム組立機は、図示していないが実際には、大型でスペースを採る為、基台T1上の同図四隅左下付近に配備されている。後述するように、ステム供給部4から供給されたステムと、ワッシャー供給部7、Oリング供給部8からそれぞれ供給されたワッシャー37とOリング36とを、第1ロボットR1の第1ハンド部2を介して、このステム組立機に供給するだけで、2つのOリング36と1つのワッシャー37とが組み付けられた1つのステム34として組立機の内部で自動的に組み立てた後、この組み立てたステム34を第1ロボットR1に適切に返却することができる機能を有している。
本例では、ボールシート33、ワッシャー37、Oリング36、インサート35本体、ステム34本体は、何れもバルブ部品と称し、この内、Oリング36とワッシャー37が組み付けられた後のステム34と、1つのボールシート33が装着された後のインサート35は、バルブ組部品と称しており、何れも、ハンドリング待機部11〜13に載置される。
図1において、後述する協働領域E内には、バルブ部品又はバルブ組部品を載置するための各ハンドリング待機部が設けられている。本例の待機部は、後述のように、表裏判定部9、10で表裏面が整えられた後のボールシート33とインサート35本体を載置するボールシート待機部11とインサート待機部12、及び、ステム組立機において組み立てられた後のステムが設置されるステム待機部13とから成る。なお、待機部11〜13に載置される部品を、中間部品(バルブ部品、バルブ組部品)とも称する。
各待機部11〜13の位置や領域、構成は、実施に応じて任意に選択可能であるが、本例では、少なくとも、これらのボールシート待機部11、インサート待機部12、及びステム待機部13に、各中間部品の載置状態の有無を個別に第1制御部14へ伝達可能に構成されたセンサ(図2においてボールシート待機部センサ17、インサート待機部センサ19、及びステム待機部センサ18)が、それぞれ備えられている。これらセンサの構成も、実施に応じて任意に選択可能であるが、本例では、図示しない所定の光感知式センサから成っている。なお、ステム待機部センサ18は、図示しないステム組立機の一部に、組立後のステムをそのまま排出して待機させることができるように設けられる。
次いで、基台T2上に配備された各組立部と各部品供給部を説明する。図1において、本例の基台T2も、T1同様に略矩形状であって、略中央位置には第2ロボットR2が配備されており、この第2ロボットR2の第2ハンド部3が到達して作業可能な第2可動領域E2を一点鎖線で示している。領域E2は略円形であり、基台T2との関係は、上記基台T1の場合と同様にコンパクトに構成できるが、本例では、後述のように、検査台Dを並設させており、この検査台Dの検査部29を適切に領域E2がカバーできるようにするため、領域E2は、基台T2の領域よりやや大きく確保されている。
図1において、基台T1とT2を合せた略矩形状の領域は、本例の場合、約2メートル四方の正方形状領域となる。また、同図一点鎖線で示すように、領域E1とE2が重複する同図の中央領域内の一部には、第1ロボットR1と第2ロボットR2との協働領域Eが略矩形領域として確保されている。この協働領域Eの位置や形状などは、実施に応じて任意に選択可能であり、基台T2上に確保してもよいが、本例では基台T1上の第1ロボットR1側に確保されている。
図1において、基台T2上には、バルブ本体部品が供給されるバルブ本体供給部が配備されている。本例のバルブ本体供給部は、ボール供給部22とボデー供給部23から成る。
ボール供給部22とボデー供給部23とは、前述のステム供給部4と同様に搬送路として配備されている。即ち、これらに供給される本例のボール32やボデー31も、略矩形状の部品コンテナ内に個々の部品が格子状に整列保持された状態で供給されるので、ボール供給部22とボデー供給部23には、部品コンテナと略同形であって、ステム供給部4の搬送方向と同一方向となる同図横方向へ向けてスライド搬入・搬出可能なローラー式の搬送路が設けられているので、各部品の搬出入作業が便利である。また、何れも基台T2の同図左の一辺側に並列状態で整列しており、しかも基台T1のステム供給部4、ボールシート供給部5、インサート供給部6と共通する側に設けられているから、一部の部品群(Oリング36とワッシャー37)を除き、本例の自動組立システムへの部品群の搬出入は、同図左の一辺側からのみ行うことができる。
一方、図1において、基台T2上には、バルブ本体部品や前記中間部品に所定の作業を施すバルブ本体組立部も配備されている。本例のバルブ本体組立部は、ボデー組立機25、ステム組込機26、及びボール角度調整機28とから成る。
ボデー組立機25は、図示しないボデークランプ機構を備えており、このクランプ機構にボデーの流路方向を垂直方向又は水平方向に向けた状態で自動的にクランプ固定し、この固定状態で開口させたボデー31の流路開口に向けて、後述の各プロセスにおいて、所定のタイミングで所定の部品がボデー内方へ組み込むことができるように構成されている。また、このボデークランプ機構は、図示しない駆動機構を介して所定方向に向けてスライド往復自在(100mmスライド)に設けられており、自動制御により必要に応じて、ステム組込機26などの作業位置まで移動可能となっている。さらに、ボデークランプ機構は、製品に応じて短時間で段替え可能とするため、ボデー組立機25に対してワンタッチ(3分以内)で着脱自在に取り付けられている。
ステム組込機26は、図示していないが、ボデー31内に設けられている軸装穴に、バルブ組部品(中間部品)として第2ロボットR2が受け取った組み付け済みのステム34を、第2ハンド部3と、所定の治具機構を介して自動的に装着可能に構成されている。具体的には、上向きにボデー31の流路が開口してクランプ固定され、軸装穴31bから所定の治具を弁室内に侵入させた状態のボデー31内部へ向けて、第2ハンド部3のチャック手段で把持されたステム34が入れられた後にチャック手段の適切なApply動作により仮挿入状態とされ、その後、図示していない自動制御可能な治具機構を用いて、この仮挿入状態のステム34が軸装穴内へ向けて嵌入されてステム34の装着が完了する。
ボール角度調整機28は、第2ロボットR2がボール供給部22から掴み出したボール32の一つを供給した後、このボール32の角度を自動的に修正するプロセス(角度調整プロセス)を経て第2ハンド部3へと返却できるように構成されている。具体的には、図示していないが、ボール供給部22から第2ハンド部3が掴み出したボール32の一つを載置する調整部(座付きインロー構造のセッター部)を有しており、この調整部に載置されたボール32は、ボール32の流路孔32aが垂直方向から水平方向へと90度回転された後、ボール32の嵌合凹部32bが向いている方向を所定の光学的センサ手段(ファイバーセンサと投光部との連携手段)で検知し、その後、所定の位置決め機構により調整部の位置を調整することにより、ボール32を必要な角度回転させて嵌合凹部32bを正しい向きに調整し、このように角度が修正された状態で第2ハンド部3へボール32を返却できるようになっている。なお、ボール32の正しい角度とは、本例の場合は後述するように、第2ロボットR2による中間部品のボデーへの組み込みの時点(プロセスB2(4)の時点)において、ボデー31内に組み込まれたステム34の嵌合凸部34bの方向に適合した方向を意味する。
ボデー組立機25では、固定されているボデー31内にボールシート33(図5(a)の左側のボールシート33)、ステム34、ボール32を組み込んだ後、最後にインサート35をボデー31に組み込む。具体的には、インサート待機部12に載置されている一方のボールシート33(図5(a)の右側のボールシート33)が組み込まれたインサート35のオネジ35aを、第2ロボットR2によりボデー31のメネジ31aに適合させ、この状態のインサート35が、ボデー組立機25の適切な動作によって所定のトルクでボデー31に締付固定されるようになっている。
図1において、バルブ排出部24は、基台T2の四隅の一つに配備しており、前記ステム供給部4と同様に、同図左下の略直角のコーナー部分に適合した略矩形状領域に搬送路として設けられている。このバルブ排出部24に排出される本例のバルブも、略矩形状の搬出用コンテナ内に個々のバルブが格子状に整列保持された状態で排出されるようにしているので、このコンテナと略同形でスライド搬入・搬出可能なローラー式の搬送路が設けられている。バルブ本体を搬出する際も、前述したステム供給部4等の場合と同様であり、例えば台車などを用いて、とりわけ重量や容積の大きい組立体を積載したコンテナであっても、容易に基台T2に対して搬出入可能となっている。バルブ排出部24は、ボール供給部22とボデー供給部23に対して並列状態で隣接して配備され、バルブ排出部24の搬送路の搬送方向も、これらの供給部と同一(同図横方向)であるから、基台T2上のスペースに無駄がなく、部品や組立体のための各コンテナの搬出入にも便利である。
図1において、基台T2の下側(基台T1の反対側となる一辺側)には、組立後のバルブ本体に所定の検査を行う略矩形状の検査台Dを並接させており、この検査台Dにバルブ本体を載置する検査部29を、第2可動領域E2範囲内に収めるようにしている。
検査台Dは、例えば、バルブ本体の耐圧検査や弁座検査など、組立体であるバルブ本体を完成品とするために要される所定の検査プロセスを行える検査ユニットとなっている。具体的には、所定圧のサーチガスをバルブ本体内部へ封入し、このガスの漏れを高精度なセンサで適宜検知することにより、閉位置にあるボール32とボールシート33との間(弁座検査)や、ボデー31の空隙箇所(耐圧検査)、或は、ステム34の軸装穴31b部位など、バルブ本体からのガスの漏洩個所などを特定してバルブ本体の品質を精密に検証できる機能を有している。また、後述のPLCなどと適宜通信可能に構成された制御装置も内蔵することができ、この制御装置によって他の自動組立のプロセスに適宜応じた自動制御による検査が可能となるように構成できる。
図示していないが、検査台Dの構造は、基台T2の幅(図1横方向)と略同一幅の略矩形状の筐体の内部に、適宜の検査機能を備えた自動検査用の検査装置が配備されており、この検査装置は、例えば、検査台Dに載置されたバルブ本体(ボールバルブ30)を自動搬送可能な搬送機構や、各種センサ、サーチガスの制御機構のほか、バルブ本体のボールシートの弁座検査を所定の態様で自動的に行える弁座検査機構、さらにバルブ本体のボデーの耐圧検査を所定の態様で自動的に行える耐圧検査機構なども備えており、後述のように、自動組立の所定のタイミングで、第2ロボットR2の第2ハンド部3を介して、この第2ハンド部3の可動領域内に位置する検査部29に、バルブ本体が載置されると、検査台Dの内部で自動的に検査が行われ、これらの検査後は、検査部29へと搬送されて第2ハンド部3に返却できるようになっている。また、検査台Dで得られた組立体の検査結果は、制御装置を介して適宜の処理が可能になっている。
なお、上記したもののほか、各部品供給部や各専用機(組立部)は、同一のセルに存在している第1制御部14又は第2制御部21と情報通信可能な自動制御用の制御装置をそれぞれ備えることができる。
また、本発明のバルブ自動組立システムは、物理的な基台T1、T2の構成に制限を受けずに構成することもできる。すなわち、換言すれば本発明は、バルブ部品供給部に供給されたバルブ部品をバルブ部品組立部を用いて中間部品に組み立てる垂直多関節型の部品用ロボットR1が1基配備された部品用セルC1と、バルブ本体供給部に供給されたバルブ本体部品をバルブ本体組立部を用いてバルブ本体に組み立てる垂直多関節型の本体組立用ロボットが1基配備された本体組立用セルと、から成り、前記部品用ロボットR1の第1可動領域E1の一部と前記本体組立用ロボットR2の第2可動領域E2の一部とが重複することで所定の協働領域Eが確保され、この協働領域Eに前記部品用ロボットR1が前記中間部品を供給すると共に、前記本体組立用ロボットR2が前記中間部品及び前記バルブ本体部品を前記バルブ本体組立部を用いてバルブ本体に組み立てるようにしたバルブ自動組立システムである。
本発明のシステムに必要となる点は、あくまで2台のロボットR1、R2がそれぞれ形成する作業空間としてのセルC1、C2の間に協働領域Eが確保されており、各セルC1、C2にそれぞれの特性に応じた部品群が供給されて2台のロボットR1、R2が非干渉状態で協働制御される点にあり、よって、ロボットR1、R2を配設する基台は、本例のように個別に並置した2台から成る基台の他、共通する非矩形状の1台の基台としたり、ロボットを基台の端や外部に配設したり、実施に応じて任意の基台を用いてよい。
続いて、本例のシステムの構成を説明する。図2は、本例のシステムの制御系統の構成を概略的に示した機能ブロック図であり、構成の内、主な要素だけを示している。本例において、第1制御部14と第2制御部21とはPLC制御可能に構成されている。
図2において、第1制御部14と第2制御部21は、それぞれ第1ロボットR1と第2ロボットR2に適宜内蔵されており、本例のシステムは、これら第1制御部14及び第2制御部と通信可能に構成された所謂シーケンサとして機能するPLC(programmable logic controller)20を有し、このPLC20は、物理的にはCPUやメモリ、電源や入出力部などから成る。PLC20は、第1ロボットR1や第2ロボットR2を自動制御するための外部からの教示情報を記憶して処理可能であり、基本的には、プログラミングされた教示情報などに基づく動作指示をシーケンシャルに第1制御部14と第2制御部21に適切に送信することで第1ロボットR1と第2ロボットR2の協働作業を実現させてバルブの自動組立を行う機能を有している。
図2において、第1制御部14には、ボールシートとインサートに関する供給部5、6に備えられた制御装置15や表裏判定機9、10に備えられた制御装置16、ボールシート待機部センサ17、ステム待機部センサ18、インサート待機部センサ19、及び、第1ロボットR1に内蔵された駆動制御用の駆動部が、有線又は無線により情報通信可能に接続されている。その他、図示していないが、各専用機や部品供給部に備えられた制御装置等とも通信可能に構成され得る。
一方、同図において、第2制御部21には、第2ロボットR2に内蔵された駆動制御用の駆動部が有線又は無線により情報通信可能に接続されている。また、図示していないが、各専用機(検査台D)や部品供給部に備えられた制御装置等とも通信可能に構成され得る。本例のシステムにおける基本的な制御としては、PLC20は、第1制御部14及び第2制御部21に、同時並列的に所定のプロセスに対応した動作プログラムから成る動作信号を送信して第1ロボットR1及び第2ロボットR2を同時並列的に稼動させるようにしている。
例えば、第1ロボットR1が稼動する際は、第1制御部14は、PLC20に教示や保有され記憶している動作プログラムに対応した各動作命令をシーケンシャルにR1の駆動部に送りつつ、プログラム中の条件制御などに応じて、各部品供給部や各専用機に備えられている制御装置からの各種の通知情報などを適宜取得しながら第1ロボットR1を駆動させて組み立てプロセスを実行する。このような動作制御は、第2制御部21によって第2ロボットR2が稼動する際も同様である。また、以下に説明するように、2台のロボットR1、R2の協働制御も適切に行われる。
続いて、図3、4を用いて、本例のバルブ自動組立システムを用いたバルブ自動組立方法を説明する。上述のように、本例のシステムでは、第1基台T1においては、第1ロボットR1と各バルブ部品供給部(専用機)とを自動制御することによりバルブ部品からバルブ部品組立部を介して中間部品を組み立てる組立作業が行われ、これら中間部品は、協働領域Eに設けられた各待機部11〜13に載置される。一方、第2基台T2においては、第2ロボットR2と各バルブ本体組立部(専用機)とを自動制御することによりバルブ本体部品と中間部品からバルブ本体組立部を介してバルブ本体を組み立てる組立作業が行われ、このバルブ本体は、第2基台T2に設けられたバルブ排出部24に排出されるようになっている。
図3は、本例の自動組立方法において、第1ロボットR1で行われる自動組立のプロセスをS1、S2に分割すると共に、第2ロボットR2で行われる自動組立のプロセスもB0、B1、B2に分割して夫々示しており、同図(a)に示すようにS1は更にS1(1)〜S1(3)の小プロセス群から構成され、同図(b)に示すようにS2は更にS2(1)〜S2(15)の小プロセス群から構成される。同様に、同図(c)に示すようにB0は更にB0(1)、B0(2)の小プロセス群から構成され、同図(d)に示すようにB1は更にB1(1)〜B1(4)の小プロセス群から構成され、同図(e)に示すようにB2は更にB2(1)〜B2(9)の小プロセス群から夫々構成されている。
また、以下に説明するように、各小プロセス群は、S2(15)など、一部を除いて、1回分のハンドリング(元の作業位置から、次の作業位置までロボットハンドが1回のタクトで移動する動作)に対応している。この間のロボットハンドは、元の作業位置でチャックしたワークを次の作業位置まで搬送する動作(次の位置の専用機で行われる作業の待機動作など、搬送後のその位置における所定の動作も含む)か、又は、ハンドが元の位置から次の位置までワークを掴みに向かう動作となっている。
図4は、第1ロボットR1の上記プロセスS1、S2と、第2ロボットR2の上記プロセスB0〜B2の、夫々の時間経過の概略と依存関係を、模式的に示したグラフ図である。以下に説明するように、本例の自動組立方法では、組立体であるバルブ本体又は完成品(検査台Dにおける検査合格後のバルブ本体)は、第2ロボットR2のプロセスB2の後にバルブ排出部24に排出されることになる。また、同図は、プロセスS1とプロセスB0を同時に開始して組立体1台目を組み立てるプロセスのみを図示している。
また、同図において、第1ロボットR1及び第2ロボットR2は、何れも、必要最小限の協働制御(干渉防止のための待機時間も含む)を除き、個々が独立制御状態となって、同時並列で稼動することができる。また、プロセス間に示した図中の矢印は、プロセス間の依存関係を意味し、矢印の生じているプロセスが完了した後に、このプロセスが行われるセルとは別のセルで行われるプロセスに矢印が向けられ、この矢印が向けられたプロセスを開始できる時系列関係を示している。具体的には、セルC1で行われるプロセスS1の終了を待ってセルC2で行われるプロセスB1を開始することができ、同様に、セルC1で行われるプロセスS2の終了を待ってセルC2で行われるプロセスB2を開始することができることを示している。
以下、各小プロセス群をそれぞれ説明する。なお、第1ロボットR1におけるプロセスS1、S2と、第2ロボットR2におけるプロセスB0〜B2とを並列的に説明する。
S1(1)は、第1ロボットR1が、ボールシート供給部5から1つ目のボールシートを取り出すプロセスであり、第1ハンド部2は、ボールシート供給部5の制御装置15から得た位置情報に基づき、ボールシート供給部5の対象物の取り出し位置まで移動した後、3爪チャック手段により把持対象となる一つのボールシートを内掴みして取り出す。
S1(2)は、上記プロセスS1(1)の後、第1ロボットR1が、チャックしているボールシートをボールシート表裏判定機9の所定の保持位置まで搬送して載置するプロセスであり、ボールシート表裏判定機9における表裏判定プロセスの間は短い待機状態となり、表裏判定プロセスの終了後に、正しい面(図5(a)に示したシール面33aが仰向け状態)を向いた状態のボールシートを再びチャックにより取り出すようにしている。なお、表裏判定プロセスにおいて、ボールシートに所定の加工を施すようにしてもよい。例えば、ボールシートを取り出す前に、第1ハンド部2を利用して、ボールシート表裏判定機9に備えられた専用治具によってボールシートに加工を施すようにしてもよい。
S1(3)は、上記プロセスS1(2)の後、第1ロボットR1が、チャックしているボールシートをボールシート待機部11まで搬送して載置するプロセスであり、正しく載置された場合は、ボールシート待機部11に設けられたボールシート待機部センサ17(図2)によって載置状態の情報が第1制御部14を介してPLC20から第2制御部21へ適宜通知される。
一方で、B0(1)は、図4に示すように、第2ロボットR2が、上記プロセスS1(1)と並行して、ボデー供給部23からボデーを取り出すプロセスであり、第2ハンド部3が、格子状に整列している供給部品を順次取り出すために、教示情報に含まれている位置情報に基づいて、適切な取り出し位置まで移動した後、3爪チャック手段により把持対象となるボデーを外掴み状に把持して取り出す。
B0(2)は、上記プロセスB0(1)の後、第2ロボットR2が、チャックしているボデーをボデー組立機25の所定のクランプ機構まで搬送してセットするプロセスであり、ボデーがセットされた後は、ボデー組立機25によって自動的にボデーが、前述のインサートをねじ込む側(図5(a)においては右側)の流路開口を鉛直上向きにした姿勢で、クランプ固定状態に保持される。
本例の場合、このプロセスで終了するプロセスB0は、図4に示すように、プロセスS1より時間的に短く、次に続くプロセスB1はプロセスS1に依存しているため、上記のようにしてプロセスS1(3)が終了するまでの間は、第2ロボットR2は、待機状態(以下、「待機状態1」という。)となる。また、この待機状態1は、第1ロボットR1との干渉防止のため、第2ロボットR2の占有スペースが協働領域Eの範囲外となる姿勢で行われる。
また、待機状態1にある第2ロボットR2が、第1ロボットR1のプロセスS1が終了したことを認識する手段としては、上記のように、PLC20を介して、ボールシート待機部センサ17からの載置情報の通知を受ける手段のほか、同様にPLC20を介して、第1制御部14から第2制御部21へ向けて、第1ロボットR1の動作終了情報の通知を受ける手段を用いてもよい。
次いで、B1(1)は、第2ロボットR2が、ボールシート待機部11に載置された1つ目のボールシートを取り出すプロセスであり、第2ハンド部3が当該待機部11の作業位置まで移動した後、3爪チャック手段により載置されているボールシートを内掴みして取り出す。
B1(2)は、上記プロセスB1(1)の後、第2ロボットR2が、チャックしているボールシートをボデー組立機25に組み込むプロセスであり、流路開口が上向きにクランプ固定されているボデー内部に向けて、チャックしているボールシートを挿入させた後、適宜ボールシートを弁室内の装着位置に、チャック手段による適切なApply動作を利用して装着させるようにしている(このボールシートは、図5(a)において、左側のボールシート33となる)。このプロセスB1(2)は、一方のボールシートをボデー内に組み込む本例の第3プロセスである。
B1(3)は、上記プロセスB1(2)の後、第2ロボットR2が、ボール供給部22からボールを1つ取り出すプロセスであり、第2ハンド部3が当該供給部22に格子状に整列している供給部品を順次取り出すために、教示情報に含まれている位置情報に基づいて、適切な取り出し位置まで移動した後、3爪チャック手段により把持対象となるボールを外掴み状に把持して取り出す。ここで、ボール供給部に整列状態のボールは、個々の嵌合凹部32bの方向はランダムであるが、少なくとも全ての流路孔32aが鉛直方向に向いた状態で供給されている。このため、各ボールは上方に向けて流路孔32aが開口している。
B1(4)は、上記プロセスB1(3)の後、第2ロボットR2が、チャックしているボールをボール角度調整機28にセットするプロセスであり、チャックしているボールを、ボール角度調整機28に設けられた所定の調整部まで搬送してセットする。このB1(4)の後は、図示していないが、ボール角度調整機28において、本例の第7プロセスである前記角度調整プロセスが行われる。
本例の場合、このプロセスB1(4)で終了するプロセスB1は、図4に示すように、プロセスS2より時間的に短く、次に続くプロセスB2はプロセスS2に依存しているため、上記のようにしてプロセスB1(4)が終了するまでの間は、第2ロボットR2は、待機状態(以下、「待機状態2」という。)となる。また、この待機状態は、第1ロボットR1との干渉防止のため、第2ロボットR2の占有スペースが協働領域Eの範囲外となる姿勢で行われる。
一方で、S2(1)は、第1ロボットR1が、Oリング供給部8から1つ目のOリングを取り出すプロセスであり、所定の切り出し機構を介して切り出されたOリングの1つを、第1ハンド部2のテーパチャック手段によって取り出す。
ここで、プロセスS2(1)は、第2ロボットR2のプロセスと同時並列的に行うこともできるが、図4に示すように、本例において1台目の組立体を組み立てるプロセスにおいては、プロセスB1(1)と同時期にプロセスS2(1)が行われるスケジュールとなっている。これに対し、図1に示すように、物理的には、Oリング供給部8の位置が、協働領域Eの位置に近接して配備されている。このため、プロセスB1(1)において協働領域E内に第2ロボットR2が存在して干渉することを防止するため、プロセスS2(1)は、プロセスB1(1)が確実に終了した後に開始するように制御される。このため、図示していないが、図4に示した組立体1台目のスケジュールにおいては、実質的にはS2(1)には待機状態(以下、「待機状態3」という。)が含まれると共に、B1(1)に依存した関係となっている。
ただし、図示していないが、後述する組立体の2台目以降のスケジュールの場合等、2つのプロセスB1(1)とS2(1)が同時期に行われない場合、より一般的には協働領域E近傍に配備されたOリング供給部8やワッシャー供給部7(作業する際に、第1ロボットR1が共同領域E内に侵入する必要がある供給部や専用機)に第1ロボットR1がアクセスするプロセスと第2ロボットR2が協働領域E内にアクセスするプロセスが同時期とならない場合には、干渉する虞がないため上記のような待機状態3は省略可能となる。
S2(2)は、上記プロセスS2(1)の後、第1ロボットR1が、チャックしているOリングを図示していないステム組込機26の所定のセット位置に供給するプロセスである。図5(a)において、このOリングは、ステム34の下側に装入されるOリング36となる。
S2(3)は、上記プロセスS2(2)の後、第1ロボットR1が、ワッシャー供給部7からスラストワッシャーを取り出すプロセスであり、所定の切り出し機構を介して切り出されたスラストワッシャーの1つを、第1ハンド部2の所定のチャック手段にて取り出す。
S2(4)は、上記プロセスS2(3)の後、第1ロボットR1が、チャックしているスラストワッシャーを図示していないステム組込機26の所定のセット位置に供給するプロセスである。
S2(5)は、上記プロセスS2(4)の後、第1ロボットR1が、ステム供給部4からステムを取り出すプロセスであり、当該供給部4に格子状に整列しているステムを順次取り出すために、教示情報に含まれている位置情報に基づいて、適切な取り出し位置まで移動した後、3爪チャック手段により把持対象となるステムの先端部(嵌合凸部)を外掴み状に把持して取り出す。
S2(6)は、上記プロセスS2(5)の後、第1ロボットR1が、チャックしているステムを図示していないステム組込機26の所定のセット位置に供給するプロセスである。
S2(7)は、上記プロセスS2(6)の後、第1ロボットR1が、Oリング供給部8から2つ目のOリングを取り出すプロセスであり、プロセスS2(1)と同様である。
S2(8)は、上記プロセスS2(7)の後、第1ロボットR1が、チャックしているOリングを図示していないステム組込機26の所定のセット位置に供給するプロセスであり、プロセスS2(2)と同様である。図5(a)において、このOリングは、ステム34の上側に装入されるOリング36となる。
上記プロセスS2(8)の後は、ステム組込機26において自動的に2つのOリングと1つのスラストワッシャーが組み付けられたステムが、協働領域E内に位置するステム待機部13に自動的に設置される。このステムの設置情報は、ステム待機部センサ18によって第1制御部14、PLC20を介して第2制御部21に通知される。
S2(9)は、上記プロセスS2(8)の後、第1ロボットR1が、ボールシート供給部5から2つ目のボールシートを取り出すプロセスであり、プロセスS1(1)と同様である。
S2(10)は、上記プロセスS2(9)の後、第1ロボットR1が、チャックしているボールシートをボールシート表裏判定機9の所定の保持位置まで搬送して載置するプロセスであり、プロセスS1(2)と同様であるが、表裏判定プロセスの待機状態とボールシートの取り出しは省略され、直ちに次のプロセスへ進む。
S2(11)は、上記プロセスS2(10)の後、第1ロボットR1が、インサート供給部6からインサートを取り出すプロセスであり、実質的な動作制御は、ボールシートを取り出すプロセスS1(1)等と同様である。
S2(12)は、上記プロセスS2(11)の後、第1ロボットR1が、チャックしているインサートをインサート表裏判定機10の所定の保持位置まで搬送して載置するプロセスであり、実質的な動作制御は、ボールシートの表裏判定が行われるプロセスS1(2)と同様であるが、表裏判定プロセスの待機状態とインサートの取り出しは省略され、直ちに次のプロセスへ進む。
S2(13)は、上記プロセスS2(12)の後、第1ロボットR1が、プロセスS2(10)において正しい面に向けられた2つ目のボールシートを取り出すプロセスである。
S2(14)は、上記プロセスS2(13)の後、第1ロボットR1が、チャックしているボールシートを、プロセスS2(12)で正しい面に向けられたインサートのボールシート装着面(内径凹部)に装着させるプロセスである。ここで装着された2つ目のボールシートは、図5(a)においては、右側に示したボールシート33となる。
S2(15)は、上記プロセスS2(14)の後、第1ロボットR1が、2つ目のボールシートが装着されて正しい面を向いているインサートを、インサート表裏判定機10からチャック手段により取り出すプロセスと、このプロセスの後に、チャックしたインサートをインサート待機部12に搬送して載置するプロセスから成り、正しく載置された場合は、当該待機部12に設けられたインサート待機部センサ19(図2)によって載置状態の情報が第1制御部14を介してPLC20から第2制御部21へ適宜通知される。
また、プロセスS1、S2は、何れも中間部品(バルブ部品及び/又はバルブ組部品)をハンドリング待機部11〜13に待機させる本例の第1プロセスであり、この第1プロセスには、上述したように、一方のボールシートを待機部11に待機させるプロセスS1(3)と、ステムを待機部13に待機させるプロセスS2(8)と、他方のボールシートが装着されたインサートを待機部12に待機させるプロセスS2(15)が、この順で含まれている。
一方で、B2(1)は、第2ロボットR2が、インサート待機部12に載置されたインサートを取り出すプロセスであり、第2ハンド部3が当該待機部12の作業位置まで移動した後、適宜のチャック手段により載置されているインサートを外掴み状にチャックして取り出す。
B2(2)は、上記プロセスB2(1)の後、チャックしているインサートをボデー内に向けてねじ込む専用機に適切にセットするプロセスであり、インサートは、当該専用機の所定の部分にセットされた状態となる。
B2(3)は、上記プロセスB2(2)の後、第2ロボットR2が、ステム待機部13に載置されたステムを取り出すプロセスであり、ステム待機部13に設置された状態の中間部品であるステムの取り出し位置まで第2ハンド部3が移動した後、ステムの嵌合凸部を2爪チャック手段によって適切に外掴みで取り出す。
B2(4)は、上記プロセスB2(3)の後、第2ロボットR2が、チャックしているステムを、ステム組込機26まで移動させた後に、第2ハンド部3によってステムをボデー内に組み込むプロセスであり、このステム組込機26においては、所定の治具機構を利用しながらボデー組立機25にクランプ固定状態にあるボデー内に向けて、2爪チャック手段でチャックされたステムが上方側から2爪チャック手段の所定のApply動作を介して挿入されて仮挿入状態とされる。その後、治具機構の自動制御により、ステムが適切にボデー内の軸装穴内に嵌合され、ステムの組み込みが完了する。このB2(4)は、ボデー内にステムを組み込む本例の第4プロセスである。
また、図5(a)を参照して説明すると、上記のように軸装穴31bに組み込まれたステム34の向きは、2爪チャック手段によって嵌合凸部34bの2面幅の向きが鉛直方向に向いた状態で組み込まれているので、ボデー31内に組み込まれた後の嵌合凸部34bの向きは、弁室内に向けて、ボデー31内の流路方向と同じ方向に向いて突出した状態となっている。なお、第2ロボットR2は、ボデー31内にステム34を組み入れた後は、特に待機する必要はなく直ちに次のプロセスへ進むことができる。
B2(5)は、上記プロセスB2(4)の後、第2ロボットR2が、前述したプロセスB1(4)でボール角度調整機28に渡してボールの角度が修正されたボールを、取り出しに行くプロセスである。ここで、角度調整後のボール32は、流路孔32aが水平方向に向けられた状態となり、この状態のボール32の上側は球面状の外周面が面している。よって、この球面状の外周面の一部に、第2ハンド部3のバキュームチャック手段を当ててバキュームチャックすることで、ボール32を取り出すようにしている。
B2(6)は、上記プロセスB2(5)の後、第2ロボットR2が、チャックしたボールをボデー組立機25にクランプ固定状態にあるボデーに向けて搬送させた後に、ボールをボデー内に組み込むプロセスである。
図5(a)を参照して説明すると、前述のように、ボール32の嵌合凹部32bの向きは、角度調整プロセスを介して、バキュームチャックの時点で、組み込み状態でボデー31内に向けて突出しているステム34の嵌合凸部34bの向きに適合しているから、チャック手段によってボール32をボデー31内に侵入させていくだけで、ボール32の嵌合凹部32bがステム34の嵌合凸部34bに嵌合して、ボール32のボデー31内への組み込みを完了させることができる。また、この組み込まれた状態のボール32は、前述のように、流路孔32aが水平方向に向いたまま組み込まれているから、ボデー31内では、ボール32はバルブの全閉位置に向いた状態で弁室内に組み込まれていることになる。このB2(6)は、ボデー内にボールを組み込む本例の第5プロセスである。
次いで、図示していないが、上記プロセスB2(6)の後、前記プロセスB2(2)でインサートをねじ込む専用機にセットされているインサートを、当該専用機において投入するプロセスが存在する。このインサート投入プロセス(本例の第6プロセス)では、図5(a)を参照して説明すると、前述のように、ボデー31の右側のメネジ31aにインサート35のオネジ35aを、適切なトルク制御によって自動的にねじ込むことができ、この間は第2ロボットR2は短い待機状態となる。
また、図5(a)はボール32が全開状態であるが、上記プロセスB2(6)で説明したように、このインサート投入プロセスの際に、弁室内にボール32は全閉状態で組み込まれているから、インサート35のねじ込みが進み、ボール32に1次・2次両側からボールシート33のシール面33aがボール32に向けて圧接されていく際に、ボール32の球面状の外周面に適合するように形成されているボールシート33のシール面33aには、全周に対して略均一に圧接力を作用させることができるから、偏った応力が生じ難く、外力により損傷し易いボールシート33に対して、不具合などの原因となり得る余計な負荷・偏った外力を組立段階で作用させることがなく、ボールシート33の組み立てに特に好適である。
B2(7)は、上記インサート投入プロセスの後、ボデー組立機25でクランプ固定されているボデー31の固定を解除した後、このボデー31をチャック手段により取り出すプロセスである。この時点で、ボデーは組立体であるバルブ本体として仕上がった状態となっており、以降のプロセスに進むことなく、すなわち、検査プロセスを省略して、このバルブ本体をバルブ排出部24まで搬送するようにしてもよい。この場合、プロセスB2(7)の次に、図示していないが、第2ハンド部3によってチャックしたバルブ本体を、格子状に整列しているバルブ排出部24の載置位置に順次載置するために教示情報に含まれている位置情報に基づいて、適切な載置位置まで移動させた後、当該載置位置に組立体を適切に載置するプロセスに移行する。
B2(8)及びB2(9)は、上記プロセスB2(7)の後、バルブ排出部24への排出でなく、検査プロセスへ進める場合のプロセスであり、プロセスB2(8)は、ボデー組立機25から取り出された組立体を、第2ハンド部3によって、検査台Dの検査部29まで搬送して載置するプロセスである。この検査部29に載置された後は、検査台Dに備えられた図示していない所定の制御装置によって認識され、自動制御によって組立体に対して所定の検査プロセスが実行され、この間は、第2ロボットR2は、待機状態となる。この検査プロセスの終了後は、検査終了の通知情報が制御装置からPLC20を介して第2制御部21へ通知されて待機状態が解除される。このB2(8)は、バルブ本体を検査台Dへ排出する本例の第8プロセスである。
B2(9)は、上記プロセスB2(8)の後、検査台Dに返却された検査済みのバルブ本体(ボールバルブ30)をチャック手段により取り出すプロセスと、チャックしたボールバルブをバルブ排出部24へ搬送して、前述同様にバルブ排出部24の載置位置に排出するプロセスから成る。なお、図4に示したように、このプロセスB2(9)が完了することで第1ロボットR1と第2ロボットR2の協働によるボールバルブ(検査合格後のバルブ本体)1台分の自動組立が完了する。なお、上述したプロセスB0〜B2は、何れも、第2ロボットR2がバルブ部品、バルブ組部品、又はバルブ本体部品を搬送又は組立てる本例の第2プロセスである。
ここで、検査台Dの制御装置で保持された検査結果情報に基づいて、PLC制御を介して、第2ロボットR2を適宜制御することもできる。この場合、検査プロセス終了後に検査部29に返却された組立体が、検査結果情報において完成品判定となっておらず、ボデー損傷、軸装穴漏れ、弁座漏れなど、不具合の種類に応じた不合格情報を検査台Dの制御装置が得ている場合は、例えば、第2ロボットR2が検査部29からチャックにより取り出すプロセスの後、上記のように完成品をバルブ排出部24に排出させるプロセスに移行せずに、不合格情報に応じて、不合格の原因ごとに別途に適宜配備した各不合格品バルブ排出部に順次排出するように第2ロボットR2を制御してもよい。
なお、図4において、第1ロボットR1のプロセスS2が終了した後は、1台目のボールバルブの自動組立プロセスが終了した状態となり、第1ロボットR1は、第2ロボットR2の稼動と独立して、並列的に次の2台目のボールバルブの自動組立プロセスへ進むことができる。同様に、第2ロボットR2のプロセスB2が終了した後も、1台目のボールバルブの自動組立プロセスが終了した状態であり、第2ロボットR2も、第1ロボットR1の稼動と独立して、並列的に次の2台目のボールバルブの自動組立プロセスへ進むことができる。
このため、2台目以降のボールバルブの動作フロー(スケジュール)は、図4に示したフローと一致しなくなる。特に、本例の場合は少なくとも、プロセス間の依存関係により、単純に2台のロボットを連続的に並列稼働させた場合は、第1ロボットR1におけるプロセスが先行し、よって、中間部品の組み立て量が、第2ロボットR2の処理能力を上回る場合が有る。
この場合、本例のシステムのように、単一のロボットセルとして2台のロボットの協働制御によって、中間部品を一品ずつ第1ロボットR1で載置して第2ロボットR2に渡す組立システムのほか、例えば、第1セルと第2セルとを別個独立に分離させ、それぞれのセル単独で稼働させることもできる。すなわち、予め第1セルを単独で稼動させて所定量の中間部品を量産する一方で、第2ロボット等と併せて、この中間部品を供給可能な部品供給部が適宜配備された第3セルを準備し、この第3セル単独でボールバルブの自動組立を実行させることも可能である。この場合は、上述した待機状態1、2を省略可能となり、順次連続的に第3セルの第2ロボットR2を稼動させることができると共に、稼動していない第1セルを別の用途に用いることも可能となる。このように本例のシステムは、ボールバルブの量産体制に応じて適宜セルの設計変更が可能である。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。