JP2004292882A - 耐食性部材とその製造方法およびそれを用いた半導体・液晶製造装置 - Google Patents

耐食性部材とその製造方法およびそれを用いた半導体・液晶製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン系腐食性ガス或いはそれらのプラズマに曝される半導体、液晶製造装置用の真空チャンバー内壁部等の部材に、上記腐食性ガス或いはそのプラズマに対して耐食性に劣る金属製部材が多く使用されており、部品寿命が短く、その交換に経費や時間を要していた。
【解決手段】金属からなる基材の表面に、Yを主成分とする耐食膜を有する耐食性部材であって、上記耐食膜のX線反射率法による膜密度が3g/cm以上であり、かつX線回折によるY結晶の最高ピークの半価幅が1.3°以下であることを特徴とする耐食性部材で半導体・液晶製造装置の真空チャンバー内壁材、上記装置内とクライオポンプやターボ分子ポンプを繋ぐ配管部品、クライオポンプやターボ分子ポンプの構成部品等を構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体・液晶製造装置のチャンバー内壁材、上記装置とその装置内を高真空に保つために使用されるクライオポンプやターボ分子ポンプ等を繋ぐ配管部品やクライオポンプ、ターボ分子ポンプ等のローター等の構成部品、その中でも特に腐食性ガス又はそのプラズマに対して高い耐食性を求められる部材に適用できる耐食性部材とその製造方法、および耐食性部材を用いた半導体・液晶製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フッ素系や塩素系などのハロゲン系腐食性ガスに曝される半導体・液晶製造装置のチャンバーの内壁材、上記装置とその装置内を高真空に保つために使用されるクライオポンプやターボ分子ポンプ等とを接続する配管部品、上記クライオポンプ、ターボ分子ポンプ等の構成部品にはアルミニウムやステンレス鋼等の金属製部材が多く使用されている。
【0003】
しかしながら、上記金属製部材はフッ素系や塩素系などのハロゲン系腐食性ガスやプラズマに対し耐食性が悪く、頻繁に部品交換をしなければならず経費と時間がかかるという問題があった。
【0004】
このような問題に対し、例えば特許文献1では半導体製造処装置においてセラミックスや金属からなる処理容器内壁や真空チャンバー、ベルジャー等に周期律表第3a族元素化合物を含む膜、特にイットリウム・アルミニウム・ガーネット(以下YAGと記載)からなる膜を溶射法により被覆させ、耐食性を向上させた耐食性部材を用いることにより、部材自体を長寿命化する提案がされている。
【0005】
この溶射法は、金属基材に高い耐プラズマ性を有する周期律表第3a族元素化合物を2000℃以上の高温でプラズマ溶融させ、微粒として溶射機のノズルから必要な箇所に向けてぶつけるように吹きつけ、これを平らに延ばして層状として冷却固化させ、この微小な層状の材料の積み重ねによって耐食膜を形成するものである。
【0006】
また、特許文献2では金属からなる基材の表面に、金属との反応を防止するための第1のセラミック層と、外部からの腐食生成物の侵入を防ぐための第2のセラミック層と、上記金属基材とこれらセラミック層との密着性を向上させるための金属中間層とを設けた耐食性部材が提案されている。
【0007】
〔特許文献1〕
特開2001−226773号公報
〔特許文献2〕
特開2001−295075号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1における溶射法では、微小な層状の材料の積み重ねによって耐食膜を形成するため、これら層状材料の間に陰影効果や不完全な積み重なりによる気孔が発生しやすく、アルキメデス法によりこの溶射膜の吸水率を測定すると2〜5%と、溶射膜と同材質の焼結体における吸水率が1%以下であるのに対し高いことが分かる。そのため、溶射膜の表面及び内部には多数の気孔が存在しており、膜自体が十分に緻密化されておらず、その膜密度は非常に低いものであり、ハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマに対する耐食性が、緻密化された耐食膜に比較して劣るという欠点を有している。
【0009】
また、特許文献2における耐食性部材は、金属基材とセラミック層との間に中間層を設けたことから、金属基材へのセラミック層の密着性は高められるものの、
第1および第2のセラミック層が必要となり、厚み数μm〜数十μmの薄い膜が要求された場合に対応することができないという欠点を有している。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記課題に鑑み、金属からなる基材の表面に、Yを主成分とする耐食膜を有する耐食性部材であって、上記耐食膜のX線反射率法による膜密度が3g/cm以上であり、かつX線回折によるY結晶の最高ピークの半価幅が1.3°以下であることを特徴とする。
【0011】
上記耐食膜の厚さが50μm未満であることを特徴とする。
【0012】
上記金属からなる基材の表面粗さ(Ra)が1μm以下であることを特徴とする。
【0013】
金属からなる基材の表面にYを主成分とする耐食膜を有する耐食性部材の製造方法であって、上記基材の少なくとも一方の主面にY元素を主成分とするゾル液をコーティングした後、熱処理を施して耐食膜を形成することを特徴とする。
【0014】
上記熱処理温度が300〜1000℃であることを特徴とする。
【0015】
上記基材に耐食膜を形成する前に、予め酸化処理を行うことを特徴とする。
【0016】
上記基材をYを主成分とするゾル液に浸漬または基材にゾル液を塗布することで基材にYを主成分とするゾル液を厚み2.5μm以上となるようにコーティングし、300℃〜1000℃の温度で熱処理する工程を繰り返すことにより、厚み50μm未満の耐食膜を形成することを特徴とする。
【0017】
上記の何れかに記載の耐食性部材を半導体・液晶製造装置に用いたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
本発明の耐食性部材は、特にフッ素系や塩素系ガス及びプラズマに対して高い耐食性が要求される半導体製造装置に使用される部材であり、これら腐食性ガス及びそのプラズマに曝される半導体製造装置のチャンバーの内壁材、また半導体・液晶製造装置とその装置内を高真空に保つために使用されるクライオポンプやターボ分子ポンプ等を繋ぐ配管部品やクライオポンプ、ターボ分子ポンプ等の構成部品として用いられる。
【0020】
なお、上記フッ素系や塩素系ガスとしては、SF、CF、CHF、ClF、NF、C、HF等のフッ素系、Cl、HCl、BCl、CCl等の塩素系ガス、或いはBr、HBr、BBr等の臭素系ガスなどがあり、上記半導体製造装置内では、これらの腐食性ガスが使用される1〜10Paの圧力雰囲気下でマイクロ波や高周波が導入されるとこれらのガスがプラズマ化される。
【0021】
また、よりエッチング効果を高めるために上記のような腐食性ガスとともに、Ar等の不活性ガスを導入してプラズマを発生させることもある。
【0022】
本発明の耐食性部材は、金属からなる基材の表面に、Yを主成分とする耐食膜を有するものであり、基材としては、一般的に広く用いられているアルミニウム、ステンレス鋼、ニツケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、ニレジスト鋳鉄、銅等様々な金属を用いることができ、これらの電気的、機械的特性を生かして耐食性部材を構成している。
【0023】
また、上記基材は、その表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で1μm以下とすることが好ましく、基材の表面粗さの影響を受けることなく耐食膜の表面粗さを滑らかとし、より腐食性ガスやプラズマに曝される表面積を低減させ耐食性を向上できる点においてより好適である。なお、基材の算術平均粗さを1μm以下とするには、あらかじめ耐食膜を形成する金属基材の表面をバフ研磨等の機械加工を行うことで得ることができる。
【0024】
さらに、上記基材の表面には、Yを主成分とする耐食膜を有することから、Yとフッ素系ガスが反応すると主にYFを生成し、また塩素系ガスと反応するとYClを生成するが、これらの反応生成物の融点(YF:1152℃、YCl:680℃)は、基材である金属と該ガスとの反応により生成される反応生成物の融点より高いために腐食性ガスやプラズマに高温で曝されたとしても安定した耐食性を備えている。
【0025】
また、上記耐食膜は、その表面をX線反射率法によって測定した膜密度が3g/cm以上、かつX線回折におけるY結晶の最高ピークの半価幅が1.3°以下に特定され、基材の表面に形成されたYが十分に結晶化され、耐食膜の表面は気孔が非常に少ない緻密化された形で存在するため、腐食性ガス雰囲気に曝された場合でも高い耐食性を有することができる。
【0026】
一方、上記膜密度の測定値が3g/cm未満、Y結晶の最高ピークの半価幅が1.3°より大きくなると、基材表面に形成された耐食膜は十分に結晶化されておらず、耐食膜表面には気孔が多く存在するため、腐食性ガス雰囲気に曝された場合に腐食性ガスとの接触面積が増加するために耐食性が低下してしまう。
【0027】
より好ましくは膜密度が3.3g/cm以上、X線回折におけるY結晶の最高ピークの半価幅が1.1°以下である。
【0028】
なお、X線反射率法とは、斜入射X線分析装置(Philips社製)により測定試料にX線を小さな視斜角で入射して全反射現象を生じさせ、その臨界角から物質の密度を求める方法である。
【0029】
また、上記半価幅とは、2θ=29°付近のYの最高結晶ピーク強度からX線回折における回折角度読み取り方法のうち、半価幅中点法を用いて求めた中点位置のピーク幅(2θ)を示している。
【0030】
図1に本発明の一例として、基材にステンレス鋼を用いて、その一表面にYを主成分とする耐食膜を1μmの厚さで形成した耐食性部材における耐食膜表面をX線回折した際の結晶ピークのスペクトル図を示す。
【0031】
なお、図1は上記耐食性部材の表面にX線回折装置を用いてX線を照射し、Y等の結晶により回折されたX線強度を回折図形の形で記録したスペクトル図であり、縦軸はピーク強度、横軸は耐食膜表面へのX線入射角度をθとしたときの2θの角度を示している。
【0032】
図1中、白○がYを主成分とした耐食膜、白□がFe−Ni−Cr(ステンレス鋼)、黒□がその他(主に金属基材成分)の結晶ピークを表している。図1において2θ=29°付近にYの最高結晶ピークが存在しており、2θ=42°付近に基材であるステンレス鋼の最高結晶ピークが存在している。
【0033】
ここで、2θ=29°付近にYの最高結晶ピークと2θ=42°付近に基材であるステンレス鋼の最高結晶ピークの関係は、金属基材表面に形成した耐食膜の厚みが厚いと2θ=29°付近のYの最高結晶ピークの方がより顕著に現れ、耐食膜の厚みが薄いと2θ=42°付近のステンレス鋼の最高結晶ピークがより顕著に現れる。これまでの検討の結果では、1μmより薄い膜厚では金属基材の最高結晶ピーク強度の方が高くより顕著に現れ、1μmより厚い膜厚ではYの最高結晶ピーク強度の方が高くより顕著に現れることが分かっている。
【0034】
また、図1においてYの最高結晶ピークの半価幅はおよそ0.9°である。
【0035】
なお、このように、耐食膜のX線反射率法における膜密度を3g/cm以上、かつX線回折におけるYの最高結晶ピークの半価幅を1.3°以下とするには、詳細を後述するように基材表面に耐食膜を形成する際に、Yを主成分とするゾル液を用いて形成することで得ることができる。
【0036】
さらに、上記耐食膜の厚みは、50μm未満とすることが好ましく、耐食性部材を半導体、液晶製造装置用部材として用いた際、各部材に耐食膜を形成して耐食性部材として使用するが、耐食膜の厚さが厚いと、部材に形成されている必要不可欠な細かい段差部が、耐食膜を形成した影響により段差がほとんどなくなったり、また細かい穴部等は閉塞されるために50μm以上の膜厚とするのは好ましくない。また、ハロゲン系腐食性ガスを含む半導体製造装置内の排ガスを流す配管部品においても、内径の小さな配管部品の内面に上記耐食性部材を形成する際、膜厚が厚いと排ガスが流れにくくなるために、50μm以上の膜厚とするのは好ましくない。
【0037】
また、上記耐食膜の厚みは30μm以下とすることがより好ましい。
【0038】
以下、本発明の耐食性部材の製造方法を説明する。
【0039】
まず、基材となる金属部材を準備し、基材の表面に主成分がYからなるゾル液を塗布する。
【0040】
ここで、上記基材に耐食膜を形成する前に、予め酸化処理を行うことが好ましく、熱処理温度としては300〜1000℃が好適である。この熱処理によって、基材表面に付着している有機物の除去を行い、また基材表面に酸化膜を形成することでゾル液との濡れ性が向上し、均一塗布させることが可能となる。
【0041】
また、基材のエッジ部をR面とすることが好ましく、基材の表面にYを主成分とする耐食膜を形成する際に、耐食膜形成用のY元素を主成分とするゾル液がエッジ部に溜まることを防止して均一に耐食膜を形成することができる。
【0042】
塗布方法としては、基材をY元素を主成分とするゾル液に浸漬し、引き上げることにより塗布するディップコーティング法が好ましく、あらゆる形状の基材へも対応可能でありコスト等の面からもより好適である。また他の塗布方法としては、他にYを主成分とするゾル液をスプレーガン等の噴霧機により基材表面に噴霧塗布させる方法や、ハケ塗り等も適用することができる。
【0043】
また、使用するゾル液については、Y換算濃度3〜10重量%水溶液を用いることがより好適であり、ゾル液中のY純度については95%以上、Yゾル液中の不純物にはFe、CaO、SiO、NaO等が合計で1重量%以下含有していても良い。またpH(水素イオン濃度指数)については、7以上となりアルカリ性を有している。
【0044】
次いで、ゾル液を表面に塗布させた基材に熱処理を施す。熱処理温度はYが結晶化しはじめる300℃から基材の耐熱温度までの温度で実施することが好ましく、耐熱鋳鉄等の耐熱金属では1000℃までの熱処理が可能である。基材の酸化による特性劣化を防ぐためには300〜800℃で熱処理することがより好適である。
【0045】
さらに、より好適な耐食膜の形成方法として、基材表面に上記ゾル液を用いて1μm程度の薄い膜を形成した後、300〜1000℃、より好適には300〜800℃の温度で熱処理する工程を繰り返し、1μm以上の厚みの耐食膜を形成することにより、熱処理の際に耐食膜が収縮し耐食膜の表面に発生する割れを防止する方法を適用することも可能である。
【0046】
このようにして得られた耐食性部材は、基材表面に形成した耐食膜の緻密性が高く、またYゾルを用いて形成するために基材の表面に数μm〜数十μmの薄い耐食膜を形成でき、複雑形状を有する基材や数mm程度の円管の内面等にも耐食膜を容易に形成でき、基材全体の耐食性を高めることができる。
【0047】
そして、耐食性部材を腐食性ガスやそのプラズマに曝される半導体・液晶製造装置における真空チャンバーの内壁、上記装置とその装置内を高真空に保つためのクライオポンプ、ターボ分子ポンプとを接続する配管の内壁、上記クライオポンプ、ターボ分子ポンプの構成部品等の各部材として好適に用いることができ、高い耐食性を有しているために、各部品の寿命を大きく向上させることができるとともに、部品交換に要していた経費や時間を大幅に低減することができる。
【0048】
また、本発明の耐食性部材は、上述の実施形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更をしてもよいことは言うまでもない。
【0049】
【実施例】
以下本発明の実施例を具体的に説明する。
【0050】
本発明の耐食性部材について、基材表面に形成した耐食膜の密度とX線回折におけるY結晶の最高ピークの半価幅が耐食性に与える影響を確認する試験を以下に記載の方法により実施した。
【0051】
先ず、基材として縦25mm×横25mm、厚さ3mm、エッジ部に0.2mmのR面を有した正方形のステンレス鋼からなるテストピースを準備した。
【0052】
なお、上記テストピースには予め800℃の温度で熱処理を施してある。
【0053】
そしてそれらテストピースをY(OH)ゾル液(Y換算濃度5.5重量%水溶液)に浸漬し引き上げるディップコーティング法を用いて、Y(OH)ゾル液を10μmの厚さとなるよう基材表面に塗布した。
【0054】
その後、約100℃の温度で基材に塗布したY(OH)ゾル液の溶媒を蒸発・乾燥させ、300℃、500℃、700℃、1000℃、1200℃の温度で熱処理し、耐食性部材を製作した。
【0055】
また、比較例として上記基材に溶射法により上記と同様の金属基材上にY膜を50μm被覆したものと、基材と同形状のY焼結体を準備した。
【0056】
そして、X線反射率法により各試料の密度を算出し、かつX線回折により半価幅についても測定を行った。
【0057】
その後各試料の耐食性を測定するため、RIE(リアクティブ・イオン・エッチング)装置を用いてチャンバー内に試料を入れ、フッ素系のCF4、CHF3、Arの混合ガス雰囲気中にて高周波出力140Wを印可し、プラズマを発生させ1時間保持した後、試料の体積減少率にて耐食性を確認した。なお、体積減少率は耐食性良好なY焼結体の値を1として算出している。
【0058】
表1にその結果を示す。
【0059】
【表1】
Figure 2004292882
【0060】
表1の結果から、比較例である金属基材にY溶射膜を被覆させた試料については、膜の緻密度が低く、膜厚みが厚いためにX線がうまく反射せず、膜密度が測定できなかった。また、膜密度が測定できなかったため、膜の緻密度を判断する目安としてアルキメデス法により吸水率を測定すると5%もあり、やはり膜の緻密性が悪く、その耐食性はY焼結体と比較して2倍以上の減少率となっている。
【0061】
また、熱処理温度を200℃の低温で実施した本発明範囲外の試料No.1については、耐食膜の主成分であるYが結晶化しないため、X線回折におけるY結晶ピークがわずかの強度しか確認できず、その半価幅は大きく(測定不可)、また膜密度も低く、耐食性に劣る結果となった。
【0062】
これと比較して本発明の試料(No.2〜6)は、Y焼結体自体の耐食性よりは劣るものの、比較例のY溶射膜を被覆させた試料と比較して良好な耐食性を示している。また、X線反射率法における膜密度測定で密度が高く、その半価幅が小さいもの程、Yの結晶化が進んでおり、良好な耐食性を示すことが確認された。
【0063】
なお、本発明範囲内の試料No.6については熱処理温度が1200℃と高いために金属基材であるステンレス鋼の結晶粒が粗大化し、基材が脆くなっており、熱処理後のハンドリング性にやや問題が見られたが、基材及び耐食膜に破損等はなく、その耐食性に影響はなかった。
【0064】
この結果から、本発明範囲内であればハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマに対して良好な耐食性を示す耐食性部材を作製できることが確認された。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、金属からなる基材の表面に、Yを主成分とする耐食膜を有する耐食性部材であって、上記耐食膜のX線反射率法による膜密度が3g/cm以上であり、かつX線回折によるY結晶の最高ピークの半価幅が1.3°以下とすることにより、半導体・液晶製造装置内のハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマに対して高い耐食性を示す耐食性部材とすることが可能となる。
【0066】
また、上記耐食膜の厚さを50μm未満とすることにより、金属基材に形成された細かい段差部や穴部を閉塞することなく、また金属基材を小さな内径を有する配管形状とした場合に、その内面に耐食膜を形成する際に配管を閉塞することなく耐食性部材を構成することが可能となる。
【0067】
また、上記金属からなる基材の表面粗さ(Ra)を1μm以下とすることにより、基材の表面粗さの影響を受けることなく上記耐食膜を形成可能であり、耐食膜の表面粗さはより滑らかになり、これにより腐食性ガスやそのプラズマに曝される表面積を低減することができるために耐食性を向上できる。
【0068】
また、上記基材の少なくとも一方の主面にY元素を主成分とするゾル液をコーティングした後、熱処理を施して耐食膜を形成する製造方法を用いることにより、金属基材表面に数μm〜数十μmの薄い耐食膜を形成でき、複雑形状を有する基材や数mm程度の円管の内面等にも耐食膜を容易に形成することが可能となる。
【0069】
また、上記熱処理温度を300〜1000℃とすることにより、耐食膜の主成分であるYを結晶化させ、緻密化することが可能となる。
【0070】
また、上記基材に耐食膜を形成する前に、予め酸化処理を行うことにより、基材表面に付着している有機物の除去を行い、また基材表面に酸化膜を形成させることができ、上記Y元素を主成分とするゾル液との濡れ性が向上し、均一に塗布することが可能となる。
【0071】
また、上記基材をYを主成分とするゾル液に浸漬または基材にゾル液を塗布することで基材にYを主成分とするゾル液を厚み2.5μm以上となるようにコーティングし、300℃〜1000℃の温度で熱処理する工程を繰り返すことにより、厚み50μm未満の耐食膜を形成することが可能となる。
【0072】
また、上記耐食性部材を用いて半導体・液晶製造装置を構成することにより、従来から用いていた金属部材の特性を生かしつつ更にハロゲン系腐食性ガスやそのプラズマに対する耐食性をも向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐食性部材のX線回折における結晶ピークを示すスペクトル図である。

Claims (8)

  1. 金属からなる基材の表面に、Yを主成分とする耐食膜を有する耐食性部材であって、上記耐食膜のX線反射率法による膜密度が3g/cm以上であり、かつX線回折によるY結晶の最高ピークの半価幅が1.3°以下であることを特徴とする耐食性部材。
  2. 上記耐食膜の厚さが50μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の耐食性部材。
  3. 上記金属からなる基材の表面粗さ(Ra)が1μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性部材。
  4. 金属からなる基材の表面にYを主成分とする耐食膜を有する耐食性部材の製造方法であって、上記基材の少なくとも一方の主面にY元素を主成分とするゾル液をコーティングした後、熱処理を施して耐食膜を形成することを特徴とする耐食性部材の製造方法。
  5. 上記熱処理温度が300〜1000℃であることを特徴とする請求項4に記載の耐食性部材の製造方法。
  6. 上記基材に耐食膜を形成する前に、予め酸化処理を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の耐食性部材の製造方法。
  7. 上記基材をYを主成分とするゾル液に浸漬または基材にゾル液を塗布することで基材にYを主成分とするゾル液を厚み2.5μm以上となるようにコーティングし、300℃〜1000℃の温度で熱処理する工程を繰り返すことにより、厚み50μm未満の耐食膜を形成することを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の耐食性部材の製造方法。
  8. 請求項1乃至3の何れかに記載の耐食性部材を用いたことを特徴とする半導体・液晶製造装置。
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