JP2004292694A - 粒状ゴム - Google Patents

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Hajime Nishihara
一 西原
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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂との組み合わせにより、取り扱い性と低硬度で機械的強度に優れたゴム組成物を可能にする粒状ゴム、及び該熱可塑性樹脂とのゴム組成物の提供。
【解決手段】非晶性または結晶化温度が0℃以下のゴム状重合体(A)が、固体状態で、粒状化され、かつ粉末化合物(B)を含有していることを特徴とする粒状ゴム、とりわけ(B)が有機酸金属塩類、金属酸化物類、無機塩類、金属、有機ワックス、粉末状熱可塑性樹脂から選ばれる一種以上の粉末化合物である粒状ゴムと、上記粒状ゴムと(C)熱可塑性樹脂とからなるゴム組成物、とりわけ架橋されたゴム組成物。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒状ゴムに関するものである。更に詳しくは、熱可塑性樹脂との組み合わせにより、取り扱い性と低硬度で機械的強度に優れたゴム組成物を可能にする粒状ゴムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ラジカル架橋性エラストマーとPP等のラジカル架橋性のない樹脂とをラジカル開始剤の存在下、押出機中で溶融混練させながら架橋する、いわゆる動的架橋による熱可塑性エラストマー組成物は、既に公知の技術であり、自動車部品等の用途に広く使用されている。
このような熱可塑性エラストマーとして、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)またはメタロセン触媒により製造されたオレフィン系ゴム(特開平8−120127号公報、特開平9−137001号公報)を用いる技術が知られている。しかしながら、柔軟性に優れたゴム組成物を得るためには、低硬度オレフィン系ゴムが必要であるが、そのようなゴムは粘着性が強く、ベール状またはブロック状であるために、通常の溶融押出機での加工は困難であった。
【0003】
このような技術的課題に対して、オレフィン系ゴムとその他の重合体とをバンバリーミキサーで溶融混練後、得られた混合物からカッターでペレットを製造し、更にこのペレットを原料として引き続き、動的架橋を行う製造方法が開示されている。(特開平9−137001号公報)しかし、上記製造法はゴムを溶融してペレット化した後に、再度溶融状態で動的架橋を行うために、ゴムに必要以上の熱履歴がかかり、機械的強度が低下する問題点を有している。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−120127号公報
【特許文献2】
特開平9−137001号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち熱可塑性樹脂との組み合わせにより、取り扱い性と低硬度で機械的強度に優れゴム組成物を可能にする粒状ゴムを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はゴム状重合体を鋭意検討した結果、(A)の特定の製造法により、驚くべきことに熱可塑性樹脂との組み合わせにより、低硬度で機械的強度と取り扱い性が飛躍的に向上する事を見出した。
即ち本発明は、非晶性または結晶化温度が0℃以下のゴム状重合体(A)が、固体状態で、粒状化され、かつ粉末化合物(B)を含有していることを特徴とする粒状ゴム、とりわけ(B)が有機酸金属塩類、金属酸化物類、無機塩類、金属、有機ワックス、粉末状熱可塑性樹脂から選ばれる一種以上の粉末化合物である粒状ゴムと、上記粒状ゴムと(C)熱可塑性樹脂とからなるゴム組成物、とりわけ架橋されたゴム組成物を提供するものである。
【0007】
以下、本発明に関して詳しく述べる。
本発明は、特定の(A)ゴム状重合体を、特定の製造法で(B)粉末化合物を含有している粒状ゴム、及び粒状ゴムと熱可塑性樹脂(C)とからなるゴム組成物に関する。
ここで、非晶性または結晶化温度が0℃以下のゴム状重合体(A)は粒状であることが重要である。粒状であることにより、取り扱いが容易となり、(C)との配合において生産性が向上する。本発明における粒状とは、ゴム組成物の製造時に、(C)と容易に混合しやすい形状であれば良い。例えば、球状、ひも状、円錐状、三角柱状等の多角柱状、円盤状、卵型等であり、(A)が独立した形状物であればよい。本発明における粒状物の大きさは、粒状物の表面の各点を結んだ直線距離の最大が0.1mm〜1cmの範囲にあることが好ましい。
【0008】
次いで、(A)を溶融することなく、粒状化することが重要である。溶融状態で粒状化を行うと、ゴムが劣化する場合があり好ましくない。溶融することなく固体状態で、せん断応力下に裁断することにより達成される。
そして、せん断応力下でゴム状重合体を裁断する時、及び/または裁断終了後に(B)粉末状化合物を含有させることが必要であり、とりわけ表面に付着させることが好ましい。(B)が(A)の表面に付着することにより、粒状の(A)が再凝集することが抑制され、(C)との組み合わせににより得られたゴム組成物の機械的強度とその生産性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
以下に本発明の各成分について詳細に説明する。
(A)成分
本発明において、非晶性または結晶化温度が0℃以下のゴム状重合体(A)は、架橋性ゴム状重合体が好ましく、非晶性または結晶化温度が0℃以下であれば良い。そして、(A)のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下であることが好ましく、このようなゴム状重合体は、例えば、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチレン−プロピレ共重合体ゴム、エチレン−プロピレンン−ジエンモノマー三元共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−オクテン共重合体ゴム等の架橋ゴムまたは非架橋ゴム、並びに上記ゴム成分を含有する熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0010】
本発明において(A)架橋性ゴム状重合体の中で好ましい共重合体の一つのエチレン−α−オレフィン共重合体であり、エチレンおよび炭素数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体が更に好ましい。α−オレフィンとして、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。中でもヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1が好ましく、特に好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンであり、とりわけプロピレン、ブテン−1、オクテン−1が最も好ましい。また(A)は必要に応じて、不飽和結合を有する単量体を含有することができ、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン誘導体等の環状ジエン化合物、及びアセチレン類が好ましく、とりわけエチリデンノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP)が最も好ましい。
【0011】
本発明において(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、公知のメタロセン系触媒を用いて製造することが好ましい。
一般にはメタロセン系触媒は、チタン、ジルコニウム等のIV族金属のシクロペンタジエニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として高活性であるだけでなく、チーグラー系触媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共重合体中のコモノマーである炭素数3〜20のα−オレフィンの分布が均一である。
【0012】
本発明において用いられる(A)の一つのエチレン・α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンの共重合比率が1〜60重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは20〜45重量%である。α−オレフィンの共重合比率が60重量%を越えると、組成物の硬度、引張強度等の低下が大きく、一方、1重量%未満では柔軟性、機械的強度が低下する。
(A)の一つのエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.8〜0.9g/cmの範囲にあることが好ましい。この範囲の密度を有するオレフィン系エラストマーを用いることにより、柔軟性に優れ、硬度の低いエラストマー組成物を得ることができる。
【0013】
本発明にて用いられる(A)の一つのエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン系触媒を用いて製造されていることが好ましく、その結果として、共重合成分であるα−オレフィンのランダム性が高く、かつ低分子量成分が少ないために、動的架橋を行う場合には組成物の架橋特性とゴム特性が向上する。
また、本発明にて用いられる(A)のメルトインデックスは、0.01〜100g/10分(190℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられ、更に好ましくは0.2〜10g/10分である。100g/10分を越えると、組成物の架橋性が不十分であり、また0.01g/10分より小さいと流動性が悪く、加工性が低下して望ましくない。
【0014】
本発明において、(A)のもう一つの好ましい上記水素添加共重合体は、少なくとも一種の共役ジエン系単量体の単独重合体ゴム、または共役ジエン系単量体と芳香族ビニル単量体とからなる共重合体ゴム、とりわけランダム共重合体の全二重結合の水素添加率が50%以上である水素添加ゴムであり、とりわけ主鎖および側鎖に二重結合を有する重合体及び/または共重合体からなる不飽和ゴムの全オレフィン性二重結合の50%以上が水素添加された水素添加ゴムであることが好ましい。
【0015】
上記水素添加ゴムにおいて、必要に応じて、例えば、オレフィン系、メタクリル酸エステル系、アクリル酸エステル系、不飽和ニトリル系、塩化ビニル系単量体等の共役ジエンと共重合可能な単量体を共重合することができる。
上記共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1、3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1、3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等を挙げることができ、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが最も好ましい。
【0016】
また前記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。上記芳香族単量体は一種または二種以上併用することができる。芳香族ビニル単量体含有量は、0〜80重量%が好ましく、更に好ましくは0〜50重量%、最も好ましくは0〜30重量%である。
【0017】
(A)としての水素添加共重合体において、水素添加前の共役ジエン単量体部分のビニル結合は、分子内に均一に存在していても、分子鎖に沿って増減あるいは減少してもよいし、またはビニル結合含有量の異なった、複数個のブロックを含んでいてもよい。そして、芳香族ビニル単量体または前記共役ジエン単量体と共重合可能な単量体を含む場合は、上記共役ジエン単量体部分の中でランダムに結合することが好ましいが、ブロック状の芳香族ビニル単量体またはその他の単量体を含んでもよい。ブロック状の芳香族ビニル重合体の含有率は、全芳香族ビニル単量体中の20重量%以下が好ましく、更に好ましくは10重量%以下である。
【0018】
上記水素添加ゴム中の全オレフィン性二重結合は、50%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上が水素添加され、そして主鎖の残存二重結合が5%以下、側鎖の残存二重結合が5%以下であることが好ましい。このようなゴムの具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムを部分的または完全に水素添加したゴム状重合体を挙げることができ、特に水素添加ブタジエン系または水素添加イソプレン系ゴムが好ましい。
【0019】
このような水素添加ゴムは、上述のゴムを公知の水素添加方法で部分水素添加することにより得られる。例えば、F.L.Ramp,etal,J.Amer.Chem.Soc.,83,4672(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用いて水素添加する方法、Hung Yu Chen,J.Polym.Sci.Polym.Letter Ed.,15,271(1977)記載のトルエンスルフォニルヒドラジドを用いて水素添加する方法、あるいは特公昭42−8704号公報に記載の有機コバルト−有機アルミニュウム系触媒あるいは有機ニッケル−有機アルミニュウム系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げることができる。ここで、特に好ましい水素添加の方法は、低温、低圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒を用いる特開昭59−133203号、特開昭60−220147号公報あるいは不活性有機溶媒中にて、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物と、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子またはセシウム原子を有する炭化水素化合物とからなる触媒の存在下に水素と接触させる特開昭62−207303号公報に示される方法である。
【0020】
また、水素添加ゴムの100℃で測定したムーニー粘度(ML)は20〜90、25℃における5重量%スチレン溶液粘度(5%SV)は、20〜300センチポイズ(cps)の範囲にあることが好ましい。特に好ましい範囲は25〜150cpsである。
本発明にて用いられる(A)は、複数の種類のものを混合して用いても良い。そのような場合には、加工性のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0021】
(B)成分
本発明における(B)としての粉末化合物は、(A)の付着防止等の取り扱い性向上のための成分である。例えば、金属石鹸等の有機酸金属塩類、シリカ等の金属酸化物類、炭酸カルシウム等の無機塩類、ワックス類、タルク、珪藻土等の鉱物類、鉄、アルミナ等の金属類、綿、パルプ等の繊維類、粉末状熱可塑性樹脂、安定剤等であり、これらの一種または二種以上を用いることができる。中でも粉末状熱可塑性樹脂、金属酸化物、無機塩類が好ましい。また粉末化合物の平均粒子径は0.01〜300μmが好ましい。この平均粒子径が0.01μm未満では、粉体同士の凝集が起こり、また300μmを越えると付着防止効果が低下傾向にある。
【0022】
前記(B)の一つの粉末化合物としての有機酸金属塩は、例えば酪酸、カプロン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の直鎖飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の直鎖不飽和脂肪酸;イソステアリン酸等の分岐脂肪酸;リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシル基含有脂肪酸;安息香酸;ナフテン酸;アビエチン酸;デキストロピマル酸等のロジン酸を代表とする有機カルボン酸類のリチウム塩、銅塩、ベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、カドミウム塩、アルミニウム塩、セリウム塩、チタン塩、ジルコニウム塩、鉛塩、クロム塩、マンガン塩、コバルト塩、ニッケル塩等を挙げることができる。
【0023】
前記(B)の一つの粉末化合物としての金属酸化物類は、例えば酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、ケイ酸アルミニウム、シリカ(酸化ケイ素)、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化バリウム、二酸化マンガン、酸化マグネシウム等を挙げることができ、特にアルミナ、鉱物類としても挙げられているシリカが好ましい。
前記(B)の一つの粉末化合物として無機塩類は、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等を挙げることができる。
【0024】
前記(B)の一つの粉末化合物としてのワックス類は、オルガノシロキサン系ワックス、ポリオレフィンワックス、ポリカプロラクトン等を挙げることができる。
前記(B)の一つの粉末化合物としての熱可塑性樹脂は、後述の(C)を粉砕して得られた粉末状熱可塑性樹脂である。
前期(B)の一つの粉末化合物としての安定剤は、紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系光安定剤、酸化防止剤、活性種捕捉剤、金属不活性剤、または消光剤から選ばれる一種または二種以上の安定剤を挙げることができる。
【0025】
(B)としての紫外線吸収剤は、光エネルギーを吸収して、分子内プロトン移動することによりケト型分子となったり(ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール系)、またはcis−trans異性化することにより(シアノアクリレート系)、熱エネルギーとして放出、無害化するための成分である。その具体例は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
【0026】
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−t−オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、フェニルサリシレート、
【0027】
レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類、2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類、及びエチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類である。
【0028】
(B)としてのヒンダードアミン系光安定剤は、光エネルギーにより生成したハイドロパーオキサイドを分解し、安定なN−O・ラジカルやN−OR、N−OHを生じ、安定化させるための成分である。その具体例は、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
【0029】
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、
【0030】
1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−t−オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物等である。
【0031】
(B)としての酸化防止剤は、熱成形時または光暴露により生成したハイドロパーオキシラジカル等の過酸化物ラジカルを安定化したり、生成したハイドロパーオキサイド等の過酸化物を分解するための成分である。その例は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や過酸化物分解剤である。前者は、ラジカル連鎖禁止剤として、後者は、系中に生成した過酸化物をさらに安定なアルコール類に分解して自動酸化を防止する。
【0032】
前記酸化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スタイレネイテドフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキレイテッドビスフェノール、
テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキシスピロ〔5・5〕ウンデカン等である。
【0033】
また、前記酸化防止剤としての過酸化物分解剤の具体例は、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等の有機リン系過酸化物分解剤またはジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等の有機イオウ系過酸化物分解剤である。
【0034】
前記活性種捕捉剤としての有機エポキシ化合物は、エポキシ化大豆油、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、4,4’−スルホビスフェノール・ポリグリシジルエーテル、N−グリシジルフタルイミド、または水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルスピロ〔5,5〕−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、
【0035】
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂環式エポキシ化合物等である。
【0036】
(B)としての金属不活性剤は、キレート化合物を形成して樹脂中の重金属イオンをキレート化合物中で不活性化するための成分である。その具体例としては、アシッドアミン誘導体、ベンゾトリアゾール、及びその誘導体等を挙げることができる。
(B)としての消光剤は、高分子中の光励起したハイドロパーオキサイドやカルボニル基等の官能基をエネルギー移動によって失活させるための成分であって、有機ニッケル等が知られている。
【0037】
(B)の添加量は、(A)100重量部に対して、好ましくは0.05〜100重量部、更に好ましくは、0.1〜50重量部、最も好ましくは、0.2〜5重量部である。
本発明において、好ましい粉末化合物の一つは、前記金属酸化物を疎水化変性した、疎水性シリカまたは疎水性アルミナ等の疎水化金属酸化物である。その製造方法としては、金属酸化物の表面を化学的あるいは物理的に不活性化すればよく、例えばアルキルアルコキシシラン、アルキルハロゲン化シラン等のシランカップリング剤を用いる方法、ジメチルシロキサン等のポリシロキサンを用いる方法、合成ワックスや天然ワックスを用いる方法、カルシウム等により金属表面処理する方法等を挙げることができる。
【0038】
(C)成分
本発明において(C)熱可塑性樹脂は、(A)と分散し得るものであればとくに制限はない。たとえば、ポリスチレン系、ポリフェニレンエーテル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用することができる。特に熱可塑性樹脂としてプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂が好ましい。
【0039】
本発明で最も好適に使用されるプロピレン系樹脂を具体的に示すと、ホモのアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチック共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等が挙げられる。
本発明において、(C)の中でも、(C−1)架橋型オレフィン系樹脂であるエチレンとプロピレンとのランダム共重合樹脂等のプロピレン系ランダム共重合樹脂単独または、(C−1)と(C−2)分解型オレフィン系樹脂であるプロピレン系ブロック共重合樹脂またはホモポリプロピレン系樹脂との組み合わせが好ましい。このような架橋型オレフィン系樹脂と分解型オレフィン系樹脂の二種のオレフィン系樹脂を組み合わせることにより、外観と機械的強度が更に向上する。
【0040】
(C−1)として、例えばエチレンとプロピレンのランダム共重合樹脂を挙げることができ、エチレン成分がポリマー主鎖中に存在する場合は、それが架橋反応の架橋点となり、架橋型オレフィン系樹脂の特性を示す。
(C−2)はα−オレフィンが主成分であり、ポリマー主鎖中にエチレン単位を含まないことが好ましい。但し、プロピレン系ブロック共重合樹脂のようにエチレン−αオレフィン共重合体が分散相として存在する場合は、分解型オレフィン系樹脂の特性を示す。
【0041】
(C)は複数個の(C−1)、(C−2)成分の組み合わせでも良い。
(C−1)の中で最も好ましいプロピレンを主体としたα−オレフィンとのランダム共重合樹脂は、高圧法、スラリー法、気相法、塊状法、溶液法等で製造することができ、重合触媒としてZiegler−Natta触媒、シングルサイト、メタロセン触媒が好ましい。特に狭い組成分布、分子量分布が要求される場合には、メタロセン触媒を用いたランダム共重合法が好ましい。
【0042】
ランダム共重合樹脂の具体的製造法は、欧州特許0969043A1または米国特許5198401に開示されており、液状プロピレンを攪拌機付き反応器に導入した後に、触媒をノズルから気相または液相に添加する。次いで、エチレンガスまたはα−オレフィンを反応器の気相または液相に導入し、反応温度、反応圧力をプロピレンが還流する条件に制御する。重合速度は触媒濃度、反応温度で制御し、共重合組成はエチレンまたはα−オレフィンの添加量により制御する。
【0043】
また、本発明にて好適に用いられるオレフィン系樹脂のメルトインデックスは、0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷重)の範囲のものが好ましく用いられる。100g/10分を越えると、熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、機械的強度が不十分であり、また0.1g/10分より小さいと流動性が悪く、成形加工性が低下して望ましくない。
本発明において、(A)と(C)からなるゴム組成物100重量部中の(A)は、1〜99重量%が好ましく、更に好ましくは10〜90重量%、最も好ましくは20〜80重量%である。
【0044】
(D)成分
本発明において、ゴム組成物は、(D)架橋剤で架橋されることが好ましい。
(D)は、(D−1)架橋開始剤を必須成分とし、必要に応じて(D−2)多官能単量体、(D−3)単官能単量体を含有する。上記(D)は、(A)と(B)100重量部に対し0.001〜10重量部、好ましくは0.005〜3重量部の量で用いられる。0.001重量部未満では架橋が不十分であり、10重量部を越えると組成物の外観、機械的強度が低下する傾向にある。
【0045】
ここで、(D−1)架橋開始剤は、有機過酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤等が挙げられ、の具体的な例として、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;
【0046】
アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;
ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
【0047】
これらの化合物の中では、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
上記(D−1)は、(D)成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分であり、80重量%を越えると機械的強度が低下する。
【0048】
本発明において、(D)架橋剤の一つの(D−2)多官能単量体は、官能基としてラジカル重合性の官能基が好ましく、とりわけビニル基がこのましい。官能基の数は2以上であるが、(D−3)との組み合わせで特に3個以上の官能基を有する場合には有効である。具体例としては、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好ましく用いられる。特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの多官能単量体は複数のものを併用して用いてもよい。
【0049】
上記(D−2)は、(D)成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分であり、80重量%を越えると機械的強度が低下する。
本発明において用いられる前記(D−3)は、架橋反応速度を制御するために加えるビニル系単量体であり、ラジカル重合性のビニル系単量体が好ましく、芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体等のエステル系単量体、アクリル酸単量体、メタクリル酸単量体等の不飽和カルボン酸単量体、無水マレイン酸単量体等の不飽和カルボン酸無水物、N−置換マレイミド単量体等を挙げることができる。
上記(D−3)は、(D)成分中で好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは10〜50重量%の量が用いられる。1重量%未満では架橋が不十分であり、80重量%を越えると機械的強度が低下する。
【0050】
(E)成分
本発明において、ゴム組成物は(E)は軟化剤を含有することが好ましく、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系などの炭化水素からなるプロセスオイルが好ましい。とりわけ、パラフィン系炭化水素主体またはゴムとの相容性の観点からナフテン系炭化水素主体のプロセスオイルが好ましい。熱・光安定性の観点から、プロセスオイル中の芳香族系炭化水素の含有量については、ASTM D2140−97規定の炭素数比率で10%以下であることが好ましく、更に好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下である。
【0051】
これらの(E)成分は組成物の硬度、柔軟性の調整用に、(A)と(B)100重量部に対して、5〜500重量部、好ましくは10〜150重量部用いる。5重量部未満では柔軟性、加工性が不足し、500重量部を越えるとオイルのブリードが顕著となり望ましくない。
本発明において、耐磨耗性が要求される場合は、必要に応じて、JIS−K2410規定の25℃における動粘度が5000センチストークス以上であるポリオルガノシロキサンを添加することができる。
【0052】
上記ポリオルガノシロキサンは、粘調な水飴状からガム状の様態であり、アルキル、ビニル及び/またはアリール基置換シロキサン単位を含むポリマーであれば特に制約されない。その中でもポリジメチルシロキサンが最も好ましい。
本発明に用いられるポリオルガノシロキサンの動粘度(25℃)は、5000CS以上であり、更に好ましくは、1万CS以上1000万未満、最も好ましくは5万CS以上200万未満である。
【0053】
本発明において、ポリオルガノシロキサンの添加量は、(A)と(B)との合計100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜10重量部、最も好ましくは0.5〜5重量部である。
また、本発明の粒状ゴムと熱可塑性樹脂とからなる組成物には、その特徴を損ねない程度に、上述以外の添加剤を添加することが可能である。例えば、可塑剤、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤等も好適に使用される。
【0054】
本発明の粒状ゴムの製造法は、(A)を溶融することなく、粒状化する製造方法であり、例えば、二軸コーン型のスクリュー、リボン型スクリュー等のスクリューまたは回転刃と固定刃との間に作用するせん断力で粉砕する粉砕機、あるいは油圧の切断機で、(A)のガラス転移温度以下で、特に室温近辺でせん断応力下に裁断する方法等を挙げることができる。
具体的には、原料のベール状ゴムを回転式の粉砕機または油圧切断機で粗粉砕し、次いで粉体化合物を表面に付着した後、または添加しながら本願規定の大きさまで回転式の粉砕機を用いて二次粉砕を行なう。その際に、粉砕ゴムは開目穴(メッシュ)の大きさが異なったスクリーンを通過させることにより、粒状ゴムの大きさを制御することができる。
【0055】
本発明において、ゴム組成物の製造方法には、通常の樹脂組成物、エラストマー組成物の製造に用いられるバンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機等の一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効率的に動的架橋を達成するためにはニ軸押出機が好ましく用いられる。二軸押出機は、(A)と(B)とを均一かつ微細に分散させ、さらに他の成分を添加させて、架橋反応を生じせしめ、ゴム組成物を連続的に製造するのに適している。
【0056】
上記二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸異方向回転押出機でもよい。また、スクリュ−の噛み合わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、完全噛み合わせ型があり、いずれの型でもよい。低いせん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方向回転・部分噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。やや大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。さらに大きい混練を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。
こうして得られた組成物は任意の成形方法で各種成型品の製造が可能である。射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、発泡成形等が好ましく用いられる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
1.(A)の結晶化温度
示差走査熱量測定法(DSC法)により測定する。具体的には、島津製作所(株)製、熱分析装置DSC50を用いて、5mg試料を窒素気流下、室温から30℃/分で昇温し、100℃に到達した後に、直ちに5℃/分で−100℃まで降温し、この段階で検出された結晶化ピークを本願では結晶化温度とする。
また、結晶化ピークをもたないものは、非晶性と定義する。
【0058】
2.(A)の水素添加率(%)
NMR法で通常の方法で測定する。
3.引張破断強度[MPa]
JIS K6251に準じ、23℃にて評価する。
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いる。
【0059】
(イ)ゴム状重合体(A)
1)水素添加ゴムの製造
内容積10リッターの攪拌機付、ジャケット付きオートクレーブを反応器として用いて、ブタジエン/n−ヘキサン溶液(ブタジエン濃度20重量%)を20リッター/hrの速度で、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(濃度5重量%)を70ミリリッター/hrで導入し、重合温度110℃でブタジエンの連続重合を実施する。得られた活性重合体をメタノールで失活させ、別の内容積10リッターの攪拌機付、ジャケット付きの反応器に重合体溶液8リッターを移し、温度60℃にて水素添加触媒としてジ−p−トリルビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液(濃度1ミリリッター/リッター)250ミリリッターと、n−ブチルリチウム溶液(濃度5ミリリッター/リッター)50ミリリッターとを、0℃、2kg/cmの水素圧下で混合したものを添加し、水素分圧3kg/cmにて30分間反応させる。
【0060】
得られた水素添加重合体溶液は、酸化防止剤として2,6−ジタ−シャルブチルヒドロキシトルエンを重合体当たり、0.5部添加して、溶剤を除去する。この際にブタジエン重合体を水素添加反応条件(水素添加圧力、水素添加温度、時間及び触媒量)を変えて水素添加して水素添加重合体を得る。そして、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体は、前記製造法において、スチレンを更に添加し同様に重合を行うことにより得られる。実施例で用いる水素添加前のビニル基の量を50%になるように調節され、かつ結晶化温度は0℃以下である。
その結果を表2に記載する。
【0061】
2)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン(ENB)共重合体(TPE−1)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/プロピレン/ENBの組成比は、58/40/2(重量比)である。(TPE−1と称する) 結晶化温度:0℃以下
3)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−2)
特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、40/60(重量比)である。(TPE−2と称する)結晶化温度:0℃以下
【0062】
4)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン(ENB)共重合体(TPE−3)
通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/プロピレン/ENBの組成比は、58/40/2(重量比)である。(TPE−3と称する)結晶化温度:0℃以下
5)エチレンとオクテン−1との共重合体(TPE−4)
通常のチーグラー触媒を用いた方法により製造する。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、40/60(重量比)である。(TPE−4と称する)
結晶化温度:0℃以下
【0063】
(ロ)粉末状化合物(B)
1)粉末ポリプロピレン
下記PPを市販の粉砕機で粉砕し、平均100μmのPPを得る。(PP粉と称する)
2)シリカ
日本シリカ工業製、平均20μm(SiOと称する)
3)炭酸カルシウム
白石工業製、平均5μm(CaCOと称する)
【0064】
(ハ)熱可塑性樹脂(C)
オレフィン系樹脂:ポリプロピレン
日本ポリケム(株)製、アイソタクチックポリプロピレン(PPと称する)
(ニ)架橋剤(D)
1)架橋開始剤(D−1)
日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン( 商品名パーヘキサ25B)(POXと称する)
2)多官能単量体(D−2)
日本化成(株)製、トリアリルイソシアヌレート(TAICと称する)
(ホ)パラフィン系オイル(E)
出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイル PW−90(MOと称する)
【0065】
【実施例1〜3、比較例1〜3】
(A)の粒状化は以下の製造法による。
プロセス(I):23℃で(A)を固体状態でニ軸コーン型スクリューでせん断下に平均直径が約1mmになるように裁断し、粉末化合物を表面に付着させる。(実施例)
プロセス(II):プロセス(I)において、粉末化合物を用いないこと以外は同一。(比較例)
プロセス(III):(A)をバンバリーミキサーで200℃で溶融混練後、得られた混合物からシートを作製する。次いで、それをシートカッターでペレットを製造する。(比較例)
プロセス(IV):プロセス(III)において、粉末化合物を用いないこと以外は同一。(比較例)
【0066】
二軸押出機を用いて、表1記載の(A)粒状TPE−1/(B)PP/表1記載の(C)/(D−1)POX/(D−2)TAIC/(E)MO=70/30/0.7/1/2/45(重量比)からなる組成物を200℃の温度条件で製造する。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いる。
このようにして得られた組成物から射出成形機を用いて、200℃で2mm厚のシートを作製し、各種評価を行なう。
その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 2004292694
【0068】
【実施例4〜14】
実施例1において、TPE−1を表2の(A)成分に変更すること以外、実施例2と同様の実験を繰り返す。
その結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
Figure 2004292694
【0070】
【発明の効果】
本発明は、熱可塑性樹脂との組み合わせにより、取り扱い性と低硬度で機械的強度に優れたゴム組成物を可能にする粒状ゴムに関する。
本発明の粒状ゴムと熱可塑性樹脂とからなるゴム組成物は、自動車用部品、自動車用内装材、エアバッグカバー、機械部品、電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用途に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。

Claims (8)

  1. 非晶性または結晶化温度が0℃以下のゴム状重合体(A)が、固体状態で、粒状化され、かつ粉末化合物(B)を含有していることを特徴とする粒状ゴム。
  2. 粒状ゴムの大きさは、粒状物の表面の各点を結んだ直線距離の最大が0.1mm〜1cmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の粒状ゴム。
  3. (B)が有機酸金属塩類、金属酸化物類、無機塩類、金属、有機ワックス、粉末状熱可塑性樹脂から選ばれる一種以上の粉末化合物である請求項1または2に記載の粒状ゴム。
  4. (A)がエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体、及び/または少なくとも一種の不飽和ゴムの単独重合体ゴム、または共重合体ゴムの全オレフィン性二重結合の水素添加率が50%以上である水素添加ゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の粒状ゴム。
  5. (A)のエチレン・α−オレフィン共重合体が、メタロセン触媒を用いて製造されている請求項1〜4のいずれかに記載の粒状ゴム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の粒状ゴムと(C)熱可塑性樹脂とからなるゴム組成物。
  7. (C)がオレフィン系樹脂である請求項6に記載のゴム組成物。
  8. 架橋された請求項6または7に記載のゴム組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005040252A1 (ja) * 2003-10-22 2005-05-06 Kaneka Corporation スラッシュ成形用パウダーの製造方法

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