JP2004291021A - スタッド溶接装置及びスタッド溶接方法 - Google Patents

スタッド溶接装置及びスタッド溶接方法 Download PDF

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正行 佐藤
Sojiro Suzuki
壮二郎 鈴木
Fumiichiro Masuda
文一郎 増田
Masaki Sakakura
正樹 坂倉
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Abstract

【課題】使用寿命の長い電極を有する、経済性に優れたスタッド溶接装置と、表面に電気絶縁性被膜が形成された母材に対して、ピン部材を経済的に有利にスタッド溶接し得る方法とを提供する。
【解決手段】ピン部材14に対して、接触して、母材48にスタッド溶接するための電荷を導く電極44をステンレス鋼にて構成した。また、そのような構成を有するスタッド溶接装置を用いて、ピン部材14を電極44に接触させつつ、その先端部を、母材48表面上の電気絶縁性被膜50に押し付けた状態下で、ピン部材14を振動せしめることにより、ピン部材14の先端部を被膜50に食い込ませた後、電極44を通じて、母材48にスタッド溶接するための電荷をピン部材14に導いて、ピン部材14を母材48にスタッド溶接するようにした。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、スタッド溶接装置及びスタッド溶接方法に係り、特に、ピン部材に通電するための電極を備えたスタッド溶接装置の改良された構造と、そのような溶接装置を用いて、表面に電気絶縁性の被膜が形成された母材に対して、ピン部材を、より有利に溶接し得るスタッド溶接方法とに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、所定のピンやボルト、スタッド等のピン部材を金属製の母材に立設せしめる方法の一つとして、スタッド溶接方法が、知られている。また、公知の如く、このスタッド溶接方法は、一般に、ピン部材を保持する溶接ガンと、該溶接ガンに保持されたピン部材を母材にスタッド溶接するための電荷を供給する電源装置とを有するスタッド溶接装置を用い、かかるスタッド溶接装置の溶接ガンに保持されたピン部材と母材との間で、電源装置から供給される電荷を放電させることによって、ピン部材を母材に対して迅速に且つ容易に溶接するようにしたものである。
【0003】
ところで、このような従来のスタッド溶接装置においては、溶接ガンにて保持されたピン部材に対して、電源装置から供給される電荷を導く電極が、溶接ガンの内部に、かかるピン部材に接触するように設けられている。そして、この電極は、通電性等を考慮して、一般に、銅やクロム銅等の銅合金、或いは白金等の電気抵抗の低い材料にて構成されている。
【0004】
ところが、よく知られているように、銅やクロム銅等の銅合金、或いは白金等は、硬度が比較的に低いものであるため、そのような材料からなる電極には、ピン部材との接触による摩耗量が大きいといった欠点が、存していた。
【0005】
それ故、それら銅やクロム銅等の銅合金、或いは白金等からなる電極を有する従来のスタッド溶接装置にあっては、電極の使用寿命が短く、そのために、電極の頻繁な取替えが必要となって、ランニングコストが高騰するといった問題が、惹起されていたのである。
【0006】
また、表面に電気絶縁性の塗膜や酸化膜等の被膜が形成された母材にピン部材をスタッド溶接する手法として、例えば、ピン部材を電極に接触させて、保持せしめた状態下で、ピン部材に対して振動を加えることにより、ピン部材の先端部を、母材表面の被膜に、溶接可能な深さまで食い込ませ、その後、ピン部材を、母材との間の放電により、母材に溶接する方法(例えば、特許文献1参照)が知られているが、上述の如き銅やクロム銅等の銅合金、或いは白金等からなる電極を有する従来のスタッド溶接装置を用いて、かかる手法を実施する場合、ピン部材が加振せしめられることにより、電極のピン部材との接触部位が、より激しく摩耗することが避けられない。そして、そのために、電極を、更に高頻度に取り替えなければならなくなって、作業コストが著しく上昇せしめられるといった不具合が生じていたのである。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−290847号公報
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、ピン部材との接触による摩耗が有利に抑制乃至は解消されて、使用寿命の延命化が効果的に図られ得る電極を有する、経済性に優れたスタッド溶接装置を提供することにある。また、本発明にあっては、ピン部材を、表面に電気絶縁性被膜が形成された母材に対して、より経済的に有利に溶接し得るスタッド溶接方法を提供することをも、その解決課題とするものである。
【0009】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、スタッド溶接装置に係る技術的課題の解決のために、所定の母材にスタッド溶接されるべきピン部材に接触して、該ピン部材に対して、該母材にスタッド溶接するための電荷を導く電極を備えたスタッド溶接装置において、該電極の、少なくとも該ピン部材との接触部位を、ステンレス鋼にて構成したことを特徴とするスタッド溶接装置を、その要旨とするものである。
【0010】
すなわち、この本発明に従うスタッド溶接装置にあっては、ピン部材に対する通電を行なう電極のピン部材との接触部位が、銅やクロム銅等の銅合金、白金等に比して硬度が著しく大きなステンレス鋼にて構成されているのであり、それによって、ピン部材との接触による電極の摩耗が、有利に低減乃至は解消され得るのである。
【0011】
従って、このような本発明に従うスタッド溶接装置にあっては、電極の使用寿命の延命化が十分に図られ得て、電極の取替え回数が有利に減少せしめられ得るのであり、その結果として、電極の取替えに伴うランニングコストの高騰が効果的に抑制され得るといった優れた経済性が、極めて効果的に発揮され得ることとなったのである。
【0012】
そして、本発明にあっては、スタッド溶接方法に係る技術的課題を解決するために、表面に電気絶縁性の被膜が形成された母材に対して、ピン部材をスタッド溶接するに際して、前記ピン部材に対して、ステンレス鋼からなる部位において接触して、前記母材にスタッド溶接するための電荷を該ピン部材に導く電極を備えたスタッド溶接装置を用い、該ピン部材を、該電極に接触させた状態下で、該ピン部材の先端部を前記母材の表面に形成された前記被膜に押し付けつつ、該ピン部材を振動せしめることにより、該ピン部材の先端部を該被膜に食い込ませて、該被膜における該ピン部材の先端部との接触部位を破壊した後、前記電極を通じて、該ピン部材に通電せしめて、該ピン部材の先端部と前記母材との間で、該ピン部材を該母材にスタッド溶接するための電荷を放電させることにより、該ピン部材を該母材にスタッド溶接するようにしたことを特徴とするスタッド溶接方法をも、また、その要旨とするものである。
【0013】
要するに、この本発明に従うスタッド溶接方法にあっては、ピン部材との接触による摩耗が有利に抑制乃至は解消され得るといった、上述の如き優れた特徴を有するステンレス鋼製の電極を備えたスタッド溶接装置が用いられているところから、母材表面上の電気絶縁性被膜の破壊のために、ピン部材が振動せしめられても、電極のピン部材との接触部位の摩耗が、有利に抑えられ得るのであり、それによって、電極の取替え回数を効果的に減少せしめることが出来、以て、電極の取替えに要される費用が、有利に削減され得るのである。
【0014】
従って、かくの如き本発明に従うスタッド溶接方法によれば、ピン部材を、表面に電気絶縁性被膜が形成された母材に対して、より経済的に有利にスタッド溶接することが可能となるのである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係るスタッド溶接方法及びスタッド溶接装置の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有するスタッド溶接装置の一実施形態が、概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のスタッド溶接装置は、電源装置10と、この電源装置10に対して電気的に接続された溶接ガン12とを含んで構成されている。そして、電源装置10から溶接ガン12に供給される電荷によって、溶接ガン12に保持されるピン部材14を所定の母材にスタッド溶接し得るようになっているのである。
【0017】
より具体的には、スタッド溶接装置を構成する溶接ガン12は、略円筒状の本体16と、その本体16の外面における軸方向中間部から側方に向かって一体的に延出して設けられた、使用者によって把持される把持部18を有して成っている。
【0018】
また、かかる溶接ガン12の本体16内には、適当な可撓性を有するチタン製の丸棒材からなる保持ロッド20が、本体16の前部から後部(図1中、左側部位から右側部位)側に向かって、本体16と同軸的に延出する状態で、軸方向に往復移動可能に配置されている。更に、溶接ガン12の本体16の軸方向中間部には、内部に圧縮コイルばね22が離脱不能に配置された取付ブッシュ24が、本体16に対して同軸的に位置せしめられて、固定されている。
【0019】
そして、保持ロッド20が、その軸方向の中間部において、圧縮コイルばね22に内挿されつつ、取付ブッシュ24内に挿通せしめられており、また、そのような状態下で、取付ブッシュ24への挿通部位の外周面に位置固定に設けられた係合突起26を、圧縮コイルばね22における本体16の前部側端部に係合させつつ、取付ブッシュ24にて、軸方向に摺動可能に支持されている。
【0020】
これによって、保持ロッド20にあっては、本体16の後部側に向かって軸方向に移動せしめられた際に、圧縮コイルばね22の付勢力により、本体16の前部側に向かって付勢せしめられると共に、外部からの加振力にて、容易に撓み振動せしめられ得る状態で、溶接ガン12の本体16に取り付けられているのである。なお、かかる保持ロッド20は、リード線28を介して、電源装置10に対して電気的に接続されている。また、図1中、29は、母材に接続するためのアース線である。
【0021】
また、このような保持ロッド20が配置された本体16内の後部側には、保持ロッド20を撓み振動させるための圧電振動子30が、配設されている。この圧電振動子30は、円環板乃至は円筒形状を呈し、電圧の印加により軸方向(厚さ方向乃至は高さ方向)に伸縮する、二つの公知の圧電セラミックス32,32が、永久分極の向きを逆にして、互いに重ね合わされて配置された公知の構造を有しており、リード線28を通じて、電源装置10から交流電圧が印加されることによって軸方向に高速振動せしめられ得るようになっている。また、ここでは、二つの圧電セラミックス32,32の内孔の径が、保持ロッド20の外径よりも一周り大きくされていると共に、保持ロッド20の撓み振動における固有振動数と同一の振動数を有して、構成されている。
【0022】
そして、そのような構造とされた圧電振動子30が、本体16の後部において、保持ロッド20の後端部に外挿された状態で、配置されており、また、かかる配置状態下において、保持ロッド20の後端部に、所定間隔を開けて外挿固定された、アルミニウム製の二つの取付リング34,34にて、軸方向の両側から挟持されることにより、保持ロッド20の後端部に対して、その外周面に非接触下で、移動不能に外挿固定されている。
【0023】
かくして、ここでは、電源装置10から、リード線28を通じて、交流電圧が圧電振動子30に印加されて、圧電振動子30が軸方向に高速振動せしめられることによって、保持ロッド20が、共振作用により、撓み振動せしめられるようになっている。
【0024】
なお、このような圧電振動子30を高速振動せしめるための電荷は、後述するようにして、保持ロッド20の先端部に保持されたピン部材14が母材に押し付けられて、保持ロッド20が、圧縮コイルばね22の付勢力に抗して、予め設定された第一の規定位置にまで後退移動せしめられた際に、それが、溶接ガン12の本体16内に設置された複数のフォトセンサ36にて検出されることにより、リード線28を通じて、電源装置10から圧電振動子30に供給されるようになっている。また、このような圧電振動子30を高速振動状態下で、保持ロッド20が、前記第一の規定位置よりも後部側の第二の規定位置にまで更に後退移動せしめられて、それが、複数のフォトセンサ36にて検出された際には、かかる圧電振動子30を高速振動させるための電荷の電源装置10からの供給が、停止されるようになっている。
【0025】
さらに、ここでは、後述するように、圧電振動子30の高速振動に伴う保持ロッド20の撓み変形により、かかる保持ロッド20に保持されたピン部材14にて、母材表面上の電気絶縁性被膜が破壊された後、ピン部材14に対して、それを母材にスタッド溶接するための電荷が、電源装置10から供給されるようになっているのであるが、かくの如き電荷は、保持ロッド20が、前記第二の規定位置よりも更に後部側の第三の規定位置に後退移動せしめられたことが複数のフォトセンサ36にて検出されることにより、電源装置10から供給されるようになっている。
【0026】
一方、溶接ガン12の本体16内の前部側には、ピン部材14を保持するためのプラグ38が、配置されている。このプラグ38は、軸方向の一方側が他方側よりも小径とされた略段付の円柱形状を呈するアルミニウム製のジャケット40と、かかるジャケット40の小径部に、互いに重ね合わされて外挿固定された、円板状の永久磁石からなる二つの固定マグネット42,42と、それら二つの固定マグネット42,42のうち、ジャケット40の軸方向一方側に位置するものの端面に固着された電極44とを、有している。
【0027】
そして、かかるプラグ38が、本体16と同軸上において、電極44を、本体16の前方側に位置せしめて、無拘束に配置された状態で、ジャケット40の後端面に設けられた取付穴内に挿入された保持ロッド20の先端部に対して、一体移動可能に固定されている。
【0028】
これによって、ここでは、ピン部材14が、その基部側に一体形成された円形の座金部15において、プラグ38に固設された電極44に接触せしめられた状態下で、二つの固定マグネット42,42の磁力により、プラグ38に吸着されて、保持されるようになっている。また、そのようなピン部材14のプラグへの吸着状態下において、電源装置10から供給される、ピン部材14を母材にスタッド溶接するための電荷が、電極44を通じて、ピン部材14に導かれると共に、圧電振動子30の高速振動に伴う保持ロッド20の撓み振動によって、ピン部材14が、正確には、本体16の軸方向に対して直角な方向に近似した方向、つまり該軸方向に対して実質的に直角な方向に振動せしめられるように、構成されているのである。
【0029】
そして、本実施形態においては、特に、このプラグ38に固設された電極44が、従来装置には見られない特別な構造とされているのである。
【0030】
すなわち、本実施形態のスタッド溶接装置では、かかる電極44が、従来装置の電極の形成材料である銅やクロム銅等の銅合金、或いは白金等に比して硬度が著しく大きなステンレス鋼からなる円形板にて構成されている。また、この円形のステンレス鋼板からなる電極44にあっては、ピン部材14の座金部15との接触面46が、座金部15よりも一回り大きな径を有する円形の平端面とされており、これによって、ピン部材14の座金部15が、その全面において、接触面46に対して密接せしめられつつ、吸着されるようになっているのである。
【0031】
ところで、かくの如き構造とされたスタッド溶接装置を用いて、例えば、表面に、電気絶縁性の塗料が塗装されてなる被膜が形成された母材に対して、ピン部材14をスタッド溶接する際には、有利には、以下のようにして、その作業が進められることとなる。
【0032】
すなわち、先ず、図1に二点鎖線で示されるように、ピン部材14を、その座金部15において、溶接ガン12に内蔵されたプラグ38の電極44に接触させつつ、吸着させて、保持せしめる。
【0033】
なお、ここでは、先端が尖鋭とされたピン部材が、好適に用いられる。それにより、本工程の後に実施される、後述する工程において、ピン部材14の先端部を母材表面上の被膜に対して、スムーズに且つ容易に食い込ませるが出来る。なお、尖鋭とされたピン部材14の先端部形状や、該ピン部材14に一体形成された座金部15の形状が、例示のものに、何等限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0034】
次いで、図2に示されるように、電源装置10から延びるアース線29を母材48に接続せしめた状態下で、母材48の表面に形成された電気絶縁性の被膜50に対して、溶接ガン12のプラグ38に保持されたピン部材14の先端部を押し付けることにより、ピン部材14が保持されるプラグ38に連結された保持ロッド20を、溶接ガン12の本体16内に配設された圧縮コイルばね22の付勢力に抗して、本体16の後部側に向かって、第一の規定位置にまで移動させる。そして、それによって、電源装置10からの電荷を本体16内の圧電振動子30に供給し、かかる圧電振動子30を高速振動せしめて、保持ロッド20を撓み振動せしめると共に、この保持ロッド20に対して、プラグ38を介して保持されたピン部材14を、その軸方向に対して略直角な方向に振動させる。
【0035】
このような本工程では、ピン部材14が、座金部15において、電極44の平坦な接触面46に密接せしめられつつ、吸着されて、プラグ38に保持されているため、かかるプラグ38に固定された保持ロッド20の撓み振動が、電極44を介して、ピン部材14に対して、有効に伝達せしめられて、ピン部材14が、確実に振動せしめられることとなる。
【0036】
なお、図2及び後述する図3において、ピン部材14の振動方向を矢印にて示すが、それらの図では、ピン部材14の振動方向の理解を容易とするために、矢印の方向が、本体16の軸方向に対して直角な方向となっていることが理解されるべきである。また、このピン部材14の振動の開始時には、ピン部材14と母材48との間に、被膜50が、電気絶縁性を十分に発揮し得る厚さをもって介在せしめられて、溶接ガン12の本体16に内蔵された検出器にて検出される電気抵抗値が、所定の基準値よりも大きくなっているため、電源装置10からの電荷が、保持ロッド20を通じてピン部材14に供給されることはない。
【0037】
引き続き、母材48の表面上の被膜50に対して、ピン部材14の先端部を押し付けたまま、ピン部材14の軸方向に略直角な方向への振動を継続せしめることにより、図3に示される如く、ピン部材14の先端部を被膜50に食い込ませながら、ピン部材14の先端部にて、被膜50におけるピン部材14の先端部との接触部位を削り取って、かかる被膜50の接触部位を破壊する。このとき、前述せる如く、電極44がステンレス鋼にて構成されているため、ピン部材14の振動によって、電極44のピン部材14との接触部位が激しく摩耗せしめられるようなことが、有効に回避され得ることとなる。
【0038】
次いで、このようなピン部材14の先端部による被膜50の破壊により、ピン部材14の先端部を母材48の表面に接触させた状態で、ピン部材14の先端部を母材48表面上に、より強く押し付けて、保持ロッド20を前記第二の規定位置や第三の規定位置にまで後退移動させることにより、保持ロッド20の撓み振動に伴うピン部材14の振動を停止させ、また、その一方で、電源装置10から、ピン部材14を母材48にスタッド溶接するための電荷を、ピン部材14に対して、保持ロッド20とプラグ38の電極44を通じて供給せしめて、母材48とピン部材14との間で放電せしめるのである。
【0039】
そして、このような母材48とピン部材14との間での放電により、図4に示される如く、ピン部材14の先端部を溶融させて、その溶融部位において、ピン部材14を、母材48の、被膜50が破壊されて表面が露出せしめられた部位にスタッド溶接するのである。
【0040】
このように、本実施形態においては、ピン部材14に接触せしめられて、このピン部材14に対して、母材48にスタッド溶接するための電荷を導く電極44が、極めて硬度の高いステンレス鋼板にて構成されていることによって、ピン部材14の振動時における電極44のピン部材14との接触部位の摩耗量が、ゼロとされるか若しくは著しく低く抑えられ得るようになっているところから、電極44の使用寿命が、効果的に延長され得るのである。
【0041】
従って、かくの如き本実施形態によれば、溶接ガン12の使用頻度に比較して、電極44の取替え回数を十分に少なく抑えることが可能となり、その結果として、電極の取替え回数の減少分だけ、ランニングコストを低下させ得るといった経済的メリットが、極めて有効に享受され得ることとなるのである。
【0042】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0043】
例えば、前記実施形態では、圧電振動子30の軸方向への高速振動に伴って、保持ロッド20が、共振作用により撓み振動せしめられて、保持ロッド20に保持されたピン部材14が、その軸方向に対して実質的に直角な方向に振動せしめられることにより、母材48表面上の被膜50が破壊されるようになっていたが、そのような圧電振動子30に代えて、保持ロッド20を軸方向に振動せしめるように構成された公知の加振器を用いることにより、保持ロッド20に保持されたピン部材14を、その軸方向に振動せしめ、以て、母材48表面上の被膜50を破壊するように為しても良い。
【0044】
なお、このように、保持ロッド20を振動させる加振器を用いて、ピン部材14を振動させる場合には、ピン部材14の振動方向に拘わらず、かかる加振器として、公知の構造を有するものが、適宜に選択されて、使用されることとなる。
【0045】
また、そのような圧電振動子30やその他の加振器を何等用いることなく、溶接ガン12の保持ロッド20に保持されたピン部材14を、母材48表面上の被膜50に押し付けた状態下において、溶接ガン12に押打力を加えて、ピン部材14を振動させたり、或いは溶接ガン12全体をピン部材14の軸方向に対して直角な方向に振動させることにより、ピン部材14を振動させるようにしても、何等差し支えない。
【0046】
さらに、表面に電気絶縁性の被膜50が設けられていない母材48にピン部材14をスタッド溶接する場合には、上述の如き加振器が何等装備されていないスタッド溶接装置を用いて、しかもピン部材14に何等の振動も加えることなしに、ピン部材14が、かかる母材48にスタッド溶接されることとなる。
【0047】
更にまた、前記実施形態では、電極44の全体が、ステンレス鋼にて構成されていたが、電極44は、少なくとも、ピン部材14との接触部位がステンレス鋼にて構成されておれば良く、かかる接触部位以外の部位を、例えば、銅やクロム銅等の銅合金、或いは白金等にて構成しても、何等差し支えない。
【0048】
また、前記実施形態では、圧電振動子30の高速振動による共振作用に対して、優れた応答性が発揮され得るように、保持ロッド20が、チタン材料を用いて構成されていたが、かかる保持ロッド20の材質は、特にこれに限定されるものでないことは、勿論である。
【0049】
さらに、母材48表面上の被膜50に接触せしめられたピン部材14に対する振動の開始や母材48との間での放電の開始に係る構造も、前記実施形態に示されるものに、決して限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0050】
また、勿論、ピン部材14を溶接ガン12に保持させる保持機構の構造も、前記実施形態に示されるものに、何等限定されるのものでない。
【0051】
加えて、前記実施形態では、溶接ガンと電源装置とを有し、かかる溶接ガンの本体内に電極が設けられてなるスタッド溶接装置とそれを用いたスタッド溶接方法に対して、本発明を適用したものの具体例が示されていたが、本発明は、その他、所定の母材にスタッド溶接されるべきピン部材に接触して、このピン部材に対して、母材にスタッド溶接するための電荷を導く電極を備えたスタッド溶接装置やそのような溶接装置を用いたスタッド溶接方法の何れに対しても、有利に適用され得ることは、勿論である。
【0052】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従うスタッド溶接装置にあっては、電極の使用寿命の延命化が十分に図られ得て、電極の取替え回数が著しく減少せしめられ得るのであり、その結果として、電極の取替えに伴うランニングコストの高騰が効果的に抑制され得るといった優れた経済性が、極めて有利に発揮され得ることとなったのである。
【0054】
また、本発明に従うスタッド溶接方法によれば、ピン部材を、表面に電気絶縁性被膜が形成された母材に対して、より経済的に有利にスタッド溶接することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うスタッド溶接装置の一例を概略的に示す、一部切欠図を含む概略説明図である。
【図2】本発明手法に従って、ピン部材を母材にスタッド溶接する工程の一例を示す説明図であって、図1に示されたスタッド溶接装置の溶接ガンに保持されたピン部材を母材に押し付けて、振動させている状態を示している。
【図3】本発明手法に従って、ピン部材を母材にスタッド溶接する工程の別の例を示す説明図であって、ピン部材の先端部を母材に食い込ませた状態を示している。
【図4】本発明手法に従って、ピン部材を母材にスタッド溶接する工程の更に別の例を示す説明図であって、ピン部材の先端部を母材に溶接した状態を示している。
【符号の説明】
10 電源装置 12 溶接ガン
14 ピン部材 20 プラグ
30 保持ロッド 30 圧電振動子
38 プラグ 44 電極
46 接触面 48 母材
50 被膜

Claims (2)

  1. 所定の母材にスタッド溶接されるべきピン部材に接触して、該ピン部材に対して、該母材にスタッド溶接するための電荷を導く電極を備えたスタッド溶接装置において、該電極の、少なくとも該ピン部材との接触部位を、ステンレス鋼にて構成したことを特徴とするスタッド溶接装置。
  2. 表面に電気絶縁性の被膜が形成された母材に対して、ピン部材をスタッド溶接するに際して、
    前記ピン部材に対して、ステンレス鋼からなる部位において接触して、前記母材にスタッド溶接するための電荷を該ピン部材に導く電極を備えたスタッド溶接装置を用い、該ピン部材を、該電極に接触させた状態下で、該ピン部材の先端部を前記母材の表面に形成された前記被膜に押し付けつつ、該ピン部材を振動せしめることにより、該ピン部材の先端部を該被膜に食い込ませて、該被膜における該ピン部材の先端部との接触部位を破壊した後、前記電極を通じて、該ピン部材に通電せしめて、該ピン部材の先端部と前記母材との間で、該ピン部材を該母材にスタッド溶接するための電荷を放電させることにより、該ピン部材を該母材にスタッド溶接するようにしたことを特徴とするスタッド溶接方法。
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