JP2004296597A - 積層型光起電力素子の製造方法 - Google Patents

積層型光起電力素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004296597A
JP2004296597A JP2003084536A JP2003084536A JP2004296597A JP 2004296597 A JP2004296597 A JP 2004296597A JP 2003084536 A JP2003084536 A JP 2003084536A JP 2003084536 A JP2003084536 A JP 2003084536A JP 2004296597 A JP2004296597 A JP 2004296597A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal oxide
oxide layer
photovoltaic element
layer
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003084536A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Nakamura
哲郎 中村
Makoto Tokawa
誠 東川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2003084536A priority Critical patent/JP2004296597A/ja
Publication of JP2004296597A publication Critical patent/JP2004296597A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】入射光の全ての波長領域にわたって効率よくエネルギー収集を行うことができ、高い変換効率を有する積層型光起電力素子を実現しうる積層型光起電力素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板101上に、少なくとも第一の金属酸化物層103、第一の光起電力素子104、第二の金属酸化物層105、第二の光起電力素子106を順次積層する積層型光起電力素子の製造方法であって、第一の金属酸化物層103の形成時に、基板101をアース電位とし、スパッタガスとして少なくともHOを導入し、第二の金属酸化物層105の形成時に、基板101を非アース電位とし、スパッタガスとして少なくともOを導入する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2つ以上の光起電力素子を直列に配置した積層型光起電力素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光起電力素子は入射光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置であり、その中でも太陽電池は太陽光を電気エネルギーに変換するもので、広い波長域の光を効率的に変換することを特徴とする光起電力素子である。太陽電池に求められる最も重要な特性の一つとして、高い変換効率があげられる。その目的を達成するためには、広い波長領域全体にわたって無駄なく光を吸収する必要がある。
【0003】
その方法の1つとしては、異なるバンドギャップをもつ半導体層を光活性層として有する光起電力素子を積層する積層型光起電力素子が知られている。この積層型光起電力素子は、光入射側にバンドギャップが相対的に大きい光起電力素子を配置してエネルギーの大きな短波長の光を吸収させ、その下にバンドギャップが相対的に小さい光起電力素子を配置して、上の素子を透過したエネルギーの低い長波長の光を吸収させることにより、広い波長域で効率よく光を吸収利用するものである。
【0004】
ここで重要な点は、各々の光起電力素子に適した波長領域の光を各素子に導入することが必要であるということである。これは、各々の光起電力素子がその光活性層に用いられている半導体のバンドギャップにより入射光の利用可能波長域が制約されてしまうことに理由がある。すなわち、バンドギャップよりもエネルギーが低い光子は半導体に吸収されず利用することができない。また、バンドギャップより大きなエネルギーをもった光子は、吸収はされるが電子を励起した際に与えることができる電子のポテンシャルエネルギーはそのバンドギャップの大きさに制限されてしまうため、バンドギャップエネルギーと光子エネルギーの差分は利用することができない。すなわち、積層型光起電力素子においてはその光入射側の素子には短波長領域の光のみを、その下の素子には長波長領域の光のみを入射させることが重要である。
【0005】
その解決手段の一つとして、光起電力素子の間に第二の金属酸化物層を設けて反射層として使うという方法が知られている。例えば特許文献1または非特許文献1には、各素子間に短波長の光を反射して長波長の光を透過する導電層を設けるという方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、積層された光起電力層の層間に光散乱体を設け、これらの光散乱体が入射した光の散乱度合を装置内奥へ進むに従い増加させるという方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−77167号公報
【特許文献2】
特許第3203106号公報
【非特許文献1】
山本憲治,「薄膜多結晶シリコン太陽電池」,応用物理,応用物理学会,平成14年5月,第71巻,第5号,p.524−527
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在の光起電力素子の高効率化は非常に高水準に達しており、僅かなエネルギーロスも許されない状況にある。光起電力素子の間に第二の金属酸化物層を設ける方法は有効な方法ではあるが、第二の金属酸化物層の膜厚によっては、第二の金属酸化物層で反射された長波長光が入射側素子では吸収できず、再びセルの外部に出ていったり、あるいは入射光と打ち消し合い、結局利用できなかったり、透過率が低過ぎると本来透過すべき波長の光まで反射させたり、第二の金属酸化物層で吸収される場合がある。
【0009】
また、例えば反射特性の観点から第二の金属酸化物層の膜厚をある程度厚くして凹凸形状を最適化したとしても、第二の金属酸化物層を透過すべき長波長側の光も若干であるが減少するのを否めない。よって、第一の金属酸化物層には長波長を反射、散乱させる高い能力が求められる。
【0010】
以上のようなことから、第二の金属酸化物層を挿入しない場合より却って効率を落とす場合があることを本発明者は見いだした。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑み、入射光の全ての波長領域にわたって効率よくエネルギー収集を行うことができ、高い変換効率を有する積層型光起電力素子を実現しうる積層型光起電力素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、本発明に係る積層型光起電力素子は、基板上に、少なくとも第一の金属酸化物層、第一の光起電力素子、第二の金属酸化物層、第二の光起電力素子を順次に積層する積層型光起電力素子の製造方法であって、
前記第一の金属酸化物層の形成時に、基板をアース電位とし、スパッタガスとして少なくともHOを導入して該第一の金属酸化物層を形成し、前記第二の金属酸化物層の形成時に、基板を非アース電位とし、スパッタガスとして少なくともOを導入して該第二の金属酸化物層を形成することを特徴とする。
【0013】
前記積層型光起電力素子の製造方法において、前記第一の金属酸化物層の平均膜厚は10nm以上5μm以下であることが好ましい。
【0014】
また、前記第一の金属酸化物層は800nmの光を50%以上透過することが好ましい。
【0015】
さらに、前記第一の金属酸化物層は酸化亜鉛よりなることが好ましい。
【0016】
そして、前記第一の金属酸化物層は、該第一の金属酸化物層と隣接し設けられたPまたはN型のいずれの半導体層よりも抵抗率が低いことが好ましい。
【0017】
また、前記第二の金属酸化物層の平均膜厚は10nm以上2μm以下であることが好ましい。
【0018】
さらに、前記第二の金属酸化物層は800nmの光を50%以上透過することが好ましい。
【0019】
そして、前記第二の金属酸化物層は酸化亜鉛よりなることが好ましい。
【0020】
加えて、前記第二の金属酸化物層は、該第二の金属酸化物層と隣接し設けられたPまたはN型のいずれの半導体層よりも抵抗率が低いことが好ましい。
【0021】
前記積層型光起電力素子の製造方法において、光起電力素子は、少なくとも一部が非単結晶シリコン系半導体よりなることが好ましい。
【0022】
または、光起電力素子はシリコン系半導体よりなる層を含むことが好ましい。
【0023】
或いは、光起電力素子は微結晶シリコン系半導体よりなる層を含むことが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0025】
以下の説明では、本発明の積層型光起電力素子として、光起電力層が2層で、基板側から反射層、微結晶シリコンからなる光起電力素子(以下、「ボトムセル」という。)、その上に第二の金属酸化物層、アモルファスシリコンからなる光起電力素子(以下、「トップセル」という。)を順次作成した太陽電池を例示するが、本発明はこれに何ら制限されるものではなく、必要に応じて積層する光起電力素子の数を増加することも可能である。
【0026】
まず、本発明における第二の金属酸化物層について詳細に説明する。
【0027】
第二の金属酸化物層の光を比較的短波長側の光を反射させる効果は、界面での屈折率の違いによって生まれるものであり、第二の金属酸化物層のトップセル側とボトムセル側の界面での多重反射を考慮しなければならない。光の干渉があるので波長によって反射率は変わってくるが、概して、平均膜厚が厚いほど反射率は増加していく。また、散乱効果については、表面の形状が関係しており、表面が凹凸であれば、光の散乱効果が現れ反射光の光路長が伸び、トップセルにおいて短絡光電流の増加が見られる。
【0028】
ボトムセルにおいても第二の金属酸化物層による光の散乱効果により光路長が増えるが、従来、トップセルで吸収しきれずにボトムセルまで到達していた光が第二の金属酸化物層を挿入することにより到達しなくなるために、従来と比較し相対的に光量が減少してしまう。以上の理由からボトムセルまで到達した光を有効に使うために、第一の金属酸化物層表面の凹凸を更に促進させ光の散乱効果を高め、光路長を伸ばすことが必要となる。すなわち、単に第二の金属酸化物層の設計を最適化するだけでなく、第二の金属酸化物層と第一の金属酸化物層との両方の整合性を考慮して、光起電力素子全体で最適となるように設計することが重要である。
【0029】
また、第二の金属酸化物層は、ボトムセルとトップセルの抵抗成分とならないよう膜厚方向の抵抗は小さく、ボトムセルのシャントを連結させないように横方向は適度な抵抗をもつことが好ましい。横方向の抵抗が適度にあることにより、透明電極成膜後のシャント部(短絡電流通路)の電解処理においてシャント部のみを選択的に電解処理することができる。
【0030】
第二の金属酸化物層を作成する上で、スパッタリングガスにOを含む雰囲気中で金属の酸化層を成膜すると、Ar等の不活性ガスのみを用いてスパッタリングを行なう場合よりも透過率に優れた膜を得ることができる。また、第二の金属酸化物層上にトップセルを作成する上で、アモルファスSi等のトップセルの場合、膜厚が数百nmと薄いため第二の金属酸化物層表面が必要以上に凹凸に富んでいるとシャントの原因となる場合がある。これに対し、Oを含むスパッタリングは、O流量を調整することにより第二の金属酸化物層表面に凹凸がつき過ぎるのを防ぐ効果がある。
【0031】
また、スパッタ工程中に基板がイオンに対して反対の電位を有する場合は、プラズマにより発生したイオンが基板に撃ちつけられ、半導体との接合部を破壊する恐れがあるため、第二の金属酸化物層の作成時は基板をフローティングにすることが好ましい。
【0032】
第一の金属酸化物層を作成する上で、スパッタリングガスにHOを含む雰囲気中で金属の酸化層を成膜すると、Ar等の不活性ガスのみを用いてスパッタリングを行なう場合よりも透過率が優れ、且つ膜厚を厚くしないでも膜表面が凹凸に富んだ膜を得ることができる。また、基板温度を高くして作製することにより、更に表面の凹凸を促進することができる。その結果、光の散乱度合いが向上し、反射光の光路長が伸び、光起電力素層において短絡光電流の増加が見られるようになる。
【0033】
第一の金属酸化物層の平均膜厚は10nm以上5μm以下であることが好ましい。上で述べたように、反射層としての効果は、第一の金属酸化物層の界面での屈折率の違いによって生まれるものであるので、あまり薄いと効果が得られない。よって、10nm以上が好ましい。また、5μmを超えるような厚さは第一の金属酸化物層での吸収のために、ボトムセルへの反射光が減少するので、好ましくない。
【0034】
第一の金属酸化物層は800nmの光を50%以上透過することが好ましい。太陽光のスペクトルを考えた場合、有効に利用できる波長範囲は概ね300nm〜1200nm付近であり、第一の金属酸化物層としてはこの波長範囲の光を散乱させながら有効に透過させることが好ましい。長波長の目安である800nmの透過率が50%以上あることが望ましい。
【0035】
また例えば、第一の金属酸化物層として適度な抵抗率であるものとして酸化亜鉛が好適である。直列抵抗の観点から、接続するP型またはN型半導体層より高抵抗であれば、素子の特性が低下することがあるので、第一の金属酸化物層と接して設けられたP型またはN型のいずれの半導体層よりも抵抗率が低いことが好ましい。
【0036】
第二の金属酸化物層の成膜は半導体接合界面へのダメージを軽減させるため、基板を非アースにして行なうことが好ましい。基板をアース電位とし成膜を行なった場合は、負イオンによる半導体接合界面へのダメージが大きくなり、光起電力素子の機能を果たさなくなることがある。
【0037】
第二の金属酸化物層の成膜はボトムセル上に行なうので、温度が高すぎる場合はボトムセルへのダメージ、ドーピング層の拡散等のために光起電力素子の特性を低下させることがある。
【0038】
第二の金属酸化物層の平均膜厚は10nm以上2μm以下であることが好ましい。上述したように、反射層としての効果は、第二の金属酸化物層の界面での屈折率の違いによって生まれるものであるので、あまり薄いと効果が得られない。よって、10nm以上が好ましい。また、5μmを超えるような厚さは第二の金属酸化物層での吸収のために、下部のセルの短絡光電流が低下するので、好ましくない。
【0039】
第二の金属酸化物層は800nmの光を50%以上透過することが好ましい。太陽光のスペクトルを考えた場合、有効に利用できる波長範囲はおおむね300nm〜1200nm付近であり、第二の金属酸化物層の上部のセルで短波光は吸収されており、第二の金属酸化物層としては長波の光が有効に透過することが好ましく、長波長の目安である800nmの透過率が50%以上あることが望ましい。
【0040】
また例えば、第二の金属酸化物層として適度な抵抗率であるものとして酸化亜鉛が好適である。直列抵抗の観点から、接続するP型またはN型半導体層より高抵抗であれば、素子の特性が低下することがあるので、第一の金属酸化物層と接して設けられたP型またはN型のいずれの半導体層よりも抵抗率が低いことが好ましい。
【0041】
次に、本発明に係る積層型光起電力素子の構成について説明する。
【0042】
図1は、本発明に係る積層型光起電力素子の一実施形態の断面構造を模式的に示す概略図である。図1において、例示した積層型光起電力素子100は、金属等の導電性の基板101上に、反射層102、第一の金属酸化物層103、第1の光起電力素子104、第二の金属酸化物層105、第2の光起電力素子106、および透明電極107が順に積層されている。第2の光起電力素子106と第1の光起電力素子104の光活性部を構成する半導体は、第2の光起電力素子106が第1の光起電力素子104の半導体よりバンドギャップが大きい半導体で構成されており、第2の光起電力素子106で短波長域を、第1の光起電力素子104で長波長域の光が吸収されるように設計されている。第二の金属酸化物層105は、上記の短波長域で反射率が高くなっており、第2の光起電力素子106の光吸収量を増加させる効果をもっている。
【0043】
次に、本発明に係る積層型光起電力素子の各構成要素について説明する。
【0044】
(基板)
本発明の積層型光起電力素子に用いる基板101を構成する材料は、導電性材料及び絶縁性材料の何れでもよく、その種類を問わない。導電性材料としては、例えば、めっき鋼板,NiCr,ステンレス,Al,Cr,Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pb,Sn等の金属、またはこれらの合金などが挙げられる。絶縁性材料としては、ポリエステル,ポリエチレン,ポリカーボネート,セルロースアセテート,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリスチレン,ポリアミド等の合成樹脂、またはガラス,セラミックス,紙などが挙げられる。特に金属基板としてはステンレス鋼、絶縁基板としてはガラス、セラミックス、ポリイミドが好適に用いられる。また基板側から光入射する場合には透光性絶縁性基板が用いられ、特にガラスが好適に用いられる。
【0045】
基板101の表面形状は、平滑面、あるいはテクスチャー化した形状であってもよい。例えば、ステンレスによる基板の表面をテクスチャー化する1つの方法として、酸性溶液を用いて表面をエッチング処理することが挙げられる。
【0046】
基板101の厚さは、各層を所定に積層できて光起電力素子を所定に形成し得るように適宜に決定するが、光起電力素子としての柔軟性が要求される場合には、支持体としての機能が十分に発揮される範囲で可能な限り薄くすればよい。しかし、基板の製造上及び取り扱い上の面から、そして機械的強度の面から、通常は厚さが10μm以上とされる。
【0047】
(反射層)
反射層102には可視光から近赤外で反射率が高い金属、例えばAg,Al,Cu等の金属やこれらの合金の堆積膜が用いられる。真空蒸着法,スパッタリング法等や、水溶液からの電解析出法などの方法で形成することが好適である。この金属反射層の厚さは、10nmから5μmが適した層厚として挙げられる。また、乱反射をさせるために表面が凹凸であることが好ましい。この金属反射層には、反射する光量を多くするために第一の金属酸化物層103を備えるのが望ましい。
【0048】
(第一の金属酸化物層、第二の金属酸化物層)
第一の金属酸化物層103、第二の金属酸化物層105の構成材料には、金属酸化物を用いることが望ましく、好適には酸化亜鉛を使用することが望ましい。作製には、スパッタリング法で形成することが好適である。この第一の金属酸化物層103、第二の金属酸化物層105の厚さは、使用材料が固有にもつ屈折率により最適な層厚は異なるが、あまり薄いと効果が得られない。
【0049】
第一の金属酸化物層103の膜厚は、10nm〜5μmの範囲が好ましい。また、5μmを超えるような厚さは、第一の金属酸化物層103での直列抵抗が増えてくるために望ましくない。さらに好ましくは100nm以上5μm以下であり、最適には1μm以上5μm以下が好ましい。
【0050】
第二の金属酸化物層105の膜厚は、10nm〜2μmの範囲が好ましい。また、2μmを超えるような厚さは、第二の金属酸化物層105での吸収が増えてくるために、下部のセルの短絡光電流が低下するので、2μm以下が好ましい。さらに好ましくは50nm以上1.5μm以下であり、最適には100nm以上1μm以下が好ましい。
【0051】
第一の金属酸化物層103の作成は、基板101をアース電位にして成膜されることが好ましい。基板101をアース電位とすることにより、結晶粒界を基にした凹凸が生成され易く、凹凸に富んだ表面が得ることができる。
【0052】
第二の金属酸化物層105の作成は、基板101を非アース電位にして成膜されることが好ましい。
【0053】
第二の金属酸化物層105の機能としては、短波長の光をトップセルに反射させ、長波長の光を透過させる選択透過機能が求められる。それと同時に、ボトムセルとトップセルの抵抗成分とならないよう膜厚方向の抵抗は小さく、ボトムセルのシャントを連結させないように横方向は適度な抵抗をもつことが好ましい。基板101をアース電位として第二の金属酸化物層105を作成した光起電力素子の場合、透明電極成膜後のシャント部(短絡電流通路)の電解処理において、シャント部のみを選択的に電解処理することは難しく、全体的に透明電極が薄くなり、電解処理が上手くできなかった。明確ではないが、基板101をアース電位として第二の金属酸化物層105を作成する上で、金属酸化物層の粒界にボトムセルのドーパントが拡散し、横方向の抵抗を下げているのではないかと考えている。
【0054】
また、光を散乱を高めるために金属酸化物層作成後エッチングを行うのも効果的である。ウエットエッチングやドライエッチングで結晶粒界がエッチング速度が大きいことを利用して、所望の傾斜角に形成することができる。このときドライエッチングとしては、ハロゲン化水素やメタンガスと不活性ガスの混合気体等を用いることができる。ウエットエッチングでは、酢酸、塩酸、硝酸等の酸を用いることができる。ウエットエッチングでは、濃度、エッチング時間を調整することにより、比較的簡単に所望の傾斜角を得ることができる。
【0055】
(光起電力層)
本発明の積層型光起電力素子100に用いられる半導体としては、IV族、III−V族、II−VI族、I−III−VI族の単結晶、多結晶、微結晶、非晶質が用いられる。IV族としてはC、Si、Ge、及びこれらの合金、III−V族としてはAlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、II−VI族としてはZnSe、ZnS、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、CuS、I−III−VI族としてはCuInSeなどが挙げられる。特にシリコン系半導体が好適に用いられる。また、形体は単結晶、多結晶、微結晶、非晶質が好適に用いられる。
【0056】
本発明の積層型光起電力素子に用いられる光起電力層は、pn接合、pin接合を含んでいる。そして、本発明の積層型光起電力素子は光起電力層を少なくとも2構成以上積層して構成される。それぞれの光起電力層は材料の異なる半導体を用いて構成することも、同一の材料で構成することもできるが、短波長の光ほど吸収され易いことから、光入射側にはより短波長を吸収し易い材料を用いた光起電力層の配置し、その後により長波長を吸収しやすい材料を用いた光起電力層の配置する構成が好適に用いられる。
【0057】
(透明電極)
本発明の積層型光起電力素子100に用いられる透明電極107は、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫、酸化亜鉛等が挙げられ、スパッタリング法、真空蒸着法、化学的気相成長法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、およびイオンビームスパッタ法などで作製することができる。また、硝酸基や酢酸基やアンモニア基などと金属イオンからなる水溶液中からの電気析出法や、浸漬法でも作製することができる。透明電極の厚さは、反射防止膜としての条件を満たす膜厚に堆積するのが好ましい。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
〔実施例1〕
実施例1は、第1の光起電力素子としてi層が真性微結晶Siのpin型光起電力素子、第2の光起電力素子としてi層が真性非晶質Si:Hのpin型光起電力素子、第一の金属酸化物層、第二の金属酸化物層として酸化亜鉛を用いた積層型光起電力素子を作製した。
【0060】
図1に示す基板101には、縦横50mm×50mm、厚さ0.2mmの形状で、一般的にBA仕上げと呼ばれる平坦なステンレス鋼(SUS430)を使用し、図2に示すの直流マグネトロンスパッタ装置に設置し、基板101はGND電位(アース電位)とした。なお、図2において、201はAgターゲット、202はZnOターゲット、203はITOターゲット、204は基板、205はヒーター、206はDC電源、207は基板回転用電源、208は排気口、209は基盤回転用モーター、210はAr導入口、211はHO導入口、212はO導入口である。
【0061】
排気口208から圧力が10−3Pa以下になるまで排気し、その後、Ar導入口210よりアルゴンガス(Ar)を50cm/min(normal)供給し、圧力を2×10−1Paに保持した。基板101をヒーター205により300℃に加熱し、6inchφの銀ターゲット201に200Wの直流電力を印加し、90秒間で100nmの銀の反射層102を形成した。
【0062】
引き続き、Ar導入口210よりアルゴンガスを50cm/min(normal)、HO導入口211よりHOを5cm/min(normal)供給し、6inchφの酸化亜鉛のターゲット202に500Wの直流電力を30分間印加し、約4μmの酸化亜鉛の第一の金属酸化物層103を堆積し作製した。
【0063】
図3は、本発明に係る積層型光起電力素子の半導体層を作製するために好適な装置の一例を示す模式図である。図3において、堆積膜形成装置は、ロードチャンバー301、n型層RFチャンバー302、微結晶シリコンi型層チャンバー303、アモルファスシリコンi型層RFチャンバー304、p型層RFチャンバー305、およびアンロードチャンバー306から主に構成されている。各チヤンバー間は、ゲートバルブ307、308、309、310、311で各原料ガスが混合しないように分離されている。
【0064】
微結晶シリコンi型層チャンバー303は、基板加熱用のヒーター312およびプラズマCVD室313から構成されている。RFチャンバー302は、n型層堆積用ヒーター314とn型層堆積用の堆積室315を、RFチャンバー304はi型層堆積用ヒーター316とi型層堆積用の堆積室317を、RFチャンバー305はp型層堆積用ヒーター318とp型層堆積用の堆積室319を有している。基板は基板ホルダー321に取り付けられ、レール320上を外部から駆動されるローラーによって移動する。プラズマCVD室313では、微結晶を堆積する。微結晶は、マイクロ波プラズマCVD法またはVHFプラズマCVD法が使用される。
【0065】
このような堆積膜形成装置を使用して、表1に示すように各層における所定の成膜条件の下に半導体層を成膜した。
【0066】
【表1】
Figure 2004296597
【0067】
表1に従って、最初に反射層102及び第1の金属酸化物層103を有する基板101上に以下の手順で第1の光起電力素子104を形成した。反射層102及び第1の金属酸化物層103を有する基板101を基板ホルダー321にセットし、ロードチャンバー301のレール320上にセットする。そして、ロードチャンバー301内を数百mPa以下の真空度に排気する。
【0068】
次に、ゲートバルブ307を開け、基板ホルダー321をチャンバー302のn型層堆積室315に移動する。各ゲートバルブ307、308、309、310、311を閉じた状態で、所定の原料ガスにてn型層を所定の層厚に堆積する。チャンバー302を十分に排気した後、ゲートバルブ308を開けて基板ホルダー321を堆積チャンバー303に移動し、ゲートバルブ308を閉じる。
【0069】
ヒーター312で基板を所定の基板温度に加熱し、所定の原料ガスを必要量導入し、所定の真空度にして、所定のマイクロ波エネルギーまたはVHFエネルギーを堆積室313へ導入し、プラズマを発生させて基板上に微結晶シリコンi型層を所定の層厚に堆積する。チャンバー303を十分に排気し、ゲートバルブ309、310を開けて基板ホルダー321をチャンバー303からチャンバー305へ移動する。
【0070】
基板ホルダー321をチャンバー305のp型層堆積室319に移動させた後、ヒーター318によって基板を所望の温度に加熱する。堆積室319にp型層堆積用の原料ガスを所定の流量だけ供給し、所定の真空度に維持しつつ堆積室319にRFエネルギーを導入し、p型層を所望の層厚に堆積する。
【0071】
上記と同様にして堆積室319を十分に排気した後、ゲートバルブ311を開け、基板ホルダー321をアンロードチャンバー306へ移動する。
【0072】
ゲートバルブを全て閉じ、アンロードチャンバー306内へ窒素ガスを封入して、基板温度を冷却する。その後、アンロードチャンバー306の取り出しバルブを開けて、基板ホルダー321を取り出す。
【0073】
次に、基板ホルダー321から第1の光起電力素子まで作製した基板を取り外し、第二の金属酸化物層105を形成するために再び直流マグネトロンスパッタ装置(図2参照)に設置し、圧力が10−3Pa以下になるまで排気した。
【0074】
その後、Ar導入口210よりアルゴンガスを50cm/min(normal)供給し、圧力を2×10−1Paに保持した。引き続き、基板温度を200℃に加熱し、O導入口212よりOを3cm/min(normal)供給し、6inchφの酸化亜鉛のターゲット202に150Wの直流電力を20分間印加し、約500nmの酸化亜鉛を堆積した。
【0075】
次に、再び上記の堆積膜形成装置を用いて、上記第二の金属酸化物層105が形成された基板上に第2の光起電力素子106としてpin型非晶質Si:H光起電力素子を以下に述べるように作製した。
【0076】
上記と同様にして所定の条件でn型層を所定の層厚に堆積する。十分に排気した後、ゲートバルブ308、309を開けて基板ホルダー321を堆積チャンバー304に移動し、ゲートバルブ308、309を閉じた。
【0077】
ヒーター316で基板を所定の基板温度に加熱し、所定の原料ガスを必要量導入し、所定の真空度にして、所定のRFエネルギーを堆積室317へ導入し、プラズマを発生させて基板上に非晶質Si:H i型層を、成膜時間を調整することによって表1に従って所定の層厚に堆積する。チャンバー304を十分に排気し、ゲートバルブ310を開けて基板ホルダー321をチャンバー304からチャンバー305へ移動させた。
【0078】
上記と同様にして所定の条件でp型層を所定の層厚に堆積した。
【0079】
上記と同様にして堆積室319を十分に排気した後、ゲートバルブ311を開け、半導体層が堆積された基板をセットした基板ホルダー321をアンロードチャンバー306へ移動した。
【0080】
上記と同様にしてアンロードチャンバー306内から基板ホルダー321を取り出した。
【0081】
次に、基板をDCマグネトロンスパッタ装置のアノードの表面に取り付け、ステンレス鋼のマスクで試料の周囲を遮蔽して、中央部40mm×40mmの領域に10重量%の酸化錫と90重量%の酸化インジウムからなるターゲットを用いて透明電極107として酸化インジウム錫をスパッタリングした。
【0082】
堆積条件は、基板温度170℃、不活性ガスとしてアルゴンの流量50cm/min(normal)、酸素ガス0.5cm/min(normal)、堆積室内の圧力300mPa、ターゲットの単位面積当たりの投入電力量0.2W/cmにて約100秒で厚さが70nmとなるように堆積した。膜の厚みは、前もって同じ条件で堆積時間との関係を検量して堆積することにより、所定の厚みとした。こうして作製した光起電力素子を「実1」とした。
【0083】
〔比較例1〕
第一の金属酸化物層の作成時にスパッタリングガスとしてHOを含まずに作成したこと以外は、実施例1と同様の手順により積層型光起電力素子を作製した。こうして作製した光起電力素子を「比1」とした。
【0084】
〔比較例2〕
第二の金属酸化物層の作成時にスパッタリングガスとしてOを含まずに作成したこと以外は、実施例1と同様の手順により積層型光起電力素子を作製した。こうして作製した光起電力素子を「比2」とした。
【0085】
〔比較例3〕
第一の金属酸化物層の作成時にスパッタリングガスとしてHOを含まず、第二の金属酸化物層の作成時にスパッタリングガスとしてOを含まずに作成したこと以外は、実施例1と同様の手順により積層型光起電力素子を作製した。こうして作製した光起電力素子を「比3」とした。
【0086】
〔比較例4〕
第二の金属酸化物層作成時に基板をアース電位にした以外は、実施例1と同様の手順により光起電力素子を作製した。こうして作製した光起電力素子を「比4」とした。
【0087】
こうして作製したサンプルについて、山下電装株式会社製のYSS−150を使用し、AM1.5のスペクトル、強度100mW/cmで光照射した状態で電流電圧特性を測定した。測定した電流電圧特性から短絡電流密度[Jsc(mA/cm)]、開放電圧[Voc(V)]、曲性因子[FF]、変換効率[η(%)]を求めた。
【0088】
これらの特性値を実施例に対する比較例の比率(比較例/実施例)をまとめたものを表2に示す。
【0089】
【表2】
Figure 2004296597
【0090】
比較例4でVocが極端に悪く、第二の金属酸化物層成膜時の半導体接合部を破壊しているためと考えられる。実施例1は比較例1〜4に比べ良好な効率が得られた。
【0091】
図4は、比較例1〜3のそれぞれのサンプルの量子効率の波長依存グラフを示す説明図である。
【0092】
図4において、401は本発明の第一の金属酸化物層作成にHO添加と第二の金属酸化物層作成にO添加を用いた実施例1であり、402は第一の金属酸化物層作成に従来と同様にHO添加せず第二の金属酸化物層作成時にO添加を用いた比較例1、403は第一の金属酸化物層作成にHO添加と第二の金属酸化物層作成に従来と同様にOを添加しなかった比較例2、404は従来と同様に第一の金属酸化物層作成にHO添加せず第二の金属酸化物層作成にOを添加しなかった比較例3である。黒く塗りつぶしている部分が従来の比較例に比べて改善して良くなった部分である。どの比較例の量子効率の結果よりも実施例1は良い結果を得ることができた。
【0093】
以上の結果から、第一の金属酸化物層の作成時に基板をアース電位として少なくともスパッタリングガスにHOを使用し、且つ第二の金属酸化物層の作成時に基板を非アース電位として少なくともスパッタリングガスにOを使用する積層型光起電力素子において良好な効率を得ることができた。
【0094】
〔実施例2〕
実施例2は、第1の光起電力素子としてi層が真性微結晶Siのpin型光起電力素子、第2の光起電力素子としてi層が真性非晶質Si:Hのpin型光起電力素子、第一の金属酸化物層として酸化亜鉛を用いた積層型光起電力素子を成膜条件の変えて、サンプル作製した。
【0095】
第一の金属酸化物層以外は実施例1と同様の条件で作製し、第一の金属酸化物層の作製条件は平均膜厚を変えるために酸化亜鉛の堆積時間を調整して、平均膜厚の異なるサンプルを得た。こうして得られたサンプルを「実2A」、「実2B」、「実2C」、「実2D」、「実2E」、「実2F」、「実2G」とした。
第一の金属酸化物層の平均膜厚を実施例1と同様に評価した結果を表3に示す。
【0096】
【表3】
Figure 2004296597
【0097】
作製した光電変換素子の電流電圧特性を測定した。その結果を表4に示し、実施例2Aを1としたときの相対値で示す。
【0098】
【表4】
Figure 2004296597
【0099】
全体としては、膜厚が10nmより薄いと反射層としての効果が殆ど現れないことがわかる。また、平均膜厚5μmを超えるくらいから反射量が減少し始めて、厚くなり過ぎると第一の金属酸化物層に入射した光が第一の金属酸化物層での吸収等の影響により大幅に減少してくることが分かる。
【0100】
以上の結果から、第一の金属酸化物層の平均膜厚は10nm以上5.0μmの範囲でより高い光電変換効率を得ることができた。
【0101】
〔実施例3〕
実施例3は、第1の光起電力素子としてi層が真性微結晶Siのpin型光起電力素子、第2の光起電力素子としてi層が真性非晶質Si:Hのpin型光起電力素子、第二の金属酸化物層として酸化亜鉛を用いた積層型光起電力素子を成膜条件の変えて、サンプル作製した。
【0102】
第二の金属酸化物層以外は実施例1と同様の条件で作製し、第二の金属酸化物層の作製条件は平均膜厚を変えるために酸化亜鉛の堆積時間を調整して、平均膜厚の異なるサンプルを得た。こうして得られたサンプルを「実3A」、「実3B」、「実3C」、「実3D」、「実3E」、とした。
【0103】
第二の金属酸化物層の平均膜厚を実施例1と同様に評価した結果を表5に示す。
【0104】
【表5】
Figure 2004296597
【0105】
作製した光電変換素子の電流電圧特性を測定した。その結果を表6に示し、実施例3Aを1としたときの相対値で示す。
【0106】
【表6】
Figure 2004296597
【0107】
全体としては、膜厚が10nmより薄いと第二の金属酸化物層としての効果が殆ど現れないことがわかる。また、平均膜厚2μmを超えるくらいから、また平均膜厚が厚くなり過ぎると第1の光起電力素子への光の透過が減り、第1の光起電力素子の短絡光電流は減少してくることが分かる。さらに膜厚が2.0μmを超えるとかなり減少してくる。
【0108】
以上の結果から、第二の金属酸化物層の平均膜厚は10nm以上2.0μmの範囲でより高い光電変換効率を得ることができた。
【0109】
次に、同じサンプルの分光感度の測定を行った。分光感度特性は、日本分光株式会社製のYQ−250BXを使用して測定した。各積層型光起電力素子の第1の光起電力素子と第2の光起電力素子の分光感度特性は以下のように測定した。第1の光起電力素子の分光感度特性は、積層型光起電力素子に第2の光起電力素子が光照射時に発生させる起電力に見合うバイアス電圧を印加し、かつ第2の光起電力素子で主に吸収される波長領域のバイアス光を照射して、分光された参照光を照射し、その時の発生電流を観測することにより分光感度特性を測定した。また、第2の光起電力素子の分光感度特性は、第1の光起電力素子と同様に、第1の光起電力素子の起電力に見合うバイアス電圧を印加し、第1の光起電力素子で主に吸収される波長領域のバイアス光を照射して、この状態で分光感度特性を測定した。
【0110】
さらに、この分光感度特性から各光起電力素子の短絡光電流を計算した。第1の光起電力素子の短絡光電流は先に測定した第1の光起電力素子の分光感度スペクトルに太陽光の分光強度を畳み込んで第1の光起電力素子の電流値を計算した。第2の光起電力素子の短絡光電流は先に測定した第2の光起電力素子の分光感度スペクトルと太陽光の分光強度を畳み込んで第2の光起電力素子の短絡光電流を計算した。その結果を表7に示し、実施例3Aを1としたときの相対値で示す。
【0111】
【表7】
Figure 2004296597
【0112】
第2の光起電力素子の短絡光電流は実3A、実3C〜Eでは殆ど変化が見られないが薄くなり過ぎると第二の金属酸化物層の効果がなくなり、10nm未満では第二の金属酸化物層を挿入しないときと殆ど変わらない結果であった。
【0113】
一方、第1の光起電力素子の短絡光電流は、実3A〜Eは殆ど変わらないが、第二の金属酸化物層が厚くなると第1の光起電力素子の短絡電流が徐々に減少し2.0μmを超えるとかなり減少してくる。
【0114】
以上の結果から、第二の金属酸化物層の平均膜厚は10nm以上2.0μmの範囲でより高い光電変換効率を得ることができた。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入射光の全ての波長領域にわたって効率よくエネルギー収集を行うことができ、高い変換効率を有する積層型光起電力素子を実現しうるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型光起電力素子の一実施形態の断面構造を模式的に示す概略図である。
【図2】本発明における第一の金属酸化物層、第二の金属酸化物層を作製するために好適な装置の一例を示す模式図である。
【図3】本発明に係る積層型光起電力素子の半導体層を作製するために好適な装置の一例を示す模式図である。
【図4】比較例1〜3の量子効率の波長依存グラフを示す説明図である。
【符号の説明】
101 基板
102 反射層
103 第一の金属酸化物層
104 第1の光起電力素子
105 第二の金属酸化物層
106 第2の光起電力素子
107 透明電極
201 Agターゲット
202 ZnOターゲット
203 ITOターゲット
204 基板
205 ヒーター
206 DC電源
207 基板回転用電源
208 排気口
209 基板回転用モーター
210 Ar導入口
211 HO導入口
212 O導入口
301 ロードチャンバー
302 n層チャンバー
303 微結晶i層チャンバー
304 非晶質i層チャンバー
305 p層チャンバー
306 アンロード室
307,308,309,310,311 ゲートバルブ
312 微結晶i層基板加熱用ヒーター
313 微結晶i層プラズマCVD室
314 n層基板加熱用ヒーター
315 n層プラズマCVD室
316 非晶質i層基板加熱用ヒーター
317 i層プラズマCVD室
318 p層基板加熱用ヒーター
319 p層プラズマCVD室
320 ホルダー搬送レール
321 基板ホルダー
401 実施例1の量子効率
402 比較例1の量子効率
403 比較例2の量子効率
404 比較例3の量子効率

Claims (12)

  1. 基板上に、少なくとも第一の金属酸化物層、第一の光起電力素子、第二の金属酸化物層、第二の光起電力素子を順次積層する積層型光起電力素子の製造方法であって、
    前記第一の金属酸化物層の形成時に、基板をアース電位とし、スパッタガスとして少なくともHOを導入して該第一の金属酸化物層を形成し、前記第二の金属酸化物層の形成時に、基板を非アース電位とし、スパッタガスとして少なくともOを導入して該第二の金属酸化物層を形成することを特徴とする積層型光起電力素子の製造方法。
  2. 前記第一の金属酸化物層の平均膜厚は10nm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  3. 前記第一の金属酸化物層は800nmの光を50%以上透過することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  4. 前記第一の金属酸化物層は酸化亜鉛よりなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  5. 前記第一の金属酸化物層は、該第一の金属酸化物層と隣接し設けられたPまたはN型のいずれの半導体層よりも抵抗率が低いことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  6. 前記第二の金属酸化物層の平均膜厚は10nm以上2μm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  7. 前記第二の金属酸化物層は800nmの光を50%以上透過することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  8. 前記第二の金属酸化物層は酸化亜鉛よりなることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  9. 前記第二の金属酸化物層は、該第二の金属酸化物層と隣接し設けられたPまたはN型のいずれの半導体層よりも抵抗率が低いことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  10. 光起電力素子は少なくとも一部が非単結晶シリコン系半導体よりなることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  11. 光起電力素子はシリコン系半導体よりなる層を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
  12. 光起電力素子は微結晶シリコン系半導体よりなる層を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の積層型光起電力素子の製造方法。
JP2003084536A 2003-03-26 2003-03-26 積層型光起電力素子の製造方法 Withdrawn JP2004296597A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003084536A JP2004296597A (ja) 2003-03-26 2003-03-26 積層型光起電力素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003084536A JP2004296597A (ja) 2003-03-26 2003-03-26 積層型光起電力素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004296597A true JP2004296597A (ja) 2004-10-21

Family

ID=33399687

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003084536A Withdrawn JP2004296597A (ja) 2003-03-26 2003-03-26 積層型光起電力素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004296597A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012504306A (ja) * 2008-09-30 2012-02-16 エルジー・ケム・リミテッド 透明導電膜及びそれを備えた透明電極
JP2012506486A (ja) * 2008-10-21 2012-03-15 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 透明導電性亜鉛酸化物ディスプレイフィルム及びその製造方法
JP2012077359A (ja) * 2010-10-04 2012-04-19 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> EuドープZnO膜形成方法
JP2018048408A (ja) * 2012-05-04 2018-03-29 ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッドViavi Solutions Inc. 誘電体膜の反応性スパッタ堆積

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012504306A (ja) * 2008-09-30 2012-02-16 エルジー・ケム・リミテッド 透明導電膜及びそれを備えた透明電極
US9966495B2 (en) 2008-09-30 2018-05-08 Lg Chem, Ltd. Transparent conductive layer and transparent electrode comprising the same
JP2012506486A (ja) * 2008-10-21 2012-03-15 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 透明導電性亜鉛酸化物ディスプレイフィルム及びその製造方法
JP2012077359A (ja) * 2010-10-04 2012-04-19 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> EuドープZnO膜形成方法
JP2018048408A (ja) * 2012-05-04 2018-03-29 ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッドViavi Solutions Inc. 誘電体膜の反応性スパッタ堆積
US10920310B2 (en) 2012-05-04 2021-02-16 Viavi Solutions Inc. Reactive sputter deposition of dielectric films
US11584982B2 (en) 2012-05-04 2023-02-21 Viavi Solutions Inc. Reactive sputter deposition of dielectric films

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4241446B2 (ja) 積層型光起電力素子
JP2984595B2 (ja) 光起電力素子
JP2009033208A (ja) 積層型光起電力素子の製造方法
JP3308785B2 (ja) 光起電力素子
US8519435B2 (en) Flexible photovoltaic cells having a polyimide material layer and method of producing same
EP2437316A2 (en) Photovoltaic device and method for making the same
US20110162696A1 (en) Photovoltaic materials with controllable zinc and sodium content and method of making thereof
JP2962897B2 (ja) 光起電力素子
EP1369932A2 (en) Stacked photovoltaic element
JP2002222972A (ja) 積層型太陽電池
JPH11150282A (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JPH10178195A (ja) 光起電力素子
JP2005064273A (ja) 光起電力素子用電極及びそれを用いた光起電力素子
JP4574709B2 (ja) 積層型光起電力素子の製造方法
JPH11195801A (ja) 光起電力素子
JP2004296652A (ja) 積層型光起電力素子
JP2004296597A (ja) 積層型光起電力素子の製造方法
JP2004296650A (ja) 積層型光起電力素子
JPH10190030A (ja) 光起電力素子
EP2521183A2 (fr) Cellule photovoltaïque incorporant une couche tampon d&#39;oxyde(s) de zinc et d&#39;etain
JP3869978B2 (ja) 光起電力素子
JP2846508B2 (ja) 光起電力素子
JP3710312B2 (ja) 光起電力素子及びその製造方法
JP2004311970A (ja) 積層型光起電力素子
EP2437289A2 (en) Photovoltaic device and method for making

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060606