JP2004291792A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易且つ迅速にハンドルを最適な位置に調節することができるステアリング装置を提供すること。
【解決手段】ステアリング装置1は、ハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節可能にステアリングシャフト3を支持する電動ステアリングコラム5と、電動ステアリングコラム5を制御するECU6とを備える。ECU6は、各検知装置により検出された運転者の身体情報に基づいて最適なハンドル2の位置を決定し、ハンドル2がこの最適な位置に配置されるようそのチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節する。
【選択図】 図1
【解決手段】ステアリング装置1は、ハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節可能にステアリングシャフト3を支持する電動ステアリングコラム5と、電動ステアリングコラム5を制御するECU6とを備える。ECU6は、各検知装置により検出された運転者の身体情報に基づいて最適なハンドル2の位置を決定し、ハンドル2がこの最適な位置に配置されるようそのチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータ駆動にてステアリングホイール(ハンドル)のチルト位置及びテレスコ位置を調節可能とする電動ステアリングコラムを備えたステアリング装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
このようなステアリング装置には、ユーザ(運転者)が任意に設定したハンドルの位置(チルト位置及びテレスコ位置)を記憶する機能を備えたものがあり、例えば、キーの抜き差しやスイッチにより、予め記憶された位置にハンドルが配置されるよう自動的にステアリングコラムを制御する。
【0004】
そして、このような構成とすることにより、通常時は乗降を妨げない位置にハンドルを配置して乗降性を向上させるとともに、運転時には、運転者が最も運転し易い位置にハンドルを配置することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−181613号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のメモリ機能を備えたステアリング装置は、主に使用する運転者にとって運転しやすいハンドル位置にハンドルを自動的に調節するため、他の運転者は、自分の体格に合った位置にハンドルを調整をする必要があり手間がかかっていた。
【0007】
また、近年、車両においては、その快適性や利便性はもとより高い安全性能が求められている。特に、車両衝突時の車室内における車両と乗員との二次衝突を考慮した場合、運転者とハンドル及びステアリングコラムとの位置関係、即ちハンドルの位置は重要である。従って、このような運転時の操作性以外の観点を含めて最適なハンドルの位置を考慮すれば、その位置を決定するのは容易ではない。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、容易且つ迅速にハンドルを最適な位置に調節することができるステアリング装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータ駆動によりハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節可能にステアリングシャフトを支持収容するステアリングコラムと、該ステアリングコラムを制御し前記ハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節する位置調節手段とを備えたステアリング装置であって、搭乗者の身体情報を検出するための検知装置と、前記身体情報に基づき前記ハンドルの位置を決定する位置決定手段とを備え、前記位置調節手段は、前記位置決定手段により決定された位置に前記ハンドルが配置されるよう前記ステアリングコラムを制御することを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記位置決定手段は、前記搭乗者の体格及び搭乗位置を検出する第1の検出手段と、前記搭乗者の体格及び搭乗位置に基づいて前記ハンドルの第1の位置を決定する第1の位置決定手段とを備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記位置決定手段は、前記搭乗者の頭部位置を検出する第2の検出手段と、前記搭乗者の頭部位置に基づいて前記ハンドルの第2の位置を決定する第2の位置決定手段とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記位置決定手段は、前記搭乗者がメガネを装着しているか否かを判別する判別手段を備え、前記第2位置決定手段は、前記装着している場合には前記頭部位置を補正して前記第2の位置を決定すること、を要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記位置決定手段は、前記搭乗者の膝位置を検出する第3の検出手段と、前記搭乗者の膝位置に基づいて前記ハンドルの第3の位置を決定する第3の位置決定手段とを備えたことを要旨とする。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、自動的にハンドルが搭乗者の体格に応じた最適な位置に配置されるので、容易且つ迅速にハンドルを最適な位置に調節可能になる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、ハンドルが搭乗者の体格及び搭乗位置に応じた位置に配置される。従って、例えば、搭乗者に対して完全に展開したエアバックを接触させる位置にハンドルを配置しエアバックの衝撃緩和効果を最大限に発揮させることが可能になる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、ハンドルが搭乗者の頭部位置に応じた位置に配置される。従って、例えば、展開したエアバックの中央に搭乗者の頭部が接触する位置にハンドルを配置しエアバックの衝撃緩和効果を最大限に発揮させることが可能になる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、搭乗者がメガネを装着している場合であっても、エアバック接触時の衝撃によるメガネの破損が防止される。
請求項5に記載の発明によれば、ハンドルが搭乗者の膝位置に応じた位置に配置される。従って、例えば、搭乗者の膝に対してステアリングコラムを並行して配置することが可能になるので、搭乗者の膝とステアリングコラムとの衝突を防止することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のステアリング装置を備えた車室の概略図であり、図2は、ステアリング装置の概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のステアリング装置1は、ハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節可能にステアリングシャフト3を支持収容する電動ステアリングコラム5と、電動ステアリングコラム5を制御するECU6とを備えている。
【0020】
尚、本実施形態では、ECU6が、位置調節手段、位置決定手段、第1の位置決定手段、第2の位置決定手段、第3の位置決定手段、及び判別手段を構成する。また、ECU6と後述する複数の検知装置とにより、第1の検出手段、第2の検出手段、及び第3の検出手段が構成される。
【0021】
電動ステアリングコラム5は、ステアリングシャフト3を上下方向に傾動可能且つ軸線方向に摺動可能に支持収容しており、モータ7を駆動源としてステアリングシャフト3を傾動及び摺動させることによりハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1の調節が可能となっている。
【0022】
尚、本実施形態の電動ステアリングコラム5は、電動ステアリングコラム5に設けられた関節部Oを支点としてステアリングシャフト3を上下方向に傾動させるものであるが、ステアリングコラム全体を上下方向に傾動することによりステアリングシャフト3を傾動させるものであってもよい。
【0023】
図2に示すように、ECU6は、モータ7を駆動するドライバ8と接続されており、ドライバ8は、ECU6からの指示に基づきモータ7を駆動する。そして、ECU6は、ドライバ8を介してモータ7の作動を制御することによりハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節する。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態のステアリング装置1は、車両10に設けられた複数の検知装置を備え、これら各検知装置は、ECU6に接続されている。そして、ECU6は、これらの各検知装置により検出された搭乗者(運転者)の身体情報に基づいて電動ステアリングコラム5を制御する。
【0025】
詳述すると、ECU6には、検知装置として、体重検知センサ11、頭部検知センサ12、座高検知センサ13、近接センサ14、シート位置センサ15、ペダル位置センサ16、シートベルトセンサ17、CCDカメラ18、及びハンドル位置センサ19が接続されている。
【0026】
体重検知センサ11、頭部検知センサ12、座高検知センサ13は、シート20に設けられている。体重検知センサ11は、シートクッション21に設けられ、運転者の体重を検知するために用いられる。頭部検知センサ12及び座高検知センサ13は、背もたれ部22に設けられ、それぞれ運転者の頭部位置及び座高を検知するために用いられる。近接センサ14は、電動ステアリングコラム5の下方に設けられ、電動ステアリングコラム5と運転者の足との距離を検知するために用いられる。
【0027】
シート位置センサ15は、シートレール23に設けられ、シート20の位置を検知するために用いられる。ペダル位置センサ16は、ペダル24近傍に設けられ、ペダル24の位置を検知するために用いられる。シートベルトセンサ17は、シートベルト25の引出長(シートベルト装着時の「伸び」)を検知するために用いられる。CCDカメラ18は、ダッシュボード26上(又はハンドル2)に設けられ、画像解析による所謂人体検知に用いられる。そして、ハンドル位置センサ19は、電動ステアリングコラム5(又はその近傍)に設けられ、ハンドル2の位置(チルト位置P0及びテレスコ位置P1)を検知するために用いられる。
【0028】
本実施形態のステアリング装置1は、上記各検知装置により検出された運転者の身体情報に基づいて最適なハンドル2の位置を決定し、その位置にハンドル2を自動的に配置する自動調節モードを備えている。
【0029】
本実施形態では、運転者は、自動調節スイッチ27をオンすることにより、自動調節モードを選択することができる。自動調節スイッチ27は、車両10の何れか(ダッシュボード26やインストルメントパネル上等)に設置されている。自動調節スイッチ27は、ECU6と接続されており、ECU6は、自動調節スイッチ27がオンされたことを検出すると、その処理対象を自動調節モードへと移行する。
【0030】
詳述すると、本実施形態のステアリング装置1では、最適なハンドル2の位置として、エアバックが完全に展開する位置、展開したエアバックの中央に頭部が接触する位置及び運転者の膝がステアリングコラムと並行する位置の3つのハンドル2の位置が定義されている。
【0031】
ECU6は、上記各検知装置により検出された運転者の身体情報に基づきこの定義された3つの位置(第1〜第3位置)を演算により決定する。そして、ECU6は、電動ステアリングコラム5を制御して、ハンドル2(及び電動ステアリングコラム5)がこれら第1〜3位置に配置されるようハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1の調節を行う。
【0032】
本実施形態のステアリング装置1では、ECU6は、上記第1〜第3位置を決定すると、ハンドル2が上記第1〜第3位置に順次配置されるようハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1の調節を行う。そして、運転者は、この第1〜第3位置のうちの何れかを選択することにより、自らに最適なハンドル2の位置を決定する。具体的には、運転者は、第1〜第3位置のうち運転者が最適と思われる位置にハンドル2が配置された時に、自動調節スイッチ27を操作することにより、その位置を自らに最適なハンドル2の位置として決定することができる。
【0033】
尚、本実施形態では、運転者が上記第1〜第3位置の何れをも選択しなかった(タイムオーバー等)場合には、ECU6は、上記第1位置を運転者にとって最適な位置として決定し、ハンドル2が第1位置に配置されるよう、そのチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節する。
【0034】
次に、上記第1〜第3位置及びその決定方法について詳述する。
先ず、「エアバックが完全に展開する位置(第1位置)」について説明する。
[第1位置]
車両衝突時には、シートベルトを着用している場合であっても、運転者は、車両進行方向前方へ投げ出されるように移動する。従って、車室内において運転者と車両とが衝突する可能性がある。そのため、近年では、ほぼ全ての車両に補助的安全装置としてエアバックが装備されている。
【0035】
ところで、エアバックがその衝突時の衝撃緩和効果を最大限に発揮するためには、完全に展開された状態で運転者と接触する必要があるが、運転者とエアバックとの距離が近い場合、エアバックが完全に展開する前に運転者と接触してしまうおそれがある。しかし、本実施形態の車両10では、エアバック30は、ハンドル2に装備されており、ハンドル2の位置を調節することにより、エアバック30と運転者との間の距離を調整することが可能である。
【0036】
本実施形態では、この衝突時に運転者に対して完全に展開したエアバック30を接触させうるハンドル2の位置、即ちエアバックが完全に展開する位置を第1位置として定義している。そして、ECU6は、運転者の体格及び搭乗位置を検出し、衝突時に運転者に対して完全に展開したエアバック30を接触させうるハンドル2の位置を演算することによりこの第1位置を決定する。
【0037】
詳述すると、運転者の体格及び搭乗位置は、運転者の体重、座高、頭部位置、足と電動ステアリングコラム5との距離、シート位置、シートとペダル間の距離、シートベルトの引出長及び画像検知による体型情報等、上記各検知装置により検出された運転者に関する種々の身体情報に基づいて検出される。
【0038】
そして、ECU6は、上記検出された運転者の体格及び搭乗位置に基づき、エアバック30が完全に展開するために必要なハンドル2と運転者との間の距離を演算することによりこの第1位置を決定する。
【0039】
次に、「展開したエアバックの中央に頭部が接触する位置(第2位置)」について説明する。
[第2位置]
エアバックがその衝撃緩和効果を最大限に発揮するためは、もう一つの条件として、エアバックが運転者の中央で展開し運転者の頭部が展開したエアバックの中央と接触する必要がある。
【0040】
本実施形態では、この運転者の頭部が展開したエアバック30の中央に接触するハンドル2の位置、即ち展開したエアバックの中央に頭部が接触する位置を第2位置として定義している。そして、ECU6は、運転者の頭部位置を検出し、エアバック30の中央に頭部が接触する位置を演算することによりこの第2位置を決定する。
【0041】
尚、運転者の頭部位置は、先述の体格及び搭乗位置と同様に、上記各検知装置により検出された運転者に関する種々の身体情報に基づいて検出される。
ここで、運転者がメガネを装着している場合、エアバックとの接触時の衝撃でメガネが破損する可能性がある。そのため、本実施形態では、ECU6は、運転者がメガネを装着しているか否かを判断し、運転者がメガネを装着している場合には、顔面からのメガネの突出量を考慮し、運転者の頭部位置を補正して、エアバック30の中央に頭部が接触する位置を演算し第2位置を決定する。
【0042】
次に、「運転者の膝がステアリングコラムと並行する位置(第3位置)」について説明する。
[第3位置]
車両衝突時には、運転者の膝がステアリングコラムと衝突する可能性がある。そのため、ステアリングコラム(衝突ポイント)は、衝突時に膝が移動する軌跡に対して並行して配置されることが望ましい。
【0043】
本実施形態では、この衝突時に膝が移動する軌跡に対して電動ステアリングコラム5の衝突ポイントが並行して配置されるハンドル2の位置(チルト位置P0)、即ち運転者の膝がステアリングコラムと並行する位置を第3位置として定義している。そして、ECU6は、運転者の膝位置を検出し、衝突時に膝が移動する軌跡を演算することにより、この第3位置を決定する。
【0044】
尚、運転者の膝位置は、先述の体格及び搭乗位置と同様に、上記各検知装置により検出された運転者に関する種々の身体情報に基づいて検出される。
次に、上記のように構成されたステアリング装置の制御態様について詳述する。
【0045】
図3は、本実施形態のステアリング装置の制御態様を示すフローチャートである。
先ず、ECU6は、自動調節スイッチ27がオンされているか否かを判断する(ステップ101)。そして、自動調節スイッチ27がオンされている場合には、自動調節モードに移行し、ECU6は、以下に示すステップ102〜ステップ111の処理を実行する。尚、このステップ101において、自動調節スイッチ27がオンされていない場合、自動調節モードには移行せず、ECU6は、以下に示すステップ102〜ステップ111(位置決定手段)の処理は実行しない。
【0046】
自動調節モードへと移行すると、ECU6は、先ず、運転者の体格及び搭乗位置を検出し(ステップ102,第1の検出手段)、演算により第1位置を決定する(ステップ103,第1の位置決定手段)。
【0047】
次に、ECU6は、第2位置を決定するため運転者の頭部位置を検出し(ステップ104,第2の検出手段)、続いて運転者がメガネを装着しているか否かについて判断する(ステップ105,判別手段)。このステップ105において、運転者がメガネを装着していると判断した場合には、演算の基礎となる頭部位置を補正し(ステップ106)、演算により第2位置を決定する(ステップ107,第2の位置決定手段)。尚、ステップ105において、運転者がメガネを装着していないと判断した場合には、ステップ106の補正をすることなく、ステップ107において第2位置を決定する。そして、ECU6は、運転者の膝位置を検出し(ステップ108,第3の検出手段)、演算により第3衝位置を決定する(ステップ109,第3の位置決定手段)。
【0048】
次に、ECU6は、電動ステアリングコラム5を制御し、ハンドル2(及び電動ステアリングコラム5)が上記第1〜第3位置に順次配置されるようハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1の調節を行う(ステップ110,位置調節手段)。
【0049】
そして、運転者が、第1〜第3位置のうちの何れかの位置を選択することにより、その位置が運転者にとって最適な位置として決定される(ステップ111)。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)ステアリング装置1は、ハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節可能にステアリングシャフト3を支持する電動ステアリングコラム5と、電動ステアリングコラム5を制御するECU6とを備える。ECU6は、各検知装置により検出された運転者の身体情報に基づいて最適なハンドル2の位置を決定し、ハンドル2がこの最適な位置に配置されるようそのチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節する。
【0051】
このような構成とすれば、ハンドル2は、自動的に運転者の体格に応じた最適な位置に配置されるので、容易且つ迅速にハンドルを最適な位置に調節することができる。
【0052】
(2)ECU6は、運転者の体格及び搭乗位置を検出し、演算により衝突時に運転者に対して完全に展開したエアバック30を接触させうるハンドル2の位置(第1位置)を決定する。
【0053】
このような構成とすれば、運転者に対して完全に展開したエアバック30を接触させうる位置にハンドル2を自動的に配置することができるので、エアバック30の衝撃緩和効果を最大限に発揮させることができる。従って、更に高い衝突安全性を実現することができる。
【0054】
(3)ECU6は、運転者の頭部位置を検出し、演算により展開したエアバック30の中央に運転者の頭部が接触する位置(第2位置)を決定する。
このような構成とすれば、展開したエアバック30の中央に運転者の頭部が接触する位置にハンドル2を自動的に配置することができるので、エアバック30の衝撃緩和効果を最大限に発揮させることができる。従って、更に高い衝突安全性を実現することができる。
【0055】
(4)ECU6は、運転者がメガネを装着しているか否かを判断し、運転者がメガネを装着している場合には、顔面からのメガネの突出量を考慮し演算の基礎となる運転者の頭部位置を補正して第2位置を決定する。
【0056】
このような構成とすれば、運転者がメガネを装着している場合であっても、エアバック接触時の衝撃によるメガネの破損を防止することができる。
(5)ECU6は、運転者の膝位置を検出し、衝突時に運転者の膝が移動する軌跡を演算することにより、運転者の膝がステアリングコラムと並行する位置(第3位置)を決定する。
【0057】
このような構成とすれば、自動的に運転者の膝の軌跡に対して電動ステアリングコラム5の衝突ポイントを並行して配置することができるので、運転者の膝と電動ステアリングコラム5との衝突を防止することができる。従って、更に高い衝突安全性を実現することができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・本実施形態では、最適な位置としてエアバックの衝撃緩和効果及びステアリングコラムと膝との衝突の観点から第1〜第3位置を定義したが、これ以外のその他の観点から最適な位置を定義してもよい。
【0059】
・本実施形態では、運転者が第1〜第3位置のうちの何れかを選択することにより、最終的な最適位置を決定した。しかし、これに限らず、ECU6が、決定した第1〜第3位置に基づいて所定の演算を行うことにより最終的に最適な位置を決定してもよい。
【0060】
・本実施形態では、運転者が何れの位置をも選択しなかった場合には、ECU6は、第1位置にハンドル2を配置することとしたが、第2又は第3の位置に配置してもよく、運転者の搭乗時の位置に配置することとしてもよい。
【0061】
・本実施形態では、ステアリング装置1は、複数の検知装置として、体重検知センサ11、頭部検知センサ12、座高検知センサ13、近接センサ14、シート位置センサ15、ペダル位置センサ16、シートベルトセンサ17、CCDカメラ18及びハンドル位置センサ19を備える。しかし、これに限らず、その他の検知装置を設けてもよく、運転者の身体情報は、任意の検知装置の組み合わせにより検出すればよい。
【0062】
・ステアリング装置1には、予め記憶された位置にハンドル2が配置されるようその位置を自動的に調整するメモリモードを設けてもよい。
次に、以上の実施形態から把握することができる請求項以外の技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。
【0063】
(イ)モータ駆動により前記ハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節可能にステアリングシャフトを支持収容するステアリングコラムを備えたステアリング装置の制御方法であって、搭乗者の身体情報を検出するステップと、前記身体情報に基づき最適な前記ハンドルの位置を決定するステップと、該決定された位置に前記ハンドルが配置されるよう前記ハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節するステップとを備えたこと、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0064】
(ロ)前記(イ)に記載のステアリング装置の制御方法において、前記搭乗者の体格及び搭乗位置を検出するステップと、該前記搭乗者の体格及び搭乗位置に基づいて前記ハンドルの第1の位置を決定するステップとを備えたこと、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0065】
(ハ)前記(イ)又は(ロ)に記載のステアリング装置の制御方法において、前記搭乗者の頭部位置を検出するステップと、該搭乗者の頭部位置に基づいて前記ハンドルの第2の位置を決定するステップとを備えたこと、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0066】
(ニ)前記(ハ)に記載のステアリング装置の制御方法において、前記搭乗者がメガネを装着しているか否かを判別するステップを備え、前記第2の位置を決定するステップは、前記装着している場合には前記頭部位置を補正して前記第2の位置を決定すること、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0067】
(ホ)前記(イ)〜(ニ)のうちの何れか一つに記載のステアリング装置の制御方法において、前記搭乗者の膝位置を検出するステップと、該膝位置に基づいて前記ハンドルの第3の位置を決定するステップとを備えたこと、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、容易且つ迅速にハンドルを最適な位置に調節することが可能なステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車室の概略図。
【図2】ステアリング装置の概略構成図。
【図3】ステアリング装置の制御態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…ステアリング装置、2…ハンドル、3…ステアリングシャフト、5…電動ステアリングコラム、6…ECU、11…体重検知センサ、12…頭部検知センサ、13…座高検知センサ、14…近接センサ、15…シート位置センサ、16…ペダル位置センサ、17…シートベルトセンサ、18…CCDカメラ、19…ハンドル位置センサ、30…エアバック、P0…チルト位置、P1…テレスコ位置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータ駆動にてステアリングホイール(ハンドル)のチルト位置及びテレスコ位置を調節可能とする電動ステアリングコラムを備えたステアリング装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
このようなステアリング装置には、ユーザ(運転者)が任意に設定したハンドルの位置(チルト位置及びテレスコ位置)を記憶する機能を備えたものがあり、例えば、キーの抜き差しやスイッチにより、予め記憶された位置にハンドルが配置されるよう自動的にステアリングコラムを制御する。
【0004】
そして、このような構成とすることにより、通常時は乗降を妨げない位置にハンドルを配置して乗降性を向上させるとともに、運転時には、運転者が最も運転し易い位置にハンドルを配置することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−181613号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のメモリ機能を備えたステアリング装置は、主に使用する運転者にとって運転しやすいハンドル位置にハンドルを自動的に調節するため、他の運転者は、自分の体格に合った位置にハンドルを調整をする必要があり手間がかかっていた。
【0007】
また、近年、車両においては、その快適性や利便性はもとより高い安全性能が求められている。特に、車両衝突時の車室内における車両と乗員との二次衝突を考慮した場合、運転者とハンドル及びステアリングコラムとの位置関係、即ちハンドルの位置は重要である。従って、このような運転時の操作性以外の観点を含めて最適なハンドルの位置を考慮すれば、その位置を決定するのは容易ではない。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、容易且つ迅速にハンドルを最適な位置に調節することができるステアリング装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータ駆動によりハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節可能にステアリングシャフトを支持収容するステアリングコラムと、該ステアリングコラムを制御し前記ハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節する位置調節手段とを備えたステアリング装置であって、搭乗者の身体情報を検出するための検知装置と、前記身体情報に基づき前記ハンドルの位置を決定する位置決定手段とを備え、前記位置調節手段は、前記位置決定手段により決定された位置に前記ハンドルが配置されるよう前記ステアリングコラムを制御することを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記位置決定手段は、前記搭乗者の体格及び搭乗位置を検出する第1の検出手段と、前記搭乗者の体格及び搭乗位置に基づいて前記ハンドルの第1の位置を決定する第1の位置決定手段とを備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記位置決定手段は、前記搭乗者の頭部位置を検出する第2の検出手段と、前記搭乗者の頭部位置に基づいて前記ハンドルの第2の位置を決定する第2の位置決定手段とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記位置決定手段は、前記搭乗者がメガネを装着しているか否かを判別する判別手段を備え、前記第2位置決定手段は、前記装着している場合には前記頭部位置を補正して前記第2の位置を決定すること、を要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記位置決定手段は、前記搭乗者の膝位置を検出する第3の検出手段と、前記搭乗者の膝位置に基づいて前記ハンドルの第3の位置を決定する第3の位置決定手段とを備えたことを要旨とする。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、自動的にハンドルが搭乗者の体格に応じた最適な位置に配置されるので、容易且つ迅速にハンドルを最適な位置に調節可能になる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、ハンドルが搭乗者の体格及び搭乗位置に応じた位置に配置される。従って、例えば、搭乗者に対して完全に展開したエアバックを接触させる位置にハンドルを配置しエアバックの衝撃緩和効果を最大限に発揮させることが可能になる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、ハンドルが搭乗者の頭部位置に応じた位置に配置される。従って、例えば、展開したエアバックの中央に搭乗者の頭部が接触する位置にハンドルを配置しエアバックの衝撃緩和効果を最大限に発揮させることが可能になる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、搭乗者がメガネを装着している場合であっても、エアバック接触時の衝撃によるメガネの破損が防止される。
請求項5に記載の発明によれば、ハンドルが搭乗者の膝位置に応じた位置に配置される。従って、例えば、搭乗者の膝に対してステアリングコラムを並行して配置することが可能になるので、搭乗者の膝とステアリングコラムとの衝突を防止することが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のステアリング装置を備えた車室の概略図であり、図2は、ステアリング装置の概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のステアリング装置1は、ハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節可能にステアリングシャフト3を支持収容する電動ステアリングコラム5と、電動ステアリングコラム5を制御するECU6とを備えている。
【0020】
尚、本実施形態では、ECU6が、位置調節手段、位置決定手段、第1の位置決定手段、第2の位置決定手段、第3の位置決定手段、及び判別手段を構成する。また、ECU6と後述する複数の検知装置とにより、第1の検出手段、第2の検出手段、及び第3の検出手段が構成される。
【0021】
電動ステアリングコラム5は、ステアリングシャフト3を上下方向に傾動可能且つ軸線方向に摺動可能に支持収容しており、モータ7を駆動源としてステアリングシャフト3を傾動及び摺動させることによりハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1の調節が可能となっている。
【0022】
尚、本実施形態の電動ステアリングコラム5は、電動ステアリングコラム5に設けられた関節部Oを支点としてステアリングシャフト3を上下方向に傾動させるものであるが、ステアリングコラム全体を上下方向に傾動することによりステアリングシャフト3を傾動させるものであってもよい。
【0023】
図2に示すように、ECU6は、モータ7を駆動するドライバ8と接続されており、ドライバ8は、ECU6からの指示に基づきモータ7を駆動する。そして、ECU6は、ドライバ8を介してモータ7の作動を制御することによりハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節する。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態のステアリング装置1は、車両10に設けられた複数の検知装置を備え、これら各検知装置は、ECU6に接続されている。そして、ECU6は、これらの各検知装置により検出された搭乗者(運転者)の身体情報に基づいて電動ステアリングコラム5を制御する。
【0025】
詳述すると、ECU6には、検知装置として、体重検知センサ11、頭部検知センサ12、座高検知センサ13、近接センサ14、シート位置センサ15、ペダル位置センサ16、シートベルトセンサ17、CCDカメラ18、及びハンドル位置センサ19が接続されている。
【0026】
体重検知センサ11、頭部検知センサ12、座高検知センサ13は、シート20に設けられている。体重検知センサ11は、シートクッション21に設けられ、運転者の体重を検知するために用いられる。頭部検知センサ12及び座高検知センサ13は、背もたれ部22に設けられ、それぞれ運転者の頭部位置及び座高を検知するために用いられる。近接センサ14は、電動ステアリングコラム5の下方に設けられ、電動ステアリングコラム5と運転者の足との距離を検知するために用いられる。
【0027】
シート位置センサ15は、シートレール23に設けられ、シート20の位置を検知するために用いられる。ペダル位置センサ16は、ペダル24近傍に設けられ、ペダル24の位置を検知するために用いられる。シートベルトセンサ17は、シートベルト25の引出長(シートベルト装着時の「伸び」)を検知するために用いられる。CCDカメラ18は、ダッシュボード26上(又はハンドル2)に設けられ、画像解析による所謂人体検知に用いられる。そして、ハンドル位置センサ19は、電動ステアリングコラム5(又はその近傍)に設けられ、ハンドル2の位置(チルト位置P0及びテレスコ位置P1)を検知するために用いられる。
【0028】
本実施形態のステアリング装置1は、上記各検知装置により検出された運転者の身体情報に基づいて最適なハンドル2の位置を決定し、その位置にハンドル2を自動的に配置する自動調節モードを備えている。
【0029】
本実施形態では、運転者は、自動調節スイッチ27をオンすることにより、自動調節モードを選択することができる。自動調節スイッチ27は、車両10の何れか(ダッシュボード26やインストルメントパネル上等)に設置されている。自動調節スイッチ27は、ECU6と接続されており、ECU6は、自動調節スイッチ27がオンされたことを検出すると、その処理対象を自動調節モードへと移行する。
【0030】
詳述すると、本実施形態のステアリング装置1では、最適なハンドル2の位置として、エアバックが完全に展開する位置、展開したエアバックの中央に頭部が接触する位置及び運転者の膝がステアリングコラムと並行する位置の3つのハンドル2の位置が定義されている。
【0031】
ECU6は、上記各検知装置により検出された運転者の身体情報に基づきこの定義された3つの位置(第1〜第3位置)を演算により決定する。そして、ECU6は、電動ステアリングコラム5を制御して、ハンドル2(及び電動ステアリングコラム5)がこれら第1〜3位置に配置されるようハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1の調節を行う。
【0032】
本実施形態のステアリング装置1では、ECU6は、上記第1〜第3位置を決定すると、ハンドル2が上記第1〜第3位置に順次配置されるようハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1の調節を行う。そして、運転者は、この第1〜第3位置のうちの何れかを選択することにより、自らに最適なハンドル2の位置を決定する。具体的には、運転者は、第1〜第3位置のうち運転者が最適と思われる位置にハンドル2が配置された時に、自動調節スイッチ27を操作することにより、その位置を自らに最適なハンドル2の位置として決定することができる。
【0033】
尚、本実施形態では、運転者が上記第1〜第3位置の何れをも選択しなかった(タイムオーバー等)場合には、ECU6は、上記第1位置を運転者にとって最適な位置として決定し、ハンドル2が第1位置に配置されるよう、そのチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節する。
【0034】
次に、上記第1〜第3位置及びその決定方法について詳述する。
先ず、「エアバックが完全に展開する位置(第1位置)」について説明する。
[第1位置]
車両衝突時には、シートベルトを着用している場合であっても、運転者は、車両進行方向前方へ投げ出されるように移動する。従って、車室内において運転者と車両とが衝突する可能性がある。そのため、近年では、ほぼ全ての車両に補助的安全装置としてエアバックが装備されている。
【0035】
ところで、エアバックがその衝突時の衝撃緩和効果を最大限に発揮するためには、完全に展開された状態で運転者と接触する必要があるが、運転者とエアバックとの距離が近い場合、エアバックが完全に展開する前に運転者と接触してしまうおそれがある。しかし、本実施形態の車両10では、エアバック30は、ハンドル2に装備されており、ハンドル2の位置を調節することにより、エアバック30と運転者との間の距離を調整することが可能である。
【0036】
本実施形態では、この衝突時に運転者に対して完全に展開したエアバック30を接触させうるハンドル2の位置、即ちエアバックが完全に展開する位置を第1位置として定義している。そして、ECU6は、運転者の体格及び搭乗位置を検出し、衝突時に運転者に対して完全に展開したエアバック30を接触させうるハンドル2の位置を演算することによりこの第1位置を決定する。
【0037】
詳述すると、運転者の体格及び搭乗位置は、運転者の体重、座高、頭部位置、足と電動ステアリングコラム5との距離、シート位置、シートとペダル間の距離、シートベルトの引出長及び画像検知による体型情報等、上記各検知装置により検出された運転者に関する種々の身体情報に基づいて検出される。
【0038】
そして、ECU6は、上記検出された運転者の体格及び搭乗位置に基づき、エアバック30が完全に展開するために必要なハンドル2と運転者との間の距離を演算することによりこの第1位置を決定する。
【0039】
次に、「展開したエアバックの中央に頭部が接触する位置(第2位置)」について説明する。
[第2位置]
エアバックがその衝撃緩和効果を最大限に発揮するためは、もう一つの条件として、エアバックが運転者の中央で展開し運転者の頭部が展開したエアバックの中央と接触する必要がある。
【0040】
本実施形態では、この運転者の頭部が展開したエアバック30の中央に接触するハンドル2の位置、即ち展開したエアバックの中央に頭部が接触する位置を第2位置として定義している。そして、ECU6は、運転者の頭部位置を検出し、エアバック30の中央に頭部が接触する位置を演算することによりこの第2位置を決定する。
【0041】
尚、運転者の頭部位置は、先述の体格及び搭乗位置と同様に、上記各検知装置により検出された運転者に関する種々の身体情報に基づいて検出される。
ここで、運転者がメガネを装着している場合、エアバックとの接触時の衝撃でメガネが破損する可能性がある。そのため、本実施形態では、ECU6は、運転者がメガネを装着しているか否かを判断し、運転者がメガネを装着している場合には、顔面からのメガネの突出量を考慮し、運転者の頭部位置を補正して、エアバック30の中央に頭部が接触する位置を演算し第2位置を決定する。
【0042】
次に、「運転者の膝がステアリングコラムと並行する位置(第3位置)」について説明する。
[第3位置]
車両衝突時には、運転者の膝がステアリングコラムと衝突する可能性がある。そのため、ステアリングコラム(衝突ポイント)は、衝突時に膝が移動する軌跡に対して並行して配置されることが望ましい。
【0043】
本実施形態では、この衝突時に膝が移動する軌跡に対して電動ステアリングコラム5の衝突ポイントが並行して配置されるハンドル2の位置(チルト位置P0)、即ち運転者の膝がステアリングコラムと並行する位置を第3位置として定義している。そして、ECU6は、運転者の膝位置を検出し、衝突時に膝が移動する軌跡を演算することにより、この第3位置を決定する。
【0044】
尚、運転者の膝位置は、先述の体格及び搭乗位置と同様に、上記各検知装置により検出された運転者に関する種々の身体情報に基づいて検出される。
次に、上記のように構成されたステアリング装置の制御態様について詳述する。
【0045】
図3は、本実施形態のステアリング装置の制御態様を示すフローチャートである。
先ず、ECU6は、自動調節スイッチ27がオンされているか否かを判断する(ステップ101)。そして、自動調節スイッチ27がオンされている場合には、自動調節モードに移行し、ECU6は、以下に示すステップ102〜ステップ111の処理を実行する。尚、このステップ101において、自動調節スイッチ27がオンされていない場合、自動調節モードには移行せず、ECU6は、以下に示すステップ102〜ステップ111(位置決定手段)の処理は実行しない。
【0046】
自動調節モードへと移行すると、ECU6は、先ず、運転者の体格及び搭乗位置を検出し(ステップ102,第1の検出手段)、演算により第1位置を決定する(ステップ103,第1の位置決定手段)。
【0047】
次に、ECU6は、第2位置を決定するため運転者の頭部位置を検出し(ステップ104,第2の検出手段)、続いて運転者がメガネを装着しているか否かについて判断する(ステップ105,判別手段)。このステップ105において、運転者がメガネを装着していると判断した場合には、演算の基礎となる頭部位置を補正し(ステップ106)、演算により第2位置を決定する(ステップ107,第2の位置決定手段)。尚、ステップ105において、運転者がメガネを装着していないと判断した場合には、ステップ106の補正をすることなく、ステップ107において第2位置を決定する。そして、ECU6は、運転者の膝位置を検出し(ステップ108,第3の検出手段)、演算により第3衝位置を決定する(ステップ109,第3の位置決定手段)。
【0048】
次に、ECU6は、電動ステアリングコラム5を制御し、ハンドル2(及び電動ステアリングコラム5)が上記第1〜第3位置に順次配置されるようハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1の調節を行う(ステップ110,位置調節手段)。
【0049】
そして、運転者が、第1〜第3位置のうちの何れかの位置を選択することにより、その位置が運転者にとって最適な位置として決定される(ステップ111)。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)ステアリング装置1は、ハンドル2のチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節可能にステアリングシャフト3を支持する電動ステアリングコラム5と、電動ステアリングコラム5を制御するECU6とを備える。ECU6は、各検知装置により検出された運転者の身体情報に基づいて最適なハンドル2の位置を決定し、ハンドル2がこの最適な位置に配置されるようそのチルト位置P0及びテレスコ位置P1を調節する。
【0051】
このような構成とすれば、ハンドル2は、自動的に運転者の体格に応じた最適な位置に配置されるので、容易且つ迅速にハンドルを最適な位置に調節することができる。
【0052】
(2)ECU6は、運転者の体格及び搭乗位置を検出し、演算により衝突時に運転者に対して完全に展開したエアバック30を接触させうるハンドル2の位置(第1位置)を決定する。
【0053】
このような構成とすれば、運転者に対して完全に展開したエアバック30を接触させうる位置にハンドル2を自動的に配置することができるので、エアバック30の衝撃緩和効果を最大限に発揮させることができる。従って、更に高い衝突安全性を実現することができる。
【0054】
(3)ECU6は、運転者の頭部位置を検出し、演算により展開したエアバック30の中央に運転者の頭部が接触する位置(第2位置)を決定する。
このような構成とすれば、展開したエアバック30の中央に運転者の頭部が接触する位置にハンドル2を自動的に配置することができるので、エアバック30の衝撃緩和効果を最大限に発揮させることができる。従って、更に高い衝突安全性を実現することができる。
【0055】
(4)ECU6は、運転者がメガネを装着しているか否かを判断し、運転者がメガネを装着している場合には、顔面からのメガネの突出量を考慮し演算の基礎となる運転者の頭部位置を補正して第2位置を決定する。
【0056】
このような構成とすれば、運転者がメガネを装着している場合であっても、エアバック接触時の衝撃によるメガネの破損を防止することができる。
(5)ECU6は、運転者の膝位置を検出し、衝突時に運転者の膝が移動する軌跡を演算することにより、運転者の膝がステアリングコラムと並行する位置(第3位置)を決定する。
【0057】
このような構成とすれば、自動的に運転者の膝の軌跡に対して電動ステアリングコラム5の衝突ポイントを並行して配置することができるので、運転者の膝と電動ステアリングコラム5との衝突を防止することができる。従って、更に高い衝突安全性を実現することができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・本実施形態では、最適な位置としてエアバックの衝撃緩和効果及びステアリングコラムと膝との衝突の観点から第1〜第3位置を定義したが、これ以外のその他の観点から最適な位置を定義してもよい。
【0059】
・本実施形態では、運転者が第1〜第3位置のうちの何れかを選択することにより、最終的な最適位置を決定した。しかし、これに限らず、ECU6が、決定した第1〜第3位置に基づいて所定の演算を行うことにより最終的に最適な位置を決定してもよい。
【0060】
・本実施形態では、運転者が何れの位置をも選択しなかった場合には、ECU6は、第1位置にハンドル2を配置することとしたが、第2又は第3の位置に配置してもよく、運転者の搭乗時の位置に配置することとしてもよい。
【0061】
・本実施形態では、ステアリング装置1は、複数の検知装置として、体重検知センサ11、頭部検知センサ12、座高検知センサ13、近接センサ14、シート位置センサ15、ペダル位置センサ16、シートベルトセンサ17、CCDカメラ18及びハンドル位置センサ19を備える。しかし、これに限らず、その他の検知装置を設けてもよく、運転者の身体情報は、任意の検知装置の組み合わせにより検出すればよい。
【0062】
・ステアリング装置1には、予め記憶された位置にハンドル2が配置されるようその位置を自動的に調整するメモリモードを設けてもよい。
次に、以上の実施形態から把握することができる請求項以外の技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。
【0063】
(イ)モータ駆動により前記ハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節可能にステアリングシャフトを支持収容するステアリングコラムを備えたステアリング装置の制御方法であって、搭乗者の身体情報を検出するステップと、前記身体情報に基づき最適な前記ハンドルの位置を決定するステップと、該決定された位置に前記ハンドルが配置されるよう前記ハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節するステップとを備えたこと、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0064】
(ロ)前記(イ)に記載のステアリング装置の制御方法において、前記搭乗者の体格及び搭乗位置を検出するステップと、該前記搭乗者の体格及び搭乗位置に基づいて前記ハンドルの第1の位置を決定するステップとを備えたこと、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0065】
(ハ)前記(イ)又は(ロ)に記載のステアリング装置の制御方法において、前記搭乗者の頭部位置を検出するステップと、該搭乗者の頭部位置に基づいて前記ハンドルの第2の位置を決定するステップとを備えたこと、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0066】
(ニ)前記(ハ)に記載のステアリング装置の制御方法において、前記搭乗者がメガネを装着しているか否かを判別するステップを備え、前記第2の位置を決定するステップは、前記装着している場合には前記頭部位置を補正して前記第2の位置を決定すること、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0067】
(ホ)前記(イ)〜(ニ)のうちの何れか一つに記載のステアリング装置の制御方法において、前記搭乗者の膝位置を検出するステップと、該膝位置に基づいて前記ハンドルの第3の位置を決定するステップとを備えたこと、を特徴とするステアリング装置の制御方法。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、容易且つ迅速にハンドルを最適な位置に調節することが可能なステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車室の概略図。
【図2】ステアリング装置の概略構成図。
【図3】ステアリング装置の制御態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…ステアリング装置、2…ハンドル、3…ステアリングシャフト、5…電動ステアリングコラム、6…ECU、11…体重検知センサ、12…頭部検知センサ、13…座高検知センサ、14…近接センサ、15…シート位置センサ、16…ペダル位置センサ、17…シートベルトセンサ、18…CCDカメラ、19…ハンドル位置センサ、30…エアバック、P0…チルト位置、P1…テレスコ位置。
Claims (5)
- モータ駆動によりハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節可能にステアリングシャフトを支持収容するステアリングコラムと、該ステアリングコラムを制御し前記ハンドルのチルト位置及びテレスコ位置を調節する位置調節手段とを備えたステアリング装置であって、
搭乗者の身体情報を検出するための検知装置と、
前記身体情報に基づき最適な前記ハンドルの位置を決定する位置決定手段とを備え、
前記位置調節手段は、前記位置決定手段により決定された位置に前記ハンドルが配置されるよう前記ステアリングコラムを制御すること、
を特徴とするステアリング装置。 - 請求項1に記載のステアリング装置において、
前記位置決定手段は、
前記搭乗者の体格及び搭乗位置を検出する第1の検出手段と、
前記搭乗者の体格及び搭乗位置に基づいて前記ハンドルの第1の位置を決定する第1の位置決定手段とを備えたこと、を特徴とするステアリング装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のステアリング装置において、
前記位置決定手段は、
前記搭乗者の頭部位置を検出する第2の検出手段と、
前記搭乗者の頭部位置に基づいて前記ハンドルの第2の位置を決定する第2の位置決定手段とを備えたこと、を特徴とするステアリング装置。 - 請求項3に記載のステアリング装置において、
前記位置決定手段は、
前記搭乗者がメガネを装着しているか否かを判別する判別手段を備え、
前記第2位置決定手段は、前記装着している場合には前記頭部位置を補正して前記第2の位置を決定すること、を特徴とするステアリング装置。 - 請求項1〜請求項4のうちの何れか一項に記載のステアリング装置において、
前記位置決定手段は、
前記搭乗者の膝位置を検出する第3の検出手段と、
前記搭乗者の膝位置に基づいて前記ハンドルの第3の位置を決定する第3の位置決定手段とを備えたこと、を特徴とするステアリング装置。
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