JP2004291739A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝を有するタイヤの摩耗中期以降における駆動、旋回及び制動等の運動性能を総合的に向上させた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝2とタイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝3とにより区画された多数のブロック4を有する空気入りタイヤにおいて、横溝3のうちの少なくとも一方の側壁面4a、4bと溝底6とのコーナー部に、該側壁面から他方の側壁面に向けて先端部5aが突出する平面視が略三角形の棚段7を1以上形成し、該棚段7の溝底6からの高さhを横溝の溝深さGDの10〜60%にする。ここで、先端部5aの側壁面からの突出長Wを横溝3の溝幅GWの20〜60%とし、更に、棚段7の側壁面の長さ方向に沿う棚段長PWを側壁面の壁面長BWの20〜80%とすることが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝2とタイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝3とにより区画された多数のブロック4を有する空気入りタイヤにおいて、横溝3のうちの少なくとも一方の側壁面4a、4bと溝底6とのコーナー部に、該側壁面から他方の側壁面に向けて先端部5aが突出する平面視が略三角形の棚段7を1以上形成し、該棚段7の溝底6からの高さhを横溝の溝深さGDの10〜60%にする。ここで、先端部5aの側壁面からの突出長Wを横溝3の溝幅GWの20〜60%とし、更に、棚段7の側壁面の長さ方向に沿う棚段長PWを側壁面の壁面長BWの20〜80%とすることが好ましい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、摩耗中期以降における駆動、旋回及び制動等の運動性能を総合的に向上させた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来技術】
冬用タイヤとして、新雪路や積雪路で効果を発揮する溝面積が比較的広く深溝のスノータイヤや、圧雪路やアイスバーンで効果を発揮するスタッドレスタイヤがある。更に、冬期用に限定されずに、年間を通じて比較的降雪量の少ない地域での使用を前提にしたオールシーズンタイヤが知られている。
【0003】
これらのタイヤには、共通して、特に雪面でのグリップ力を確保するために、トレッド面に周方向の主溝に交差する幅方向の横溝を配置しており、これによりトレッド面にブロックパターンが形成されている。
【0004】
上記3種類のタイヤのうち、オールシーズンタイヤは、一般路面(特に高速道路面)での使用を考慮して、他の2種類のタイヤよりも溝深さを浅く又は溝面積を小さくしており、これにより他の冬用タイヤに比して雪上性能が劣っている。このような傾向に対する対策として、近年のオールシーズンタイヤは、水又は雪をタイヤの横溝に積極的に取り込んで運動性能の低下を避けるために、トレッド面に形成する横溝としてストレート状の溝を採用したトレッドパターンが多用される傾向にある。また、路面でのグリップ力を確保して運動性能の低下を避けるために、ブロック表面に幅方向のサイプを形成することが行われてきており、幅方向のサイプの形態に関する数多くの提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−253213号公報(第1〜6頁、第1〜3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにトレッド面にストレート状の横溝を形成したタイヤにあっては、新品時又は摩耗初期においてはブロックを構成するゴムが路面から受ける力に追従して動くために路面でのグリップ力をある程度は確保することができるが、摩耗が進行した摩耗中期以降では路面から受ける力に対してブロックの動きが追従できなくなり、路面でのグリップ力の低下が避けられず、運動性能が低下するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解消し、タイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝を有するタイヤの摩耗中期以降における駆動、旋回及び制動等の運動性能を総合的に向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝とタイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝とにより区画された多数のブロックを有する空気入りタイヤにおいて、前記横溝のうちの少なくとも一方の側壁面と溝底とのコーナー部に、該側壁面から他方の側壁面に向けて先端部が突出する平面視が略三角形の棚段を1以上形成し、該棚段の溝底からの高さを前記横溝の溝深さの10〜60%にしたことを要旨とする。
【0009】
このようにストレート状の横溝に形成した棚段は、摩耗がある程度進行した段階でトレッド面に露出し、略三角形の二辺をなす棚段の前端縁によるエッジ効果により路面に対して大きなグリップ力を確保するため駆動、旋回及び制動等の運動性能を総合的に向上させる。
【0010】
ここで、前記棚段は、さらに好ましくは、先端部の前記側壁面からの突出長を、前記横溝の溝幅の20〜60%とし、更に、前記側壁面の長さ方向に沿う棚段長を、前記側壁面の壁面長の20〜80%とすることにより、略三角形の二辺をなす棚段の前端縁のポイントハイトを大きくし、一層エッジ効果を高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0012】
図1は本発明の空気入りタイヤのトレッド部の一部を例示する平面図である。トレッド部1には、矢印Tで示すタイヤ周方向に延びる複数の主溝2とタイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝3とが設けられ、これら複数の主溝2と横溝3とにより区画されて多数のブロック4が形成されている。
【0013】
トレッド部1の両端側のブロック4を除いて中央側の4つのブロック4を区画する各横溝3には、該横溝3の一方の側壁面に少なくとも1以上の棚段7が形成されている。
【0014】
図2(a)は図1の要部であるA部の拡大図を、図2(b)は図2(a)のB−B矢視断面図を、それぞれ示す。これらの図に示すように、横溝3の側壁面4a、4bのうちの一方の側壁面4aと溝底6とのコーナー部には、側壁面4aから他方の側壁面4bに向けて先端部5aを突出させて延びる平面視が略三角形で、かつ溝底6からの高さhが横溝3の溝深さGDの10〜60%である棚段7が2つ形成されている。
【0015】
この棚段7は、さらに好ましくは、その前端縁5の先端部5aが側壁面4aから突出する突出長Wを横溝3の溝幅GWの20〜60%に設定し、側壁面4aに平行に沿う棚段長PWを側壁面4aの壁面長BWの20〜80%に設定するとよい。
【0016】
本発明において、上記棚段7の高さhが溝深さGDの10%未満では駆動、旋回及び制動性能を共に向上できず、60%超では旋回及び制動性能は向上するが駆動性能が低下する。また、棚段7の突出長Wの溝幅GWに対する比率が20%未満では駆動、旋回及び制動性能を共に向上できず、60%超では旋回及び制動性能は向上するが駆動性能が低下する。更に、棚段7の棚段長PWの壁面長BWに対する比率が20%未満では駆動、旋回及び制動性能を共に向上できず、80%超では旋回及び制動性能は向上するが駆動性能が低下する。
【0017】
なお、図示の例では、横溝3の一方の側壁面4aに2つの棚段7を形成した場合を例示したが、棚段7を両側壁面4a、4bに形成しても良い。更には、1つのブロック4における片側の側壁面4a又は4bに形成する棚段7の数は1以上であれば特に限定されるものではない。
【0018】
また、側壁面4a又は4bに複数の棚段7を形成する場合にあっては、相隣接する棚段7の突出長W及び棚段長PWの値は必ずしも同一に設定する必要はなく、更には、相隣接する棚段7を間隔を隔てて設定することもできる。ここで、相隣接する棚段7は、グリップ力を増大する観点から、横溝3の側壁面4a又は4bに沿って並列に連続して形成するのが好ましい。
【0019】
上述した棚段7を横溝3に形成したことにより、摩耗が略中程度に進行した段階で、上記棚段7がトレッド面に露出するので、ポイントハイトを大きくした前端縁5によるエッジ効果が効果的に作用し、路面に対するグリップ力が確保されて運動性能を向上させる。
【0020】
図3は横溝3の側壁面4a及び4bに沿ってそれぞれ複数の棚段7を並列に連続して形成させた実施例を示す図2(a)に相当する図で、相対向する複数の棚段7の前端縁5の先端部5aを横溝3の長手方向に相互にずらせて形成した場合を示している。
【0021】
本実施例に示すように、両側壁面4a及び4bに沿ってそれぞれ複数の棚段7を並列に連続して形成させることにより前端縁5によるエッジ効果が更に増大し、運動性能を一層向上させることができる。
【0022】
なお、本発明の空気入りタイヤのトレッド部1の一例として、図1には、主溝2がタイヤ周方向に延びるストレート状の溝であり、横溝3が主溝2に直交する溝である場合を例示したが、主溝2はタイヤ周方向に延びるジグザグ状の溝であっても良く、更には、横溝3は主溝2に連結又は交差するタイヤ周方向に傾斜して延びるストレート状の溝であっても良い。
【0023】
【実験例】
溝深さGDに対する棚段の高さhが運動性能に及ぼす影響を調べるため、タイヤサイズ(205/65R15)及びトレッドパターン(図1)を共通にして、棚段のない従来タイヤ(従来例)と、棚段の高さhを表1に示す通り変化させた比較タイヤ(比較例1,2)及び本発明タイヤ(実施例1,2)とをそれぞれ作製した。
【0024】
上記5種類のタイヤについて、それぞれ正規荷重を負荷させた状態で2万km走行させた後、下記の試験方法により駆動性能、旋回性能、及び制動性能を調べた結果を表1に併せて記載した。なお、各試験タイヤに共通する主な仕様及び比較タイヤ並びに本発明タイヤに共通する特有な仕様は以下の通りであった。
【0025】
[各試験タイヤに共通する主な仕様]
溝深さGD=7.5mm
溝幅GW=8.0mm
壁面長BW=20.0mm
【0026】
[比較タイヤ並びに本発明タイヤに共通する特有な仕様]
棚段長PW=10.0mm
突出長W=3.2mm
【0027】
[駆動性能評価試験方法]
表面のコンディションが一定に確保された傾斜の異なる雪上登坂路において、タイヤが空転することなく発進を可能にする傾斜レベルを測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数により表1に表示した。数値が大きいほど優れていることを示す。
【0028】
[旋回性能評価試験方法]
表面のコンディションが一定に確保された雪上路面において、半径30mの円周上を横すべりすることなく同一の軌道上を走行できる速度を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数により表1に表示した。数値が大きいほど優れていることを示す。
【0029】
[制動性能評価試験方法]
表面のコンディションが一定に確保された雪上路面において、時速30kmにて急制動を実施して制動距離を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数により表1に表示した。数値が大きいほど優れていることを示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から判るように、棚段を形成した本発明タイヤ(実施例1,2)は棚段のない従来タイヤ(従来例)に比較して、駆動性能、旋回性能、及び制動性能共に向上しており、棚段の諸元のうちh/GDが0.1未満の比較タイヤ(比較例1)は従来タイヤ(従来例)と同等の性能を示し、h/GDが0.6超の比較タイヤ(比較例2)は本発明タイヤ(実施例1,2)に比して旋回性能及び制動性能が優れているが駆動性能が従来タイヤ(従来例)に比して低下していることを確認した。
【0032】
【発明の効果】
上述したように、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝の側壁面のうちの少なくとも一方の側壁面に横溝の溝深さの10〜60%の高さを有する略三角形の棚段を他方の側壁面に向けて先端部を突出させて溝底上に形成したので、摩耗がある程度進行した段階で、棚段がトレッド面に露出して、棚段の前端縁によるエッジ効果により路面に対するグリップ力が確保され、駆動、旋回及び制動等の運動性能を総合的に向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤのトレッド部の一部を例示する平面図である。
【図2】(a)は図1の要部であるA部を拡大して示す平面図で、(b)は図2(a)のB−B矢視断面図である。
【図3】本発明の空気入りタイヤの棚段の他の実施形態を示す図2(a)に相当する図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 主溝
3 横溝
4 ブロック
4a、4b 側壁面
5 前端縁
5a 先端部
6 溝底
7 棚段
GD 溝深さ
GW 溝幅
BW 壁面長
h 棚段高さ
PW 棚段長
W 突出長
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、摩耗中期以降における駆動、旋回及び制動等の運動性能を総合的に向上させた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来技術】
冬用タイヤとして、新雪路や積雪路で効果を発揮する溝面積が比較的広く深溝のスノータイヤや、圧雪路やアイスバーンで効果を発揮するスタッドレスタイヤがある。更に、冬期用に限定されずに、年間を通じて比較的降雪量の少ない地域での使用を前提にしたオールシーズンタイヤが知られている。
【0003】
これらのタイヤには、共通して、特に雪面でのグリップ力を確保するために、トレッド面に周方向の主溝に交差する幅方向の横溝を配置しており、これによりトレッド面にブロックパターンが形成されている。
【0004】
上記3種類のタイヤのうち、オールシーズンタイヤは、一般路面(特に高速道路面)での使用を考慮して、他の2種類のタイヤよりも溝深さを浅く又は溝面積を小さくしており、これにより他の冬用タイヤに比して雪上性能が劣っている。このような傾向に対する対策として、近年のオールシーズンタイヤは、水又は雪をタイヤの横溝に積極的に取り込んで運動性能の低下を避けるために、トレッド面に形成する横溝としてストレート状の溝を採用したトレッドパターンが多用される傾向にある。また、路面でのグリップ力を確保して運動性能の低下を避けるために、ブロック表面に幅方向のサイプを形成することが行われてきており、幅方向のサイプの形態に関する数多くの提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−253213号公報(第1〜6頁、第1〜3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにトレッド面にストレート状の横溝を形成したタイヤにあっては、新品時又は摩耗初期においてはブロックを構成するゴムが路面から受ける力に追従して動くために路面でのグリップ力をある程度は確保することができるが、摩耗が進行した摩耗中期以降では路面から受ける力に対してブロックの動きが追従できなくなり、路面でのグリップ力の低下が避けられず、運動性能が低下するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解消し、タイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝を有するタイヤの摩耗中期以降における駆動、旋回及び制動等の運動性能を総合的に向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝とタイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝とにより区画された多数のブロックを有する空気入りタイヤにおいて、前記横溝のうちの少なくとも一方の側壁面と溝底とのコーナー部に、該側壁面から他方の側壁面に向けて先端部が突出する平面視が略三角形の棚段を1以上形成し、該棚段の溝底からの高さを前記横溝の溝深さの10〜60%にしたことを要旨とする。
【0009】
このようにストレート状の横溝に形成した棚段は、摩耗がある程度進行した段階でトレッド面に露出し、略三角形の二辺をなす棚段の前端縁によるエッジ効果により路面に対して大きなグリップ力を確保するため駆動、旋回及び制動等の運動性能を総合的に向上させる。
【0010】
ここで、前記棚段は、さらに好ましくは、先端部の前記側壁面からの突出長を、前記横溝の溝幅の20〜60%とし、更に、前記側壁面の長さ方向に沿う棚段長を、前記側壁面の壁面長の20〜80%とすることにより、略三角形の二辺をなす棚段の前端縁のポイントハイトを大きくし、一層エッジ効果を高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0012】
図1は本発明の空気入りタイヤのトレッド部の一部を例示する平面図である。トレッド部1には、矢印Tで示すタイヤ周方向に延びる複数の主溝2とタイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝3とが設けられ、これら複数の主溝2と横溝3とにより区画されて多数のブロック4が形成されている。
【0013】
トレッド部1の両端側のブロック4を除いて中央側の4つのブロック4を区画する各横溝3には、該横溝3の一方の側壁面に少なくとも1以上の棚段7が形成されている。
【0014】
図2(a)は図1の要部であるA部の拡大図を、図2(b)は図2(a)のB−B矢視断面図を、それぞれ示す。これらの図に示すように、横溝3の側壁面4a、4bのうちの一方の側壁面4aと溝底6とのコーナー部には、側壁面4aから他方の側壁面4bに向けて先端部5aを突出させて延びる平面視が略三角形で、かつ溝底6からの高さhが横溝3の溝深さGDの10〜60%である棚段7が2つ形成されている。
【0015】
この棚段7は、さらに好ましくは、その前端縁5の先端部5aが側壁面4aから突出する突出長Wを横溝3の溝幅GWの20〜60%に設定し、側壁面4aに平行に沿う棚段長PWを側壁面4aの壁面長BWの20〜80%に設定するとよい。
【0016】
本発明において、上記棚段7の高さhが溝深さGDの10%未満では駆動、旋回及び制動性能を共に向上できず、60%超では旋回及び制動性能は向上するが駆動性能が低下する。また、棚段7の突出長Wの溝幅GWに対する比率が20%未満では駆動、旋回及び制動性能を共に向上できず、60%超では旋回及び制動性能は向上するが駆動性能が低下する。更に、棚段7の棚段長PWの壁面長BWに対する比率が20%未満では駆動、旋回及び制動性能を共に向上できず、80%超では旋回及び制動性能は向上するが駆動性能が低下する。
【0017】
なお、図示の例では、横溝3の一方の側壁面4aに2つの棚段7を形成した場合を例示したが、棚段7を両側壁面4a、4bに形成しても良い。更には、1つのブロック4における片側の側壁面4a又は4bに形成する棚段7の数は1以上であれば特に限定されるものではない。
【0018】
また、側壁面4a又は4bに複数の棚段7を形成する場合にあっては、相隣接する棚段7の突出長W及び棚段長PWの値は必ずしも同一に設定する必要はなく、更には、相隣接する棚段7を間隔を隔てて設定することもできる。ここで、相隣接する棚段7は、グリップ力を増大する観点から、横溝3の側壁面4a又は4bに沿って並列に連続して形成するのが好ましい。
【0019】
上述した棚段7を横溝3に形成したことにより、摩耗が略中程度に進行した段階で、上記棚段7がトレッド面に露出するので、ポイントハイトを大きくした前端縁5によるエッジ効果が効果的に作用し、路面に対するグリップ力が確保されて運動性能を向上させる。
【0020】
図3は横溝3の側壁面4a及び4bに沿ってそれぞれ複数の棚段7を並列に連続して形成させた実施例を示す図2(a)に相当する図で、相対向する複数の棚段7の前端縁5の先端部5aを横溝3の長手方向に相互にずらせて形成した場合を示している。
【0021】
本実施例に示すように、両側壁面4a及び4bに沿ってそれぞれ複数の棚段7を並列に連続して形成させることにより前端縁5によるエッジ効果が更に増大し、運動性能を一層向上させることができる。
【0022】
なお、本発明の空気入りタイヤのトレッド部1の一例として、図1には、主溝2がタイヤ周方向に延びるストレート状の溝であり、横溝3が主溝2に直交する溝である場合を例示したが、主溝2はタイヤ周方向に延びるジグザグ状の溝であっても良く、更には、横溝3は主溝2に連結又は交差するタイヤ周方向に傾斜して延びるストレート状の溝であっても良い。
【0023】
【実験例】
溝深さGDに対する棚段の高さhが運動性能に及ぼす影響を調べるため、タイヤサイズ(205/65R15)及びトレッドパターン(図1)を共通にして、棚段のない従来タイヤ(従来例)と、棚段の高さhを表1に示す通り変化させた比較タイヤ(比較例1,2)及び本発明タイヤ(実施例1,2)とをそれぞれ作製した。
【0024】
上記5種類のタイヤについて、それぞれ正規荷重を負荷させた状態で2万km走行させた後、下記の試験方法により駆動性能、旋回性能、及び制動性能を調べた結果を表1に併せて記載した。なお、各試験タイヤに共通する主な仕様及び比較タイヤ並びに本発明タイヤに共通する特有な仕様は以下の通りであった。
【0025】
[各試験タイヤに共通する主な仕様]
溝深さGD=7.5mm
溝幅GW=8.0mm
壁面長BW=20.0mm
【0026】
[比較タイヤ並びに本発明タイヤに共通する特有な仕様]
棚段長PW=10.0mm
突出長W=3.2mm
【0027】
[駆動性能評価試験方法]
表面のコンディションが一定に確保された傾斜の異なる雪上登坂路において、タイヤが空転することなく発進を可能にする傾斜レベルを測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数により表1に表示した。数値が大きいほど優れていることを示す。
【0028】
[旋回性能評価試験方法]
表面のコンディションが一定に確保された雪上路面において、半径30mの円周上を横すべりすることなく同一の軌道上を走行できる速度を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数により表1に表示した。数値が大きいほど優れていることを示す。
【0029】
[制動性能評価試験方法]
表面のコンディションが一定に確保された雪上路面において、時速30kmにて急制動を実施して制動距離を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数により表1に表示した。数値が大きいほど優れていることを示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から判るように、棚段を形成した本発明タイヤ(実施例1,2)は棚段のない従来タイヤ(従来例)に比較して、駆動性能、旋回性能、及び制動性能共に向上しており、棚段の諸元のうちh/GDが0.1未満の比較タイヤ(比較例1)は従来タイヤ(従来例)と同等の性能を示し、h/GDが0.6超の比較タイヤ(比較例2)は本発明タイヤ(実施例1,2)に比して旋回性能及び制動性能が優れているが駆動性能が従来タイヤ(従来例)に比して低下していることを確認した。
【0032】
【発明の効果】
上述したように、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝の側壁面のうちの少なくとも一方の側壁面に横溝の溝深さの10〜60%の高さを有する略三角形の棚段を他方の側壁面に向けて先端部を突出させて溝底上に形成したので、摩耗がある程度進行した段階で、棚段がトレッド面に露出して、棚段の前端縁によるエッジ効果により路面に対するグリップ力が確保され、駆動、旋回及び制動等の運動性能を総合的に向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤのトレッド部の一部を例示する平面図である。
【図2】(a)は図1の要部であるA部を拡大して示す平面図で、(b)は図2(a)のB−B矢視断面図である。
【図3】本発明の空気入りタイヤの棚段の他の実施形態を示す図2(a)に相当する図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 主溝
3 横溝
4 ブロック
4a、4b 側壁面
5 前端縁
5a 先端部
6 溝底
7 棚段
GD 溝深さ
GW 溝幅
BW 壁面長
h 棚段高さ
PW 棚段長
W 突出長
Claims (4)
- トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝とタイヤ幅方向に延びるストレート状の横溝とにより区画された多数のブロックを有する空気入りタイヤにおいて、
前記横溝のうちの少なくとも一方の側壁面と溝底とのコーナー部に、該側壁面から他方の側壁面に向けて先端部が突出する平面視が略三角形の棚段を1以上形成し、該棚段の溝底からの高さを前記横溝の溝深さの10〜60%にした空気入りタイヤ。 - 前記棚段を、前記横溝の側壁面に沿って複数連続して形成した請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記先端部の前記側壁面からの突出長を、前記横溝の溝幅の20〜60%にした請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記棚段の前記側壁面の長さ方向に沿う棚段長を、前記側壁面の壁面長の20〜80%にした請求項1、2又は3に記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003084911A JP2004291739A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 空気入りタイヤ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003084911A JP2004291739A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 空気入りタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004291739A true JP2004291739A (ja) | 2004-10-21 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003084911A Pending JP2004291739A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 空気入りタイヤ |
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JP (1) | JP2004291739A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012096783A (ja) * | 2010-10-29 | 2012-05-24 | Goodyear Tire & Rubber Co:The | スタッドレスタイヤのグリップエッジ |
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2003
- 2003-03-26 JP JP2003084911A patent/JP2004291739A/ja active Pending
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JP2012096783A (ja) * | 2010-10-29 | 2012-05-24 | Goodyear Tire & Rubber Co:The | スタッドレスタイヤのグリップエッジ |
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