JP2004298148A - 麺食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】α化麺類と調味液又は調味粉末を一緒に食することで、pH5.5以下に調整しているα化麺類の酸味を軽減し、且つ風味バランスを調和することができる長期保存可能な麺食品を提供すること、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】包装α化麺類は、麺類のpHを3.0〜5.5にすることで、長期保存に必要な殺菌価を低くすることができる。包装α化麺類は、包装調味部のpHを3.5〜7.0の範囲とし、更には一緒に食するα化麺類の重量に対して調味部中のナトリウム含量を0.3〜1.3重量%に調整することで、包装α化麺類と包装調味部を混合した時にα化麺類の酸味が感じられず、麺食品全体の風味バランスを調和することができる。
【選択図】なし
【解決手段】包装α化麺類は、麺類のpHを3.0〜5.5にすることで、長期保存に必要な殺菌価を低くすることができる。包装α化麺類は、包装調味部のpHを3.5〜7.0の範囲とし、更には一緒に食するα化麺類の重量に対して調味部中のナトリウム含量を0.3〜1.3重量%に調整することで、包装α化麺類と包装調味部を混合した時にα化麺類の酸味が感じられず、麺食品全体の風味バランスを調和することができる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期保存することができる麺食品に関するものであり、より詳細には、α化麺類と調味液又は調味粉末を混合した時に茹で麺類の酸味が感じられず、麺食品全体の風味バランスを調和することができる長期保存可能な麺食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1において、生麺類を茹で又は蒸煮によりα化した包装麺類と包装調味液をセットにした長期保存可能な麺食品の製造方法が開示されており、α化麺類と調味液を一緒に食することで風味バランスを調和する方法が提案されている。特許文献1の包装α化麺類は、α化麺類のpHを3.6〜5.2に調整し加熱殺菌を行う所謂LL麺の製法で得ることができる。このα化麺類と一緒に食する包装調味液は、Aw0.7〜0.85の中間水分食品に限定され、Awの調整に甘味料を一定量配合することが特徴であった。従って一定の甘味が必然的に麺食品に付与されるため、甘味を少量に控えたい麺食品、例えば和風や中華の麺食品には調味液の内容量自体を少なく制限する必要があった。また、Awを指標に甘味を付与して酸味を軽減すると、逆にAwに大きく影響する食塩やアミノ酸、核酸等の量が制限され塩味や旨味の風味バランスが制約を受けることになった。更に調味液のpHはα化麺類のpHよりも高くすることが必須であり、トマトを使用した調味液等はpHの調整に炭酸塩やリン酸塩等の食品添加物を添加する必要がある等、配合上の制約が多かった。
【0003】
【特許文献1】特許第3022305号(第1〜4頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
包装α化麺類と包装調味部をセットにした長期保存可能な麺食品であり、調味部に食品添加物であるpH調整剤を添加することなく、且つあらゆる形態の包装調味部を選択でき、包装α化麺類の持つ酸味を緩和しつつ麺食品全体の風味バランスを容易に調和できる麺食品を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決させるために鋭意研究を重ねた結果、包装調味部のpHを酸性域の3.5〜7.0とした上で、麺食品全体のナトリウム含量をα化麺類の重量に対して0.3〜1.3重量%となるように調整することにより、あらゆる種類の麺類に対して酸味を緩和することができることを見出した。
【0006】
詳細には、本発明の長期保存用麺食品は、包装α化麺類と包装調味部を別々に調製するものであり、α化麺類はpHを3.0〜5.5にして殺菌及び静菌効果を高めつつ殺菌することで長期保存を可能とすることができる。調味部はレトルトパウチ食品、缶詰食品、無菌充填食品、中間水分食品、乾燥調味粉末のいずれの形態を選択しても良く、周知の殺菌及び静菌技術により、長期保存を可能とすることができる。
【0007】
より詳細には、麺類の殺菌は任意の方法で実施できるが、α化麺を酸性水溶液でpH調整し充填密封後、加圧加熱殺菌装置にて殺菌する従来のLL麺(ロングライフ麺)の製法、α化麺を酸性水溶液でpH調整し飽和水蒸気又は過熱水蒸気を直接噴射して殺菌する方法、麺類を酸性水溶液中で圧力釜にて105℃以上で茹でながら殺菌する方法が挙げられる。
【0008】
こうして得られた包装α化麺類はpH5.5以下に調整されているため品質上好ましくない酸味があるが、包装調味部をpH3.5〜7.0の範囲になるように配合し、麺食品全体のナトリウム含量をα化麺類の重量に対して0.3〜1.3重量%となるように調整することにより、α化麺類と調味部を混合した時にα化麺類の酸味を緩和することができる。
【0009】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、水分が20%以下の乾麺類を茹でて水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する。
【0010】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、水分が20重量%より多い生麺類を茹でて水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する。
【0011】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、水分が20重量%より多い生麺類を蒸煮して水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する。
【0012】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、上記α化麺類を酸性水溶液に浸漬し充填密封後、105〜200℃の温度で加圧加熱殺菌する工程を包含する。
【0013】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、上記α化麺類を酸性水溶液に浸漬し、105〜200℃の飽和水蒸気又は過熱水蒸気を直接噴射して殺菌する工程を包含する。
【0014】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、麺類を加圧下、酸性水溶液中で105〜200℃の温度で茹でる工程を包含する。
【0015】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記包装α化麺類を得る工程で得られる殺菌価が、Fo0分より高くFo5分以下である。
【0016】
本発明の方法の1つの実施形態では、麺食品全体に含まれるナトリウムのうち、50%以上が食塩に含まれるナトリウムであり、75%以上が食塩、アミノ酸、核酸、有機酸塩のいずれか1以上に含まれるナトリウムである。
【0017】
本発明の方法の1つの実施形態では、麺食品全体に含まれるナトリウムの75%以上が、包装調味部中に含まれるナトリウムである。
【0018】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記包装調味部が、Fo3.1以上の加圧加熱殺菌処理を行ったレトルトパウチ食品、缶詰食品、或いは無菌充填食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが1〜35%である。
【0019】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記包装調味部が、Aw0.88以下に調整しF83 ℃15分以上の殺菌処理を行った中間水分食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが35〜80%である。
【0020】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記中間水分食品の調味液が、食塩5重量%以上とエタノール0.1重量%以上を含む。
【0021】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記包装調味部が、Aw0.60以下の乾燥調味粉末である。
【0022】
本発明の長期保存用麺食品は、包装調味部に食品添加物であるpH調整剤を添加することなく、いずれの形態においてもあらゆるメニューの麺類に対応して酸味、甘味、塩味、旨味を含む風味バランスを調和することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で常用される意味で用いられることが理解されるべきである。
【0024】
本明細書において、風味とは五味(甘味、酸味、塩味、辛味、苦味)、旨味、コク、香りなどによって食品の特徴となる味わいをいい、「風味バランスを調和させる」とは特定の味や香りが風味の中で突出しない状態に整えることをいう。また、食感とは麺類を喫食する際に得られる感覚をいい、例えば口当たり、歯触り、のど越し、歯ごたえ、舌触り等の感覚を含む。
【0025】
麺類とは、麺類生地の加工品をいい、麺類生地とは、麺類原料を混合または混練することによって得られる混合物または混練物をいう。また、上記麺類を茹で又は蒸煮によりα化したものを本明細書では特にα化麺類という。
【0026】
包装調味部とは、包装済みの調味液、或いは包装済みの乾燥調味粉末を総称していう。
【0027】
Brixとは、検体中の水溶性固形分をブリックス計でショ糖濃度として測定した値(%)である。ブリックス計は純粋なショ糖溶液の重量%を示すように作られているため、食品を分析した場合、食品中の水溶性固形分がショ糖濃度として表示される。本発明では、検体の品温を20℃に調整し、具材等の固形分を除いた溶液部分を測定した。
【0028】
(1.麺類原料)
本発明で用いる麺類の原料は、水と穀粉を含む。水は軟水、中間水、硬水のいずれであっても良い。穀粉とは穀物の穀粒から得られる粉砕物または粉末をいう。穀物としては、コムギ、ソバ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、イネ、マメ、アワ、ヒエが挙げられ、そのうちコムギまたはソバが好ましく、コムギがより好ましい。さらにコムギの中でも硬質小麦、中間質小麦、デュラム小麦が特に好ましい。
【0029】
デュラム小麦以外の小麦は、粒径210μm以下の穀粉であるフラワーが好ましく、殆どの麺類に使用することができる。また、デュラム小麦は粒径250〜1000μmの穀粉であるセモリナが好ましく、使用できる麺類の種類に限定はないが、マカロニ類(一般にパスタ類とも呼ばれる)に使用するのが好ましい。
【0030】
さらに麺類原料は、有機酸、無機酸、有機酸塩、無機酸塩、グリシン等を含むことができる。これにより殺菌効果や静菌効果、特に塩では食感改良効果をも得ることができる。
【0031】
さらに麺類原料は、グルテン、澱粉、多糖類、卵白、カルシウム製剤等を含むことができる。これにより食感改良効果を得ることができる。
【0032】
さらに麺類原料は、必要に応じて調味料、かんすい、着色料、乳化剤、乳蛋白質、食品素材といった様々な添加物を含むことができる。調味料の例としては、例えば砂糖、アミノ酸、核酸等、食品素材の例としては、例えばトマト、ホウレンソウ等の野菜、いかすみ等が挙げられる。
【0033】
(2.麺類の製造)
麺類は、当該分野で周知の方法に従って製造できる。例えば、上記のような麺類原料を混練して麺類生地を調製し、この麺類生地を加圧押出しするか、圧延して平板状に切り出すか、または引き伸ばすことによって製造できる。
【0034】
麺類は、任意の形状であり得るが、棒状または帯状の麺類を特に麺という。
【0035】
得られた麺類のうち、本明細書では水分含量が20重量%よりも多い麺類を生麺類といい、20重量%以下の麺類を乾麺類という。乾麺類は生麺類を一定の水分含量になるまで乾燥させることにより得られる。
【0036】
上記の材料及び方法により製造される麺類の例としては、例えばうどん類、中華麺類、日本そば類、素麺類、パスタ類などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
(3.酸性水溶液)
本明細書において、酸性水溶液はpH7.0未満の水溶液をいい、酸性水溶液は酸を含む。本発明で使用できる酸は、食用可能な酸であり、無機酸であっても有機酸であってもよい。有機酸の例としては、例えば乳酸、酢酸、クエン酸、アジピン酸、リンゴ酸、グルコン酸、フマル酸、フィチン酸、コハク酸、酒石酸等、無機酸の例としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、炭酸等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの酸は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
酸性水溶液中の酸の濃度は、α化麺類のpHが好ましくは3.0〜5.5、より好ましくは3.0〜4.5、さらに好ましくは3.8〜4.2となるように、使用する麺類の種類、酸の種類、後述する浸漬或いは茹でといったpH調整方法に応じて適宜決定できる。
【0039】
酸性水溶液は、有機酸塩、無機酸塩を含むことができる。酸性水溶液中に酸と塩が共存すると緩衝作用が起こり、酸または塩の濃度変化によるpH変化が小さくなる。そのため、本発明の製造方法を連続式で行う場合、pH調整が容易になる。また、任意のpHを維持しつつ塩濃度を増加させることにより、殺菌効果及び静菌効果を高めることもできる。尚、塩として食塩、グルタミン酸ナトリウムのようなアミノ酸、5’−イノシン酸ナトリウムや5’−グアニル酸ナトリウムのような核酸を用いると風味を改良することもできる。酸性水溶液は、その他の風味を改良できるものを1以上含むことができる。その他の風味を改良できるものとして、例えばショ糖、乳清ミネラル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
(4.油脂)
本発明の製造方法では、α化麺類のほぐれをよくするために、α化麺類に油脂を噴霧することができる。油脂とは、任意の食用可能な油脂であり、例えば大豆油、なたね油、ごま油、コーン油、綿実油、米油、紅花油、ヤシ油、ひまわり油、オリーブオイル等が挙げられる。油脂の種類は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。また、油脂をα化麺類に単独で噴霧するだけでなく、乳化剤、水のような他の物質と混合してから噴霧することもできる。
【0041】
乳化剤は、食用可能な任意の乳化剤であり得る。乳化剤としては、例えばモノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
乳化油脂の製造方法は周知である。例えば、使用する乳化剤に応じて油脂と水の比率を決定し、ホモミキサーで撹拌することによって乳化油脂が得られる。乳化油脂は、α化麺類のほぐれに特に有効である。
【0043】
(5.容器)
本発明において、α化麺類或いは調味部を充填するのに用いられる容器は、密封可能な任意の入れ物であり得る。容器は着色されていてもよく、完全な透明であってもよく、半透明(着色透明)であってもよい。また、容器は完全一体化した構造をとってもよく、蓋部分と底部分とに分かれた二重構造をとってもよい。製造時の便宜性や喫食時の取り扱い易さから、α化麺類には二重構造、調味部には袋状の一体化構造をとることが好ましい。また、容器は内容物を密封した後に密封状態を保持できるのであれば、任意の容器材料であり得る。容器材料は好ましくは合成樹脂であり、従来、食品の包装に用いられていた任意の合成樹脂が使用可能である。
【0044】
容器材料は、酸素透過度が低いことが好ましい。酸素透過度が低いと、好気性菌の増殖抑制に有利であり、且つ内容物の酸化劣化防止にも有効である。
【0045】
特にα化麺類に用いる容器材料は、耐熱性であることが好ましく、電子レンジ加熱に耐性であることがより好ましく、尚且つ発泡樹脂であることが好ましい。これにより、喫食前に調味部を加えたα化麺類を包装容器ごと電子レンジで加熱することが可能となり、包装容器が熱を持たないため、包装容器を手で持ちながら温まった麺食品を喫食することが可能となる。
【0046】
本発明の1つの実施形態として殺菌済みの内容物を無菌的に充填し密封する場合、滅菌した容器を使用することで内容物が腐敗することなく長期保存可能とすることができる。無菌的とは、容器材料、付帯設備、作業者等から製品中で発育し得る菌が全く混入しない状態をいう。容器を滅菌する方法の例としては、例えば紫外線で表面を殺菌する方法、35%過酸化水素水で表面を殺菌する方法、高圧蒸気滅菌法、酸化エチレンガス滅菌法、放射線滅菌法、電子線滅菌法、プラズマ滅菌法、熱湯滅菌法等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
(6.包装α化麺類の製造)
本発明の包装α化麺類の製造方法は、麺類を茹で又は蒸煮により水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する。麺類としては、生麺類或いは乾麺類のいずれを使用してもよい。
【0048】
本発明の包装α化麺類の製造方法の1つの実施形態では、上記α化麺類を酸性水溶液に浸漬して、α化麺類のpHを好ましくは3.0〜5.5、より好ましくは3.0〜4.5、さらに好ましくは3.8〜4.2に調整し、その後約105〜200℃、より好ましくは110〜150℃、さらに好ましくは115〜140℃、特に好ましくは120〜130℃の温度で殺菌する工程を包含する。
【0049】
殺菌の方法としては、α化麺類を容器に充填密封して加圧加熱殺菌する所謂LL麺の製法で用いられる方法、及びα化麺類に飽和水蒸気又は過熱水蒸気を直接噴射して殺菌する方法の2つが挙げられる。後者の場合、より好ましくは殺菌室内を真空状態にした後、飽和水蒸気又は過熱水蒸気を噴射することで、殺菌室内全体に速やかに熱を伝えることができ、効率よくα化麺類を殺菌することができる。
【0050】
前者の殺菌方法の場合、酸性水溶液に浸漬した後のα化麺類の水分含量を50〜80重量%、より好ましくは60〜80重量%、さらに好ましくは65〜75重量%とすれば優れた食感の包装α化麺類を得ることができる。水分含量を上記の重量%に調整するには、例えば酸性水溶液に浸漬する前のα化麺類の水分含量を50〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%、さらに好ましくは55〜65重量%とし、酸性水溶液に浸漬する時間を1分とすればよい。殺菌を終えた時点で包装α化麺類として完成する。
【0051】
後者の殺菌方法の場合、殺菌後のα化麺類の水分含量を50〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%、さらに好ましくは55〜65重量%とすれば優れた食感の包装α化麺類を得ることができる。水分含量を上記の重量%に調整するには、例えば酸性水溶液に浸漬する前のα化麺類の水分含量を40〜80重量%、より好ましくは45〜65重量%、さらに好ましくは50〜60重量%とし、酸性水溶液に浸漬する時間を1分とし、酸性水溶液に浸漬後のα化麺類の水分含量を40〜80重量%、より好ましくは45〜65重量%、さらに好ましくは50〜65重量%とすれば優れた食感の包装α化麺類を得ることができる。α化麺類は単体で殺菌するだけでなく、容器と一緒に充填した状態で殺菌することも可能である。殺菌したα化麺類を最終的に無菌下で無菌的に容器に密封すれば、包装α化麺類として完成する。
【0052】
さらに本発明の包装α化麺類の製造方法のもう1つの実施形態では、麺類を加圧下、酸性水溶液中で好ましくは105〜200℃、より好ましくは110〜150℃、さらに好ましくは115〜140℃、特に好ましくは120〜130℃の温度で茹で、pH3.0〜5.5、より好ましくはpH3.0〜4.5、さらに好ましくはpH3.8〜4.2のα化麺類を得る工程を包含する。麺類の種類に特に限定はないが、代表的にはマカロニ類の乾麺を用い、本出願人が提出した特願2003−022873号に記載の方法によって風味、食感の優れた包装α化麺類を得ることもできる。また、好ましい実施形態では、α化麺類の茹で上がり時の水分含量を50〜80重量%、50〜78重量%、54〜76重量%、より好ましくは57〜70重量%、さらに好ましくは58〜66重量%となるように茹で時間を調整する。水分含量を上記の重量%に調整することにより、優れた食感の包装α化麺類を得ることができる。殺菌したα化麺類を無菌下で無菌的に容器に充填し密封すれば、包装α化麺類として完成する。
【0053】
本発明の包装α化麺類を得る工程で得られる殺菌価は、好ましくはFo0分より高くFo5分以下であり、より好ましくはFo1分〜Fo4分であり、さらに好ましくはFo2分〜Fo3分であり、最も好ましくはFo2分である。菌的安全性を満たしつつ殺菌価を低く抑えるためには、殺菌価Fo2分が好ましい。尚、Fo値は殺菌価に関する値であり、殺菌時間と殺菌温度により決定される関数である。Fo値は、次式で決定される:
【0054】
【数1】
【0055】
完成した包装α化麺類は、いずれの製法においてもpHが3.0〜5.5に調整されているため、従来のLL麺と同様の酸味を有している。
【0056】
(7.包装調味部の製造)
本発明では、調味部のpHを3.5〜7.0とし、尚且つ麺食品全体のナトリウム含量がα化麺類の重量に対して0.3〜1.3重量%となるように包装調味部を調製する。より好ましい実施形態としては、麺食品全体に含まれるナトリウムのうち、50%以上が食塩に含まれるナトリウムであり、75%以上が食塩、アミノ酸、核酸、有機酸塩のいずれか1以上に含まれるナトリウムとなるように包装調味部を調製する。さらに好ましい実施形態としては、麺食品全体に含まれるナトリウムの75%以上が、包装調味部中に含まれるように包装調味部を調製する。アミノ酸としては代表的にはグルタミン酸ナトリウムが挙げられ、核酸としては代表的には5’−イノシン酸ナトリウムや5’−グアニル酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。このように一定のpHの範囲で、麺食品全体のナトリウム含量を調整することにより、ナトリウムを含む成分の塩味と旨味を麺食品に付与して包装α化麺類の持つ酸味を緩和することができ、麺食品全体の風味バランスを調和させることができる。
【0057】
本発明の包装調味部は、他にも任意の食用可能な原料を配合することができ、例えば野菜類、果実類、豆類、穀類、畜肉類、魚介類、乳類、卵類、澱粉類、糖類、油脂類、酒類、茶類、水、香辛料、はちみつ、調味料(蛋白加水分解物、発酵調味料、醸造調味料等)、着色料、乳化剤、食品添加物の調味料等が挙げられるが、これらに限定されない。セットになる包装α化麺類の種類に応じて適宜配合を決定し風味を特徴付けることができる。
【0058】
本発明の包装調味部の1つの実施形態は、Fo3.1以上の加圧加熱殺菌処理を行ったレトルトパウチ食品、缶詰食品、或いは無菌充填食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが1〜35%、より好ましくは5〜30%、さらに好ましくは10〜25%、特に好ましくは12〜23%、最も好ましくは15〜20%である。調味液のBrixを上記範囲とすることで、包装α化麺類の持つ酸味を相対的に適度に薄めることができ、麺食品全体の風味バランスをさらに調和させることができる。レトルトパウチ食品、缶詰食品、及び無菌充填食品の製造方法は、原料の加工工程(混合、撹拌、加熱等)、充填工程、密封工程、殺菌工程を包含し、当該分野で周知の方法に従って製造できる。レトルトパウチ食品と缶詰食品は、いずれも内容物を充填、密封した後、殺菌することで完成する。一方、無菌充填食品は、内容物を殺菌した後、無菌下で無菌的に充填、密封することで完成する。
【0059】
本発明の包装調味部の1つの実施形態は、Awを0.88以下に調整しF83 ℃15分以上の殺菌処理を行った中間水分食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが35〜80%、より好ましくは45〜75%、さらに好ましくは50〜75%、特に好ましくは55〜73%、最も好ましくは60〜70%である。調味液中の固形分の粒子の大きさには特に限定がない。調味液のBrixを上記範囲とすることで、包装α化麺類の持つ酸味を相対的に適度に薄めることができ、麺食品全体の風味バランスをさらに調和させることができる。また所望の場合は、任意の乾燥具材を別の包装材料に密封し添付することもできる。中間水分食品の製造方法は、原料の加工工程(混合、撹拌、加熱等)、充填工程、密封工程、殺菌工程を包含し、当該分野で周知の方法に従って製造できる。本発明では、調味液のAwを0.88以下、より好ましくは0.87以下、さらに好ましくは0.86以下、特に好ましくは0.85以下、最も好ましくは0.83以下とすることで、耐熱性の強い芽胞菌の増殖を抑制でき、さらに増殖可能な菌をF83 ℃15分以上の殺菌価で殺菌することができる。また、滅菌した容器を使用し無菌的に充填密封するならば、原料の加工工程の加熱にて殺菌処理を行うことにより、充填密封後の殺菌工程を省くことができる。尚、F83 ℃値はFo値と同様に殺菌価に関する値であり、次式で決定される:
【0060】
【数2】
さらにより好ましい実施形態としては、上記中間水分食品の調味液中に、食塩を5重量%以上とエタノールを0.1重量%以上含むよう包装調味部を調製する。これにより、食塩とエタノールの静菌作用が相乗的に働き、菌的な安全性がさらに向上する。
【0061】
本発明の包装調味部の1つの実施形態は、Aw0.60以下の乾燥調味粉末である。乾燥調味粉末の製造方法は、原料の前処理工程(殺菌、濃縮、乾燥、粉砕、分級等)、加工工程(混合、造粒、篩別等)、充填工程、密封工程を包含することができ、当該分野で周知の方法に従って製造できる。また所望の場合は、任意の乾燥具材を乾燥調味粉末と同封、或いは別の包装材料に密封し添付することもできる。
【0062】
(8.麺食品の喫食方法)
このようにして製造された本発明の麺食品は、α化麺類と調味部を混合してそのまま喫食してもよく、加熱してから喫食してもよい。加熱は任意の方法で実施できるが、好ましくは喫食する直前に加熱するとよい。また加熱する際は、α化麺類と調味部を混合して加熱してもよく、それぞれ別々に加熱してから混合してもよい。加熱の方法としては、例えば電子レンジで加熱するか、湯煎するか、湯通しするか、炒めるか、または蒸す等が挙げられるが、これらに限定されない。また麺食品には、任意の量の熱水又は常温の水を加えることもできる。
【0063】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0064】
(実施例1. 充填密封後、加圧加熱殺菌した包装α化麺類、及び無菌充填食品の包装済み調味液を組み合わせた麺食品の製造方法)
鍋で3.0ℓの水を沸騰させ、デュラム小麦粉のセモリナ100%の直径1.7mm、長さ240mmで且つ断面が円形のスパゲッティ乾麺(水分含量12.0重量%)300g(市販品)を鍋に加えて、熱湯で常圧下6分30秒間茹で上げた。次いで茹で湯を水切りし、グルコン酸2.75重量%を含む1.0ℓの酸性水溶液に茹で麺を1分間浸漬し、さらに酸性水溶液を水切りした。得られた茹で麺を135℃にて2時間保持し、2時間保持前後の麺類の測定重量を比較して、2時間保持後に減少した重量から水分含量を算出したところ、茹で麺の水分含量は60重量%であった。また得られた茹で麺のpHを測定した。茹で麺のpHは、麺50gに脱イオン水100ccを加えて10分間以上浸漬し、さらにマルチブレンダーにより1000rpmで5分間破砕した後、20℃にて測定した。測定機器は、堀場製作所製のガラス電極式水素イオン濃度計(型式F−23)を用いた。その結果、茹で麺のpHは4.2であった。
【0065】
さらに、縦180mm×横118mm×高さ44mmの大きさのポリプロピレン(PP)/EVOH/PP(48重量%/4重量%/48重量%;全体の厚み0.7mm;酸素透過度1.5cc/m2/24h)の容器に、この茹で麺を容器1個当たり180gずつ充填し、オリーブオイルを、容器に充填された茹で麺に1容器当たり2gずつ噴霧した。その後、この茹で麺を含むPP/EVOH/PP容器にアルミ蒸着PET12μm/ナイロン25μm/CPP35μmの蓋を被せ、この蓋と容器とをヒートシールし密封した。この密封した容器をシャワー式レトルト殺菌機(神垣鉄工所製、型式:UHR−70CT)にて112℃で25分間殺菌を行った。この加圧加熱殺菌により得られた殺菌価はFo2.4分であった。これにより、長期保存可能な包装α化麺類のスパゲッティを得た。
【0066】
包装調味部には、1食当たりサラダ油7.5g、おろしにんにく4g、玉葱35g、牛挽き肉75g、トマト水煮75g、セロリ末0.2g、胡椒0.2gを用意し、順に加えて炒め合わせた。さらに1食分のα化麺類のスパゲッティ180gに対して0.85重量%、即ち1.53gのナトリウムを食塩のみで加えることとし、3.9gの食塩を加えてミートソースとした。得られたミートソースを小容量液体連続殺菌試験機(日阪製作所製、型式:RMS−2型)にて130℃でホールド時間1分の殺菌を行った。この加熱殺菌により得られる殺菌価は計算上Fo7.8分である。
【0067】
さらに無菌ブース内で、PET12μm/Aℓ7μm/PET12μm/LLDPE45μmのパウチを35%過酸化水素水で表面殺菌し滅菌水で濯いだ後、殺菌済みのソースをパウチに1食分ずつ無菌的に充填し、ヒートシールをすることによってこのパウチを密封した。これにより、長期保存可能な包装調味部として無菌充填食品のミートソースを得た。このミートソースのpHを上記測定機器にて20℃で測定したところ、pH5.0であり、ナトリウム含量を公知の原子吸光法で測定したところ、1食当たり1.58gであった。
【0068】
得られた包装α化麺類のスパゲッティと包装調味部のミートソースをそれぞれ開封し、PP/EVOH/PPの容器中のスパゲッティにミートソースをかけ、剥がした蓋を容器の上に乗せてそのまま容器ごと電子レンジで500Wにて2分30秒間加熱を行った。加熱後によく混ぜ合わせて食したところ、麺のもつ酸味が全く感じられず、麺とソースの風味バランスの優れた非常に美味しいスパゲッティであった。
【0069】
(実施例2. 飽和水蒸気で殺菌後、無菌充填した包装α化麺類、及び包装済み乾燥調味粉末を組み合わせた麺食品の製造方法)
茹で時間6分30秒を3分45秒とする以外は、実施例1と同様にして茹で麺を得た。得られた茹で麺の水分含量とpHを実施例1と同様に測定したところ、水分含量は54重量%でpHは4.2であった。
【0070】
さらに、実施例1と同じPP/EVOH/PP容器にこの茹で麺を容器1個当たり167gずつ充填し、オリーブオイルを、容器に充填された茹で麺に1容器当たり2gずつ噴霧した。その後、この茹で麺をPP/EVOH/PP容器ごと短時間調理殺菌試験機(日阪製作所製、型式:RIC−15T)に供し、茹で麺に飽和水蒸気を直接噴射して125℃で35秒間殺菌した。この加熱殺菌により得られた殺菌価はFo2.7分であった。殺菌後の茹で麺は、水蒸気を吸収したため重量が167gから180gに増加し、水分含量は57重量%となった。その後無菌ブース内で、この殺菌済みの麺を含むPP/EVOH/PP容器に過酸化水素水処理済みのアルミ蒸着PET12μm/ナイロン25μm/CPP35μmの蓋を被せ、この蓋と容器とをヒートシールすることによってこの容器を密封した。これにより、長期保存可能な包装α化麺類のスパゲッティを得た。
【0071】
包装調味部には、ナトリウム5.0重量%の乾燥たらこ粉末(凍結乾燥品)を用いた。1食分のα化麺類のスパゲッティ180gに対して0.556重量%、即ち1gのナトリウムを含むに相当する乾燥たらこ20gを測り取り、これに0.128重量%、即ち0.23gのナトリウムをグルタミン酸ナトリウムのみで加えることとし、1.69gのグルタミン酸ナトリウムを加えた。さらに乳糖2g、刻み海苔2gを加えて粉末たらこソースとした。この粉末たらこソースをPET12μm/Aℓ7μm/PET12μm/LLDPE45μmの小袋に充填密封し、長期保存可能な包装調味部として乾燥調味粉末のたらこソースを得た。このたらこソースのナトリウム含量を公知の原子吸光法で測定したところ、1食当たり1.24gであった。
【0072】
得られた包装α化麺類のスパゲッティと包装調味部のたらこソースをそれぞれ開封し、PP/EVOH/PPの容器中のスパゲッティにたらこソースをかけ、剥がした蓋を容器の上に乗せてそのまま容器ごと電子レンジで500Wにて2分30秒間加熱を行った。加熱後によく混ぜ合わせて食したところ、麺のもつ酸味が全く感じられず、麺とソースの風味バランスの優れた非常に美味しいスパゲッティであった。
【0073】
(実施例3. 加圧下高温で茹でた後、無菌充填した包装α化麺類、及びレトルトパウチ食品の包装済み調味液を組み合わせた麺食品の製造方法)
容量6.0ℓの圧力釜(理研社製;商品番号n−186−10)中で、乳酸0.2重量%を含む3.0ℓの酸性水溶液を常圧下で沸騰させた。この水溶液の20℃でのpHは、2.9であった。この圧力釜に実施例1と同じスパゲッティ乾麺300gを加えた。続いて常圧のまま30秒間かき混ぜながら茹でた後、この圧力釜の蓋をして密閉して加熱を続け、最高121℃水蒸気圧2気圧になってから121℃で4分間加熱した。その後圧力を開放しつつ、釜ごと水冷して釜の中を常圧に戻した。この高温高圧化での加熱処理により得られた殺菌価はFo4.4分であった。次いで、無菌ブース内で茹で水である酸性水溶液を水切りした。得られた茹で麺の水分含量とpHを実施例1と同様に測定したところ、水分含量は63重量%でpHは4.2であった。
【0074】
さらに無菌ブース内で、実施例1と同じPP/EVOH/PP容器を 35%過酸化水素水で表面殺菌し滅菌水で濯いだ後、茹で麺を容器1個当たり180gずつ無菌的に充填した。その後、この茹で麺を含むPP/EVOH/PP容器に過酸化水素水処理済みのアルミ蒸着PET12μm/ナイロン25μm/CPP35μmの蓋を被せ、この蓋と容器とをヒートシールすることによってこの容器を密封した。これにより、長期保存可能な包装α化麺類のスパゲッティを得た。
【0075】
包装調味部には、1食当たりサラダ油7.5g、おろしにんにく4g、玉葱35g、牛挽き肉75g、トマト水煮75g、セロリ末0.2g、胡椒0.2gを用意し、順に加えて炒め合わせた。さらに1食分のα化麺類のスパゲッティ180gに対して0.85重量%、即ち1.53gのナトリウムを食塩のみで加えることとし、3.9gの食塩を加えてミートソースとした。得られたミートソースをPET12μm/Aℓ7μm/CPP70μmのレトルトパウチに1食分ずつ充填密封し、シャワー式レトルト殺菌機(神垣鉄工所製、型式:UHR−70CT)にてFo10分に相当する殺菌価で加圧加熱殺菌を行った。これにより、長期保存可能な包装調味部としてレトルトパウチ食品のミートソースを得た。このミートソースのpHを上記測定機器にて20℃で測定したところ、pH5.0であり、ナトリウム含量を公知の原子吸光法で測定したところ、1食当たり1.57gであった。
【0076】
得られた包装α化麺類のスパゲッティと包装調味部のミートソースをそれぞれ開封し、PP/EVOH/PPの容器中のスパゲッティにミートソースをかけ、剥がした蓋を容器の上に乗せてそのまま容器ごと電子レンジで500Wにて2分30秒間加熱を行った。加熱後によく混ぜ合わせて食したところ、麺のもつ酸味が全く感じられず、麺とソースの風味バランスの優れた非常に美味しいスパゲッティであった。
【0077】
(実施例4. 加圧下高温で茹でた後、無菌充填した包装α化麺類、及び中間水分食品の包装済み調味液を組み合わせた麺食品の製造方法)
スパゲッティ乾麺を生うどん(市販品)とする以外は、実施例3と同様にして長期保存可能な包装α化麺類を得た。得られた茹で麺の水分含量とpHを実施例1と同様に測定したところ、水分含量は68重量%でpHは4.0であった。
【0078】
包装調味部にはナトリウム3.42重量%のウスターソース(市販品)を用いた。1食分のα化麺類のうどん180gに対して0.475重量%、即ち0.855gのナトリウムを含むに相当するウスターソース25gを測り取り、砂糖0.75gを加え、さらにBx60%になるまで加熱濃縮を行った。濃縮後は小袋に充填密封し、85℃で15分間の条件で加熱殺菌処理を施した。これにより、長期保存可能な包装調味部として中間水分食品の焼きうどんソースを得た。この焼きうどんソースのpHを上記測定機器にて20℃で測定したところ、pH3.6であった。また、焼きうどんソースのAwをロトロニック水分活性測定システムAw−ラボにて25℃で測定したところ、Aw0.68であった。
【0079】
得られた包装α化麺類のうどんと包装調味部の焼きうどんソースをそれぞれ開封し、フライパンで一緒に炒め、水気がなくなるまで十分に加熱を行った。加熱後に食したところ、麺のもつ酸味が全く感じられず、麺とソースの風味バランスの優れた非常に美味しい焼きうどんであった。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、包装α化麺類の持つ酸味を緩和しつつ麺食品全体の風味バランスを調和させた、包装α化麺類と包装調味部をセットにした長期保存用麺食品を製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期保存することができる麺食品に関するものであり、より詳細には、α化麺類と調味液又は調味粉末を混合した時に茹で麺類の酸味が感じられず、麺食品全体の風味バランスを調和することができる長期保存可能な麺食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1において、生麺類を茹で又は蒸煮によりα化した包装麺類と包装調味液をセットにした長期保存可能な麺食品の製造方法が開示されており、α化麺類と調味液を一緒に食することで風味バランスを調和する方法が提案されている。特許文献1の包装α化麺類は、α化麺類のpHを3.6〜5.2に調整し加熱殺菌を行う所謂LL麺の製法で得ることができる。このα化麺類と一緒に食する包装調味液は、Aw0.7〜0.85の中間水分食品に限定され、Awの調整に甘味料を一定量配合することが特徴であった。従って一定の甘味が必然的に麺食品に付与されるため、甘味を少量に控えたい麺食品、例えば和風や中華の麺食品には調味液の内容量自体を少なく制限する必要があった。また、Awを指標に甘味を付与して酸味を軽減すると、逆にAwに大きく影響する食塩やアミノ酸、核酸等の量が制限され塩味や旨味の風味バランスが制約を受けることになった。更に調味液のpHはα化麺類のpHよりも高くすることが必須であり、トマトを使用した調味液等はpHの調整に炭酸塩やリン酸塩等の食品添加物を添加する必要がある等、配合上の制約が多かった。
【0003】
【特許文献1】特許第3022305号(第1〜4頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
包装α化麺類と包装調味部をセットにした長期保存可能な麺食品であり、調味部に食品添加物であるpH調整剤を添加することなく、且つあらゆる形態の包装調味部を選択でき、包装α化麺類の持つ酸味を緩和しつつ麺食品全体の風味バランスを容易に調和できる麺食品を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決させるために鋭意研究を重ねた結果、包装調味部のpHを酸性域の3.5〜7.0とした上で、麺食品全体のナトリウム含量をα化麺類の重量に対して0.3〜1.3重量%となるように調整することにより、あらゆる種類の麺類に対して酸味を緩和することができることを見出した。
【0006】
詳細には、本発明の長期保存用麺食品は、包装α化麺類と包装調味部を別々に調製するものであり、α化麺類はpHを3.0〜5.5にして殺菌及び静菌効果を高めつつ殺菌することで長期保存を可能とすることができる。調味部はレトルトパウチ食品、缶詰食品、無菌充填食品、中間水分食品、乾燥調味粉末のいずれの形態を選択しても良く、周知の殺菌及び静菌技術により、長期保存を可能とすることができる。
【0007】
より詳細には、麺類の殺菌は任意の方法で実施できるが、α化麺を酸性水溶液でpH調整し充填密封後、加圧加熱殺菌装置にて殺菌する従来のLL麺(ロングライフ麺)の製法、α化麺を酸性水溶液でpH調整し飽和水蒸気又は過熱水蒸気を直接噴射して殺菌する方法、麺類を酸性水溶液中で圧力釜にて105℃以上で茹でながら殺菌する方法が挙げられる。
【0008】
こうして得られた包装α化麺類はpH5.5以下に調整されているため品質上好ましくない酸味があるが、包装調味部をpH3.5〜7.0の範囲になるように配合し、麺食品全体のナトリウム含量をα化麺類の重量に対して0.3〜1.3重量%となるように調整することにより、α化麺類と調味部を混合した時にα化麺類の酸味を緩和することができる。
【0009】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、水分が20%以下の乾麺類を茹でて水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する。
【0010】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、水分が20重量%より多い生麺類を茹でて水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する。
【0011】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、水分が20重量%より多い生麺類を蒸煮して水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する。
【0012】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、上記α化麺類を酸性水溶液に浸漬し充填密封後、105〜200℃の温度で加圧加熱殺菌する工程を包含する。
【0013】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、上記α化麺類を酸性水溶液に浸漬し、105〜200℃の飽和水蒸気又は過熱水蒸気を直接噴射して殺菌する工程を包含する。
【0014】
本発明の方法の1つの実施形態では、包装α化麺類の製法が、麺類を加圧下、酸性水溶液中で105〜200℃の温度で茹でる工程を包含する。
【0015】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記包装α化麺類を得る工程で得られる殺菌価が、Fo0分より高くFo5分以下である。
【0016】
本発明の方法の1つの実施形態では、麺食品全体に含まれるナトリウムのうち、50%以上が食塩に含まれるナトリウムであり、75%以上が食塩、アミノ酸、核酸、有機酸塩のいずれか1以上に含まれるナトリウムである。
【0017】
本発明の方法の1つの実施形態では、麺食品全体に含まれるナトリウムの75%以上が、包装調味部中に含まれるナトリウムである。
【0018】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記包装調味部が、Fo3.1以上の加圧加熱殺菌処理を行ったレトルトパウチ食品、缶詰食品、或いは無菌充填食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが1〜35%である。
【0019】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記包装調味部が、Aw0.88以下に調整しF83 ℃15分以上の殺菌処理を行った中間水分食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが35〜80%である。
【0020】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記中間水分食品の調味液が、食塩5重量%以上とエタノール0.1重量%以上を含む。
【0021】
本発明の方法の1つの実施形態では、上記包装調味部が、Aw0.60以下の乾燥調味粉末である。
【0022】
本発明の長期保存用麺食品は、包装調味部に食品添加物であるpH調整剤を添加することなく、いずれの形態においてもあらゆるメニューの麺類に対応して酸味、甘味、塩味、旨味を含む風味バランスを調和することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で常用される意味で用いられることが理解されるべきである。
【0024】
本明細書において、風味とは五味(甘味、酸味、塩味、辛味、苦味)、旨味、コク、香りなどによって食品の特徴となる味わいをいい、「風味バランスを調和させる」とは特定の味や香りが風味の中で突出しない状態に整えることをいう。また、食感とは麺類を喫食する際に得られる感覚をいい、例えば口当たり、歯触り、のど越し、歯ごたえ、舌触り等の感覚を含む。
【0025】
麺類とは、麺類生地の加工品をいい、麺類生地とは、麺類原料を混合または混練することによって得られる混合物または混練物をいう。また、上記麺類を茹で又は蒸煮によりα化したものを本明細書では特にα化麺類という。
【0026】
包装調味部とは、包装済みの調味液、或いは包装済みの乾燥調味粉末を総称していう。
【0027】
Brixとは、検体中の水溶性固形分をブリックス計でショ糖濃度として測定した値(%)である。ブリックス計は純粋なショ糖溶液の重量%を示すように作られているため、食品を分析した場合、食品中の水溶性固形分がショ糖濃度として表示される。本発明では、検体の品温を20℃に調整し、具材等の固形分を除いた溶液部分を測定した。
【0028】
(1.麺類原料)
本発明で用いる麺類の原料は、水と穀粉を含む。水は軟水、中間水、硬水のいずれであっても良い。穀粉とは穀物の穀粒から得られる粉砕物または粉末をいう。穀物としては、コムギ、ソバ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、イネ、マメ、アワ、ヒエが挙げられ、そのうちコムギまたはソバが好ましく、コムギがより好ましい。さらにコムギの中でも硬質小麦、中間質小麦、デュラム小麦が特に好ましい。
【0029】
デュラム小麦以外の小麦は、粒径210μm以下の穀粉であるフラワーが好ましく、殆どの麺類に使用することができる。また、デュラム小麦は粒径250〜1000μmの穀粉であるセモリナが好ましく、使用できる麺類の種類に限定はないが、マカロニ類(一般にパスタ類とも呼ばれる)に使用するのが好ましい。
【0030】
さらに麺類原料は、有機酸、無機酸、有機酸塩、無機酸塩、グリシン等を含むことができる。これにより殺菌効果や静菌効果、特に塩では食感改良効果をも得ることができる。
【0031】
さらに麺類原料は、グルテン、澱粉、多糖類、卵白、カルシウム製剤等を含むことができる。これにより食感改良効果を得ることができる。
【0032】
さらに麺類原料は、必要に応じて調味料、かんすい、着色料、乳化剤、乳蛋白質、食品素材といった様々な添加物を含むことができる。調味料の例としては、例えば砂糖、アミノ酸、核酸等、食品素材の例としては、例えばトマト、ホウレンソウ等の野菜、いかすみ等が挙げられる。
【0033】
(2.麺類の製造)
麺類は、当該分野で周知の方法に従って製造できる。例えば、上記のような麺類原料を混練して麺類生地を調製し、この麺類生地を加圧押出しするか、圧延して平板状に切り出すか、または引き伸ばすことによって製造できる。
【0034】
麺類は、任意の形状であり得るが、棒状または帯状の麺類を特に麺という。
【0035】
得られた麺類のうち、本明細書では水分含量が20重量%よりも多い麺類を生麺類といい、20重量%以下の麺類を乾麺類という。乾麺類は生麺類を一定の水分含量になるまで乾燥させることにより得られる。
【0036】
上記の材料及び方法により製造される麺類の例としては、例えばうどん類、中華麺類、日本そば類、素麺類、パスタ類などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
(3.酸性水溶液)
本明細書において、酸性水溶液はpH7.0未満の水溶液をいい、酸性水溶液は酸を含む。本発明で使用できる酸は、食用可能な酸であり、無機酸であっても有機酸であってもよい。有機酸の例としては、例えば乳酸、酢酸、クエン酸、アジピン酸、リンゴ酸、グルコン酸、フマル酸、フィチン酸、コハク酸、酒石酸等、無機酸の例としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、炭酸等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの酸は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
酸性水溶液中の酸の濃度は、α化麺類のpHが好ましくは3.0〜5.5、より好ましくは3.0〜4.5、さらに好ましくは3.8〜4.2となるように、使用する麺類の種類、酸の種類、後述する浸漬或いは茹でといったpH調整方法に応じて適宜決定できる。
【0039】
酸性水溶液は、有機酸塩、無機酸塩を含むことができる。酸性水溶液中に酸と塩が共存すると緩衝作用が起こり、酸または塩の濃度変化によるpH変化が小さくなる。そのため、本発明の製造方法を連続式で行う場合、pH調整が容易になる。また、任意のpHを維持しつつ塩濃度を増加させることにより、殺菌効果及び静菌効果を高めることもできる。尚、塩として食塩、グルタミン酸ナトリウムのようなアミノ酸、5’−イノシン酸ナトリウムや5’−グアニル酸ナトリウムのような核酸を用いると風味を改良することもできる。酸性水溶液は、その他の風味を改良できるものを1以上含むことができる。その他の風味を改良できるものとして、例えばショ糖、乳清ミネラル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
(4.油脂)
本発明の製造方法では、α化麺類のほぐれをよくするために、α化麺類に油脂を噴霧することができる。油脂とは、任意の食用可能な油脂であり、例えば大豆油、なたね油、ごま油、コーン油、綿実油、米油、紅花油、ヤシ油、ひまわり油、オリーブオイル等が挙げられる。油脂の種類は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。また、油脂をα化麺類に単独で噴霧するだけでなく、乳化剤、水のような他の物質と混合してから噴霧することもできる。
【0041】
乳化剤は、食用可能な任意の乳化剤であり得る。乳化剤としては、例えばモノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
乳化油脂の製造方法は周知である。例えば、使用する乳化剤に応じて油脂と水の比率を決定し、ホモミキサーで撹拌することによって乳化油脂が得られる。乳化油脂は、α化麺類のほぐれに特に有効である。
【0043】
(5.容器)
本発明において、α化麺類或いは調味部を充填するのに用いられる容器は、密封可能な任意の入れ物であり得る。容器は着色されていてもよく、完全な透明であってもよく、半透明(着色透明)であってもよい。また、容器は完全一体化した構造をとってもよく、蓋部分と底部分とに分かれた二重構造をとってもよい。製造時の便宜性や喫食時の取り扱い易さから、α化麺類には二重構造、調味部には袋状の一体化構造をとることが好ましい。また、容器は内容物を密封した後に密封状態を保持できるのであれば、任意の容器材料であり得る。容器材料は好ましくは合成樹脂であり、従来、食品の包装に用いられていた任意の合成樹脂が使用可能である。
【0044】
容器材料は、酸素透過度が低いことが好ましい。酸素透過度が低いと、好気性菌の増殖抑制に有利であり、且つ内容物の酸化劣化防止にも有効である。
【0045】
特にα化麺類に用いる容器材料は、耐熱性であることが好ましく、電子レンジ加熱に耐性であることがより好ましく、尚且つ発泡樹脂であることが好ましい。これにより、喫食前に調味部を加えたα化麺類を包装容器ごと電子レンジで加熱することが可能となり、包装容器が熱を持たないため、包装容器を手で持ちながら温まった麺食品を喫食することが可能となる。
【0046】
本発明の1つの実施形態として殺菌済みの内容物を無菌的に充填し密封する場合、滅菌した容器を使用することで内容物が腐敗することなく長期保存可能とすることができる。無菌的とは、容器材料、付帯設備、作業者等から製品中で発育し得る菌が全く混入しない状態をいう。容器を滅菌する方法の例としては、例えば紫外線で表面を殺菌する方法、35%過酸化水素水で表面を殺菌する方法、高圧蒸気滅菌法、酸化エチレンガス滅菌法、放射線滅菌法、電子線滅菌法、プラズマ滅菌法、熱湯滅菌法等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
(6.包装α化麺類の製造)
本発明の包装α化麺類の製造方法は、麺類を茹で又は蒸煮により水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する。麺類としては、生麺類或いは乾麺類のいずれを使用してもよい。
【0048】
本発明の包装α化麺類の製造方法の1つの実施形態では、上記α化麺類を酸性水溶液に浸漬して、α化麺類のpHを好ましくは3.0〜5.5、より好ましくは3.0〜4.5、さらに好ましくは3.8〜4.2に調整し、その後約105〜200℃、より好ましくは110〜150℃、さらに好ましくは115〜140℃、特に好ましくは120〜130℃の温度で殺菌する工程を包含する。
【0049】
殺菌の方法としては、α化麺類を容器に充填密封して加圧加熱殺菌する所謂LL麺の製法で用いられる方法、及びα化麺類に飽和水蒸気又は過熱水蒸気を直接噴射して殺菌する方法の2つが挙げられる。後者の場合、より好ましくは殺菌室内を真空状態にした後、飽和水蒸気又は過熱水蒸気を噴射することで、殺菌室内全体に速やかに熱を伝えることができ、効率よくα化麺類を殺菌することができる。
【0050】
前者の殺菌方法の場合、酸性水溶液に浸漬した後のα化麺類の水分含量を50〜80重量%、より好ましくは60〜80重量%、さらに好ましくは65〜75重量%とすれば優れた食感の包装α化麺類を得ることができる。水分含量を上記の重量%に調整するには、例えば酸性水溶液に浸漬する前のα化麺類の水分含量を50〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%、さらに好ましくは55〜65重量%とし、酸性水溶液に浸漬する時間を1分とすればよい。殺菌を終えた時点で包装α化麺類として完成する。
【0051】
後者の殺菌方法の場合、殺菌後のα化麺類の水分含量を50〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%、さらに好ましくは55〜65重量%とすれば優れた食感の包装α化麺類を得ることができる。水分含量を上記の重量%に調整するには、例えば酸性水溶液に浸漬する前のα化麺類の水分含量を40〜80重量%、より好ましくは45〜65重量%、さらに好ましくは50〜60重量%とし、酸性水溶液に浸漬する時間を1分とし、酸性水溶液に浸漬後のα化麺類の水分含量を40〜80重量%、より好ましくは45〜65重量%、さらに好ましくは50〜65重量%とすれば優れた食感の包装α化麺類を得ることができる。α化麺類は単体で殺菌するだけでなく、容器と一緒に充填した状態で殺菌することも可能である。殺菌したα化麺類を最終的に無菌下で無菌的に容器に密封すれば、包装α化麺類として完成する。
【0052】
さらに本発明の包装α化麺類の製造方法のもう1つの実施形態では、麺類を加圧下、酸性水溶液中で好ましくは105〜200℃、より好ましくは110〜150℃、さらに好ましくは115〜140℃、特に好ましくは120〜130℃の温度で茹で、pH3.0〜5.5、より好ましくはpH3.0〜4.5、さらに好ましくはpH3.8〜4.2のα化麺類を得る工程を包含する。麺類の種類に特に限定はないが、代表的にはマカロニ類の乾麺を用い、本出願人が提出した特願2003−022873号に記載の方法によって風味、食感の優れた包装α化麺類を得ることもできる。また、好ましい実施形態では、α化麺類の茹で上がり時の水分含量を50〜80重量%、50〜78重量%、54〜76重量%、より好ましくは57〜70重量%、さらに好ましくは58〜66重量%となるように茹で時間を調整する。水分含量を上記の重量%に調整することにより、優れた食感の包装α化麺類を得ることができる。殺菌したα化麺類を無菌下で無菌的に容器に充填し密封すれば、包装α化麺類として完成する。
【0053】
本発明の包装α化麺類を得る工程で得られる殺菌価は、好ましくはFo0分より高くFo5分以下であり、より好ましくはFo1分〜Fo4分であり、さらに好ましくはFo2分〜Fo3分であり、最も好ましくはFo2分である。菌的安全性を満たしつつ殺菌価を低く抑えるためには、殺菌価Fo2分が好ましい。尚、Fo値は殺菌価に関する値であり、殺菌時間と殺菌温度により決定される関数である。Fo値は、次式で決定される:
【0054】
【数1】
【0055】
完成した包装α化麺類は、いずれの製法においてもpHが3.0〜5.5に調整されているため、従来のLL麺と同様の酸味を有している。
【0056】
(7.包装調味部の製造)
本発明では、調味部のpHを3.5〜7.0とし、尚且つ麺食品全体のナトリウム含量がα化麺類の重量に対して0.3〜1.3重量%となるように包装調味部を調製する。より好ましい実施形態としては、麺食品全体に含まれるナトリウムのうち、50%以上が食塩に含まれるナトリウムであり、75%以上が食塩、アミノ酸、核酸、有機酸塩のいずれか1以上に含まれるナトリウムとなるように包装調味部を調製する。さらに好ましい実施形態としては、麺食品全体に含まれるナトリウムの75%以上が、包装調味部中に含まれるように包装調味部を調製する。アミノ酸としては代表的にはグルタミン酸ナトリウムが挙げられ、核酸としては代表的には5’−イノシン酸ナトリウムや5’−グアニル酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。このように一定のpHの範囲で、麺食品全体のナトリウム含量を調整することにより、ナトリウムを含む成分の塩味と旨味を麺食品に付与して包装α化麺類の持つ酸味を緩和することができ、麺食品全体の風味バランスを調和させることができる。
【0057】
本発明の包装調味部は、他にも任意の食用可能な原料を配合することができ、例えば野菜類、果実類、豆類、穀類、畜肉類、魚介類、乳類、卵類、澱粉類、糖類、油脂類、酒類、茶類、水、香辛料、はちみつ、調味料(蛋白加水分解物、発酵調味料、醸造調味料等)、着色料、乳化剤、食品添加物の調味料等が挙げられるが、これらに限定されない。セットになる包装α化麺類の種類に応じて適宜配合を決定し風味を特徴付けることができる。
【0058】
本発明の包装調味部の1つの実施形態は、Fo3.1以上の加圧加熱殺菌処理を行ったレトルトパウチ食品、缶詰食品、或いは無菌充填食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが1〜35%、より好ましくは5〜30%、さらに好ましくは10〜25%、特に好ましくは12〜23%、最も好ましくは15〜20%である。調味液のBrixを上記範囲とすることで、包装α化麺類の持つ酸味を相対的に適度に薄めることができ、麺食品全体の風味バランスをさらに調和させることができる。レトルトパウチ食品、缶詰食品、及び無菌充填食品の製造方法は、原料の加工工程(混合、撹拌、加熱等)、充填工程、密封工程、殺菌工程を包含し、当該分野で周知の方法に従って製造できる。レトルトパウチ食品と缶詰食品は、いずれも内容物を充填、密封した後、殺菌することで完成する。一方、無菌充填食品は、内容物を殺菌した後、無菌下で無菌的に充填、密封することで完成する。
【0059】
本発明の包装調味部の1つの実施形態は、Awを0.88以下に調整しF83 ℃15分以上の殺菌処理を行った中間水分食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが35〜80%、より好ましくは45〜75%、さらに好ましくは50〜75%、特に好ましくは55〜73%、最も好ましくは60〜70%である。調味液中の固形分の粒子の大きさには特に限定がない。調味液のBrixを上記範囲とすることで、包装α化麺類の持つ酸味を相対的に適度に薄めることができ、麺食品全体の風味バランスをさらに調和させることができる。また所望の場合は、任意の乾燥具材を別の包装材料に密封し添付することもできる。中間水分食品の製造方法は、原料の加工工程(混合、撹拌、加熱等)、充填工程、密封工程、殺菌工程を包含し、当該分野で周知の方法に従って製造できる。本発明では、調味液のAwを0.88以下、より好ましくは0.87以下、さらに好ましくは0.86以下、特に好ましくは0.85以下、最も好ましくは0.83以下とすることで、耐熱性の強い芽胞菌の増殖を抑制でき、さらに増殖可能な菌をF83 ℃15分以上の殺菌価で殺菌することができる。また、滅菌した容器を使用し無菌的に充填密封するならば、原料の加工工程の加熱にて殺菌処理を行うことにより、充填密封後の殺菌工程を省くことができる。尚、F83 ℃値はFo値と同様に殺菌価に関する値であり、次式で決定される:
【0060】
【数2】
さらにより好ましい実施形態としては、上記中間水分食品の調味液中に、食塩を5重量%以上とエタノールを0.1重量%以上含むよう包装調味部を調製する。これにより、食塩とエタノールの静菌作用が相乗的に働き、菌的な安全性がさらに向上する。
【0061】
本発明の包装調味部の1つの実施形態は、Aw0.60以下の乾燥調味粉末である。乾燥調味粉末の製造方法は、原料の前処理工程(殺菌、濃縮、乾燥、粉砕、分級等)、加工工程(混合、造粒、篩別等)、充填工程、密封工程を包含することができ、当該分野で周知の方法に従って製造できる。また所望の場合は、任意の乾燥具材を乾燥調味粉末と同封、或いは別の包装材料に密封し添付することもできる。
【0062】
(8.麺食品の喫食方法)
このようにして製造された本発明の麺食品は、α化麺類と調味部を混合してそのまま喫食してもよく、加熱してから喫食してもよい。加熱は任意の方法で実施できるが、好ましくは喫食する直前に加熱するとよい。また加熱する際は、α化麺類と調味部を混合して加熱してもよく、それぞれ別々に加熱してから混合してもよい。加熱の方法としては、例えば電子レンジで加熱するか、湯煎するか、湯通しするか、炒めるか、または蒸す等が挙げられるが、これらに限定されない。また麺食品には、任意の量の熱水又は常温の水を加えることもできる。
【0063】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0064】
(実施例1. 充填密封後、加圧加熱殺菌した包装α化麺類、及び無菌充填食品の包装済み調味液を組み合わせた麺食品の製造方法)
鍋で3.0ℓの水を沸騰させ、デュラム小麦粉のセモリナ100%の直径1.7mm、長さ240mmで且つ断面が円形のスパゲッティ乾麺(水分含量12.0重量%)300g(市販品)を鍋に加えて、熱湯で常圧下6分30秒間茹で上げた。次いで茹で湯を水切りし、グルコン酸2.75重量%を含む1.0ℓの酸性水溶液に茹で麺を1分間浸漬し、さらに酸性水溶液を水切りした。得られた茹で麺を135℃にて2時間保持し、2時間保持前後の麺類の測定重量を比較して、2時間保持後に減少した重量から水分含量を算出したところ、茹で麺の水分含量は60重量%であった。また得られた茹で麺のpHを測定した。茹で麺のpHは、麺50gに脱イオン水100ccを加えて10分間以上浸漬し、さらにマルチブレンダーにより1000rpmで5分間破砕した後、20℃にて測定した。測定機器は、堀場製作所製のガラス電極式水素イオン濃度計(型式F−23)を用いた。その結果、茹で麺のpHは4.2であった。
【0065】
さらに、縦180mm×横118mm×高さ44mmの大きさのポリプロピレン(PP)/EVOH/PP(48重量%/4重量%/48重量%;全体の厚み0.7mm;酸素透過度1.5cc/m2/24h)の容器に、この茹で麺を容器1個当たり180gずつ充填し、オリーブオイルを、容器に充填された茹で麺に1容器当たり2gずつ噴霧した。その後、この茹で麺を含むPP/EVOH/PP容器にアルミ蒸着PET12μm/ナイロン25μm/CPP35μmの蓋を被せ、この蓋と容器とをヒートシールし密封した。この密封した容器をシャワー式レトルト殺菌機(神垣鉄工所製、型式:UHR−70CT)にて112℃で25分間殺菌を行った。この加圧加熱殺菌により得られた殺菌価はFo2.4分であった。これにより、長期保存可能な包装α化麺類のスパゲッティを得た。
【0066】
包装調味部には、1食当たりサラダ油7.5g、おろしにんにく4g、玉葱35g、牛挽き肉75g、トマト水煮75g、セロリ末0.2g、胡椒0.2gを用意し、順に加えて炒め合わせた。さらに1食分のα化麺類のスパゲッティ180gに対して0.85重量%、即ち1.53gのナトリウムを食塩のみで加えることとし、3.9gの食塩を加えてミートソースとした。得られたミートソースを小容量液体連続殺菌試験機(日阪製作所製、型式:RMS−2型)にて130℃でホールド時間1分の殺菌を行った。この加熱殺菌により得られる殺菌価は計算上Fo7.8分である。
【0067】
さらに無菌ブース内で、PET12μm/Aℓ7μm/PET12μm/LLDPE45μmのパウチを35%過酸化水素水で表面殺菌し滅菌水で濯いだ後、殺菌済みのソースをパウチに1食分ずつ無菌的に充填し、ヒートシールをすることによってこのパウチを密封した。これにより、長期保存可能な包装調味部として無菌充填食品のミートソースを得た。このミートソースのpHを上記測定機器にて20℃で測定したところ、pH5.0であり、ナトリウム含量を公知の原子吸光法で測定したところ、1食当たり1.58gであった。
【0068】
得られた包装α化麺類のスパゲッティと包装調味部のミートソースをそれぞれ開封し、PP/EVOH/PPの容器中のスパゲッティにミートソースをかけ、剥がした蓋を容器の上に乗せてそのまま容器ごと電子レンジで500Wにて2分30秒間加熱を行った。加熱後によく混ぜ合わせて食したところ、麺のもつ酸味が全く感じられず、麺とソースの風味バランスの優れた非常に美味しいスパゲッティであった。
【0069】
(実施例2. 飽和水蒸気で殺菌後、無菌充填した包装α化麺類、及び包装済み乾燥調味粉末を組み合わせた麺食品の製造方法)
茹で時間6分30秒を3分45秒とする以外は、実施例1と同様にして茹で麺を得た。得られた茹で麺の水分含量とpHを実施例1と同様に測定したところ、水分含量は54重量%でpHは4.2であった。
【0070】
さらに、実施例1と同じPP/EVOH/PP容器にこの茹で麺を容器1個当たり167gずつ充填し、オリーブオイルを、容器に充填された茹で麺に1容器当たり2gずつ噴霧した。その後、この茹で麺をPP/EVOH/PP容器ごと短時間調理殺菌試験機(日阪製作所製、型式:RIC−15T)に供し、茹で麺に飽和水蒸気を直接噴射して125℃で35秒間殺菌した。この加熱殺菌により得られた殺菌価はFo2.7分であった。殺菌後の茹で麺は、水蒸気を吸収したため重量が167gから180gに増加し、水分含量は57重量%となった。その後無菌ブース内で、この殺菌済みの麺を含むPP/EVOH/PP容器に過酸化水素水処理済みのアルミ蒸着PET12μm/ナイロン25μm/CPP35μmの蓋を被せ、この蓋と容器とをヒートシールすることによってこの容器を密封した。これにより、長期保存可能な包装α化麺類のスパゲッティを得た。
【0071】
包装調味部には、ナトリウム5.0重量%の乾燥たらこ粉末(凍結乾燥品)を用いた。1食分のα化麺類のスパゲッティ180gに対して0.556重量%、即ち1gのナトリウムを含むに相当する乾燥たらこ20gを測り取り、これに0.128重量%、即ち0.23gのナトリウムをグルタミン酸ナトリウムのみで加えることとし、1.69gのグルタミン酸ナトリウムを加えた。さらに乳糖2g、刻み海苔2gを加えて粉末たらこソースとした。この粉末たらこソースをPET12μm/Aℓ7μm/PET12μm/LLDPE45μmの小袋に充填密封し、長期保存可能な包装調味部として乾燥調味粉末のたらこソースを得た。このたらこソースのナトリウム含量を公知の原子吸光法で測定したところ、1食当たり1.24gであった。
【0072】
得られた包装α化麺類のスパゲッティと包装調味部のたらこソースをそれぞれ開封し、PP/EVOH/PPの容器中のスパゲッティにたらこソースをかけ、剥がした蓋を容器の上に乗せてそのまま容器ごと電子レンジで500Wにて2分30秒間加熱を行った。加熱後によく混ぜ合わせて食したところ、麺のもつ酸味が全く感じられず、麺とソースの風味バランスの優れた非常に美味しいスパゲッティであった。
【0073】
(実施例3. 加圧下高温で茹でた後、無菌充填した包装α化麺類、及びレトルトパウチ食品の包装済み調味液を組み合わせた麺食品の製造方法)
容量6.0ℓの圧力釜(理研社製;商品番号n−186−10)中で、乳酸0.2重量%を含む3.0ℓの酸性水溶液を常圧下で沸騰させた。この水溶液の20℃でのpHは、2.9であった。この圧力釜に実施例1と同じスパゲッティ乾麺300gを加えた。続いて常圧のまま30秒間かき混ぜながら茹でた後、この圧力釜の蓋をして密閉して加熱を続け、最高121℃水蒸気圧2気圧になってから121℃で4分間加熱した。その後圧力を開放しつつ、釜ごと水冷して釜の中を常圧に戻した。この高温高圧化での加熱処理により得られた殺菌価はFo4.4分であった。次いで、無菌ブース内で茹で水である酸性水溶液を水切りした。得られた茹で麺の水分含量とpHを実施例1と同様に測定したところ、水分含量は63重量%でpHは4.2であった。
【0074】
さらに無菌ブース内で、実施例1と同じPP/EVOH/PP容器を 35%過酸化水素水で表面殺菌し滅菌水で濯いだ後、茹で麺を容器1個当たり180gずつ無菌的に充填した。その後、この茹で麺を含むPP/EVOH/PP容器に過酸化水素水処理済みのアルミ蒸着PET12μm/ナイロン25μm/CPP35μmの蓋を被せ、この蓋と容器とをヒートシールすることによってこの容器を密封した。これにより、長期保存可能な包装α化麺類のスパゲッティを得た。
【0075】
包装調味部には、1食当たりサラダ油7.5g、おろしにんにく4g、玉葱35g、牛挽き肉75g、トマト水煮75g、セロリ末0.2g、胡椒0.2gを用意し、順に加えて炒め合わせた。さらに1食分のα化麺類のスパゲッティ180gに対して0.85重量%、即ち1.53gのナトリウムを食塩のみで加えることとし、3.9gの食塩を加えてミートソースとした。得られたミートソースをPET12μm/Aℓ7μm/CPP70μmのレトルトパウチに1食分ずつ充填密封し、シャワー式レトルト殺菌機(神垣鉄工所製、型式:UHR−70CT)にてFo10分に相当する殺菌価で加圧加熱殺菌を行った。これにより、長期保存可能な包装調味部としてレトルトパウチ食品のミートソースを得た。このミートソースのpHを上記測定機器にて20℃で測定したところ、pH5.0であり、ナトリウム含量を公知の原子吸光法で測定したところ、1食当たり1.57gであった。
【0076】
得られた包装α化麺類のスパゲッティと包装調味部のミートソースをそれぞれ開封し、PP/EVOH/PPの容器中のスパゲッティにミートソースをかけ、剥がした蓋を容器の上に乗せてそのまま容器ごと電子レンジで500Wにて2分30秒間加熱を行った。加熱後によく混ぜ合わせて食したところ、麺のもつ酸味が全く感じられず、麺とソースの風味バランスの優れた非常に美味しいスパゲッティであった。
【0077】
(実施例4. 加圧下高温で茹でた後、無菌充填した包装α化麺類、及び中間水分食品の包装済み調味液を組み合わせた麺食品の製造方法)
スパゲッティ乾麺を生うどん(市販品)とする以外は、実施例3と同様にして長期保存可能な包装α化麺類を得た。得られた茹で麺の水分含量とpHを実施例1と同様に測定したところ、水分含量は68重量%でpHは4.0であった。
【0078】
包装調味部にはナトリウム3.42重量%のウスターソース(市販品)を用いた。1食分のα化麺類のうどん180gに対して0.475重量%、即ち0.855gのナトリウムを含むに相当するウスターソース25gを測り取り、砂糖0.75gを加え、さらにBx60%になるまで加熱濃縮を行った。濃縮後は小袋に充填密封し、85℃で15分間の条件で加熱殺菌処理を施した。これにより、長期保存可能な包装調味部として中間水分食品の焼きうどんソースを得た。この焼きうどんソースのpHを上記測定機器にて20℃で測定したところ、pH3.6であった。また、焼きうどんソースのAwをロトロニック水分活性測定システムAw−ラボにて25℃で測定したところ、Aw0.68であった。
【0079】
得られた包装α化麺類のうどんと包装調味部の焼きうどんソースをそれぞれ開封し、フライパンで一緒に炒め、水気がなくなるまで十分に加熱を行った。加熱後に食したところ、麺のもつ酸味が全く感じられず、麺とソースの風味バランスの優れた非常に美味しい焼きうどんであった。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、包装α化麺類の持つ酸味を緩和しつつ麺食品全体の風味バランスを調和させた、包装α化麺類と包装調味部をセットにした長期保存用麺食品を製造することができる。
Claims (14)
- pH3.0〜5.5の加熱殺菌済み包装α化麺類と長期保存可能な包装調味部からなる食品であって、調味部のpHが3.5〜7.0であり、麺食品全体のナトリウム含量がα化麺類の重量に対して0.3〜1.3重量%であることを特徴とする麺食品。
- 包装α化麺類の製法が、水分が20%以下の乾麺類を茹でて水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する請求項1記載の麺食品。
- 包装α化麺類の製法が、水分が20重量%より多い生麺類を茹でて水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する請求項1記載の麺食品。
- 包装α化麺類の製法が、水分が20重量%より多い生麺類を蒸煮して水分50〜80重量%のα化麺類とする工程を包含する請求項1記載の麺食品。
- 包装α化麺類の製法が、α化麺類を酸性水溶液に浸漬し充填密封後、105〜200℃の温度で加圧加熱殺菌する工程を包含する請求項2〜4記載の麺食品。
- 包装α化麺類の製法が、α化麺類を酸性水溶液に浸漬し、105〜200℃の飽和水蒸気又は過熱水蒸気を直接噴射して殺菌する工程を包含する請求項2〜4記載の麺食品。
- 包装α化麺類の製法が、麺類を加圧下、酸性水溶液中で105〜200℃の温度で茹でる工程を包含する請求項2〜3記載の麺食品。
- 包装α化麺類を得る工程で得られる殺菌価が、Fo0分より高くFo5分以下であることを特徴とする請求項2〜7記載の麺食品。
- 麺食品全体に含まれるナトリウムのうち、50%以上が食塩に含まれるナトリウムであり、75%以上が食塩、アミノ酸、核酸、有機酸塩のいずれか1以上に含まれるナトリウムであることを特徴とする請求項1〜8記載の麺食品。
- 麺食品全体に含まれるナトリウムの75%以上が、包装調味部中に含まれるナトリウムであることを特徴とする請求項9記載の麺食品。
- 包装調味部が、Fo3.1以上の加圧加熱殺菌処理を行ったレトルトパウチ食品、缶詰食品、或いは無菌充填食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが1〜35%であることを特徴とする請求項9〜10記載の麺食品。
- 包装調味部が、Awを0.88以下に調整しF83 ℃15分以上の殺菌処理を行った中間水分食品の調味液であり、固形分を除いたBrixが35〜80%であることを特徴とする請求項9〜10記載の麺食品。
- 中間水分食品の調味液が、食塩5重量%以上とエタノール0.1重量%以上を含むことを特徴とする請求項12記載の麺食品。
- 包装調味部が、Aw0.60以下の乾燥調味粉末であることを特徴とする請求項9〜10記載の麺食品。
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