JP2004297244A - 複素バンドパスフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1乃至第6OTA21〜26、第1及び第2キャパシタ27,28を有する複素バンドパスフィルタにおいて、第1、第2のキャパシタ27,28とアースとの間に、第1、第2の抵抗素子29,30を設けると共に、第3OTA23〜第6OTA26内の入力差動対を構成する両トランジスタのドレイン端子間若しくはソース端子間に、周波数特性可変手段としての例えば可変容量を接続する。これにより、通過帯域の信号の歪みが大幅に改善される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複素バンドパスフィルタ、特にLow−IF方式の受信機等に使用され、イメージ信号を抑圧すると共にチャネル選択を行う複素バンドパスフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、携帯無線端末の普及に伴い、従来の受信方式であるスーパーヘテロダイン方式の代わりに、中間周波数(IF)を数MHz以下に設定するLow−IF方式が注目されている。このLow−IF方式を採用すれば、上記スーパーヘテロダイン方式で必要となっていた、外形寸法が大きな外付けIFフィルタを取り除くことができ、受信部をワンチップ化、低価格化できるという利点が得られる。
【0003】
しかし、このLow−IF方式では、受信周波数(RF)と局所発振器の周波数が近いためにイメージ信号の抑圧が必須となり、このイメージ信号を抑圧する手段として、オペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプ(以下OTAとする)を用いた複素バンドパスフィルタがある。
【0004】
【非特許文献1】
IEICE TRANS.FUNDAMENTALS,Vol.E80−A,No.9,1997年9月、
1721頁から1724頁に掲載されたXiaoxing ZHANGの論文、
“Implementation of Active Complex Filter with Variable
Parameter Using OTAs”
【特許文献1】
特開2003−78391号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図8には、本願出願人が提案する1次の複素バンドパスフィルタ(特開2003−78391号)の構成が示されており、このフィルタでは、直交変調の同相成分の入力信号XRが入力され、gm3aのトランスコンダクタンスを持つ第1OTA1、この第1OTA1の出力側が接続され、gm1aのトランスコンダクタンスを持つ第3OTA3が設けられており、この第3OTA3から同相成分の出力信号YRが出力されると同時に出力信号YRは第3OTA3の入力にフイードバックされる。
【0006】
一方、直交変調の直交成分の入力信号XIが入力され、gm3bのトランスコンダクタンスを持つ第2OTA2、この第2OTA2の出力側が接続され、gm1bのトランスコンダクタンスを持つ第4OTA4が設けられ、この第4OTA4から直交成分の出力信号YIが出力されると同時に出力信号YIは第4OTA4の入力にフイードバックされる。
【0007】
また、上記第1OTAlと第3OTA3の接続点Aと、上記第2OTA2と第4OTA4の接続点Bとの間に、周波数シフト機能を果たすための第5OTA5及び第6OTA6が設けられ、この第5OTA5はgm2aのトランスコンダクタンスを持ち、第6OTA6はgm2bのトランスコンダクタンスを持つ。更に、上記接続点Aとアースとの間に、容量Caの第1キャパシタ7と抵抗値Raの第1抵抗素子9が接続され、上記接続点Bとアースとの間に、容量Cbの第2キャパシタ8と抵抗値Rbの第2抵抗素子10が接続されており、この第1及び第2の抵抗素子9,10はフィルタ通過帯域の信号の歪を改善する目的で配置される。そして、通常複素バンドパスフィルタを構成する場合、上記トランスコンダクタンスにおいて、gm1a=gm1b=gm1、gm2a=gm2b=gm2、gm3a=gm3b=gm3で、またCa=Cb=C、Ra=Rb=Rとして用いられ、このとき1次の複素バンドパスフィルタの伝達関数H(s)[s:複素変数]は、gm1R≪1及びgm2R≪1のとき、次式によって与えられる。
【0008】
【数1】
なお、jは虚数単位で、j2=−1である。
【0009】
このような複素バンドパスフィルタによれば、入力信号XR、XIについては、トランスコンダクタンスgm3で決定されるゲインで、かつ容量Cとトランスコンダクタンスgm1で決定される通過帯域幅の出力信号YR、YIが得られる。そして、上記容量Cとトランスコンダクタンス素子gm2で決定される量だけ周波数が正方向ヘシフトされ、中心周波数が決定される。そして、上記第1抵抗素子Raと第2抵抗素子Rbを設けることにより、第1OTA1および第2OTA2の有限の周波数特性により発生する通過帯域の歪みを低減することができる。
【0010】
図9には、角周波数ωを横軸に取った周波数特性が示されており、上記の複素バンドパスフィルタによれば、例えば−ω0から+ω0の帯域幅の周波数特性100から周波数特性101のように中心周波数をωcだけシフトさせることができ、これによって正の周波数(希望の信号)は通すが負の周波数(イメージ信号)は通さないフィルタが得られる。そして、このような1次の複素バンドパスフィルタを縦続接続することにより、高次の複素バンドパスフィルタが形成される。
【0011】
図10には、4次バタワース型複素バンドパスフィルタの構成が示されており、これは、例えば中心周波数を2MHz、通過帯域幅を1MHzとしたものである。即ち、図示の第1フィルタ11は、gm1a=gm1b=29μS(ジーメンス)、gm2a=gm2b=113.6μS、gm3a=gm3b=31.4μS、Ca=Cb=10pF、Ra=Rb=400Ωの値に設定され、次段の第2フィルタ12は、gm1a=gm1b=29μS、gm2a=gm2b=137.7μS、gm3a=gm3b=31.4μS、Ca=Cb=10pF、Ra=Rb=400Ωの値に設定され、第3フィルタ13は、gm1a=gm1b=12μS、gm2a=gm2b=154.7μS、gm3a=gm3b=31.4μS、Ca=Cb=10pF、Ra=Rb=400Ωの値に設定され、最終段の第4フィルタ14は、gm1a=gm1b=12μS、gm2a=gm2b=96.6μS、gm3a=gm3b=31.4μS、Ca=Cb=10pF、Ra=Rb=400Ωの値に設定される。
【0012】
図11には、図10の4次複素バンドパスフィルタの周波数特性が示されており、図示されるように、このフィルタでは、周波数2MHzを中心とし、正の周波数のみを通す帯域幅1MHzの特性が得られる。
【0013】
しかしながら、上記図11の複素バンドパスフィルタの周波数特性は、第3OTA〜第6OTA6のそれぞれのトランスコンダクタンスgmの周波数特性が理想的な場合であり、実際には信号の通過帯域部分に大きな歪みが生じるという問題があった。
【0014】
図12には、実際の複素バンドパスフィルタの周波数特性が示されており、第3OTA3〜第6OTA6のgmにつき−3dB低下する周波数(カットオフ周波数)が20MHzの場合、図12に示されるように、2MHzの周波数を中心とした通過帯域幅(1MHz)において歪みが発生する。
【0015】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、オペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプの周波数特性に起因するフィルタ通過帯域の信号の歪みを良好に改善することができる複素バンドパスフィルタを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、直交変調の同相成分信号を入力し、この同相成分信号の出力ゲインを定める第1トランスコンダクタンス素子と、この第1トランスコンダクタンス素子の出力端子に接続され、同相成分信号の通過帯域幅を定めるための第1キャパシタと、上記第1トランスコンダクタンス素子の出力を入力し、上記第1キャパシタとの組み合せにより同相成分信号の通過帯域幅を定める第3トランスコンダクタンス素子と、直交変調の直交成分信号を入力し、この直交成分信号の出力ゲインを定める第2トランスコンダクタンス素子と、上記第2トランスコンダクタンス素子の出力端子とアースとの間に接続され、直交成分信号の通過帯域幅を定めるための第2キャパシタと、上記第2トランスコンダクタンス素子の出力を入力し、上記第2キャパシタとの組み合せにより直交成分信号の通過帯域幅を定める第4トランスコンダクタンス素子と、上記第1トランスコンダクタンス素子と上記第3トランスコンダクタンス素子の接続点と上記第2トランスコンダクタンス素子と第4トランスコンダクタンス素子の接続点との間に接続され、通過帯域の中心周波数をシフトさせるための周波数シフト素子とを備えた複素バンドパスフィルタにおいて、上記第3トランスコンダクタンス素子、第4トランスコンダクタンス素子及び周波数シフト素子の各々の周波数特性を可変する周波数特性可変手段を設け、この周波数特性可変手段によって上記第3トランスコンダクタンス素子、第4トランスコンダクタンス素子及び周波数シフト素子のカットオフ角周波数に起因する出力信号の歪みを打ち消すようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項2に係る発明は、上記周波数特性可変手段により、上記第3トランスコンダクタンス素子のカットオフ角周波数(ωb1)と周波数シフト素子のカットオフ角周波数(ωb2)が略等しく、かつこのカットオフ角周波数が、{第3トランスコンダクタンス素子のトランスコンダクタンス値(gm1)の2乗と周波数シフト素子のトランスコンダクタンス値(gm2)の2乗との和}/{第3トランスコンダクタンス素子のトランスコンダクタンス値と第1キャパシタの容量値(C)との積の2倍}に略等しい第1条件と、上記第4トランスコンダクタンス素子のカットオフ角周波数(ωb1)と周波数シフト素子のカットオフ角周波数(ωb2)が略等しく、かつこのカットオフ角周波数が、{第4トランスコンダクタンス素子のトランスコンダクタンス値(gm1)の2乗と周波数シフト素子のトランスコンダクタンス値の2乗(gm2)との和}/{第4トランスコンダクタンス素子のトランスコンダクタンス値と第2キャパシタの容量値との積の2倍}に略等しい第2条件とを満足させるようにしたことを特徴とする
【0018】
請求項3に係る発明は、上記第1キャパシタとアースとの間に接続され、上記第1トランスコンダクタンス素子の有限の周波数特性により発生する同相成分信号の通過帯域の歪みを打ち消すための第1抵抗発生素子と、上記第2キャパシタとアースとの間に接続され、上記第2トランスコンダクタンス素子の有限の周波数特性により発生する直交成分信号の通過帯域の歪みを打ち消すための第2抵抗発生素子(抵抗素子、トランジスタ素子等)とを設けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、上記周波数特性を可変する手段として、入力差動対を構成する両トランジスタのドレイン端子間若しくはソース端子間に容量を設けたことを特徴とすることを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、例えば第1〜第4のトランスコンダクタンス素子として第1〜第4のオペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプ(OTA)が設けられ、また周波数シフト素子として、第5及び第6のOTAが設けられる。そして、上記の数式1を、各OTAの周波数特性を考慮して変形すると、次の数式2の伝達関数H(s)のようになる。
【数2】
なお、ωb1は第3OTA及び第4OTAのカットオフ角周波数、ωb2は第5OTA及び第6OTAのカットオフ角周波数、ωb3は第1OTA及び第2OTAのカットオフ角周波数、Rは第1又は第2の抵抗発生素子で決定される抵抗値である。
【0020】
上記のH(s)の大きさ|H(s)|は、次の数式3のようになる。
【数3】
【0021】
この数式3の分母から分かるように、第3OTA及び第4OTAのカットオフ角周波数ωb1と、第5OTA及び第6OTAのカットオフ角周波数ωb2の存在が通過帯域に歪みをもたらすことになり、このωb1,ωb2の影響をキャンセルするためには、ωb1=ωb2=(gm12+gm22)/2gm1・Cとすればよいことになる。しかし、トランスコンダクタンスgm1、gm2の値は、それぞれ通過帯域幅、中心周波数を設定するものであり、これを変更することはできない。そこで、本願発明は、カットオフ角周波数のωb1又はωb2を適切な値に設定することにより、上記ωb1,ωb2の影響をキャンセルするようにしたものである。
【0022】
また、上記数式3の分子には、歪みをもたらす要因として第1OTA及び第2OTAのカットオフ角周波数ωb3があり、このωb3の影響をキャンセルするためには抵抗Rの値を調整すればよく、請求項3では、キャパシタとアースとの間に設けた第1及び第2の抵抗発生素子によって上記Rを最適な値に設定することで、ωb3の影響を打ち消す。この結果、通過帯域の歪みが大幅に解消される。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1には、本発明の実施例に係る1次の複素バンドパスフィルタの構成が示されており、このフィルタは、図8の場合と同様に、gm3aのトランスコンダクタンスを持ち、直交変調の同相成分の入力信号XRを入力する第1OTA(オペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプ)21、gm1aのトランスコンダクタンスを持ち、上記第1OTA21の後段に配置されて同相成分の出力信号YRを出力する第3OTA23、gm3bのトランスコンダクタンスを持ち、直交変調の直交成分の入力信号XIを入力する第2OTA22、gm1bのトランスコンダクタンスを持ち、上記第2OTA22の後段に配置されて直交成分の出力信号YIを出力する第4OTA24が設けられる。
【0024】
また、周波数シフト機能を果たすために、上記第1OTA21と第3OTA23の接続点Aと上記第2OTA22と第4OTA24の接続点Bとの間に、gm2aのトランスコンダクタンスを持つ第5OTA25及びgm2bのトランスコンダクタンスを持つ第6OTA26(ジャイレータ素子)が設けられる。更に、上記接続点Aとアースとの間に、容量Caの第1キャパシタ27と抵抗値Raの第1抵抗素子(トランジスタ素子でもよい)29が直列接続され、上記接続点Bとアースとの間に、容量Cbの第2キャパシタ28と抵抗値Rbの第2抵抗素子30とが直列接続される。そして、上記の抵抗値Ra,Rbは、数式2の分子において、カットオフ周波数ωb3の影響が小さくなる最適な値に設定される。例えば、第1OTA21及び第2OTA22のカットオフ周波数が80MHzで、上記Ra=Rb=R、C=10pFであるとき、抵抗の値は上記数式2の分子より、R=2/(ωb3C)=2/(2π×80MHz×10pF)=400Ωとなる。
【0025】
当該実施例の複素バンドパスフィルタは、後述するOTA内の入力差動対を構成する両トランジスタのドレイン端子間若しくはソース端子問に接続する容量(周波数特性可変手段)をバラクタダイオード等で変えるようにしており、この容量を最適な値に設定するために、図示のように、第3OTA23と第4OTA24に外部から制御電圧Vc1を加え、第5OTA25と第6OTA26に制御電圧Vc2を加えるように構成する。
【0026】
図3には、上記第3OTA23、第4OTA24として使用するOTAの第1例が示されており、図示されるように、このOTA(23,24)では、Vi+,Vi−の入力信号端子に接続された入力差動対を構成するトランジスタM11,M12とトランジスタM21〜M84から構成されるが、この対のトランジスタM11とM12のドレイン端子間に、可変容量(又は固定容量)CEを接続する。図4には、この第1例のOTAの周波数特性が示されており、グラフ102が容量を接続しないときの特性、グラフ103が容量を接続したときの特性であり、上記可変容量CEを設けたときには、例えば−3dB低下する周波数fb1(ωb1=2π・fb1)がグラフ102の245MHzからグラフ103の12.7MHzへ変更される。これによって、上記数式3のωb1を(gm12+gm22)/2gm1・Cと等しい値に設定することが可能となる。
【0027】
図5には、第5OTA25、第6OTA26として使用するOTAの第2例が示されており、図示されるように、このOTA(25,26)では、Vi+,Vi−の入力信号端子に接続された入力差動対を構成するトランジスタM101,M102とトランジスタM103〜M119から構成されるが、この対のトランジスタM101とM102のソース端子間に、可変容量(又は固定容量)CEを接続する。図6には、この第2例のOTAの周波数特性が示されており、グラフ104が容量を接続しないときの特性、グラフ105が容量を接続したときの特性であり、上記の可変容量CEを設けたときには、例えば−3dB低下する周波数fb2(ωb2=2π・fb2)がグラフ104の87MHzからグラフ105の182MHZへ変更される。これによって、上記数式3のωb2を(gm12+gm22)/2gm1・Cと等しい値に設定することが可能となる。
【0028】
図2には、上記の図3及び図5のOTAで設けた可変容量CEの回路構成例が示されており、図(A)の例は、並列接続した固定容量C,2C,4CとスイッチSW1,SW2,SW3とを設け、これらを制御電圧VSW1,VSW2,VSW3で切り換えるもので、これによって容量C,2C,4Cのいずれかを設定することができる。また、図(B)の例は、容量値が電圧依存性を持つ素子であるバラクタダイオードVDを例えば2個接続し、このバラクタダイオードVDの接続点に外部から制御電圧Vcを加えるものであり、これによって容量値を最適な値にすることができる。
【0029】
実施例は以上の構成からなり、図1の複素バンドパススフィルタによれば、同相成分の信号XRが第1OTA21へ入力されると、トランスコンダクタンスgm3aで決定されるゲインで、かつ容量Caとトランスコンダクタンスgm1aで決定される通過帯域幅の信号YRが第3OTA23から出力され、また直交成分の入力信号XIが第2OTA22へ入力されると、トランスコンダクタンスgm3bで決定されるゲインで、かつ容量Cbとトランスコンダクタンスgm1bで決定される通過帯域幅の信号YIが第4OTA24から出力される。また、図9で説明したように、上記容量Ca,Cbとトランスコンダクタンス素子gm2a,gm2bで決定される量だけ周波数が正方向へシフトされる。
【0030】
そして、この複素バンドパスフィルタでは、上記可変容量CEを可変設定するために、図1のように、制御電圧Vc1が第3OTA23と第4OTA24に与えられ、また制御電圧Vc2が5OTA25と第6OTA26に与えられており、これにより通過帯域の歪みが改善されることになる。
【0031】
図7には、上記第3OTA23及び第4OTA24として図3の構成、上記第5OTA25及び第6OTA26として図5の構成を採用した4次複素バンドパスフィルタ(図10)の周波数特性が示されている。この図7から、2MHzを中心とした1MHzの通過帯域部分の歪みが大幅に改善されていることが分かる。
【0032】
即ち、上記第3OTA23〜第6OTA26の有限の周波数特性に起因する通過帯域の信号の歪みを打ち消すために、図10に示した第1フィルタ11では、上記第3OTA23及び第4OTA24の入力差動対を構成する両トランジスタM11,M12のドレイン端子間の可変容量CEとして0.9pF(この場合、fb1=3.77MHzとなる)、第5OTA25及び第6OTA26の入力差動対を構成する両トランジスタM101,M102のソース端子間の可変容量CEとして0.4pF(この場合、fb2=3.77MHzとなる)が設定され、第2フィルタ12では、上記第3OTA23及び第4OTA24の可変容量CEとして0.9pF(この場合、fb1=5.43MHzとなる)、上記第5OTA25及び第6OTA26の可変容量CEとして0.5pF(この場合、fb2=5.43MHzとなる)が設定され、第3フィルタ13では、上記第3OTA23及び第4OTA24の可変容量CEとして1pF(この場合、fb1=15.94MHzとなる)、上記第5OTA25及び第6OTA26の可変容量CEとして0.5pF(この場合、fb2=15.94MHzとなる)が設定され、最終段の第4フィルタ14では、上記第3OTA23及び第4OTA24の可変容量CEとして1pF(この場合、fb1=6.28MHzとなる)、上記第5OTA25及び第6OTA26の可変容量CEとして0.4pF(この場合、fb2=6.28MHzとなる)が設定される。
【0033】
この結果、第1フィルタ11では、(gm12+gm22)/2gm1・C={(29μS)2+(113.6μS)2/2×29μS×10pF}×1/2π=3.77MHzとなり、第2フィルタ12では、(gm12+gm22)/2gm1・C={(29μS)2+(137.7μS)2/2×29μS×10pF}×1/2π=5.43MHzとなり、第3フィルタ13では、(gm12+gm22)/2gm1・C={(12μS)2+(154.7μS)2/2×12μS×10pF}×1/2π=15.94MHzとなり、最終段の第4フィルタ14では、(gm12+gm22)/2gm1・C={(12μS)2+(96.6μS)2/2×12μS×10pF}×1/2π=6.28MHzとなって、全てにおいて(gm12+gm22)/2gm1・Cとなり、上記数式3の分母におけるカットオフ角周波数の影響、即ち信号の歪みが打ち消される。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複素バンドパスフィルタにおいて、例えばオペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプ(OTA)内の入力差動対を構成する両トランジスタのドレイン端子間若しくはソース端子間に、周波数特性可変手段としての容量を接続することにより、上記数式3の分母において(gm12+gm22)/2gm1・Cとなるようにしたので、通過帯域幅を定めるOTA及び周波数シフト量を定めるOTAの有限の周波数特性に起因するフィルタ通過帯域の信号の歪みを良好に改善することができ、回路規模を大きくすることなく良好な周波数特性を持つ高次複素バンドパスフィルタを得ることが可能になる。
【0035】
また、請求項3の発明によれば、第1、第2のキャパシタとアースとの間に、第1、第2の抵抗発生素子を設けたので、上記数式2の分子のカットオフ角周波数ωb3の影響を打ち消すことができ、上記請求項1の構成と相まって通過帯域の歪みを大幅に解消することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る複素バンドパスフィルタの構成を示す回路図である。
【図2】実施例のオペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプ(OTA)に設けられる周波数特性可変手段の2つの構成例を示す図である。
【図3】実施例の第3OTA、第4OTAとして使用されるOTAの第1例の構成を示す回路図である。
【図4】図3のOTAの周波数特性を示すグラフ図である。
【図5】実施例の第5OTA、第6OTAとして使用されるOTAの第2例の構成を示す回路図である。
【図6】図5のOTAの周波数特性を示すグラフ図である。
【図7】実施例の4次複素バンドパスフィルタ(図10)での周波数特性を示すグラフ図である。
【図8】提案されている複素バンドパスフィルタの構成を示す回路図である。
【図9】複素バンドパスフィルタにおける周波数シフトの状態を示す説明図である。
【図10】複素バンドパスフィルタを縦続接続した4次バタワース型複素バンドパスフィルタの構成を示す図である。
【図11】図10の複素バンドパスフィルタでの理想的な周波数特性を示す(正の周波数のみを示す)図である。
【図12】図10の複素バンドパスフィルタで生じる信号の歪みを示す(正の周波数のみを示す)図である。
【符号の説明】
1,21…第1OTA(オペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプ)、
2,22…第2OTA、 3,23…第3OTA、
4,24…第4OTA、 5,25…第5OTA、
6,26…第6OTA、
7,27…第1キャパシタ、
8,28…第2キャパシタ、
29…第1抵抗素子、 30…第2抵抗素子、
11…第1フィルタ、 12…第2フィルタ、
13…第3フィルタ、 14…第4フィルタ、
CE…可変容量(周波数特性可変手段)。
Claims (4)
- 直交変調の同相成分信号を入力し、この同相成分信号の出力ゲインを定める第1トランスコンダクタンス素子と、この第1トランスコンダクタンス素子の出力端子に接続され、同相成分信号の通過帯域幅を定めるための第1キャパシタと、上記第1トランスコンダクタンス素子の出力を入力し、上記第1キャパシタとの組み合せにより同相成分信号の通過帯域幅を定める第3トランスコンダクタンス素子と、直交変調の直交成分信号を入力し、この直交成分信号の出力ゲインを定める第2トランスコンダクタンス素子と、上記第2トランスコンダクタンス素子の出力端子とアースとの間に接続され、直交成分信号の通過帯域幅を定めるための第2キャパシタと、上記第2トランスコンダクタンス素子の出力を入力し、上記第2キャパシタとの組み合せにより直交成分信号の通過帯域幅を定める第4トランスコンダクタンス素子と、上記第1トランスコンダクタンス素子と上記第3トランスコンダクタンス素子の接続点と上記第2トランスコンダクタンス素子と第4トランスコンダクタンス素子の接続点との間に接続され、通過帯域の中心周波数をシフトさせるための周波数シフト素子とを備えた複素バンドパスフィルタにおいて、
上記第3トランスコンダクタンス素子、第4トランスコンダクタンス素子及び周波数シフト素子の各々の周波数特性を可変する周波数特性可変手段を設け、この周波数特性可変手段によって上記第3トランスコンダクタンス素子、第4トランスコンダクタンス素子及び周波数シフト素子のカットオフ角周波数に起因する出力信号の歪みを打ち消すようにしたことを特徴とする複素バンドパスフィルタ。 - 上記周波数特性可変手段により、上記第3トランスコンダクタンス素子のカットオフ角周波数と周波数シフト素子のカットオフ角周波数が略等しく、かつこのカットオフ角周波数が、(第3トランスコンダクタンス素子のトランスコンダクタンス値の2乗と周波数シフト素子のトランスコンダクタンス値の2乗との和)/(第3トランスコンダクタンス素子のトランスコンダクタンス値と第1キャパシタの容量値との積の2倍)に略等しい第1条件と、上記第4トランスコンダクタンス素子のカットオフ角周波数と周波数シフト素子のカットオフ角周波数が略等しく、かつこのカットオフ角周波数が、(第4トランスコンダクタンス素子のトランスコンダクタンス値の2乗と周波数シフト素子のトランスコンダクタンス値の2乗との和)/(第4トランスコンダクタンス素子のトランスコンダクタンス値と第2キャパシタの容量値との積の2倍)に略等しい第2条件とを満足させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の複素バンドパスフィルタ。
- 上記第1キャパシタとアースとの間に接続され、上記第1トランスコンダクタンス素子の有限の周波数特性により発生する同相成分信号の通過帯域の歪みを打ち消すための第1抵抗発生素子と、上記第2キャパシタとアースとの間に接続され、上記第2トランスコンダクタンス素子の有限の周波数特性により発生する直交成分信号の通過帯域の歪みを打ち消すための第2抵抗発生素子とを設けたことを特徴とする上記請求項1又は2記載の複素バンドパスフィルタ。
- 上記周波数特性可変手段として、入力差動対を構成する両トランジスタのドレイン端子間若しくはソース端子間に容量を設けたことを特徴とする上記請求項1乃至3記載の複素バンドパスフィルタ。
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