JP2004292669A - 熱可塑性エラストマー組成物およびシート - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物およびシート Download PDF

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Tadaaki Nishiyama
忠明 西山
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Abstract

【課題】表面性状に優れ、真空成形性が良好なシートが得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、および該組成物を少なくとも一方の表面とするシートを提供すること。
【解決手段】下記成分(A)および(B)を含有し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%として、成分(A)の含有量が50〜90重量%であり、成分(B)の含有量が50〜10重量%である熱可塑性エラストマー組成物。
(A):オレフィン系架橋熱可塑性エラストマー
(B):α−オレフィンから誘導される単量体単位を2種以上含有する非晶性α−オレフィン系重合体
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物およびシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムに比べ、通常の熱可塑性樹脂の成形機で加工が可能であり、また、リサイクルが可能であるという特徴を有する。そのため、自動車内装部品、家電部品、ハウジング、雑貨等の表皮材には、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなり、艶消し性を有する真空成形体が多く用いられている。例えば、ポリプロピレン樹脂とエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴムとプロセスオイルとの混練物を過酸化物で熱処理したオレフィン系架橋熱可塑性エラストマーを表層としたカレンダー成形シートが提案されており、該シートは優れた真空成形性を有し、該シートを真空成形してなる成形体は艶消し性が良好であることが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−166142号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のオレフィン系架橋熱可塑性エラストマーをシートに、特に厚さが0.1mm以下のシートに押出成形した場合、シート表面が大きく荒れることがあるため、該シートを真空成形してなる成形体は意匠性に劣ることがあり、上記のオレフィン系架橋熱可塑性エラストマーからなる押出成形シートは、表面性状において十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、表面性状に優れ、真空成形性が良好なシートが得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、および該組成物を少なくとも一方の表面とするシートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の第一は、下記成分(A)および(B)を含有し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%として、成分(A)の含有量が50〜90重量%であり、成分(B)の含有量が50〜10重量%である熱可塑性エラストマー組成物にかかるものである。
(A):オレフィン系架橋熱可塑性エラストマー
(B):α−オレフィンから誘導される単量体単位を2種以上含有する非晶性α−オレフィン系重合体
また、本発明の第二は、少なくとも一方の表面が、上記組成物からなるシートにかかるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(A)は、オレフィン系架橋熱可塑性エラストマーであり、結晶性ポリオレフィン系樹脂(a1)とオレフィン系ゴム(a2)とを架橋剤により架橋処理してなるものである。
【0007】
結晶性ポリオレフィン系樹脂(a1)としては、たとえば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸グリシジルエステル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸グリシジルエステル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸グリシジルエステル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸グリシジルエステル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体樹脂、エチレン−スチレン共重合体樹脂、エチレン−環状オレフィン共重合体樹脂などのポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;ポリブテン系樹脂;ポリ4−メチル−1−ペンテン系樹脂等があげられ、好ましくは結晶性ポリα−オレフィン系樹脂であり、より好ましくは結晶性ポリプロピレン系樹脂である。
【0008】
結晶性ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、α−オレフィン(炭素原子数4以上)および/またはエチレンとプロピレンとのランダムもしくはブロック共重合体などをあげることができる。該結晶性ポリプロピレン系重合体中のプロピレンから誘導される単量体単位(プロピレン単位)の含有量は、結晶性ポリプロピレン系重合体がプロピレン系ランダム重合体の場合、一般に90重量%以上であり、好ましくは93〜99.5重量%であり、結晶性ポリプロピレン系重合体がプロピレン系ブロック重合体の場合、一般に60〜90重量%、好ましくは75〜99重量%、更には80〜98重量%、特に好ましくは85〜97重量%である。ただし、当該重合体の全単量体単位の含有量を100重量%とする。また、成分(B)は、これらの結晶性α−オレフィン系重合体を、2種以上併用してもよい。
【0009】
結晶性ポリプロピレン系樹脂としては、耐熱性を高める観点から、融点が120℃〜176℃であり、結晶融解熱量が60J/g〜120J/gである重合体が好ましい。
【0010】
結晶性ポリオレフィン系樹脂(a1)のメルトフローレート(MFR)は、通常0.1〜500g/10分であり、成形品の表面性状、真空成形性(特に低ドローダウン性)、艶消し性の観点から、好ましくは0.5〜30g/10分である。なお、該MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定される。
【0011】
結晶性ポリオレフィン系樹脂(a1)は、公知のオレフィン重合用触媒を用い、気相重合法、バルク重合法、溶媒重合法及び任意にそれらを組み合わせた多段重合法などの公知の重合方法により製造される。また、結晶性ポリオレフィン系樹脂(a1)としては、該当する市販品を用いることができ、2種類以上の重合体を併用してもよい
【0012】
オレフィン系ゴム(a2)は、オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレンから誘導される単量体単位(エチレン単位)の含有量が60モル%を超えるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムがあげられる。オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン;エチレンがあげられ、2種類以上のオレフィンを併用してもよい。また、非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等があげられ、好ましくはエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンであり、2種類以上の非共役ジエンを併用してもよい。
【0013】
オレフィン系ゴム(a2)のオレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ヘキセン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−オクテン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン−共役ジエン共重合体ゴム等があげられ、好ましくはエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムである。
【0014】
オレフィン系ゴム(a2)のエチレン単位の含有量が60モル%を超えるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−1−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン−1−オクテン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴム等があげられ、好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴムであり、より好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴムである。
【0015】
オレフィン系ゴム(a2)としては、好ましくはエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムである。該共重合体ゴムの単量体単位の含有量としては、柔軟性、耐熱老化性の観点から、プロピレン単位の含有量は、好ましくは15〜39モル%であり、より好ましくは20〜38モル%であり、非共役ジエンから誘導される単量体単位(共役ジエン単位)の含有量は、好ましくは0.05〜5モル%であり、より好ましくは0.1〜2モル%である。ただし、該共重合体ゴムの全単量体単位の含有量を100モル%とする。
【0016】
オレフィン系ゴム(a2)のムーニー粘度(ML1+4100℃)は、通常120〜350であり、成形品の表面性状、真空成形性(特に低ドローダウン性)、艶消し性の観点から、好ましくは 140〜300である。
【0017】
オレフィン系ゴム(a2)は、鉱物油系軟化剤を含有していてもよい。該鉱物油系軟化剤としては、高沸点の石油留分でパラフィン系、ナフテン系又は芳香族系等があるが、パラフィン系のものが好ましく用いられる。鉱物油系軟化剤の含有量は、強度、成形品の表面性状、艶消し性の観点からの観点から、オレフィン系ゴム(a2)100重量部あたり、通常20〜150重量部であり、好ましくは30〜120重量部であり、更に好ましくは35〜100重量部である。
【0018】
オレフィン系ゴム(a2)として、油展オレフィン系ゴムを用いる場合、油展オレフィン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4100℃)は、成形品の表面性状、真空成形性(特に低ドローダウン性)、艶消し性の観点から、好ましくは30〜100であり、より好ましくは40〜90である。
【0019】
架橋剤としては、有機過酸化物あるいはフェノール樹脂系の架橋剤が好適に使用される。有機過酸化物としては、例えばジクミルペルオキシド、ジ−第3ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−ジ(第3ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(第3ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(第3ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(第3ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロルベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロルベンゾイルペルオキシド、第3ブチルペルオキシベンゾエート、第3ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、第3ブチルペルオキシドなどがあげられる。これらの有機過酸化物の中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(第3ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのオレフィン系ゴムとオレフィン系樹脂とを混合せしめた後に分解が開始する有機過酸化物が好ましく、特に分解温度の高い2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3がより好ましい。
【0020】
架橋処理には、上記過酸化物系の架橋剤と共に架橋助剤を併用してもよい。架橋助剤としては、イオウ、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルイソシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、ジアクリル酸亜鉛、ジメタアクリル酸亜鉛などが用いられる。中でもN,N’−m−フェニレンビスマレイミド、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレートを用いるのが好ましい。また、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド単独で架橋剤として用いることもできる。
【0021】
フェノール系架橋剤としては、下記一般式(イ)で表される化合物があげられる。
Figure 2004292669
ここで、nは0〜10の整数、Xは水酸基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子であり、Rは炭素原子数1〜15の飽和炭化水素基である。上記物質は、例えば、米国特許3287440号および同3709840号の各明細書に記載されているように、ゴム用架橋剤として一般的に使用されている。そしてこの架橋剤は、アルカリ触媒中において、置換フェノールとアルデヒドの縮重合により得られる。また、他のフェノール系架橋剤としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド、臭素化アルキルフェノ−ルホルムアルデヒドなどがあげられる。
【0022】
上記フェノール系架橋剤は単独でも使用できるが、架橋速度を調節するために、架橋促進剤を併用してもよい。架橋促進剤としては、塩化第一スズ、塩化第二鉄の金属ハロゲン化物、塩素化ポリプロピレン、臭化ブチルゴム、クロロプレンゴムなどの有機ハロゲン化物を用いることができる。また酸化亜鉛のような金属酸化物やステアリン酸などの分散剤を用いればより好ましい。
【0023】
また、他の架橋剤として、硫黄および硫黄系の化合物、p−キノン、p−キノンジオキシムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物、シラン化合物、アミノ樹脂などが用いられる。
【0024】
架橋処理は、結晶性ポリオレフィン系樹脂(a1)とオレフィン系ゴム(a2)と架橋剤と、必要に応じて架橋助剤や他の添加剤、他のポリマー成分とを溶液または溶融混合し、オレフィン系ゴム(a2)を部分架橋あるいは完全架橋する方法であればよく、通常、▲1▼結晶性ポリオレフィン系樹脂(a1)とオレフィン系ゴム(a2)と架橋剤と、必要に応じて架橋助剤や他の添加剤、他のポリマー成分とを、架橋剤の分解温度以上で溶融混練する方法(動的架橋)、▲2▼結晶性ポリオレフィン系樹脂(a1)とオレフィン系ゴム(a2)と架橋剤と、必要に応じて架橋助剤や他の添加剤、他のポリマー成分とを、架橋剤の分解温度未満で溶融混練後、架橋剤の分解温度以上で放置する方法(静的架橋)などが採用される。成形品の表面性状の観点からは、動的架橋が好ましい。なお、該他の添加剤としては、無機充填剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、着色剤等をあげることができる。
【0025】
架橋処理の溶融混練装置としては、公知のバンバリーミキサー、二軸押出機等が用いられる。混練温度は、通常150〜300℃であり、混練時間は、通常30秒〜10分程度である。
【0026】
架橋処理において、架橋剤、架橋助剤の使用量は、成形品の表面性状、艶消し性の観点から、結晶性ポリオレフィン系樹脂(a1)とオレフィン系ゴム(a2)の合計量100重量部に対して、それぞれ、通常0.005〜5.0重量部であり、好ましくは0.01〜1.6重量部である。
【0027】
成分(B)の非晶性α−オレフィン系重合体は、示差走査熱量測定(DSC)により、−100〜200℃の範囲に、結晶融解熱量が1J/g以上である融解ピークおよび結晶化熱量が1J/g以上である結晶化ピークのいずれも観測されない重合体である。該融解ピークまたは該結晶化ピークが観測される場合、柔軟性が劣ることがある。
【0028】
成分(B)の非晶性α−オレフィン系重合体は、α−オレフィンから誘導される単量体単位(α−オレフィン単位)を2種以上含有する重合体であり、該α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が例示され、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンであり、より好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンであり、更に好ましくはプロピレン、1−ブテンである。
【0029】
成分(B)の非晶性α−オレフィン系重合体のα−オレフィン単位の含有量は、成形品の表面性状、柔軟性、耐熱性の観点から、好ましくは40モル%以上であり、より好ましくは50モル%以上であり、更に好ましくは60モル%以上である。ただし、該重合体の全単量体単位の含有量を100モル%とする。
【0030】
成分(B)の非晶性α−オレフィン系重合体は、α−オレフィン以外の単量体に基づく単量体単位を含有していてもよく、該α−オレフィン以外の単量体としては、たとえば、エチレン、ポリエン化合物、環状オレフィン等があげられる。α−オレフィン以外の単量体から誘導される単量体単位の含有量は、非晶性α−オレフィン系重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%として、好ましくは60モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下であり、更に好ましくは40モル%以下である。ただし、該重合体の全単量体単位の含有量を100モル%とする。
【0031】
上記ポリエン化合物としては、共役ポリエン化合物、非共役ポリエン化合物などをあげることができる。共役ポリエン化合物としては、脂肪族共役ポリエン化合物および脂環族共役ポリエン化合物などがあげられ、これらは、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基などを有していてもよい。
【0032】
上記環状オレフィンとしては、たとえば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテン等があげられる。
【0033】
成分(B)の非晶性α−オレフィン系重合体としては、成形品の表面性状をより高める観点から、下記重合体(b1)および/または下記重合体(b2)であることが好ましい。
(b1)α−オレフィンから誘導される単量体単位を2種以上含有する非晶性α−オレフィン共重合体
(b2)α−オレフィンから誘導される単量体単位を2種以上含有する非晶性エチレン−α−オレフィン共重合体
【0034】
重合体(b1)としては、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体などのプロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体などが挙げられ、好ましくは、プロピレン単位を有する重合体(プロピレン系重合体)であり、より好ましくは、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体であり、更に好ましくは、プロピレン−1−ブテン共重合体である。これら重合体は、1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0035】
重合体(b2)としては、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体などのプロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとエチレンとの共重合体などがあげられ、好ましくは、プロピレン単位を有する重合体(プロプレン系重合体)であり、より好ましくはエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体であり、更に好ましくは、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体である。これら重合体は、1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0036】
成分(B)に用いられる共重合体は、柔軟性、耐熱性を高める観点から、下記式(1)を充足することが好ましく、下記式(2)を充足することがより好ましく、下記式(3)を充足することが更に好ましく、下記式(4)を充足することが特に好ましい。
Ua≦1.5×Sa×(Ta/100)3.3 (1)
Ua≦1.4×Sa×(Ta/100)3.3 (2)
Ua≦1.3×Sa×(Ta/100)3.3 (3)
Ua≦1.2×Sa×(Ta/100)3.3 (4)
ここで、Uaは、成分(B)の重合体50重量%と、下記要件▲1▼〜▲3▼を充足する結晶性プロピレン単独重合体50重量%とからなる評価用樹脂組成物のJIS−K−7203に従い測定される曲げ弾性率(MPa)を表し、Saは該結晶性プロピレン単独重合体のJIS−K−7203に従い測定される曲げ弾性率(MPa)を表し、Taは該評価用樹脂組成物中の結晶性プロピレン単独重合体の配合割合(50重量%)を表す。
▲1▼:JIS−K−7203に従い測定した曲げ弾性率(Sa)が1400±100MPaであること。
▲2▼:JIS−K−7210に従い、荷重21.18N、温度230℃の条件で測定したメルトフローレートが12±3g/10分であること。
▲3▼:JIS−K−7122に従い示差走査熱量測定(DSC)により観察される結晶の融解に基づくピークの温度(融点)が162±2℃であること。
【0037】
ある重合体が上記式(1)〜(4)を充足するかどうかは、以下の手順からなる方法で決定される。
手順1−▲1▼:上記要件▲1▼、要件▲2▼および要件▲3▼を充足する結晶性プロピレン単独重合体を準備する。該結晶性プロピレン単独重合体として、市販品を用いてもよい。
手順1−▲2▼:該結晶性プロピレン単独重合体の曲げ弾性率(Sa)を、JIS−K−7203に従い測定する。
手順1−▲3▼:該結晶性プロピレン単独重合体50重量部と、成分(B)の共重合体50重量部とを、バッチ式密閉混練機(例えば、ブラベンダー社製 プラスチコーダーPLV151型など)を用いて、200℃で約5分間溶融混合し評価用樹脂組成物を得る。
手順1−▲4▼:JIS−K−6758に従い230℃で、上記評価用樹脂組成物(1)をシートにプレス成形し、該シートの曲げ弾性率(Ua)を、JIS−K−7203に従い測定する。
手順1−▲5▼:上記のSa値およびTa値(50重量部)を上記式(1)〜(4)の各々の右辺に代入し、右辺の値を求める。次に、該右辺の値と上記Ua値とを比較して、評価用樹脂組成物が上記式(1)〜(4)を充足するかどうかを判定する。
【0038】
また、成分(B)に用いられる共重合体は、下記式(5)を充足することが好ましい。
Ua’≦1.5×Sa×(Ta/100)3.3 (5)
ここで、Ua’は、成分(B)の重合体70重量%と、上記要件▲1▼〜▲3▼を充足する結晶性プロピレン単独重合体30重量%とからなる評価用樹脂組成物のJIS−K−7203に従い測定される曲げ弾性率(MPa)を表し、Saは該結晶性プロピレン単独重合体のJIS−K−7203に従い測定される曲げ弾性率(MPa)を表し、Taは該評価用樹脂組成物中の結晶性プロピレン単独重合体の配合割合(30重量%)を表す。
【0039】
更に、成分(B)に用いられる重合体は、下記式(6)を充足することが好ましい。
Ua’’≦1.5×Sa×(Ta/100)3.3 (6)
ここで、Ua’’は、成分(B)の重合体30重量%と、上記要件▲1▼〜▲3▼を充足する結晶性プロピレン単独重合体70重量%とからなる評価用樹脂組成物のJIS−K−7203に従い測定される曲げ弾性率(MPa)を表し、Saは該結晶性プロピレン単独重合体のJIS−K−7203に従い測定される曲げ弾性率(MPa)を表し、Taは該評価用樹脂組成物中の結晶性プロピレン単独重合体の配合割合(70重量%)を表す。
【0040】
上記式(1)を充足する成分(B)としては、下記式(7)を充足するプロピレン系重合体をあげることができ、好ましくは、下記式(8)を充足するプロピレン系重合体であり、より好ましくは、下記式(9)を充足するプロピレン系重合体である。
[y/(x+y)]≧0.3 (7)
[y/(x+y)]≧0.4 (8)
[y/(x+y)]≧0.5 (9)
上記式(7)〜(9)において、xは該プロピレン系重合体中のエチレン単位の含有量(モル%)を表し、yは該プロピレン系重合体中のα−オレフィン(ただし炭素原子数4〜20)の単量体単位の含量量(モル%)を表す。ただし、該プロピレン系重合体中の全単量体単位の含有量を100モル%とし、x=y=0であるプロピレン単独重合体は、上記式(7)〜(9)を満足しないとみなす。
【0041】
成分(B)に用いられる重合体の極限粘度[η]は、真空成形性(特に低ドローダウン性)の観点から、好ましくは0.5dl/g以上であり、より好ましくは0.7dl/g以上であり、更に好ましくは1.5dl/g以上であり、成形品の表面性状の観点から、好ましくは10dl/g以下であり、より好ましくは7dl/g以下であり、更に好ましくは5dl/g以下である。ここで、極限粘度[η]は、135℃のテトラリン中で測定される。
【0042】
成分(B)に用いられる重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、加熱後の外観変化をより小さくする観点から、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下である。ここで、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0043】
成分(B)に用いられる重合体は、柔軟性の観点から、好ましくは、アタクチック構造であってランダム共重合性の高い共重合体、またはアタクチック構造であって交互共重合性の高い共重合体であり、より好ましくはアタクチック構造であってランダム共重合性の高い共重合体である。
【0044】
成分(B)に用いられる重合体の製造方法としては、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。これらの中でも好ましくは、メタロセン系錯体や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等であり、該錯体系触媒としては、たとえば特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平10−508055号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報などに記載のメタロセン系触媒;特開平10−316710号公報、特開平11−100394号公報、特開平11−80228号公報、特開平11−80227号公報、特表平10−513489号公報、特開平10−338706号公報、特開表11−71420号公報などに記載の非メタロセン系の錯体触媒を例示することができる。これらの中でも、入手容易性の観点から、メタロセン触媒が好ましく、その中でも好適なメタロセン触媒の例としては、シクロペンタジエン形アニオン骨格を少なくとも1個有し、C対掌構造を有する周期表第3族〜第12族の遷移金属錯体が好ましい。また、メタロセン触媒を用いた製造方法の特に好ましい例として、欧州特許出願公開第1211287号明細書の方法を例示することができる。
【0045】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)および成分(B)を含有する組成物であり、成分(A)および成分(B)の合計量を100重量%として、成分(A)の含有量は、50〜90重量%であり、好ましくは55〜85重量%であり、成分(B)の含有量は、50〜10重量%であり、好ましくは45〜15重量%である。成分(A)の含有量が過少(成分(B)の含有量が過多)であると、艶消し性や真空成形性(特に低ドローダウン性)が劣ることがあり、成分(A)の含有量が過多(成分(B)の含有量が過少)であると、成形品の表面性状が劣ることがある。
【0046】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて、他の樹脂やゴム・エラストマー成分、添加剤等を配合してもよい。
【0047】
上記の樹脂成分としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;ポリブテン系樹脂;ポリ−4−メチル−1−ペンテン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリフェニレンオキサイド樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂などを例示することができる。
【0048】
ゴム・エラストマー成分としては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム、液状ポリブタジエン、ポリアクリロニトリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、部分水添アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、シリコンゴム、ウレタンゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム、エチレン−スチレン共重合ゴム体ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン系マルチブロック共重合体、スチレン−イソプレン系マルチブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、非架橋オレフィン系熱可塑性エラストマーを例示することができる。
【0049】
添加剤として、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤のような安定剤;フィラー;難燃剤;発泡剤;高周波加工助材;滑剤;帯電防止剤;内部剥離剤;着色剤;分散剤;アンチブロッキング剤;防曇剤などを例示することができる。
【0050】
フィラーとして、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、アスベスト、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウィスカー、タルク、アラミド繊維、硫酸バリウム、ガラスフレーク及びフッ素樹脂を例示することができ、またナフテン油およびパラフィン系鉱物油のような鉱物油系軟化剤を添加してもよい。
【0051】
難燃剤として、アンチモン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ほう酸亜鉛、グァニジン系難燃剤およびジルコニウム系難燃剤のような無機化合物;ポリりん酸アンモニウム、エチレンビストリス(2−シアノエチル)ホスフォニウムクロリド、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、及び、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシドのようなりん酸エステル及びりん化合物;塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン及びパークロロシクロペンタデカンのような塩素系難燃剤;並びに、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノールA誘導体、テトラブロモビスフェノールS、及び、テトラブロモジペンタエリスリトールのような臭素系難燃剤を例示することができる。これら難燃剤の2種以上を併用してもよい。
【0052】
発泡剤として、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム及び炭酸アンモニウムのような無機発泡剤;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンのようなニトロソ化合物;アゾカルボナミド及びアゾイソブチロニトリルのようなアゾ化合物;並びに、ベンゼンスルフォニルヒドラジン、 p,p’−オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)、トルエンスルフォニルヒドラジド、及び、トルエンスルフォニルヒドラジド誘導体のようなスルフォニルヒドラジドを例示することができる。発泡剤は発泡助材と組み合わせて用いることができる。発泡助材として、サリチル酸や、尿素および尿素化合物を例示することができる。
【0053】
高周波加工助材としての極性ポリマーを用いることができる。極性ポリマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸およびクロトン酸のようなモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸のようなジカルボン酸や該ジカルボン酸のモノエステル;メチルメタクリレート、メチルアクリレート及びエチルアクリレートのようなアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;並びに、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルのような飽和カルボン酸のビニルエステル及びそのアイオノマー、からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物と、エチレンとの共重合体を例示することができる。
【0054】
滑剤として、ワックス、高級アルコール、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸金属塩、酸エステル金属塩、アクリル系樹脂、フッ素含有樹脂およびシリコーンを例示することができる。これらの2種類以上を併用してもよい。
【0055】
上記のワックスとして、パラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックスのような石油ワックス;ライスワックスのような植物系ワックス;モンタンワックスのような鉱物系ワックス;並びに、ポリエチレンワックス及び低分子量ポリプロピレンのような合成系ワックスを例示することができる。
【0056】
上記の高級アルコールとして、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、エルシルアルコール及び12ヒドロキシステアリルアルコールを例示することができる。
【0057】
上記の脂肪酸として、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸およびリシノール酸を例示することができる。
【0058】
上記の脂肪酸金属塩として、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸およびリシノール酸などの脂肪酸と、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、BaおよびPbなどの金属との塩を例示することができる。具体的な脂肪酸金属塩として、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸亜鉛を例示することができる。
【0059】
上記の脂肪酸アミドとして、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド及びステアリルジエタノールアミドを例示することができる。
【0060】
上記のカルボン酸エステルとして、脂肪族カルボン酸(アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、アコニット酸など)、脂肪酸(ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リシノール酸など)、オキシカルボン酸(乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸など)などのカルボン酸と、脂肪族アルコール(ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、12ヒドロキシステアリルアルコールなど)、芳香族アルコール(ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、フタリルアルコールなど)、多価アルコール(グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなど)などのアルコールとのエステルを例示することができる。具体的なカルボン酸エステルとして、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート及びクエン酸ジステアレートを例示することができる。
【0061】
上記のリン酸エステルとして、リン酸と高級アルコールとのモノアルキルエステル、ジアルキルエステル及びトリアルキルエステルを例示することができる。具体的なリン酸エステルとして、旭電化工業製の商品名がAX−1なるリン酸エステルを例示することができる。
【0062】
上記のスルホン酸金属塩として、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ステアリルスルホン酸カリウム、ラウリルスルホン酸カリウム、スルホコハク酸ジブチルナトリウム、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、及び、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル−2−ナトリウムを例示することができる。
【0063】
上記の酸エステル金属塩として、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸カリウムなどの硫酸エステル塩;ラウリルリン酸ナトリウム及びラウリルリン酸カリウムなどのリン酸エステル塩を例示することができる。
【0064】
上記のアクリル系樹脂として、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルから誘導される構造単位や、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのメタクリル酸エステルから誘導される構造単位を主たる単位とする重合体を例示することができる。具体的なアクリル系樹脂として、三菱レーヨン製の商品名がメタブレンなるアクリル系樹脂や、鐘淵化学工業製の商品名がカネエースなるアクリル系樹脂を例示することができる。
【0065】
上記のフッ素含有樹脂類として、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フルオロアルキルエチレン及びパーフルオロアルキルビニルエーテルなどの含フッ素オレフィン;パーフルオロアルキレンアクリレート及びパーフルオロメタアルキレンアクリレートなどの含フッ素アルキルアクリレート;並びに、含フッ素アルキルメタアクリレートなどの含フッ素化合物から誘導される構造単位を主たる単位とする重合体を例示することができる。具体的なフッ素含有樹脂類として、ポリテトラフルオロエチレン及びパーフルオロ(ポリオキシプロピレンエチルエーテル)を例示することができる。
【0066】
上記のシリコーンとして、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン及びジフェニルシロキサンのようなシロキサン誘導体から誘導される構造単位を主たる単位とする重合体を例示することができる。具体的なシリコーンとして、ポリジメチルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサンを例示することができる。
【0067】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、合成石油樹脂、クマロン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、スチレン系樹脂およびイソプレン系樹脂のような樹脂を添加してもよい。
【0068】
上記のロジン系樹脂として、天然ロジン、重合ロジン、部分水添ロジン、完全水添ロジン;上記ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、エチレングリコールエステル及びメチルエステルのようなエステル化物;並びに、上記ロジンを不均化、フマール化、ライム化またはこれら方法を組み合せた方法によって得られるロジン誘導体を例示することができる。
【0069】
上記のポリテルペン系樹脂として、α−ピネン、β−ピネン及びジペンテンのような環状テルペンの単独重合体および共重合体;該環状テルペンとフェノール及びビスフェノールのようなフェノール系化合物との共重合体である、α−ピネン−フェノール樹脂、ジペンテン−フェノール樹脂およびテルペン−ビスフェノール樹脂のようなテルペン−フェノール系樹脂;並びに、該環状テルペンと芳香族モノマーとの共重合体である芳香族変性テルペン樹脂、を例示することができる。
【0070】
上記の合成石油樹脂として、ナフサ分解油のC留分、C〜C11留分およびその他オレフィン系留分の単独重合体および共重合体;並びに、該単独重合体や共重合体の水添物である、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂および脂肪族−脂環族共重合樹脂を例示することができる。また、上記のナフサ分解油の各留分と、上記のテルペンとの共重合体、及び、該共重合体の水添物である共重合系石油樹脂を例示することができる。上記のC留分として、イソプレン;シクロペンタジエン;1,3−ペンタジエン;2−メチル−1−ブテン及び2−メチル−2−ブテンのようなメチルブテン類;1−ペンテン及び2−ペンテンのようなペンテン類;並びに、ジシクロペンタジエンが好ましい。上記のC〜C11留分として、インデン;スチレン;o−、m−、p−ビニルトルエン;α−、β−メチルスチレンのようなメチルスチレン;メチルインデン;エチルインデン;ビニルキシレン;並びに、プロペニルベンゼンが好ましい。上記のその他オレフィン系留分として、ブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ブタジエン及びオクタジエンが好ましい。
【0071】
上記のフェノール系樹脂として、アルキルフェノール樹脂、アルキルフェノールとアセチレンとの縮合によるアルキルフェノール−アセチレン樹脂、及び、これら樹脂の変性物を例示することができる。該フェノール系樹脂は、フェノールを酸触媒でメチロール化したノボラック型樹脂、及び、フェノールをアルカリ触媒でメチロール化したレゾール型樹脂のいずれであってもよい。
【0072】
上記のキシレン系樹脂として、m−キシレンとホルムアルデヒドとの反応によって得られるキシレン−ホルムアルデヒド樹脂、及び、該樹脂に第3成分を添加し反応させて得られる変性樹脂を例示することができる。
【0073】
上記のスチレン系樹脂として、スチレンの低分子量物、α−メチルスチレンとビニルトルエンとの共重合樹脂、及び、スチレンとアクリロニトリルとインデンとの共重合樹脂を例示することができる。
【0074】
上記のイソプレン系樹脂として、イソプレンの二量化物であるC10脂環式化合物と、C10鎖状化合物とを共重合して得られる樹脂を例示することができる。
【0075】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)ならびに成分(B)、必要に応じて他の成分を、ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、一軸または二軸押出機などの公知の混練り装置で溶融混練することにより得られる。混練の方法としては、各成分を一括して混練する方法、及び、任意の成分の一部を混練した後、得られる混練物と残部とを混練する多段分割混練法を例示することができる。
【0076】
本発明のシートは、少なくとも一方の表面が、熱可塑性エラストマー組成物からなり、熱可塑性エラストマー組成物単層シートとしてもよいし、熱可塑性エラストマー組成物からなる層(以下、層(I)と称する。)と他の層とを積層した多層シートとしてもよい。該他の層には、成分(A)、成分(B)、上記の付加成分の重合体など、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリ−4−メチル−1−ペンテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などを用いられる。
【0077】
本発明のシートは、層(I)、他の層の一方、もしくはその双方が、発泡層であってもよい。
【0078】
本発明のシートの厚みは用途によって適宜選定されるが、単層シートの場合、シート厚みは、通常100〜3000μm、好ましくは200〜1000μmであり、多層シートの場合、層(I)の厚みは、通常10〜1000μmであり、好ましくは30〜500μmであり、他の層の厚みは、通常100〜3000μmであり、好ましくは150〜1000μmであり、総厚は、通常100〜3000μmであり、好ましくは200〜2000μmである。
【0079】
本発明のシートは、押出成形(インフレーション成形、Tダイ成形など)、粉末成形、カレンダー成形、圧縮成形、射出成形等の公知の方法によって成形される。また、多層シートとする場合の積層方法としては、共押出法、押し出しラミネート法、あるいはあらかじめ作製した各層のシートを、加熱・加圧する方法などが用いられる。経済的に艶消し性を得る観点からは、押出成形法が好ましい。
【0080】
本発明のシートは、更に、曲げ、切断、裁断、切削、打抜、絞り、彫刻、プレス加工、ホットスタンピング、高周波加工、超音波加工、ラミネート、縫製/巻縫/手編、真空成形、圧空成形、接着、溶接、植毛、ライニング加工、スリット加工、印刷、及び、表面コーティングのような二次加工を行ってもよく、特に本発明のシートは二次加工後も艶消し性が良好である特徴を有する。
【0081】
本発明のシートは、食品包装トレー、食品包装容器、日用雑貨包装、工業資材包装、履物用途、家電用品用途、自動車用内外装部品用途、防水シート、遮水シート、日用品、レジャー用品、文具、玩具、工業用品等の分野に適用され得る。
【0082】
【実施例】
以下、実施例、および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の物性測定は、以下の方法で行った。
(1)非晶性α−オレフィン系重合体の単量体組成
核磁気共鳴装置(Bruker社製 商品名AC−250)を用いて、13C−NMRスペクトルの測定結果に基づき算出した。具体的には、13C−NMRスペクトルにおいて、プロピレン単位由来のメチル炭素のスペクトル強度と1−ブテン単位由来のメチル炭素スペクトルとの強度比からプロピレン単位と1−ブテン単位の組成比を算出した。
(2)極限粘度[η]
135℃において、ウベローデ粘度計を用いて行った。テトラリン単位体積あたりの非晶性α−オレフィン系重合体の濃度cが、0.6、1.0、1.5mg/mlである非晶性α−オレフィン系重合体のテトラリン溶液を調整し、135℃における極限粘度を測定した。それぞれの濃度で3回繰り返し測定し、得られた3回の値の平均値をその濃度での比粘度(ηsp)とし、ηsp/cのcをゼロ外挿した値を極限粘度[η]として求めた。
(3)分子量分布
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により、下記の条件で測定を行った。
装置 :Waters社製 150C ALC/GPC
カラム :昭和電工社製Shodex Packed ColumnA−80M2本
温度 :140℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
溶出溶媒流速:1.0ml/min
試料濃度:1mg/ml
測定注入量:400μl
分子量標準物質:標準ポリスチレン
検出器 :示差屈折
(4)結晶融解ピーク、結晶融解熱量、結晶化ピーク、結晶化熱量
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製DSC220C:入力補償DSC)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持した。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温し、降温完了後、5分間、保持した。この(ii)で観察されるピークが結晶化ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の結晶化ピークの有無を確認した。
(iii)次いで、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。この(iii)で観察されるピークが結晶の融解ピークであり、ピーク面積が1J/g以上の融解ピークの有無を確認した。
(5)メルトフローレート(MFR)
ポリプロピレン系樹脂、非晶性α−オレフィン系重合体は、JIS−K−7210に従い、荷重21.18N、温度230℃の条件で測定を行った。
【0083】
(6)柔軟性
JIS−K−6253に従い、デュロメーター硬さ(Duro−A)を測定した。
(7)表面性状
押出し積層シートの表面性状を下記の通り評価した。
○:熱可塑性エラストマー組成物層の表面に大きな表面荒れが発生していない。
×:熱可塑性エラストマー組成物層の表面に波状の大きな表面荒れが発生している。
(8)真空成形性
真空成型機および自動車内装用センタークラスターパネル金型を用い、押出し積層シート表面温度約170℃にて、熱可塑性エラストマー組成物層が金型に接する状態で凹引き真空成形し、得られた真空成形体の形態を下記の通り評価した。真空成形を5回行い、「○」となった成形回数の割合(成形不良率)を求め、真空成形性とした。
○:真空成形品に艶が発生しない。
×:成形品が金型に密着し、艶が発生する。
(9)艶消し性
JIS−K−7105に従い、光入射角度60°にて、上記真空成形体のグロス値を測定した。該値が小さいほど艶消し性が良好であることを表す。
【0084】
<実施例1>
[1]非晶性α−オレフィン系重合体の製造
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、プロピレンと1−ブテンとを、分子量調節として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、本発明の非晶性α−オレフィン系重合体にあたるプロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを24.00Kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81Kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出した。
重合器の下部から、重合触媒の成分として、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄し、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は7.10Kg/時間であった。
得られたプロピレン−1−ブテン共重合体の物性評価結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
Figure 2004292669
【0086】
得られたプロピレン−1−ブテン共重合体50重量%と、結晶性プロピレン単独重合体(JIS−K−7203に従い測定した曲げ弾性率(Sa)が1380MPa、JIS−K−7210に従い、荷重21.18N、温度230℃の条件で測定したメルトフローレートが14g/10分、JIS−K−7122に従い示差走査熱量測定(DSC)により観察された結晶の融解に基づくピークの温度(融点)が161℃)50重量%(Ta)とからなる評価用樹脂組成物のJIS−K−7203に従い測定される曲げ弾性率(MPa)(Ua)は158MPaであった。
その結果、得られたプロピレン−1−ブテン共重合体は式(1)の関係を満たしていた。
【0087】
[2]熱可塑性エラストマー組成物の製造
上記方法により製造した非晶性プロピレン−1−ブテン共重合体85重量部と結晶性プロピレン系重合体(結晶性ホモポリプロピレン、MFR(230℃)=3g/10分)15重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガノックス1010)0.2重量部と、芳香族フォスファイト系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製 イルガフォス168)0.2重量部とを配合した後、得られた配合物(100.4重量部)に、過酸化物(日本油脂株式会社製CH−3)0.3重量部を配合し、二軸押出機により220℃で溶融混練し、マスターバッチペレット(MFR(230℃)=3g/10分)を作成した。
次に、該マスターバッチペレット30重量%と、オレフィン系架橋熱可塑性エラストマー(住友化学工業社製 住友TPE WT312D)70重量%とを混合し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
【0088】
[3]多層シートの製造
基材層用材料としては、結晶性ホモポリプロピレン(三井住友ポリオレフィン社製 商品名三井住友ポリプロ FH1016、MFR(230℃)=0.6g/10分)を用いた。表層用材料としては、上述の熱可塑性エラストマー組成物を用いた。これら材料を(株)プラコー製多層Tダイフィルム成形機の各層の押出機に供給し、押出機シリンダー温度200〜230℃、ダイ温度250℃、引取速度5m/分、チルロール温度50℃で加工することにより、各層の厚みが基材層/表層=200μm/100μm、総厚み300μmである押出し積層シートを作製した。得られた押出し積層シートの物性評価結果を表2に示す。
【0089】
<実施例2>
熱可塑性エラストマー組成物の製造において、マスターバッチペレットを15重量%、オレフィン系架橋熱可塑性エラストマー(住友化学工業社製 住友TPE WT312D)70重量%、ポリエチレン系樹脂(住友化学工業社製 エクセレンFX CX3502)15重量%とする以外は、実施例1と同様に行い、積層シートを作製した。得られた積層シートの物性評価結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
Figure 2004292669
【0091】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、表面性状に優れ、真空成形性が良好なシートが得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、および該組成物を少なくとも一方の表面とするシートを提供することができた。また、本発明の組成物からなるシートは、艶消し性、柔軟性、耐熱性にも優れる。

Claims (4)

  1. 下記成分(A)および(B)を含有し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%として、成分(A)の含有量が50〜90重量%であり、成分(B)の含有量が50〜10重量%である熱可塑性エラストマー組成物。
    (A):オレフィン系架橋熱可塑性エラストマー
    (B):α−オレフィンから誘導される単量体単位を2種以上含有する非晶性α−オレフィン系重合体
  2. 成分(B)が非晶性プロピレン系重合体である請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 成分(B)の極限粘度[η]が0.7〜10dl/gである請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 少なくとも一方の表面が、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるシート。
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