JP2004296585A - 積層型圧電素子およびインジェクタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で高性能な変位機能を有した積層型圧電素子およびインジェクタ装置を提供する。
【解決手段】圧電セラミック層が3層以上と内部電極層が2層以上となるよう積層した積層体で、この積層体の側面に内部電極2が1層または複数層おきに対向電極となるように前記内部電極2と交互に接続された外部電極3を有する積層型圧電素子であって、内部電極2と外部電極3の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極2と外部電極3の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計した積層型圧電素子とする。
【選択図】 図1
【解決手段】圧電セラミック層が3層以上と内部電極層が2層以上となるよう積層した積層体で、この積層体の側面に内部電極2が1層または複数層おきに対向電極となるように前記内部電極2と交互に接続された外部電極3を有する積層型圧電素子であって、内部電極2と外部電極3の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極2と外部電極3の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計した積層型圧電素子とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型圧電素子およびインジェクタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の内燃機関等のインジェクタとしては、例えば、特許文献1に示されるように、積層型圧電素子を使用する試みがなされている。このインジェクタ用素子としては、電子部品としては約160℃という高温環境において長時間の駆動を要求され、小型で高性能なことが要求される。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−229993号公報
【0004】
さて、積層型圧電素子において、小型で高性能を発揮するには対向する内部電極の重なり面積が広い方が有利である。しかし、一方で、内部電極非形成部での内部電極と外部電極の間の距離はある程度確保されてなければ、積層型圧電素子の絶縁抵抗、耐電圧、寿命などを劣化させてしまうことになる。また、仮に外部からの影響で内部電極非形成部にクラックが導入された場合にも、空中放電が生じないように内部電極と外部電極の間の距離を確保しておく必要がある。
【0005】
また、小型品の場合には、セラミック層間厚みは100μm以下と薄いことが多く、対向する内部電極が同時に露出する部分には、この側面での放電を防ぐため、外装樹脂層の形成などの工夫が必要である。
【0006】
積層部品の内部電極パターンについては、積層セラミックコンデンサに代表されるような、交互に異なる電位に接続される複数の内部電極が、誘電体セラミックを介して積層されているセラミック積層体において、少なくとも一方の電位に接続される内部電極が、セラミック積層体の第1の側面と第1の側面に対向する第2の側面の少なくとも一方の側面に引き出されているものが一般的である。
【0007】
また、特許文献2には、内部電極を積層体内部に密閉することで、マイグレーションの防止とともに、クラックその他の発生のない耐久性の高い積層型変位素子を提供するため、内部電極の平面投影面積を薄板の平面投影面積より小に形成し、外部電極との接続部のみを積層体の側面に露出させることが記載されている。
【0008】
具体的には、B/A≧0.5の条件で、
A:内部電極の投影が積層方向に重合して形成される変位部の幅寸法、
B:変位部の端縁と積層体側面との間に形成される非変位部の幅寸法、
として形成している。
【0009】
【特許文献2】
特許2965602号公報
【0010】
また、特許文献3には、内部電極パターンについて記載されており、積層体内部の電極の重なり状態を非破壊で把握できるように内部電極を交互に相対する端面に形成した端面電極に接続する積層型圧電素子において、プラス側内部電極とグラウンド側内部電極とを前記端面電極を形成していない相対する端面に別々に露出することが記載されている。
【0011】
【特許文献3】
特開平11−138800号公報
【0012】
図6は、従来の積層型圧電素子の内部電極パターン例である。図6では、外部電極と内部電極との距離を一定に保つ工夫や、電荷の集中を避けるような工夫が見られない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような内部電極パターンでは、インジェクタ装置に用いる小型で高性能な変位機能を重要視する積層型圧電素子においては、内部電極非形成部すなわち非変位部を大きく設計しすぎる場合も考えられ、同一の変位特性を得ようとするとセラミック層間の厚みを薄くし、積層数を増やすこととなり、結果として、高価で、しかも静電容量の大きい、即ちエネルギーロスの大きな素子になってしまう。
【0014】
また、内部電極パターンにおいて、電荷の集中を緩和する工夫が無く、素子の駆動中に集中した電荷により、セラミック層間でのショート等の不具合が生じることがある。
【0015】
本発明は、小型で高性能な変位機能を有した積層型圧電素子およびインジェクタ装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明では、非変位部の大きさをなるべく小さくするために、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計し、印加電圧に応じ内部電極の露出部を外装樹脂で覆うという構成とした。また、内部電極パターンにおいて、電荷が集中しにくいように内部電極端部をラウンド処理を施した積層型圧電素子を提供する。
【0017】
即ち、本発明は、圧電セラミック層が3層以上と内部電極層が2層以上となるよう積層した積層体で、この積層体の側面に内部電極が1層または複数層おきに対向電極となるように前記内部電極と交互に接続された外部電極を有する積層型圧電素子において、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計した積層型圧電素子である。
【0018】
また、本発明は、前記積層型圧電素子において、外装樹脂材料としてポリエーテルアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの耐熱性樹脂で内部電極の露出部を覆った積層型圧電素子である。
【0019】
また、本発明は、前記内部電極と、前記外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の端部が、ラウンド加工された積層型圧電素子である。
【0020】
また、本発明は、圧電セラミック層が3層以上と内部電極層が2層以上となるよう積層した積層体で、この積層体の側面に内部電極が1層または複数層おきに対向電極となるように前記内部電極と交互に接続された外部電極を有する積層型圧電素子であって、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計した積層型圧電素子を用いたインジェクタ装置である。
【0021】
また、本発明は、前記積層型圧電素子において、外装樹脂材料としてポリエーテルアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの耐熱性樹脂で内部電極の露出部を覆ったインジェクタ装置である。
【0022】
また、本発明は、前記内部電極と、前記外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の端部が、ラウンド加工されたインジェクタ装置である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態による積層型圧電素子およびインジェクタ装置について、以下、図を用いて説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による積層型圧電素子を示す斜視図である。また、図2は、図1のA−A断面図である。図3は、本発明の実施の形態1による積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図である。図6は、従来の積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図である。
【0025】
図1、図2に示すように、本発明の積層型圧電素子は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛Pb(Zr、Ti)O3を成分として含む圧電体1と複数のAgとPdの混合粉、セルロースおよび溶剤などから構成されたペーストをセラミックと同時焼成し形成した内部電極2とを交互に積層してなるアクチュエータ本体の少なくとも2つの側面において、内部電極2の端部を対向電極となるように内部電極と外部電極の距離(内部電極非形成部)6を形成している。
【0026】
露出している内部電極2の端部は、Ag粉ペーストなどを焼付けて形成した外部電極3と接続されており、アクチュエータ本体の上下に、複数の圧電体からなる不活性層4と、外部と電気的接続を行うためのリード線5、そして外装樹脂8から構成されている。リード線5を通じて圧電セラミックの分極方向に電界をかけると、変位方向7の変位が生じる。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態1による積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図である。図3(a)は、一方の側面の内部電極パターン例を示す図であり、図3(b)は他方の側面の内部電極パターン例を示す図である。
【0028】
外部電極3と内部電極2との間には、内部電極と外部電極の距離(内部電極非形成部)6が形成されており、内部電極の端部はラウンド処理が施されている。このように、内部電極を形成し、これらを交互、あるいは任意の規則性で積層する。
【0029】
素子において、対向する内部電極が同時に露出する部分には、この側面での放電やマイグレーションを防ぐため、外装樹脂層を形成すればよい。近年の外装用樹脂性能の発達が著しく、ポリエーテルアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の耐熱性樹脂が有効である。特に、外装材の部分がガソリンなどの燃料雰囲気にさらされる場合には、ポリエーテルアミド系樹脂かポリイミド系樹脂が膨潤等も起こりにくく最適である。
【0030】
内部電極パターンのラウンド処理とは、非変位部の内部電極パターン部に角部を作らないように、丸いパターンとすることを意味している。
【0031】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2による積層型圧電素子の内部電極パターン例の説明図である。図4(a)は、コーナー部の内部電極パターンの一例を示す図であり、外部電極位置を素子の端部に設けている。図4(b)は、コーナー部の内部電極パターンの他の例を示す図であり、素子のコーナー部を面取り加工して、そこから外部電極を取り出している。
【0032】
図5は、パルス放電電圧と間隙の関係を積層型圧電素子にて調査した結果を示す図である。図5には、測定時の最大電圧値、および最小電圧値、および平均電圧値が示されている。点線は平均電圧の対数近似曲線であり、実線は最小電圧値を参考に安全を鑑みて採用した放電電圧と間隙の関係を示している。
【0033】
この関係を用いて、素子を使用する際に加わる最大電圧Vに応じた内部電極と外部電極との距離dを選択し、設計、製造すれば、使用状況においてパルス放電が生じないこととなる。しかし、実際の素子の製造には、ばらつきが存在するため、これを考慮し製造すべきである。
【0034】
さて、上記のようにパターンを決めた背景について説明する。表1は、図5の調査結果をもとに、インジェクタ装置用の積層型圧電素子を用い、内部電極と外部電極の間隔を変えた場合、およびラウンド処理の有無を変えた場合の耐久試験結果を示す。耐久性試験はインジェクタ装置用の積層型圧電素子に任意の電界強度でパルス電圧を、駆動周波数200Hz、立ち上がり時間は200μS、プリセット荷重600Nという条件で約1億回を目処に与える試験である。
【0035】
【表1】
【0036】
発明品1、発明品4では、内部電極と外部電極の間隔が適切に保たれており、セラミックに生じたクラック部での放電が見られなかった。比較品の一部には、電界強度が低めであったことによると考えられるが、クラックの見つからないものも存在した。
【0037】
また、No.2の比較品2、比較品3、比較品5、比較品6では、電界強度が高く、耐久試験中にまずセラミックの一部にクラックが入った。そして、クラック部では内部電極と外部電極の間隔が狭すぎることで放電が生じ、耐久性試験として不良となった。
【0038】
さて、No.2の比較品とNo.3の比較品の違いは、内部電極非形成部の端部をラウンド処理の有無であるが、ラウンド処理の無いNo.2の比較品の方がNo.3の比較品よりも僅かではあるが低い電界強度で不良になった。これは、内部電極パターンの角部で応力と電荷が集中し、より低い電圧でセラミックにクラックが入り、内部電極と外部電極の間隔が狭いために、そこで放電が生じたものと不良解析等から考えている。従って、内部電極非形成部にラウンド処理を施すことでセラミックにクラックを入りにくくしておくことは重要である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、非変位部の大きさをなるべく小さくするために、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加する最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計し、内部電極の露出部を外装樹脂で覆うことおよび内部電極パターンにおいて電極端部をラウンド処理するという構成で、インジェクタ装置に用いる小型で高性能な変位機能を有した積層型圧電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による積層型圧電素子を示す斜視図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明の実施の形態1による積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図。図3(a)は、一方の側面の内部電極パターン例を示す図、図3(b)は他方の側面の内部電極パターン例を示す図。
【図4】本発明の実施の形態2による積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図。図4(a)は、コーナー部の内部電極パターンの一例を示す図、図4(b)は、コーナー部の内部電極パターンの他の例を示す図。
【図5】パルス放電電圧と間隙の関係をインジェクタ装置用の積層型圧電素子にて調査した結果を示す図。
【図6】従来の積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図。
【符号の説明】
1 圧電体
2 内部電極
3 外部電極
4 不活性層
5 リード線
6 内部電極と外部電極の距離(内部電極非形成部)
7 変位方向
8 外装樹脂
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型圧電素子およびインジェクタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の内燃機関等のインジェクタとしては、例えば、特許文献1に示されるように、積層型圧電素子を使用する試みがなされている。このインジェクタ用素子としては、電子部品としては約160℃という高温環境において長時間の駆動を要求され、小型で高性能なことが要求される。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−229993号公報
【0004】
さて、積層型圧電素子において、小型で高性能を発揮するには対向する内部電極の重なり面積が広い方が有利である。しかし、一方で、内部電極非形成部での内部電極と外部電極の間の距離はある程度確保されてなければ、積層型圧電素子の絶縁抵抗、耐電圧、寿命などを劣化させてしまうことになる。また、仮に外部からの影響で内部電極非形成部にクラックが導入された場合にも、空中放電が生じないように内部電極と外部電極の間の距離を確保しておく必要がある。
【0005】
また、小型品の場合には、セラミック層間厚みは100μm以下と薄いことが多く、対向する内部電極が同時に露出する部分には、この側面での放電を防ぐため、外装樹脂層の形成などの工夫が必要である。
【0006】
積層部品の内部電極パターンについては、積層セラミックコンデンサに代表されるような、交互に異なる電位に接続される複数の内部電極が、誘電体セラミックを介して積層されているセラミック積層体において、少なくとも一方の電位に接続される内部電極が、セラミック積層体の第1の側面と第1の側面に対向する第2の側面の少なくとも一方の側面に引き出されているものが一般的である。
【0007】
また、特許文献2には、内部電極を積層体内部に密閉することで、マイグレーションの防止とともに、クラックその他の発生のない耐久性の高い積層型変位素子を提供するため、内部電極の平面投影面積を薄板の平面投影面積より小に形成し、外部電極との接続部のみを積層体の側面に露出させることが記載されている。
【0008】
具体的には、B/A≧0.5の条件で、
A:内部電極の投影が積層方向に重合して形成される変位部の幅寸法、
B:変位部の端縁と積層体側面との間に形成される非変位部の幅寸法、
として形成している。
【0009】
【特許文献2】
特許2965602号公報
【0010】
また、特許文献3には、内部電極パターンについて記載されており、積層体内部の電極の重なり状態を非破壊で把握できるように内部電極を交互に相対する端面に形成した端面電極に接続する積層型圧電素子において、プラス側内部電極とグラウンド側内部電極とを前記端面電極を形成していない相対する端面に別々に露出することが記載されている。
【0011】
【特許文献3】
特開平11−138800号公報
【0012】
図6は、従来の積層型圧電素子の内部電極パターン例である。図6では、外部電極と内部電極との距離を一定に保つ工夫や、電荷の集中を避けるような工夫が見られない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような内部電極パターンでは、インジェクタ装置に用いる小型で高性能な変位機能を重要視する積層型圧電素子においては、内部電極非形成部すなわち非変位部を大きく設計しすぎる場合も考えられ、同一の変位特性を得ようとするとセラミック層間の厚みを薄くし、積層数を増やすこととなり、結果として、高価で、しかも静電容量の大きい、即ちエネルギーロスの大きな素子になってしまう。
【0014】
また、内部電極パターンにおいて、電荷の集中を緩和する工夫が無く、素子の駆動中に集中した電荷により、セラミック層間でのショート等の不具合が生じることがある。
【0015】
本発明は、小型で高性能な変位機能を有した積層型圧電素子およびインジェクタ装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明では、非変位部の大きさをなるべく小さくするために、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計し、印加電圧に応じ内部電極の露出部を外装樹脂で覆うという構成とした。また、内部電極パターンにおいて、電荷が集中しにくいように内部電極端部をラウンド処理を施した積層型圧電素子を提供する。
【0017】
即ち、本発明は、圧電セラミック層が3層以上と内部電極層が2層以上となるよう積層した積層体で、この積層体の側面に内部電極が1層または複数層おきに対向電極となるように前記内部電極と交互に接続された外部電極を有する積層型圧電素子において、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計した積層型圧電素子である。
【0018】
また、本発明は、前記積層型圧電素子において、外装樹脂材料としてポリエーテルアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの耐熱性樹脂で内部電極の露出部を覆った積層型圧電素子である。
【0019】
また、本発明は、前記内部電極と、前記外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の端部が、ラウンド加工された積層型圧電素子である。
【0020】
また、本発明は、圧電セラミック層が3層以上と内部電極層が2層以上となるよう積層した積層体で、この積層体の側面に内部電極が1層または複数層おきに対向電極となるように前記内部電極と交互に接続された外部電極を有する積層型圧電素子であって、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計した積層型圧電素子を用いたインジェクタ装置である。
【0021】
また、本発明は、前記積層型圧電素子において、外装樹脂材料としてポリエーテルアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの耐熱性樹脂で内部電極の露出部を覆ったインジェクタ装置である。
【0022】
また、本発明は、前記内部電極と、前記外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の端部が、ラウンド加工されたインジェクタ装置である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態による積層型圧電素子およびインジェクタ装置について、以下、図を用いて説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による積層型圧電素子を示す斜視図である。また、図2は、図1のA−A断面図である。図3は、本発明の実施の形態1による積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図である。図6は、従来の積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図である。
【0025】
図1、図2に示すように、本発明の積層型圧電素子は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛Pb(Zr、Ti)O3を成分として含む圧電体1と複数のAgとPdの混合粉、セルロースおよび溶剤などから構成されたペーストをセラミックと同時焼成し形成した内部電極2とを交互に積層してなるアクチュエータ本体の少なくとも2つの側面において、内部電極2の端部を対向電極となるように内部電極と外部電極の距離(内部電極非形成部)6を形成している。
【0026】
露出している内部電極2の端部は、Ag粉ペーストなどを焼付けて形成した外部電極3と接続されており、アクチュエータ本体の上下に、複数の圧電体からなる不活性層4と、外部と電気的接続を行うためのリード線5、そして外装樹脂8から構成されている。リード線5を通じて圧電セラミックの分極方向に電界をかけると、変位方向7の変位が生じる。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態1による積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図である。図3(a)は、一方の側面の内部電極パターン例を示す図であり、図3(b)は他方の側面の内部電極パターン例を示す図である。
【0028】
外部電極3と内部電極2との間には、内部電極と外部電極の距離(内部電極非形成部)6が形成されており、内部電極の端部はラウンド処理が施されている。このように、内部電極を形成し、これらを交互、あるいは任意の規則性で積層する。
【0029】
素子において、対向する内部電極が同時に露出する部分には、この側面での放電やマイグレーションを防ぐため、外装樹脂層を形成すればよい。近年の外装用樹脂性能の発達が著しく、ポリエーテルアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の耐熱性樹脂が有効である。特に、外装材の部分がガソリンなどの燃料雰囲気にさらされる場合には、ポリエーテルアミド系樹脂かポリイミド系樹脂が膨潤等も起こりにくく最適である。
【0030】
内部電極パターンのラウンド処理とは、非変位部の内部電極パターン部に角部を作らないように、丸いパターンとすることを意味している。
【0031】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2による積層型圧電素子の内部電極パターン例の説明図である。図4(a)は、コーナー部の内部電極パターンの一例を示す図であり、外部電極位置を素子の端部に設けている。図4(b)は、コーナー部の内部電極パターンの他の例を示す図であり、素子のコーナー部を面取り加工して、そこから外部電極を取り出している。
【0032】
図5は、パルス放電電圧と間隙の関係を積層型圧電素子にて調査した結果を示す図である。図5には、測定時の最大電圧値、および最小電圧値、および平均電圧値が示されている。点線は平均電圧の対数近似曲線であり、実線は最小電圧値を参考に安全を鑑みて採用した放電電圧と間隙の関係を示している。
【0033】
この関係を用いて、素子を使用する際に加わる最大電圧Vに応じた内部電極と外部電極との距離dを選択し、設計、製造すれば、使用状況においてパルス放電が生じないこととなる。しかし、実際の素子の製造には、ばらつきが存在するため、これを考慮し製造すべきである。
【0034】
さて、上記のようにパターンを決めた背景について説明する。表1は、図5の調査結果をもとに、インジェクタ装置用の積層型圧電素子を用い、内部電極と外部電極の間隔を変えた場合、およびラウンド処理の有無を変えた場合の耐久試験結果を示す。耐久性試験はインジェクタ装置用の積層型圧電素子に任意の電界強度でパルス電圧を、駆動周波数200Hz、立ち上がり時間は200μS、プリセット荷重600Nという条件で約1億回を目処に与える試験である。
【0035】
【表1】
【0036】
発明品1、発明品4では、内部電極と外部電極の間隔が適切に保たれており、セラミックに生じたクラック部での放電が見られなかった。比較品の一部には、電界強度が低めであったことによると考えられるが、クラックの見つからないものも存在した。
【0037】
また、No.2の比較品2、比較品3、比較品5、比較品6では、電界強度が高く、耐久試験中にまずセラミックの一部にクラックが入った。そして、クラック部では内部電極と外部電極の間隔が狭すぎることで放電が生じ、耐久性試験として不良となった。
【0038】
さて、No.2の比較品とNo.3の比較品の違いは、内部電極非形成部の端部をラウンド処理の有無であるが、ラウンド処理の無いNo.2の比較品の方がNo.3の比較品よりも僅かではあるが低い電界強度で不良になった。これは、内部電極パターンの角部で応力と電荷が集中し、より低い電圧でセラミックにクラックが入り、内部電極と外部電極の間隔が狭いために、そこで放電が生じたものと不良解析等から考えている。従って、内部電極非形成部にラウンド処理を施すことでセラミックにクラックを入りにくくしておくことは重要である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、非変位部の大きさをなるべく小さくするために、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加する最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計し、内部電極の露出部を外装樹脂で覆うことおよび内部電極パターンにおいて電極端部をラウンド処理するという構成で、インジェクタ装置に用いる小型で高性能な変位機能を有した積層型圧電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による積層型圧電素子を示す斜視図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明の実施の形態1による積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図。図3(a)は、一方の側面の内部電極パターン例を示す図、図3(b)は他方の側面の内部電極パターン例を示す図。
【図4】本発明の実施の形態2による積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図。図4(a)は、コーナー部の内部電極パターンの一例を示す図、図4(b)は、コーナー部の内部電極パターンの他の例を示す図。
【図5】パルス放電電圧と間隙の関係をインジェクタ装置用の積層型圧電素子にて調査した結果を示す図。
【図6】従来の積層型圧電素子の内部電極パターン例を示す図。
【符号の説明】
1 圧電体
2 内部電極
3 外部電極
4 不活性層
5 リード線
6 内部電極と外部電極の距離(内部電極非形成部)
7 変位方向
8 外装樹脂
Claims (6)
- 圧電セラミック層が3層以上と内部電極層が2層以上となるよう積層した積層体で、この積層体の側面に内部電極が1層または複数層おきに対向電極となるように前記内部電極と交互に接続された外部電極を有する積層型圧電素子において、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計したことを特徴とする積層型圧電素子。
- 前記積層型圧電素子において、外装樹脂材料としてポリエーテルアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの耐熱性樹脂で内部電極の露出部を覆ったことを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
- 前記内部電極と、前記外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の端部が、ラウンド加工されたことを特徴とする請求項1または2に記載の積層型圧電素子。
- 圧電セラミック層が3層以上と内部電極層が2層以上となるよう積層した積層体で、この積層体の側面に内部電極が1層または複数層おきに対向電極となるように前記内部電極と交互に接続された外部電極を有する積層型圧電素子であって、内部電極と外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の内部電極と外部電極の距離をd、単位μmとし、印加するパルス最大電圧をV、単位ボルトとした時に、V=20.8×ln(d)+114以上の関係にて内部電極パターンを設計した積層型圧電素子を用いたことを特徴とするインジェクタ装置。
- 前記積層型圧電素子において、外装樹脂材料としてポリエーテルアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの耐熱性樹脂で内部電極の露出部を覆ったことを特徴とする請求項4に記載のインジェクタ装置。
- 前記内部電極と、前記外部電極の絶縁のための内部電極非形成部の端部が、ラウンド加工されたことを特徴とする請求項4または5に記載のインジェクタ装置。
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2003
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