JPH11150282A - 光起電力素子及びその製造方法 - Google Patents

光起電力素子及びその製造方法

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JPH11150282A
JPH11150282A JP9314720A JP31472097A JPH11150282A JP H11150282 A JPH11150282 A JP H11150282A JP 9314720 A JP9314720 A JP 9314720A JP 31472097 A JP31472097 A JP 31472097A JP H11150282 A JPH11150282 A JP H11150282A
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layer
conductivity
transparent conductive
junction
semiconductor layer
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JP9314720A
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English (en)
Inventor
Toshimitsu Kariya
俊光 狩谷
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Canon Inc
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/541CuInSe2 material PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 短波長の感度を向上し、またタンデムセルに
した場合の光劣化を抑制することにより光起電力素子の
変換効率および安定性を向上する。 【解決手段】 基板上102に、少なくとも下部電極1
03、pn接合120、第1の透明導電層106、第1
のpin接合121、第2の透明導電層110が順次形
成された光起電力素子であって、pn接合120はカル
コパイライト系化合物からなる第1の半導体層104
と、CdS、ZnSe、ZnO又はZnSからなる第2
の半導体層105により構成され、第1のpin接合1
21は第1の導電性を示す水素含有の非単結晶シリコン
系材料からなる第1のドープ層107、ほぼイントリン
ジックな導電性を有し水素を含有する微結晶シリコン系
材料からなる第1のi層108、第1の導電性とは異な
る第2の導電性を示す水素含有の非単結晶シリコン系材
料からなる第2のドープ層109により構成されている
光起電力素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカルコパイライト系
化合物半導体を用いた光起電力素子およびシリコン系非
単結晶半導体材料からなる光起電力素子に関するもので
ある。とりわけ光電変換効率、長期安定性の高い太陽電
池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりカルコパイライト系化合物半導
体を用いた太陽電池が知られている。例えば、「気相セ
レン化法によるCuInSe2簿膜太陽電池の作製」
(第4回「高効率太陽電池」ワークショップ奈良199
4、予敲集pl7−p20、佐藤茂樹、櫛屋勝巳、清水
彰、小長井誠、高橋清(東京工業大学))の報告があり
光電変換効率(以下、変換効率と記す)12.3%の太
陽電池を作製している。
【0003】またCuInSe2のInをGaに一部置
換してバンドギャップを広げる試みが行なわれており、
「CuInSe2系簿膜太陽電池の作製と評価」(第4
回「高効率太陽電池」ワークショップ奈良1994、予
敲集p9−pl2、西谷幹彦、池田光佑、小原直樹、根
上卓之、寺内正治、和田隆博、平尾孝(松下電器中央研
究所))の報告があり、Gaの添加量とともにバンドギ
ャップが広がり、Ga/(In+Ga)=0.21の比
率において最大変換効率13.7%の太陽電池を作製し
ている。
【0004】また、「Fabrication・of・
Monolitic・a−Si:H−CuInSe2
CdS・Tandem・Solar・Cells」(C
onfRec・IEEE・Photovoltaic・
Specialists・Conference・Vo
l・20th.No.1・p381−p384、MAC
CANDLESS・B・E、BIRKMIRE・R・
W、BUCHANAN・W・A、PHILLIPS・J
・E、POCHELEAU・R・E(Univ.Del
aware,DE,USA))には、カルコパイライト
系化合物半導体簿膜とII−VI族化合物半導体とのp
n接合上に非晶質シリコン系半導体簿膜からなるpin
接合を形成したタンデム型太陽電池が報告されており、
変換効率5.8%が得られている。
【0005】また、「DEVICE・ASPECTS・
OF・MULTIJUNCTION・PHOTOVOL
TAIC・MODULE・RESERCH」(Sola
r・Cells・Vol.21・1987・pl27−
pl34,K.W.MITCHELL(ARCO・so
lar))の報告によればa−Si:HとCuInSe
2とをOptical・Couplingさせた4端子
タンデム型太陽電池(タンデムセル)で総変換効率1
3.1%を達成している。
【0006】またi層に微結晶シリコンを含有する材料
を用いた例としては、「THE・MICROMORTH
・SOLAR・CELL:EXTENDIND・A−S
I:H・TECHNOLOGY・TOWARDS・FI
LM・CRYSTALLINE・SILICON」(2
5th・IEEE・Photovoltaic・Spe
cialists・Conference,Washi
ngton,1996,D.Fischer,S.Du
bail,J.A.Anna・Selvan,N.Pe
llaton・Vaucher,R.Platz,C
h.Hof,U.Kroll,J.Meier,P.T
orres,H.Keppner,N.Wyrsch,
M.Goetz,A.Shar,K.D.Ufert)
がありシングルセルで変換効率7.7%、非晶質シリコ
ンとのタンデムセルで13.1%の変換効率を達成して
いる。
【0007】また「CIGS系太陽電池特性の光強度依
存性及び安定性」(第5回「高効率太陽電池」ワークシ
ョップ長野1995、予敲集p75−p78、小島猛、
小柳理正、柳沢武、中村国臣、高久清(電子技術総合研
究所)、西谷幹彦、和田隆博(松下電器中央研究所))
の報告によれば作製されたCuInGaSe2簿膜太陽
電池に長時間光を照射することによって変換効率が向上
することが報告されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】太陽光スペクトルの最
大放射強度は短波長(波長450−550nm程度)感
度の改善はCuInSe2簿膜太陽電池ではバンドギャ
ップ(Eg)が1.1ev程度であるため太陽光スペク
トル(AM1.5)との整合が悪く短波長(波長450
−550nm程度)感度が悪かった。太陽光スペクトル
(AM1.5)との整合が最も良いとされる1.4eV
−1.5eVのバンドギャップを有するCuInGaS
2簿膜太陽電池においては、まだ良好な膜質のものが
得られておらず、変換効率は10.7%にとどまってい
る。またCuInSe2簿膜太陽電池では電流が35m
A/cm2以上とかなり大きく太陽電池をモジュール化
する際に、電流の大きさに起因する抵抗成分によるFF
の低下が問題となる。また電流が大きいために集電電極
を太く設計しなければならず、シャドーロスが問題とな
っていた。
【0009】また非晶質シリコン(a−Si:H)とC
uInSe2/CdSとのタンデム型セルにおいては依
然として光劣化現象が見られる、CuInSe2/Cd
S界面での異相化合物の発生などの問題がある。
【0010】本発明の目的は上記に示した課題を解決す
ることにある。すなわち短波長の感度を向上すること、
またタンデムセルにした場合の光劣化を抑制することに
ある。これにより光起電力素子の変換効率および安定性
を向上することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ための光起電力素子は以下に記すものである。
【0012】(1)基板上に、少なくとも下部電極、p
n接合、第1の透明導電層、第1のpin接合、第2の
透明導電層が順次形成された光起電力素子であって、p
n接合は化学式CuXY2(Xはインジウム(In)、
ガリウム(Ga)、Yはセレン(Se)、硫黄(S))
で表されるカルコパイライト系化合物{CuInxGa
1-x(Sey1-y2、(0≦x≦1,0≦y≦1)}か
らなる第1の半導体層と、硫化カドミウム(CdS)、
セレン化亜鉛(ZnSe)、酸化亜鉛(ZnO)又は硫
化亜鉛(ZnS)からなる第2の半導体層により構成さ
れ、第1のpin接合は第1の導電性を示す水素含有の
非単結晶シリコン系材料からなる第1のドープ層、ほぼ
イントリンジックな導電性を有し水素を含有する微結晶
シリコン系材料からなる第1のi層、第1の導電性とは
異なる第2の導電性を示す水素含有の非単結晶シリコン
系材料からなる第2のドープ層により構成されているこ
とを特徴とする光起電力素子である。この構成により短
波長感度の向上、開放電圧の向上、動作電流の低減、変
換効率の向上を達成することができる。また光劣化のな
い光起電力素子を製造することができる。
【0013】(2)第1のpin接合と第2の透明導電
層の間に第2のpin接合を有し、該第2のpin接合
は第1の導電性を示す非単結晶シリコン系材料からなる
第3のドープ層、ほぼイントリンジックな導電性を有す
る非晶質シリコン系材料からなる第2のi層、第1の導
電性とは異なる第2の導電性を示す非単結晶シリコン系
材料からなる第4のドープ層により構成されていること
を特徴とする前記の光起電力素子である。この構成によ
り短波長感度の向上、開放電圧の向上、動作電流の低
減、変換効率の向上をなおいっそう計ることができる。
【0014】(3)第1のi層のX線回折スペクトルに
おいて、シリコンの111反射ピークの、CuKα線に
対する半値幅が0.4°以上1.5°以下であることを
特徴とする前記の光起電力素子である。この構成により
第1のi層を薄膜化することが可能となる。
【0015】(4)第1のi層の膜厚が0.1ミクロン
以上0.5ミクロン以下であることを特徴とする前記の
光起電力素子である。この構成により光起電力素子の製
造時間を短縮することができる。そして膜はがれを防止
することができる。また本発明の光起電力素子製造方法
は以下に示すものである。
【0016】(5)周波数が100MHz以上10GH
z以下の電磁波により生起したプラズマを使用したプラ
ズマCVD法において、圧力が500mTorr以下の
プラズマ中に負のバイアス電圧を印加して第1のi層を
形成する工程を有することを特徴とする前記の光起電力
素子の製造方法である。この製造方法により第1の半導
体層と第2の半導体層の相互拡散を防止することがで
き、良好な光起電力素子を製造することができる。
【0017】(6)前記負のバイアス電圧は前記電磁波
の周波数よりも低い周波数の電磁波をプラズマ内に設置
されたバイアス電極から放射することにより発生したも
のであることを特徴とする請求項5に記載の光起電力素
子の製造方法である。この製造方法により微結晶粒を柱
状にすることができ、以下に示すように、光励起キャリ
アの再結合を低減することができる。
【0018】(7)基板と金属電極を硝酸イオンと亜鉛
イオンを含有する水溶液に浸漬し、該基板と該金属電極
の間に電圧を印加することによって電気化学的に酸化亜
鉛(ZnO)を析出して第2の半導体層、第1の透明導
電層の少なくとも一方を形成する工程を有することを特
徴とする前記の光起電力素子の製造方法である。この製
造方法により第1の半導体層と第2の半導体層の相互拡
散を防止することができ、該界面に異相が発生すること
を防止でき、良好な光起電力素子を製造することができ
る。
【0019】
【作用】本発明の光起電力素子においては光入射側に短
波感度の高い微結晶シリコン含有のpin接合セルを、
裏面側に長波感度の高いCuXY2型カルコパイライト
系pn接合セルを配置するため広範囲の光感度を有する
ものである。すなわち微結晶シリコンを含有するi層は
光学的バンドギャップが1.8〜2.0(eV)と広く
短波長光との整合が優れているものである。またCuX
2型カルコパイライト系化合物の光学的バンドギャッ
プは1.1〜1.5(eV)と狭いため長波長光との整
合が優れているものである。それゆえ本発明では、従来
CuXY2型カルコパイライト系化合物を用いた光起電
力素子では窓層で吸収されていた光を有効に活用するこ
とが可能となる。
【0020】また本発明の微結晶シリコンを含有する第
1のi層は水素を含有するため局在準位密度が少なく、
光励起キャリアが第1のi層の内部で再結合する確率は
極めて低いものである。また本発明の第1のi層に含有
される微結晶粒は柱状構造をなし、その長手方向が基板
に対してほば垂直である。そのため光励起キャリアが内
部電界によって走行する際、微結晶粒の粒界によってト
ラップされる機会が少ないものである。
【0021】また本発明の第1のi層は非晶質構造を有
する領域が極めて少ないため強い光によつて膜質が低下
する、いわゆる光劣化が極めて少ないものである。これ
は第1のi層内部に光のエネルギーまたは光励起キャリ
アの再結合エネルギーによって切れてしまう弱い結合が
極めて少ないことによると考えられる。このような良質
な第1のi層を形成するには本発明の製造方法を用い
る。理由は不明確ではあるが、周波数が100MHz以
上、10GHz以下の電磁波を使用したプラズマCVD
法ではプラズマ中での高次シランの発生を抑制すること
ができる。またプラズマ中に負のバイアス電圧を印加す
ることによって高いエネルギーを有するプラスイオンが
膜形成表面に衝突し構造の乱れを誘発することが抑制さ
れると考えられる。特にバイアス電圧がプラズマを生起
する電磁波の周波数よりも低い周波数の電磁波をプラズ
マ内に設置されたバイアス電極から放射することにより
発生したものであるため、高いバイアス電圧を発生した
状態においてもスパーク放電を誘発することがなく、膜
形成表面に損傷を与えることがない。
【0022】これらの作用により短波長光に対する量子
効率を0.9程度にまで高めることができ、光電変換効
率を飛躍的に向上させることができる。特に実施形態が
太陽電池の場合、太陽光スペクトルAM1.5では波長
550nm付近にエネルギーの最大があるため短波感度
の向上は非常に効果がある。またタンデム型太陽電池の
場合には開放電圧を上げて短絡電流を下げることができ
るので配線抵抗などの直列抵抗分による曲線因子の低下
を防止することができる。また集電電極およびバスバー
を細くすることができる。また光起電力層すなわち第1
のi層、第1の半導体層、第2の半導体層を薄くするこ
とができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の光起
電力素子を詳細に説明する。
【0024】図1は本発明の光起電力素子の一例を示す
pin/pn接合のタンデム型光起電力素子の概略的断
面図である。図1において、102は基板、103は下
部電極、120は第1の半導体層104と第2の半導体
層105よりなるpn接合、106は第1の透明導電
層、121は第1のドープ層107、第1のi層10
8、第2のドープ層109よりなる第1のpin接合、
110は第2の透明導電層、111は集電電極である。
【0025】以下、各層ごとに詳細に説明する。
【0026】(基板102)基板は支持体としての機能
などを有する。本発明に用いる基板はガラスのような光
透過性のものでもステンレスのような光を透過しないも
のでもよい。基板の形態は板状または帯状のものが望ま
しい。また、製造工程をロールツーロール法で行う場合
には、基板をロール状に巻く必要があり、ステンレスな
どのようなフレキシブルな基板を用いる。基板は支持体
として機能するので通常0.1mm〜10mm程度の厚
さが好ましい。
【0027】(下部電極103)下部電極は光起電力素
子の一方の電極としての機能、第1の半導体層104と
基板102との密着性を向上する機能、光を反射する機
能などを有する。通常CuXY2で表現されるカルコパ
イライト系化合物からなる第1の半導体層104と基板
102との密着性を保持する目的で、上記の基板102
との間にモリブデン、タングステン、金、ニッケル又は
白金からなる下部電極をスパッタリングを用いることで
基板102との密着性を保つようにする。特にモリブデ
ンはその上に形成させる第1の半導体層104の配向
性、密着性の向上に寄与する点で優れている。
【0028】(pn接合120) <第1の半導体層104>この層は第2の半導体層10
5との積層によってpn接合を形成し、吸収された光は
電界によるドリフトとキャリアの密度勾配による拡散に
よって光起電力を発生する機能を有する。
【0029】この層は化学式CuXY2(Xはインジウ
ム(In)、ガリウム(Ga)、Yはセレン(Se)、
硫黄(S))で表されるカルコパイライト系化合物{C
uInxGa1-x(Sey1-y2、(0≦x≦1,0≦
y≦1)}からなる。例えばCuInSe2,CuIn
GaSe2,CuInS2,CuInGaS2等が挙げら
れるが、CuInSe2,CuInGaSe2またはこれ
らの積層からなることが望ましい。
【0030】この層は通常スパッタリング法、共蒸着
法、セレン化法、電着法などの方法によって形成するこ
とができるが、共蒸着法またはセレン化法が優れた膜質
のものが得られるので望ましい。その際、結晶化のため
に基板温度を300℃以上800℃以下でアニールする
ことが望ましい。また酸素を含む雰囲気中でアニールす
るとよい。これは粒界に存在するインジウムの未結合手
を酸素がターミネートするからであると考えられてい
る。
【0031】CuInGaSe2系化合物においてはG
a/Inの比を大きくするとバンドギャップが広くなり
概ね1.0eVから1.5eVまで変化させることがで
きるが、本発明の光起電力素子においてはGa/Inの
比を0以上0.5以下にすることがバンドギャップの大
きさから判断して望ましいものである。またこの範囲の
ほうが良質な膜が得られるので有利である。
【0032】通常この層はp型の導電性を示すが、n型
の導電性を示すものでもよい。膜厚は0.5ミクロン以
上3ミクロン程度が好ましく、タンデムセルとして各セ
ルの電流のバランスを等しくするように膜厚を調整する
ことが望ましい。またこの層は直接遷移型の吸収がある
ため吸収係数が大きく、単層の光起電力素子では35m
A/cm2以上の電流密度が得られる。
【0033】この層の形成では組成制御が困難であり、
結果としてその粒界に所望の組成以外の異相構造が発生
しやすく注意が必要となる。共蒸着法、スパッタリング
法、セレン化法などいずれの方法においても形成プロセ
スを調整して組成制御を厳密に行ない、かつ結晶粒の拡
大を狙うことが必要である。特に第1の半導体層104
形成後の冷却速度を高くしないことが重要である。
【0034】<第2の半導体層105>この層は第1の
半導体層104との積層によってpn接合を形成し、吸
収された光は電界によるドリフトとキャリアの密度勾配
による拡散によって光起電力を発生する機能を有する。
【0035】第2の半導体層は硫化カドミウム(Cd
S)、セレン化亜鉛(ZnSe)、酸化亜鉛(ZnO)
または硫化亜鉛(ZnS)からなる。中でも格子不整合
が1.0%以下の硫化カドミウムCdSが優れている。
本発明の第2の半導体層はこれらの層のひとつからなる
単層であってもよいし、これらの層の中から選ばれた層
の積層であってもよい。
【0036】第1の半導体層104と第2の半導体層は
異なる導電性をなし、pn接合を形成する。通常この層
はスパッタリング法、化学析出法(溶液成長法)、電着
法(電析法)、真空蒸着法、MOCVD法で形成され
る。酸化亜鉛(ZnO)からなる場合には、電着法(電
析法)、具体的には基板と金属電極を硝酸イオンと亜鉛
イオンを含有する水溶液に浸漬し、基板を負極として基
板と金属電極の間に電圧を印加することによって電気化
学的に酸化亜鉛を析出する方法が好ましい。
【0037】膜厚は0.01μm以上0.3μm以下程
度が好ましい。しかし良好なpn接合を形成するだけの
膜厚があればよく、できるだけ薄いほうがよい。また第
1の半導体層104に効率よく光を導くために第2の半
導体層のバンドギャップは1.9eV以上であることが
望ましい。しかし第1の半導体層104とはCdSが最
もよい接合を形成できるため望ましい。
【0038】この層の形成の際に第1の半導体層104
と第2の半導体層との相互拡散が起こって界面に異相の
化合物が発生しないようにすることが重要である。
【0039】(第1の透明導電層106)第1の透明導
電層は第2の半導体層105と第1のドープ層107と
の格子不整合を緩和する機能、タンデムセルの短絡を防
止する機能、第2の半導体層105と第1のドープ層1
07との相互拡散を防止する機能などを有する。
【0040】基本的にはこの層は第2の半導体層105
に用いられる硫化カドミウム(CdS)、セレン化亜鉛
(ZnSe)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(Zn
S)の他にも、酸化インジウム(In23)、酸化錫
(SnO2)、ITOなどの透明導電膜が使用される。
中でもプラズマ耐性が高い酸化亜鉛(ZnO)が優れて
いる。この層は単層でも異種の層の積層でもよい。
【0041】通常この層はスパッタリング法、化学析出
法(溶液成長法)、電着法(電析法)、真空蒸着法、M
OCVD法で形成される。酸化亜鉛(ZnO)からなる
場合には、電着法(電析法)、具体的には基板と金属電
極を硝酸イオンと亜鉛イオンを含有する水溶液に浸漬
し、基板を負極として基板と金属電極の間に電圧を印加
することによって電気化学的に酸化亜鉛を析出する方法
が好ましい。
【0042】膜厚は0.01ミクロン以上0.1ミクロ
ン以下程度が好ましい。また第1の半導体層104に効
率よく光を導くために第1の透明導電層のバンドギャッ
プは2.0eV以上であることが望ましい。タンデムセ
ルの電流密度を上げるためにこの層の表面を凹凸にして
もよい。凹凸にするためには酸性溶液での化学エッチン
グなどの方法がある。
【0043】この層の抵抗率は102から104(Ω/c
m)程度にすることによってわずかなピンホールがあっ
ても光起電力素子が短絡しないようにすることができ
る。またこの層から電流を引き出して3端子素子として
も利用できる。3端子素子は太陽電池の他、光センサー
にも利用できる。
【0044】(第1のpin接合121) <第1のドープ層107>第1のドープ層はフェルミレ
ベルを伝導帯または価電子帯に近づけた層でpin接合
のp層またはn層の機能を有する。
【0045】この層は水素を含有する非単結晶シリコン
系材料からなる。例えば非晶質シリコン(a−Si:
H)、微結晶シリコン(μc−Si:H)の他、a−S
iC:H,a−SiO:H,a−SiN:H,μc−S
iC:Hなどが挙げられる。これらの半導体材料はバン
ドギャップが1.7eV以上の光吸収の少ない材料であ
ることが望ましい。この層は第1の半導体層104と同
じ導電性であり、p型の場合には上記の材料にほう素
(B)を、n型の場合にはリン(P)を不純物としてド
ープする。
【0046】この層の形成方法はプラズマCVD法、熱
CVD法、光CVD法が好ましく、中でもプラズマCV
D法が最も好ましい。膜厚は100オングストローム以
上500オングストローム以下が好ましい。水素はシリ
コンの未結合手を補償し欠陥準位密度を低減する。
【0047】<第1のi層108>この層はフェルミレ
ベルを禁制帯の中央に近づけた層で、第1のドープ層1
07と第2のドープ層109との積層によって第1のp
in接合を形成し、この層で発生した光励起キャリアを
内部の電界によってドリフトさせ、光起電力を発生させ
る機能を有する。
【0048】第1のi層はほぼイントリンジックな導電
性を有し水素を含有する微結晶シリコン系材料からな
り、わずかにp型、わずかにn型の導電性を示すもので
あってもよい。微結晶シリコン系材料としてはμc−S
i:H,μc−SiC:Hなどが挙げられ開放電圧を上
げるためにわずかに酸素や窒素を混入させてもよい。ま
たイントリンジック化するためにわずかにほう素(B)
を混入させたり、リン(P)を混入させてもよい。
【0049】この層は本発明において光起電力素子の性
能向上を担う最も重要な層である。また従来、ドープ層
に使用されていた微結晶シリコン系材料とは異なり、十
分な光電導性を有し、光電導度/暗電導度の比が大きい
ものである。これは水素が微結晶粒界に多く集まり粒界
の欠陥密度を低減しているためであると考えられる。ま
たこの層に含有される微結晶粒は柱状構造をなし、その
長手方向が基板に対してほぼ垂直である。そのため光励
起キャリアが内部電界によって走行する際、微結晶粒の
粒界によってトラップされる機会が少ないものである。
また非晶質の領域が極めて少ないため光劣化がほとんど
ないものである。これは第1のi層内部に光のエネルギ
ーまたは光励起キャリアの再結合エネルギーによって切
れてしまう弱い結合が極めて少ないことによると考えら
れる。
【0050】膜厚は0.1ミクロン以上0.5ミクロン
以下、好ましくは0.2ミクロン以上0.4ミクロン以
下であることが望ましい。
【0051】また特に第1のi層のX線回折スペクトル
において、シリコンの111反射ピークの、CuKα線
に対する半値幅が0.4°以上、1.5°以下であると
き光起電力素子の開放電圧が高く光劣化がほとんどな
い。半値幅が0.4°未満では短絡電流は大きいが開放
電圧が小さくなる傾向がある。また半値幅が1.5°を
越えると開放電圧は高いが光劣化現象が現れる傾向があ
る。
【0052】本発明で使用される第1のi層は従来の微
結晶シリコン薄膜に比べて短波長の光吸収係数が大き
く、長波長の光吸収係数が小さいものである。
【0053】この層は周波数が100MHz以上10G
Hz以下の電磁波により生起したプラズマを使用したプ
ラズマCVD法において圧力が500mTorr以下の
プラズマ中に負のバイアス電圧を印加して形成すること
が望ましい。さらにはこの負のバイアス電圧はプラズマ
を生起した電磁波の周波数よりも低い周波数の電磁波を
プラズマ内に設置されたバイアス電極から放射すること
により形成することが望ましい。
【0054】周波数が100MHz以上10GHz以下
の電磁波を使用したプラズマCVD法ではプラズマ中で
の高次シランの発生を抑制することができると考えられ
る。またプラズマ中に負のバイアス電圧を印加すること
によって高いエネルギーを有するプラスイオンが膜形成
表面に衝突し構造の乱れを誘発することが抑制されると
考えられる。特にバイアス電圧がプラズマを生起する電
磁波の周波数よりも低い周波数の電磁波をプラズマ内に
設置されたバイアス電極から放射することにより発生し
たものであるため、高いバイアス電圧を発生した状態に
おいてもスパーク放電を誘発することがなく、膜形成表
面に損傷を与えることがない。このような条件下におい
て本発明に使用される第1のi層は形成することが好ま
しい。
【0055】<第2のドープ層109>第2のドープ層
は基本的には第1のドープ層107と同じであるが、第
1のi層108へ効率的に光を導くためにバンドギャッ
プが1.9eV以上であることが望ましい。また膜厚も
良好なpin接合を形成できれば限りなく薄いものが望
ましい。
【0056】(第2の透明導電層110)この層は上部
透明電極としての機能、反射防止膜としての機能、保護
膜としての機能などを有する。
【0057】第2の透明導電層はスパッタリング法また
は真空蒸着法で形成された酸化インジウム(In
23)、酸化錫(SnO2)、ITOなどの透明導電膜
が使用される。
【0058】この層は第1のpin接合121、pn接
合120へ効率的に光を導くためにバンドギャップは
3.0eV以上、シート抵抗が300Ω以下のものを使
用する。また照射光の反射防止条件に合った膜厚にする
ことが望ましい。
【0059】(集電電極111)集電電極は第1のpi
n接合121、pn接合120で発生した光電流を効率
よく外部回路に輸送する機能、照射光を第1のpin接
合121、pn接合120に効率よく導く機能を有す
る。
【0060】そのため集電電極は通常櫛型の形状をな
し、電気伝導度の高い金属、例えば銀、金、銅、アルミ
ニウムなどを使用する。集電電極はスクリーン印刷法、
真空蒸着法、スパッタリング法で形成するか、または上
記のワイヤーを銀ペーストまたはカーボンペーストなど
を用いて加熱融着して形成する。
【0061】なお、第1の透明導電層106、第1のド
ープ層107、第1のi層108、第2のドープ層10
9、第2の透明導電層110、集電電極111を形成す
る際は、第1の半導体層104と第2の半導体層105
の相互拡散を防ぐために、基板温度をできるだけ下げる
ことが望ましい。
【0062】また本発明の光起電力素子は耐環境性を向
上させるために、EVAフィルム、ガラス不織紙などを
挟んでフッ素樹脂などで封止して使用することが望まし
い。
【0063】図2は、本発明の光起電力素子の他の例を
示すpin/pin/pn接合型光起電力素子の概略断
面図である。第1のpin接合221と第2の透明導電
層210の間に、第3のドープ層212、第2のi層2
13、第4のドープ層214よりなる第2のpin接合
222を有する以外は図1と基本的には同じである。以
下、第2のpin接合222について詳細に説明する。
【0064】(第3のドープ層213)この層は第1の
ドープ層207と同じ導電性を有し、第1のドープ層2
07と同様な材料で構成され、同様な機能を有し、同様
な方法によって形成する。
【0065】(第2のi層214)この層は第1のi層
208と同様な機能を有するが、非晶質シリコン系材料
からなる。例えば、a−Si:H,a−SiC:H,a
−SiGe:Hなどが挙げられる。バンドギャップを広
くする目的でわずかに酸素、窒素を含有させてもよい。
中でもa−Si:H,a−SiC:Hがバンドギャップ
が広く好適である。
【0066】第3のドープ層213、第2のi層、第4
のドープ層215の積層によって第2のpin接合22
2を形成し、このpin接合の追加により図1の光起電
力素子よりもさらに短絡電流を下げて、開放電圧を上げ
る働きを有する。内部に含有される水素は欠陥密度を低
減している。そのため光励起キャリアが内部電界によっ
て走行する際、再結合が低減できるものである。また各
セルの電流のバランスをとることによって第1のi層2
08を薄膜化できるので、光劣化が抑制される。これは
内部電界が強くなるため、さらに再結合が抑制されるた
めだと考えられる。
【0067】膜厚は0.1μm以上0.3μm以下、好
ましくは0.15μm以上0.25μm以下であること
が望ましい。この層は通常のRFプラズマCVD法、ま
たは周波数が100MHz以上10GHz以下の電磁波
により生起したプラズマを使用したプラズマCVD法に
おいて圧力が30mTorr以下のプラズマ中に1MH
z以上50MHz以下の周波数の電磁波をプラズマ内に
設置された高周波電極から放射することにより形成する
プラズマCVD法が望ましい。
【0068】(第4のドープ層215)この層は第2の
ドープ層209と同じ導電性を有し、第2のドープ層2
09と同様な材料で構成され、同様な機能を有し、同様
な方法によって形成する。
【0069】
【実施例】以下に本発明の光起電力素子の実施例を説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0070】(実施例1)図1の太陽電池を作製した。
第1の半導体層104にp型CuInSe2、第2の半
導体層105にn型CdS、第1の透明導電層106に
n型ZnO、第1のドープ層107にp型μc−Si:
H:B、第1のi層108にμc−Si:H、第2のド
ープ層109にn型μc−SiC:H:P、第2の透明
導電層110にITO、集電電極111にアルミニウム
を用いた。基板102にはソーダライムガラス、下部電
極103にはモリブデンをスパッタリング法で形成した
ものを使用した。第1の半導体層104はセレン化法
で、第2の半導体層105は溶液成長法で、第1の透明
導電層106はスパッタリング法で、第1のドープ層1
07、第1のi層108、第2のドープ層109はプラ
ズマCVD法で、第2の透明導電層110、集電電極1
11は真空蒸着法で形成した。以下に各層の形成の詳細
を説明し、おおまかな条件を表1に記す。
【0071】第1の半導体層104は室温において真空
蒸着法でCu/Inの積層膜を0.20μm/0.21
μmの膜厚比で5サイクル形成し、その後に基板温度を
200℃/minの速度で450℃に上げSe蒸着源か
らセレン蒸気を60分照射して形成し、1℃/minで
徐冷し、300℃になったところでセレン蒸気の照射を
止めた。
【0072】第2の半導体層105は70℃のCd
2,チオウレア(SC(NH22)、アンモニアの水
溶液に第1の半導体層が形成された基板を約2分間浸す
ことによって約10nmのCdS薄膜を得ることができ
る。この工程を4回繰り返すことによって形成した。
【0073】第1の透明導電層106は第2の半導体層
105が形成された基板を150℃にして酸化亜鉛をタ
ーゲットとしたDCマグネトロンスパッタ法で形成し
た。
【0074】第1のドープ層107は容量結合型のRF
プラズマCVD法を用いた。成膜ガスにはSiH4
2,BF3を使用し、SiH4:H2:BF3比は1:8
0:0.1、圧力1.0Torr、RF電力30W、基
板温度200℃の条件で形成した。
【0075】第1のi層108はRFバイアス電力を印
加したプラズマCVD法を用いた。成膜ガスにはSiH
4,H2を使用し、SiH4:H2比は1:30、圧力0.
03Torr、高周波(周波数500MHz)電力10
0W、RF(周波数13.56MHz)バイアス電力5
0W(バイアス電圧−400V)、基板温度300℃の
条件で形成した。X線回折スペクトルにおけるシリコン
の111反射ピークのCuKα線に対する半値幅は0.
8°であった。
【0076】第2のドープ層109は容量結合型のRF
プラズマCVD法を用いた。成膜ガスにはSiH4
2,PH3を使用し、SiH4:H2:BF3比は1:8
0:0.2、圧力1.0Torr、RF電力15W、基
板温度160℃の条件で形成した。
【0077】第2の透明導電層110は真空蒸着法を用
いて基板温度160℃で形成し、波長550nmで反射
が最小になるように膜厚を調整した。最後に櫛形の集電
電極111は真空蒸着法を用いて室温で形成した。
【0078】この太陽電池をSC実1とする。
【0079】
【表1】
【0080】(比較例1)第1のpin接合121、第
2の透明導電層110を形成しない以外は実施例1と同
様な方法によって図4の太陽電池を作製した。この太陽
電池をSC比1とする。
【0081】作製した2つの太陽電池の特性をソーラー
シュミレーター(AM1.5・100mW/cm2)を
用いて測定したところ、表2のようにSC実1の太陽電
池のほうがSC比1よりも変換効率が高いことが分かっ
た。
【0082】
【表2】
【0083】また2つの太陽電池の分光感度(外部量子
効率)の測定を行った。その結果、表3のように短波長
感度(外部量子効率)が飛躍的に向上していることが分
かった。
【0084】
【表3】
【0085】またこのソーラーシュミレーターを用いて
光劣化(光照射試験)の測定を行った。温度50℃、1
sunの劣化条件で1000時間経過したところで同様
に太陽電池特性を測定したところ、2つの太陽電池とも
光劣化はなかったが、表4のようにSC実1の太陽電池
のほうがSC比1よりも変換効率が高いことが分かっ
た。
【0086】
【表4】
【0087】以上のように本発明の光起電力素子の一形
態である太陽電池は従来の太陽電池よりも変換効率が高
いことが判明した。また短絡電流を飛躍的に下げ、開放
電圧を上げたことによって、集電電極の幅を細くするこ
とが可能であることが分かった。さらに太陽電池を直列
化してモジュール化したときの動作電流を半分程度にで
きたので、配線抵抗の影響を軽減でき、FFの低下を軽
減することができた。また太陽電池間を接続する配線の
太さを細くすることができた。
【0088】(実施例2)図1の太陽電池を作製した。
第1の半導体層104にp型CuInGaSe2、第2
の半導体層105にn型CdS、第1の透明導電層10
6にn型ZnO、第1のドープ層107にp型a−S
i:H:B、第1のi層108にμc−Si:H、第2
のドープ層109にn型μc−SiC:H:P、第2の
透明導電層110にITO、集電電極111にアルミニ
ウムを用いた。基板102は厚さ0.15mmのステン
レスを用いた。第1の半導体層104は共蒸着法(4元
同時蒸着法)で、第2の半導体層105は溶液成長法
で、第1の透明導電層106は電析法で、第1のドープ
層107、第1のi層108、第2のドープ層109は
プラズマCVD法で、第2の透明導電層110、集電電
極111は真空蒸着法で形成した。以下に各層の形成の
詳細を説明し、おおまかな条件を表5に記す。
【0089】第1の半導体層104は450℃において
共蒸着法(4元同時蒸着法)でGa/(Ga+In)の
比がほば0.2になるように各K(クヌードセン)セル
の温度を精密に制御した。
【0090】第2の半導体層105は実施例1と同じ工
程を3回繰り返すことによって形成した。
【0091】第1の透明導電層106はデキストリンを
0.1%混入させた0.2mol/l硝酸亜鉛水溶液を
80℃に加熱し、亜鉛板と第2の半導体層まで形成され
た基板を浸し、亜鉛板をプラス極、基板をマイナス極と
して電圧を印加し、電極電流密度15mA/cm2で形
成した。
【0092】第1のドープ層107、第1のi層10
8、第2のドープ層109は実施例1と同じ方法で形成
した。
【0093】第1のドープ層108の形成の際、成膜ガ
スにはSiH4,H2,BF3を使用し、SiH4:H2
BF3比は1:40:0.1、圧力1.0Torr、R
F電力5W、基板温度200℃の条件で形成した。
【0094】第1のi層108の形成の際、成膜ガスに
はSiH4,H2を使用し、SiH4:H2比は1:30、
圧力0.03Torr、VHF(周波数500MHz)
電力100W、RF(周波数13.56MHz)バイア
ス電力30W(バイアス電圧−250V)、基板温度2
50℃の条件で形成した。X線回折スペクトルにおける
シリコンの111反射ピークのCuKα線に対する半値
幅は1.1°であった。
【0095】第2のドープ層109の形成の際、成膜ガ
スにはSiH4,H2,PH3,CH4を使用し、Si
4:H2:BF3:CH4の比は1:80:0.2:0.
1、圧力0.2Torr、RF電力30W、基板温度1
60℃の条件で形成した。
【0096】第2の透明導電層110、集電電極111
は実施例1と同じ方法、条件で形成した。この太陽電池
をSC実2とする。
【0097】
【表5】
【0098】(比較例2)第1のpin接合121、第
2の透明導電層110を形成しない以外は実施例1と同
様な方法によって図4の太陽電池を作製した。この太陽
電池をSC比2とする。
【0099】実施例1と同様な方法で太陽電池と特性、
分光感度、光劣化(光照射試験)後の太陽電池特性を測
定した。表6のようにSC実2の太陽電池のほうがSC
比2よりも変換効率が高いことが分かった。
【0100】
【表6】
【0101】また2つの太陽電池の分光感度(外部量子
効率)の測定を行った。その結果、表7のように短波長
感度(外部量子効率)が飛躍的に向上していることが分
かった。
【0102】
【表7】
【0103】また光劣化後の太陽電池特性を測定したと
ころ、2つの太陽電池とも光劣化はなく、表8のように
SC実2の太陽電池のほうがSC比2よりも変換効率が
高いことが分かった。
【0104】
【表8】
【0105】(実施例3)図2のような層構成を有する
太陽電池(SC実3)を表9に示す層形成条件で作成し
た。尚、第1のi層208のX線回折スペクトルにおけ
るシリコンの111反射ピークのCuKα線に対する半
値幅は0.6°であった。
【0106】
【表9】
【0107】(比較例3)第1のpin接合221、第
2のpin接合222、第2の透明導電層210を形成
しない以外は実施例3と同様な方法によって図4の太陽
電池を作製した。この太陽電池をSC比3とする。
【0108】実施例1と同様な太陽電池特性、分光感度
特性、光劣化後の太陽電池特性を測定した。その結果、
表10のように短絡電流を低減し、開放電圧を上げるこ
とができた。
【0109】
【表10】
【0110】また実施例1と同様に短波長感度の飛躍的
な向上が見られた。また光劣化(光照射試験)後の太陽
電池特性を測定したところ、表11のように変換効率の
劣化率は10%程度であり、試験後の変換効率はほぼ同
じであった。
【0111】
【表11】
【0112】(実施例4)図3のような層構成を有する
光センサーを作製した。図3において第3の透明導電層
314はスパッタリング法で形成したITOからなる薄
膜で膜厚は0.2μm、また絶縁層313はスパッタリ
ング法で形成したSiOからなる薄膜で膜厚は2μmで
ある。
【0113】このセンサーは透過率測定や反射率測定を
行う分光光度計においてプローブ光の面積が小さいと
き、あるいはプローブ光照度が面分布を持つ場合に有用
である。すなわち1mmと違わない位置において、分光
された光の強度を正確に測定する場合に用いる。層の材
料、形成方法は実施例1とほとんど同じである。
【0114】この光センサーは波長250nmから70
0nmまでは光入射側の第1のpin接合セル321の
引出し電極312に逆バイアス電圧を印加し、700n
mから1400nmまでは裏面側のpn接合セル320
の引出し電極312に逆バイアス電圧を印加して光を検
出する。以上のように250nmから1400nmの波
長域において光の強度を検出することができた。
【0115】(実施例5)実施例2において第2の半導
体層105が酸化亜鉛からなる太陽電池(SC実5)を
作製した。第2の半導体層105は実施例2と同様に電
析法(電着法)で形成し、電極電流密度が3.8mA/
cm2になるように電圧を調整した。膜厚は30nmと
した。第2の半導体層105の材料とその形成方法を変
更した以外は実施例2と同じ方法で太陽電池(SC実
5)を作製した。実施例2と同様な測定を行ったところ
SC実2と同様にSC実5は優れた太陽電池特性を有し
ていることが分かった。
【0116】
【発明の効果】本発明の光起電力素子によれば短波長感
度を飛躍的に向上させることができる。従って近紫外か
ら近赤外までの広範囲の光の検出が可能となる。また開
放電圧の向上、動作電流の低減、光電変換効率の向上を
計ることができる。従って、大電流回路を小電流回路に
することができる。集電電極を細くすることができるた
めシャドーロスを低減できる。また動作電流を下げるこ
とができるので各所抵抗成分によるFFの低下を抑制す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の一例を示す概略断面図
である。
【図2】本発明の光起電力素子の他の例を示す概略断面
図である。
【図3】本発明の光起電力素子を用いた光センサーの概
略断面図である。
【図4】従来の光起電力素子を示す概略断面図である。
【符号の説明】
101 光起電力素子 102 基板 103 下部電極 104 第1の半導体層 105 第2の半導体層 106 第1の透明導電層 107 第1のドープ層 108 第1のi層 109 第2のドープ層 110 第2の透明導電層 111 集電電極 120 pn接合 121 第1のpin接合 201 光起電力素子 202 基板 203 下部電極 204 第1の半導体層 205 第2の半導体層 206 第1の透明導電層 207 第1のドープ層 208 第1のi層 209 第2のドープ層 210 第2の透明導電層 211 集電電極 212 第3のドープ層 213 第2のi層 214 第4のドープ層 220 pn接合 221 第1のpin接合 222 第2のpin接合 301 光起電力素子 302 基板 303 下部電極 304 第1の半導体層 305 第2の半導体層 306 第1の透明導電層 307 第1のドープ層 308 第1のi層 309 第2のドープ層 310 第2の透明導電層 311 集電電極 312 引出し電極 313 絶縁層 314 第3の透明導電層 320 pn接合セル 321 第1のpin接合セル 401 光起電力素子 402 基板 403 下部電極 404 第1の半導体層 405 第2の半導体層 406 第1の透明導電層 410 第2の透明導電層 411 集電電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、少なくとも下部電極、pn接
    合、第1の透明導電層、第1のpin接合、第2の透明
    導電層が順次形成された光起電力素子であって、 pn接合は化学式CuXY2(Xはインジウム(I
    n)、ガリウム(Ga)、Yはセレン(Se)、硫黄
    (S))で表されるカルコパイライト系化合物{CuI
    xGa1-x(Sey1-y2、(0≦x≦1,0≦y≦
    1)}からなる第1の半導体層と、硫化カドミウム(C
    dS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、酸化亜鉛(Zn
    O)又は硫化亜鉛(ZnS)からなる第2の半導体層に
    より構成され、 第1のpin接合は第1の導電性を示す水素含有の非単
    結晶シリコン系材料からなる第1のドープ層、ほぼイン
    トリンジックな導電性を有し水素を含有する微結晶シリ
    コン系材料からなる第1のi層、第1の導電性とは異な
    る第2の導電性を示す水素含有の非単結晶シリコン系材
    料からなる第2のドープ層により構成されていることを
    特徴とする光起電力素子。
  2. 【請求項2】 第1のpin接合と第2の透明導電層の
    間に第2のpin接合を有し、該第2のpin接合は第
    1の導電性を示す非単結晶シリコン系材料からなる第3
    のドープ層、ほぼイントリンジックな導電性を有する非
    晶質シリコン系材料からなる第2のi層、第1の導電性
    とは異なる第2の導電性を示す非単結晶シリコン系材料
    からなる第4のドープ層により構成されていることを特
    徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 【請求項3】 第1のi層のX線回折スペクトルにおい
    て、シリコンの111反射ピークの、CuKα線に対す
    る半値幅が0.4°以上1.5°以下であることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の光起電力素子。
  4. 【請求項4】 第1のi層の膜厚が0.1ミクロン以上
    0.5ミクロン以下であることを特徴とする請求項1〜
    3に記載の光起電力素子。
  5. 【請求項5】 周波数が100MHz以上10GHz以
    下の電磁波により生起したプラズマを使用したプラズマ
    CVD法において、圧力が500mTorr以下のプラ
    ズマ中に負のバイアス電圧を印加して第1のi層を形成
    する工程を有することを特徴とする請求項1〜4に記載
    の光起電力素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記負のバイアス電圧は前記電磁波の周
    波数よりも低い周波数の電磁波をプラズマ内に設置され
    たバイアス電極から放射することにより発生したもので
    あることを特徴とする請求項5に記載の光起電力素子の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 基板と金属電極を硝酸イオンと亜鉛イオ
    ンを含有する水溶液に浸漬し、該基板と該金属電極の間
    に電圧を印加することによって電気化学的に酸化亜鉛
    (ZnO)を析出して第2の半導体層、第1の透明導電
    層の少なくとも一方を形成する工程を有することを特徴
    とする請求項1〜4に記載の光起電力素子の製造方法。
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